説明

ガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法

【課題】本発明は加熱成形炉の熱が下方に配された部材に影響しないように遮蔽することを課題とする。
【解決手段】成型炉20の炉床24には、成形用シャトル400の移動方向であるX方向に延在するスリット450が設けられている。成型炉20の炉床24の下面には、炉床24に設けられたスリット450からの熱を遮蔽するための遮蔽機構420が設けられている。下部成形装置200を支持する支柱211が、このスリット450を通してレール25に向け延出している。遮蔽機構420は、スリット450の下方に対向するように水平方向に延在するように形成された遮蔽部材421と、遮蔽部材421の3方向(上面、外側面、下面)を囲むように形成された軌道部材422と、軌道部材422の内側に形成された軌道面423を転動する車輪424と、上端が軌道部材422の下面に結合され、下端が車輪424を回転可能に支持する車軸425とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法に係り、特に加熱成形炉内のガラス板を搬送する搬送手段を備えたガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車用窓ガラスは、デザインの変化に伴って様々な形状、曲率を持つものが求められている。この湾曲ガラスを製造する一つの手段としての、加熱成形炉内におけるプレス成形法は、ガラス板を高温状態で曲げ成形できるため、複雑形状または深曲げ形状の湾曲ガラスの製造方法として好適である。
【0003】
従来、加熱成形炉内におけるガラス板のプレス曲げ成形法に関し、ガラス板が載置される下型として成形用リングを用い、ブレス成形前にガラス板を自重によって変形させて予備成形し、この後、成形用モールドの成形面にガラス板を押し付けて曲げ成形する成形装置が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
この曲げ成形装置では、搬送過程で軟化点近傍に加熱されたガラス板が、位置決め機構を持った移載機によって搬送手段に搭載された成形用リング上に載置される。また、成形用リングは、ガラス板を載せた状態で下流のプレス位置へ移動するが、その間に、ガラス板は成形用リング上で自重によって変形する。この変形がプレス前の予備成形となる。そして、搬送手段がプレス位置に移動すると、上方の成形用モールドと下方の成形用リングとによってガラス板がプレスされて所定の曲げ形状に成形される。
【0005】
また、ガラス板の曲げ成形装置において、深曲げ形状を成形する際は、あおり機構付きの成形用リングを用いることが知られている。あおり機構付き成形用リングは、平面視で全体がフレーム状の金属製部材であり、中央に位置する固定フレームと、その両端部に位置する可動フレームとで構成されている。固定フレームの端部には平面視で略U字状の可動フレームがヒンジ部を介して枢設されている。そして、成形用モールドとのプレス時に可動フレームをあおることで、ガラス板の周縁部を確実に曲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−335533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記あおり機構付きの成形用リングの可動フレームをあおるには、成形用モールドとのプレス時に限られ、ガラス板の搬送中にあおることは難しい。また、上記搬送手段は、成形用リングが搭載されて加熱成形炉内を移動する移動台と、加熱成形炉の下方の床面を走行する台車と、加熱成形炉の炉床に形成されたスリットに挿通され、上端が移動台を支持し、下端が台車に結合された支柱とを有する。ガラス板の搬送中にあおり機構のような成形補助手段を動作させるには、成形補助手段を動作させる動力手段を台車に搭載する必要がある。
【0008】
その場合、加熱成形炉内は、ガラス板を融点近くの温度(およそ700°C)まで加熱するため、上記スリットから輻射熱あるいは炉内の高温の空気対流が漏れて搬送手段の台車に搭載された動力手段が高温にさらされてしまい、耐熱性を有しない部分(例えば、比較的融点の低いゴム材や樹脂材等)が劣化するおそれがある。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、加熱成形炉の炉床のスリットから漏れる熱を遮蔽することで上記課題を解決したガラス板の曲げ成形装置及び曲げ成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、搬送されるガラス板を所定温度に加熱する加熱成形炉と、前記加熱成形炉の炉床に形成され、前記ガラス板の搬送方向に延在形成されたスリットと、前記加熱成形炉の内部を搬送される前記ガラス板が載置される成形用リングと、前記成形用リングが搭載されて前記加熱成形炉内を移動する移動台と、前記炉床の下方の床面を走行する台車と、前記スリットに挿通され、上端が前記移動台を支持し、下端が前記台車に結合された支柱とを有する搬送手段と、を備えたガラス板の曲げ成形装置において、前記支柱に連結され、前記スリットに沿って前記炉床の下方に配設された前記スリットの少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部材と、前記炉床の下面に前記スリットに沿うように延在形成された軌道部材と、前記遮蔽部材を支持し、前記軌道部材の軌道面を走行する車輪と、を備えたことを特徴とするガラス板の曲げ成形装置を提供する。
【0011】
本発明の前記成形用リングは、前記ガラス板の成形を補助する成形補助手段を備え、前記台車には、前記成形補助手段を動作させる動力手段が搭載されていることが好ましい。
【0012】
本発明の前記成形補助手段は、中空であり、ガラスと対向する面に複数の孔を有する前記成形用リングの内側に設けられた下部モールドを有し、前記動力手段は、下部モールドに真空を供給する真空発生装置であることが好ましい。
【0013】
本発明の前記成形補助手段は、前記成形用リングが、固定フレームと、該固定フレームに枢設された可動フレームと、を備えたリングあおり機構を有し、前記動力手段は、前記可動フレームをあおり動作させる駆動ユニットであることが好ましい。
【0014】
本発明の前記加熱成形炉は、前記搬送手段が移動可能に複数台設けられ、複数の前記搬送手段に設けられた各遮蔽部材は、隣り合う遮蔽部材と互いに干渉しない長さに形成されることが好ましい。
【0015】
本発明の前記加熱成形炉は、前記搬送手段が移動可能に複数台設けられ、複数の前記搬送手段に設けられた各遮蔽部材は、隣り合う遮蔽部材と互いに干渉しない高さに配設されることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、上記のガラス板の曲げ成形装置を用いてガラス板を曲げ成形することを特徴とするガラス板の曲げ成形方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加熱成形炉内の熱がスリットの下方に漏れないようにスリットを遮蔽する遮蔽部材を設けることにより、加熱成形炉内の温度低下を防止することができる。また、スリットの下方を移動する部材を高温から保護することが可能になり、例えば、搬送手段の台車に搭載された動力手段が高温の輻射熱や対流にさらされないように熱の移動を防止することができる。これにより、スリットの下方を移動する各部材の耐久性をより高めることが可能になる。
【0018】
