説明

ガラス及びガラスセラミック用のイソシアネートフリープライマー組成物

本発明は、イソシアネート反応性基を有する化合物A1を含有するプライマー組成物に関する。前記化合物A1を製造するためには、少なくとも3つのイソシアネート基を備えたポリイソシアネートA、少なくとも1種の式(I)のシランB、及び少なくとも3つのイソシアネート反応性官能基を含む架橋剤Cが用いられる。接着剤、シーリングコンパウンド、又はフロア被覆材、特にポリウレタン又はポリウレタン−シラン複合材系の1成分型湿気硬化性ポリウレタン接着剤又はポリウレタンシーリングコンパウンド用のプライマーとして、本発明のプライマー組成物を用いることについても開示する。本発明のプライマー組成物は、ガラス及びガラスセラミックへの優れた接着性と並んで延長されたオープンタイムによって特に特徴づけられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤又はシーラントの接着性を向上させるための、ガラス及びガラスセラミック用のイソシアネートフリープライマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤、コーティング、シーラント、床及びその他のシステムは、反応性バインダーに基づいている。多様な基材に対するこれらの反応性システムの接着性は、しばしば不満足なものである。そのため、しばしば、いわゆる「プライマー」が用いられる。プライマーは、基材と用いたバインダーとの間の接着架橋を形成する。プライマーはまた、化学反応性システムであり、基材上に適用される。
【0003】
基材とプライマーの接着を準備するためには、接着剤または任意の他の反応性システムが適用されうる前にフィルムを形成し且つ少なくとも部分的に架橋するため、プライマーは限定時間、いわゆる「フラッシュ・オフ・タイム」を備えていなければならない。しかし、このシステムの適用は、プライマーへの接着が保証されるいわゆる「オープンタイム」の間に制限される。オープンタイムを超えると、プライマーへの接着はもはや保証されない。したがって、オープンタイムは試験で決定され、試験ではプライマーの適用と接着剤の適用の間に様々な長い時間が保たれ、接着剤硬化後の結合の接着性が測定される。モデルとしては、プライマーと接着剤又は別の反応性システムとの間の接着が、これらの物質間の反応によって形成される。換気時間は、迅速かつコスト的に有利な工程を保証するために工業用途においては可能なかぎり短くなければならない。このことは、接着剤又は任意の他の反応性システムの適用が可能な限り速やかに行われることができるように、基材とプライマーとの接着準備は可能な限り速くなければならないことを意味している。しかし、これを行うには、例えば、技術的な欠点、作業シフトの終了、又は週末による製造工程の中断の問題が生じ、2〜3時間から数日又は数週間の長い時間が、プライマーの適用と接着剤又は任意の他の反応性システムの適用との間で経過しうる。このことは、連続的に操業している工業的用途において特に厄介である。さらに、自動車工業におけるトレンドは、工業的な組立ライン(アセンブリーライン)から離れてサプライヤーの工場内における前処理に移行し、そのため、サプライヤーの工場内でのプライマーの適用から製造工場内での接着剤の適用までの間に2〜3週間のオープンタイムが経過する可能性がある。
【0004】
これらの場合においても良好な接着性を保証するために長いオープンタイムを有するプライマーに対する大きな需要がある。
【0005】
ガラス及びガラスセラミックは、接着技術、特に自動車工業における接着技術のための非常に重要な基材である。伝統的に、イソシアネート系のプライマーがこれについて用いられている。一方で、イソシアネートは恒常的に毒性に関して論争のある議題であり、他方では、イソシアネートは反応性物質である。特に、イソシアネートは大気中の湿気と反応し、そのためフリーイソシアネート基の数は、イソシアネートプライマーの適用後短時間内に非常に大きく減少する。したがって、通常のイソシアネート系プライマーは一般に短いオープンタイムにのみ適している。
【0006】
米国特許第4,963,614号明細書には、シラン、ポリイソシアネート、フィルム形成性成分、並びにカーボンブラックを含む、ガラス用プライマーが記載されている。しかし、この明細書に開示されているシラン−ポリイソシアネート反応生成物はイソシアネート反応性基を備えておらず、特にパップ貯蔵後に、その上に適用されるポリウレタン接着剤との弱い接着特性が推定される。これらにプライマーのオープンタイムについてはいかなるデータも提示されていない。
【0007】
米国特許第5,109,057号明細書には、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーとNCO反応性官能基を有するシランとから製造されるプライマーが記載されている。このプライマーは改良されたUV安定性を示すようである。これらのプライマーのオープンタイムについてはいかなるデータも提示されていない。
【0008】
国際公開02/059224A1パンフレットには2成分型プライマーが記載され、これは、アルコキシシランと2.5〜5.0の平均NCO官能基且つ8〜27重量%のイソシアネート含有量を有するポリイソシアネートとの付加体を含む硬化剤、並びに第二成分としてイソシアネート基と反応性の塗料樹脂を含む。しかし、アルコキシシランとして、いかなる一級アミノシランも開示されていない。
