説明

ガス遮断器

【課題】 ガスを圧力封入したタンクの中に消弧室を収納してタンクの外に配置した操作装置で消弧室を操作するので、操作装置と消弧室とを連結する操作軸が長くなり絶縁ロッドが大きくなることと、消弧室にはパッファ部とノズルが必要になるため構造が複雑且つ質量が大きくなることで、操作装置の操作力が大きくなるという課題がある。
【解決手段】 ガスで操作する操作装置をタンク内に収納してピストン8の片方に消弧室可動部5を締結して操作軸を無くし、他方に絶縁ロッド28を締結して緩衝力を掛けることで小さくすることと、動作の途中で操作力を下げて緩衝力も下げることによりさらに小さくする。さらに動作時にガス操作装置の開放操作ガスをアークに吹付けすることでパッファ部及びノズルを無くし簡素軽量化した消弧室可動部5にする。これら動作質量を小さくすることにより操作装置の操作力を小さくした遮断器とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ガスを圧力封入している容器に消弧室遮断部を収納したガス遮断器に係り、特に変電所や開閉所などの高電圧仕様に好適な電力用遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年電力需要の増加に伴って電力用遮断器は高電圧大容量に対応する傾向が強くなっており、1000kVクラスの遮断器も開発競争に入っている。遮断器は高電圧になるほど消弧室可動部の動作距離が長くなるので操作力の大きい操作装置が必要になるため、操作装置の設計製作に苦慮している。従ってより小さい操作力で動作する遮断器の必要性にせまられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平06−050608号公報
【特許文献2】特公平07−066718号公報
【特許文献3】特開平06−196054号公報
【特許文献4】特開平10−223101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、及び特許文献2は、ガスを圧力封入したタンクの中に消弧室固定部と消弧室可動部とを収納しタンクの外に操作装置を配置するという構成を採用しているので、操作装置と消弧室可動部とを連結する操作軸が長くなるとともに操作力に見合う大きな絶縁ロッドが必要で、それら操作軸と絶縁ロッドの質量が大きくなるという課題がある。
また特許文献1にはパッファ型の消弧室であることが概略示され、特許文献2は消弧室構造が省略されているが、一般に遮断器の消弧室には特許文献3、特許文献4、或いはそれらに類似するパッファ型消弧室を採用しているので、消弧室可動部には消弧を行うガス流を得るためのパッファ部が必要であり、そのパッファ部が作り出すガス流は可動アーク接触子の外から固定アーク接触子の外への流れとなってややもするとアークの外をなでるような流れになるのでアークへの吹付け効果を高めるノズルが必要になるため、消弧室可動部の構造が複雑になり且つ質量も大きくなるという課題がある。
これら動作部の質量が大きくなることにより、操作力の大きい操作装置が必要になるという課題が生じている。
【0005】
本願発明はこれらの課題を解決するためになされたもので、操作軸を無くし、絶縁ロッドを小さくし、消弧室可動部のパッファ部及びノズルを無くすことで簡素軽量化して、これら動作部質量を減らすことにより小さい操作力で動作するガス操作装置を備えた遮断器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は絶縁ガスを圧力封入するタンク内に消弧室固定部と消弧室可動部を収納する遮断器において、タンク内ガス圧力より高いガス圧力で操作するガス操作装置をタンク内に収納し、そのガス操作装置のピストンの一方に消弧室可動部を締結し、ピストンの他方と緩衝器との間に絶縁ロッドを締結するという構成を採用している。