さらに、遮蔽部材を加熱成形炉の軌道部材を走行する車輪により支持する構成とすることにより、長尺の遮蔽部材を撓むことなく移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るガラス板の曲げ成形装置の第1実施形態を示す一部透視斜視図である。
【図2】図1に示した曲げ成形装置を模式的に示した正面図である。
【図3】下部成形装置の構造を示す側面図である。
【図4】成型用シャトルの構造を示す正面図である。
【図5】成形炉20の炉床24を下方からみた底面図である。
【図6A】図5中A−A線に沿う縦断面図である。
【図6B】図6Bは図5中B−B線に沿う縦断面図である。
【図7】本発明に係る曲げ成形方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係るガラス板の曲げ成形装置の第2実施形態を示す一部透視斜視図である。
【図9】図8に示した曲げ成形装置を模式的に示した正面図である。
【図10】本発明の第2実施形態であるガラス板の曲げ成形装置の動作(その1)を説明するための要部構成図である。
【図11】本発明の第2実施形態であるガラス板の曲げ成形装置の動作(その2)を説明するための要部構成図である。
【図12A】本発明の第2実施形態であるガラス板の曲げ成形装置の動作(その3)を説明するための要部構成図である。
【図12B】本発明の第2実施形態であるガラス板の曲げ成形装置の動作(その3)のときの成形炉20の炉床24を下方からみた底面図である。
【図13】本発明の第2実施形態であるガラス板の曲げ成形装置の動作(その4)を説明するための要部構成図である。
【図14】本発明の第3実施形態であるガラス板の曲げ成形装置を示す図である。(その3)
【図15A】移動台210a,210bが熱膨張する前のセンタリング機構800の状態を拡大して示す図である。
【図15B】移動台210a,210bが熱膨張したときのセンタリング機構800の動作を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
〔第1実施形態〕
先ず、本発明の第1実施形態であるガラス板の曲げ成形装置100A及びこれを用いたガラス板Gの曲げ成形方法について説明する。図1及び図2は、第1実施形態であるガラス板の曲げ成形装置100Aを示している。ガラス板の曲げ成形装置100Aは、主にガラス板Gの搬送上流側から、加熱炉10、成形炉20、風冷強化装置30、及び搬出用ローラコンベア40で構成されている。上記加熱炉10と成形炉20とは、連続しており、両者を組み合わせた構成を加熱成形炉50と称する。
【0021】
加熱炉10は、耐火煉瓦等で作られた炉壁を有し、その内壁面に天井ヒータ11、炉床ヒータ12及び側壁ヒータ13が設置された電気加熱炉である。また、加熱炉10内の炉床上方には、複数の耐熱性シリカローラで構成されたローラコンベア14が設置され、ローラコンベア14上を搬送されるガラス板Gは、上記ヒータによって所望の曲げ成形可能温度(650〜720°C)に加熱される。
【0022】
加熱炉10の後段には、加熱炉10同様の電気ヒータを有する電気加熱炉からなる成形炉20が設置されている。この成形炉20は、加熱炉10で加熱されたガラス板Gが搬入される搬入口の直後に搬送されてきたガラス板Gをエアーフローティング支持するためのハースベッド21が設置されている。なお、加熱炉10及び成形炉20は、電気加熱炉に限定されるものではなく、ガス加熱炉を用いることもできる。
【0023】
さらに、成形炉20の後段には、搬送されてきたガラス板Gを風冷強化するための風冷強化装置30が設置されている。風冷強化装置30は、エアの吹き出し口を上方に向けた下部吹き口ヘッド31と、エアの吹き出し口を下方に向けかつ下部吹き口ヘッド31と対向して配設された上部吹き口ヘッド32とで構成される。
【0024】
また、風冷強化装置30の後段には、搬出用ローラコンベア40が設置され、風冷強化装置30直後の搬出用ローラコンベア40の裏側には、コンベア上のガラス板Gを浮上させるためのエアーフローティング装置41が設置されている。エアーフローティング装置41と対向する搬出用ローラコンベア40上方には、エアーフローティング装置41によって浮上したガラス板Gを支持し、ガラス板Gが吹き飛ばされるのを防ぐためのストッパ42が設置されている。
【0025】
また、搬出用ローラコンベア40と風冷強化装置30との間には、ガラス板Gを搬送するための搬出用シャトル33が水平移動自在に設置されている。搬出用シャトル33の上流側端部にはクエンチリング33aが設置され、下流側端部にはキャッチ部材33bが設置されている。搬出用シャトル33は、成形炉20から搬出用ローラコンベア40までに設置された図示しないレールに沿って移動可能であり、これらの間を往復移動することにより、成形炉20から搬送用ローラコンベア40にかけてガラス板Gを搬送する。
【0026】
図2に示すように、ハースベッド21はガラス板Gの載置面に複数の孔21aを有し、これらの孔21aから加熱されたエアを吹き出すことにより、ガラス板Gを浮上させて支持する。ハースベッド21の下流側には、エアーフローティング支持されたガラス板Gの位置決めを行うための一対のポジショナー22が設置されている。
【0027】
また、ハースベッド21上方には、X方向及びその逆向きに水平移動可能なフラットモールド23(図2)が設置されている。フラットモールド23は、ガラス板Gと同等またはそれ以上の大きさを有する定盤であり、その平坦な下側表面には多数のエア噴射/吸引孔が密に形成されている。
【0028】
フラットモールド23の上部には、これらのエア/吸引噴射孔に連通するエア取入口(不図示)が形成され、このエア取入口に炉外のダンパー(不図示)を介してブロワー(不図示)及びエア吸引手段(不図示)が連結されている。ハースベッド21及びフラットモールド23のエア噴射/吸引孔毎にエアの吸引/噴射を制御することにより、ガラス板Gを非接触で支持することができる。
【0029】
また、ハースベッド21後段の成型炉20の天井には、図2に示すようにダクト304が接続された成形用モールド302を備えた上部成形装置300が設置されている。ガラス板Gの搬送方向である矢印X方向において、上部成形装置300の直下から上記ハースベッド21にかけての床面上には、矢印X方向に延在するレール25(図2)が設置されている。このレール25には、下部成形装置200が搭載された搬送手段である成形用シャトル400の移動ローラ418が転動可能に載置されている。よって、下部成形装置200は、成形用シャトル400と共にレール25に案内されてX方向に移動自在の構成となっている。尚、図2において、成形用シャトル400は、1台のみであり、矢印X2方向に移動した位置(加熱炉10から搬入されたガラス板Gを下部成形装置200に載置される位置)を一点鎖線で示し、矢印X1方向に移動した位置(ガラス板Gが下部成形装置200と上部成形装置300によって成形される位置)を実線で示している。
【0030】
また、成型炉20の炉床24の下面には、炉床24に設けられたスリットからの熱を遮蔽するための遮蔽機構420が設けられている。この遮蔽機構420の構成については、後述する。
【0031】