【0009】
当技術状況では、ガラス及びガラスセラミックに対する良好な接着性及び長いオープンタイムを示すイソシアネートフリープライマーを得ることはこれまで不可能だった。
【特許文献1】米国特許第4,963,614号明細書
【特許文献2】米国特許第5,109,057号明細書
【特許文献3】国際公開02/059224号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、ガラス用プライマーの上述した不都合及び問題を解消すること、かつ、ガラス及びガラスセラミックに対する良好な接着性と長いオープンタイムを示すプライマーを利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
当技術状況の不都合は本請求項1の発明のプライマー組成物によって除去可能であることを予期せず発見した。同時に、短いフラッシュ・オフ・タイム、それぞれプライマーと接着剤の適用の間の短い待ち時間、で良好な接着性が保証される。
本発明はイソシアネート反応性基を有する化合物A1を含有するプライマー組成物に関する。少なくとも3つのイソシアネート基を含有するポリイソシアネートA、並びに少なくとも1種の式(I)のシランB、並びに3つのイソシアネート反応性官能基を有する架橋剤Cが、この化合物A1を製造するために用いられる。
【0012】
形式上2以上のそれぞれの官能基を含む分子は、本明細書全体において、「ポリイソシアネート」及び「ポリオール」中の接頭辞「ポリ」によって示される。
【0013】
「イソシアネート反応性基(反応性官能基)」の語は、必要な場合は適切な触媒の存在下で、室温又は100℃以下の温度で脂肪族又は芳香族イソシアネートと反応する化学官能基と理解される。
【0014】
化合物A1を製造するために用いられるポリイソシアネートAは、少なくとも3つのイソシアネート基を有する。特に、3、4、5、又は6、好ましくは3又は4つのイソシアネート基が存在する。
【0015】
これらのポリイソシアネートは2000g/モル未満、特に1000g/モル未満の分子量を有する低分子ポリイソシアネートが好ましい。分子量は好ましくは400から900g/モルの間である。
【0016】
一方で、そのような低分子量ポリイソシアネートはジイソシアネート−ポリオール付加体であり、これは3以上のNCO官能性をもたらすイソシアネート過剰において、ジイソシアネートと低分子量ポリオールの反応によって製造される。そのようなジイソシアネート−ポリオール−付加体の例は、架橋剤Cとしてさらに以下で言及する、ポリオールと脂肪族もしくは芳香族ジイソシアネートとの付加体である。特に、ポリオールとしてトリメチロールプロパン、グリセロール、又はペンタエリスリトール、及びジイソシアネートとしてHDI、TDI、又はIPDIからの付加体が挙げられる。
【0017】
他方、低分子ポリイソシアネートは、ジイソシアネートの低分子オリゴマー又はポリマーである。例えばここでは、例としてVoranate M-580(Dow社)として市販されているものなどのポリメリックMDI(4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート)である。
【0018】
以下のモノマーの低分子重合体が特に適している。
− HDI、例えば、Desmodur N-3300(バイエル(Bayer)社)、Desmodur N-3600(バイエル社)、Luxate HT 2000(ライオンデール(Lyondell)社)として;又はDesmodur N-100(バイエル社)、Luxate HDB 9000(ライオンデール社)として市販;
− IPDI、例えば、Desmodur Z 4470(バイエル社)、Vestanat T 1890/100(ヒュルス(Huels)社)、Luxate IT 1070(ライオンデール社)として市販;
− TDI、例えば、Desmodur IL(バイエル社)として市販;
− TDI/HDI。
【0019】
特に、それらはビウレット及びイソシアヌレート、特に低分子ジイソシアネートのビウレット及びイソシアネートである。このために特に適したジイソシアネートは、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)並びにそれらの位置異性体、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメトキシブタン−1,4−ジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び1,4−ジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートもしくはIPDI)、並びに前記芳香族化合物の水素化化合物である。明らかに、ジイソシアネートの混合物もまたビウレット及びイソシアヌレートを製造するために用いることができる。
【0020】
ポリイソシアネートAは、HDI、IPDI、TDI、及びそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーのイソシアヌレート又はビウレットであることが好ましい。それは特にHDIのイソシアヌレートである。
【0021】
化合物A1を製造するために用いるシランBは、以下の式(I)を有する。
【0022】
【化1】