またガス操作装置の制御弁に複数の制御棒、複数の制御棒をまとめる二個の連結バー、二個の絶縁制御棒、さらに二対のリンクを連結し、リンク同士の連結部にはローラーを設け、絶縁ロッドには開放用のカムと投入用のカムを二個ずつ設け、それら制御部品の連携により制御弁を動作の途中で閉鎖することで、動作後半における操作ガスの不必要な流入を減少させるという手段を用いている。
さらにガス操作装置のピストン或いは消弧室可動部の中心軸にガス操作装置の開放操作室から消弧室可動部の中心軸中空に連通する穴を設け、遮断器の動作中に開放操作ガスがその穴を通ってアークに吹付けされアークを横断して消弧するという手段も用いている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明の遮断器によれば、絶縁ガスを圧力封入するタンク内に消弧室固定部と消弧室可動部を収納する遮断器において、タンク内ガス圧力より高いガス圧力で操作するガス操作装置をタンク内に収納して、ガス操作装置のピストンに消弧室可動部を締結することにより操作軸が無くなるので操作軸の質量が零になるという効果がある。
またピストンと緩衝器との間に絶縁ロッドを締結することにより、絶縁ロッドには操作力が掛からず緩衝力が掛かるので絶縁ロッドを小さくできるとともに、ガス操作装置の制御弁を遮断器動作の後半に復帰させることにより、その復帰中に操作ガスの流入量が減少するに伴って操作力が次第に下がるので緩衝力も下がるため、絶縁ロッドをさらに小さくすることができ質量も小さくなるという効果がある。
さらにガス操作装置の開放操作ガスが遮断器の動作中に開放操作室から消弧室中心軸中空に連通した穴を通ってアークに吹付けされるので、ガス流を作り出す必要が無いため消弧室可動部のパッファ部が不要になることと、ガス流が可動アーク接触子の内側から固定アーク接触子の外への流れとなることによりアークを横断するので遮断しやすくなるためガス流を制御するノズルが不要になることとにより、消弧室可動部を簡素化できるとともに質量を小さくできるという効果がある。
これらの動作部質量を小さくすることにより、操作力が小さい操作装置にすることができるので、小さい操作力で動作するガス遮断器になるという効果があり、動作時の振動が小さくなって遮断器の信頼性が向上するという効果も生じる。
【0008】
この他に、制御弁を遮断器動作の途中から閉鎖し始めるので、操作ガスの消費量を抑制できるという効果がある。
また遮断器の開放動作中に開放操作ガスをアークに連続して吹付けできることと、ガス流がアークを横断することとによりアークが遮断され易くなるという効果がある。
さらに遮断器動作中の操作ガスが部品のすき間からタンク内に少々漏れてもほとんど動作に影響しないため気密設計部分の数を減らすことができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による遮断器の投入状態を示す断面図で、制御部品は開放用を表す。
【図2】本発明による遮断器の開放状態を示す断面図で、図1とは異なる断面を表し、制御部品は投入用を表す。
【図3】本発明による遮断器の消弧室固定部及び消弧室可動部をピストンに締結した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下この発明の実施例について説明する。
図1はこの発明の第一の実施例を示す遮断器の投入状態における断面図、図2は同じく開放状態における断面図で図1とは異なる部分の断面図である。図3は図1、図2で採用している消弧室とピストンとを締結した断面図である。図1、図2は本来一つの図で表すべきであるが本発明における制御部品をひとつの図で表すと煩雑になるので、図1には開放用制御部品を表し、図2は投入用制御部品を表している。
【0011】