図3は下部成形装置200及び成形用シャトル400を示す側面図である。図4は成形用シャトル400の正面図である。図3及び図4に示されるように、成型炉20の炉床24には、成形用シャトル400の移動方向であるX方向に延在するスリット450が設けられている。下部成形装置200を支持する支柱211が、このスリット450を通してレール25に向け延出している。成形炉20の下流端部に設けられたガラス板Gの搬出口の外側には、ゲート弁からなるシャトルドア26が上下方向に摺動自在に設置されている。このシャトルドア26は、成形用シャトル400の移動位置に応じて開または閉とされ、下部成形装置200と上部成形装置300によって成形されたガラス板Gを成形炉20から取り出す際に開とされる。
【0032】
図3に示されるように、遮蔽機構420は、スリット450の下方に対向するように水平方向に延在するように形成された遮蔽部材421と、遮蔽部材421の3方向(上面、外側面、下面)を囲むように形成された軌道部材422と、軌道部材422の内側に形成された軌道面423を転動する車輪424と、上端が軌道部材422の下面に結合され、下端が車輪424を回転可能に支持する車軸425とを有する。また、遮蔽機構420は、図3に示すように移動方向(矢印X方向)からみると、各支柱211の左右両側に左右対称となるように設けられている。尚、上記遮蔽部材421、軌道部材422、車輪424、車軸425は、夫々高熱に耐える金属材料(例えば、鉄、ステンレス等)によって形成されている。
【0033】
成形用シャトル400は、成型炉20内を移動する移動台210と、移動台210を支持する支柱211と、レール25を移動する台車410とを有する。台車410には、補助手段としての真空発生ユニット430と、後述するあおり機構の駆動ユニット440とが搭載されている。
【0034】
遮蔽機構430は、成型炉20の熱(輻射熱及び対流熱)がスリット450から下方に伝わらないように遮蔽して台車410に搭載された真空発生ユニット(動力手段)430及び駆動ユニット(動力手段)440の周囲が高温雰囲気とならないように熱の移動を制限する。
【0035】
ここで、下部成形装置200の詳細について説明する。
【0036】
図3に示すように、下部成形装置200は、移動台210を支持すると共にレール25上を自走する成形用シャトル400と、移動台210に設置された下部モールド(成形補助手段)220と、下部モールド220の周囲に設置されかつ上下動自在に可動するあおり機構付き内型(成形補助手段)230と、あおり機構付き内型230の周囲に設置されたあおり機構付き成形用リング(成形補助手段)240とで構成されている。
【0037】
先ず、あおり機構付き内型230の構成について説明し、その後あおり機構付き成形用リング240の構成について説明する。下部モールド220は、成形炉20内で加熱されたガラス板G中央部を支持し、軟化したガラス板Gが極度に撓むことを抑制する。
【0038】
また、あおり機構付き内型230は、移動台210に載置された基台235と、基台235に立設する支持フレーム234と、支持フレーム234の上端(Z1方向端部)に固定された内型固定フレーム237と、内型固定フレーム237の両端に内型ヒンジ部238を介して枢設された内型可動フレーム239と、上端部が内型可動フレーム239に接続された内型可動フレーム用ロッド251等で構成されている。
【0039】
移動台210には、支柱231と、支柱ヒンジ部231aを介して支柱231に回動可能に取り付けられたポール232とが設けられており、ポール232の一端には固定されたカウンタウェイト233、ポール232の他端には接続部232aが設けられている。接続部232aは、内型可動フレーム用ロッド251の端部にスライド可能に接続されている。
【0040】
内型固定フレーム237及び内型可動フレーム239は、組み合わされることにより全体としてリング形状の金属製リング状部材である。また、その大きさは曲げ成形前のガラス板Gの外形よりも小さめの大きさを有し、ガラス板Gの外周から若干内側の位置を支える構成とされている。
【0041】
成形用シャトル400には、基台235を矢印Z1,Z2方向に昇降する複数の可動ロッド252,253が設けられている。可動ロッド252は成型用シャトル400の支柱211に設けられたサーボモータM1により昇降可能であり、可動ロッド252の何本かの先端部は内型の基台235に接続されている。よって、基台235に接続された可動ロッド252を昇降させることにより基台235を昇降させることが可能である。
【0042】
可動ロッド252が上昇(矢印Z1方向)した状態で、内型固定フレーム237と内型可動フレーム239とが略水平な状態となる(図3参照)。内型ヒンジ部238は、内型可動フレーム239が水平状態より下方に回動しないように制限が設けられている。また、ポール232の端部に設けられたカウンタウェイト233の重量によりポール232を回動付勢して、ポール232の接続部232aは上動するよう作用しているが、可動ロッド252が上昇した状態では、カウンタウェイト233が移動台210に接触しているため、接続部232aが上方に図3に示された以上に回動することはなく、回動が制限されている。
【0043】
内型の基台235が下降している状態から可動ロッド252が上昇して内型の基台235を上昇させると、支持フレーム234に支持された内型固定フレーム237が上昇し、それに伴い内型可動フレーム239も上昇するが、ポール232の回動が制限されているため、ポール232が内型可動フレーム用ロッド251を下方に引っ張ることにより、内型固定フレーム237と内型可動フレーム239とが水平な状態となる。
【0044】
一方、サーボモータM1により可動ロッド252を降下(矢印Z2方向)させて、内型の基台235を移動台210に載置した状態とすると、内型固定フレーム237の左右両端(矢印Y1,Y2方向端部)にそれぞれ設けられた内型可動フレーム239は、内型ヒンジ部238を中心として内側に向け回動する。このような、内型可動フレーム239の内側に向けた移動を、「あおり」というものとする。
【0045】
内型ヒンジ部238は、内型可動フレーム239が所定のあおり量以上に上方に回動しないように制限が設けられている。また、ポール232の端部に設けられたカウンタウェイト233の重量によりポール232を回動付勢して、ポール232の接続部232aは上動するように作用している。
【0046】
可動ロッド252が降下して内型の基台235を降下させると、内型固定フレーム237が降下し、それに伴い内型ヒンジ部238 、内型可動フレーム239も降下する。内型固定フレーム237が降下することで、内型可動フレーム用ロッド251が、ポール232の接続部232aの上動作用により上方への圧力を受けることになる。その圧力により、内型固定フレーム237の降下量に依存して内型可動フレーム239は内型ヒンジ部238を中心として内側に向け回動し、あおった状態となる。所定のあおり量まで回動すると、内型ヒンジ部238がそれ以上回動しなくなり、逆に内型可動フレーム用ロッド251がポール232の接続部232aを下方(矢印Z2方向)に押圧して、ポール232を下動させてカウンタウェイト233を持ち上げる。これにより、所定以上内型可動フレーム239は回動せずに、内型固定フレーム237を所定位置まで降下させることができる。
【0047】
上記構成とされたあおり機構付き内型230では、ガラス板Gが載置された状態で内型可動フレーム239があおられることにより、ガラス板Gの縁部が内側に向けて曲げられ、ガラス板Gは予備成形される。なお、内型固定フレーム237及び内型可動フレーム239は、載置されたガラス板Gに傷を付けないようにするため、ステンレス等からなる耐熱性クロスまたは耐熱性不織布を覆う構成としてもよい。
【0048】
