説明

ガレート型カテキン含有チョコレート菓子

【課題】ガレート型カテキン、水溶性食物繊維および平均分子量4,000以上の水溶性コラーゲンの3成分を含有しながら、凝集や沈殿がなく、苦渋味や不快味が低減され、携帯性を有し、手軽に有効成分を摂取できるチョコレート菓子を提供すること。
【解決手段】糖質を主体とする水分値12〜25重量%の組成物であって、全固形重量に対して(A)ガレート型カテキン1.0〜18重量%、(B)平均分子量4000以上の水溶性コラーゲン5.0〜20.0重量%、および、(C)アラビアガムを1.5〜20重量%、を含有するカテキン組成物からなるカテキン組成物部とチョコレート部とから構成されることを特徴とするガレート型カテキン含有チョコレート菓子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガレート型カテキン、水溶性食物繊維および平均分子量4,000以上の水溶性コラーゲンの3成分を含有するカテキン組成物をチョコレートで被覆したチョコレート菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の偏りやストレス、喫煙、飲酒、運動不足などにより、ガン、心疾患、脳卒中、糖尿病、高血圧、メタボリック症候群などの生活習慣病が問題となっており、日本人の死因の6割以上とも言われている。生活習慣病は完全な治療が困難なものも多く、また、厚生労働省の調べによると、2008年度の国民医療費は34兆8000億円にも上ることからも、病気を治療することだけでなく、今後は「未病」の考え方に見られる、「病気を予防する」ということが非常に重要である。その観点から、消費者の中でも健康志向は高まっており、特定保健用食品や栄養機能食品などの健康食品やサプリメントの市場は大きな成長を遂げている。また、紫外線や疲労から肌を守る、老化予防、便秘予防およびデトックスという観点から、コラーゲンや食物繊維をはじめとする美容健康食品に関する消費者の関心も高まっており、健康で快適な生活を送るために、我々の最も身近にある食品に求められている期待は非常に高い。
【0003】
中でも、いつでもどこでも有効成分を摂取できるといった、携帯性や手軽さを特長としたサプリメントや健康食品は大きな市場を形成している。その中でも特に、ポリフェノールや食物繊維、コラーゲンを配合した商品が注目されている。
【0004】
天然のポリフェノール類は多くの植物に含有され、その数は5000種以上に及ぶ。光合成によってできる植物の色素や苦味の成分であり、植物細胞の生成、活性化などを助ける働きを持つ。ポリフェノール類は、様々な生物学的活性を有することが知られており、食物繊維や5大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)に次ぐ栄養素として、さまざまな研究が行われている。これまでにも様々な種類のポリフェノールが発見・抽出・開発され、医薬品、健康食品として多くの商品を生み出した。
【0005】
中でもポリフェノールの一種であるカテキン類には、抗酸化作用、抗菌作用、ガン抑制作用、コレステロール低下作用、インフルエンザウイルスの不活化、紫外線に対する皮膚保護作用などの生理活性が期待されている。既に、カテキン類の生理活性に着目した商品は数多く出されており、多様な心血管病予防にも関係した健康機能を高めるための茶、コレステロールの吸収を防ぐための茶、体脂肪の蓄積抑制や燃焼促進効果を有する茶などの茶飲料だけでなく、カテキン類を高濃度に含有させた清涼飲料などが新たな市場を形成している。
【0006】
一方、食物繊維については特に近年の日本人に不足している栄養素の一つであり、食物繊維の不足が近年の大腸ガン増加の原因とも言われている。食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分類できるが、水溶性食物繊維に関しては血糖値上昇抑制やコレステロール吸収抑制などの効果も知られており、健康増進のために欠かすことのできない栄養素の一つである。各種特許技術も提案されており、飲料の分野では例えば、難消化性デキストリンを含有する緑茶飲料(特許文献1)などがある。
【0007】
また、コラーゲンペプチドは、動物組織における主要な構成タンパク質であるコラーゲンを分解したものである。コラーゲンは、動物の皮膚、血管、内臓、骨などのいたるところに存在しており、肌の老化防止や関節痛の低減効果が期待されていることから、近年、美容健康飲食品、美容化粧品として幅広く利用されている。
【0008】
以上のように、カテキン類、食物繊維、コラーゲンには非常に高い美容健康増進効果が期待でき、既に大きな市場を形成しているが、上記3成分を同時に無理なく摂取できる嗜好性の高い食品は知られていない。その原因として、カテキン類の特有の強い苦渋味、コラーゲンとカテキン類を同時に添加したときに起こる凝集・沈殿、コラーゲンの臭いや不快味などが問題に挙げられる。
【0009】
