ガードインターバル検出装置およびガードインターバル検出方法、並びに、周波数オフセット検出装置
【課題】 回路構成を簡略化し、平均化の処理を行うシンボル数を減らし、位相オフセットが観測される状況下やMIMO通信環境下であっても、正確にガードインターバルを検出することができるガードインターバル検出装置およびガードインターバル検出方法、並びに、シンボル同期と周波数オフセットを同時に調整することができる周波数オフセット検出装置を提供する。
【解決手段】 ガードインターバル検出装置1は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するものであって、電力振幅値演算回路5と、遅延回路7と、差分回路9と、積分回路11と、ピーク検出回路13と、を備えた。
【解決手段】 ガードインターバル検出装置1は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するものであって、電力振幅値演算回路5と、遅延回路7と、差分回路9と、積分回路11と、ピーク検出回路13と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM信号におけるガードインターバルを検出するガードインターバル検出装置およびガードインターバル検出方法、並びに、検出したガードインターバルを用いて、周波数オフセットを検出する周波数オフセット検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式による無線伝送技術は、非特許文献1に記載されている放送番組の素材伝送、非特許文献2に記載されている無線LAN、または、将来の携帯電話システムにおいて、周波数利用効率の高さ、マルチパスやゴーストに対する耐性から注目されており、地上波デジタル放送、放送番組の素材伝送および無線LANの標準方式として採用されていたり、将来の携帯電話システムの標準方式として採用が検討されている。
【0003】
OFDM方式による無線伝送技術は、当該OFDM方式において伝送されるOFDM信号を構成する複数の副搬送波間の直交関係を利用して、最隣接で周波数分割多重された複数の副搬送波上にデジタル化された情報をのせて伝送する技術である。数百から数千に及ぶ複数の副搬送波が最隣接で周波数分割多重されているので、高い周波数利用効率が実現されている。
【0004】
また、OFDM方式による無線伝送技術は、OFDM信号の伝送帯域を複数の副搬送波の数分に分割して伝送するので、信号帯域の逆数であり、各情報の1ビット若しくは複数ビットを伝送する各符号区間であるシンボルの長さが副搬送波の数倍に長くなり、マルチパスによる遅延波によって生じる符号間干渉の影響が緩和されている。
【0005】
そして、OFDM方式による無線伝送技術は、マルチパスによる遅延波の影響を緩和するために、ガードインターバルと呼ばれるバッファ区間(ガード時間)を利用している。
ここで、図13にOFDM方式において伝送されるOFDM信号の直接波の各シンボルを示すと共に、マルチパスによる遅延波のシンボルが直接波の各シンボルに与える影響を示す。各シンボルは、BPSK、QPSK、16QAM、または、64QAMといった変調方式で変調されている。これらの変調方式のいずれか、または、これら複数の組み合わせで変調された複数の変調波が、直交周波数分割多重された状態の1シンボル分ずつの波形となる。
【0006】
この図13において、OFDM信号の遅延波のシンボルは、OFDM信号の直接波の同一時刻におけるシンボルおよび前後のシンボルと重なっており、直接波の同一時刻におけるシンボルに時間がずれて重なっている部分(a)と、後のシンボル(または前のシンボル)に重なっている部分(b)とが生じる。この部分(a)の長さ(時間)と部分(b)の長さ(時間)とは、直接波に対する遅延波の遅延時間によって決定される。
【0007】
そこで、OFDM方式による無線伝送技術では、最大の遅延時間よりも長いバッファ区間(ガード時間)を設定しており、このバッファ区間(ガード時間)に相当するガードインターバルを、OFDM信号を受信する受信側で除去することを前提にして、送信側で各シンボルに付加して送信している。すなわち、デジタル化した情報(有用な信号)をのせると共に受信側で復調される有効シンボルと、受信側で除去されるガードインターバルとからシンボルを構成して送信側から送信(伝送)することで、符号間干渉のない有用な信号の伝送が可能になる。
【0008】
OFDM方式による無線伝送技術において、符号間干渉のないOFDM信号の伝送を実現するためには、OFDM信号を受信する受信側で正確に各シンボルを識別して、当該シンボルを抽出するタイミングを同期させて、ガードインターバルを最適な位置で除去することで、正しいシンボルを構成する受信信号のサンプルの組み合わせでFFT(Fast Fourier Transform)を実行することが要求される。
【0009】
このシンボルを抽出するタイミングを同期させる(以下、シンボル同期という)ために、送信側で生成したガードインターバルの特性を利用することが多い。図14に各シンボルにおけるガードインターバルの生成方法の一例を示す。図14に示す事例では、OFDM方式の各シンボルは、有効シンボルの一部をコピーし、このコピーしたものを当該有効シンボルの直前に付加することによって、ガードインターバルとして利用している。なお、このようなガードインターバルは、OFDM方式による無線伝送技術において、大多数で利用されている。
【0010】
従って、ガードインターバルとして、有効シンボルの一部をコピーして利用する場合には、ガードインターバルと有効シンボルの一部との間に高い相関関係がある。従来は、この関係を利用して、次に示す数式(1)を用いて計算した結果に基づいて、ガードインターバルを検出し、シンボル同期を行っている。
【0011】
【数1】
【0012】
この数式(1)において、アナログ・デジタル変換(A/D変換)による復調処理を想定し、kはサンプル番号(整数)、r[k]はkサンプルにおける相関値、x[k]はkサンプルにおける受信信号(複素数)、x*[k]はx[k]の複素共役を表しており、ngおよびneはそれぞれサンプル数(整数)で表したガードインターバルの時間(ガード時間)および有効シンボルの時間(有効シンボル長)である。
【0013】
なお、ngとneとの比であるng/neは、ガードインターバル比と呼ばれている。neは送信側の送信装置で使用される逆FFTの演算ポイント数または当該ポイント数の整数倍(オーバーサンプル)に等しい。
【0014】
ここで、数式(1)を具現化(装置化)した例(ガードインターバル検出装置)を図15に示す。この図15に示すように、ガードインターバル検出装置101は、遅延回路103と、共役変換回路105と、乗算回路107と、積分回路109と、ピーク検出回路111とを備えている。
【0015】
このガードインターバル検出装置101では、送信装置(図示せず)から送信され、空間を伝搬した後に受信装置(図示せず)において受信された受信信号xが入力され、2系統に分岐されて、一方の受信信号xは、遅延回路103によって、neサンプル遅延されて、遅延受信信号x′となり、共役変換回路105によって複素共役に変換されて、複素共役受信信号(x′)*となる。
【0016】
この複素共役受信信号(x′)*と他方の受信信号xとが乗算回路107によって、乗算され、この乗算回路107の出力であるx(x′)*は、積分回路109において、ガード時間ng分の積分が実行されると、数式(1)に示した相関値r[k]として出力される。この相関値r[k]をガードインターバル相関値(GI相関値)という。
【0017】
そして、このガードインターバル相関値(GI相関値)は、ピーク検出回路111によって、絶対値化され、ピークが検出され、各シンボルにおいてガードインターバルの位置が検出される。つまり、ピーク検出回路111により、GI相関値r[k]の絶対値の中で最大値を与えるサンプルkと、シンボル同期を図る制御信号とが出力される。
【0018】
なお、この図15に示したガードインターバル検出装置101は、非特許文献3に開示されているものを示したが、実際の処理では共役変換回路105で代表されるような複素数として処理するのではなく、実数のままで処理している。そこで、実数I[k]、Q[k]を用いて、受信信号xのサンプルkであるx[k]の同相(I)成分および直交(Q)成分とすると、x[k]=I[k]+jQ[k]と置き換えることができ、数式(1)のx[k+i+ne]x*[k+i]は次に示す数式(2)のようになる。
【0019】
【数2】
【0020】
この数式(2)から推測できるように、当該数式(2)の絶対値を演算する図15に示したガードインターバル検出装置101の回路規模は、より大きなものになってしまう。また、ここで、図15に示したガードインターバル検出装置101を用いて得られるGI相関値の計算結果の例を図16に示す。
【0021】
この図16は、50シンボル分のOFDM信号に対して、GI相関値を演算した結果を示している。この図16に示したGI相関値を演算した結果は、受信側の受信装置で正確に周波数同期がとれており、周波数/位相オフセットがない状態で受信されたものを想定したシミュレーション結果である。この図16では、縦軸に、数式(1)におけるr[k]の絶対値が記録されており、横軸に、サンプルkで記述する時間がプロットされている。
【0022】
この図16に示すように、サンプルk=2200近辺でGI相関値の相関ピーク(ピーク値)が観測されている。しかし、このピーク値はシンボルごとに大きく変動していることが観測できる。すると、シンボル同期の動作の安定性に影響を与える。そこで、このように、ピーク値がシンボルごとに大きく変動してしまうことに着目して、この変動を改善する技術として発案されたものが特許文献1(「別のガードインターバル検出方法」)に開示されている。
【0023】
この特許文献1に開示されているガードインターバル検出装置のブロック図を図17に示す。この図17に示したガードインターバル検出装置121は、直交検波回路123と、遅延回路125(125a、125b)と、引算回路127(127a、127b)と、絶対値回路129(129a、129b)と、加算回路131と、積分回路133と、ピーク検出回路135とを備えている。また、この図17に示したガードインターバル検出装置121の動作原理を数式化すると、次に示す数式(3)のようになる。
【0024】
【数3】
【0025】
この数式(3)において、s[k]はサンプルkにおける差分値であり、その他の定数および変数は数式(1)および数式(2)で使用したものと同様であるので説明を省略する。この数式(3)では、数式(2)の実数項に記載した乗算部分の演算を、減算して絶対値をとった演算に置き換えたものに等しくなっている。
【0026】
この結果、図17に示したガードインターバル検出装置121では、図15のガードインターバル検出装置101では記載を省略した直交検波回路123により、受信信号は同相成分信号Iと直交成分信号Qとに分離され、同相成分信号Iは遅延回路125aで有効シンボル長であるneサンプル遅延されて遅延同相成分信号I′とされ、直交成分信号Qは遅延回路125bで有効シンボル長であるneサンプル遅延されて遅延直交成分信号Q′とされて、引算回路127(127a、127b)に入力される。
【0027】
そうすると、ガードインターバル検出装置121では、引算回路127aによって、同相成分信号Iから遅延同相成分信号I′が引き算され(I−I′)、引算回路127bによって、直交成分信号Qから遅延直交成分信号Q′が引き算され(Q−Q′)、さらに、絶対値回路129aによって、I−I′が絶対値化され|I−I′|とされ、絶対値回路129bによって、Q−Q′が絶対値化され|Q−Q′|とされる。
【0028】
そして、ガードインターバル検出装置121では、加算回路131によって、絶対値化された|I−I′|と|Q−Q′|とが加算され、積分回路133によって、ガード時間ng分の積分が実行されると、数式(3)に示した差分値s[k]として出力される。その後、この差分値s[k]は、ピーク検出回路135によって、ガードインターバルの位置を示す最小値を与えるピークが検出され、各シンボルの差分値s[k]の最小値を与えるサンプルkと、シンボル同期を図る制御信号とが出力される。
【0029】
なお、この図17に示したガードインターバル検出装置121の構成は、図15に示したガードインターバル検出装置101の構成に比べて、このガードインターバル検出装置101を実際に構成するのに必要となる数式(2)にあるような虚数項がなく、また、共役変換回路105や乗算回路107がないため、明確に簡略化されている。また、引算回路127(127a、127b)と絶対値回路129(129a、129b)とを合わせて差分回路と呼ぶことにする。
【0030】
ここで、数式(3)および図17に示したガードインターバル検出装置121を用いて得られる差分値の計算結果の例を図18に示す。図18は、図16と同様に、50シンボル分のOFDM信号に対して、差分値を演算した結果を示している。この図18に示した差分値を演算した結果は、受信側の受信装置で正確に周波数同期がとれており、周波数/位相オフセットがない状態で受信されたものを想定したシミュレーション結果である。この図18では、縦軸に、数式(3)におけるs[k]の差分値が記録されており、横軸に、サンプルkで記述する時間がプロットされている。
【0031】
この図18に示すように、サンプルk=2200近辺で差分値の最小ピークが観測されている。図18に示した演算結果は、図16に示した演算結果と異なり、最小ピーク付近での変動が小さくなっており、ピーク位置をより明確に視認することができる。つまり、ガードインターバル検出装置121は、簡単な構成でガードインターバルの検出能力が高いといえる。
【0032】
しかし、図17に示した差分方式のガードインターバル検出装置121には重要な問題がある。ここで、数式(3)および図17に示したガードインターバル検出装置121を用いて得られる差分値の計算結果の別の例を図19に示す。この図19に示した差分値の計算結果では、同期が不十分なために、1有効シンボルの始めと終わりとの間で、ちょうど2分のπの位相オフセットがある(副搬送波間隔の4分の1に相当する周波数差がある)状態でOFDM信号が受信されたことを想定している。
【0033】
