説明

ガラス板梱包体

【課題】樹脂製のクッション材と金属製のフレーム部材とを接着してなるガラス板梱包体であって、クッション材がフレーム部材から剥離するのを防止する。
【解決手段】ガラス板梱包体10の背板12を構成するポリエチレンシート30は、フレーム部材20との接着面側の面に多数本の溝32、32…が形成されている。これにより、夏季、冬季においてポリエチレンシート30がフレーム部材20よりも大きく熱変形しても、その熱変形差が溝32によって吸収されるので、ポリエチレンシート30がフレーム部材20から剥離するのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス板梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板等のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス板の大型化のニーズが高まっている。従来、このような大型のガラス板を輸送するガラス板梱包体として、特許文献1、2に縦置きのガラス板梱包体が開示されている。
【0003】
ガラス板梱包体は、台座、底板、フレーム部材、及び背板(背受け板)等から構成されている。台座の上面には搭載面が形成され、この搭載面は、機械加工により所定の平坦度に仕上げられている。この搭載面上に前記底板が所定の傾斜角度で設置され、この底板上にガラス板の下縁が載置される。フレーム部材も同様に前記搭載面上に所定の角度で立設され、このフレーム部材に背板が取り付けられ、この背板にガラス板の面が受けられる。
【0004】
また、特許文献2のガラス板梱包体には、背板に受けられたガラス板の側方部に当接されてガラス板の側方移動を規制する側方押え部材が設けられている。したがって、ガラス板は、背板の傾斜角度をもって底板上に積載されるとともに側方押え部材によって側方の位置ずれが規制された状態でガラス板梱包体に梱包される。
【0005】
特許文献1、2の背板は、ガラス板を載置した際のガラス板との接触による損傷を防止するために樹脂性のクッション材によって構成されている。特許文献1には、ポリエチレン系のクッション材が開示され、特許文献2にはゴムや硬質の発泡性樹脂等のクッション材が開示されている。これらのクッション材が、鋼製のフレーム部材に接着剤によって固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−132490号公報
【特許文献2】特開2005−298062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のガラス板梱包体は、樹脂製のクッション材と鋼製のフレーム部材の線膨張係数が異なることに起因して、夏季、冬季にフレーム部材からクッション材が剥がれるという欠点があった。例えば、ポリエチレン製のクッション材の線膨張係数は10〜20×10−5/℃であり、鋼製のフレーム部材の線膨張係数は12×10−6/℃である。このような差によって夏季、冬季においてはクッション材がフレーム部材よりも10〜20倍大きく熱変形するため、その熱変形の差によって接着面が剥がれるという問題が発生していた。接着面が剥がれると、その剥離面が発塵源となり、そこから発生した塵が、ガラス板の梱包時及び開梱時にガラス板に付着してガラス板を汚染するという問題があった。よって、フレーム部材からクッション材が剥がれると、そのクッション材をその都度交換したり修繕したりしなければならず、手間と時間を要していた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、樹脂製のクッション材と金属製のフレーム部材とを接着してなるガラス板梱包体であって、クッション材がフレーム部材から剥離するのを防止することができるガラス板梱包体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上面に搭載面が形成された台座と、前記台座の前記搭載面に所定の角度で傾斜して設けられるとともにガラス板の下縁が支持される底板と、前記台座の搭載面に所定の角度で傾斜して立設された金属製のフレーム部材と、前記フレーム部材にその裏面が接着されるとともにその表面がガラス板の受け面となる樹脂製のクッション材とを備えたガラス板梱包体において、前記クッション材の裏面には、溝が備えられていることを特徴とするガラス板梱包体を提供する。
【0010】
