説明

ガス発生剤組成物

【課題】燃焼速度やガス発生効率を損なうことなく、発生ガス1モル当たりの発熱量を低下させることができ、燃焼時に発生するミスト量や有害ガス濃度にも問題がない、車両エアバッグ装置用インフレータ等に使用できるガス発生剤組成物を提供する。
【解決手段】燃料及び酸化剤を含有するガス発生剤組成物であって、酸化剤が塩基性炭酸銅を含有し、ガス発生剤組成物中における塩基性炭酸銅の含有量が40質量%を超え60質量%以下であり、下記の(a)〜(c)の要件を満たすガス発生剤組成物。(a)燃焼速度が7.0mm/秒以上(b)ガス発生効率が2.30mol/100g以上(c)発生ガス1モル当たりの発熱量が100kJ/mol以下

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両エアバッグ装置用インフレータ等に使用できるガス発生剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、要望が高まっている車両エアバッグ装置用インフレータの小型化や軽量化を実現するためには、ガス発生剤の燃焼温度を低下させる必要がある。しかし、それによって燃焼速度が遅くなったり、発生ガス量が低下したりする場合がある。それを改善するために、インフレータに充填するガス発生剤を増量する方法が考えられるが、本来の目的であるインフレータの小型化や軽量化を実現することができないという問題が生じる。このような問題を解決するには、「発生ガス1モル当たりの発熱量」を指標とすることが望ましい。通常、発生ガス1モル当たりの発熱量は約100kJ/mol以下を実現しつつ、適正な燃焼速度やガス発生効率を実現することが望ましい。
【0003】
特許文献1には、含酸素酸化剤として、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガン、塩基性硝酸鉄、塩基性硝酸モリブデン、塩基性硝酸ビスマス及び塩基性硝酸セリウムから選ばれる塩基性金属硝酸塩が記載されており、水酸化アルミニウムを添加することにより発熱量を抑えることができる旨が記載されている。
【0004】
特許文献2には、酸化剤として、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガン、塩基性硝酸鉄、塩基性硝酸モリブデン、塩基性硝酸ビスマス及び塩基性硝酸セリウムから選ばれる塩基性金属硝酸塩を使用できることが記載されている。
【0005】
特許文献3には、金属硝酸塩、硝酸アンモニウム、金属過塩素酸塩、過塩素酸アンモニウム、金属亜硝酸塩、金属塩素酸塩、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガンから選ばれる含酸素酸化剤が記載されている。
【0006】
特許文献4には、塩基性炭酸銅の含有量が20重量%を超え、40重量%以下であるガス発生剤組成物が記載されているが、実施例における塩基性炭酸銅の含有量は22.0重量%のみであるから、塩基性炭酸銅の含有量が30重量%以上の場合の効果は確認できていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−155645号公報
【特許文献2】特開2001−220282号公報
【特許文献3】特許第3907548号公報
【特許文献4】特開2006−76849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した従来技術では十分に解決されていない、燃焼速度やガス発生効率を損なうことなく、発生ガス1モル当たりの発熱量を低下させることができ、燃焼時に発生するミスト量や有害ガス濃度にも問題がない、車両エアバッグ装置用インフレータ等に使用できるガス発生剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、課題の解決手段として、下記の各発明を提供する。
1.燃料及び酸化剤を含有するガス発生剤組成物であって、酸化剤が塩基性炭酸銅を含有し、ガス発生剤組成物中における塩基性炭酸銅の含有量が40質量%を超え60質量%以下であり、下記の(a)〜(c)の要件を満たすガス発生剤組成物。
(a)燃焼速度が7.0mm/秒以上
(b)ガス発生効率が2.30mol/100g以上
(c)発生ガス1モル当たりの発熱量が100kJ/mol以下
2.前記塩基性炭酸銅の含有量が42〜60質量%である請求項1記載のガス発生剤組成物。
3.酸化剤が、塩基性炭酸銅と、塩基性金属硝酸塩及び/又は硝酸塩の組み合わせであり、酸化剤の合計含有量が50〜80質量%である請求項1又は2記載のガス発生剤組成物。
4.酸化剤が、塩基性炭酸銅、塩基性硝酸銅及び/又は硝酸ストロンチウムの組み合わせであり、酸化剤の合計含有量が50〜80質量%である請求項1又は2記載のガス発生剤組成物。
5.更にバインダとしてカルボキシメチルセルロース塩を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載のガス発生剤組成物。
6.更に水酸化アルミニウムを含有する請求項1〜5のいずれか1項記載のガス発生剤組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガス発生剤組成物は、所定範囲量の塩基性炭酸銅を利用することにより、燃焼速度やガス発生効率を損なうことなく、発生ガス1モル当たりの発熱量を低下することができ、燃焼時に発生するミスト量や有害ガス濃度にも問題がないため、車両エアバッグ装置用インフレータ等に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<燃料>
