説明

ガラスコート材、その製造方法および調理器

【課題】奥行きを感じさせる深みのあるマイカ調ないしメタリック調の光反射被覆構造を備え意匠性に優れた光彩効果を発揮するガラスコート材とその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のガラスコート材は、ベース基材1上に設けられた着色ガラス下地層2の表面に、主としてマイカ微粒子3aからなる多数の光反射部材31を分散させて配置し、その上を透明ガラス表層4で被覆したものである。ベース基材1の例はホーロー用鋼板11に密着成分であるニッケルを含む従来の黒色下釉層21を予め施したものである。前記透明ガラス表層4は、その焼付け温度は、前記着色ガラス下地層2の焼き付け温度より低温度であって、かつ800℃以下の温度でガラス層として低温焼付けされたものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属など下地材にガラス質表面層を設けたガラスコート材およびその製造方法、ならびに、そのガラスコート材を天板に用いた調理器に関するものであって、特に、高反射微粒子を散りばめたガラス質表面層を有するガラスコート材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メタリック調琺瑯製品として特許文献1〜3が提案されている。特許文献1記載の材料は、鉄板上に、下釉層、中間釉層、金属酸化物コーティングした粉末マイカを添加した透明メタリック釉層とを順次形成したものである。この製品は中間釉層を設けるため工数が増加して製造コストが増大するうえ、メタリック調の光彩効果が平板であって意匠性に乏しいというきらいがあった。
【0003】
特許文献2記載の材料は、下釉層と上釉層からなる琺瑯製品において、上釉層中に雲母層を含ませるものである。また、特許文献3の材料は、下釉層と上釉層からなる琺瑯製品において、マイカ粉末を上釉泥しょう中に不均質に混合させて雲母の溶け込みを抑制しようというものである。いずれにしても、釉薬中にマイカ粉末を混合、分散させているので、焼き付け中に釉薬中に溶け込むことを抑制しにくいことから、メタリック調の輝きが低減するという不具合もあって、得られるメタリック調の光彩効果も平板なものであった。
【特許文献1】特開平1−149975号公報(特公平6−53936号)
【特許文献2】特開平4−325438号公報(特許第3001018号)
【特許文献3】特開2001−342581公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、奥行きを感じさせる深みのあるマイカ調ないしメタリック調の光反射被覆構造を備え、マイカからなる光反射部材による輝きが観察者の位置によって変化するという意匠性に優れた光彩効果を発揮するガラスコート材とその製造方法を提供する。さらに、従来の琺瑯製品では得られなかった光彩効果を活かし意匠性に優れた天板を備えた調理器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題は、次の第1発明であるガラスコート材によって、解決することができる。
すなわち、第1発明のガラスコート材は、ベース基材上に設けた着色ガラス下地層の表面に、主としてマイカ微粒子からなる光反射部材を分散させて配置し、その上を透明ガラス表層で被覆したことを特徴とするものである。この本発明は、前記透明ガラス表層が、前記着色ガラス下地層を形成する着色釉の焼付け温度より低温度であって、800℃以下の焼き付け温度で透明ガラス表層として溶融形成されたものである形態に具体化される。
【0006】
また、本発明は、前記ベース基材がホーロー用鋼板にニッケルを含むホーロー下釉で被覆したものであり、前記着色ガラス下地層が黒色顔料と透明ガラスとを主体としてなる黒色ガラス下地層である形態にも具体化でき、また、前記ホーロー下釉が、前記黒色ガラス下地層を兼ねたものである形態も好ましい。
【0007】
さらに好ましい形態は、前記光反射部材が、平面部分の長径が50〜150μmの鱗片状粉末マイカ微粒子の単数または複数から形成されるとともに、その光反射部材が、前記着色ガラス下地層上に相互間に隙間を設けて点在した状態で分散され、着色ガラス下地層と透明ガラス表層の間に介在しているものである。
【0008】
また、上記の問題は、次の第2発明であるガラスコート材の製造方法によって、解決することができる。