コラーゲンは独特の動物臭及び不快味を有し、製品の嗜好性を著しく低下させる。コラーゲン臭及び不快味の改善は大きな課題となっており、特許技術としても例えば、コラーゲンペプチドに酵母エキスおよびカテキン等を含有することを特徴とするコラーゲン臭および不快味のマスキングされたコラーゲンペプチド含有飲料(特許文献2)、クロロゲン酸を含有させたコラーゲン臭の臭気抑制剤(特許文献3)など数多くの提案がなされている。
【0010】
一方、カテキン類の特有の苦渋味は、舌に残る残留感が非常に強く、嗜好性において十分に満足させるカテキン高含有飲食品は未だ市場に存在しないのが現状である。カテキン類の苦味をマスキングする技術提案はいくつかなされており、例えば、キナ酸を特定比率で併用する方法(特許文献4)、配糖化する方法(特許文献5)、平均分子量500〜4500の哺乳類由来のコラーゲンペプチドを少量添加する方法(特許文献6)などがある。しかし、いずれの方法も苦味の低減は図れるものの、そのマスキング効果は十分なものとは言えない。
【0011】
また、カテキン類の中でも特にエピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)のような分子内にガロイル基を有するガレート型カテキンは、収斂味とも表現される特有の渋味を有し、苦味に関してもエピカテキン(EC)、カテキン(C)の2〜3倍の強さをもつ。しかしガレート型カテキンは生理活性が非常に高く、例えばヒトインフルエンザウイルスの不活化や、LDLの酸化に対する抑制効果などに関して、非ガレート型カテキンよりも高い生理活性を示すことが報告されている。茶に含まれるカテキン類の大半がガレート型カテキンであること、ガレート型カテキンは他のカテキン類に比べ、より高い生理活性を示すことが多いことからも、ガレート型カテキンの苦渋味を軽減することは非常に重要な課題であると言える。
【0012】
一方、コラーゲンとカテキン類の組み合わせをはじめとする、タンパク質とポリフェノールを同時に添加したときに起こる凝集・沈殿に関しても、それを解決するための技術提案がいくつかなされている。
【0013】
例えば、プロアントシアニジンおよびカテキン類の少なくとも一方を含有し、平均分子量7,000未満のタンパク質分解ペプチドおよび平均分子量7,000以上のペプチドまたはタンパク質を含有する液状組成物が提案されている(特許文献7)。しかし、前記文献では味などの嗜好性に関する記述はなく、また凝集・沈殿を防止する効果も不十分であり、例えば、ガレート型カテキンと平均分子量5,000以上のコラーゲンペプチドのみを混合するとただちに沈殿・凝集が生じてしまう。
【0014】
また、植物ポリフェノール、コラーゲン、塩基性アミノ酸を含み、pH値が7.5以上に調整された、濁りおよび沈殿が防止された飲食品も提案されているが(特許文献8)、その用途は塩基性域に限定され、汎用性に乏しい。
【0015】
また、タンナーゼを作用させた茶抽出液とコラーゲンペプチドを含有することを特徴とするコラーゲンペプチド含有茶飲料の提案もあるが(特許文献9)、タンナーゼはガレート型カテキンを加水分解するため、ガレート型カテキン特有の優れた生理活性が損なわれてしまう。
【0016】
さらに、植物ポリフェノールとコラーゲンを含む液体に食品添加物としてペクチンを添加することにより、植物ポリフェノールとコラーゲンによる白濁物質および/または沈殿物質の生成が抑制された液体組成物の提案もなされている(特許文献10)。前記文献には植物ポリフェノールとしてガレート型カテキンを用いた実施例も記載されているが、本発明者らも該文献記載の実施例を試みたところ、ガレート型カテキンの苦渋味を感じるだけでなく、添加物であるペクチンの強い異味を感じ、嗜好性に乏しいものであることが確認された。
【0017】
他にも、植物ポリフェノールと水溶性タンパクを含む液体にキシログルクロノマンナンを添加することにより、沈殿・凝集が防止された液体組成物も提案されている(特許文献11)。当該文献に関しては、苦渋味や不快味に関する記述は一切なされておらず、また、キシログルクロノマンナンは白キクラゲ抽出物などとして得られる物質であり、非常に高価なものであるため、汎用性に乏しい。
【0018】
また、サイクロデキストリンとコラーゲンペプチドを含有するポリフェノール組成物の提案もなされており(特許文献12)、文献中でガレート型カテキンを用いた実施例も記述されている。しかし、本発明者らも該文献記載の実施例を試みたところでは、沈殿防止効果は十分ではなかった。
【0019】
また、飲料だけでなく、食品や菓子の分野においても、苦渋味や凝集・沈殿なくガレート型カテキン、水溶性食物繊維およびコラーゲンの3成分を高含有させることは非常に困難であり、ゼラチンとポリフェノールと凝集剤を含むゴム状組成物(特許文献13)などの一部の提案に限られていた。上記発明で得られるゴム状組成物は、チューインガムのようなゴム状の噛み心地であるため、汎用性に非常に乏しく、用途も限定され、チューインガムやグミキャンディ、ソフトキャンディのような咀嚼性を有するものとしての使用に限定されていた。
【0020】