【0023】
式(I)中、Rはメチル又はエチルを表す。さらに、RはH、C〜Cアルキル又はORを表し、RはH、C〜Cアルキル又はORを表す。X(1)はイソシアネート反応性基又はイソシアネート反応性基を有する有機残基を示し、一級アミノ基または少なくとも一級アミノ基を有する有機残基である。好ましくはX(1)はNHである。
【0024】
好ましくは、Rはメチルを表す。より好ましくは、R=ORであり、さらにより好ましくは、R=R=ORである。
【0025】
式(I)の適切なシランBの例は以下のものである:
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン。
3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0026】
本発明の一つの態様においては、上記式(I)のシランに加えて、少なくとも下記式(I’)の別のシランを、化合物A1を製造するために用いる。
【0027】
【化2】

【0028】
式(I’)において、Rはメチル又はエチルを表す。Rはまた、H、C〜Cアルキル又はORを表し、RはH、C〜Cアルキル又はORを表す。X(2)はイソシアネート反応性基又はイソシアネート反応性基を有する有機残基を表し、一級アミノ、メルカプト、もしくはヒドロキシル基、又は少なくとも1つの一級アミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有する有機残基である。X(2)は好ましくはSH又はNHである。
【0029】
好ましくは、Rはメチルを表す。R=ORもまた好ましく、R=R=ORがより好ましい。
【0030】
式(I’)の適切なシランBの例は以下である:
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0031】
いくつかのシランを用いる場合は、それらは混合物として用いることも、又はA1の製造時の異なる時点に用いることもできる。
【0032】
異なるシランBが特に好ましい。2種のシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが、化合物A1の製造のために好ましく用いられる。
【0033】
化合物A1を製造するための用いる架橋剤Cは、少なくとも3つのイソシアネート反応性基を有する。これらのイソシアネート反応性基は全て同じであるか又は互いに独立して異なっていることができる。全ての基が同じであることが好ましい。イソシアネート反応性基は特に、一級アミノ基(NH)、二級アミノ基(NH)、メルカプト基(SH)、又はヒドロキシル基(OH)から選択される。メルカプト基又はヒドロキシル基が好ましい。
【0034】
少なくとも3つのイソシアネート基が存在するが、より多く、特に3、4、5又は6であることもできる。3又は4が好ましい。
【0035】
架橋剤Cの場合、ポリオールが好ましく、トリオールが特に好ましい。
【0036】
架橋剤Cは、90〜1000g/モル、特に90〜500g/モル、好ましくは120〜150g/モルの分子量を有することが好ましい。架橋剤Cは、イソシアネート反応性官能基に対して30〜350g/eq、特に30〜170g/eq、好ましくは30〜65g/eqの当量を有することが有利であり、ここでポリオールの場合はOH当量である。
【0037】
当量については、分子量が高いほど不利になるが、これは、しばしばプライマーの劣ったフィルム特性、高粘度又は劣った貯蔵寿命をもたらすからである。
【0038】
架橋剤は、例えば、ペンタエリスリトール(=2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、ジペンタエリスリトール(=3−(3−ヒドロキシ−2,2−ビスヒドロキシメチル−プロポキシ)−2,2−ビス−ヒドロキシメチル−プロパン−1−オール)、グリセロール(=1,2,3−プロパントリオール)、トリメチロールプロパン(=2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)、トリメチロールエタン(=2−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−1,3−プロパンジオール)、ジ(トリメチロールプロパン)(=3−(2,2−ビス−ヒドロキシメチル−ブトキシ)−2−エチル−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1−オール)、ジ(トリメチロールエタン)(=3(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロポキシ)−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロパン−1−オール)、ジグリセリン(=ビス−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−エーテル)、トリグリセリン(=1,3−ビス−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2−プロパノール)、チオグリセリン(=メルカプト−1,2−プロパンジオール)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、トリエタノールアミン(=トリス−(2−ヒドロキシエチル)−アミン)、又はトリイソプロパノールアミン(トリス−(2−ヒドロキシプロピル)−アミン)である。
【0039】
架橋剤Cはトリメチロールプロパンが特に好ましい。
【0040】
化合物A1は様々な方法で製造できる。特に、化合物A1は、架橋剤Cと中間生成物ABとの反応によって得ることができ、中間体生成物ABは、シランBのイソシアネート反応性基に対してポリイソシアネートAのイソシアネート基の化学量論過剰量でポリイソシアネートAと少なくとも1種の式(I)のシランBから予め形成される。
【0041】
そのような製造方法は、より良い理解のために、好ましい場合に単純化した以下の反応スキームによって説明される。しかし、これは典型的な代表のみを表し、様々な数の反応相手及び化学量論によって特に製造されうる全ての可能な変種をカバーすることはできない。
【0042】
【化3A】

