説明

ガラス清掃布巾と清掃方法、および清掃器具

【課題】ガラス清掃の際の、清掃布巾を折り返すムダを省いて清掃時間の短縮をし、ガラス清掃の作業効率を向上させる。またガラス清掃の際に清掃作業者が感じる清掃しづらさを軽減して、清掃作業者の疲労度を軽くする。
【解決手段】ガラス用清掃布巾において、清掃布巾を縫製して円筒形にした清掃布巾の片側の開口部に、手首にはめるための弾性体の固定手段を設けた清掃布巾をガラス清掃に利用する。手を円筒形の清掃布巾に差し入れ、手首に弾性体の固定手段を固定し、ガラス清掃作業を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス清掃に関する、清掃布巾と清掃方法、および清掃器具である。
【背景技術】
【0002】
清掃布巾によるガラスの清掃方法は、従来いくつかある。第1に、ガラス表面に洗剤を吹き付け、乾いたタオルで拭き取るという方法である。第2に、極細繊維を織製したガラス清掃布巾に水分を含ませ、ガラス表面の汚れを拭き取る方法である。この方法は、特許第3696651号を参照のこと。大きく分けて、以上の乾拭きと水拭きの2つに大別できる。
【0003】
また、柄とジョイントを備え表面に弾性体を張ったホルダーを有する清掃器具に、前記の水分を含ませたガラス清掃布巾を装着して、ガラス表面の汚れを拭き取る方法もある。この方法は、本発明者の特開2001−149275号公報の発明である。
【0004】
しかし、これらの清掃方法において、問題が2つある。1つは清掃者の疲労の問題である。乾拭きにおいても、水拭きにおいても、ガラス表面を清掃する際に、清掃布巾をガラス面に押し付けながら、清掃布巾をガラス面に対して平行に移動することによって、清掃作業が行われる。押し付けながら平行移動することにより、移動方向と反対方向に摩擦抵抗力が発生する。これが、清掃者が疲労する原因である。
【0005】
もう一つの問題は、清掃中にガラス清掃布巾が汚れたら、折り畳んでいる布巾を一度広げて、まだ汚れていない面を選び、再度折り畳み直し、清掃するという時間のムダが発生することである。4つ折りであれば、3回折り返し、4回は裏表をひっくり返すことになり、計7回のムダな動作が生じる。8つ折りであれば、その倍のムダな動作が生じる。
【特許文献1】特許第3696651号
【特許文献2】特開2001−149275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、第1にガラス清掃の際に生じる清掃者の疲労の軽減であり、第2に清掃布巾を折り返すというムダな時間の発生の除去である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
清掃布巾を折り返すというムダな時間の発生の除去を目的として、請求項1の清掃方法の発明を利用できる。
【0008】
清掃者が疲労する原因である摩擦抵抗力を低減させる方法としては、請求項2の、円筒形にした清掃布巾の片側の開口部に、手首にはめるための弾性体の固定手段を設けた清掃布巾が利用できる。
【0009】
さらに請求項3の、柄とジョイントを備え表面に弾性体を張ったホルダーを有する清掃器具に、請求項2の清掃布巾を装着して、ガラスを清掃をする清掃方法は、従来の平面状の清掃布巾を取り付けて清掃する方法に比べて、摩擦抵抗が少なくなる。摩擦抵抗は、清掃しづらさとなるので、これを解消した本発明は、疲労を低減させることになる。
【0010】
請求項4の弾性体の表面を凹凸にした、請求項3に記した清掃器具の場合は、清掃布巾と弾性体の、ズレが少なくなるので、さらに摩擦抵抗が少なくなり、疲労低減に資するところ大である。
【発明の効果】
【0011】
清掃布巾を折り返すというムダな時間を取り除く方法は、清掃布巾を縫製して円筒形にした清掃布巾おいて、円筒の片側から手を差し入れ清掃する方法である。清掃した部分の布巾が汚れたら、汚れた部分を回転させて未使用の部分を出し、汚れていない未使用の部分を手に保持して清掃する。以後同様にこれを繰り返す。1周して円筒の表面をすべて使うまで清掃できる。1周し終わったら円筒を裏返して未使用の面を出し、さらに1周使える。この円筒形にした清掃布巾を使い、この清掃方法をとると、折り返す時間のムダがなくなる。
【0012】
ムダを取り除くまた別の効果がある。従来の折り返しながら清掃するスタイルでは、何度も折り返しているうちに、未使用部分と既使用部分の区別を記憶できなくなり、まだ未使用部分が残っているにもかかわらず布地のすべてを使い切ることができない。本発明は1周するとすべての未使用部分が、既使用部分に変わっている。これで、清掃作業のムダを取ることができる。
【0013】