一方、嗜好性食品として菓子は大きな市場を形成しており、その中でもチョコレート菓子の市場は約4000億円もの規模を有する。近年ではチョコレート菓子は単なる嗜好性食品に留まらず、味や臭いの点で食べにくい栄養成分を食べやすくする、あるいは普段の食生活における不足栄養成分を補う目的で、機能性栄養成分とチョコレートとの組み合わせが提案されている。例えば、江崎グリコ株式会社製「GABA(商標登録)」が挙げられる。カカオに含まれる・−アミノ酪酸のリラックス効果に着目した製品である。
【0021】
また、ローヤルゼリーやコラーゲンを含有した錠菓をチョコレートでコーティングした機能性菓子(特許文献14)が提案されている。当該文献においては、錠菓をチョコレートでコーティングすることにより嗜好性を高めているが、コラーゲンの不快味のマスキングを行っておらず、コラーゲンやローヤルゼリーの含有量は不快味を感じない程度に抑えるしかない。また、機能的栄養成分を含有した油脂性食品生地を、多孔質構造を有する基食材に含浸させた複合食品(特許文献15)が提案されている。前記文献では栄養機能強化成分としてポリフェノール、ペプチド、食物繊維が挙げられているが、苦渋味や不快味に関する記述は一切なかった。ガレート型カテキン、水溶性食物繊維およびコラーゲンの3成分を含有し、凝集や沈殿がなく、苦渋味や不快味が低減されたチョコレート菓子は今まで存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特許第4281940号公報
【特許文献2】特許第4428456号公報
【特許文献3】特許第3830137号公報
【特許文献4】特許第3378577号公報
【特許文献5】特許第3579496号公報
【特許文献6】特開2011−15632号公報
【特許文献7】特許第3689413号公報
【特許文献8】特許第4653052号公報
【特許文献9】特許第4673254号公報
【特許文献10】特許第3416102号公報
【特許文献11】特開2010−1275号公報
【特許文献12】特開2008−148588号公報
【特許文献13】特開2007−089579号公報
【特許文献14】特開2008−148588号公報
【特許文献15】特開2007−089579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、ガレート型カテキン、水溶性食物繊維および平均分子量4,000以上の水溶性コラーゲンの3成分を含有しながら、凝集や沈殿がなく、苦渋味や不快味が低減され、携帯性を有し、手軽に有効成分を摂取できるチョコレート菓子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ガレート型カテキン、水溶性食物繊維および平均分子量4,000以上の水溶性コラーゲンの3成分をある一定の比率に限定し、水溶性食物繊維としてアラビアガムを含有させ、コラーゲンの平均分子量を限定したところ、驚くべきことに凝集や沈殿が生じず、ガレート型カテキンの苦渋味とコラーゲンの不快味が低減され、さらには滑らかな食感のクリーム状の組成物となることを発見した。そして、前記カテキン組成物をチョコレートにより被覆して、カテキン組成物部とチョコレート部の重量比率をある一定の比率に限定することで、携帯性を有し手軽に有効成分を摂取できること、さらに、チョコレート部によりカテキンの渋みや苦みをさらにマスキングできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0025】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕組成比率が以下の範囲にあるカテキン組成物部とチョコレート部とから構成されることを特徴とするガレート型カテキン含有チョコレート菓子、
カテキン組成物部:
糖質を主体とする水分値12〜25%の組成物であって、全固形重量に対して
(A)ガレート型カテキン1.0〜18重量%
(B)平均分子量4000以上の水溶性コラーゲン5.0〜20.0重量%、および、
(C)アラビアガムを1.5〜20重量%、を含有する組成物、
〔2〕前記カテキン組成物部の少なくとも一部がチョコレート部により被覆されており、チョコレート部の比率が30〜70重量%である前記〔1〕に記載のガレート型カテキン含有チョコレート菓子
に関する。
【発明の効果】
【0026】
本発明のガレート型カテキン含有チョコレート菓子は、高い生理活性を持つガレート型カテキン、水溶性食物繊維およびコラーゲンの3成分を含有しながら、凝集および沈殿がなく、コラーゲン臭もなく、かつガレート型カテキン由来の苦渋味が顕著に低減された嗜好性の高い食品である。さらに、カテキン組成物をチョコレートと組み合わせることにより、カテキン組成物単独よりも携帯性が向上し、チョコレートとカテキン組成物の2つの食感を楽しむことができる。よって、本発明のガレート型カテキン含有チョコレート菓子は、健康食品として、気軽に且つおいしく上記栄養成分を摂取することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0028】
本発明のガレート型カテキン含有チョコレート菓子は、(1)カテキン組成物部と(2)チョコレート部により構成される。
【0029】
(1)カテキン組成物部
以下にカテキン組成物部について詳しく説明する。
【0030】