なお、可動ロッド252が上昇し、内型固定フレーム237と内型可動フレーム239とが略水平状態の時、内型固定フレーム237,内型ヒンジ部238,及び内型可動フレーム239は後述するあおり機構付き成形用リング240の固定フレーム242及び可動フレーム244よりも上方の位置に位置するよう構成されている。
【0049】
次にあおり機構付き成形用リング240の構成について説明する。あおり機構付き成形用リング240は、移動台210に立設する支持フレーム241と、支持フレーム241によって支持された固定フレーム242と、固定フレーム242の両端にヒンジ部243を介して連結された可動フレーム244と、可動フレーム244に固定された可動フレーム用ロッド255と可動フレーム用ロッド255の先端に設けられた受圧部255aで構成されている。受圧部255aにはサーボモータM2の可動ロッド253(図4参照)が接続し、ヒンジ部243を支点として可動フレーム244を内側に回動する構成となっている。支柱211のX1方向側面には、サーボモータM2及び可動ロッド253が設けられ、支柱211のX2方向側面には、前述したサーボモータM1及び可動ロッド252が設けられている。
【0050】
図4に示すように、成型用シャトル400は、移動台210、支柱211、台車410、及び移動ローラ418等により構成されている。移動台210は、前記のようにあおり機構付き内型230及びあおり機構付き成形用リング240等を載置する。この移動台210は、ヒンジ411を介して支柱211に接続されている。
【0051】
台車410と支柱211の下端との間には、昇降装置415が設けられている。この昇降装置415は、サーボモータM3を駆動源として台車410に対して支柱211を昇降させるように構成されている。また、台車410には、ポンプ413とタンク416とからなる真空発生ユニット430が搭載されている。このタンク416は、ポンプ413によって生成された真空(負圧)を蓄圧しており、下部モールド220の表面にガラス板Gを吸着して成形する際に配管417を介して下部モールド220に真空(負圧)を供給するように接続されている。下部モールド220は、内部が中空の金属製(鋳物)モールドであり、ガラス板Gと当接する面が所定の湾曲形状を有する。また、そのガラス板Gと当接する面には、無数の孔が設けられ中空部分と直結している。ガラス板Gと当接する面は、ステンレス等からなる耐熱性クロスまたは耐熱性不織布で覆われている。
【0052】
所望の成形形状で撓みにくい部分、特にガラス板Gの周縁に近い部分を大きく曲げる必要があるときは、ポンプ413によって下部モールド220をバキュームすることにより、ガラス板Gを下部モールド220に吸い付けて成形する。その逆で、下部モールド220にエアをブローすることで、ガラス板Gを離すことをしてもよい。この場合、ポンプ413の吸込み側経路と吐出側経路とを切り替えることで圧縮空気を下部モールド220に供給することが可能になる。
【0053】
なお、下部モールド220の主な役割は、軟化したガラス板Gが極度に撓むことを抑制することにあるので、ガラス板Gを支持する必要がない場合は、下部モールド220も不要であり、またバキューム等でガラス板Gを成形する必要のないときは、ポンプ413,タンク416とも接続されない。
【0054】
また、台車410の底部には、移動ローラ418が設けられている。この移動ローラ418は、サーボモータM4により回転駆動される。前記のように、移動ローラ418はレール25上を走行可能に係合している。よって、成型用シャトル400は、サーボモータM4を駆動することにより、図中矢印X1,X2方向(ガラス板Gの搬送方向)に移動する。なお、成型用シャトル400に設けられたサーボモータM4はガラス板の曲げ成形装置100Aを統括制御するコントローラ(図示せず)に接続されており、このコントローラにより駆動が制御される構成となっている。上記サーボモータM1〜M4は、駆動ユニット440を構成する。
【0055】
ここで、遮蔽機構420の詳細について図5及び図6を参照して説明する。図5は成形炉20の炉床24を下方からみた底面図である。図6Aは図5中A−A線に沿う縦断面図である。図6Bは図5中B−B線に沿う縦断面図である。
【0056】
図5に示されるように、成形炉20の炉床24には、ガラス板Gの搬送方向である矢印X方向に一対のスリット450が平行に延在形成されている。このスリット450は、前述した支柱211を挿通させるためのものであり、矢印X方向の延在寸法が成型用シャトル400の移動範囲に対応する長さに形成されている。
【0057】
成形用シャトル400は、図5中2点鎖線で示す輪郭形状を有するのに対し、遮蔽機構420の遮蔽部材421は、成形用シャトル400に対応する範囲L1だけでなく、成形用シャトル400の前後方向の夫々に所定長さL2、L3の範囲まで延長されている。従って、遮蔽部材421の矢印X方向の全長Lは、L1+2L2+L3となり、成形用シャトル400を含む広範囲をカバーしている。
【0058】
また、遮蔽部材421は、支柱211を挿通させるための四角形状(下方から見た形状)の挿通孔421aが設けられている。この遮蔽部材421は、例えば、支柱211の矢印Y方向の側面に連結されており、成形用シャトル400の台車410がレール25上を走行すると共に、同方向に移動する。その際、遮蔽部材421を支持する車輪424が軌道部材422の内側に形成された軌道面423を転動することにより、遮蔽部材421は、水平状態のまま成形用シャトル400の移動方向に移動する。
【0059】
軌道部材422はスリット450よりも長く設けられている。成形用シャトル400がスリット450の端部まで移動した際は、遮蔽部材421がスリット450のない炉床24の下方に潜り込む。このような構成にすることで長尺の遮蔽部材を採用することができ、スリット450を広範囲で遮蔽することができる。また、上記長さL2、L3は、スリット450より長い軌道部材422の長さによって設定される。
【0060】
尚、成形用シャトル400の支柱211の側面に設けられたサーボモータM1,M2の可動ロッド252,253も遮蔽部材421と接触しないように挿通孔421aに挿通されている。
【0061】
遮蔽部材421は、スリット450のうち上記挿通孔421aを除いて成形用シャトル400の上方及び成形用シャトル400の所定長さ分の領域を遮蔽するように設けられているため、加熱成形炉50内の熱(輻射熱及び対流熱)が低下することを防止できる。また、成形炉20内の熱(輻射熱及び対流熱)がスリット450から下方に伝わらないようにして成形用シャトル400の台車410に搭載された真空発生ユニット430(ポンプ413,タンク416)及び駆動ユニット440(サーボモータM1〜M4)が高温になることを防止し、真空発生ユニット430及び駆動ユニット440の加熱による劣化を防止することができる。
【0062】
また、成形用シャトル400がレール25上を走行して移動する際は、遮蔽部材421が成形用シャトル400の前後方向に所定長さL2、L3分延長されているので、スリット450からの高熱が遮蔽された雰囲気を成形用シャトル400が走行することになり、移動に伴う真空発生ユニット430及び駆動ユニット440の加熱による劣化も防止することができる。さらに、遮蔽部材421を成形炉20の軌道部材422を走行する車輪424により支持する構成とすることにより、長尺の遮蔽部材421が撓むことなく移動させることができる。
【0063】
次に、図7を参照して、ガラス板の曲げ成形装置100Aによるガラス板Gの曲げ成形方法について説明する。図7は、本実施例のガラス板Gの曲げ成形方法を示すフローチャートである。
【0064】