本発明で用いる燃料は、ガス発生剤組成物の燃料として公知ものを用いることができ、例えば、グアニジン類、テトラゾール類、トリアジン類、プリン類、又はアミノ酸誘導体から選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0012】
グアニジン類は、硝酸グアニジン、ニトログアニジン、グアニル尿素ジニトラミド等が好ましい。テトラゾール類は、5−アミノテトラゾール、ビテトラゾールジアンモニウム塩等が好ましい。トリアジン類は、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミン硝酸塩、メラミン過塩素酸塩、トリヒドラジノトリアジン、メラミンのニトロ化合物等が好ましい。プリン類は、8−アザグアニン等が好ましい。アミノ酸誘導体は、グリシン等が好ましい。
【0013】
本発明で用いる燃料は、必要に応じて、2種類以上の混合物とすることもできる。2種類以上のグアニジン類の混合物又はグアニジン類とその他の種類の混合物が好ましい。例えば、硝酸グアニジン単独の場合、発熱量は比較的低くできるが燃焼速度や着火性に問題がある。一方、ニトログアニジン単独の場合、燃焼速度や着火性に問題はないがガス発生効率が比較的低いという問題がある。これらの問題点に対し、硝酸グアニジンとニトログアニジンを混合することにより、両者の利点を生かしつつ欠点が克服された燃料を得ることができる。
【0014】
本発明で用いる燃料の含有量は、ガス発生剤組成物中20〜60質量%が好ましく、25〜55質量%がより好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。
【0015】
<酸化剤>
本発明で用いる酸化剤は、塩基性炭酸銅を含有する。塩基性炭酸銅の含有量は、ガス発生剤組成物中40質量%を超え且つ60質量%以下であり、好ましくは42〜60質量%である。40質量%以下の場合、発熱量を低下させる効果が不十分であり、60質量%を超える場合、着火性が損なわれる。
【0016】
塩基性炭酸銅の平均粒子径は、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。平均粒子径が大きい場合、燃焼速度が遅くなり、また、着火性が悪化する。平均粒子径は、レーザー散乱光による粒度分布法により測定した。測定はNeede+Northrop Company製のMICROTRAC,Model No.9320-X100粒度測定器を用いて、サンプルをイオン交換水に分散させた後、50ワットの超音波を60秒で照射して測定に用い、粒子体積の50%累積値を求め、2回の測定による平均値を平均粒子径とした。
【0017】
酸化剤は、更に酸化剤として公知ものを含有することができ、硝酸塩、塩基性金属硝酸塩、硝酸アンモニウム、金属過塩素酸塩、過塩素酸アンモニウム、金属亜硝酸塩、金属塩素酸塩等から選ばれる1種類以上の酸化剤を含有することができる。
【0018】
塩基性金属硝酸塩としては、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガン、塩基性硝酸鉄、塩基性硝酸モリブデン、塩基性硝酸ビスマス、塩基性硝酸セリウム等から選ばれる1種類以上が挙げられ、塩基性硝酸銅が好ましい。
【0019】
硝酸塩としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム等のアルカリ類金属硝酸塩や硝酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属硝酸塩等から選ばれる1種類以上が挙げられ、硝酸ストロンチウムが好ましい。
【0020】
本発明で用いる酸化剤の合計含有量は、ガス発生剤組成物中50〜80質量%が好ましく、50〜75質量%がより好ましく、50〜70質量%が更に好ましい。
【0021】
<バインダ>
本発明のガス発生剤組成物は、必要に応じて、ガス発生剤組成物のバインダとして公知のものを含有することができる。例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa)、カルボキシメチルセルロースカリウム塩(CMCK)、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩(CMCNH4)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート(CAB)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、微結晶性セルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドのアミノ化物、ポリアクリルヒドラジド、アクリルアミド・アクリル酸金属塩共重合体、ポリアクリルアミド・ポリアクリル酸エステル化合物の共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリルゴム、グアガム、デンプン、シリコーンから選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0022】
バインダとしては、水溶性バインダである水溶性セルロース誘導体(CMC、CMCNa、CMCK、CMCNH4、MC、EC、HEC、EHEC、HPC、CMEC)、微結晶性セルロース、PVA、グアガム、デンプンが好ましい。中でも水溶性セルロース誘導体が好ましく、CMC、CMCNa、CMCK、CMCNH4がより好ましく、CMCNaが更に好ましい。
【0023】
