説明

ガラスパネル材の支持部材

【課題】ガラスパネル材のセットを容易に行なえるようにしたガラスパネル材の支持部材を提供する。
【解決手段】ガラスパネル材取り付け位置に存在する支持体13側に形成された孔部14に貫通されるように中心部において一方の面側で雄ねじ軸3が一体に設けられ、また他方の面側で内面に雌ねじ孔4が形成された連結軸5が一体に設けられてなる受け金具1と、中心部において一方の面側で前記連結軸5の雌ねじ孔4に螺入する雄ねじ軸6が一体に設けられてなる押さえ金具2とからなり、前記受け金具1の雄ねじ軸3の途中にはロックナット11が螺合されるとともにこの受け金具1の雄ねじ軸3の先端に締め付けナット12が螺合され、さらに前記押さえ金具2の他方の面には締め付け治具の先端を嵌入させる係止部2aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビルの外壁を形成するためのガラスパネル材あるいは建物内の階段の側部に設けられるガラスパネル材を取り付けるためのガラスパネル材の支持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種ガラスパネル材の支持部材としては、例えば特許文献1に開示されているように、ガラスパネル材に貫通孔を設け、該貫通孔に嵌合する頭部と該頭部の反対側に位置されたネジ部とを有するパネル支持部材が知られている。このパネル支持部材は建物躯体側に結合される前記ネジ部が存在する側に位置して前記頭部に螺合する押さえナットを備え、押さえナットを回転させることによりガラスパネル材を押さえナットと頭部との間で挟み付けるようになっている。
【特許文献1】特開平6−117087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているパネル支持部材は前述のように、建物躯体側に結合される前記ネジ部が存在する側に位置して前記頭部に螺合する押さえナットを回転させて締付けることによりガラスパネル材を押さえナットと頭部との間で挟み付ける構成であり、押さえナットによる締付け作業の前にガラスパネル材をパネル支持部材にセットし、その状態で押さえナットを締付けるのであるが、押さえナットによる回転締付け作業を前記ネジ部と建物躯体との結合部側で行なわねばならず、ネジ部や前記結合部が邪魔になってこの作業性が悪いという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、ガラスパネル材のセットを容易に行なえるようにしたガラスパネル材の支持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載のガラスパネル材の支持部材は、ガラスパネル材取り付け位置に存在する支持体にガラスパネル材を取り付けるためのガラスパネル材の支持部材であって、支持体側に形成された孔部に貫通されるように中心部において一方の面側で雄ねじ軸が一体に設けられ、また他方の面側で内面に雌ねじ孔が形成された連結軸が一体に設けられてなる受け金具と、中心部において一方の面側で前記連結軸の雌ねじ孔に螺入する雄ねじ軸が一体に設けられてなる押さえ金具とからなり、前記受け金具の雄ねじ軸の途中にはロックナットが螺合されるとともにこの受け金具の雄ねじ軸の先端に締め付けナットが螺合され、さらに前記押さえ金具の他方の面には締め付け治具の先端を嵌入させる係止部が形成されており、前記受け金具の連結軸にガラスパネル材の孔部を嵌合させた状態で受け金具の連結軸の雌ねじ孔に押さえ金具の雄ねじ軸を螺入させて押さえ金具を締め付けることによりガラスパネル材を受け金具と押さえ金具で挟んだ状態で支持するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明のガラスパネル材の支持部材は、前記支持体側の孔部に取り付けられた受け金具の連結軸に受け金具から押さえ金具が外された状態でガラスパネル材の孔部を嵌合させ、受け金具の連結軸の雌ねじ孔に押さえ金具の雄ねじ軸を螺入させて押さえ金具を係止部に締め付け治具の先端を嵌入させて締め付け治具で締め付けることによりガラスパネル材は受け金具と押さえ金具で挟まれた状態で支持されることになる。このとき、押さえ金具の締め付け作業場所は前記支持体とは反対側の位置であるため、締め付け作業に邪魔になるようなことはなく、ガラスパネル材の取り付け作業を容易に行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図3を用いて具体的に説明する。
図において、1はガラスパネル材の支持部材を構成する円板状の受け金具、2は受け金具1と対でガラスパネル材の支持部材を構成する円板状の押さえ金具で、前記受け金具1には中心部において一方の面側で雄ねじ軸3が一体に設けられ、また他方の面側で内面に雌ねじ孔4が形成された連結軸5が一体に設けられている。前記押さえ金具2の中心部において一方の面側で前記連結軸5の雌ねじ孔4に螺入する雄ねじ軸6が一体に設けられている。そして、受け金具1の他方の面および押さえ金具2の一方の面には合成樹脂製の保護シート7および8が当てられるとともに受け金具1の連結軸5には合成樹脂製の保護筒体9が外嵌されている。前記保護シート7および8の中心には連結軸5および雄ねじ軸6を挿通させる丸孔7aおよび8aが形成されている。なお、前記押さえ金具2の他方の面には対向する2箇所の位置で締め付け治具の先端を嵌入させる凹部状の係止部2aが形成されている。
【0008】
10はコーナー近傍に前記受け金具1の連結軸5に保護筒体9の外側から嵌合する孔部10aが形成されているガラスパネル材で、このガラスパネル材10の孔部10aを前記受け金具1の連結軸5に保護筒体9の外側から嵌合させ、かかる状態で受け金具1の連結軸5の雌ねじ孔4に押さえ金具2の雄ねじ軸6を螺入させて押さえ金具2を締め付けることによりガラスパネル材の支持部材にガラスパネル材10がセットされることになる。