図1において、消弧室固定部4と消弧室可動部5及びガス操作装置をタンク1に収納し、蓋板2、29によって密封され、タンク内にはSF6ガスを圧力封入している。ガス操作装置の構成は、円筒のシリンダ9を消弧室可動部5の中心軸と同心で配置し、その中にシリンダ内周を摺動する円盤状のピストン8を設け、シリンダ9の上側は開放し中程にはピストン8の動作距離を確保した位置に投入操作ガスが通る穴及びガス放出弁15を有するシリンダ蓋10を設けて閉鎖し、その蓋とピストンとの間に投入操作室14が形成され、シリンダ9上側の外周に円筒の開放制御弁16をシリンダ9と同心で配置し、さらに開放制御弁16の外周を含むシリンダ9の外周には開放ガス導入路11及び投入ガス導入路12を設け、シリンダ9の上側から開放制御弁16の動作距離だけ離れた位置にシリンダ蓋板7をガス導入路11に締結し、開放制御弁16はこのシリンダ蓋板7に接して配置され、そのシリンダ蓋板7とピストン8との間には開放操作室13が形成され、開放制御弁16の下側には複数の開放制御棒18を開放制御弁16の中心軸と平行に締結し、複数の開放制御棒18は二個の開放制御棒連結バー20を介して二本の開放絶縁制御棒22に連結し、開放絶縁制御棒22にはそれぞれ長短一対のリンク32,33を連結し、リンク33は棒ピンで支持金具42に連結しており、リンク同士の連結部にはローラー34を備え、ローラー34の近くにはローラー34を蹴るための開放操作コイル38を配置し、ピストン8の下側には絶縁ロッド28を締結し、その絶縁ロッド28はシリンダ蓋10及び蓋板29を貫通してタンクの外に配置した緩衝器43に連結し、さらにその絶縁ロッド28にはリンク32,33を動作させるためそれらのリンクと対面する箇所にカム40を設けた構成としている。リンク32は遮断器動作中カム40に接触しないように曲がった形状にしている。消弧室可動部5はシリンダ蓋板7を貫通してピストン8に締結し、ピストン8に開放操作室から消弧室可動部5の中心軸中空に連通する穴を設けている。
【0012】
図示の構造において電流は、上側導体3から消弧室固定部4、消弧室可動部5、ピストン8、シリンダ9、ガス導入路11、12を経て下側導体24へと流れる。上側導体3は消弧室固定部4に固定され、消弧室固定部4は絶縁支持物6を介して操作装置の開放ガス導入路11に固定されガス導入路11,12は絶縁管25及び絶縁支持物27を介して下側の蓋板29に固定されている。蓋板29の下側の一部には、開放ガスタンク30を設けてタンク1内圧力より高い圧力でガスを封入しており、絶縁管25を通して開放ガス導入路11内にもガスが封入されている。この状態において、開放ガス導入路11内圧力は開放制御弁16を開放しようとする力となって開放制御棒18、開放制御棒連結バー20、開放絶縁制御棒22、さらにリンク32、33に伝達されているが、ローラー34の中心は、リンク32と開放絶縁制御棒22との連結部の中心及びリンク33の支持部の中心とを結ぶ仮想直線からわずか開放操作コイル38側にずれており、リンク32,33はその位置よりコイル側へずれない構造にしているので図1の状態を保っている。
【0013】
次に図1から始まる開放動作について説明する。この状態から遮断器を開放する時開放操作コイル38に電流を流すと開放操作コイル38はローラー34を蹴る、蹴られたローラー34の中心は前記仮想直線の絶縁ロッド28側へ移動する、ローラー34が絶縁ロッド28に接触するまで移動するときリンク同士の連結部が折れ曲がった状態になるがリンク33の支持点は動かないのでリンク32に連結された開放絶縁制御棒22、開放制御棒連結バー20、開放制御棒18及び開放制御弁16は下側へ移動し、開放制御弁16とシリンダ蓋板7との間にすき間が生じて開放ガス導入路11から開放操作室13へガスが流入する、ピストン8は流入したガスの圧力とタンク内圧力との差圧により下側へ押される、ピストン8に締結されている消弧室可動部5と絶縁ロッド28がピストン8とともに下へ移動する、移動する途中で絶縁ロッド28に設けたカム40がローラー34に接触しながらローラー34を動作前の状態に押し戻す、押し戻されるときローラー34に連結しているリンク32,33の作用により開放絶縁制御棒22、開放制御棒連結バー20、開放制御棒18及び開放制御弁16も押し戻されて動作前の状態に戻ると同時に開放ガス導入路11から開放操作室13へのガス流入が止まる、消弧室可動部5、ピストン8及び絶縁ロッド28は緩衝器43により下側へ移動した状態で止まって開放動作が終了し図2の状態となる。