本発明によれば、樹脂製のクッション材の裏面には、すなわち、金属製のフレーム部材との接着面側の面には溝が備えられている。これにより、夏季、冬季においてクッション材がフレーム部材よりも大きく熱変形しても、その熱変形差が溝によって吸収される。つまり、クッション材がフレーム部材よりも大きく熱膨張した場合には、溝の対向する壁面が膨張することで前記熱変形差が吸収される。これとは逆にクッション材がフレーム部材よりも大きく熱収縮した場合には、溝の対向する壁面が収縮することで前記熱変形差が吸収される。このような溝の熱変形差吸収作用によって、クッション材とフレーム部材との接着面には、それを剥離させる力が大幅に減少する。これにより、クッション材がフレーム部材から剥離するのを防止できる。また、接着面が剥離しないため発塵は起こらず、よって、接着面からの発塵に起因するガラス板の汚染も防止することができる。
【0011】
また、本発明の前記溝は、前記クッション材の端部を除く内面側に備えられていることが好ましい。
【0012】
クッション材の端部に貫通するように溝を形成すると、溝が外部に露出するため、その露出した溝が発塵源となり、そこから発生した塵でガラス板が汚染される場合がある。よって、本発明の如く、クッション材の端部を除く内面側に溝を形成し、溝を外部に露出しない構造としたので、溝からの塵でガラス板が汚染されることはない。
【0013】
また、本発明の前記溝は、格子状に備えられていることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、溝を格子状に備えることで、クッション材の中央を中心して放射方向に作用するクッション材の膨縮を効率よく吸収することができる。
【0015】
また、本発明の前記フレーム部材は鋼製であり、前記クッション材はポリエチレン製又はエチレン酢酸ビニール共重合樹脂製であることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、フレーム部材が鋼製なので、ガラス板の面を支持する強度を確実に得ることができる。また、クッション材がポリエチレン製又はエチレン酢酸ビニール共重合樹脂製なので耐衝撃性を確実に得ることができるとともに、溝加工を容易に施すことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明のガラス板梱包体によれば、クッション材のフレーム部材との接着面側の面に、フレーム部材との熱膨縮の差を吸収する溝を形成したので、クッション材がフレーム部材から剥離するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態のガラス板梱包体の全体斜視図
【図2】背板と底板の下部構造を示す拡大断面図
【図3】背板の要部拡大断面図
【図4】図3に示したクッション材が熱膨張した際の要部拡大断面図
【図5】図3に示したクッション材が熱収縮した際の要部拡大断面図
【図6】図1に示した下部横押さえ部材の全体斜視図
【図7】実施の形態の下部横押さえ部材の組立斜視図
【図8】実施の形態の下部横押さえ部材を裏側から見た斜視図
【図9】上部横押さえ部材が設けられたガラス板梱包体の側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明に係るガラス板梱包体の好ましい実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、実施の形態のガラス板梱包体10の全体斜視図である。また、図2は、後述する背板12及び底板14の下部構造を示した拡大断面図である。
【0021】
図1に示すガラス板梱包体10は、特にプラズマディスプレイ用ガラス板を縦置き状態で梱包するガラス板梱包体である。また、ガラス板梱包体10は、例えば42インチのガラス板を4枚又は6枚取り可能な大サイズのガラス板を、合紙を挟んで梱包するガラス板梱包体である。更に、ガラス板梱包体10は、ガラス板を斜めに立て掛けた状態で梱包する梱包体である。なお、ガラス板梱包体10の用途は、これに限定されるものではなく、多種のガラス板の梱包体として適用することができる。また、ガラス板は図9に示すシート82に包装された状態でガラス板梱包体10に梱包されて出荷される。
【0022】
ガラス板梱包体10は、上面に平坦な搭載面16が形成された台座18と、図2の如く搭載面16に対し約15°の角度(θ)で傾斜して設けられるとともにガラス板の下縁が載置される平坦な底板14を備える。また、ガラス板梱包体10は、台座18の搭載面16に対し約105°(底板14に対して約90°(θ))の角度で傾斜して立設された鋼製のフレーム部材(線膨張係数:12×10−6/℃)20を備える。更に、ガラス板梱包体10は、フレーム部材20の前面に接着剤により固着されるとともにガラス板の面を受ける平坦な樹脂製の背板(クッション材)12を備えている。
【0023】
また、ガラス板梱包体10には、底板14を所定の角度(θ)をもって搭載面16に支持する底板受け部材22を有する。また、ガラス板梱包体10は、図1の如く搭載面16に立設されてフレーム部材20の背面を支持する枠状のフレーム受け部材24を有している。
【0024】
