説明

ガス濃度測定システム

【課題】持ち運びが可能なガス濃度測定システムにおいて、ガス濃度測定に、測定場所、測定日時、測定環境情報、測定担当者情報、検知剤の種類およびガスの種類などを、即座に正確に測定依頼者等に伝達する。
【解決手段】測定に関する情報を自ら取得する手段と、取得した情報を送信可能な電子データとする手段と、前記電子データを送信する通信手段とを備える。
ガス濃度測定システムの本体1に、測定場所の情報を取得する全地球測位システムの受信機2と、風向風速の情報を取得する風向風速計3とを接続し、測定場所と風向風速の情報を送信可能な電子データとし、前記電子データを送信する。
測定担当者のID情報を取得する磁気記録カードリーダと、測定担当者情報をもつデータベースと、これらの照合装置とを接続すること、ガス検知管の製品情報を記録したICタグをICタグリーダで自動的に読み取ることにより、測定担当者情報とガス検知管の製品情報を自ら取得し、取得した情報を送信可能な電子データとし、前記電子データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境中にあるガスの濃度を測定するガス濃度測定システムのうち、据え置き型のものではなく、人手または車両等によって持ち運びが可能なガス濃度測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
持ち運びが可能なガス濃度測定システムとしては、持ち運び可能な小型のガス分析装置、ガスセンサシステム、検知管を用いた測定機器類などがある。その用途は、ゴミ処理場建設等に伴う環境アセスメント時における有害ガスや臭気ガスの測定、いわゆるシックハウス症候群の原因となる新築建造物内における有害ガスの測定、火山の活動に伴う火山性ガスの測定、土壌汚染対策法に記された土壌汚染に伴って土壌から発生したり土壌中に含まれたりするガスの測定、工場における製造や倉庫等での保管の上で問題となるガスの測定など、多種多用である。さらに、大気汚染や地球温暖化に関係して、監視局や測定局から離れた地点で対象となるガスを測定する場合もある。
【0003】
ガス濃度測定システムの代表的なものとして、例えば、国、自治体、道路関係公団等が設置する監視局や測定局と呼ばれる施設内に設置された測定装置がある。これらは、いわば据え置き型の測定システムであり、公定法により測定したガス濃度の値を通常オンラインで提供している。据え置き型の場合、測定場所、測定条件、測定担当者・管理者といった測定に関する情報は既知であるため、測定日時がわかる情報と共に、測定値の情報さえセンタ側に送れば、センタ側で既知の情報と合わせて有益な情報への加工が可能である。その結果、情報の被提供者である自治体住民等はインターネットのページを閲覧することで測定に関する情報を不足なく享受できる。
【0004】
上記の場合とは違い、環境アセスメント等のために環境評価を行うような場合等においては、その場にサンプリング機材を持ち込んで実験室にサンプルを持ち帰って測定を行うか、人手または車両等によって持ち運びが可能な可般型のガス濃度測定システムを用いてその場で測定を行う。ここでいう可般型のガス濃度測定システムとは、持ち運び可能な小型のガス分析装置、ガスセンサシステム、検知管を用いた測定機器類などを指す。
【0005】
可般型のガス濃度測定システムにより測定を行う場合、測定対象であるガスの種類をはじめ、測定場所、測定日時および測定期間、測定時における気温・室温・湿度などの測定環境情報、測定者または測定責任者といった測定担当者の氏名や所属・資格といった属性についての情報、測定に用いた検知管等の部材・機材の種類、および製造時期や使用期限、吸引処理など前処理等の測定条件、測定値、といった測定に関するほとんどの情報は、測定者が必要な情報を読み取り、決められたフォーマットに従って記入し、測定の後に報告書にまとめるのが普通である。この場合、測定者の読み取りミスや記入ミスを完全に回避することは難しい。また、報告すべき顧客など所望の相手に、測定に関する情報を即座に伝達することはできない。
【0006】
このうち、測定者の読み取りミスや記入ミスを回避するものがある(例えば、特許文献1参照)。これに記載される「ガス検知部材及びガス濃度測定装置」は、ガス検知部材に、該検知部材の情報を読み取り及び書き込みするための情報の領域を備えたことにより、ガスの種別、製造年月日または期限終了日等の情報を管理でき、且つ、測定の場所、測定値または測定の条件等の情報を記録することができるようにしたもので、測定担当者の記入ミスを回避可能とし、さらに、ガス濃度測定装置にRGBのカラーセンサーを備えたことによりガスの濃度等の測定を自動的に行うことで、測定者の測定結果の読み取りミスを回避可能としたものである。しがしながら、測定に関する情報は検知部材に付属の情報記録媒体に格納されるだけであるため、この場合もやはり、測定に関する情報を顧客に即座に伝達するのに適していない。