【0014】
この動作の途中カム40がローラー34に接触する瞬間からローラー34を押し戻して開放制御弁16を閉鎖し始めることにより、開放操作室13へ流入するガス量が減少して操作力が下がるので、絶縁ロッド28と緩衝器43との間に掛かる緩衝力が下がる。
開放制御弁16が開放した時から動作が終了するまで、開放操作室13内に流入した開放操作ガスの一部はピストン8に設けた消弧室可動部に連通する穴を通って、消弧室可動部5と消弧室固定部4との間に発生するアークに吹付けされて消弧する。
投入操作室14内のガスは圧縮されて高い圧力になり動作の妨げになるため、ガス放出弁15でタンク内へ放出する。
カム40、ローラー34、リンク32,33及び開放絶縁制御棒22を二組設けているのは、カム40がローラー34に接触しながらローラー34を動作前の状態に押し戻す力が絶縁ロッド28を曲げようとする力になるため好ましくないので、カム40を絶縁ロッド28の中心軸に180°開いて二個設けることによりその曲げようとする力を打ち消すためである。
【0015】
次に図2について、図1と異なる部分を説明する。ガス操作装置の投入制御部品の構成は、シリンダ9のシリンダ蓋10から下へ延長された内周に円筒の投入制御弁17をシリンダ9と同心でシリンダ蓋10に接して配置し、シリンダ9には投入制御弁17が対面する箇所にガス導入路12から投入操作室14内にガスを通すための穴を必要数設け、投入制御弁17の下側には複数の投入制御棒19を投入制御弁19の中心軸と平行に締結し、複数の投入制御棒19は投入制御棒連結バー21を介して二本の投入絶縁制御棒23に連結し、投入絶縁制御棒23にはそれぞれ長短一対のリンク35,36を連結し、リンク36は棒ピンで支持金具42に連結しており、リンク同士の連結部にはローラー37を備え、ローラー37の近くにはローラー37を蹴るための投入操作コイル39を配置し、絶縁ロッド28にはリンク35,36を動作させるためそれらのリンクと対面する箇所にカム41を設けた構成としている。リンク36は動作中にカム41に接触しないように曲がった形状にしている。前記ガス導入路12は蓋29の下側の一部に設けた投入ガスタンク31に絶縁管26を介して締結している。
【0016】
図示の開放状態において、消弧室が開放しているので電流は流れない。遮断器投入ガス導入路12には投入ガスタンク31から絶縁管26を通じて適正なガス圧でガスが封入されており、そのガス圧は投入制御弁17を開放しようとする力となって投入制御棒19、投入制御棒連結バー21、投入絶縁制御棒23、さらにリンク35、36に伝達されているが、ローラー37の中心はリンク35と投入絶縁制御棒23との連結部及びリンク36の支持部とを結ぶ仮想直線からわずか投入操作コイル39側にずれており、リンク35,36はその位置よりコイル側へずれない構造になっているので図2の状態を保っている。
【0017】
次に図2から始まる投入動作について説明する。この状態から遮断器を投入する時投入操作コイル39に電流を流すと投入操作コイル39はローラー37を蹴る、蹴られたローラー37の中心は前記仮想直線の絶縁ロッド28側へ移動する、ローラー37が絶縁ロッド28に接触するまで移動するときリンク同士の連結部が折れ曲がった状態になるがリンク36の支持点は動かないのでリンク35に連結された投入絶縁制御棒23、投入制御棒連結バー21、投入制御棒19及び投入制御弁17は下側へ移動し、投入制御弁17とシリンダ蓋10との間にすき間が生じて投入ガス導入路12から投入操作室14へガスが流入する、ピストン8は流入したガスの圧力とタンク内圧力との差圧により上側へ押される、ピストン8に連結されている消弧室可動部5と絶縁ロッド28がピストン8とともに上へ移動する、移動する途中で絶縁ロッド28に設けたカム41がローラー37に接触しながらローラー37を動作前の状態に押し戻す、押し戻されるとき、ローラー37に連結しているリンク35,36の作用により投入絶縁制御棒23、投入制御棒連結バー21、投入制御棒19、及び投入制御弁17も押し戻されて動作前の状態に戻ると同時に投入ガス導入路12から投入操作室14へのガス流入が止まる、消弧室可動部5、ピストン8及び絶縁ロッド28は緩衝器43により上側へ移動した状態で止まり投入動作が終了して図1の状態となる。