円筒形にした清掃布巾の片側の開口部に、手首にはめるための弾性体の固定手段を設けた清掃布巾を利用すると、清掃作業の効率が良くなる。この効果は、5本の指のすべてに清掃機能を持たせることができる点にある。従来、ガラス清掃においては、指は清掃布巾を保持しながら、同時に清掃するという2つの異なる機能を果たしていた。このとき、保持するのは、親指と人差し指、または人差し指と中指の場合が多いが、保持している指をのぞく3本の指と手のひらが清掃機能を担当している。保持している親指と人差し指、または人差し指と中指も若干は清掃機能を有するが、布地を保持する目的を優先しているため機能性は低減する。本発明は、弾性体の固定手段で手首に固定しているので、布地を保持する必要がなく、5本の指のすべてと手のひらに、十分なる清掃機能を持たせることができる。その結果、作業の効率が良くなる。
【0014】
清掃者が疲労する原因である摩擦抵抗力を低減させる方法を述べる前に、摩擦抵抗力の詳細なメカニズムを説明する必要がある。通常、清掃する際に清掃者は、清掃布巾を手で保持して、それから清掃布巾をガラス面に対し垂直方向に押し付ける。その後に、ガラス面に対し平行な方向に清掃布巾を移動させて清掃する。清掃布巾をガラス面に対し垂直方向に押し付ける理由は、手のひらと清掃布巾がずれないようにするためである。手のひらと清掃布巾がずれると、当然のことであるが清掃できない。そこで、ずれないように、手のひらをガラス面に押し付けるのである。押し付けて、ガラス面に対し平行に移動すると、手のひらと清掃布巾の間に抵抗摩擦力が発生する。この抵抗摩擦力がずれることを防止している。
【0015】
ところで、抵抗摩擦力は、清掃布巾とガラス面との間にも生ずる。清掃布巾とガラス面との間に生じる抵抗摩擦力が、手のひらと清掃布巾の間に生じる抵抗摩擦力より大きければ、清掃できない。手のひらと清掃布巾がずれるからである。手のひらと清掃布巾がずれないためには、清掃布巾とガラス面との間に生じる抵抗摩擦力が、手のひらと清掃布巾の間に生じる抵抗摩擦力より小さくなければならない。この状況が実現できる段階まで手のひらをガラス面に押し付ける力を強めなければならない。これが摩擦抵抗力の詳細なメカニズムである。
【0016】
ところが、手のひらをガラス面に対し垂直な方向に押し付ければ、押し付けるほど、清掃布巾とガラス面との間に生じる抵抗摩擦力が大きくなる。この清掃布巾とガラス面との間に生じる抵抗摩擦力が清掃しづらさとなって、清掃者の疲労の原因となる。
【0017】
原因が判明したので、この疲労の原因を取り除けば、疲労軽減の課題が達成される。達成されるためには、清掃布巾とガラス面との間に生じる抵抗摩擦力が、手のひらと清掃布巾の間に生じる抵抗摩擦力より小さくして、なおかつ押し付ける力を最小にすれば良い。
【0018】
手のひらがガラス面に押し付ける力を最小にするために、請求項2の、清掃布巾において、円筒形にした清掃布巾の片側の開口部に、手首にはめるための弾性体の固定手段を設けた清掃布巾を使う。円筒形にした清掃布巾の片側の開口部に糸ゴム等の弾性体を利用して、手首の直径に応じた輪を作り、この輪に手を通し手首に固定する。弾性体を利用すると着脱が早く容易である。機能的には弾性体でなくともベルトでも良い。手首に固定されると、親指の根本のあたりの手のひら部分は、手首の直径より大きな直径を持つので、この親指の根本あたりの手のひら部分で、清掃布巾と皮膚が密着される。すると手首と、親指の根本あたりの手のひら部分とで、二重に固定かつ保持されるので、手のひらと清掃布巾がずれることがなく、ガラス面に対し押し付ける必要がなくなり、最小の押し付ける力で清掃可能となる。清掃布巾とガラス面との間に生じる抵抗摩擦力は、垂直方向に押し付ける力が少なければ、少ないほど小さくなる。清掃布巾とガラス面との間に生じる抵抗摩擦力が減少したので、清掃者が感じる清掃しづらさも減少し、疲労が減るという結果になった。
【0019】
この、手首にはめるための弾性体の固定手段を設けた清掃布巾は外見はスカート型である。清掃布巾の形状で容易に考えられるのは、手袋型やミトン型があるが、スカート型と外見は似ているが機能が異なる。手袋型やミトン型は2枚の平面をあわせた2次元構造だが、スカート型は3次元構造で立体である。また手袋型やミトン型は、手のひらと布巾がずれるので、本発明の効果である抵抗摩擦力の低下はみられない。本発明によって抵抗摩擦力が低下するのは、手首と、親指の根本あたりの手のひら部分とで、二重に固定かつ保持されるためである。さらに手袋型やミトン型は布地の面積が少ないため、ガラス清掃には不適である。すぐ汚れてしまうことと、それに水に濡らした時に絞りにくい点にある。布地の面積が少ないと絞るのに苦労する。脱着に時間がかかりすぎることも不適の理由である。
【0020】
また本発明は、乾拭き、水拭き両方にとって有効である。
【0021】