この結果、図19に示した差分値の計算結果では、図18においてサンプルk=2200近辺で明確に観測された差分値の最小ピークが全く観測されていないのがわかる。しかし、同じ状態(1有効シンボルの始めと終わりとの間で、ちょうど2分のπの位相オフセットがある状態)でOFDM信号が受信された場合に、図15に示したガードインターバル検出装置101を適用して得たGI相関値の計算結果の例を図20に示す。この図20に示すように、GI相関値の場合には、図16に示したGI相関値の計算結果と同様に、サンプルk=2200近辺で相関ピーク(最大ピーク)が検出されるので問題にならない。
【0034】
つまり、ガードインターバル検出装置121の重要な問題とは、1有効シンボルの始めと終わりとの間で、ちょうど2分のπの位相オフセットがある状態でOFDM信号を受信した場合、ガードインターバルを検出することができないことである。
【0035】
この理由は、数式(2)にあって数式(3)において除かれている虚数項が関係している。そこで、この虚数項に対応する同相成分信号Iと直交成分信号Qとの間で差分を取ることにより、周波数オフセットを検出する技術が、例えば、特許文献2および特許文献3に開示されている。
【0036】
なお、特許文献2および特許文献3に開示されている技術は、特許文献1に開示されている技術により、シンボル同期することを基本にしているので、最初にシンボル同期がなされるまで、周波数オフセットを調整することができないという問題がある。また、特許文献2および特許文献3に開示されている技術では、回路構成も複雑化してしまう。
【0037】
ところで、OFDM方式の無線伝送技術を、将来の携帯電話システム等の広帯域移動通信の標準方式に採用しようとした場合、利用できる周波数帯域が制限されていることや、マルチメディア通信の需要等により、高品質、且つ、固定通信並みの高い周波数利用効率が要望されている。この要望に対処する技術として、最近注目を集めているものがMIMO(Multiple−Input Multiple−Output)通信技術である。
【0038】
このMIMO通信技術では、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとを用いて、MIMO通信技術におけるMIMO伝搬路を構成しており、複数のデータ信号を、同一周波数上、または、周波数帯が重なる状態の電波によって、当該MIMO伝搬路を経由して送受信する。このようにMIMO通信技術は、MIMO伝搬路を送受信する複数のデータ信号によるデータの大容量化、或いは、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナによるダイバーシティ効果によるロバスト化を図るものである。
そして、このMIMO通信技術において、MIMO通信環境下であっても、正確にガードインターバルを検出することが要求されている。
【非特許文献1】標準規格「テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形OFDM方式デジタル無線伝送システム」 ARIB STD−B33 1.0版 (社)電波産業会 2002年発行、全頁
【非特許文献2】標準規格「Part11:Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) Specifications」、IEEE Standard 802.11 1999年発行、全頁
【非特許文献3】R.V.Nee and R.Prasad、「OFDM for Wireless Multimedia Communications」、Artech House (2000)、pp.81−86
【特許文献1】特開2000−252950号公報
【特許文献2】特開2001−111520号公報
【特許文献3】特開2001−211132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
しかしながら、これまで述べてきた従来技術では、いくつかの不十分な点が指摘されている。
まず、GI相関によるガードインターバル検出方法では、検出するシンボルごとに相関演算する結果、出力される相関ピークの大きさが大きく変動する。また、相関ピーク以外の部分での相関値の変動も決して小さくない。このため、安定したシンボル同期を実現するためには、比較的多数のシンボルに亘る平均化の処理が不可欠になってしまうという問題がある。
【0040】
また、差分方式によるガードインターバル検出方法は、回路構成を簡略化し、且つ、シンボル変動に対して、差分値の安定した最小ピークを検出することができる。しかしながら周波数位相同期が不十分で位相オフセットが観測されるような状況では、最小ピークが検出できず、ガードインターバルを検出することができなくなるという問題がある。
【0041】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、回路構成を簡略化し、平均化の処理を行うシンボル数を減らし、位相オフセットが観測される状況下やMIMO通信環境下であっても、正確にガードインターバルを検出することができるガードインターバル検出装置およびガードインターバル検出方法、並びに、シンボル同期と周波数オフセットを同時に調整することができる周波数オフセット検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0042】
前記課題を解決するため、請求項1記載のガードインターバル検出装置は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出装置であって、電力値演算手段と、遅延手段と、差分値演算手段と、を備える構成とした。
【0043】
かかる構成によれば、ガードインターバル検出装置は、電力値演算手段によって、シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける電力値を演算する。なお、この電力値の演算は、同相成分信号の二乗と直交成分信号の二乗との和によって求められる。続いて、ガードインターバル検出装置は、遅延手段によって、電力値演算手段で電力値が演算されたサンプルを2つに分岐させた一方の当該電力値を示すサンプルを、有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延電力値とする。
【0044】
そして、ガードインターバル検出装置は、差分値演算手段によって、遅延手段で遅延させた遅延電力値と、電力値演算手段で電力値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す電力値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する。この差分値は、遅延電力値から他方が示す電力値を減算した後、または、他方が示す電力値から遅延電力値を減算した後、絶対値をとったものである。そして、このガードインターバル検出装置は、差分値演算手段で演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出する。
【0045】
請求項2記載のガードインターバル検出装置は、請求項1に記載のガードインターバル検出装置において、前記差分値演算手段が、誤差距離率演算手段を備える構成とした。
【0046】
かかる構成によれば、ガードインターバル検出装置は、誤差距離率演算手段によって、電力値および遅延電力値の和または平均値に従って、OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する。この誤差距離率は、電力値によって規格化した差分値のことである。そして、ガードインターバル検出装置は、誤差距離率演算手段で演算された誤差距離率を用いてガードインターバルを検出する。
【0047】
請求項3記載のガードインターバル検出装置は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出装置であって、振幅値演算手段と、遅延手段と、差分値演算手段と、を備える構成とした。
【0048】
かかる構成によれば、ガードインターバル検出装置は、振幅値演算手段によって、シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける振幅値を演算する。なお、この振幅値の演算は、同相成分信号の二乗と直交成分信号の二乗との和の平方根によって求められる。続いて、ガードインターバル検出装置は、遅延手段によって、振幅値演算手段で振幅値が演算されたサンプルを2つに分岐させた一方の当該振幅値を示すサンプルを、有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延振幅値とする。
【0049】
そして、ガードインターバル検出装置は、差分値演算手段によって、遅延手段で遅延させた遅延振幅値と、振幅値演算手段で振幅値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す振幅値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する。この差分値は、遅延振幅値から他方が示す振幅値を減算した後、または、他方が示す振幅値から遅延振幅値を減算した後、絶対値をとったものである。そして、このガードインターバル検出装置は、差分値演算手段で演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出する。
【0050】
請求項4記載のガードインターバル検出装置は、請求項3に記載のガードインターバル検出装置において、前記差分値演算手段が、誤差距離率演算手段を備える構成とした。
【0051】
かかる構成によれば、ガードインターバル検出装置は、誤差距離率演算手段によって、振幅値および遅延振幅値の和または平均値に従って、OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する。この誤差距離率は、振幅値によって規格化した差分値のことである。そして、ガードインターバル検出装置は、誤差距離率演算手段で演算された誤差距離率を用いてガードインターバルを検出する。
【0052】
請求項5記載のガードインターバル検出方法は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出方法であって、電力値演算ステップと、遅延ステップと、差分値演算ステップと、を含む手順とした。
【0053】
かかる手順によれば、ガードインターバル検出方法は、電力値演算ステップにおいて、シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける電力値を演算し、遅延ステップにおいて、電力値演算ステップにて電力値が演算されたサンプルを2つに分岐させた一方の当該電力値を示すサンプルを、有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延電力値とする。そして、ガードインターバル検出方法は、差分値演算ステップにおいて、遅延ステップにて遅延させた遅延電力値と、電力値演算ステップにて電力値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す電力値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算し、差分値演算ステップにて演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出する。
【0054】
請求項6記載のガードインターバル検出方法は、請求項5に記載のガードインターバル検出方法において、前記差分値演算ステップに、誤差距離率演算ステップを含む手順とした。
【0055】
かかる手順によれば、ガードインターバル検出方法は、誤差距離率演算ステップにおいて、電力値および遅延電力値の和または平均値に従って、OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する。そして、ガードインターバル検出方法は、誤差距離率演算ステップにて演算された誤差距離率を用いてガードインターバルを検出する。
【0056】
請求項7記載のガードインターバル検出方法は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出方法であって、振幅値演算ステップと、遅延ステップと、差分値演算ステップと、を含む手順とした。
【0057】
かかる手順によれば、ガードインターバル検出方法は、振幅値演算ステップにおいて、シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける振幅値を演算し、遅延ステップにおいて、振幅値演算ステップにて振幅値が演算されたサンプルを2つに分岐させた一方の当該振幅値を示すサンプルを、有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延振幅値とする。そして、ガードインターバル検出方法は、差分値演算ステップにおいて、遅延ステップにて遅延させた遅延振幅値と、振幅値演算ステップにて振幅値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す振幅値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算し、差分値演算ステップにて演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出する。
【0058】
請求項8記載のガードインターバル検出方法は、請求項7に記載のガードインターバル検出方法において、前記差分値演算ステップに、誤差距離率演算ステップを含む手順とした。
【0059】
かかる手順によれば、ガードインターバル検出方法は、誤差距離率演算ステップにおいて、振幅値および遅延振幅値の和または平均値に従って、OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する。そして、ガードインターバル検出方法は、誤差距離率演算ステップにて演算された誤差距離率を用いてガードインターバルを検出する。
【0060】
請求項9記載の周波数オフセット検出装置は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出し、この検出したガードインターバルに基づいて、当該OFDM信号の周波数オフセットを検出する周波数オフセット検出装置であって、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガードインターバル検出装置と、信号遅延手段と、差分絶対値演算手段と、周波数誤差信号検出手段と、を備える構成とした。