【0018】
一般に投入動作時間は遮断動作時間に比べて長いので図2において投入操作ガス圧は開放操作ガス圧よりも低く設定しているため、前記投入動作の途中、カム41がローラー37に接触する瞬間からローラー37を押し戻して投入制御弁17を閉鎖し始めることにより投入操作室14内に流入するガスは減少すると共にピストン8が移動するにつれて投入操作室14の容積が増加するので投入操作室14内の圧力は下がってタンク内圧力とほとんど差が無い状態になって動作が終了する。
開放操作室13内のガスは、ピストン8に設けた穴を通じて動作とともに消弧室へ放出される。
カム41、ローラー37、リンク35、36及び投入絶縁制御棒23を二組設けているのは、図1で述べた理由と同様に、カム41がローラー37に接触しながらローラー37を動作前の状態に押し戻す力が絶縁ロッド28を曲げようとする力になるため好ましくないので、カム41を絶縁ロッド28の中心軸に180°開いて二個設けることによりその曲げようとする力を打ち消すためである。
【0019】
図1、図2においては、開放絶縁制御棒22が二本、投入絶縁制御棒23が二本、さらに絶縁ロッド28が蓋板29を貫通しており、これらの貫通部はガスを密封する必要があるので、ガス漏れの可能性がある。その貫通部の数を減らしてガス漏れの可能性を減らすために、図1、図2に示す蓋板29の密封貫通部は密封構造とせず、支持金具42の部分を蓋板29の一部として密封貫通部とすることにより、絶縁ロッド28の一本のみが密封貫通するという構成にすることもできる。
また、投入操作ガス圧は開放操作ガス圧より低く設定し、ガスタンク及びガス導入路を開放用と投入用に分けているが、圧力を同一にしてガスタンクとガス導入路をそれぞれ一つにする構成とし、投入動作の制御はシリンダに設けた投入操作ガスを通す穴の数及び投入制御弁17の開放面積で行うようにすることもできる。
【0020】
図3について説明する。図3は、図1、図2における消弧室固定部4及び消弧室可動部5にピストン8が連結された状態の拡大断面図であり、特許文献3及び特許文献4との比較のための図である。消弧室可動部5の構造にパッファ部及びノズルは無く、主接触子51とアーク接触子52及び通電するため厚めにした中心部が中空の通電ロッド53で構成されており、ピストン8に開放操作室13から通電ロッド53の中心部中空に連通する穴を設けている。図中の矢印は開放操作ガス圧力とタンク内圧力との差により開放操作ガスがピストン8に設けた穴を通って開放操作室から矢印の方向へ流れることを示しており、圧力差により自動的に操作ガスが消弧用ガス流となるのでパッファ部を持つ必要が無い。またガス流は消弧室固定部4と消弧室可動部5との間に発生するアークを横断するので、ノズルによるガス流の制御が無くとも消弧性能の良いガス流となる。本図においては開放操作室13から消弧室中心軸中空に連通する穴をピストンに設けているが、中心軸である通電ロッド53に設けても良い。
【0021】
以上の実施の形態である図1、図2によればタンク内ガスと同一ガスで操作するガス操作装置をタンク内に収納し、そのガス操作装置のピストン8に消弧室可動部5を締結するので、操作軸が無いため操作軸の質量は零になる。
絶縁ロッド28はピストン8と緩衝器との間に締結するので操作力が掛からず緩衝力が掛かるため小さくできることと、動作の途中でカムがローラーに接触する瞬間からローラーを押し戻して制御弁を閉鎖し始めることにより、操作室へ流入するガス量が減少して操作力が下がり、それに伴って絶縁ロッド28と緩衝器43との間に掛かる緩衝力も下がるので、絶縁ロッドをさらに小さくすることができる。