すなわち、第2発明であるガラスコート材の製造方法は、第1発明のガラスコート材の製造方法であって、ベース基材上に、着色ガラス下地層を焼き付け形成し、次いで、主としてマイカ微粒子からなる光反射部材を分散させて配置し、その上に、透明ガラス表層を形成するための透明フリットを主体とするスリップを被覆し、前記着色ガラス下地層を焼き付け温度より低温度であって、800℃以下の温度で焼成して、前記着色ガラス下地層と透明ガラス表層との間に前記光反射部材を挟んで一体にしてベース基材上に焼き付けることを特徴とするものである。
【0009】
この第2発明では、前記透明ガラス表層を形成するための透明フリットを主体とするスリップが微粉粘土を含まない配合からなるものであるとするのが好ましく、また、平面部分の長径が50〜150μmの鱗片状マイカ微粒子とバインダを含む水性スリップをエアスプレーによって、予めを焼き付け形成した着色ガラス下地層の表面に、隙間を設け点在した状態で吹き付けて、その隙間から着色ガラス下地層の部分が目視可能な状態にマイカ微粒子を配置する形態が、特に好ましい。
【0010】
また、上記の問題は、次の第3発明である調理器によって、解決することができる。すなわち、第3発明である調理器は、第1発明のガラスコート材を、加熱手段を内蔵したキャビネットの天板として組み付けたことを特徴とするものであり、前記加熱手段がガスバーナであり、この天板にはガスバーナのためのバーナ穴を形成した形態に好ましく具体化される。
【発明の効果】
【0011】
本第1発明のガラスコート材は、ベース基材上に設けた着色ガラス下地層と、透明ガラス表層との間に主としてマイカ微粒子からなる光反射部材を分散させて配置して構成されているので、外界の光は、表面の透明ガラス表層から入射し、下地層からの反射光が背景色として観察されるとともに、入射光のある部分は、鱗片状マイカからなる光反射部材の表面からの反射光となり、マイカ調ないしメタリック調にきらきらと輝く光彩効果が観察され、かつ、これら反射光が透明ガラス表層を透過、屈折して観察されるため、それらが相乗的に作用して奥行きのある光彩効果を知覚させるという優れた光彩効果が得られる。
【0012】
本発明では、光反射部材は、平面部分の長径が50〜150μmの鱗片状粉末のマイカ微粒子からなり、黒色に着色したガラス下地層上に相互間に隙間を設けて点在した状態で設けられる場合には、黒色ガラス下地層の光吸収に基づく漆黒色の背景色とマイカ微粒子による光彩効果の組み合わせにより、その相乗効果が特に優れるという効果がある。また、光反射部材は、ベース基材上にそのマイカ平面を平行な向きから、ランダムな角度でやや傾斜して配置されるマイカからなる光反射部材の輝きが観察者の位置によって変化するという意匠性に優れた光彩効果を有するガラスコート材が得られる。
【0013】
また、本発明のガラスコート材は、被覆全体がガラス化しているので、引っかき傷や磨耗傷が付きにくく、有機塗料皮膜のように短期間に劣化、退色することがなく、さらに有機塗料皮膜では得られない耐熱性があるので、高耐久性材料として、汚損しやすい部位、熱気のある部位,例えば、ガスレンジ、電気レンジのテーブルトップの表面材として好ましく利用できる。
【0014】
そして、本第2発明の製造方法によれば、マイカ微粒子を釉薬中に混合するものでないうえ、焼き付け温度が800℃以下のように比較的低温度であるから、焼き付け時に、透明ガラス表層中にマイカ微粒子が溶け込むのを抑制するので、マイカ微粒子の光彩効果を劣化させることがない。
【0015】
また、鱗片状マイカ微粒子とバインダを含む水性スリップをエアスプレーすることによって、ガラス下地層に点在した状態に吹き付けることができるから、前記した好ましい光反射部材を容易に形成することができる利点が得られる。
かくして、本第2発明の製造方法によれば、光彩効果に優れた第1発明のガラスコート材が工業的に製造することが可能となり、その性能を生かす利用分野に提供できるのである。
【0016】
さらに、本第3発明の調理器によれば、その天板(テーブルトップの表面材)に第1発明のガラスコート材を用いるので、引っかき傷や磨耗傷が付きにくく、有機塗料のように劣化、退色せず、不燃材特有の耐熱性などの従来の琺瑯製品特有の利点に加えて、従来の琺瑯製品では得られなかった意匠性に優れた光彩効果を発揮できるので、より魅力的な調理器を提供できるのである。
よって本発明は、従来の問題点を解消したガラスコート材、その製造方法および調理器として、工業的価値はきわめて大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明のガラスコート材に係る実施形態と、本発明のガラスコート材の製造方法の実施形態について、図1、2を参照しながら説明する。