【0007】
最近、可般型のガス濃度測定システムにおいて、据え置き型と同様に、測定日時や測定値を送信する仕組みを有するものがある(例えば、特許文献2参照)。このシステムでは、測定日時、測定値、温度、湿度の情報を、自ら取得して電子データ化して送信できるものの、他の情報については自ら取得して電子データ化して送信できない。このシステムでは、通常、情報の受信者側が自ら利用するために情報の取得と送信を自動に行うことを目的としており、情報の送信者側と受信者側が同一である。測定業務受託者とその顧客である測定業務依頼者のように、情報の送信者側と受信者側が異なる場合には、測定にかかる情報全般を他の方法で共有するか、あらかじめ前提として設定しておく必要がある。
【特許文献1】特開2003−270236号公報
【特許文献2】特開2003−281671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の人手または車両等によって持ち運びが可能なガス濃度測定システムにおいては、ある場所におけるガス濃度の測定を行った時点において、測定日時、測定場所、測定日時および測定期間、測定時における温度、湿度、風向風速といった測定環境情報、測定担当者の氏名、測定担当者の所属および資格といった属性、検知部材の種類および検知するガスの種類、検知部材の使用期限、前処理等の測定条件、または、測定値等の情報を、即座に正確に測定依頼者等の所望の相手に伝達することができない。
【0009】
本発明の目的は、上記の課題を解決したガス濃度測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記の課題を解決するため、持ち運びが可能なガス濃度測定システムにおいて、基本的には、測定に関する情報を自ら取得する手段と、取得した情報を送信可能な電子データ化する手段と、前記電子データを送信する通信手段とを備えるものである。
【0011】
詳細には、持ち運びが可能なガス濃度測定システムであって、ある場所におけるガス濃度の測定を行った時点において、該測定についての、測定場所、測定時における風向風速、測定担当者の氏名、測定担当者の属性、測定条件、検知剤の種類および検知するガスの種類、検知部材の使用期限のうち、一部又は全部についての情報を自ら取得する手段と、取得した前記情報を送信可能な電子データ化する手段と、前記電子データを送信する通信手段とを備え、前記情報に温度、湿度、測定日時および測定期間、測定値のうちの一部または全部を加えた情報を自ら取得する手段と、取得した該情報を送信可能な電子データ化する手段と、前記電子データを所望の相手に送信する送信手段とを備えることにより、前記の課題を解決するものである。したがって、本発明は、以下の構成を特徴とする。
【0012】
(1)持ち運びが可能なガス濃度測定システムであって、
ある場所におけるガス濃度の測定を行った時点において、該測定についての、測定場所、測定時における風向風速、測定担当者の氏名、測定担当者の属性、前処理等の測定条件、検知剤の種類および検知するガスの種類、検知部材の使用期限のうち、一部又は全部についての情報を自ら取得する手段と、取得した前記情報を送信可能な電子データ化する手段と、前記電子データを送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【0013】
(2)前記(1)において、情報を自ら取得する手段として、
測定場所についての情報取得に、全地球測位システムの受信機が内蔵あるいは外部接続される構成、
測定時における風向風速についての情報取得に、風向風速計が内蔵あるいは外部接続される構成、
測定担当者の氏名および属性の一方または両方についての情報取得に、前記測定担当者の身体的特徴を読み取って該測定担当者の氏名および属性を認証する生体認証装置が内蔵あるいは外部接続される構成、
測定担当者の氏名および属性の一方または両方についての情報取得に、前記測定担当者のID情報を含むバーコード、磁性記録媒体、ICカード、あるいはICタグの読み取り装置と、前記ID情報と測定担当者の氏名および属性とを照合する照合装置とが、内蔵あるいは外部接続される構成、
測定条件についての情報取得に、該測定条件を変化せしめるスイッチ類の状態を常時把握し、且つ、測定時における前記スイッチ類の状態を電子的に記憶する手段とする構成、