【0061】
かかる構成によれば、周波数オフセット検出装置は、信号遅延手段によって、OFDM信号の任意数番目のサンプルにおける同相成分信号または直交成分信号を有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させる。続いて、周波数オフセット検出装置は、差分絶対値演算手段によって、信号遅延手段で遅延された遅延同相成分信号と直交成分信号とに基づき、または、信号遅延手段で遅延された遅延直交成分信号と同相成分信号とに基づき、差分の絶対値を演算する。
【0062】
そして、周波数オフセット検出装置は、周波数誤差信号検出手段によって、ガードインターバル検出装置から出力されたガードインターバルの検出サンプルに基づいたゲートタイミングに従って、差分絶対値演算手段で演算された差分の絶対値を出力することで、周波数誤差信号を検出する。そして、周波数オフセット検出装置は、周波数誤差信号検出手段で検出された周波数誤差信号を、周波数オフセットを検出する基準にして、当該周波数オフセットを検出する。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、OFDM信号(受信信号)の任意数番目のサンプル(各サンプル時間)における電力値または振幅値を計算し、当該電力値または当該振幅値の有効シンボル長に相当するサンプル間の差分値、または、当該電力値または当該振幅値で規格化した差分値(誤差距離率)を求め、差分値または誤差距離率に基づいて、ガードインターバルを検出することができる。このため、簡略な回路構成で、マルチパスなど伝搬路の変動や周波数同期が不十分で位相オフセット(位相ズレ)があるような環境下でも安定したシンボル同期を可能にすることができる。また、MIMO通信環境下であっても、正確にガードインターバルを検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
〈ガードインターバル検出装置(第一実施形態)の構成〉
図1は、ガードインターバル検出装置(第一実施形態)のブロック図である。この図1に示すように、ガードインターバル検出装置1は、受信信号(OFDM信号)を入力して、ガードインターバルの位置を示す制御信号を出力するもので、直交検波回路3と、電力振幅演算回路(電力値演算手段、振幅値演算手段)5と、遅延回路(遅延手段)7と、差分回路(差分値演算手段)9と、積分回路11と、ピーク検出回路13とを備えている。
【0065】
直交検波回路3は、受信信号(OFDM信号)を直交検波して、同相成分信号(I)と直交成分信号(Q)とを電力振幅演算回路5に出力するものである。なお、受信信号を複素数とみなすことができ、この場合、同相成分信号(I)は受信信号の実数成分であり、直交成分信号(Q)は受信信号の虚数成分である。
【0066】
電力振幅演算回路5は、直交検波回路3から出力された同相成分信号(I)と直交成分信号(Q)とから受信信号の各時間サンプルにおける電力値または振幅値、つまり、受信信号であるOFDM信号の連続するシンボルにおいて、各シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルそれぞれの同相成分信号(I)と直交成分信号(Q)とに基づいて、電力値または振幅値を演算するものである。
【0067】
電力値は、受信信号の電力レベルを示すものであり、同相成分信号(I)の二乗と直交成分信号(Q)の二乗との和を演算することで求められる。振幅値は、受信信号の波形の振幅レベルを示すものであり、電力値の平方根、つまり、同相成分信号(I)の二乗と直交成分信号(Q)の二乗との和の平方根を演算することで求められる。なお、図1では振幅値Z=√(I2+Q2)のみを示している。
【0068】
この電力振幅演算回路5で演算された電力値または振幅値は、回路間を接続する配線によって2系統に分配され、分配された一方の電力値または振幅値は遅延回路7に入力され、分離された他方の電力値または振幅値は差分回路9に入力される。
【0069】
遅延回路7は、電力振幅演算回路5で演算され、分配された一方の電力値または振幅値を示すサンプルを、有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけサンプル遅延させるものである。なお、遅延された電力値は遅延電力値と、遅延された振幅値は遅延振幅値と呼称することとする。また、図1では遅延振幅値Z′のみを示している。
【0070】
差分回路9は、電力振幅演算回路5で演算され、分配された他方の電力値または振幅値から、遅延回路7で遅延された遅延電力値または遅延振幅値を減算し、絶対値を求めるもので、引算回路9aと、絶対値回路9bとを備えている。
【0071】
引算回路9aは、他方の電力値から遅延電力値を減算(引き算)、または、他方の振幅値から遅延振幅値を減算(引き算)するもの、或いは、遅延電力値から他方の電力値を減算、または、遅延振幅値から他方の振幅値を減算するものである。図1では他方の振幅値から遅延振幅値を減算したZ−Z′のみを示している。
【0072】
絶対値回路9bは、引算回路9aで減算(引き算)された結果(減算結果)、つまり、他方の電力値から遅延電力値を減算した結果、または、他方の振幅値から遅延振幅値を減算した結果、或いは、遅延電力値から他方の電力値を減算した結果、または、遅延振幅値から他方の振幅値を減算した結果の絶対値を求めるものである。図1では他方の振幅値から遅延振幅値を減算したZ−Z′の絶対値である|Z−Z′|のみを示している。
【0073】
積分回路11は、差分回路9から出力された、減算結果の絶対値について、ガード時間分の積分を施して、サンプルごとに電力差分値または振幅差分値を出力するものである。ここで、任意数番目をk(サンプル番号、整数)としk番目のサンプル(以下、サンプルkとする)の振幅差分値をd[k]とすると、次に示す数式(4)のようになる。なお、電力差分値も同様に数式(4)を用いて求めることができる。
【0074】
【数4】
【0075】
この数式(4)において、ngおよびneはそれぞれサンプル数で表したシンボルごとのガードインターバルの時間(ガード時間)および有効シンボルの時間(有効シンボル長)である。また、Z[k]は、電力振幅演算回路5により、サンプルkにおける同相成分信号(I)のI[k]および直交成分信号(Q)のQ[k]から求められた振幅値(振幅信号)であり、次に示す数式(5)のようになる。
【0076】
【数5】
【0077】
さらに、Z[k]は電力振幅演算回路5により、サンプルkにおける同相成分信号(I)のI[k]および直交成分信号(Q)のQ[k]から求められた電力値(電力信号)とすることができ、次に示す数式(6)のようになる。
【0078】
【数6】
【0079】
ピーク検出回路13は、積分回路11から出力された、サンプルごとの電力差分値または振幅差分値d[k]に基づいて、ガードインターバルの位置を検出するものである。つまり、このピーク検出回路13は、サンプルごとの電力差分値または振幅差分値d[k]が予め設定した値(例えば、極小値、または、最小値)となるサンプルを検出し、受信信号の各シンボルに含まれるそれぞれのサンプルkにおける電力差分値または振幅差分値d[k]において、最小値を与えるサンプルkおよびシンボル同期の制御信号(ガードインターバルの位置)を出力する。
【0080】
このガードインターバル検出装置1によれば、遅延された遅延電力値または遅延振幅値と、他方の電力値または振幅値とに基づいて、電力差分値または振幅差分値を演算し、この演算された電力差分値または振幅差分値が最小値(予め設定した値)となる任意数番目のサンプルを、ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準にしているので、従来のOFDM方式による無線伝送技術(差分方式)に比べて、回路構成を大幅に変更することなく、周波数や位相のオフセットに対しても、正確にガードインターバルを検出することができる。
【0081】
次に、図2、図3を参照して、ガードインターバル検出装置1による計算結果の例を説明する。この図2、図3では、ガードインターバル検出装置1が50シンボル分のOFDM信号に対して、振幅差分値を計算した計算結果を示している。
【0082】
図2に示した計算結果は、OFDM信号を受信した受信側において、正確に周波数同期が取れており、周波数や位相のオフセットがない状態で受信されたものとして想定したシミュレーション結果である。
【0083】
図3に示した計算結果は、OFDM信号を受信した受信側において、有効シンボル区間の始めと終わりとの間にπ/2の位相差がある状態で受信されたものとして想定したシミュレーション結果である。
【0084】
これら図2、図3において、横軸に、サンプルkで記述する時間を取っており、縦軸に、数式(4)を用いて得られた振幅差分値d[k]を取っている。図2、図3共に、サンプルk=2200近辺で最小値(最小ピーク)が観測される。
【0085】
図2に示した計算結果では、図18に示した従来のOFDM方式による無線伝送技術(差分方式)の結果と比べると、最小値(最小ピーク)の鮮明さや、ピークの深さとピーク以外の区間での変動量との比の値が若干劣っているように観測されるが、図16に示したGI相関値による相関ピークの最大値の検出と比べると、より鮮明にガードインターバルの開始タイミングを判定できる結果となっている。
【0086】
図3に示した計算結果では、図19に示した従来のOFDM方式による無線伝送技術(差分方式)の結果と比べると、従来、位相差がπ/2存在すると、全く最小値(最小ピーク)が観測できていなかったのに対し、最小値(最小ピーク)の鮮明さや、ピークの深さとピーク以外の区間での変動量との比の値が図2に示した計算結果とほとんど変わらない良好な結果となっている。
【0087】
これら図2、図3に示した計算結果から、ガードインターバル検出装置1では、ガードインターバルの位置を示す最小値(最小ピーク)を、OFDM信号の各シンボルの状態が受信状態の変化に伴い変化しても、また、受信側でOFDM信号を受信した際に位相差(周波数や位相のオフセットの変化)があったとしても、安定して検出するできることがわかる。
【0088】
〈ガードインターバル検出装置(第一実施形態)の動作〉
次に、図4に示すフローチャートを参照して、ガードインターバル検出装置1の動作について説明する(適宜、図1参照)。
まず、ガードインターバル検出装置1は、受信信号を入力すると、直交検波回路3によって、直交検波を行って、同相成分信号(I)および直交成分信号(Q)を電力振幅演算回路5に出力する(ステップS1)。
【0089】
続いて、ガードインターバル検出装置1は、電力振幅演算回路5によって、電力値または振幅値を計算して、この計算した電力値または振幅値を、配線によって分岐させて、遅延回路7と差分回路9とに出力する(ステップS2)。そして、ガードインターバル検出装置1は、遅延回路7によって、電力値または振幅値を遅延させて、遅延電力値または遅延振幅値とする(ステップS3)。続いて、ガードインターバル検出装置1は、差分回路9の引算回路9aにおいて、遅延電力値と分岐して入力した他方の電力値、または、遅延振幅値と分岐して入力した他方の振幅値との間の有効シンボル長の時間差(neサンプル)の信号(サンプル)間で引算して、絶対値回路9bで絶対値をとる(ステップS4)。
【0090】
そして、ガードインターバル検出装置1は、積分回路11によって、電力差分値または振幅差分値に基づいて、積分をとり、ピーク検出回路13によって、各シンボルにおける最小値(最小ピーク)を検出する(ステップS5)。この最小値(最小ピーク)がガードインターバルの開始タイミングを取得する基準となる。そして、ガードインターバル検出装置1は、通常、当該装置1の電源投入後、電源遮断まで、これらの動作を繰り返し実行する。なお、積分回路11による積分には、数式(4)で示したガード時間ngサンプル分の積算が対応するが、各シンボルのサンプルごとの結果を、複数のシンボルに亘って積算する場合もある。
【0091】
〈ガードインターバル検出装置(第二実施形態)の構成〉
図5は、ガードインターバル検出装置(第二実施形態)のブロック図である。この図5に示すように、ガードインターバル検出装置1Aは、受信信号(OFDM信号)を入力して、ガードインターバルの位置を示す制御信号を出力するもので、直交検波回路3と、電力振幅演算回路(電力値演算手段、振幅値演算手段)5と、遅延回路(遅延手段)7と、差分回路(差分値演算手段)9と、平均値回路17と、除算回路19と、積分回路11と、ピーク検出回路13とを備えている。図1に示したガードインターバル検出装置1の構成と同様のものは同一の符号を付してその説明を省略する。
【0092】
このガードインターバル検出装置1Aは、ガードインターバル検出装置1と同様に、直交検波回路3によって、受信信号を直交検波し、電力振幅演算回路5によって、電力値または振幅値Z=√(I2+Q2)を求める(以降、振幅値を求めたものとして説明する)。そして、ガードインターバル検出装置1Aは、電力振幅演算回路5で求めた振幅値Z=√(I2+Q2)を遅延回路7と差分回路9と平均値回路17とに出力している。
【0093】
平均値回路17は、電力振幅演算回路5で求められた振幅値Zと、遅延回路7で遅延された遅延振幅値Z′との平均値(Z+Z′)/2を求めて、除算回路19に出力するものである。
なお、この平均値回路17は、振幅値Zと遅延振幅値Z′との平均だけではなく、振幅値Zと遅延振幅値Z′との和を求めてもよい。また、電力振幅演算回路5が電力値を出力する場合には、電力値と遅延電力値との和、または、電力値と遅延電力値との平均を求める。
【0094】
除算回路19は、差分回路9で求められた差分値(振幅差分値)を、平均値回路17で求められた平均値(Z+Z′)/2で除算するものである。そして、ガードインターバル検出装置1Aは、この除算回路19で除算された結果を、積分回路11によって、ガード時間分の積分を施して、サンプルkごとに振幅差分値d[k](または電力差分値)を出力する。
【0095】
ここで、振幅差分値d[k]を計算式で表すと、次に示す数式(7)のようになる。この数式(7)で求められる振幅差分値を誤差距離率とする。
【0096】
【数7】
【0097】