先ず、図2の加熱炉10内で徐々に加熱されたガラス板Gは、ローラコンベア14によって成形炉20まで搬送される(ステップS1)。成形炉20に搬入されたガラス板Gは、搬入口直後に設置されているハースベッド21上に載置される。ハースベッド21に設けられた無数の孔21aからは加熱されたエアが吹き出され、ガラス板Gはこのエアの吹き付け力によって浮上し、エアーフローティング支持される。
【0065】
一方、ハースベッド21は、ガラス板Gの搬送方向前方(図2の矢印X1方向)に向けて約1°の下り勾配を有し、ガラス板Gはローラコンベア14によって搬入された際の慣性力及び自重によってX1方向に進行する。ガラス板Gの搬送方向前端部には、図1に示す一対のポジショナー22が待機しており、進行してきたガラス板Gの前方両角部にそれぞれ当接する。ポジショナー22は、図示しない制御装置の指示に応じて、図1のXまたはY方向に適宜移動し、ガラス板Gのハースベッド21上における位置決めを行う。
【0066】
位置決めされたガラス板Gの上方には、ガラス板Gを吸引支持するためのフラットモールド23が待機し、位置決めされたガラス板Gをこのフラットモールド23により吸引支持する。その後、フラットモールド23は、図2の1点鎖線の位置に待機している成型用シャトル400に搭載された下部成形装置200上方まで水平移動してから停止し、エアの吸引を解除する。これにより、ガラス板Gは下部成形装置200上に落下し、あおり機構付き内型230に載置された状態となる(ステップS2)。具体的には、ガラス板Gは、水平状態とされた内型固定フレーム237,内型可動フレーム239の上部に載置された状態となる。図3は、フラットモールド23からガラス板Gがあおり機構付き内型230に移載された状態を示している。
【0067】
上記のように、水平状態とされた内型固定フレーム237,内型可動フレーム239の上部にガラス板Gが載置されると、下部成形装置200が成型用シャトル400と共に、レール25上を矢印X1方向に移動し始める。そして、サーボモータM1が駆動を開始して可動ロッド252を降下させる。これにより、基台235も降下し、内型可動フレーム239は上方向に回動する。また、あおり機構付き内型230上に載置されたガラス板Gは、成形炉20内の高温雰囲気によって曲げ成形可能温度まで加熱され軟化している。
【0068】
このため、あおり機構付き内型230に載置されたガラス板Gは、内型固定フレーム237の両端部に枢設された内型可動フレーム239にあおられて予備成形が行われる。この際、ガラス板Gの予備成形速度(あおり速度)は、サーボモータM1の駆動制御を行い、可動ロッド252のZ1方向の移動速度を調整することにより制御することが可能である。
【0069】
こうして予備成形を行われながらガラス板Gは、レール25上を移動する成型用シャトル400と共に下部成形装置200が上部成形装置300の直下まで搬送され、停止する。この方法によれば、ガラス板Gの搬送時間を利用して予備成形も行うため製造時間の短縮を図ることができ、よってガラス板Gの成形効率の向上を図ることができる。
【0070】
上部成形装置300は、成形面に無数の孔が空いており、各孔からエアがモールド内に吸い込まれ、プレス成形後のガラス板Gを吸引により吸着支持できる。また、基台235が降下すると、内型固定フレーム237が降下し、ガラス板Gをあおりながら、あおり機構付き成形用リング240とあおり機構付き内型230が近接する。基台235が移動台210に載置されるまで降下し続け、徐々にあおり機構付き内型230からあおり機構付き成形用リング240にガラス板Gを移し替える(ステップ3)。
【0071】
ガラス板Gがあおり機構付き成形用リング240に移し替えられたら、上部成形装置300は下降するように駆動され、あおり機構付き成形用リング240の可動フレーム244をあおりながら、ガラス板Gをプレス成形する。
【0072】
図2に示されるように、成形用モールド302を下降させながら平行して可動ロッド253を上昇させてあおり機構付き成形用リング240の可動フレーム244をあおり、成形用モールド302とあおり機構付き成形用リング240とでガラス板Gを挟み込み、プレス成形を実施する(ステップ4)。この際、ガラス板Gのあおり速度は、サーボモータM2の駆動制御を行い、可動ロッド253のZ1方向の移動速度を調整することにより制御することが可能である。
【0073】
次いで、成形用モールド302の成形面に設けられている無数の孔から吸引することにより、ガラス板Gを成形面に吸着支持し、可動フレーム244を外側に開きながら上部成形装置300を上昇させる。その後、成形炉20の搬出側のシャトルドア26を開放し、下部成形装置200を上流側に戻すと共に、クエンチリング33aを成形炉20内に進入させ、成形用モールド302に吸着したガラス板Gの直下で停止させる。
【0074】
次いで、成形用モールド302の吸引を解除することにより、ガラス板Gをクエンチリング33aに落下及び載置する。そして、クエンチリング33aに載ったガラス板Gを成形炉20の外に搬出し、風冷強化装置30の下部吹き口ヘッド31及び上部吹き口ヘッド32間に運び、両ヘッドのノズルからエアを吹き出すことにより、ガラス板Gを風冷強化する。
【0075】
風冷強化が完了すると、下部吹き口ヘッド31からの吹き出し圧力を上部吹き口ヘッド32よりも高め、上部吹き口ヘッド32の下面にガラス板Gをエアの力で押し付けると共に、キャッチ部材33bをガラス板G直下に移動させ、両ヘッドの吹き出し圧力を弱めてガラス板Gをキャッチ部材33bにより受け取る。
【0076】
次いで、搬出用シャトル33を水平移動させ、エアーフローティング装置41上方までガラス板Gを搬送する。エアーフローティング装置41上方に到着したガラス板Gは、エアーフローティング装置41から噴出したエア吹き付け圧力により上昇させられ、ストッパ42にガラス板Gが押し付けられている間に、搬出用シャトル33を成形炉20側に水平移動させる。次いで、エアの吹き出しを解除することにより、ガラス板Gをゴム製の搬出用ローラコンベア40に落下させ、コンベア40によって図示しない検査工程に搬送する。以降上記工程を全てのガラス板の生産が完了するまで繰り返す(ステップS5)。
【0077】
上記のように、本実施例に係るガラス板Gの曲げ成形方法では、下部成形装置200が内型可動フレーム239を有したあおり機構付き内型230を設けているため、あおり機構付き成形用リング240によるガラス板Gの曲げ成形に先立ち、あおり機構付き内型230の内型可動フレーム239を用いてガラス板をあおり、深曲げ成形のための予備成形を実施する。その後、あおり機構付き成形用リング240にガラス板を移載し、成形用モールドで押し付け、かつガラス板Gを可動フレーム244であおる。このように、徐々に曲げて深曲げ成形しているため、急激にあおる必要はなくなり、よって複雑な深曲げ成形であっても、しわが発生しにくく、精度の高い成形を行うことが可能となる。
【0078】
次に、本発明の第2実施形態であるガラス板の曲げ成形装置及びこれを用いたガラス板Gの曲げ成形方法について説明する。
〔第2実施形態〕
図8及び図9は、本発明の第2実施形態であるガラス板の曲げ成形装置100Bを示している。なお、図8及び図9、また後の動作説明に用いる図10〜図11において、図1乃至図7に示した第1実施形態であるガラス板の曲げ成形装置100Aと対応する構成については同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
【0079】