(第1発明:ガラスコート材)
本発明のガラスコート材の基本構造は、ベース基材1上に設けられた着色ガラス下地層2の表面に、主としてマイカ微粒子3aからなる多数の光反射部材31を分散させて配置し、その上を透明ガラス表層4で被覆したものである。図1の事例では、ベース基材1はホーロー用鋼板11に密着成分であるニッケルを含む従来の黒色下釉層21を予め施したものを例示した。
【0018】
そして、前記透明ガラス表層4は、本発明では重要な構成要素であり、その焼付け温度は、前記着色ガラス下地層2の焼き付け温度より低温度であって、かつ800℃以下の温度でガラス層として溶融し形成されたものが好ましい。また、深みのある光彩効果を得るためには、その厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上に設定する。
【0019】
本発明では、このように比較的厚い透明ガラス表層4を用いることによって、外界からの入射光と、着色ガラス下地層2や多数の光反射部材31からの反射光が透明ガラス表層4の表面で屈折することにより、あたかも水中の物体を観るかのような奥行き感覚を与える深みのある光彩効果が得られる利点がある。
【0020】
このように、透明ガラス表層4は、その透明性が高いことが要求されるので、表面に凹凸があるのは透明性を損なうから好ましくない。本発明では、前記透明ガラス表層4の表面の平滑度は、JIS−B0601−1994に規定される表面粗さRyが25μm以下、さらには2.0μm以下であることが好ましい。
【0021】
次に、本発明の最も特徴的な光反射部材31について説明する。
本発明で用いられる、光彩効果の原因物質であるマイカ微粒子3aは、もともと厚さが約50μm以下の鱗片状粉末として得られるものであるが、本発明では粒度調整した、平面部分の平均長径が50〜150μmの範囲の粒子を用いるのが、本発明の目的とする光彩効果が得られやすく好ましい。
【0022】
そして、それらマイカ微粒子3aの分散状態は、図2に例示するように、細かい斑点状に分散した状態とされるのが特に好ましい。
すなわち、単数または複数個のマイカ微粒子3aから形成される多数の扁平状の物が、前記着色ガラス下地層2上に、相互間に隙間32を設けて点在した状態で分散され、着色ガラス下地層2と透明ガラス表層4の間に配置されて、焼き付けられた後に光反射部材31として作用するよう構成される。
このように、その隙間32から着色ガラス下地層2の部分が目視可能な状態に光反射部材31は配置されるのであって、着色ガラス下地層2を完全に覆い隠すものではない。
【0023】
このように構成されたものは、前記透明ガラス表層4を通して外界の光が入射し、隙間32を通じて下地層2からの反射光が背景色として観察される。また黒色の下地層2の場合は、光吸収によって黒色の背景色として観察される。また、入射光は、前記マイカからなる多数の光反射部材31の表面から反射して、マイカ調ないしメタリック調にきらきらと輝く光彩効果を発揮する。
【0024】
さらには、光反射部材31のマイカ微粒子3aの表面は、下地に対して、わずかな角度でランダムな向きに傾斜しているので、反射光の輝きが観察者の位置によって変化するという意匠性に優れた光彩効果をも発揮するのである。さらに、複数のマイカ微粒子3aからなる光反射部材31の場合は、視覚的に輝く大きな斑点として観察されるので、その光彩効果をより助長することになる。
【0025】
(第2発明:ガラスコート材の製造方法)
次に、本発明のガラスコート材の製造方法について説明する。
本発明は、前述の第1発明のガラスコート材の製造方法であり、次の3ステップを基本ステップとして、前記着色ガラス下地層2と透明ガラス表層4との間に前記光反射部材31を挟んで一体にしてベース基材上に焼き付ける点にその特徴がある。
a)鋼板自体、あるいは鋼板面にホーロー下釉を施したベース基材1上に、好ましくは黒色の着色ガラス下地層2を焼き付け形成する下地準備工程。
b)前記着色ガラス下地層2の面に主としてマイカ微粒子3aからなる光反射部材31を分散させて配置する反射部材配置工程。
c)透明フリットを主体とするスリップを被覆し、前記着色ガラス下地層2を焼き付け温度より低温度であって、800℃以下の温度で焼成して、透明ガラス表層4を形成する表層形成工程。
【0026】
(下地準備工程)