このガードインターバル検出装置1Aによれば、平均値回路17によって、振幅値と遅延振幅値との平均値を求めて、差分回路9で求められた差分値を除算して、OFDM信号における誤差距離率を演算し、この演算された誤差距離率を用いてガードインターバルを検出しているので、マルチパス等による伝搬路の変動があり、周波数同期が不十分で位相にズレがあるような環境下、または、MIMO通信環境下にあっても、正確にガードインターバルを検出することができる。
【0098】
次に、図6、図7を参照して、ガードインターバル検出装置1Aによる計算結果の例を説明する。この図6、図7では、ガードインターバル検出装置1Aが50シンボル分のOFDM信号に対して、誤差距離率を計算した計算結果を示している。
【0099】
図6に示した計算結果は、OFDM信号を受信した受信側において、正確に周波数同期が取れており、周波数や位相のオフセットがない状態で受信されたものとして想定したシミュレーション結果である。
【0100】
図7に示した計算結果は、OFDM信号を受信した受信側において、有効シンボル区間の始めと終わりとの間にπ/2の位相差がある状態で受信されたものとして想定したシミュレーション結果である。
【0101】
これら図6、図7において、横軸に、サンプルkで記述する時間を取っており、縦軸に、数式(7)を用いて得られた誤差距離率d[k]を取っている。図6、図7共に、サンプルk=2200近辺で最小値(最小ピーク)が観測される。
【0102】
図6、図7に示した計算結果では、図2、3に示したガードインターバル検出装置1の結果と比べると、最小値(最小ピーク)の鮮明さや、ピークの深さとピーク以外の区間での変動量との比の値がいずれもより良好な結果となっている。特に、ピーク以外の区間での変動量が抑えられていることがわかる。これはガードインターバル検出装置1Aの平均値回路17によって、差分値を平均値で除算することで、規格化している処理を施していることに起因している。
【0103】
これら図6、図7に示した計算結果から、ガードインターバル検出装置1Aでは、ガードインターバル検出装置1よりも平均値回路17が組み込まれる分、回路規模が大きくなるが、より良好な結果、つまり、より正確にガードインターバルの位置を検出することができる。
【0104】
〈ガードインターバル検出装置(第二実施形態)の動作〉
次に、図8に示すフローチャートを参照して、ガードインターバル検出装置1Aの動作について説明する(適宜、図5参照)。
まず、ガードインターバル検出装置1Aは、受信信号を入力すると、直交検波回路3によって、直交検波を行って、同相成分信号(I)および直交成分信号(Q)を電力振幅演算回路5に出力する(ステップS11)。
【0105】
続いて、ガードインターバル検出装置1Aは、電力振幅演算回路5によって、電力値または振幅値を計算して、この計算した電力値または振幅値を、配線によって分岐させて、遅延回路7と差分回路9と平均値回路17とに出力する(ステップS12)。そして、ガードインターバル検出装置1Aは、遅延回路7で、電力値または振幅値を遅延させて、遅延電力値または遅延振幅値とする(ステップS3)。続いて、ガードインターバル検出装置1Aは、差分回路9によって、電力値と遅延電力値、或いは、振幅値と遅延振幅値との間の有効シンボル長の時間差の信号間で引算して、絶対値をとり、平均値回路17によって、電力値と遅延電力値との平均値、または、振幅値と遅延振幅値との平均値、或いは、電力値と遅延電力値との和、または、振幅値と遅延振幅値との和をとる(ステップS14)。
【0106】
そして、ガードインターバル検出装置1Aは、除算回路19によって、差分回路9から出力された差分値を、平均値回路17から出力された平均値または和で除算し、誤差距離率を得る(ステップS15)。そして、ガードインターバル検出装置1Aは、積分回路11によって、誤差距離率に基づいて、積分をとり、ピーク検出回路13によって、各シンボルにおける最小値(最小ピーク)を検出する(ステップS16)。この最小値(最小ピーク)がガードインターバルの開始タイミングを取得する基準となる。
【0107】
そして、ガードインターバル検出装置1Aは、通常、当該装置1Aの電源投入後、電源遮断まで、これらの動作を繰り返し実行する。なお、積分回路11による積分には、数式(7)で示したガード時間ngサンプル分の積算が対応するが、各シンボルのサンプルごとの結果を、複数のシンボルに亘って積算する場合もある。
【0108】
〈MIMO通信環境下におけるガードインターバルの検出について〉
なお、これまでの説明では、送信が1系統のみの場合について、ガードインターバル検出装置1またはガードインターバル検出装置1Aがガードインターバルを正確に検出できることを説明してきたが、これより、MIMO通信環境下(同じ空間内に複数の送信系統が存在する場合)において、ガードインターバルを正確に検出できることを、図9、図10を参照して説明する。
【0109】
図9、図10は、送信4系統のMIMO通信環境下において、ガードインターバル検出装置1またはガードインターバル検出装置1AがOFDM信号を受信した際の計算結果の例を示した図である。図9はガードインターバル検出装置1を用いた場合の計算結果を示しており、図10はガードインターバル検出装置1Aを用いた場合の計算結果を示している。
【0110】
これら図9、図10では、OFDM信号を受信した受信側において、正確に周波数同期が取れており、周波数や位相のオフセットがない状態で受信されたものとして想定したシミュレーション結果である。図9において、横軸に、サンプルkで記述する時間を取っており、縦軸に、数式(4)を用いて得られた振幅差分値d[k]を取っている。また、図10において、横軸に、サンプルkで記述する時間を取っており、縦軸に、数式(7)を用いて得られた誤差距離率d[k]を取っている。図9、図10共に、サンプルk=2200近辺で最小値(最小ピーク)が観測される。
【0111】
これら図9、図10に示した計算結果は、図2、図6にそれぞれに示した計算結果と比較して、最小値(最小ピーク)の深さと、ピークが生じた区間とピーク以外の区間での変動量との比の値がいずれもより良好な結果となっている。特に、ピーク以外の区間での変動量が抑えられていることがわかる。
【0112】
なお、これら図9、図10に示した計算結果は、送信1系統のOFDM信号の送信電力(図2、図6)と、送信4系統のOFDM信号の送信電力の合計である総送信電力とが同じとなる条件で、送信された4系統のOFDM信号のそれぞれを、雑音等が同じ環境で受信することを想定して行ったものである。従って、MIMO通信環境下において、OFDM信号を送信する送信側では、1送信機当たりの送信電力は、送信1系統の場合の1/4となっており、送信している情報である送信内容がそれぞれ異なっていたとしても、その総送信電力がガードインターバルを検出するための最小値(最小ピーク)の形成に寄与していることがわかる。
【0113】
また、これら図9、図10に示した計算結果において、ピーク以外の区間での変動量が抑えられているのは、送信4系統、つまり、4波のOFDM信号が合成されることにより、OFDM信号のサンプルごとの相互相関が小さくなっていることが寄与していると推定される。
【0114】
これら図9、図10に示した計算結果によって、ガードインターバル検出装置1または、ガードインターバル検出装置1Aは、MIMO通信環境下でも利用することができ、さらなる性能向上を図ることが可能であることがわかる。
【0115】
〈周波数オフセット検出装置の構成〉
次に、図11を参照して、周波数オフセット検出装置の構成を説明する。図11に示すように、周波数オフセット検出装置21は、周波数や位相のオフセットがある環境でも安定したシンボル同期が行えるように、図1に示したガードインターバル検出装置1に周波数/位相オフセット検出機能を付加したもので、直交検波回路3と、電力振幅演算回路5と、遅延回路7、23と、差分回路9、25と、積分回路11(11a、11b)と、ピーク検出回路13と、ゲート回路(周波数誤差信号検出手段)27とを備えている。なお、図1に示したガードインターバル検出装置1と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。なお、遅延回路23が信号遅延手段に、差分回路25が差分絶対値演算手段に相当する。
【0116】
この周波数オフセット検出装置21において、電力振幅演算回路5、遅延回路7、差分回路9、積分回路11bおよびピーク検出回路13は、ガードインターバルを検出するシンボル同期部分であり、遅延回路23、差分回路25、積分回路11aおよびゲート回路27は周波数/位相オフセット検出機能部分である。シンボル同期部分は、ガードインターバル検出装置1と同様の機能を備え、同様の動作を行うので説明は省略する。
【0117】
周波数/位相オフセット検出機能部分は、直交検波回路3から出力された同相成分信号(I)を分岐して取り出して、遅延させる遅延回路23と、直交検波回路3から出力された直交成分信号(Q)を分岐して取り出して、遅延回路23で遅延された遅延同相成分信号(I′)との差分をとって絶対値を取る差分回路25とを備えいてる。さらに、この周波数/位相オフセット検出機能部分は、差分回路25から出力された差分の絶対値|Q−I′|をガード時間に相当する積分時間で積分し、数式(3)に示した差分値s[k]に相当する計算結果を出力する積分回路11aを備えている。
【0118】
なお、数式(3)では、同相成分信号同士、直交成分信号同士の間で差分を求めて加算してs[k]を求めていたが、この積分回路11aでは、|I−I′|および|Q−Q′|ではなく、|Q−I′|(または|I−Q′|)として、s[k]を求めている。
【0119】
ここで、この差分値s[k]に相当する信号の変化を、背景技術のところで参照した図18、図19と比較しながら説明する。ちなみに、背景技術で示した図18、図19は、有効シンボル区間の開始と有効シンボル区間の終了との間に生じる位相差または周波数差に依存して最小値(最小ピーク)の深さが変化したものと言える。つまり、図18では位相差がないために、最小値(最小ピーク)が生じた場合と言え、図19ではπ/2の位相差のために、最小値(最小ピーク)が生じなかった場合と言える。
【0120】
まず、サンプルkにおける受信信号(OFDM信号)をr1ejαとすると、同相成分信号I[k]はr1cosαとなり、直交成分信号Q[k]はr1sinαとなる。
また、有効シンボル長ne分だけ進んだサンプルk+neにおける受信信号をr2ejβとすると、同相成分信号I[k]はr2cosβとなり、直交成分信号Q[k]はr2sinβとなる。
【0121】
それから、|I−I′|と|Q−Q′|を求めると、|I−I′|=|r1cosα−r2cosβ|、|Q−Q′|=|r1sinα−r2sinβ|となる。なお、r1はサンプルkにおける振幅であり、r2はサンプルk+neにおける振幅である。また、αはサンプルkにおける位相であり、βはサンプルk+neにおける位相である。
【0122】
さらに、r1およびr2の振幅の平均値を|r|とし、αおよびβは独立して変動するとすると仮定すると、サンプルkがガード時間以外にあるとき、|I−I′|と|Q−Q′|の平均値は、概ね√2倍の|r|となる。
【0123】
そして、1シンボル内で生じる、伝搬路等の影響による波形歪みが同じであるとすると、サンプルkがガード時間内にあればr1≒r2と想定でき、さらに、β=α+θとすると、|I−I′|は|r2{cosα−cos(α+θ)}|と、|Q−Q′|は|r2{sinα−sin(α+θ)}|と置き換えることができる。ここで、θはサンプルkとサンプルk+neの間で変化した位相の変化量(位相差)を表すものである。
【0124】
これによって、θが0、つまり、周波数同期が取れている場合、いずれの信号|I−I′|および|Q−Q′|もほぼ0となる。θがπ/2、つまり、位相差がπ/2の場合、|I−I′|は|r2{cosα+sinα}|となり、|Q−Q′|は|r2{sinα−cosα}|となり、いずれの信号|I−I′|および|Q−Q′|も√2r2となる。
【0125】
そして、r2の平均値が|r|であることを考慮すると、図18、図19において示したように、有効シンボルの始めと有効シンボルの終了との間に位相差がない場合(図18)にはガードインターバルを検出できるが、有効シンボルの始めと有効シンボルの終了との間にπ/2の位相差がある場合(図19)にはガードインターバルを検出できないことが説明できる。
【0126】
それゆえ、この周波数オフセット検出装置21では、位相差の変化に基づいて差分値s[k]が変化したところを、当該サンプルkの位置で取り出すことで、周波数/位相オフセット制御信号として利用している。ただし、|I−I′|と|Q−Q′|を用いると、θが0の場合、これらの信号は0となるが、θが±π/2の場合、これらの信号が√2|r|となり、オフセットする方向が検出しにくくなる。そこで、この周波数オフセット検出装置21では、周波数/位相オフセット検出機能部分において、|Q−I′|(または|I−Q′|)を利用している。
【0127】
これによって、周波数オフセット検出装置21では、周波数/位相オフセット検出機能部分において、|I−I′|と|Q−Q′|を求めたプロセスと同様のプロセスで|Q−I′|(または|I−Q′|)を求めている。|Q−I′|は、位相差が−π/2の場合、2|r|、位相差が0の場合、√2|r|、位相差がπ/2の場合、0となる。ちなみに、|I−Q′|は、位相差が−π/2の場合、0、位相差が0の場合、√2|r|、位相差がπ/2の場合、2|r|となる。
【0128】
図11に戻って周波数オフセット検出装置21の構成の説明を続ける。
ゲート回路27は、積分回路11aから出力された差分値s[k]に相当する計算結果と、ピーク検出回路13から出力された、最小値となるサンプルkおよびシンボル制御信号(ガードインターバルの位置)とに基づいて、周波数/位相制御信号(周波数誤差信号)を出力するものである。つまり、このゲート回路27では、サンプルkでの最小値(最小ピーク)の変化を周波数/位相制御信号として取り出すために、ピーク検出回路13からの出力であるサンプルkおよびシンボル制御信号(ガードインターバルの位置)を利用している。
【0129】
これによって、周波数オフセット検出装置21では、周波数にして、受信信号のキャリア間隔の1/2から−1/2に相当する周波数制御(周波数オフセット)が可能になる。なお、この周波数オフセット検出装置21のシンボル同期部分は、図5に示したガードインターバル検出装置1Aの構成に置き換えることが可能である。
【0130】
〈周波数オフセット検出装置の動作〉