前記した第1実施形態であるガラス板の曲げ成形装置100Aは、成形炉20内に下部成形装置200と上部成形装置300をそれぞれ1台のみ配設した構成としていた。これに対して本実施形態であるガラス板の曲げ成形装置100Bは、成形炉20内に予備成形装置60と本成形装置62とを2台設けたことを特徴とするものである。
【0080】
予備成形装置60は、フラットモールド23から移載されたガラス板Gに対して予備成形を行うものである。この予備成形装置60は、下部成形装置200と上部成形装置300とにより構成されている。この下部成形装置200及び上部成形装置300は、第1実施形態で説明したのと略同一の構成とされている。よって、ここでは下部成形装置200及び上部成形装置300の説明は省略するものとする。
【0081】
本成形装置62は、下部成形装置500と上部成形装置600とにより構成されている。図10に示すように、下部成形装置500は、移動台510を支持すると共にレール25上を自走する成型用シャトル(搬送手段)700と、移動台510に設置された下部モールド520と、下部モールド520の周囲に設置された本成形用リング540とで構成されている。この下部モールド520及び本成形用リング540は、ガラス板Gの最終的な製品形状に対応した形状とされている。
【0082】
成型用シャトル700は、基本的には図4を用いて説明した成型用シャトル400と同一構成とされている。具体的には、成型用シャトル700は、移動台510、支柱511、台車710、及び移動ローラ718等により構成されている。この成型用シャトル700にも上記遮蔽機構420が設けられている。尚、駆動ユニット440(サーボモータM1〜M4)は、成形補助手段に対応させて適宜設けられる。
【0083】
本実施の形態では、2台の成型用シャトル400,700が各工程において、図中矢印X1,X2方向に個別に移動するため、図12A及び図12Bに示されるように、互いに近接する場合がある。そのため、成型用シャトル400,700が最も近接した位置になったとき、遮蔽機構420の遮蔽部材421A,421Bは、夫々X方向の全長が互いに接触しない長さに設定される。
【0084】
また、成型用シャトル400,700が最も近接した位置になったとき、遮蔽部材421A,421Bの端部同士が重なるように構成する場合は、遮蔽部材421A,421Bは、異なる高さ位置に設けられる。例えば、成型用シャトル400の遮蔽部材421Aは、成型用シャトル700の遮蔽部材421Bよりも低い高さ位置に支持される。そのため、2台の成型用シャトル400,700が接近した場合は、遮蔽部材421A,421Bの端部同士が接触せず、高さ方向にずれた状態で互い違いに重なることができる。
【0085】
尚、互いに重なる長さ(オーバラップ長)は、上部成形装置300,600の間隔によって決まるため、予め支柱211,511に接触しない突出長さに設定される。また、軌道部材422がスリット450よりも長く形成される。成型用シャトル700の遮蔽部材421Bの下流側の長さは、スリット450より長く延設された分の軌道部材422の長さに応じて設定される。同様に成型用シャトル400の遮蔽部材421Aの上流側の長さは、スリット450より長く延設された分の軌道部材422の長さに応じて設定される。これにより、遮蔽部材421A及び遮蔽部材421Bをできるだけ長く設定することが可能となり、遮蔽部材421A及び遮蔽部材421Bがスリット450を広範囲で遮蔽することができる。
【0086】
成型用シャトル700の移動台510は、前記のように下部モールド520及び本成形用リング540等が載置されている。また、台車710には、移動ローラ718が設けられている。この移動ローラ718は、サーボモータM4(図4参照)により回転駆動される。移動ローラ718はレール25に係合しており、よってサーボモータM4を駆動することにより、成型用シャトル700は図中矢印X1,X2方向(ガラスGの搬送方向)に移動する。なお、成型用シャトル400に設けられたサーボモータM4はガラス板の曲げ成形装置100Bを統括制御するコントローラ(図示せず)に接続されており、このコントローラにより駆動が制御される構成となっている。
【0087】
また、下部成形装置200が搭載された成型用シャトル400と、下部成形装置500が搭載された成型用シャトル700とは、互いに連結されておらず、夫々独自に走行可能な構成とされている。なお、各成型用シャトル400,700に設けられたサーボモータM4は図示しないコントローラに接続されており、このコントローラにより駆動が制御される構成となっている。
【0088】
ところで、上記した予備成形装置60(下部成形装置200)に設けられたあおり機構付き成形用リング240及び下部モールド220の表面の形状は、本成形装置62(下部成形装置500)の本成形用リング540の表面の形状よりも浅いものとなっている。即ち、予備成形におけるガラス板Gの変形量は、平板形状のガラス板が最終形状に変形されるまでの変形量の20〜80%(最適値としては20〜50%)とすることが好ましく、これはガラス板Gのダブリ量(cross−curvature)をパラメータとして規定することが好ましい。
【0089】
ダブリ量は、変形の度合いが最も大きいガラス板の面内の部位(曲げ成形時に生じる引張り力が最大となる部位等)における曲率を基準として定めてもよい。また、複数の点における曲率の平均値を基準として定めてもよい。何れの場合においても、最終的な曲率の20〜80%の範囲で予備成形するとよい。このような予備成形をすることにより、本成形の際にガラス板Gに無理な力が加わることがなくなり、ガラス板にしわが寄ったり光学歪が生じたりする等の問題を防ぐことができる。
【0090】
一方、上部成形装置600は、架台(図示せず)に設置された本成形用モールド602と、本成形用モールド602に連通したダクト604とで構成されている。本成形用モールド602は、その内部が中空の金属製(鋳物)モールドであり、ガラス板Gと当接する面(以下、成形面という)が所定の湾曲形状を有する。
【0091】
成形面には無数の孔が空いており、ダクト604を介して吸引することにより、各孔からエアがモールド内に吸い込まれ、プレス成形後のガラス板Gを吸引により吸着支持できる。また、その逆にダクト604を介してエアを吹き出すこともできる。なお、本成形用モールド602の成形面は、ステンレス等からなる耐熱性クロスまたは耐熱性不織布で覆われている。
【0092】
続いて、図8乃至図13を参照し、上記構成とされたガラス板の曲げ成形装置100Bにおける、ガラス板Gの曲げ成形方法について説明する。
【0093】
図8乃至図13は、ガラス板の曲げ成形装置100Bにおいて予備成形装置60から本成形装置620近傍を拡大して示す要部構成図である。なお、図8乃至図13における下部成形装置200及び下部成形装置500の図示において、ガラス板Gの搬送方向が図10乃至図13のように矢印X1方向である場合には、下部成形装置200及び下部成形装置500は正式には正面視した図(図4に示されるような図)となる。しかしながら、図示及び説明の便宜上、図10乃至図13においては、下部成形装置200及び下部成形装置500は側面視した状態の図を示している。
【0094】
図10は、フラットモールド23から今回成形処理されるガラス板Gがあおり機構付き内型230に移載された状態を示している。この時、成型用シャトル400は図中矢印X2方向限の位置まで移動しており、この状態で下部成形装置200及び成型用シャトル400は、フラットモールド23の直下に位置している。この時、本実施例では本成形装置62の下部成形装置500及び成型用シャトル700は、上部成形装置600の直下に位置しており、前回成形処理のガラス板Gに対して本成形用モールド602により本形成処理が行われている。