台座18は、長短多数本の鋼材を縦横、高さ方向に溶着することにより構成され、溶着組み立て後に機械加工(研削加工)によってその搭載面16が所定の平坦度に加工されている。また、台座18の前後方向の面にはフォークリフトの爪(不図示)が挿抜される開口部26、26が形成されている。
【0025】
前述した合紙は、ガラス板同士が直接接触するのを防止するためにガラス板間に挟むシートである。この合紙は、合紙が含有する樹脂分がガラス板の表面に転写されて紙肌模様や焼けや汚れが生じることを防ぐため、紙の平滑度が20秒以下、好ましくは18秒以下の粗面とされている。これにより、ガラス板の表面との接触面積が減少するので、樹脂分の転写を防ぐことができる。また、紙の樹脂分を0.1%以下、好ましくは0.05%以下とすることにより、粗面との複合作用によりガラス板の品質を保持することができる。したがって、合紙によるパーティクル等(パルプや微少樹脂分の屑等)の発生があったとしても、ガラス板がガラス板梱包体10に立て掛けられて梱包することと相まって、ガラス板の表面にパーティクル等は固着せず、その後のガラス板の洗浄等により容易に除去される。
【0026】
フレーム部材20に取り付けられる矩形状の背板12は、図2に示すようにポリプロピレン発泡シート(商品名:スミセラー(登録商標)、線膨張係数:10〜12×10−5/℃)28とポリエチレンシート(線膨張係数:10〜20×10−5/℃)30とからなる二重シート構造に構成されている。ポリプロピレン発泡シート28は、積層されるガラス板の面を受ける部材である。このポリプロピレン発泡シート28の裏面に、ポリエチレンシート30の表面が貼り付けられる。そして、このポリエチレンシート30の裏面34がフレーム部材20に接着剤によって固着されている。
【0027】
ポリエチレンシート30の裏面34には、図1の破線で示すように、縦横複数本の溝32、32…が格子状に形成されている。これらの溝32、32…は、一例として厚さ23mmのポリエチレンシート30に、幅5mm、深さ5mmの形状を有しており、ポリエチレンシート30の成形時、又は後加工により備えられたものである。なお、溝32の本数、幅、深さは前記本数及び寸法に限定されるものではないが、後述するフレーム部材20とポリエチレンシート30との熱変形差を吸収できるものであれば、如何なる本数及び寸法でも構わない。また、溝32の幅については3〜10mmが好ましく、5〜8mmがより好ましい。溝32の深さについては3〜10mmが好ましく、5〜8mmがより好ましい。
【0028】
次に、前記の如く構成された背板12の作用について説明する。
【0029】
前述の如く、ポリエチレンシート30のフレーム部材20との接着面側である裏面34には、多数本の溝32、32…が形成されている。これにより、夏季、冬季においてポリエチレンシート30がフレーム部材20よりも大きく熱変形しても、その熱変形差が溝32によって吸収される。
【0030】
具体的に説明すると、ポリエチレンシート30は図3の断面図の如く、その溝32が形成された裏面34のうち必要箇所がフレーム部材20に接着剤によって接着されている。夏季時等の気温が高い日において、ポリエチレンシート30がフレーム部材20よりも大きく熱膨張すると、図4の断面図の如く、溝32の対向する壁面が、溝32の内側に膨張することで前記熱変形差が吸収される。これとは逆に、冬季時等の気温が低い日において、ポリエチレンシート30がフレーム部材20よりも大きく熱収縮すると、溝32の対向する壁面が、溝32の外側に向けて収縮することで前記熱変形差が吸収される。
【0031】
このような溝32の熱変形差吸収作用によって、ポリエチレンシート30とフレーム部材20との接着面には、それを剥離させる力がほとんど作用しなくなるため、ポリエチレンシート30がフレーム部材20から剥離するのを防止できる。
【0032】
また、この背板12によれば、前記接着面が剥離しないため発塵は起こらず、よって、接着面からの発塵に起因するガラス板の汚染も防止することができる。
【0033】
一方、ポリエチレンシート30に形成される溝32は、図1の如くポリエチレンシート30の端辺部を除く内面側に形成されている。これとは逆に、ポリエチレンシート30の端辺部に溝32が貫通するように溝32を形成すると、溝32の端部開口部が外部に露出する。このため、その露出した溝32の端部開口部が発塵源となり、そこから発生した塵でガラス板が汚染される場合がある。
【0034】
よって図1の如く、ポリエチレンシート30の端辺部を除く内面側に溝32を形成し、溝32を外部に露出しない形状とすることにより、溝32からの塵でガラス板が汚染されるのを防止することができる。
【0035】
また、溝32、32…は、縦横の格子状に形成されているため、ポリエチレンシート30の中央を中心して放射方向に作用するポリエチレンシート30の膨縮を効率よく溝32、32…で吸収することができる。なお、溝32の形成形状は格子状に限定されるものではなく、斜め方向にクロスするような形状でもよい。