次に、図12に示すフローチャートを参照して、周波数オフセット検出装置の動作を説明する(適宜、図11参照)。
まず、周波数オフセット検出装置21は、受信信号を入力すると、直交検波回路3によって、直交検波を行って、同相成分信号(I)および直交成分信号(Q)を電力振幅演算回路5に出力する(ステップS21)。
【0131】
続いて、周波数オフセット検出装置21は、シンボル同期部分の電力振幅演算回路5によって、電力値または振幅値を計算して、この計算した電力値または振幅値を、配線によって分岐させて、遅延回路7と差分回路9とに出力する(ステップS22)。そして、周波数オフセット検出装置21は、遅延回路7によって、電力値または振幅値を遅延させて、遅延電力値または遅延振幅値とする(ステップS23)。続いて、周波数オフセット検出装置21は、差分回路9によって、電力値と遅延電力値、或いは、振幅値と遅延振幅値との間の有効シンボル長の時間差の信号間で引算して、絶対値をとる(ステップS24)。
【0132】
そして、周波数オフセット検出装置21は、積分回路11bによって、電力差分値または振幅差分値に基づいて、積分をとり、ピーク検出回路13によって、最小値(最小ピーク)を検出する(ステップS25)。そして、周波数オフセット検出装置21は、ピーク検出回路13からの出力であるシンボル制御信号(ガードインターバルの検出サンプル)を、ゲートタイミングを取るためのトリガー(ゲートトリガー)として出力する(ステップS26)。
【0133】
また、周波数オフセット検出装置21は、周波数/位相オフセット検出機能部分において、遅延回路23によって、同相成分信号Iを有効シンボル長の時間遅延させる(ステップS27)。続いて、周波数オフセット検出装置21は、差分回路25によって、遅延同相成分信号I′を直交成分信号Qから減算して絶対値|Q−I′|をとる(ステップS28)。そして、周波数オフセット検出装置21は、積分回路11aによって、絶対値|Q−I′|に基づいて、積分をとり、ゲート回路27によって、ピーク検出回路13からの出力であるゲートトリガーに基づいて、周波数/位相制御信号(周波数オフセット)を検出する(ステップS29)。
【0134】
そして、周波数オフセット検出装置21は、通常、当該装置21の電源投入後、電源遮断まで、これらの動作を繰り返し実行する。なお、ステップS22〜ステップS25と、ステップS27およびステップS28とは、便宜上、前記のような順序で記載したが、実際には並列に処理している。
【0135】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、ガードインターバル検出装置1、1A、または、周波数オフセット検出装置21として説明したが、各装置の構成の処理を可能にするように、汎用または特殊なコンピュータ言語で記述したガードインターバル検出プログラム、または、周波数オフセット検出プログラムとみなすことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の実施形態に係るガードインターバル検出装置(第一実施形態)のブロック図である。
【図2】図1に示したガードインターバル検出装置による計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図3】図1に示したガードインターバル検出装置による計算結果の例(位相差π/2)を示した図である。
【図4】図1に示したガードインターバル検出装置の動作を説明したフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るガードインターバル検出装置(第二実施形態)のブロック図である。
【図6】図5に示したガードインターバル検出装置による計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図7】図5に示したガードインターバル検出装置による計算結果の例(位相差π/2)を示した図である。
【図8】図5に示したガードインターバル検出装置の動作を説明したフローチャートである。
【図9】図1に示したガードインターバル検出装置を、4送信のMIMO通信環境下に適用した場合の計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図10】図5に示したガードインターバル検出装置を、4送信のMIMO通信環境下に適用した場合の計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図11】本発明の実施形態に係る周波数オフセット検出装置のブロック図である。
【図12】図11に示した周波数オフセット検出装置の動作を説明したフローチャートである。
【図13】OFDM信号のシンボルとガードインターバルとを説明した図である。
【図14】ガードインターバルの生成について説明した図である。
【図15】従来のガードインターバル検出装置(ガードインターバル相関演算による方式)のブロック図である。
【図16】図15に示した従来のガードインターバル検出装置による計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図17】従来のガードインターバル検出装置(差分方式)のブロック図である。
【図18】図17に示した従来のガードインターバル検出装置(差分方式)による計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図19】図17に示した従来のガードインターバル検出装置(差分方式)による計算結果の例(位相差π/2)を示した図である。
【図20】図15に示した従来のガードインターバル検出装置(ガードインターバル相関演算による方式)による計算結果の例(位相差π/2)を示した図である。
【符号の説明】
【0137】
1、1A ガードインターバル検出装置
3 直交検波回路
5 電力振幅演算回路(電力値演算手段、振幅値演算手段)
7 遅延回路(遅延手段)
9 差分回路(差分値演算手段)
9a 引算回路
9b 絶対値回路
11 積分回路
13 ピーク検出回路
17 平均値回路
19 除算回路
21 周波数オフセット検出装置
23 遅延回路(信号遅延手段)
25 差分回路(差分絶対値演算手段)
27 ゲート回路(周波数誤差信号検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM信号におけるガードインターバルを検出するガードインターバル検出装置およびガードインターバル検出方法、並びに、検出したガードインターバルを用いて、周波数オフセットを検出する周波数オフセット検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式による無線伝送技術は、非特許文献1に記載されている放送番組の素材伝送、非特許文献2に記載されている無線LAN、または、将来の携帯電話システムにおいて、周波数利用効率の高さ、マルチパスやゴーストに対する耐性から注目されており、地上波デジタル放送、放送番組の素材伝送および無線LANの標準方式として採用されていたり、将来の携帯電話システムの標準方式として採用が検討されている。
【0003】
OFDM方式による無線伝送技術は、当該OFDM方式において伝送されるOFDM信号を構成する複数の副搬送波間の直交関係を利用して、最隣接で周波数分割多重された複数の副搬送波上にデジタル化された情報をのせて伝送する技術である。数百から数千に及ぶ複数の副搬送波が最隣接で周波数分割多重されているので、高い周波数利用効率が実現されている。
【0004】
また、OFDM方式による無線伝送技術は、OFDM信号の伝送帯域を複数の副搬送波の数分に分割して伝送するので、信号帯域の逆数であり、各情報の1ビット若しくは複数ビットを伝送する各符号区間であるシンボルの長さが副搬送波の数倍に長くなり、マルチパスによる遅延波によって生じる符号間干渉の影響が緩和されている。
【0005】
そして、OFDM方式による無線伝送技術は、マルチパスによる遅延波の影響を緩和するために、ガードインターバルと呼ばれるバッファ区間(ガード時間)を利用している。
ここで、図13にOFDM方式において伝送されるOFDM信号の直接波の各シンボルを示すと共に、マルチパスによる遅延波のシンボルが直接波の各シンボルに与える影響を示す。各シンボルは、BPSK、QPSK、16QAM、または、64QAMといった変調方式で変調されている。これらの変調方式のいずれか、または、これら複数の組み合わせで変調された複数の変調波が、直交周波数分割多重された状態の1シンボル分ずつの波形となる。
【0006】
この図13において、OFDM信号の遅延波のシンボルは、OFDM信号の直接波の同一時刻におけるシンボルおよび前後のシンボルと重なっており、直接波の同一時刻におけるシンボルに時間がずれて重なっている部分(a)と、後のシンボル(または前のシンボル)に重なっている部分(b)とが生じる。この部分(a)の長さ(時間)と部分(b)の長さ(時間)とは、直接波に対する遅延波の遅延時間によって決定される。
【0007】
そこで、OFDM方式による無線伝送技術では、最大の遅延時間よりも長いバッファ区間(ガード時間)を設定しており、このバッファ区間(ガード時間)に相当するガードインターバルを、OFDM信号を受信する受信側で除去することを前提にして、送信側で各シンボルに付加して送信している。すなわち、デジタル化した情報(有用な信号)をのせると共に受信側で復調される有効シンボルと、受信側で除去されるガードインターバルとからシンボルを構成して送信側から送信(伝送)することで、符号間干渉のない有用な信号の伝送が可能になる。
【0008】
OFDM方式による無線伝送技術において、符号間干渉のないOFDM信号の伝送を実現するためには、OFDM信号を受信する受信側で正確に各シンボルを識別して、当該シンボルを抽出するタイミングを同期させて、ガードインターバルを最適な位置で除去することで、正しいシンボルを構成する受信信号のサンプルの組み合わせでFFT(Fast Fourier Transform)を実行することが要求される。
【0009】
このシンボルを抽出するタイミングを同期させる(以下、シンボル同期という)ために、送信側で生成したガードインターバルの特性を利用することが多い。図14に各シンボルにおけるガードインターバルの生成方法の一例を示す。図14に示す事例では、OFDM方式の各シンボルは、有効シンボルの一部をコピーし、このコピーしたものを当該有効シンボルの直前に付加することによって、ガードインターバルとして利用している。なお、このようなガードインターバルは、OFDM方式による無線伝送技術において、大多数で利用されている。
【0010】
従って、ガードインターバルとして、有効シンボルの一部をコピーして利用する場合には、ガードインターバルと有効シンボルの一部との間に高い相関関係がある。従来は、この関係を利用して、次に示す数式(1)を用いて計算した結果に基づいて、ガードインターバルを検出し、シンボル同期を行っている。
【0011】
【数1】
【0012】
この数式(1)において、アナログ・デジタル変換(A/D変換)による復調処理を想定し、kはサンプル番号(整数)、r[k]はkサンプルにおける相関値、x[k]はkサンプルにおける受信信号(複素数)、x*[k]はx[k]の複素共役を表しており、ngおよびneはそれぞれサンプル数(整数)で表したガードインターバルの時間(ガード時間)および有効シンボルの時間(有効シンボル長)である。
【0013】
なお、ngとneとの比であるng/neは、ガードインターバル比と呼ばれている。neは送信側の送信装置で使用される逆FFTの演算ポイント数または当該ポイント数の整数倍(オーバーサンプル)に等しい。
【0014】
ここで、数式(1)を具現化(装置化)した例(ガードインターバル検出装置)を図15に示す。この図15に示すように、ガードインターバル検出装置101は、遅延回路103と、共役変換回路105と、乗算回路107と、積分回路109と、ピーク検出回路111とを備えている。
【0015】
このガードインターバル検出装置101では、送信装置(図示せず)から送信され、空間を伝搬した後に受信装置(図示せず)において受信された受信信号xが入力され、2系統に分岐されて、一方の受信信号xは、遅延回路103によって、neサンプル遅延されて、遅延受信信号x′となり、共役変換回路105によって複素共役に変換されて、複素共役受信信号(x′)*となる。
【0016】
この複素共役受信信号(x′)*と他方の受信信号xとが乗算回路107によって、乗算され、この乗算回路107の出力であるx(x′)*は、積分回路109において、ガード時間ng分の積分が実行されると、数式(1)に示した相関値r[k]として出力される。この相関値r[k]をガードインターバル相関値(GI相関値)という。
【0017】
そして、このガードインターバル相関値(GI相関値)は、ピーク検出回路111によって、絶対値化され、ピークが検出され、各シンボルにおいてガードインターバルの位置が検出される。つまり、ピーク検出回路111により、GI相関値r[k]の絶対値の中で最大値を与えるサンプルkと、シンボル同期を図る制御信号とが出力される。
【0018】
なお、この図15に示したガードインターバル検出装置101は、非特許文献3に開示されているものを示したが、実際の処理では共役変換回路105で代表されるような複素数として処理するのではなく、実数のままで処理している。そこで、実数I[k]、Q[k]を用いて、受信信号xのサンプルkであるx[k]の同相(I)成分および直交(Q)成分とすると、x[k]=I[k]+jQ[k]と置き換えることができ、数式(1)のx[k+i+ne]x*[k+i]は次に示す数式(2)のようになる。
【0019】
【数2】
【0020】
この数式(2)から推測できるように、当該数式(2)の絶対値を演算する図15に示したガードインターバル検出装置101の回路規模は、より大きなものになってしまう。また、ここで、図15に示したガードインターバル検出装置101を用いて得られるGI相関値の計算結果の例を図16に示す。
【0021】
この図16は、50シンボル分のOFDM信号に対して、GI相関値を演算した結果を示している。この図16に示したGI相関値を演算した結果は、受信側の受信装置で正確に周波数同期がとれており、周波数/位相オフセットがない状態で受信されたものを想定したシミュレーション結果である。この図16では、縦軸に、数式(1)におけるr[k]の絶対値が記録されており、横軸に、サンプルkで記述する時間がプロットされている。
【0022】