本発明で用いるバインダの含有量は、燃料と酸化剤の合計100質量部に対して0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜15質量部が更に好ましい。
【0024】
<添加剤>
本発明のガス発生剤組成物は、必要に応じて、燃焼触媒、吸熱剤、スラグ形成剤、滑剤等、ガス発生剤組成物の添加剤として公知のものを含有することができる。公知の添加剤としては、酸化銅、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化ビスマス、シリカ、アルミナを含む金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化コバルト、水酸化鉄、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;炭酸コバルト、炭酸カルシウム、塩基性炭酸亜鉛を含む金属炭酸塩又は塩基性金属炭酸塩;酸性白土、カオリン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、ヒドロタルサイトを含む金属酸化物又は水酸化物の複合化合物;リン酸二水素アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、ケイ酸ナトリウム、マイカモリブデン酸塩、モリブデン酸コバルト、モリブデン酸アンモニウム等の金属酸塩、シリコーン、二硫化モリブデン、ステアリン酸カルシウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ホウ酸、メタホウ酸、無水ホウ酸等を挙げることができる。
【0025】
本発明で用いる添加剤の含有量は、本発明の効果である発熱量、ガス発生効率、燃焼速度に大きな影響を及ぼさない程度であればよく、燃料と酸化剤の合計100質量部に対して0.5〜30質量部が好ましく、1〜25質量部がより好ましく、2〜20質量部が更に好ましい。
【0026】
本発明のガス発生剤組成物は、下記の(a)〜(c)の要件を全て満たすものであり、好ましくは更に要件(d)を満たすものである。
(a)燃焼速度が7.0mm/秒以上、好ましくは7.4mm/秒以上
(b)ガス発生効率が2.30mol/100g以上、好ましくは2.37mol/100g以上
(c)発生ガス1モル当たりの発熱量が100kJ/mol以下、好ましくは90kJ/mol以下
(d)燃焼温度が好ましくは2000K以下、より好ましくは1800K以下。
【0027】
本発明の組成物は、所望の形状に成型することができ、円柱状、単孔円柱状、多孔円柱状又はペレット状の成型体にすることができる。
【0028】
これらの成型体は、組成物に水又は有機溶媒を添加混合し、押出成型する方法(円柱状、単孔円柱状、多孔円柱状の成型体)又は打錠機等を用いて圧縮成型する方法(ペレット状の成型体)により製造することができる。
【実施例】
【0029】
<燃焼速度の測定>
〔測定用ストランドの作成方法〕
ガス発生剤組成物の各成分を、表1に示す割合で十分に混合した後、30gを秤量した。それに水6gを加え、帯電防止ビニル袋中で5分以上混合した後、得られた塊を細かい小片にし、110℃で2時間乾燥した後、乳鉢で粉砕して粉末を得た。この粉末1.7〜2.2gを金型に仕込み、油圧ポンプにより約220MPa(2250kgf/cm)の圧力を掛け、5秒間保持した後、円柱状のストランド(外径9.55mm、長さ12.70mm)を得た。
【0030】
〔測定方法〕
上記で得られた測定用ストランドを、110℃で16時間放置して水分を除去した後、端面のみから着火燃焼するように、側面及び片面にエポキシ樹脂製接着剤「ボンドクイック30」を2回塗布した。それをSUS製密閉ボンブ(内容積1L)内に設置し、ボンブ内を窒素置換しながら、7MPaまで加圧した。ボンブ内圧力が安定した後、測定用ストランド端面に接触させたニクロム線に電圧12Vを印加し、その溶断エネルギーにより着火・燃焼させた。燃焼前の測定用ストランドの長さを、燃焼開始から圧力上昇ピークまでの経過時間で除して算出した値を燃焼速度とした。
【0031】
〔ガス発生効率、発生ガス1モル当たりの発熱量、燃焼温度の算出〕
ガス発生効率、発生ガス1モル当たりの発熱量、及び燃焼温度は、熱化学平衡計算プログラム「NEWPEP」によるシミュレーションにより算出した。
【0032】
〔摩擦感度及び落槌感度の測定方法〕
ガス発生剤組成物を構成する各粉末原料につき、ガス発生剤組成物の質量が1gとなるように秤量し、十分に混合した。得られた粉末のサンプルにつき、日本工業規格(JIS)K4810−1979の火薬類性能試験法に基づき、摩擦感度及び落槌感度を測定した。
【0033】
〔分解温度の測定法〕
摩擦感度及び落槌感度の測定方法と同じガス発生剤組成物を使用し、熱天秤(セイコーエプソン社製TGDTA6300)用いて熱質量測定(Thermogravimetry)を行い、質量減少を開始する温度を分解温度とした。
【0034】
〔排気ガス濃度の測定方法〕
上記と同様の方法で得られた測定用ストランド(外径9.55mm、質量2.00g)を、110℃で16時間放置して水分を除去した後、SUS製密閉ボンブ(内容積1L)内に設置し、ボンブ内を窒素置換しながら、7MPaまで加圧した。ボンブ内圧力が安定した後、測定用ストランド端面に接触させたニクロム線に所定の電流を流し、その溶断エネルギーにより着火・燃焼させた。60秒間経過後、発生した排気ガスを採取し、ガス探知器(ガステック社製GV−100S)と気体検知管(ガステック社製No.10:NO用、No.3L及び3M:NH検知用、No.1L:CO用)により、ガス濃度を測定した。
【0035】
実施例及び比較例
表1に示す各組成物について、表1に示す各測定をした。
【0036】
【表1】