【化3B】

【0043】
2つの分子Bをこの例中に示す。残基に対しての異なる記号の適用は、残基が式(I)中で変わりうることを説明している。したがって、X(1)及びX(2)は、式(I)及び(I’)の可能な残基に対応している。
【0044】
Rは、全てのイソシアネート基を取り除いた後のポリイソシアネートAを表す。Yは架橋剤Cのイソシアネート反応性基を表し、R’は全てのイソシアネート反応性基取り除いた後の架橋剤Cを表す。X、X、Yのそれぞれは、X(1)、X(2)、Yと、イソシアネートとの反応で生じた官能基、すなわち、特に尿素、ウレタン、又はチオカルバメート基を表す。
【0045】
指数n、qはそれぞれ、ポリイソシアネートAのイソシアネート基の数、架橋剤Cのイソシアネート反応性基の数を示し、それらについて既に説明した値に対応する。
【0046】
さらに、p、n−p−1はそれぞれ、中間付加体ABを形成することによって、ポリイソシアネートAのどれだけ多くのイソシアネート基が様々なタイプのシランBと結合されるかを示している。指数pは、0〜n−1の間の値と考えられる。p=0及びp=n−1の場合には、単に1種のシランBがポリイソシアネートAに結合している。
【0047】
中間生成物ABは、1又はいくつかの未反応イソシアネート基を含むことができる。しかし、中間生成物ABは1つだけのフリーイソシアネート基を有することが好ましい。そのような場合を上記反応スキームに示した。いくつかのフリーイソシアネート基がABに残存している場合は、傾向として、これがより高分子量種を、したがってより高い粘度をもたらす。
【0048】
最後に、指数mは、いくつのフリーイソシアネート反応性官能基を化合物A1が有しているかについて示している。指数mは特に、数値1、2、3又は4であり、これはqに左右され、q−m≧2である。mは1又は2であることが好ましい。m=1が特に好ましいものとして考えられる。
【0049】
中間生成物ABは少なくとも1種のシランBの関与によって製造されうる。しかし、いくつかのシランBもまた関与することができ、特に2又は3である。中間生成物ABは2種の異なるシランBから製造されることが好ましい。式(I)のこれらの2種のシランは、異なるイソシアネート反応性基X(1)及びX(2)を有する。
【0050】
いくつかのシランBが用いられる場合、これらのシランは製造において混合物として直接用いるか、又は順次添加することができる。最初に1種のシランを添加し、さらに第二又はさらなるシランをさらに先のステップにおいて反応相手に添加する場合が、特に適していると考えられる。
【0051】
化合物A1は少なくとも1つのイソシアネート反応性官能基を有する。いくつかのそのような基が可能である。特に、化合物A1は1、2、3、又は4つのそのような基、特に1又は2つのそのような基、特に好ましくは1つのそのような基を有する。イソシアネート反応性基は特に一級アミノ基(NH)、二級アミノ基(NH)、メルカプト基(SH)、又はヒドロキシル基(OH)である。好ましくは、メルカプト基又はヒドロキシル基である。化合物A1がいくつかのそのような基を有する場合は、これらの基は全てが同一であるか、互いに異なることができる。
【0052】
一方では、上記化合物は架橋剤Cによって架橋されていることが好ましい。他方では、プライマー組成物だけでなく、化合物A1も、もはやいかなるフリーイソシアネート基を基本的に含まない、すなわち、それらは基本的にNCOフリーであることが望ましい。
【0053】
中間生成物ABと架橋剤Cの反応において、両者は化学量論比によって調節される。したがって、架橋剤のイソシアネート反応性基は、中間生成物ABのイソシアネート基に対して化学量論的過剰であることが特に必要である。このために、関係rを以下のように定義する:
【0054】
【数1】

【0055】
この関係rが>100%の値になる。上限は、式上1:1付加体が架橋剤Cと中間生成物ABの間で形成される値を表し、この場合架橋剤はもはや架橋性機能をはたすことはない。したがって、rの値はこの上限よりも明らかに低いべきであり、それによって架橋された種の必須成分が存在する。多すぎる1:1付加体が存在する場合は、プライマーの安定性は顕著に劣る。1:1付加体の成分は、A1に対して20%を超えるべきではない。したがって、rの値もまた、最終生成物A1のフリーイソシアネート反応性基の数について非常に大きな影響を有する。
【0056】
当業者は、化合物A1に加えて、フリーのイソシアネート反応性基がもはや存在しない生成物が一方で形成され、並んで、非架橋反応生成物、すなわち、架橋剤Cと中間生成物ABとの1:1付加体もまた他方で生成することを理解する。しかし、これらの副生成物は可能なかぎり少ないことが考慮されるべきである。
【0057】
rの値は、特に好ましい場合について、>100%且つ<300%の間であり、この場合、架橋剤Cは3官能分子であり、中間生成物ABは1つのフリーNCO基を有する。
【0058】
ここでは、パップ安定性プライマーを得るために、105%〜200%の値、好ましくは105%〜150%の値が特に選択される。
【0059】
プライマー組成物の特に好ましい態様は、式(II)のイソシアヌレート又は式(IIa)のビウレット、式(III)及び(IV)の2種のシラン、並びにトリメチロールプロパン(V)、から製造される化合物A1を含有する。
【0060】
【化4】