この図16に示すように、サンプルk=2200近辺でGI相関値の相関ピーク(ピーク値)が観測されている。しかし、このピーク値はシンボルごとに大きく変動していることが観測できる。すると、シンボル同期の動作の安定性に影響を与える。そこで、このように、ピーク値がシンボルごとに大きく変動してしまうことに着目して、この変動を改善する技術として発案されたものが特許文献1(「別のガードインターバル検出方法」)に開示されている。
【0023】
この特許文献1に開示されているガードインターバル検出装置のブロック図を図17に示す。この図17に示したガードインターバル検出装置121は、直交検波回路123と、遅延回路125(125a、125b)と、引算回路127(127a、127b)と、絶対値回路129(129a、129b)と、加算回路131と、積分回路133と、ピーク検出回路135とを備えている。また、この図17に示したガードインターバル検出装置121の動作原理を数式化すると、次に示す数式(3)のようになる。
【0024】
【数3】
【0025】
この数式(3)において、s[k]はサンプルkにおける差分値であり、その他の定数および変数は数式(1)および数式(2)で使用したものと同様であるので説明を省略する。この数式(3)では、数式(2)の実数項に記載した乗算部分の演算を、減算して絶対値をとった演算に置き換えたものに等しくなっている。
【0026】
この結果、図17に示したガードインターバル検出装置121では、図15のガードインターバル検出装置101では記載を省略した直交検波回路123により、受信信号は同相成分信号Iと直交成分信号Qとに分離され、同相成分信号Iは遅延回路125aで有効シンボル長であるneサンプル遅延されて遅延同相成分信号I′とされ、直交成分信号Qは遅延回路125bで有効シンボル長であるneサンプル遅延されて遅延直交成分信号Q′とされて、引算回路127(127a、127b)に入力される。
【0027】
そうすると、ガードインターバル検出装置121では、引算回路127aによって、同相成分信号Iから遅延同相成分信号I′が引き算され(I−I′)、引算回路127bによって、直交成分信号Qから遅延直交成分信号Q′が引き算され(Q−Q′)、さらに、絶対値回路129aによって、I−I′が絶対値化され|I−I′|とされ、絶対値回路129bによって、Q−Q′が絶対値化され|Q−Q′|とされる。
【0028】
そして、ガードインターバル検出装置121では、加算回路131によって、絶対値化された|I−I′|と|Q−Q′|とが加算され、積分回路133によって、ガード時間ng分の積分が実行されると、数式(3)に示した差分値s[k]として出力される。その後、この差分値s[k]は、ピーク検出回路135によって、ガードインターバルの位置を示す最小値を与えるピークが検出され、各シンボルの差分値s[k]の最小値を与えるサンプルkと、シンボル同期を図る制御信号とが出力される。
【0029】
なお、この図17に示したガードインターバル検出装置121の構成は、図15に示したガードインターバル検出装置101の構成に比べて、このガードインターバル検出装置101を実際に構成するのに必要となる数式(2)にあるような虚数項がなく、また、共役変換回路105や乗算回路107がないため、明確に簡略化されている。また、引算回路127(127a、127b)と絶対値回路129(129a、129b)とを合わせて差分回路と呼ぶことにする。
【0030】
ここで、数式(3)および図17に示したガードインターバル検出装置121を用いて得られる差分値の計算結果の例を図18に示す。図18は、図16と同様に、50シンボル分のOFDM信号に対して、差分値を演算した結果を示している。この図18に示した差分値を演算した結果は、受信側の受信装置で正確に周波数同期がとれており、周波数/位相オフセットがない状態で受信されたものを想定したシミュレーション結果である。この図18では、縦軸に、数式(3)におけるs[k]の差分値が記録されており、横軸に、サンプルkで記述する時間がプロットされている。
【0031】
この図18に示すように、サンプルk=2200近辺で差分値の最小ピークが観測されている。図18に示した演算結果は、図16に示した演算結果と異なり、最小ピーク付近での変動が小さくなっており、ピーク位置をより明確に視認することができる。つまり、ガードインターバル検出装置121は、簡単な構成でガードインターバルの検出能力が高いといえる。
【0032】
しかし、図17に示した差分方式のガードインターバル検出装置121には重要な問題がある。ここで、数式(3)および図17に示したガードインターバル検出装置121を用いて得られる差分値の計算結果の別の例を図19に示す。この図19に示した差分値の計算結果では、同期が不十分なために、1有効シンボルの始めと終わりとの間で、ちょうど2分のπの位相オフセットがある(副搬送波間隔の4分の1に相当する周波数差がある)状態でOFDM信号が受信されたことを想定している。
【0033】
この結果、図19に示した差分値の計算結果では、図18においてサンプルk=2200近辺で明確に観測された差分値の最小ピークが全く観測されていないのがわかる。しかし、同じ状態(1有効シンボルの始めと終わりとの間で、ちょうど2分のπの位相オフセットがある状態)でOFDM信号が受信された場合に、図15に示したガードインターバル検出装置101を適用して得たGI相関値の計算結果の例を図20に示す。この図20に示すように、GI相関値の場合には、図16に示したGI相関値の計算結果と同様に、サンプルk=2200近辺で相関ピーク(最大ピーク)が検出されるので問題にならない。
【0034】
つまり、ガードインターバル検出装置121の重要な問題とは、1有効シンボルの始めと終わりとの間で、ちょうど2分のπの位相オフセットがある状態でOFDM信号を受信した場合、ガードインターバルを検出することができないことである。
【0035】
この理由は、数式(2)にあって数式(3)において除かれている虚数項が関係している。そこで、この虚数項に対応する同相成分信号Iと直交成分信号Qとの間で差分を取ることにより、周波数オフセットを検出する技術が、例えば、特許文献2および特許文献3に開示されている。
【0036】
なお、特許文献2および特許文献3に開示されている技術は、特許文献1に開示されている技術により、シンボル同期することを基本にしているので、最初にシンボル同期がなされるまで、周波数オフセットを調整することができないという問題がある。また、特許文献2および特許文献3に開示されている技術では、回路構成も複雑化してしまう。
【0037】
ところで、OFDM方式の無線伝送技術を、将来の携帯電話システム等の広帯域移動通信の標準方式に採用しようとした場合、利用できる周波数帯域が制限されていることや、マルチメディア通信の需要等により、高品質、且つ、固定通信並みの高い周波数利用効率が要望されている。この要望に対処する技術として、最近注目を集めているものがMIMO(Multiple−Input Multiple−Output)通信技術である。
【0038】
このMIMO通信技術では、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとを用いて、MIMO通信技術におけるMIMO伝搬路を構成しており、複数のデータ信号を、同一周波数上、または、周波数帯が重なる状態の電波によって、当該MIMO伝搬路を経由して送受信する。このようにMIMO通信技術は、MIMO伝搬路を送受信する複数のデータ信号によるデータの大容量化、或いは、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナによるダイバーシティ効果によるロバスト化を図るものである。
そして、このMIMO通信技術において、MIMO通信環境下であっても、正確にガードインターバルを検出することが要求されている。
【非特許文献1】標準規格「テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形OFDM方式デジタル無線伝送システム」 ARIB STD−B33 1.0版 (社)電波産業会 2002年発行、全頁
【非特許文献2】標準規格「Part11:Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) Specifications」、IEEE Standard 802.11 1999年発行、全頁
【非特許文献3】R.V.Nee and R.Prasad、「OFDM for Wireless Multimedia Communications」、Artech House (2000)、pp.81−86
【特許文献1】特開2000−252950号公報
【特許文献2】特開2001−111520号公報
【特許文献3】特開2001−211132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
しかしながら、これまで述べてきた従来技術では、いくつかの不十分な点が指摘されている。
まず、GI相関によるガードインターバル検出方法では、検出するシンボルごとに相関演算する結果、出力される相関ピークの大きさが大きく変動する。また、相関ピーク以外の部分での相関値の変動も決して小さくない。このため、安定したシンボル同期を実現するためには、比較的多数のシンボルに亘る平均化の処理が不可欠になってしまうという問題がある。
【0040】
また、差分方式によるガードインターバル検出方法は、回路構成を簡略化し、且つ、シンボル変動に対して、差分値の安定した最小ピークを検出することができる。しかしながら周波数位相同期が不十分で位相オフセットが観測されるような状況では、最小ピークが検出できず、ガードインターバルを検出することができなくなるという問題がある。
【0041】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、回路構成を簡略化し、平均化の処理を行うシンボル数を減らし、位相オフセットが観測される状況下やMIMO通信環境下であっても、正確にガードインターバルを検出することができるガードインターバル検出装置およびガードインターバル検出方法、並びに、シンボル同期と周波数オフセットを同時に調整することができる周波数オフセット検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0042】
前記課題を解決するため、請求項1記載のガードインターバル検出装置は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出装置であって、電力値演算手段と、遅延手段と、差分値演算手段と、を備える構成とした。
【0043】
かかる構成によれば、ガードインターバル検出装置は、電力値演算手段によって、シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける電力値を演算する。なお、この電力値の演算は、同相成分信号の二乗と直交成分信号の二乗との和によって求められる。続いて、ガードインターバル検出装置は、遅延手段によって、電力値演算手段で電力値が演算されたサンプルを2つに分岐させた一方の当該電力値を示すサンプルを、有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延電力値とする。
【0044】
そして、ガードインターバル検出装置は、差分値演算手段によって、遅延手段で遅延させた遅延電力値と、電力値演算手段で電力値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す電力値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する。この差分値は、遅延電力値から他方が示す電力値を減算した後、または、他方が示す電力値から遅延電力値を減算した後、絶対値をとったものである。そして、このガードインターバル検出装置は、差分値演算手段で演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出する。
【0045】
請求項2記載のガードインターバル検出装置は、請求項1に記載のガードインターバル検出装置において、前記差分値演算手段が、誤差距離率演算手段を備える構成とした。
【0046】
かかる構成によれば、ガードインターバル検出装置は、誤差距離率演算手段によって、電力値および遅延電力値の和または平均値に従って、OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する。この誤差距離率は、電力値によって規格化した差分値のことである。そして、ガードインターバル検出装置は、誤差距離率演算手段で演算された誤差距離率を用いてガードインターバルを検出する。
【0047】
請求項3記載のガードインターバル検出装置は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出装置であって、振幅値演算手段と、遅延手段と、差分値演算手段と、を備える構成とした。
【0048】
かかる構成によれば、ガードインターバル検出装置は、振幅値演算手段によって、シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける振幅値を演算する。なお、この振幅値の演算は、同相成分信号の二乗と直交成分信号の二乗との和の平方根によって求められる。続いて、ガードインターバル検出装置は、遅延手段によって、振幅値演算手段で振幅値が演算されたサンプルを2つに分岐させた一方の当該振幅値を示すサンプルを、有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延振幅値とする。
【0049】
そして、ガードインターバル検出装置は、差分値演算手段によって、遅延手段で遅延させた遅延振幅値と、振幅値演算手段で振幅値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す振幅値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する。この差分値は、遅延振幅値から他方が示す振幅値を減算した後、または、他方が示す振幅値から遅延振幅値を減算した後、絶対値をとったものである。そして、このガードインターバル検出装置は、差分値演算手段で演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出する。
【0050】