前記カテキン組成物部は、糖質を主体とする水分値12〜25重量%の組成物であって、全固形重量に対して
(A)ガレート型カテキン1.0〜18.0重量%、
(B)平均分子量4,000以上の水溶性コラーゲン5.0〜20.0重量%、および、
(C)アラビアガム1.5〜20.0重量%、
を含有するカテキン組成物からなる。。
カテキン組成物は、白濁状態であり、かつ室温下での流動性が低い半固体状の物性と、乳脂肪クリームのような濃厚で滑らかな口当たりを有する。
【0031】
前記カテキン組成物部に使用する糖質としては、例えば、砂糖、水飴、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元水飴、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、還元パラチノース、ポリデキストロース等が挙げられるが、特に限定はない。これらの糖質は、1種以上を用いればよい。
前記カテキン組成物の主体である糖質の含有量は、全固形重量に対して40〜90重量%であればよく、好ましくは55〜70重量%である。尚、全固形重量とは全重量から水分を除いたものである。
【0032】
前記カテキン組成物部は、その水分値が12〜25重量%であればよい。
前記水分値が12〜25重量%に調整されることで、前記カテキン組成物は、室温下で流動性が低い半固体状の物性を有するものになる。ここで、前記カテキン組成物は、水分値が高くなると、油脂と水とを乳化させたクリームのような軟らかい物性を示すようになり、水分値が低くなると、水飴のような粘ちょうな硬い物性を示すようにもなるが、いずれも本発明に含まれる。また、前記カテキン組成物は、上記の物性に加えて脂肪様の濃厚で滑らかな、いわゆるクリームのようなテクスチャーをも奏することから、本明細書では、これらのような物性を以下、「クリーム状」ともいう。
前記カテキン組成物が、油脂と水との乳化物でないにもかかわらず、前記のようなクリーム状を呈するようになるメカニズムについては、詳細は不明ではあるものの、水に溶解された濃厚な糖質液中で、水不溶性であるガレート型カテキン−コラーゲン複合体が形成され、この複合体どうしがアラビアガムの存在によって凝集・沈殿せずに、微粒子状態を維持して分散安定化することで、脂肪様の濃厚で滑らかなテクスチャーを与えることが推定される。
前記水分値は、好ましくは13〜18重量%である。
なお、水分量は、前記カテキン組成物中に混合する水の量を増減させたり、加熱したりして調整することができる。
また、本発明における水分量は、減圧乾燥法により乾燥前後での前記カテキン組成物の重量差を測定することにより算出された値をいう。
【0033】
カテキンとは、緑茶、紅茶あるいはウーロン茶などの茶に多く含まれているポリフェノールの一種であり、主にエピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、カテキン(C)などのフラバン−3−オール類の総称であるが、本発明において「ガレート型カテキン」とは、分子内にガロイル基を有するカテキンであり、具体的には、ECg、EGCgなどを指す。これらは、精製品の他、粗製品でも良く、これらを含有する天然物もしくはその加工品でも良い。
【0034】
前記カテキン組成物部におけるガレート型カテキンの含有量は、全固形重量に対して1.0〜18.0重量%であり、好ましくは2.0〜15.0重量%であり、より好ましくは3.0〜7.0重量%である。前記含有量が1.0重量%未満では、本発明の十分な健康増進効果および食感が得られない。また、前記含有量が18.0重量%を超えると、苦渋味のマスキングが十分ではなくなる。
【0035】
本発明において「平均分子量4,000以上の水溶性コラーゲン」とは、非水溶性の固体状コラーゲンを加熱・変性・分解などの処理を施して水溶性にしたコラーゲンであって、具体的には、平均分子量4,000以上のコラーゲンペプチドから分子量30万程度のゼラチンまでが含まれる。
なお、非水溶性の固体状コラーゲンを加熱・変性させて得られるものがゼラチンであり、該ゼラチンを加水分解して得られるものがコラーゲンペプチドである。
【0036】
本発明においてコラーゲンペプチドは、コラーゲンあるいはゼラチン等の変性コラーゲンを酸やアルカリあるいは酵素等で加水分解させたものをいう。当該原料となるコラーゲンの由来は特に限定されず、豚、牛、鶏、魚など多様な動物から抽出されたものを使用できる。
【0037】
本発明に用いられるコラーゲンペプチドの平均分子量は、4,000以上である。好ましくは5,000以上である。4,000より少ない場合、苦渋味のマスキングの効果が不十分となり、さらにコラーゲンの臭いや不快味が強く、嗜好性に劣るものとなってしまう。尚、コラーゲンペプチドの分子量に関する情報は、粘度測定やHPLCおよびゲルろ過法等の定量方法によって得られ、すでに公知の手法を使用することが可能である。ここで平均分子量とは重量平均分子量をいう。
【0038】