【0061】
ここで、残基R、R、R、R、R、及びRは、既に定義した残基を表す。R’’は2価の残基であり、特に脂肪族アルケン残基、好ましくはヘキサメチレン残基を表す。
【0062】
中間生成物ABは2段階ステップ、特に第一のステップで最初にメルカプトシランが用いられ、さらに第二のステップでアミノシランが用いられる2段階ステップで製造されることが好ましい。
【0063】
このように製造された化合物A1は、式(V)及び式(VII)によって表されうる。
【0064】
【化5】

【0065】
化合物A1は、少なくとも1つのイソシアネート反応性官能基を有する。いくつかのそのような基が可能である。化合物A1は1、2、3、又は4つのそのような基、好ましくは1又は2つのそのような基、特に好ましくは1つのそのような基を特に有する。このイソシアネート反応性基は、一級アミノ基(NH)、二級アミノ基(NH)、メルカプト基(SH)、又はヒドロキシル基(OH)、から選択されることが好ましい。メルカプト基(SH)又はヒドロキシル基(OH)が特に好ましい。化合物A1がいくつかのそのような基を有する場合、これらの基は全て同一であるか又は互いに異なることができる。
【0066】
当業者は、化合物A1に加えて、フリーのイソシアネート反応性基がもはや存在しない生成物が一方で形成され、並んで、非架橋反応生成物、すなわち、架橋剤Cと中間生成物ABとの1:1付加体もまた他方で生成することを理解する。しかし、これらの副生成物は可能なかぎり少ないことが考慮されるべきである。
【0067】
ある態様においては、プライマー組成物は、室温でイソシアネートに対して不活性な少なくとも1種の溶媒LM1をさらに含む。この溶媒はすでに化合物A1、中間生成物ABそれぞれの製造のために好ましく用いられている。必要な場合は、化合物A1の製造後にのみ、本溶媒をプライマー配合物に入れることができる。溶媒は揮発性溶媒であり、キシレン、トルエン、メシチレンなどの芳香族溶媒に加えて、特に、エステル類、中でもアセテート及びケトン類が包含される。本溶媒は特に、キシレン、トルエン、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、及び2−(2−メトキシエトキシ)エチルアセテートからなる群から選択される。これらの溶媒は混合物で用いられることが好ましい。
【0068】
さらなる溶媒LM2が、化合物A1の製造後にプライマーに添加されうる。これらの溶媒はまた、イソシアネートに対して反応性であることができる。それらは、100℃未満の沸点を有するわずかに揮発性の溶媒であることが好ましい。メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びsec-ブタノールなどのアルコール類がこのために特に適している。イソプロパノールが特に適している。
【0069】
溶媒は、粘度の低減並びに引火挙動の最適化のために主に用いられる。
【0070】
さらに、本プライマー組成物は、カップリング剤HVを含有することができる。チタネート類、ジルコネート類、又はシラン類が、そのようなカップリング剤の典型である。特に、カップリング剤は有機ケイ素化合物であることが好ましい。一方、前記シランB並びに3−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン並びにビニルトリアルコキシシランが好ましい有機ケイ素化合物である。
【0071】
トリアルコキシシランが特に好ましい。この追加のカップリング剤は、一級アミノ基を有するトリアルコキシシラン、特に一級アミノ基を有するトリメトキシシラン、又はビニル基を有するトリアルコキシシランであることが有利である。
【0072】
さらに、本プライマー組成物はまた、触媒KAT、特に有機スズ触媒、を含むことができる。これらの触媒は通常、ポリウレタン触媒である。有機スズ触媒は、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロライド、スズチオエステル錯体、モノ−n−ブチルスズトリクロライド、ジ−n−ブチルスズオキシド、ジ−n−ブチルスズジアセテート、及びジブチルスズカルボキシレートからなる群から選択されることが好ましい。
【0073】
さらに、本プライマー組成物は、例えば、シリカ、タルク、石灰、及びカーボンブラックなどのフィラーFを含むことができる。特に好ましいフィラーはカーボンブラックである。
【0074】
さらに、プライマー化学において通常使用される添加剤が使用できる。添加剤の非制限的な例は、UV及び熱安定化剤、流動性調節剤、フィルム形成剤、チキソ性付与剤、並びに化学的及び物理的乾燥剤である。
【0075】
プライマー組成物の特に好ましい態様は、化合物A1に加えて、少なくとも1種の溶媒LM1、少なくとも1種のカップリング剤HV、触媒KAT、並びにフィラーFとしてカーボンブラックを含有する。
【0076】
上述した組成物は、湿分を排除して製造及び貯蔵される。
【0077】
本プライマー組成物は、様々な基材のためのプライマーとして適している。特に、ガラス、ガラスセラミック、金属及び合金、並びに様々なプラスチックに適している。本発明のプライマー組成物は特に、ガラス、及びガラスセラミック、特に自動車工業で使用されるこれらのものに適している。
【0078】
適用前に基材を前処理することが有利でありえる。そのような前処理方法には、物理的及び/又は化学的前処理、例えば、研磨、サンドブラスト、ブラッシングなど、あるいは洗剤、溶媒、カップリング剤、カップリング剤溶液での処理、が含まれる。
【0079】
本プライマーは、ブラシ、フェルト、布、又はスポンジを用いて基材に適用される。この適用は、手で又は機械的に、特にロボットを用いて行うことができる。さらにいくつかの層のプライマー組成物を適用することもできる。
【0080】
本プライマー組成物は、接着剤、シーラント、床剤、特にポリウレタン又はポリウレタン−シラン複合材系の一成分型湿気硬化性ポリウレタン接着剤又はシーラント用のプライマーとして用いることが有利である。これらのプライマーの好ましい適用分野は、工業的に製造した部品がさらに接着される領域である。本プライマー組成物は、プライマーがサプライヤーの工場で適用される用途で特に扱われる。
【0081】
本発明のプライマー組成物は、ガラス又はガラスセラミックへの優れた接着によって特徴づけられ、接着は、例えばパップ試験(70℃で100%相対湿度中、7日間貯蔵)によるような大きな応力後でさえ損傷されずに残る。さらに、本プライマーは1ヶ月より長いオープンタイムによって特徴づけられる。本発明のプライマーは典型的には30秒の短いフラッシュオフタイム後すぐに使用できるという事実もまた並はずれている。
【0082】
〔実施例〕
【0083】
【表1】