請求項4記載のガードインターバル検出装置は、請求項3に記載のガードインターバル検出装置において、前記差分値演算手段が、誤差距離率演算手段を備える構成とした。
【0051】
かかる構成によれば、ガードインターバル検出装置は、誤差距離率演算手段によって、振幅値および遅延振幅値の和または平均値に従って、OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する。この誤差距離率は、振幅値によって規格化した差分値のことである。そして、ガードインターバル検出装置は、誤差距離率演算手段で演算された誤差距離率を用いてガードインターバルを検出する。
【0052】
請求項5記載のガードインターバル検出方法は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出方法であって、電力値演算ステップと、遅延ステップと、差分値演算ステップと、を含む手順とした。
【0053】
かかる手順によれば、ガードインターバル検出方法は、電力値演算ステップにおいて、シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける電力値を演算し、遅延ステップにおいて、電力値演算ステップにて電力値が演算されたサンプルを2つに分岐させた一方の当該電力値を示すサンプルを、有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延電力値とする。そして、ガードインターバル検出方法は、差分値演算ステップにおいて、遅延ステップにて遅延させた遅延電力値と、電力値演算ステップにて電力値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す電力値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算し、差分値演算ステップにて演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出する。
【0054】
請求項6記載のガードインターバル検出方法は、請求項5に記載のガードインターバル検出方法において、前記差分値演算ステップに、誤差距離率演算ステップを含む手順とした。
【0055】
かかる手順によれば、ガードインターバル検出方法は、誤差距離率演算ステップにおいて、電力値および遅延電力値の和または平均値に従って、OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する。そして、ガードインターバル検出方法は、誤差距離率演算ステップにて演算された誤差距離率を用いてガードインターバルを検出する。
【0056】
請求項7記載のガードインターバル検出方法は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出方法であって、振幅値演算ステップと、遅延ステップと、差分値演算ステップと、を含む手順とした。
【0057】
かかる手順によれば、ガードインターバル検出方法は、振幅値演算ステップにおいて、シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける振幅値を演算し、遅延ステップにおいて、振幅値演算ステップにて振幅値が演算されたサンプルを2つに分岐させた一方の当該振幅値を示すサンプルを、有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延振幅値とする。そして、ガードインターバル検出方法は、差分値演算ステップにおいて、遅延ステップにて遅延させた遅延振幅値と、振幅値演算ステップにて振幅値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す振幅値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算し、差分値演算ステップにて演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出する。
【0058】
請求項8記載のガードインターバル検出方法は、請求項7に記載のガードインターバル検出方法において、前記差分値演算ステップに、誤差距離率演算ステップを含む手順とした。
【0059】
かかる手順によれば、ガードインターバル検出方法は、誤差距離率演算ステップにおいて、振幅値および遅延振幅値の和または平均値に従って、OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する。そして、ガードインターバル検出方法は、誤差距離率演算ステップにて演算された誤差距離率を用いてガードインターバルを検出する。
【0060】
請求項9記載の周波数オフセット検出装置は、OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出し、この検出したガードインターバルに基づいて、当該OFDM信号の周波数オフセットを検出する周波数オフセット検出装置であって、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガードインターバル検出装置と、信号遅延手段と、差分絶対値演算手段と、周波数誤差信号検出手段と、を備える構成とした。
【0061】
かかる構成によれば、周波数オフセット検出装置は、信号遅延手段によって、OFDM信号の任意数番目のサンプルにおける同相成分信号または直交成分信号を有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させる。続いて、周波数オフセット検出装置は、差分絶対値演算手段によって、信号遅延手段で遅延された遅延同相成分信号と直交成分信号とに基づき、または、信号遅延手段で遅延された遅延直交成分信号と同相成分信号とに基づき、差分の絶対値を演算する。
【0062】
そして、周波数オフセット検出装置は、周波数誤差信号検出手段によって、ガードインターバル検出装置から出力されたガードインターバルの検出サンプルに基づいたゲートタイミングに従って、差分絶対値演算手段で演算された差分の絶対値を出力することで、周波数誤差信号を検出する。そして、周波数オフセット検出装置は、周波数誤差信号検出手段で検出された周波数誤差信号を、周波数オフセットを検出する基準にして、当該周波数オフセットを検出する。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、OFDM信号(受信信号)の任意数番目のサンプル(各サンプル時間)における電力値または振幅値を計算し、当該電力値または当該振幅値の有効シンボル長に相当するサンプル間の差分値、または、当該電力値または当該振幅値で規格化した差分値(誤差距離率)を求め、差分値または誤差距離率に基づいて、ガードインターバルを検出することができる。このため、簡略な回路構成で、マルチパスなど伝搬路の変動や周波数同期が不十分で位相オフセット(位相ズレ)があるような環境下でも安定したシンボル同期を可能にすることができる。また、MIMO通信環境下であっても、正確にガードインターバルを検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
〈ガードインターバル検出装置(第一実施形態)の構成〉
図1は、ガードインターバル検出装置(第一実施形態)のブロック図である。この図1に示すように、ガードインターバル検出装置1は、受信信号(OFDM信号)を入力して、ガードインターバルの位置を示す制御信号を出力するもので、直交検波回路3と、電力振幅演算回路(電力値演算手段、振幅値演算手段)5と、遅延回路(遅延手段)7と、差分回路(差分値演算手段)9と、積分回路11と、ピーク検出回路13とを備えている。
【0065】
直交検波回路3は、受信信号(OFDM信号)を直交検波して、同相成分信号(I)と直交成分信号(Q)とを電力振幅演算回路5に出力するものである。なお、受信信号を複素数とみなすことができ、この場合、同相成分信号(I)は受信信号の実数成分であり、直交成分信号(Q)は受信信号の虚数成分である。
【0066】
電力振幅演算回路5は、直交検波回路3から出力された同相成分信号(I)と直交成分信号(Q)とから受信信号の各時間サンプルにおける電力値または振幅値、つまり、受信信号であるOFDM信号の連続するシンボルにおいて、各シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルそれぞれの同相成分信号(I)と直交成分信号(Q)とに基づいて、電力値または振幅値を演算するものである。
【0067】
電力値は、受信信号の電力レベルを示すものであり、同相成分信号(I)の二乗と直交成分信号(Q)の二乗との和を演算することで求められる。振幅値は、受信信号の波形の振幅レベルを示すものであり、電力値の平方根、つまり、同相成分信号(I)の二乗と直交成分信号(Q)の二乗との和の平方根を演算することで求められる。なお、図1では振幅値Z=√(I2+Q2)のみを示している。
【0068】
この電力振幅演算回路5で演算された電力値または振幅値は、回路間を接続する配線によって2系統に分配され、分配された一方の電力値または振幅値は遅延回路7に入力され、分離された他方の電力値または振幅値は差分回路9に入力される。
【0069】
遅延回路7は、電力振幅演算回路5で演算され、分配された一方の電力値または振幅値を示すサンプルを、有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけサンプル遅延させるものである。なお、遅延された電力値は遅延電力値と、遅延された振幅値は遅延振幅値と呼称することとする。また、図1では遅延振幅値Z′のみを示している。
【0070】
差分回路9は、電力振幅演算回路5で演算され、分配された他方の電力値または振幅値から、遅延回路7で遅延された遅延電力値または遅延振幅値を減算し、絶対値を求めるもので、引算回路9aと、絶対値回路9bとを備えている。
【0071】
引算回路9aは、他方の電力値から遅延電力値を減算(引き算)、または、他方の振幅値から遅延振幅値を減算(引き算)するもの、或いは、遅延電力値から他方の電力値を減算、または、遅延振幅値から他方の振幅値を減算するものである。図1では他方の振幅値から遅延振幅値を減算したZ−Z′のみを示している。
【0072】
絶対値回路9bは、引算回路9aで減算(引き算)された結果(減算結果)、つまり、他方の電力値から遅延電力値を減算した結果、または、他方の振幅値から遅延振幅値を減算した結果、或いは、遅延電力値から他方の電力値を減算した結果、または、遅延振幅値から他方の振幅値を減算した結果の絶対値を求めるものである。図1では他方の振幅値から遅延振幅値を減算したZ−Z′の絶対値である|Z−Z′|のみを示している。
【0073】
積分回路11は、差分回路9から出力された、減算結果の絶対値について、ガード時間分の積分を施して、サンプルごとに電力差分値または振幅差分値を出力するものである。ここで、任意数番目をk(サンプル番号、整数)としk番目のサンプル(以下、サンプルkとする)の振幅差分値をd[k]とすると、次に示す数式(4)のようになる。なお、電力差分値も同様に数式(4)を用いて求めることができる。
【0074】
【数4】
【0075】
この数式(4)において、ngおよびneはそれぞれサンプル数で表したシンボルごとのガードインターバルの時間(ガード時間)および有効シンボルの時間(有効シンボル長)である。また、Z[k]は、電力振幅演算回路5により、サンプルkにおける同相成分信号(I)のI[k]および直交成分信号(Q)のQ[k]から求められた振幅値(振幅信号)であり、次に示す数式(5)のようになる。
【0076】
【数5】
【0077】
さらに、Z[k]は電力振幅演算回路5により、サンプルkにおける同相成分信号(I)のI[k]および直交成分信号(Q)のQ[k]から求められた電力値(電力信号)とすることができ、次に示す数式(6)のようになる。
【0078】
【数6】
【0079】
ピーク検出回路13は、積分回路11から出力された、サンプルごとの電力差分値または振幅差分値d[k]に基づいて、ガードインターバルの位置を検出するものである。つまり、このピーク検出回路13は、サンプルごとの電力差分値または振幅差分値d[k]が予め設定した値(例えば、極小値、または、最小値)となるサンプルを検出し、受信信号の各シンボルに含まれるそれぞれのサンプルkにおける電力差分値または振幅差分値d[k]において、最小値を与えるサンプルkおよびシンボル同期の制御信号(ガードインターバルの位置)を出力する。
【0080】
このガードインターバル検出装置1によれば、遅延された遅延電力値または遅延振幅値と、他方の電力値または振幅値とに基づいて、電力差分値または振幅差分値を演算し、この演算された電力差分値または振幅差分値が最小値(予め設定した値)となる任意数番目のサンプルを、ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準にしているので、従来のOFDM方式による無線伝送技術(差分方式)に比べて、回路構成を大幅に変更することなく、周波数や位相のオフセットに対しても、正確にガードインターバルを検出することができる。
【0081】
次に、図2、図3を参照して、ガードインターバル検出装置1による計算結果の例を説明する。この図2、図3では、ガードインターバル検出装置1が50シンボル分のOFDM信号に対して、振幅差分値を計算した計算結果を示している。
【0082】
図2に示した計算結果は、OFDM信号を受信した受信側において、正確に周波数同期が取れており、周波数や位相のオフセットがない状態で受信されたものとして想定したシミュレーション結果である。
【0083】
図3に示した計算結果は、OFDM信号を受信した受信側において、有効シンボル区間の始めと終わりとの間にπ/2の位相差がある状態で受信されたものとして想定したシミュレーション結果である。
【0084】
これら図2、図3において、横軸に、サンプルkで記述する時間を取っており、縦軸に、数式(4)を用いて得られた振幅差分値d[k]を取っている。図2、図3共に、サンプルk=2200近辺で最小値(最小ピーク)が観測される。
【0085】
図2に示した計算結果では、図18に示した従来のOFDM方式による無線伝送技術(差分方式)の結果と比べると、最小値(最小ピーク)の鮮明さや、ピークの深さとピーク以外の区間での変動量との比の値が若干劣っているように観測されるが、図16に示したGI相関値による相関ピークの最大値の検出と比べると、より鮮明にガードインターバルの開始タイミングを判定できる結果となっている。