本発明では、前記コラーゲンペプチドのかわりにまたは前記コラーゲンペプチドとともにゼラチンを使用することもできる。通常、ゼラチンを含有する組成物は、ゲルを形成するか、もしくは高い粘度を有するため、ハンドリングが悪く、使用用途が限定されてしまう。しかし、カテキン組成物においては、驚くべきことに、ゼラチンを使用した場合もゲル化することなく、同水分値の糖液と比較して同程度の粘性の組成物が得られる。コラーゲンペプチドはゼラチンを酵素等で加水分解する必要があるため、ゼラチンよりもコストが高く、ゼラチンを原料としてコラーゲン高含有組成物を製造できることは非常に有益である。本発明においてゼラチンは、由来生物や製法、ゼリー強度に関して特に限定されずに使用することができる。
前記ゼラチンとしては、分子量が数万から分子量30万程度のものであればよい。
【0039】
前記カテキン組成物部における平均分子量4,000以上の水溶性コラーゲンの含有量は、全固形重量に対して5.0〜20.0重量%であり、好ましくは6.0〜18.0重量%であり、より好ましくは6.0〜10.0重量%である。前記含有量が5.0重量%未満では、苦渋味のマスキング効果が十分ではなくなる。また、前記含有量が20.0重量%を超えると弾力が出てしまい、滑らかな食感が損なわれる。
【0040】
本発明において「アラビアガム」とは、アカシアガム、アラビアゴムまたはアカシア食物繊維とも呼ばれ、熱帯地方に生育するマメ科のアラビアゴムノキ(学名Acacia senegal)から採取される多糖類である。
【0041】
前記カテキン組成物部におけるアラビアガムの含有量は、全固形重量に対して1.5〜20.0重量%であり、好ましくは3.0〜15.0重量%であり、より好ましくは6.0〜10.0重量%である。前記含有量が1.5重量%未満では、前記水溶性コラーゲンと前記ガレート型カテキンとを混合した場合に生じる凝集・沈殿を防止する効果が十分得られず、20.0重量%を超えると、粘性が高く、滑らかな食感が損なわれる。
【0042】
また、前記カテキン組成物部には、所望により、果実類、野菜類、豆類、乳製品、茶類、コーヒー、酸味料、香料、着色料、食物繊維、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、油脂、乳化剤、甘味度甘味料、食感改良剤(ペクチン、カラギーナン、寒天、ジェランガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガントガム、グァーガム、カラヤガム、タマリンドシードガム)等の任意成分を含有してもよい。これらの任意成分を適宜選択することで、嗜好性の幅を広げることができる。尚、前記任意成分は、嗜好性や物理的安定性に悪影響を与えない範囲で使用すればよい。
【0043】
なお、前記カテキン組成物は、成分の組成によってはクリーム様の流動性を有するが、いわゆる乳製品のクリームではない。そのため、乳原料や脂質を必ずしも必要としない。
【0044】
前記カテキン組成物部の製造は、ガレート型カテキンとコラーゲンを混合する前に、ガレート型カテキンとコラーゲンの少なくとも一方を、アラビアガムを含有する溶液に予め混合溶解させる必要がある。尚、糖質の添加はいずれの工程で行なってもよい。
即ち、前記カテキン組成物は、下記A1とB2、またはA2とB1、またはA2とB2を混合する工程により製造することができる。糖質は任意の段階で添加すればよい。
A1:ガレート型カテキン又はそれを含有する液体
A2:ガレート型カテキンとアラビアガムとを含有する液体
B1:平均分子量4,000以上の水溶性コラーゲン又はそれを含有する液体
B2:平均分子量4,000以上の水溶性コラーゲンとアラビアガムとを含有する液体
【0045】
前記の各原料を混合して得られる液体を作製するために使用する溶媒としては、水であればよいが、必要に応じて、エタノール、グリセリンなどの他の溶媒を用いてもよい。前記溶媒の使用量としては、各原料が溶解できる量であれば特に限定はない。
また、前記各成分を混合する際の温度などの条件については、成分の変性などが生じない条件であればよく、特に限定はない。
【0046】
本発明では、前記のように作製した流動性を有するカテキン組成物を、所望の型に成型したチョコレート部の内部や表面などの各部に充填、塗布などすることでカテキン組成物部を形成させる。
【0047】
(2)チョコレート部
以下にチョコレート部について詳しく説明する。
【0048】
本発明で用いられるチョコレート部は、チョコレートで構成されていればよい。チョコレートは食用油脂と糖質を主体とするチョコレート様の組成物をいう。本発明においてチョコレートとは、規約(公正取引委員会の認定を受けた「チョコレート類の表示に関する公正規約」)等に限定されるものではなく、カカオ代替油脂を使用したチョコレート類をも全て包含する。したがって、本発明で使用されるチョコレートは、チョコレート利用食品の規格によるチョコレートのみを意味するものではなく、常温で固体状であり、加温により溶融状態となり、冷却により固化する、チョコレート類或いはチョコレート類似食品や硬化油脂をいずれも含有する。例えば、チョコレート類、ミルクチョコレート類、ホワイトチョコレート類、香料等により各種風味を有するチョコレート類などをいずれも好適に用いることができる。また、テンパリングタイプ、ノーテンパリングタイプであることを問わない。
【0049】