【0084】
〔プライマー組成物〕
[プライマー組成物の製造例:P−01]
予備ステップにおいて、キシレンとメトキシプロピルアセテートの1:1溶媒混合物54g中で、不活性雰囲気中、昇温して4時間、161.8gのデスモジュール(Desmodur)N100を54.2gのメルカプトシランと反応させる。メルカプトシランはゆっくりと加える。次のステップで、64gのアミノシランを、5gの乾燥剤並びに649gのメチルエチルケトンの存在下、不活性雰囲気中で、最初のステップの生成物中にゆっくり滴下する。この反応の終了後、11.5gのトリメチロールプロパンをゆっくり加え、NCO量が全く観測されなくなるまで昇温下で撹拌する。最後に、触媒及びビニルシランなどの追加の成分をさらに追加する。
【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

【0087】
表1に示した量で同様の方法により、その他の実施例P−02〜P−08を調製した。
【0088】
参照例Ref.は架橋剤Cがない。参照例Ref−1又はRef−2は、実施例P−01又はP−08に対応し、一級アミノシランを同モル量の二級アミノシランで置き換えた。参照例Ref−3は実施例P−01に対応し、一級アミノシランが同モル量のメルカプトシランで置き換えられ、したがって、一級アミノシランを含まない。
【0089】
〔基材の前処理及びプライマーの適用〕
基材 入手先