【0036】
実施の形態のフレーム部材20は、鋼製(線膨張係数:12×10−6/℃)のものが用いられており、ポリエチレンシート30はポリエチレンシート(線膨張係数:10〜20×10−5/℃)が用いられている。このようにフレーム部材20を鋼製とすることにより、ガラス板の面を支持する強度を確実に得ることができる。また、背板12をポリエチレンシート30で構成することにより、耐衝撃性を確実に得ることができるとともに、溝32の加工を容易に施すことができる。なお、ポリエチレンシート30に代えてエチレン酢酸ビニール共重合樹脂製のシート材を用いても同様な効果を得ることができる。また、図1では、単一の背板12を示しているが、2枚以上に分割された複数の小サイズの背板を組み合わせて1枚の大サイズの背板12としてもよい。
【0037】
一方、ガラス板梱包体10の底板14も図2の如く、二重シート構造に構成されている。この底板14の上層はポリプロピレン発泡シート36、下層は発泡ポリエチレンシート38で構成される。上層のポリプロピレン発泡シート36によって適度な硬さと良好なクッション性を得ることができ、下層の発泡ポリエチレンシート38によって、ガラス板にとって良好な衝撃吸収性を得ることができる。
【0038】
また、ポリプロピレン発泡シート36と発泡ポリエチレンシート38は、接着剤によって接着されるが、接着性を高めるために、双方の接着面、又は一方の接着面にプライマ処理を施すことが好ましい。また、発泡ポリエチレンシート38は、その下面が金属製の底板受け部材22に接着剤により接着される。このため、発泡ポリエチレンシート38の下面に、図1の破線の如く溝40、40…を形成することが好ましい。これにより、発泡ポリエチレンシート38と底板受け部材22との熱膨縮差による、発泡ポリエチレンシート38の変形が溝40、40…によって吸収される。よって、底板受け部材22から発泡ポリエチレンシート38が剥離するのを防止することができる。
【0039】
図6は、図1に示した下部横押さえ部材42Aの全体斜視図であり、図7は下部横押さえ部材42Aの組立斜視図、図8は、図6に示した下部横押さえ部材42Aを裏側から見た斜視図である。
【0040】
これらの図に示すように下部横押さえ部材42Aは、板状に形成されている大小2枚の本体44、46、係合板48、ハンドル50、及び押さえ板52等から構成される。
【0041】
本体44、46は、所定の形状の金属製板材をプレス成型によって屈曲された形状を有しており、ボルト54、54…によって連結される。また、本体44、46の下部に屈曲形成されたフランジ56、58には、複数の長孔60、60…が開口されている。この長孔60、60…に挿通される不図示のボルトによって台座18の搭載面16に本体44、46が固着される。なお、本体46の長孔については図示されていないが、この長孔は本体44の長孔60と同様に形成されている。また、この長孔60によって本体44、46の搭載面16に対する取り付け位置を微調整することができる。
【0042】
本体44の上縁部44Aは、図2に示した底板14の傾斜角度(θ)と略同一の角度に傾斜されている。その上縁部44Aの傾斜角度に沿ってポケット板62が、本体46の上部にその屈曲した両端部が固定されている。これにより、ポケット板62と本体46の上部との間には、スリット状のポケット64が形成される。このポケット64に図7に示す矩形状の係合板48が図6、図8の如く嵌入される。
【0043】
係合板48の中央部には、窒化処理されて硬度が上げられているナット66が埋設されている。このナット66に、ハンドル50の軸である、ねじ68が螺合されている。また、このねじ68の先端部は、ナット66を貫通して押さえ板52の略中央部に当接されている。
【0044】
更に、押さえ板52の両側にはガイド軸70A、70Bが固定され、このガイド軸70A、70Bはねじ68と平行に固定されるとともに、係合板48の両側に形成された孔72(一つの孔72のみ図示)に貫通して配設されている。
【0045】
更にまた、本体44の上縁部46Aとポケット板62の上端部62Aには、ポケット64に係合板48を嵌入した際に、ねじ68を逃がすためのU字状の溝74と、ガイド軸70A、70Bを逃がすためのU字状の溝76A、76Bとがそれぞれ形成されている。なお、本体44側の溝には符号を省略している。また、押さえ板52の内側面には、樹脂製の矩形状パッド78が貼り付けられており、このパッド78がガラス板の側端面に当接される。
【0046】