の少なくとも1つを有することを特徴とする。
【0014】
(3)前記(1)において、検知剤の種類およびガスの種類についての情報を自ら取得する手段として、前記検知部材の製品情報を読み取って該検知剤の種類および前記ガスの種類を認識する手段が内蔵あるいは外部接続される構成を特徴とする。
【0015】
(4)前記(3)において、検知部材の使用期限についての情報を自ら取得する手段として、前記検知部材の製品情報を読み取って該検知部材の使用期限を認識する手段が内蔵あるいは外部接続される構成を特徴とする。
【0016】
(5)前記(3)または(4)において、前記検知部材の製品情報は記録媒体に記録されており、該記録媒体に記録された製品情報を読み取ることで前記検知部材の種類および前記ガスの種類を認識する手段が内蔵あるいは外部接続される構成を特徴とする。
【0017】
(6)前記(5)において、検知部材の製品情報が記録されている記録媒体は、バーコード、磁性記録媒体、ICカード、あるいはICタグである構成を特徴とする。
【0018】
(7)前記(4)〜(6)において、検知部材は、ガスセンサ、検知管、または試験紙である構成を特徴とする。
【0019】
(8)前記(1)において、前記情報に、温度、湿度、測定日時および測定期間、測定値のうちの一部または全部を加えた情報を自ら取得する手段と、取得した該情報を送信可能な電子データ化する手段と、前記電子データを送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【0020】
以上のシステム構成により、測定に関する情報を電子データで送信する手段を有すれば、即座に正確に測定依頼者等の所望の相手に伝達することが可能である。例えば、前記(1)または前記(8)における送信手段を電子メールの送信手段とし、送信の宛先を所望の相手の電子メールアドレスとすることによって、測定に関する情報を、直接、即座に正確に測定依頼者等の所望の相手に伝達することができる。あるいは、前記(1)または前記(8)における送信手段を、前記(1)または前記(8)における電子データを所定のサーバへ送信する送信手段として、該サーバにおいて所望の相手の求める形式に編集した後に、相手に電子メールで送信してもよいし、相手が閲覧可能なWebページに掲載して、相手がパソコンなどに搭載されたブラウザを用いて該Webページを閲覧する形式をとってもよいし、該Webページからダウンロードする形式をとってもよい。この場合も、送信、編集、掲載の各処理を自動化することで迅速に行えるため、測定に関する情報を、即座に正確に所望の相手に伝達することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のとおり、本発明によれば、持ち運びが可能なガス濃度測定システムにおいて、測定場所、測定時における風向風速、測定担当者の氏名、測定担当者の属性、測定条件、検知剤の種類および検知するガスの種類、検知部材の使用期限のうち、一部又は全部についての情報を自ら取得する手段と、取得した前記情報を送信可能な電子データ化する手段と、前記電子データを送信する通信手段とを備え、前記情報に温度、湿度、測定日時および測定期間、測定値のうちの一部または全部を加えた情報を自ら取得する手段と、取得した該情報を送信可能な電子データ化する手段と、前記電子データを送信する送信手段とを備えることによって、
ある場所におけるガス濃度の測定を行った時点において、該測定についての、測定場所、測定日時および測定期間、測定時における温度、湿度、風向風速といった測定環境情報、測定担当者の氏名、測定担当者の所属および資格といった属性、検知剤の種類および検知するガスの種類、検知部材の使用期限、前処理等の測定条件、または、測定値等の情報を、即座に正確に測定依頼者等の所望の相手に伝達することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態を示すブロック図であり、測定時における測定場所についての情報を自ら取得する手段としての全地球測位システムの受信機と、測定時における風向風速についての情報を自ら取得する手段としての風向風速計とを、ガス濃度測定システムの本体に接続した場合である。
【0023】
同図において、ガス濃度測定システムの本体1は、持ち運びが可能な装置構成とされ、測定開始指示によりスイッチ類104の示す測定条件のもと、制御記憶部103がガス測定部101に測定開始を指示する。測定開始指示は、スイッチ類104を測定者が操作して行ってもよいし、例えば、ガス濃度測定システムの外部からネットワークを介して行ってもよい。制御記憶部103は、スイッチ類104の示す測定条件についての情報を取得する手段として、測定条件を変化させるスイッチ類104の状態を常時把握し、且つ、測定時におけるスイッチ類104の状態を電子的に記憶する手段を有する。