請求項3の、柄とジョイントを備え表面に弾性体を張ったホルダーを有する清掃器具に、請求項2の清掃布巾を装着して、ガラスを清掃をする清掃方法は、従来の平面状の清掃布巾を取り付けて清掃する方法に比べて、摩擦抵抗が少なくなる。この理由は、前記の手首に固定する方法と、同様である。手首にはめるための輪を、この清掃器具の柄に通し、さらにホルダーにかぶせる。すると、ホルダーの4つの直角の角に固定かつ保持される。清掃布巾の形状はスカート型なので、スカートを清掃器具にはかせた様に見える。このスカート型の清掃布巾の直径は、ホルダーの4つの直角の角にぴったり固定かつ保持される大きさが好ましい。清掃布巾がホルダーの4つの直角の角に固定かつ保持されると清掃布巾とホルダーの弾性体がずれないので、前記のとおり摩擦抵抗力が減少して、清掃しづらさも減少し、なめらかに操作でき、疲労が減る。スカート型清掃布巾を装着してホルダーにかぶせた時は、ホルダーの弾性体の表面に清掃布巾が接触していないが、ガラス清掃時において、ガラスにホルダーの弾性体を押し付ける時に、弾性体の表面とガラス面の間に清掃布巾が入る様に操作する。その時、ホルダーの4つの直角の角に固定かつ保持される。ホルダーの4つの直角の角のうち、上方向にある2つの角は、重力の影響で、下方の2つの角より強力に固定かつ保持されるので、清掃に必要十分な弾性体表面と清掃布巾の密着が得られ、操作する際に、弾性体表面と清掃布巾がずれることがない。
【0022】
請求項4の、弾性体の表面を凹凸にした、請求項3に記した清掃器具の場合は、清掃布巾と弾性体の間の摩擦抵抗力が増大し、ズレがさらに少なくなるので、ガラス面に対し垂直方向に押し付ける必要が減り、清掃布巾とガラス面との間に生じる抵抗摩擦力は、弾性体の表面が平らな時に比べて小さくなり、疲労低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
手でガラスを拭く場合は、スカート型の清掃布巾を水につけ固く絞り、手首に装着してガラスを拭く。手首に装着せずに、清掃器具にスカート型の清掃布巾を装着してガラスを拭く場合は、スカート型の清掃布巾を水につけ固く絞り、清掃器具に装着してガラスを拭く。布地の面積は限定しないが、縦30センチ横60センチの布地を円筒形に縫製したサイズが具合がよい。
【実施例1】
【0024】
図3は、本発明の実施例1である。手を差し入れ、手首に装着して使う。
【実施例2】
【0025】
図5は、本発明の実施例2である。柄とジョイントを備え表面に弾性体を張ったホルダ
ーを有する清掃器具に装着して使う。上下にも、左右にも清掃できる。手で清掃する方法に比べて、5分の1の時間で同面積を清掃できるので、大幅な時間短縮が可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
ガラス清掃の際に、清掃布巾を折り返すムダを省くので、清掃作業時間の短縮になり、コストの削減につながる。また清掃作業の疲労度を軽減するので、作業者の作業効率が上がり、清掃の品質向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】円筒形清掃布巾
【図2】スカート型清掃布巾
【図3】手首に装着した実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図4】柄とジョイントを備え表面に弾性体を張ったホルダーを有する清掃器具
【図5】柄とジョイントを備え表面に弾性体を張ったホルダーを有する清掃器具に装着した実施方法を示した説明図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0028】
1 円筒形清掃布巾
2 スカート型清掃布巾
3 弾性体の固定手段
4 柄
5 ジョイント
6 ホルダー
7 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス用清掃布巾において、清掃布巾を縫製して円筒形にした清掃布巾と、その清掃布巾を利用したガラス清掃方法。
【請求項2】
請求項1の清掃布巾において、円筒形にした清掃布巾の片側の開口部に、手首にはめるための弾性体の固定手段を設けた清掃布巾。
【請求項3】
柄とジョイントを備え表面に弾性体を張ったホルダーを有する清掃器具に、請求項2の清掃布巾を装着して、ガラスを清掃をする清掃方法。
【請求項4】
弾性体の表面を凹凸にした、請求項3に記した清掃器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−117480(P2007−117480A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314929(P2005−314929)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年10月1日 http://www.family−m.com/skarta.html
【出願人】(399126695)
【Fターム(参考)】