前記チョコレートに用いる油脂としては、例えば、メラノNEW−SS5(不二製油(株)製)、メラノNEW−SS7(不二製油(株)製)またはカカオバター(カカオ脂)などが挙げられる。また、パーム油、大豆油、ヤシ油、オリーブオイル又はエステル交換や水素添加等で工業的に改変された代替油脂でもよいし、或いは動物性油脂のラード、獣乳由来のバターやその改変油脂などの油脂を添加することもできるが、これらに限定されるわけではない。
【0050】
前記チョコレートに用いる糖質としては、特に限定はなく、例えば、砂糖、水飴、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元水飴、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、還元パラチノース、ポリデキストロース等が挙げられる。これらの糖質は、1種以上を用いればよい。
【0051】
また、前記チョコレート部には、所望により、果実類、野菜類、豆類、乳製品、茶類、コーヒー、酸味料、香料、着色料、食物繊維、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、油脂、乳化剤、甘味度甘味料、食感改良剤(ペクチン、カラギーナン、寒天、ジェランガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガントガム、グァーガム、カラヤガム、タマリンドシードガム)等の任意成分を含有してもよい。これらの任意成分を適宜選択することで、嗜好性の幅を広げることができる。尚、前記任意成分は、嗜好性や物理的安定性に悪影響を与えない範囲で使用すればよい。
【0052】
(3)ガレート型カテキン含有チョコレート菓子
本発明のガレート型カテキン含有チョコレートは、前記カテキン組成物部とチョコレート部とから構成されるが、具体的には、前記カテキン組成物部の少なくとも一部がチョコレート部により被覆されており、チョコレート部の比率が30〜70重量%であることが好ましい。
【0053】
本発明のガレート型カテキン含有チョコレートにおいて、チョコレート部によるカテキン組成物部の被覆率は50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。ここで被覆率とは、カテキン組成部全表面積に占めるチョコレート部により覆われている部分の面積の割合をいう。カテキン組成物部の被覆率が小さいと、チョコレート部によるカテキンの苦渋味のマスキング効果が十分に発揮できず、また、カテキン組成物が流れ出て、チョコレート菓子どうしが接着するなどの不都合が生じる。
なお、前記被覆率は、常法により測定することが出来る。例えば、表面積の測定は、目視で直接ガレート型カテキン含有チョコレートを測定してもよいし、オリンパス株式会社製のデジタルマイクロスコープ「MVX−XD System」等の市販の測定器を用いて測定してもよい。
【0054】
本発明のガレート型カテキン含有チョコレート菓子におけるチョコレート部は、重量比率で30〜70重量%であることが好ましく、40〜65重量%であることがより好ましく、45〜60重量%であることがさらに好ましい。前記チョコレート部の割合が30重量%未満ではチョコレート部によるカテキンの苦渋味のマスキング効果が十分に発揮できず、また、カテキン組成物部の被覆面積が小さくなるため携帯が困難であり、前記チョコレート部の割合が70重量%以上ではチョコレート部とカテキン組成物部の2つの食感を十分に楽しむことができない。
また、本発明のガレート型カテキン含有チョコレートにおいて、カテキン組成物部の比率は、前記チョコレート部の残部であるが、35重量%以上であることが好ましく、40重量%以上70重量%以下であることがより好ましい。
【0055】
本発明のガレート型カテキン含有チョコレート菓子は、予め所望の形状にしておいたチョコレート部にカテキン組成物を充填又は内包、サンド等することにより得られる。前記チョコレート菓子の形状としては、例えば、チョコレート部でカテキン組成物部を内部に包んだ形状、凹部を有する器形状のチョコレート部の凹部にカテキン組成物が充填された形状、棒状、円柱状、円筒状等の形状のチョコレート部の間にカテキン組成物がサンドされた形状などが挙げられるが、いずれもクリーム様の流動性を有するカテキン組成物が簡単に流れ出ないような形状であれば特に限定はない。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中、「部」は重量部を示す。
【0057】
(実施例1)
グラニュー糖40部、酵素水飴(Bx.75、日本コーンスターチ株式会社製、以下同じ)60部、アラビアガム(商品名:インスタントガムAB、コロイドナチュレルジャパン社製、以下同じ)10部、水10部を混合加熱し、水分値9%になるまで真空釜にて濃縮し、続いてガレート型カテキン含有製剤(商品名:サンフェノン90S、ガレート型カテキン含有率65%、太陽化学株式会社製)8.2部を水8.2部に溶かした溶液を添加混合して、糖液を調製した。そして、コラーゲンペプチド(商品名:SCP−5100、新田ゼラチン株式会社製、平均分子量5,000)8.2部を水8.2部に溶かした溶液を添加混合し、水分値17%のカテキン組成物を得た。