【0024】
ガス測定部101は測定値についての情報を制御記憶部103に送る。表示部102は、必要に応じて、スイッチ類104の示す測定条件およびガス測定部101が制御記憶部103に送る測定値についての情報の一部あるいは全部を表示する。
【0025】
本実施形態では、測定時における測定場所についての情報を自ら取得する手段として、全地球測位システムの受信機2と、測定時における風向風速についての情報を自ら取得する手段として風向風速計3とが、ガス濃度測定システムの本体1に接続されている。全地球測位システムの受信機2と風向風速計3とは、測定時における測定場所と風向風速とについての情報を、電子データ化手段105に送る。全地球測位システムの受信機2および風向風速計3と、ガス濃度測定システムの本体1との接続は、測定時における測定場所と風向風速とについての情報を送ることが可能な接続形態であればよく、有線か無線かは問わない。
【0026】
電子データ化手段105は、制御記憶部103を介して送られるスイッチ類104の示す測定条件およびガス測定部101の示す測定値についての情報と、全地球測位システムの受信機2と風向風速計3とが送る測定時における測定場所と風向風速とについての情報とを、各々、あるいは統合して、送信可能な電子データにする。
【0027】
電子データ化された測定についての情報は、送信手段106によって、逐一、あるいは、所定の時間に、ガス濃度測定システムの外部に送信する。送信手段106を電子メールの送信手段とし、送信の宛先を所望の相手の電子メールアドレスとすることによって、電子データ化された測定についての情報を、直接、即座に正確に測定依頼者等の所望の相手に伝達する。または、送信手段106を、電子データ化された測定についての情報を所定のサーバへ送信する送信手段とし、該サーバにおいて所望の相手の求める形式に編集した後に、相手に電子メールにて送信することにより、測定についての情報を、直接、即座に正確に測定依頼者等の所望の相手に伝達する。または、送信手段106を、電子データ化された測定についての情報を所定のサーバへ送信する送信手段とし、該サーバにおいて、相手が閲覧可能なWebページに掲載して、相手がパソコンなどに搭載されたブラウザを用いて該Webページを即座に閲覧することにより、または該Webページから即座にダウンロードすることにより、測定についての情報を、即座に正確に測定依頼者等の所望の相手に伝達する。
【0028】
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態を示すブロック図であり、図1と同等のものは同一符号で示す。本実施形態では、測定担当者のID情報が予め記録された磁気記録カードのID情報を読み取る磁気記録カードリーダと、測定担当者データベースと、照合装置とを、ガス濃度測定システムの本体に接続した場合である。
【0029】
本実施形態において、測定者や測定責任者といった測定担当者5のID情報は、磁気記録媒体である磁気記録カード401に予め記録されており、磁気記録カード401の読み取り装置である磁気記録カードリーダ402によって、測定担当者5のID情報を読み取ることが出来る。読み取ったID情報は、照合装置403によって、測定担当者データベース404に格納された測定担当者5の氏名および属性を示すデータと照合される。
【0030】
本実施形態では、照合装置403は、ガス濃度測定システムの本体1に有線あるいは無線で接続されており、測定担当者5の氏名および属性の一方または両方についての情報を、電子データ化手段105に送る。電子データ化手段105は、制御記憶部103を介して送られるスイッチ類104の示す測定条件およびガス測定部101の示す測定値についての情報と、測定担当者5の氏名および属性の一方または両方についての情報とを、各々、あるいは統合して、送信可能な電子データにする。
【0031】
本実施形態では、測定担当者5のID情報は磁気記録媒体である磁気記録カード401に予め記録されていることとしたが、バーコード、ICカード、あるいはICタグであってもよい。一般に、磁気記録カードよりも記録容量の大きいICカードあるいはICタグの場合、本実施形態とは異なり、ICカードあるいはICタグ自体が測定担当者の氏名および属性を記録していてもよく、その場合、照合装置および測定担当者データベースは必ずしも必要ない。あるいは、本実施形態とは異なり、測定担当者の指紋などの身体的特徴を読み取って該測定担当者の氏名や属性を認証する生体認証装置が、ガス濃度測定システムの本体1に内蔵あるいは接続されるという形態をとっても、測定担当者の氏名および属性の一方または両方についての情報を取得するという目的は達せられる。