フロートガラス Firm Rocholl、Schoenbrunn、ドイツ国

ビスマス系セラミック
コーティングを有する
ガラス Cerdec 14259 Firm Rocholl、Schoenbrunn、ドイツ国
【0090】
上記基材はイソプロパノール/水(1/1 w/w)の混合物によって洗浄した。5分の待ち時間後にプライマーを適用した。ガラスの非スズ面を接着試験に使用した。
【0091】
〔接着剤の適用及び試験方法〕
プライマーの適用後、表2に特定した待ち時間tの後、接着剤のビードをプライマー上に適用した。Sika Schweiz AGから市販されている、以下の湿気硬化性ポリウレタン接着剤又はシラン変性ポリウレタン接着剤を用いた。
Sikaflex(登録商標)-250 HMA-1 (”HMA−1”)
Sikaflex(登録商標)-250 DM-1 (”DM−1”)
Sikaflex(登録商標)-250 DM-2 (”DM−2”)
Sikaflex(登録商標)-555 (”SF−555”)
【0092】
調温調湿した部屋(”KL”)(23℃、50%相対大気湿度)内で7日の硬化期間後、並びにさらに70℃、100%相対大気湿度で7日間のパップ貯蔵(CP)後に、接着剤を試験した。
【0093】
接着剤の接着性は、「ビード試験」によって試験した。このためには、表面に結合している接着剤の表面上の末端に切れ込みを入れる。区切られたビード末端を丸プライヤーでつかみ、基材から引っ張る。ビードの方向に垂直な切れ込み部を入れるとともに、接着剤のない基材までプライヤーの先でビードを注意深くまきつけていくことによって行われる。ビードの剥離速度は、約3秒ごとに切れ込み部分が作られなければならないように選択される。試験距離は少なくとも8cmに相当しなければならない。評価は、接着剤を引き剥がした後に基材上に残っている接着剤の量に基づいて行う(凝集破壊)。接着特性の評価は、接着表面上の凝集部分を見積もることによって行う。
1=>95%凝集破壊
2=75〜95%凝集破壊
3=25〜75%凝集破壊
4=<25%凝集破壊
【0094】
「FH」を付記することによって、接着剤が、プライマーと接着剤の間の破壊をもたらす、プライマー上の薄層接着を示していることを表している。「P」を付記することによって、プライマーが基材からはがれ、したがって、基材へのプライマーの接着が弱点であることを意味することを表している。75%未満の凝集破壊の試験結果は、不満足であると考えられる。
【0095】
〔結果〕
表2は、プライマーの適用と接着剤の適用の間の待ち時間を表す短いオープンタイム(1分、10分)と長いオープンタイム(1週間、2週間、1ヶ月)に対する、実施例P−01〜P−07並びに参照例Ref.のガラス上での接着試験の結果を示している。
【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
表2は本発明のプライマーがガラスへの優れた接着によって特徴づけられることを示している。さらに、実施例P−06は、特に短いオープンタイムにおいて、他の実施例P−01〜P−05と比較してかなり劣る接着性を示しているが、プライマーなしの例ならびに参照例Ref.よりも、なお明らかに良好である。
【0099】
表3はガラスへの接着とガラスセラミックへの接着との間の比較を示し、本発明のプライマーがガラス及びガラスセラミックの両者への非常に良好な接着を示すことを表している。シラン変性接着剤Sikaflex(登録商標)-555の場合、接着性は空調貯蔵においてのみならず、パップにおいても、さらにガラスセラミックの場合でも、接着性が保たれることが明らかである。プライマーP−05の場合には、接着剤は薄層接着が起こるという結果によって、接着におけるある弱さを示しているが、このことはプライマーが基材への良好な接着を示していることを意味する。
【0100】
10%カーボンブラックを充填したプライマーP−01fは、プライマーP−01をもとに製造した。様々な長い貯蔵後のそれの接着結果を表4に示す。プライマーは記載した温度で表に示した期間貯蔵し、次に説明したようにガラスに適用した。記載したオープンタイムの後に接着剤を続いて適用し、それぞれ、7日間のパップ貯蔵の後、7日間の硬化後に試験した。
【0101】
【表6】

【0102】
表4の結果から、本プライマーが長期の貯蔵安定性を示し、且つ長いオープンタイムを有することがわかる。
【0103】
加速老化、すなわち、50℃で1ヶ月の結果は、特に、長いオープンタイムにおいて接着が悪化することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の、
− 少なくとも3つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートA;
− 少なくとも1種の下記式:
【化1】

(式中、Rはメチル又はエチルを表し、
はC〜Cアルキル又はORを表し、
はH、C〜Cアルキル又はORを表し、
X(1)は一級アミノ基または少なくとも一級アミノ基を有する有機残基である。)
のシランB;
− 少なくとも3つのイソシアネート反応性官能基を有する架橋剤C、
を用いて調製される、イソシアネート反応性基を有する化合物A1を含有するプライマー組成物。
【請求項2】
イソシアネート反応性基を有する化合物A1の製造のために、下記式(I’):
【化2】

(式中、Rはメチル又はエチルを表し、
はH、C〜Cアルキル又はORを表し、
はH、C〜Cアルキル又はORを表し、
X(2)は、一級アミノ基もしくはメルカプト基もしくはヒドロキシル基、又は少なくとも一級アミノ基もしくはメルカプト基もしくはヒドロキシル基を有する有機残基を表す。)
の少なくとも別のシランBが用いられることを特徴とする、請求項1記載のプライマー組成物。
【請求項3】
シランBにおいてR=OR、特にR=R=OR、であることを特徴とする、請求項2記載のプライマー組成物。
【請求項4】
シランBにおいてR=メチルであることを特徴とする、請求項2又は3に記載のプライマー組成物。
【請求項5】
シランBにおいて、X(2)=SH、NH、又はOH、特にSHであることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項6】
前記プライマー組成物が本質的にイソシアネート基フリーであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項7】
前記ポリイソシアネートAが、1以上のジイソシアネートのビウレットもしくはイソシアヌレート、又はポリイソシアネートとポリオールの付加体であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項8】
前記ポリイソシアネートAが脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項9】
シランBにおいて、R=OR、特にR=R=ORであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項10】
シランBにおいてR=メチルであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項11】
架橋剤Cが少なくとも3つのイソシアネート反応性官能基を有し、イソシアネート反応性官能基全てが同一か又は互いに異なり、好ましくは全てが同一であり且つSH、OH、NH、又はNHから選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項12】
前記架橋剤Cがポリオール、特にトリオールであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項13】
前記架橋剤が30〜350g/eq、特に30〜170g/eq、好ましくは30〜65g/eqのOH当量を有することを特徴とする、請求項12に記載のプライマー組成物。
【請求項14】
前記架橋剤Cが90〜1000g/mol、特に90〜500g/mol、好ましくは120〜150g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項15】
前記化合物A1が架橋剤Cと中間生成物ABとの反応生成物であり、中間生成物ABはイソシアネート基を有し、かつ中間生成物ABは、シランBのイソシアネート反応性基に対してポリイソシアネートAのイソシアネート基が化学量論量過剰で、ポリイソシアネートAと少なくとも式(I)のシランBとから予め形成されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項16】
前記化合物A1が下記式(VI)又は(VII)を有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【化3】