溶解させてテンパリング操作を行ったチョコレート(商品名:クーベルチュール スイートチョコレート、大東カカオ株式会社製)をモールドに流し込み、モールドを反転させて余分なチョコレートを除去した後、20℃で冷却させてモールド内面にチョコレート様組成物部の外殻層を形成させた。得られた外殻層に上記カテキン組成物3gを充填し、上からチョコレートを流し込み5℃で冷却することにより、カテキン組成物部とチョコレート部とから構成される、単重6gのチョコレート菓子を得た。このときのチョコレート菓子全体におけるチョコレート部の重量比率は50重量%、サンフェノン90Sの濃度は3.1重量%、ガレート型カテキンの濃度は2.0重量%であった。
得られた試料について、5名のパネラーによる官能試験を行なった。下記に示す官能評価方法によって得られた結果を表1に示す。
【0058】
<官能評価方法>
(1)苦渋味に関する評価
5名のパネラーが、下記の内容に従って各試料の苦渋味強度を3段階評価し、その平均値を四捨五入して整数で表したものを評点とする。
苦渋味強度:内容
1:苦渋味をほとんど感じない。
2:苦渋味を少し感じる。
3:苦渋味を強く感じる。

(2)コラーゲン臭に関する評価
5名のパネラーが、下記の内容に従って各試料のコラーゲン臭強度を3段階評価し、その平均値を四捨五入して整数で表したものを評点とする。
コラーゲン臭強度:内容
1:コラーゲン臭を感じない。
2:コラーゲン臭を少し感じる。
3:コラーゲン臭を感じる。
【0059】
(比較例1)
実施例1で得られたカテキン組成物をそのまま食したところ、コラーゲン臭は感じなかったものの、実施例1よりも苦渋味を若干強く感じ、クリーム様の流動性を持つため、そのままでは携帯性の低いものであった。
以上のことから、苦渋味が抑えられ、携帯性のあるガレート型カテキン含有チョコレート菓子は、カテキン組成物部とチョコレート部で構成される必要があることがわかる。
【0060】
(実施例2〜5、比較例2〜4)
実施例1の水溶性コラーゲンの種類や量を変えて、実施例1と同様にしてチョコレート菓子を作製した。これらの官能試験結果を表1に示す。
【0061】
(比較例5)
実施例1の水溶性コラーゲンを除き、水分値17%の糖液を作製した。実施例1と同様にチョコレート部と組み合わせて得られた試料について、官能試験結果を表1に示す。
【0062】
(比較例6)
実施例1と同様のコラーゲンペプチドを用い、実施例1と同濃度となるようにコラーゲンペプチドのみを配合した糖液を作製し、実施例1と同様にしてチョコレート菓子を作製した。官能試験結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
表1の結果より、実施例1〜5で得られたガレート型カテキン含有チョコレート菓子は、いずれもガレート型カテキン由来の苦渋味強度と、コラーゲン臭とがともに顕著に低減されており嗜好性に優れたものであった。また、ガレート型カテキン含有チョコレート菓子はその表面の多くが硬いチョコレート部で覆われていることからチョコレートと同様に携帯性に優れており、手軽にカテキンやコラーゲンペプチドのような有効成分を摂取できることがわかる。
一方、比較例2〜5で得られた試料はいずれも苦渋味強度が強く、比較例6で得られた試料はコラーゲン臭の強いものであった。
【0065】
(実施例6〜7、比較例7〜8)
実施例1において、真空釜による濃縮度を調整して、カテキン組成物部の最終水分値が表2に示す値となるように、カテキン組成物部を作製し、実施例1と同様にチョコレート部と組み合わせて得られた各試料の状態を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
表2の結果より、カテキン組成物部の水分値が12〜25重量%とすることで、口当たりが滑らかで、食感が良好なガレート型カテキン含有チョコレート菓子となることがわかった。
【0068】
(実施例8)
グラニュー糖40部、酵素水飴60部、アラビアガム10部、水20部を混合加熱し、真空釜にて濃縮し、続いてコラーゲンペプチド(商品名:SCP−5100、新田ゼラチン株式会社製、平均分子量5,000)8.0部を同量の水で溶かした溶液を添加混合して、糖液を調製した。そして、EGCg(商品名:サンフェノンEGCg、ガレート型カテキン含有率95%以上、太陽化学株式会社製、以下同じ)4.0部を同量の水で溶かした溶液を添加混合して、水分値17%のカテキン組成物を得た。続いて得られたカテキン組成物部を用いて実施例1と同様にしてチョコレート菓子を作製した。このようにして得られたガレート型カテキン含有チョコレート菓子は、滑らかな口当たりを有し、苦味がほとんど感じられず、嗜好性の高いものであった。
【0069】
(実施例9〜11、比較例9〜13)
実施例8と同様の操作により、それぞれ表3の含有量となるようにカテキン組成物部を作製し、実施例1と同様にしてガレート型カテキン含有チョコレート菓子の作製を試みた。また、適宜、加水や真空釜での濃縮によってカテキン組成物の水分値は17%となるよう調整した。得られたチョコレート菓子の状態を表3に示す。