【0037】
GN:硝酸グアニジン
NQ:ニトログアニジン
GUDN:グアニル尿素ジニトラミド
Mel:メラミン
MC:メラミンシアヌレート
BCC:塩基性炭酸銅(平均粒子径 約1μm)
BCN:塩基性硝酸銅
SrN:硝酸ストロンチウム
CMCNa:カルボキシメチルセルロースナトリウム塩
Al(OH):水酸化アルミニウム
【0038】
実施例1〜23はいずれも、吸熱効果の大きい塩基性炭酸銅を多量に(40質量%を超え、60質量%以下)使用しているにも拘わらず、実用的な燃焼速度(7.0mm/秒以上)及びガス発生効率(2.30mol/100g以上)を損なうことなく、発生ガス1モル当たりの発熱量が十分に抑制(100kJ/mol以下)されていることが認められる。これに対して、比較例1〜8はいずれも、ガス発生効率又は燃焼速度のいずれかが不十分であり、実用性に問題があると考えられる。
表2に示す各組成物について、表2に示す各測定をした。
【0039】
【表2】

【0040】
表2より、摩擦感度はJIS等級で最も安全な7級または十分に安全な取扱いができる6級である。また、落槌感度はJIS等級で最も安全な8級である。更に、分解開始温度は150℃以上であり、インフレータ製造時の溶接にも耐えることができる分解開始温度領域である。以上より、いずれも危険性が低く、安全に製造することができ、実用性を有していることが認められる。
【0041】
表3に示す各組成物について、表3に示す各測定をした。
【0042】
【表3】

【0043】
表3より、有害ガスであるNO、NH及びCOの排気ガス濃度には問題がないことが認められる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のガス発生剤組成物又はそれから得られる成型体は、例えば、各種乗り物の運転席のエアバック用インフレータ、助手席のエアバック用インフレータ、サイドエアバック用インフレータ、インフレータブルカーテン用インフレータ、ニーボルスター用インフレータ、インフレータブルシートベルト用インフレータ、チューブラーシステム用インフレータ、プリテンショナー用ガス発生器に適用できる。
【0045】
また本発明のガス発生剤組成物又はそれから得られる成型体を使用するインフレータは、ガス供給源が、ガス発生剤のみであるパイロタイプと、アルゴン等の圧縮ガスとガス発生剤の両方であるハイブリッドタイプのいずれでもよい。
【0046】
更に本発明のガス発生剤組成物又はそれから得られる成型体は、雷管やスクイブのエネルギーをガス発生剤に伝えるためのエンハンサ剤又はブースター等と呼ばれる着火剤として用いることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料及び酸化剤を含有するガス発生剤組成物であって、酸化剤が塩基性炭酸銅を含有し、ガス発生剤組成物中における塩基性炭酸銅の含有量が40質量%を超え60質量%以下であり、下記の(a)〜(c)の要件を満たすガス発生剤組成物。
(a)燃焼速度が7.0mm/秒以上
(b)ガス発生効率が2.30mol/100g以上
(c)発生ガス1モル当たりの発熱量が100kJ/mol以下
【請求項2】
前記塩基性炭酸銅の含有量が42〜60質量%である請求項1記載のガス発生剤組成物。
【請求項3】
酸化剤が、塩基性炭酸銅と、塩基性金属硝酸塩及び/又は硝酸塩の組み合わせであり、酸化剤の合計含有量が50〜80質量%である請求項1又は2記載のガス発生剤組成物。
【請求項4】
酸化剤が、塩基性炭酸銅、塩基性硝酸銅及び/又は硝酸ストロンチウムの組み合わせであり、酸化剤の合計含有量が50〜80質量%である請求項1又は2記載のガス発生剤組成物。
【請求項5】
更にバインダとしてカルボキシメチルセルロース塩を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載のガス発生剤組成物。
【請求項6】
更に水酸化アルミニウムを含有する請求項1〜5のいずれか1項記載のガス発生剤組成物。

【公開番号】特開2010−269969(P2010−269969A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122918(P2009−122918)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】