図1の事例では、ベース基材1はホーロー用鋼板11に密着成分であるニッケルを含む従来の黒色下釉層21を予め施したものであり、その上に着色ガラス下地層2を焼き付けているもので、従来の手法が応用される。また、背景色として適するのであれば、黒色下釉層21でもって、着色ガラス下地層2を兼用させることも可能である。この着色ガラス下地層2の適正な焼付け温度は、後述する透明ガラス表層の焼き付け温度との関係から830℃以上のものを選択するのがよい。
【0027】
(反射部材配置工程)
反射部材31を構成するマイカ微粒子を着色ガラス下地層2面に配置するには、マイカ微粒子とバインダを含む水性スリップをエアスプレーによって吹き付ける手法が好ましく採用される。この場合、水性スリップは、水100%にマイカ微粒子を10%以下、好ましくは5%以下、その他にバインダを適量含有させたスリップが好ましい。
【0028】
このマイカ微粒子としては、平面部分の平均長径が50〜150μmの範囲に粒度調整したものが好ましい。このマイカ微粒子は、もともと厚さが約10μm以下の鱗片状粉末として入手できる鉱物であり、鉱物自体を粒度調整した無色の微粒子の他、その表面にチタニアなどを添着した着色加工したものもあるが、本発明にはいずれも応用できる。
【0029】
この反射部材配置工程で特に重要な点は、予めを焼き付け形成した前記着色ガラス下地層2の表面に、図2のイラストに示すように、前記マイカスリップを隙間32を設け点在した状態で吹き付けて、その隙間32から着色ガラス下地層2の部分が目視可能な状態にマイカ微粒子3aを配置するところにある。
【0030】
このような分散状態を実現するには、前記した水性スリップのマイカの含有量が重要な要素であって、その含有量が前記した適量の範囲にあれば、吹き付け後に乾燥させれば、マイカ微粒子3aは着色ガラス下地層2表面に分散した状態で、かつ着色ガラス下地層2表面の形状に添った状態、すなわち、マイカ微粒子の広い平面部分を概ね上方に向けて、バインダによって固着させることができるのである。この場合、分散したマイカ微粒子の広い平面部分は、着色ガラス下地層2表面の形状によって、自然にランダムに方向が僅かずつ偏って傾斜することになる。
【0031】
(表層形成工程)
以上の工程を経た後、透明フリットを主体とするスリップを被覆し、前記温度条件で焼き付けて透明ガラス表層4を形成し、前記着色ガラス下地層2と透明ガラス表層4とが、その間に前記光反射部材31を挟んで釉着し一体化する。
この場合、深みのある光彩効果を得るためには、透明ガラス表層4の厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上に設定するのがよい。
【0032】
また、光反射部材31の光彩効果をより効果的に得るには、前記透明ガラス表層4を形成するための透明フリット、あるいはそのスリップなどには透明性を阻害する成分やミル添加物を含まないことが重要である。例えば、透明フリット自体は、チタニア、ジルコニア、フッ素分など乳濁の原因になり易い成分は含まない方が良く、また、ミル添加物には粘土(カオリン系、モンモリロナイト系など)を含まないのが好ましい。粘土に代えてコロイダルシリカなどで代用すればよい。
【0033】
かくして、この第2発明もよって、先に詳述した第1発明のガラスコート材を工業的に製造することができるのである。
第1発明の作用効果はすでに詳述したが、本第2発明の製造方法によれば、特に、光反射部材31間の隙間32を通じて下地層2からの反射光や光吸収によって背景色が観察され、マイカ微粒子からなる多数の光反射部材31の表面からの反射光によって、マイカ調ないしメタリック調にきらきらと輝く光彩効果を発揮するに当たり、光反射部材31のマイカ微粒子3aの表面が、下地に対して、わずかな角度でランダムな向きに傾斜しているように配置できるので、反射光の輝きが観察者の位置によって変化するという意匠性に優れた光彩効果を発揮するという利点が得られるのである。
【0034】
(第3発明:調理器)
図3は本発明の調理器の一例を示すもので、ガスバーナ6を有する加熱ガス装置を内蔵し、前面に点火調節ボタン類62を備えたキャビネット5の上面板である天板51に第1発明のガラスコート材を適用している。また、この場合、前記ガスバーナ6を露出させるためのバーナ穴52が形成してあり、五徳61を配置するよう位置決め(図示せず)を設けておくのがよい。また、天板51の四周部分は予め折り曲げ加工したガラスコート材を適用してもよいが、ステンレス材からなる枠材で額縁状に保護するのが好ましい。なお、
ここでは、ガスレンジを例示したが電気レンジでも応用可能である。