(式中、R’’は2価の残基、特に脂肪族アルキレン残基、好ましくはヘキサメチレン残基を表し;
はR、メチル、又はエチルを表し;
はR、H、C〜Cアルキル、又はORを表し;
はR、H、C〜Cアルキル、又はORを表す。)
【請求項17】
前記化合物A1に加えて、カップリング剤、特に有機ケイ素化合物、好ましくはトリアルコキシシランがさらに存在することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項18】
前記カップリング剤が、一級アミノ基を有するトリアルコキシシラン、特に一級アミノ基を有するトリメトキシシラン又はビニル基を有するトリアルコキシシランであることを特徴とする、請求項17に記載のプライマー組成物。
【請求項19】
前記化合物A1に加えて、触媒、特に有機スズ触媒、好ましくは、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロライド、スズチオエステル錯体、モノ−n−ブチルスズトリクロライド、ジ−n−ブチルスズオキサイド、ジ−n−ブチルスズジアセテート、及びジブチルスズカルボキシレートからなる群から選択される有機スズ触媒がさらに存在することを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項20】
前記化合物A1に加えて、室温でイソシアネートと反応しない溶媒、好ましくはキシレン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、及び2−(2−メトキシエトキシ)エチルアセテートからなる群から選択される溶媒、がさらに存在することを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項21】
少なくともフィラー、特にカーボンブラックが存在することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項22】
下記式:
【化4】

(式中、
は、メチル又はエチルを表し;
は、H、C〜Cアルキル、又はORを表し;
は、H、C〜Cアルキル、又はORを表し;
は、R、メチル、又はエチルを表し;
は、R、H、C〜Cアルキル、又はORを表し;
は、R、H、C〜Cアルキル、又はORを表し;
Rは、全てのイソシアネート基を取り除いた後のポリイソシアネートAを表し;
R’は、全てのイソシアネート反応性基を取り除いた後の架橋剤Cを表し;
は、イソシアネート反応性基とイソシアネートとの反応で生成される官能基、特に尿素基、ウレタン基、又はチオカルバメート基を表し;
は、イソシアネート反応性基とイソシアネートとの反応で生成される官能基、特に尿素基、ウレタン基、又はチオカルバメート基を表し;
は、イソシアネート反応性基とイソシアネートとの反応で生成される官能基、特に尿素基、ウレタン基、又はチオカルバメート基を表し;
Yは、イソシアネート反応性基、特に、NH、SH、又はOHを表し;
nは、3、4、5、又は6、特に3又は4の値を表し;
qは、3、4、5、又は6、特に3又は4の値を表し;
pは、0〜n−1の間の値を表し;
mは、q−m≧2となるように選択された、1、2、3、又は4、特に1又は2の値を表す。)
の化合物。
【請求項23】
下記式(VI)又は(VII)を有する、請求項22に記載の化合物。
【化5】

(式中、
R’’は、2価の残基、特に脂肪族アルキレン残基、好ましくはヘキサメチレン残基、を表し;
は、R、メチル、又はエチルを表し;
は、R、H、C〜Cアルキル、又はORを表し;
は、R、H、C〜Cアルキル、又はORを表す。)
【請求項24】
請求項1〜21のいずれか一項に記載のプライマー組成物を、接着剤、シーラント、又は床材、特にポリウレタン系又はポリウレタン−シラン−複合体系の1成分型湿気硬化性ポリウレタン接着剤又はシーラント、のためのプライマーとして使用する方法。
【請求項25】
請求項1〜21のいずれか一項に記載のプライマー組成物を、基材上に、手で又は自動でブラシ、フェルト、布、又はスポンジを用いて、又はロボットを用いて適用することを特徴とする方法。
【請求項26】
前記基材がガラス又はガラスセラミックであることを特徴とする、請求項25に記載の方法。

【公表番号】特表2007−500259(P2007−500259A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521588(P2006−521588)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051668
【国際公開番号】WO2005/012382
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】