【0095】
上記のように、水平状態とされた内型固定フレーム237,内型可動フレーム239の上部にガラス板Gが載置されると、サーボモータM4が起動し下部成形装置200及び成型用シャトル400は、矢印X1方向に自走を開始する。この際、成型用シャトル400の移動は、成型用シャトル700に拘らず独自に走行する。即ち、本実施例では成型用シャトル400と成型用シャトル700とは、それぞれ独立して自走可能な構成とされている。
【0096】
この成型用シャトル400の自走開始と同時に、サーボモータM1も駆動され、可動ロッド252を降下させる。これにより基台235も降下され、図11に示すように内型可動フレーム239は図矢印Aで示す方向に回動する(図では、可動ロッド252及び基台235の図示を省略している)。また、あおり機構付き内型230上に載置されたガラス板Gは、成形炉20内の高温雰囲気によって曲げ成形可能温度まで加熱され軟化している。このため、あおり機構付き内型230に載置されたガラス板Gは、内型固定フレーム237の両端部に枢設された内型可動フレーム239にあおられて第1の予備成形が行われる。
【0097】
このガラス板Gに対する内型可動フレーム239による第1の予備形成は、下部成形装置200がフラットモールド23からガラス板Gを移載される位置から、上部成形装置300の直下位置に移動する間に実施される。これにより、ガラス板Gの搬送時間を利用して第1の予備成形が行われるため、ガラス板Gの製造時間の短縮を図ることができ、よってガラス板Gの成形効率の向上を図ることができる。
【0098】
なおこの時、本成形装置62では、前回成形処理のガラス板Gに対する本成形が終了し、本成形用モールド602が本成形用リング540から離間した状態となっている。また、本成形されたガラス板Gは、本成形用モールド602の成形面に設けられている無数の孔から吸引処理されることにより、本成形用モールド602に吸着された状態となっている。
【0099】
図12Aに示されるように、成型用シャトル400の移動により、下部成形装置200のガラス板Gが上部成形装置300直下に到着すると、基台235が降下することにより内型固定フレーム237が降下し、ガラス板Gをあおりながら、あおり機構付き成形用リング240とあおり機構付き内型230が近接する。これにより、ガラス板Gは徐々にあおり機構付き内型230からあおり機構付き成形用リング240にガラス板Gを移し替えられる。
【0100】
このとき、下部成形装置500及び成型用シャトル700は、上部成形装置600の直下に位置しているため、成型用シャトル400と近接した状態となる。すなわち、図12Bに示されるように、成型用シャトル400の遮蔽部材421Aと成型用シャトル700の遮蔽部材421Bとが近接するが、前述したように遮蔽部材421A,421Bは、異なる高さ位置に設けられているので、上下方向にずれた位置で重なり合うことになり、互いに接触しない。
【0101】
ガラス板Gがあおり機構付き成形用リング240に移し替えられたら、上部成形装置300は下降するように駆動され、図12Aに示すようにあおり機構付き成形用リング240の可動フレーム244をあおりながら、ガラス板Gをプレス成形する。即ち、成形用モールド302を下降させながら平行して可動ロッド253を上昇させてあおり機構付き成形用リング240の可動フレーム244をあおり、成形用モールド302とあおり機構付き成形用リング240とでガラス板Gを挟み込みプレスし、第2の予備成形を実施する。
【0102】
なお、この時、本成形装置62では、前回成形処理のガラス板Gは、シャトルドア26(図9参照)から風冷強化装置30に搬出された状態となっている。
【0103】
第2の予備成形処理が終了すると、次いで成形用モールド302の成形面に設けられている無数の孔から吸引することにより、ガラス板Gを成形面に吸着支持し、可動フレーム244を外側に開きながら上部成形装置300と下部成形装置200とを離間させる。その後、下部成形装置200及び成型用シャトル400をフラットモールド23からガラス板Gが移載される位置に向け矢印X2方向に自走させると共に、下部成形装置500及び成型用シャトル700を上部成形装置300の直下位置まで矢印X2方向に自走させる。図13は、下部成形装置200及び成型用シャトル400がフラットモールド23の直下位置まで移動し、下部成形装置500及び成型用シャトル700が上部成形装置300の直下位置まで移動した状態を示している。
【0104】
次に、ガラス板Gを吸引した成形用モールド302と、下部成形装置500の本成形用リング540は近接し、続いて吸引処理を停止することにより、ガラス板Gを本成形用リング540に移載する。ガラス板Gが本成形用リング540に移載されると、下部成形装置500及び成型用シャトル700は上部成形装置600の直下位置に向け自走を開始する。
【0105】
この時、下部成形装置200及び成型用シャトル400は、フラットモールド23からガラス板Gを移送される位置に停止している。また、フラットモールド23は、ハースベッド21上で位置決め処理が行われたガラス板Gを下部成形装置200の上部に位置に向け搬送している。
【0106】
次回成形処理がされるガラス板Gを吸着したフラットモールド23があおり機構付き内型230の直上位置まで移動し、下部成形装置500及び成型用シャトル700が上部成形装置600の直下位置まで移動すると、再び図10に示すように次回成形処理がされるガラス板Gがフラットモールド23からあおり機構付き内型230に移載されると共に、本成形装置62において本成形用モールド602が本成形用リング540を押し付け、今回成形処理されるガラス板Gに対して本成形処理が実施される。
【0107】
以後、図10乃至図13を用いて説明した処理が繰返し実施され、ガラス板Gに対する成形処理が連続的に行われる。このように、本発明の第2実施形態であるガラス板の曲げ成形装置100B及びこれを用いたガラス板Gの曲げ成形方法では、予備成形装置60と本成形装置62を設け、よって2つの成形用モールド302,602及び下部成形装置200,500を用い、ガラス板Gに対して2段の曲げ成形処理を行うため、ガラス板Gに対してより複雑で深い曲げ成形を行うことが可能となる。
【0108】
また、ガラス板Gに対して2段の曲げ成形を行う構成でも、成型用シャトル400と成型用シャトル700は独自に走行可能であるため、各成型用シャトル400,700の移動に無駄な待ち時間等がなくなり、効率の高いガラス板Gの搬送処理を行うことができる。よって、ガラス板Gの曲げ成形効率を高めることができ、曲げ成形処理に要する時間を短縮することができる。
【0109】
なお、上記した第2実施形態であるガラス板の曲げ成形装置100Bでは、予備成形装置60の下部成形装置200のみにあおり機構付き内型230及びあおり機構付き成形用リング240を設けた構成を例に挙げて説明したが、本成形装置62の下部成形装置にあおり機構付き内型230及びあおり機構付き成形用リング240を設けた構成としてもよい。この構成とした場合には、更に深い曲げ成形に対応することができる。
〔第3実施形態〕
図14は、本発明の第3実施形態であるガラス板の曲げ成形装置を示している。尚、図14においては、第3実施形態のガラス板の曲げ成形装置の全体の説明は、前記第1、第2実施形態と同じなので、その説明は省略し、以下では第3実施形態の特有な構成について説明する。