このように構成された下部横押さえ部材42Aによれば、図6に示した状態でハンドル50を締め込む方向に回転すると、ねじ68の送り作用とガイド軸70A、70Bの直進ガイド作用とによって押さえ板52が、ガラス板の側端面に向けて移動される。そして、押さえ板52がガラス板の側端面に当接した後、所定の強さを持ってハンドル50を締め込む。なお、横押さえ部材42Bは、横押さえ部材42Aと対称形状であり、同一構成なので説明は省略する。これによって、図1に示す一対の横押さえ部材42A、42Bによってガラス板の側端面が挟持され、ガラス板がガラス板梱包体10に固定される。
【0047】
輸送車両によるガラス板梱包体10の輸送時において、ガラス板からの振動が押さえ板52及びねじ68を介してナット66に加わるが、ナット66は窒化処理されて硬度が上げられているため、ナット66は破損しない。これにより、押さえ板52によるガラス板の挟持力が維持されるので、ガラス板を安定して輸送することができる。
【0048】
図9には、上部横押さえ部材80が設けられたガラス板梱包体10の側面図が示されている。
【0049】
このガラス板梱包体10に積載された多数枚のガラス板はシート82に包装されており、その表面に、所定の厚さのある矩形状の緩衝材84が載置され、その表面に前枠86が被せられている。前枠86の下端部は台座18に係合され、下端部を支点に傾動されて緩衝材84の表面に当接されている。
【0050】
上部横押さえ部材80は、その基端部がフレーム部材20に係合されて片持ち支持された状態で、シート82を介してガラス板の側端部に当接されている。
【0051】
ところで、上部横押さえ部材80及び前枠86をフレーム部材20に各々固定してもよいが、それでは固定部材が個別になり部品が多くなる。そこで、実施の形態では、図9に示すように、前枠86の上部の側部にフック88を設け、このフック88にベルト90を掛ける。そして、このベルト90を、上部横押さえ部材80を横切るように配設し、ベルト90の端部を、ラチェット式巻上装置92を介してフレーム部材20に連結している。
【0052】
したがって、ラチェット式巻上装置92を駆動してベルト90を巻き上げることにより、ベルト90の張力により前枠86がフレーム部材20に固定される。そして、張設されたベルト90によって上部横押さえ部材80がシート82に押圧される。これによって、上部横押さえ部材80がしっかりとフレーム部材20に固定される。
【0053】
したがって、実施の形態によれば、上部横押さえ部材80及び前枠86を1本のベルト90によってフレーム部材20に固定することができる。
【0054】
なお、上部横押さえ部材80、フック88、ベルト90、及びラチェット式巻上装置92は図9に図示した面と反対側の面側にも設けられている。
【符号の説明】
【0055】
10…ガラス板梱包体、12…背板、14…底板、16…搭載面、18…台座、20…フレーム部材、22…底板受け部材、24…フレーム受け部材、26…開口部、28…ポリプロピレン発泡シート、30…ポリエチレンシート、32…溝、34…接着面、36…ポリプロピレン発泡シート、38…発泡ポリエチレンシート、40…溝、42A、42B…下部横押さえ部材、44…本体、46…本体、48…係合板、50…ハンドル、52…押さえ板、54…ボルト、56…フランジ、58…フランジ、60…長孔、62…ポケット板、64…ポケット、66…ナット、68…ねじ、70A、70B…ガイド軸、72…孔、74…溝、76A、76B…溝、78…パッド、80…上部横押さえ部材、82…シート8、84…緩衝材、86…前枠、88…フック、90…ベルト、92…ラチェット式巻上装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に搭載面が形成された台座と、前記台座の前記搭載面に所定の角度で傾斜して設けられるとともにガラス板の下縁が支持される底板と、前記台座の搭載面に所定の角度で傾斜して立設された金属製のフレーム部材と、前記フレーム部材にその裏面が接着されるとともにその表面がガラス板の受け面となる樹脂製のクッション材とを備えたガラス板梱包体において、
前記クッション材の裏面には、溝が備えられていることを特徴とするガラス板梱包体。
【請求項2】
前記溝は、前記クッション材の端部を除く内面側に備えられている請求項1に記載のガラス板梱包体。
【請求項3】
前記溝は格子状に備えられている請求項1又は2に記載のガラス板梱包体。
【請求項4】
前記フレーム部材は鋼製であり、前記クッション材はポリエチレン製又はエチレン酢酸ビニール共重合樹脂製である請求項1、2又は3に記載のガラス板梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−63274(P2011−63274A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213050(P2009−213050)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】