【0032】
(実施形態3)
図3は、本発明の実施形態を示すブロック図であり、図1または図2と同等のものは同一符号で示す。本実施形態では、ガス測定部は検知管を備え、検知管に当該検知管の製品情報を記録したICタグが貼付され、ICタグリーダによって、ICタグに記録された製品情報を自動的に読み取り、検知管認識手段において、検知剤の種類、ガスの種類、または検知部材の使用期限を認識する。さらに、色読み取り手段によって、検知剤の示した色を自動的に読み取り、測定値導出手段によって、測定されたガスの濃度の測定値を導出する場合である。
【0033】
本実施形態において、ガス測定部101は、検知部材として検知管1011を備えている。検知管1011の種類は、測定対象となるガスの種類や想定される濃度範囲等によって異なるものを選択する。検知管1011自体には、検知管1011の製品情報を記録した記録媒体としてICタグ1012が貼付されている。製品情報が記録されている記録媒体は、バーコード、磁性記録媒体、あるいはICカードでもよい。製品情報としては、検知部材である検知管の種類、測定対象であるガスの種類、使用濃度範囲、製造年月日、使用期限などの情報が記されている。
【0034】
本実施形態においては、ガス濃度測定システムの本体1に内蔵されたICタグリーダ107によって、測定に先んじて、ICタグ1012に記録された製品情報を自動的に読み取り、検知管認識手段108において、検知剤の種類、ガスの種類、検知部材の使用期限を認識する。ICタグ1012に記録された製品情報が製品番号のみであるような場合など、検知管認識手段108は、該製品番号をもとに、検知管データベース109に格納された検知管1011のデータを検索することによって、検知剤の種類、ガスの種類など必要な検知管1011の情報を得ることも可能である。
【0035】
また、本実施形態には記載していないが、検知管1101の使用期限が当該測定日を過ぎている場合は、その旨を制御記憶部103に伝え、表示部102に表示させたり、警告音を生じせしめたり、ガス測定部101の測定動作を停止せしめたりすることによって、測定担当者に知らせることもできる。
【0036】
検知管1011の情報は、検知管認識手段108から測定値導出手段1015に送られる。一方、検知管1011は、検知剤1013を含んでおり、測定が開始され終了すると、検知剤1013は測定対象であるガスの濃度に応じた色を発する。検知剤1013の発した色は、色読み取り手段1014によって、測定終了後に自動的に読み取られる。色読み取り手段としては、例えば、前記の特許文献1(特開2003−270236号公報)に記載の、RGBのカラーセンサー、カラーセンサー制御、ADコンバーターなどを用いた手段がある。
【0037】
色読み取り手段1014によって読み取られた色の情報は、測定値導出手段1015に送られる。測定値導出手段1015は、検知管認識手段108から送られた検知管1011の情報から、検知剤の種類についての情報を得て、該種類の検知剤が測定対象となる様々な濃度のガスの検知によって示す様々な色について、ガスの濃度と色との対応関係を示す検知剤色テーブル110を参照する。測定値導出手段1015は、参照した検知剤色テーブル110と、色読み取り手段1014から送られた色の情報とを突き合わせることによって、測定対象であるガスの濃度の測定値を導出する。色読み取り手段1014は測定値についての情報を制御記憶部103に送る。
【0038】
(ガス濃度測定結果の情報伝達例)
図4は、以上までの実施形態において、測定についての情報が、直接、即座に正確に測定依頼者等の所望の相手に伝達された例として、結果報告書の形式をとった例である。この例においては、測定場所、測定時における風向風速、測定担当者の氏名、所属および資格、検知部材の製品情報、測定条件、および検知部材についての情報を、ガス濃度測定装置が取得し、前記情報に加えて、温度、湿度、測定日時、および測定値についての情報を、ガス濃度測定装置が取得し、取得した両者の情報を合わせた情報を送信可能な電子データ化し、該電子データを自社の所定のサーバに送信し、送信された該電子データに含まれる測定についての情報について、前記所定のサーバにおいて所望の相手の求めに応じた結果報告書の形式になるように編集を加え、該結果報告書を、電子メールにて、即座に正確に所望の相手に伝達する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態1を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態2を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態3を示すブロック図。