【0110】
図14に示されるように、成形用シャトル400の移動台210は、移動方向(X方向)に延在する一対の移動台210a,210bを有しており、一対の移動台210a,210b間には、センタリング機構800が取り付けられている。一対の移動台210a,210bは、それぞれY方向に左右対称となるように配されており、一対の移動台210a,210b間には、センタリング機構800が設けられている。センタリング機構800は、一対の移動台210a,210bの長手方向(X方向)の両端に設けられている。
【0111】
このセンタリング機構800は、移動台210a,210bが成形炉20の加熱により高温になった場合の熱膨張を吸収するように移動台210a,210b間の距離を調整することにより移動ローラ418がレール25から脱輪することを防止する。
【0112】
ここで、センタリング機構800の構成及び動作について図15A及び図15Bを参照して説明する。図15Aは移動台210a,210bが熱膨張する前のセンタリング機構800の状態を拡大して示す図である。図15Bは移動台210a,210bが熱膨張したときのセンタリング機構800の動作を拡大して示す図である。
【0113】
図15Aに示されるように、センタリング機構800は、常にY方向の中間位置を一定位置とすることが可能となる。即ち、センタリング機構800は、中央に上下方向(Z1,Z2方向)に延在する中央アーム821を有し、この中央アーム821と左側に位置する移動台210aとの間に左側平行リンク823a,823bを設け、中央アーム821と右側に位置する移動台210bとの間に右側平行リンク822a,822bを設けた構成とされている。各平行リンク821,822a,822b,823a,823bは、ピン824a〜824fにより回動自在に連結されている。各平行リンク821,822a,822b,823a,823bの長さは、夫々同一であるため、熱膨張による一対の移動台210a,210bの水平方向変位は、各平行リンク821,822a,822b,823a,823bの回動動作によって偏りなく吸収される。
【0114】
例えば、図3に示す成形用シャトル400の場合、移動台210が成形炉20内を移動するとき、高温に晒されるため、移動台210の両側を支持する支柱211のY方向間隔が広がる方向に熱膨張が発生し、移動ローラ418がレール25から脱輪するおそれがある。
【0115】
しかしながら、上記センタリング機構800を一対の移動台210a,210b間に配することにより、例えば図15Aに示す加熱前(膨張前)の状態から、熱膨張により各移動台210a,210bが図中矢印Fで示す水平方向に変位する。一対の移動台210a,210bの熱膨張による水平方向の変位(近接方向変位)は、図15Bに示されるように、各平行リンク822a,822b,823a,823bが回動することにより中央アーム121は図中矢印Z1方向に上昇変位し、これにより熱膨張を吸収することができる。よって、センタリング機構800を設けることにより、一対の移動台210a,210bを支持する支柱211,211間のY方向距離が変化せず、移動ローラ418の脱輪を防止することができる。
【0116】
尚、上記説明では、第1実施形態に示す成形用シャトル400の移動台210にセンタリング機構800を設けた構成について説明したが、第2実施形態に示す成形用シャトル700にもセンタリング機構800を設ける構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0117】
10 加熱炉
20 成形炉
30 風冷強化装置
40 搬出用ローラコンベア
50 加熱成形炉
60 予備成形装置
62 本成形装置
100A,100B ガラス板の曲げ成形装置
200,500 下部成形装置
210,510 移動台
211,511 支柱
220 下部モールド
230 あおり機構付き内型
240 あおり機構付き成形用リング
300,600 上部成形装置
400,700 成型用シャトル
410,710 台車
420 遮蔽機構
430 真空発生ユニット
435 湾曲プレート
440 駆動ユニット
450 スリット
418,718 移動ローラ
800 センタリング機構
M1〜M4 サーボモータ
G ガラス板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるガラス板を所定温度に加熱する加熱成形炉と、
前記加熱成形炉の炉床に形成され、前記ガラス板の搬送方向に延在形成されたスリットと、
前記加熱成形炉の内部を搬送される前記ガラス板が載置される成形用リングと、
前記成形用リングが搭載されて前記加熱成形炉内を移動する移動台と、前記炉床の下方の床面を走行する台車と、前記スリットに挿通され、上端が前記移動台を支持し、下端が前記台車に結合された支柱とを有する搬送手段と、
を備えたガラス板の曲げ成形装置において、
前記支柱に連結され、前記スリットに沿って前記炉床の下方に配設された前記スリットの少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部材と、
前記炉床の下面に前記スリットに沿うように延在形成された軌道部材と、
前記遮蔽部材を支持し、前記軌道部材の軌道面を走行する車輪と、
を備えたことを特徴とするガラス板の曲げ成形装置。
【請求項2】
前記成形用リングは、前記ガラス板の成形を補助する成形補助手段を備え、
前記台車には、前記成形補助手段を動作させる動力手段が搭載されている請求項1に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項3】
前記成形補助手段は、中空であり、ガラスと対向する面に複数の孔を有する前記成形用リングの内側に設けられた下部モールドを有し、
前記動力手段は、下部モールドに真空を供給する真空発生装置である請求項2に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項4】
前記成形補助手段は、前記成形用リングが、固定フレームと、該固定フレームに枢設された可動フレームと、を備えたリングあおり機構を有し、
前記動力手段は、前記可動フレームをあおり動作させる駆動ユニットである請求項2または3に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項5】
前記加熱成形炉は、前記搬送手段が移動可能に複数台設けられ、
複数の前記搬送手段に設けられた各遮蔽部材は、隣り合う遮蔽部材と互いに干渉しない長さに形成された請求項1から4の何れかに記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項6】
前記加熱成形炉は、前記搬送手段が移動可能に複数台設けられ、
複数の前記搬送手段に設けられた各遮蔽部材は、隣り合う遮蔽部材と互いに干渉しない高さに配設された請求項1から4の何れかに記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載のガラス板の曲げ成形装置を用いてガラス板を曲げ成形することを特徴とするガラス板の曲げ成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2011−168428(P2011−168428A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32855(P2010−32855)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】