【0009】
ガラスパネル材の支持部材は前記受け金具1の雄ねじ軸3に先に螺合するロックナット11を備えるとともに雄ねじ軸3の先端に螺合する袋状の締め付けナット12を備えている。
【0010】
図2および図3に上記構成のガラスパネル材の支持部材を用いてガラスパネル材10取り付け位置の内側に存在する金属製支柱などの支持体13にガラスパネル材10を取り付ける状態を示しており、以下ガラスパネル材10の取り付け手順について説明する。
【0011】
先ず、前記支持体13には水平に金属製の腕14が左右に水平に突出するように溶接にて設けられている。なお、前記腕14は板状の材料が用いられ、支持体13に取り付けられた状態において腕14の表面はガラスパネル材10の取り付け側に向いている。そして、このように支持体13から左右に水平に突出するように設けられた各腕14の先端には前記雄ねじ軸3を貫通させる孔部15が形成されており、この孔部15に雄ねじ軸3を貫通させてガラスパネル材の支持部材が取り付けられる。詳しくは、孔部15に雄ねじ軸3を貫通させる際、雄ねじ軸3にはロックナット11が螺合されており、このロックナット11より突出する雄ねじ軸3部分を腕14の外面側から孔部15に貫通させ、孔部15から突出する雄ねじ軸3の先端に締め付けナット12を螺合させて締め付ける。前記ロックナット11の位置を調整することにより腕14からのガラスパネル材の支持部材の突出量を微調整するものである。以上のように各腕14にガラスパネル材の支持部材が取り付けられるのであるが、ガラスパネル材10を取り付ける前は前記受け金具1から押さえ金具2が外されており、かかる状態で前記受け金具1の連結軸5に保護筒体9の外側からガラスパネル材10の孔部10aを嵌合させ、受け金具1の連結軸5の雌ねじ孔4に押さえ金具2の雄ねじ軸6を螺入させて前記係止部2aに締め付け治具の先端を嵌入させて締め付け治具で締め付けることによりガラスパネル材10は表裏両面から受け金具1と押さえ金具2で挟まれた状態で支持されることになる。このとき、押さえ金具2の締め付け作業場所は前記支持体13とは反対側の位置であるため、締め付け作業に邪魔になるようなことはない。前記係止部2aとして凹部の代わりに貫通孔であっても良い。
【0012】
なお、図面では示されていないが、ガラスパネル材10をコーナー近傍の計4箇所、即ちガラスパネル材10の一側部における上下両端近傍および他側部における上下両端近傍に形成されている孔部10aで支持するために、ガラスパネル材10の両側位置に合わせて前記支持体13が立設されており、この各支持体13に腕14が設けられている。図面に示すように支持体13から腕14が左右に水平に突出するように設けられているのは、隣り合う一方のガラスパネル材10の一側部を一方の腕14で支持し、他方のガラスパネル材10の他側部を他方の腕14で支持するためである。
【0013】
本発明のガラスパネル材の支持部材を用いて、上記した要領で例えばビルの外壁を形成するためのガラスパネル材あるいは建物内の階段の側部に設けられるガラスパネル材などを取り付けることができるものであり、ガラスパネル材の取り付け場所に応じて前記腕の形状は異なるものである。
【0014】
ところで、以上述べた実施の形態では支柱13の外側からガラスパネル材10を取り付けているが、支持体13の内側からガラスパネル材10を取り付けるようにすることも可能である。また、支持体13に腕14を設けずに、支持体13に直接前記雄ねじ軸3を貫通させる孔部を形成して支持部材を介してガラスパネル材を取り付けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態におけるガラスパネル材の支持部材の分解斜視図である。
【図2】同ガラスパネル材の支持部材を支柱に取り付ける状態を示す斜視図である。
【図3】同ガラスパネル材の支持部材を用いてガラスパネル材を支柱に取り付ける状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1 受け金具
2 押さえ金具
2a 係止部
3 雄ねじ軸
4 雌ねじ孔
5 連結軸
6 雄ねじ軸
7,8 保護シート
9 保護筒体
10 ガラスパネル材
10a 孔部
11 ロックナット
12 締め付けナット
13 支持体
14 腕
15 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスパネル材取り付け位置に存在する支持体にガラスパネル材を取り付けるためのガラスパネル材の支持部材であって、支持体側に形成された孔部に貫通されるように中心部において一方の面側で雄ねじ軸が一体に設けられ、また他方の面側で内面に雌ねじ孔が形成された連結軸が一体に設けられてなる受け金具と、中心部において一方の面側で前記連結軸の雌ねじ孔に螺入する雄ねじ軸が一体に設けられてなる押さえ金具とからなり、前記受け金具の雄ねじ軸の途中にはロックナットが螺合されるとともにこの受け金具の雄ねじ軸の先端に締め付けナットが螺合され、さらに前記押さえ金具の他方の面には締め付け治具の先端を嵌入させる係止部が形成されており、前記受け金具の連結軸にガラスパネル材の孔部を嵌合させた状態で受け金具の連結軸の雌ねじ孔に押さえ金具の雄ねじ軸を螺入させて押さえ金具を締め付けることによりガラスパネル材を受け金具と押さえ金具で挟んだ状態で支持するようにしたことを特徴とするガラスパネル材の支持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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