【0070】
【表3】

【0071】
表3の結果より、カテキン組成物部は、
(A)ガレート型カテキンの固形分含有量を1.0〜18重量%
(B)平均分子量4,000以上の水溶性コラーゲンの固形分含有量を5.0〜20重量%
(C)アラビアガムの固形分含有量を1.5〜20重量%
の範囲に調整した場合に、滑らかな口当たりを有し、苦味がほとんど感じられず、嗜好性の高いガレート型カテキン含有チョコレート菓子が得られることが分かる。また、実施例1と同様の形状を有していることから、実施例8〜11のガレート型カテキン含有チョコレート菓子は、携帯性に優れており、手軽にカテキンやコラーゲンペプチドのような有効成分を摂取できることがわかる。
【0072】
(実施例12)
実施例8のEGCgをECgに変えて、カテキン組成物部を作製し、実施例1と同様にしてガレート型カテキン含有チョコレート菓子を作製したところ、実施例1と同様に、苦渋味や不快味のない、クリーム様の滑らかなカテキン組成物部が得られた。尚、ECgは常法により、茶から抽出・精製したものを使用した。
【0073】
(比較例14、15)
実施例8のEGCgを(+)−カテキンに変えて、カテキン組成物部を作製し、実施例1と同様にしてガレート型カテキン含有チョコレート菓子を作製したところ、カテキン組成物は得られなかった(比較例14)。また、EGCgをEGCに変えて、カテキン組成物を作製し、実施例1と同様にしてガレート型カテキン含有チョコレート菓子を作製したところ、カテキン組成物がクリーム様の滑らかな口当たりとならなかった(比較例15)。このことより、滑らかな口当たりのカテキン組成物部を得るためにはガレート型のカテキンが必要であることがわかる。
【0074】
(比較例16、17)
実施例1のチョコレート部の重量比率を25重量%に変えて、実施例1と同様にしてガレート型カテキン含有チョコレート菓子を作製したところ、カテキン組成物部がチョコレート部で十分被覆されず、携帯性の乏しいものであった(比較例16)。実施例1のチョコレート部の重量比率を75重量%に変えて、実施例1と同様にしてガレート型カテキン含有チョコレート菓子を作製したところ、カテキン組成物部の滑らかな食感を十分に感じることができなかった(比較例17)。以上のことより、チョコレート部の重量比率が30〜70重量%の時に、携帯性があり、かつ、カテキン組成物部とチョコレート部の食感を楽しめる、嗜好性の高いチョコレート菓子が得られることがわかる。
【0075】
(実施例13)
グラニュー糖40部、果糖ブドウ糖液糖(Bx.75、日本コーンスターチ株式会社製)60部、アカシア食物繊維10部、水10部を混合加熱し、水分値8重量%になるまで真空釜にて濃縮し、続いてコラーゲンペプチド(商品名:SCP−5100、新田ゼラチン株式会社製、平均分子量5,000)8.0部を水8.0部に溶かした溶液を添加混合して、糖液を調製した。そして、ガレート型カテキン含有製剤(商品名:サンフェノン90S、ガレート型カテキン含有率65%、太陽化学株式会社製)4.0部を水4.0部に溶かした溶液を添加混合し、最後に抹茶香料0.2部を添加混合して、水分値16重量%の苦渋味の少ない抹茶風味のカテキン組成物を得た。溶解させてテンパリング操作を行ったチョコレート(商品名:クーベルチュール スイートチョコレート、大東カカオ株式会社製)をモールドに流し込み、モールドを反転させて余分なチョコレートを除去した後、20℃で冷却させてモールド内面にチョコレート部の外殻層を形成させた。得られた外殻層に上記カテキン組成物2.7gを充填し、上からチョコレートを流し込み5℃で冷却することにより、単重6gの抹茶風味のカテキン組成物を内包するチョコレート菓子を得た。得られたチョコレート菓子は、抹茶の風味と自然な苦味を有した、嗜好性の高く、携帯性に優れており、手軽にカテキンやコラーゲンペプチドのような有効成分を摂取できるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成比率が以下の範囲にあるカテキン組成物部とチョコレート部とから構成されることを特徴とするガレート型カテキン含有チョコレート菓子。
カテキン組成物部:
糖質を主体とする水分値12〜25重量%の組成物であって、全固形重量に対して
(A)ガレート型カテキン1.0〜18重量%
(B)平均分子量4000以上の水溶性コラーゲン5.0〜20.0重量%、および、
(C)アラビアガムを1.5〜20重量%、を含有する組成物。
【請求項2】
前記カテキン組成物部の少なくとも一部がチョコレート部により被覆されており、チョコレート部の比率が30〜70重量%である請求項1に記載のガレート型カテキン含有チョコレート菓子。

【公開番号】特開2013−39108(P2013−39108A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179596(P2011−179596)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(390020189)ユーハ味覚糖株式会社 (242)
【Fターム(参考)】