【0035】
このように、本発明の調理器によれば、その天板に用いたガラスコート材の特長である、耐磨耗性、耐食性、耐熱性などを発揮できる他、本発明のガラスコート材特有の優れたメタリック調の光彩効果を実現できるので、従来の琺瑯製品では得られないより魅力的な調理器を提供できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のガラスコート材を説明するための要部断面概念図。
【図2】本発明のガラスコート材の光反射部材を説明するための断面イラスト図。
【図3】本発明の調理器を示す要部斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1:ベース基材、11:ホーロー用鋼板
2:着色ガラス下地層、21:黒色下釉層
3a:マイカ微粒子、31:光反射部材、32:隙間
4:透明ガラス表層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材上に設けた着色ガラス下地層の表面に、主としてマイカ微粒子からなる光反射部材を分散させて配置し、その上を透明ガラス表層で被覆したことを特徴とするガラスコート材。
【請求項2】
前記透明ガラス表層が、前記着色ガラス下地層を形成する着色釉の焼付け温度より低温度であって、800℃以下の焼き付け温度で透明ガラス表層として溶融形成されたものである請求項1に記載のガラスコート材。
【請求項3】
前記ベース基材がホーロー用鋼板にニッケルを含むホーロー下釉で被覆したものであり、前記着色ガラス下地層が黒色顔料と透明ガラスとを主体としてなる黒色ガラス下地層である請求項1または2に記載のガラスコート材。
【請求項4】
前記ホーロー下釉が、前記黒色ガラス下地層を兼ねたものである請求項3に記載のガラスコート材。
【請求項5】
前記光反射部材が、平面部分の長径が50〜150μmの鱗片状粉末マイカ微粒子の単数または複数から形成されるとともに、その光反射部材が、前記着色ガラス下地層上に相互間に隙間を設けて点在した状態で分散され、着色ガラス下地層と透明ガラス表層の間に介在している請求項1〜4にいずれかに記載のガラスコート材。
【請求項6】
前記透明ガラス表層の表面の平滑度が表面粗さRyで2.0μm以下である請求項1〜5にいずれかに記載のガラスコート材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のガラスコート材の製造方法であって、ベース基材上に、着色ガラス下地層を焼き付け形成し、次いで、主としてマイカ微粒子からなる光反射部材を分散させて配置し、その上に、透明ガラス表層を形成するための透明フリットを主体とするスリップを被覆し、前記着色ガラス下地層を焼き付け温度より低温度であって、800℃以下の温度で焼成して、前記着色ガラス下地層と透明ガラス表層との間に前記光反射部材を挟んで一体にしてベース基材上に焼き付けることを特徴とするガラスコート材の製造方法。
【請求項8】
前記透明ガラス表層を形成するための透明フリットを主体とするスリップが粘土を含まない配合からなるものである請求項7に記載のガラスコート材の製造方法。
【請求項9】
平面部分の長径が50〜150μmの鱗片状マイカ微粒子とバインダを含む水性スリップをエアスプレーによって、予めを焼き付け形成した着色ガラス下地層の表面に、隙間を設け点在した状態で吹き付けて、その隙間から着色ガラス下地層の部分が目視可能な状態にマイカ微粒子を配置する請求項7または8に記載のガラスコート材の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載のガラスコート材を、加熱手段を内蔵したキャビネットの天板として組み付けたことを特徴とする調理器。
【請求項11】
前記加熱手段がガスバーナであり、この天板にはガスバーナを露出させるためのバーナ穴を形成した請求項10に記載の調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−204841(P2007−204841A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28518(P2006−28518)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000108661)タカラスタンダード株式会社 (51)
【出願人】(000229885)日本フリット株式会社 (2)
【Fターム(参考)】