【図4】実施形態において、結果報告書の形式で測定情報が測定依頼者に伝達された例。
【符号の説明】
【0040】
1 ガス濃度測定システムの本体
101 ガス測定部
1011 検知管
1012 ICタグ
1013 検知剤
1014 色読み取り手段
1015 測定値導出手段
102 表示部
103 制御記憶部
104 スイッチ類
105 電子データ化手段
106 送信手段
107 ICタグリーダ
108 検知管認識手段
109 検知管データベース
110 検知剤色テーブル
2 全地球測位システム
3 風向風速計
401 磁気記録カード
402 磁気記録カードリーダ
403 照合装置
404 測定担当者データベース
5 測定担当者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち運びが可能なガス濃度測定システムであって、
ある場所におけるガス濃度の測定を行った時点において、該測定についての、測定場所、測定時における風向風速、測定担当者の氏名、測定担当者の属性、前処理等の測定条件、検知剤の種類および検知するガスの種類、検知部材の使用期限のうち、一部又は全部についての情報を自ら取得する手段と、
取得した前記情報を送信可能な電子データ化する手段と、
前記電子データを送信する送信手段と、
を有することを特徴とするガス濃度測定システム。
【請求項2】
請求項1において、情報を自ら取得する手段として、
測定場所についての情報取得に、全地球測位システムの受信機が内蔵あるいは外部接続される構成、
測定時における風向風速についての情報取得に、風向風速計が内蔵あるいは外部接続される構成、
測定担当者の氏名および属性の一方または両方についての情報取得に、前記測定担当者の身体的特徴を読み取って該測定担当者の氏名および属性を認証する生体認証装置が内蔵あるいは外部接続される構成、
測定担当者の氏名および属性の一方または両方についての情報取得に、前記測定担当者のID情報を含むバーコード、磁性記録媒体、ICカード、あるいはICタグの読み取り装置と、前記ID情報と測定担当者の氏名および属性とを照合する照合装置とが、内蔵あるいは外部接続される構成、
測定条件についての情報取得に、該測定条件を変化せしめるスイッチ類の状態を常時把握し、且つ、測定時における前記スイッチ類の状態を電子的に記憶する手段とする構成、
の少なくとも1つを有することを特徴とするガス濃度測定システム。
【請求項3】
請求項1において、検知剤の種類およびガスの種類についての情報を自ら取得する手段として、前記検知部材の製品情報を読み取って該検知剤の種類および前記ガスの種類を認識する手段が内蔵あるいは外部接続される構成を特徴とするガス濃度測定システム。
【請求項4】
請求項3において、検知部材の使用期限についての情報を自ら取得する手段として、前記検知部材の製品情報を読み取って該検知部材の使用期限を認識する手段が内蔵あるいは外部接続される構成を特徴とするガス濃度測定システム。
【請求項5】
請求項3または4において、前記検知部材の製品情報は記録媒体に記録されており、該記録媒体に記録された製品情報を読み取ることで前記検知部材の種類および前記ガスの種類を認識する手段が内蔵あるいは外部接続される構成を特徴とするガス濃度測定システム。
【請求項6】
請求項5において、検知部材の製品情報が記録されている記録媒体は、バーコード、磁性記録媒体、ICカード、あるいはICタグである構成を特徴とするガス濃度測定システム。
【請求項7】
請求項4〜6において、検知部材は、ガスセンサ、検知管、または試験紙である構成を特徴とするガス濃度測定システム。
【請求項8】
請求項1において、前記情報に、温度、湿度、測定日時および測定期間、測定値のうちの一部または全部を加えた情報を自ら取得する手段と、取得した該情報を送信可能な電子データ化する手段と、前記電子データを送信する送信手段とを有することを特徴とするガス濃度測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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