さらに遮断器の開放動作中にガス操作装置の開放操作ガスが消弧用ガスとしてアークに連続して吹付けされることと、その操作ガスがアークを横断することにより、アークが遮断されやすくなるので、消弧室のパッファ部とノズルとを不要にできるため、消弧室可動部が簡素化できるとともに質量を小さくすることができる。
これら動作部の質量を小さくすることができるので、ガス操作装置の操作力を小さくできるため、小さい操作力で動作する遮断器とすることができる。
【0022】
この他に、制御部品の連携により動作の途中でカムがローラーを押し戻して制御弁を復帰させるので、操作ガスの消費量を抑制できる。
また遮断器動作中の操作ガスが部品のすき間からタンク内に少々漏れてもほとんど動作に影響しないため気密設計部分の数を減らすことができる、などの効果もある。
【符号の説明】
【0023】
1.タンク
2.蓋板
3.上側導体
4.消弧室固定部
5.消弧室可動部
6.絶縁支持物
7.シリンダ蓋板
8.ピストン
9.シリンダ
10.シリンダ蓋
11.開放ガス導入路
12.投入ガス導入路
13.開放操作室
14.投入操作室
15.ガス放出弁
16.開放制御弁
17.投入制御弁
18.開放制御棒
19.投入制御棒
20.開放制御棒連結バー
21.投入制御棒連結バー
22.開放絶縁制御棒
23.投入絶縁制御棒
24.下側導体
25.絶縁管
26.絶縁管
27.絶縁支持物
28.絶縁ロッド
29.蓋板
30.開放ガスタンク
31.投入ガスタンク
32.リンク
33.リンク
34.ローラー
35.リンク
36.リンク
37.ローラー
38.開放操作コイル
39.投入操作コイル
40.カム
41.カム
42.支持金具
43.緩衝器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスを圧力封入するタンク内に、消弧室固定部と消弧室可動部とを収納する遮断器において、タンク内ガス圧力より高いガス圧力で操作するガス操作装置をタンク内に収納して、そのガス操作装置の構成は、円筒シリンダを消弧室可動部の中心軸と同心で配置し、シリンダの中には円盤状のピストンを配置し、シリンダの消弧室側は開放し他方はピストンの動作距離を確保した位置に投入操作ガスが通る穴とガス放出弁とを有する蓋で閉鎖し、その蓋とピストンとの間に投入操作室が形成され、シリンダ開放側の外周には円筒の開放制御弁をシリンダと同心で配置し、他方の内周には円筒の投入制御弁をシリンダと同心でシリンダを閉鎖している蓋に接して配置し、シリンダの投入制御弁と対面する位置に投入ガスが通る穴を必要数設け、開放制御弁外周を含むシリンダ外周には開放制御弁側に開放ガス導入路及び投入制御弁側に投入ガス導入路を設け、シリンダの開放側から開放制御弁の動作距離だけ離れた位置にシリンダ蓋板をガス導入路に締結し、この蓋板とピストンとの間には開放操作室が形成され、開放制御弁はその蓋板に接して配置され、開放制御弁及び投入制御弁には複数の制御棒を消弧室と反対側に制御弁の中心軸と平行に締結し、各複数の制御棒は各二本の絶縁制御棒と締結し、各二本の絶縁制御棒にはそれぞれ長短一対のリンクを連結し、リンク同士の連結部にはローラーを備え、ピストンの投入操作室側には絶縁ロッドを締結し、その絶縁ロッドはシリンダを閉鎖している蓋及びタンクを貫通してタンクの外に出ており、さらにその絶縁ロッドにはリンクと対面する箇所にカムを設けたものとする。ピストンの開放操作室側には消弧室可動部をガス導入路に締結した蓋板を貫通して締結し、ピストン或いは消弧室可動部の中心軸に開放操作室から消弧室可動部の中心軸中空に連通する穴を設け、ガス操作装置の開放操作ガスは、遮断器開放動作中にその穴を通ってアークに吹付けされることを特徴とするガス遮断器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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