【0086】
図3に示した計算結果では、図19に示した従来のOFDM方式による無線伝送技術(差分方式)の結果と比べると、従来、位相差がπ/2存在すると、全く最小値(最小ピーク)が観測できていなかったのに対し、最小値(最小ピーク)の鮮明さや、ピークの深さとピーク以外の区間での変動量との比の値が図2に示した計算結果とほとんど変わらない良好な結果となっている。
【0087】
これら図2、図3に示した計算結果から、ガードインターバル検出装置1では、ガードインターバルの位置を示す最小値(最小ピーク)を、OFDM信号の各シンボルの状態が受信状態の変化に伴い変化しても、また、受信側でOFDM信号を受信した際に位相差(周波数や位相のオフセットの変化)があったとしても、安定して検出するできることがわかる。
【0088】
〈ガードインターバル検出装置(第一実施形態)の動作〉
次に、図4に示すフローチャートを参照して、ガードインターバル検出装置1の動作について説明する(適宜、図1参照)。
まず、ガードインターバル検出装置1は、受信信号を入力すると、直交検波回路3によって、直交検波を行って、同相成分信号(I)および直交成分信号(Q)を電力振幅演算回路5に出力する(ステップS1)。
【0089】
続いて、ガードインターバル検出装置1は、電力振幅演算回路5によって、電力値または振幅値を計算して、この計算した電力値または振幅値を、配線によって分岐させて、遅延回路7と差分回路9とに出力する(ステップS2)。そして、ガードインターバル検出装置1は、遅延回路7によって、電力値または振幅値を遅延させて、遅延電力値または遅延振幅値とする(ステップS3)。続いて、ガードインターバル検出装置1は、差分回路9の引算回路9aにおいて、遅延電力値と分岐して入力した他方の電力値、または、遅延振幅値と分岐して入力した他方の振幅値との間の有効シンボル長の時間差(neサンプル)の信号(サンプル)間で引算して、絶対値回路9bで絶対値をとる(ステップS4)。
【0090】
そして、ガードインターバル検出装置1は、積分回路11によって、電力差分値または振幅差分値に基づいて、積分をとり、ピーク検出回路13によって、各シンボルにおける最小値(最小ピーク)を検出する(ステップS5)。この最小値(最小ピーク)がガードインターバルの開始タイミングを取得する基準となる。そして、ガードインターバル検出装置1は、通常、当該装置1の電源投入後、電源遮断まで、これらの動作を繰り返し実行する。なお、積分回路11による積分には、数式(4)で示したガード時間ngサンプル分の積算が対応するが、各シンボルのサンプルごとの結果を、複数のシンボルに亘って積算する場合もある。
【0091】
〈ガードインターバル検出装置(第二実施形態)の構成〉
図5は、ガードインターバル検出装置(第二実施形態)のブロック図である。この図5に示すように、ガードインターバル検出装置1Aは、受信信号(OFDM信号)を入力して、ガードインターバルの位置を示す制御信号を出力するもので、直交検波回路3と、電力振幅演算回路(電力値演算手段、振幅値演算手段)5と、遅延回路(遅延手段)7と、差分回路(差分値演算手段)9と、平均値回路17と、除算回路19と、積分回路11と、ピーク検出回路13とを備えている。図1に示したガードインターバル検出装置1の構成と同様のものは同一の符号を付してその説明を省略する。
【0092】
このガードインターバル検出装置1Aは、ガードインターバル検出装置1と同様に、直交検波回路3によって、受信信号を直交検波し、電力振幅演算回路5によって、電力値または振幅値Z=√(I2+Q2)を求める(以降、振幅値を求めたものとして説明する)。そして、ガードインターバル検出装置1Aは、電力振幅演算回路5で求めた振幅値Z=√(I2+Q2)を遅延回路7と差分回路9と平均値回路17とに出力している。
【0093】
平均値回路17は、電力振幅演算回路5で求められた振幅値Zと、遅延回路7で遅延された遅延振幅値Z′との平均値(Z+Z′)/2を求めて、除算回路19に出力するものである。
なお、この平均値回路17は、振幅値Zと遅延振幅値Z′との平均だけではなく、振幅値Zと遅延振幅値Z′との和を求めてもよい。また、電力振幅演算回路5が電力値を出力する場合には、電力値と遅延電力値との和、または、電力値と遅延電力値との平均を求める。
【0094】
除算回路19は、差分回路9で求められた差分値(振幅差分値)を、平均値回路17で求められた平均値(Z+Z′)/2で除算するものである。そして、ガードインターバル検出装置1Aは、この除算回路19で除算された結果を、積分回路11によって、ガード時間分の積分を施して、サンプルkごとに振幅差分値d[k](または電力差分値)を出力する。
【0095】
ここで、振幅差分値d[k]を計算式で表すと、次に示す数式(7)のようになる。この数式(7)で求められる振幅差分値を誤差距離率とする。
【0096】
【数7】
【0097】
このガードインターバル検出装置1Aによれば、平均値回路17によって、振幅値と遅延振幅値との平均値を求めて、差分回路9で求められた差分値を除算して、OFDM信号における誤差距離率を演算し、この演算された誤差距離率を用いてガードインターバルを検出しているので、マルチパス等による伝搬路の変動があり、周波数同期が不十分で位相にズレがあるような環境下、または、MIMO通信環境下にあっても、正確にガードインターバルを検出することができる。
【0098】
次に、図6、図7を参照して、ガードインターバル検出装置1Aによる計算結果の例を説明する。この図6、図7では、ガードインターバル検出装置1Aが50シンボル分のOFDM信号に対して、誤差距離率を計算した計算結果を示している。
【0099】
図6に示した計算結果は、OFDM信号を受信した受信側において、正確に周波数同期が取れており、周波数や位相のオフセットがない状態で受信されたものとして想定したシミュレーション結果である。
【0100】
図7に示した計算結果は、OFDM信号を受信した受信側において、有効シンボル区間の始めと終わりとの間にπ/2の位相差がある状態で受信されたものとして想定したシミュレーション結果である。
【0101】
これら図6、図7において、横軸に、サンプルkで記述する時間を取っており、縦軸に、数式(7)を用いて得られた誤差距離率d[k]を取っている。図6、図7共に、サンプルk=2200近辺で最小値(最小ピーク)が観測される。
【0102】
図6、図7に示した計算結果では、図2、3に示したガードインターバル検出装置1の結果と比べると、最小値(最小ピーク)の鮮明さや、ピークの深さとピーク以外の区間での変動量との比の値がいずれもより良好な結果となっている。特に、ピーク以外の区間での変動量が抑えられていることがわかる。これはガードインターバル検出装置1Aの平均値回路17によって、差分値を平均値で除算することで、規格化している処理を施していることに起因している。
【0103】
これら図6、図7に示した計算結果から、ガードインターバル検出装置1Aでは、ガードインターバル検出装置1よりも平均値回路17が組み込まれる分、回路規模が大きくなるが、より良好な結果、つまり、より正確にガードインターバルの位置を検出することができる。
【0104】
〈ガードインターバル検出装置(第二実施形態)の動作〉
次に、図8に示すフローチャートを参照して、ガードインターバル検出装置1Aの動作について説明する(適宜、図5参照)。
まず、ガードインターバル検出装置1Aは、受信信号を入力すると、直交検波回路3によって、直交検波を行って、同相成分信号(I)および直交成分信号(Q)を電力振幅演算回路5に出力する(ステップS11)。
【0105】
続いて、ガードインターバル検出装置1Aは、電力振幅演算回路5によって、電力値または振幅値を計算して、この計算した電力値または振幅値を、配線によって分岐させて、遅延回路7と差分回路9と平均値回路17とに出力する(ステップS12)。そして、ガードインターバル検出装置1Aは、遅延回路7で、電力値または振幅値を遅延させて、遅延電力値または遅延振幅値とする(ステップS3)。続いて、ガードインターバル検出装置1Aは、差分回路9によって、電力値と遅延電力値、或いは、振幅値と遅延振幅値との間の有効シンボル長の時間差の信号間で引算して、絶対値をとり、平均値回路17によって、電力値と遅延電力値との平均値、または、振幅値と遅延振幅値との平均値、或いは、電力値と遅延電力値との和、または、振幅値と遅延振幅値との和をとる(ステップS14)。
【0106】
そして、ガードインターバル検出装置1Aは、除算回路19によって、差分回路9から出力された差分値を、平均値回路17から出力された平均値または和で除算し、誤差距離率を得る(ステップS15)。そして、ガードインターバル検出装置1Aは、積分回路11によって、誤差距離率に基づいて、積分をとり、ピーク検出回路13によって、各シンボルにおける最小値(最小ピーク)を検出する(ステップS16)。この最小値(最小ピーク)がガードインターバルの開始タイミングを取得する基準となる。
【0107】
そして、ガードインターバル検出装置1Aは、通常、当該装置1Aの電源投入後、電源遮断まで、これらの動作を繰り返し実行する。なお、積分回路11による積分には、数式(7)で示したガード時間ngサンプル分の積算が対応するが、各シンボルのサンプルごとの結果を、複数のシンボルに亘って積算する場合もある。
【0108】
〈MIMO通信環境下におけるガードインターバルの検出について〉
なお、これまでの説明では、送信が1系統のみの場合について、ガードインターバル検出装置1またはガードインターバル検出装置1Aがガードインターバルを正確に検出できることを説明してきたが、これより、MIMO通信環境下(同じ空間内に複数の送信系統が存在する場合)において、ガードインターバルを正確に検出できることを、図9、図10を参照して説明する。
【0109】
図9、図10は、送信4系統のMIMO通信環境下において、ガードインターバル検出装置1またはガードインターバル検出装置1AがOFDM信号を受信した際の計算結果の例を示した図である。図9はガードインターバル検出装置1を用いた場合の計算結果を示しており、図10はガードインターバル検出装置1Aを用いた場合の計算結果を示している。
【0110】
これら図9、図10では、OFDM信号を受信した受信側において、正確に周波数同期が取れており、周波数や位相のオフセットがない状態で受信されたものとして想定したシミュレーション結果である。図9において、横軸に、サンプルkで記述する時間を取っており、縦軸に、数式(4)を用いて得られた振幅差分値d[k]を取っている。また、図10において、横軸に、サンプルkで記述する時間を取っており、縦軸に、数式(7)を用いて得られた誤差距離率d[k]を取っている。図9、図10共に、サンプルk=2200近辺で最小値(最小ピーク)が観測される。
【0111】
これら図9、図10に示した計算結果は、図2、図6にそれぞれに示した計算結果と比較して、最小値(最小ピーク)の深さと、ピークが生じた区間とピーク以外の区間での変動量との比の値がいずれもより良好な結果となっている。特に、ピーク以外の区間での変動量が抑えられていることがわかる。
【0112】
なお、これら図9、図10に示した計算結果は、送信1系統のOFDM信号の送信電力(図2、図6)と、送信4系統のOFDM信号の送信電力の合計である総送信電力とが同じとなる条件で、送信された4系統のOFDM信号のそれぞれを、雑音等が同じ環境で受信することを想定して行ったものである。従って、MIMO通信環境下において、OFDM信号を送信する送信側では、1送信機当たりの送信電力は、送信1系統の場合の1/4となっており、送信している情報である送信内容がそれぞれ異なっていたとしても、その総送信電力がガードインターバルを検出するための最小値(最小ピーク)の形成に寄与していることがわかる。
【0113】
また、これら図9、図10に示した計算結果において、ピーク以外の区間での変動量が抑えられているのは、送信4系統、つまり、4波のOFDM信号が合成されることにより、OFDM信号のサンプルごとの相互相関が小さくなっていることが寄与していると推定される。
【0114】
これら図9、図10に示した計算結果によって、ガードインターバル検出装置1または、ガードインターバル検出装置1Aは、MIMO通信環境下でも利用することができ、さらなる性能向上を図ることが可能であることがわかる。
【0115】
〈周波数オフセット検出装置の構成〉
次に、図11を参照して、周波数オフセット検出装置の構成を説明する。図11に示すように、周波数オフセット検出装置21は、周波数や位相のオフセットがある環境でも安定したシンボル同期が行えるように、図1に示したガードインターバル検出装置1に周波数/位相オフセット検出機能を付加したもので、直交検波回路3と、電力振幅演算回路5と、遅延回路7、23と、差分回路9、25と、積分回路11(11a、11b)と、ピーク検出回路13と、ゲート回路(周波数誤差信号検出手段)27とを備えている。なお、図1に示したガードインターバル検出装置1と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。なお、遅延回路23が信号遅延手段に、差分回路25が差分絶対値演算手段に相当する。
【0116】
この周波数オフセット検出装置21において、電力振幅演算回路5、遅延回路7、差分回路9、積分回路11bおよびピーク検出回路13は、ガードインターバルを検出するシンボル同期部分であり、遅延回路23、差分回路25、積分回路11aおよびゲート回路27は周波数/位相オフセット検出機能部分である。シンボル同期部分は、ガードインターバル検出装置1と同様の機能を備え、同様の動作を行うので説明は省略する。
【0117】
周波数/位相オフセット検出機能部分は、直交検波回路3から出力された同相成分信号(I)を分岐して取り出して、遅延させる遅延回路23と、直交検波回路3から出力された直交成分信号(Q)を分岐して取り出して、遅延回路23で遅延された遅延同相成分信号(I′)との差分をとって絶対値を取る差分回路25とを備えいてる。さらに、この周波数/位相オフセット検出機能部分は、差分回路25から出力された差分の絶対値|Q−I′|をガード時間に相当する積分時間で積分し、数式(3)に示した差分値s[k]に相当する計算結果を出力する積分回路11aを備えている。
【0118】
なお、数式(3)では、同相成分信号同士、直交成分信号同士の間で差分を求めて加算してs[k]を求めていたが、この積分回路11aでは、|I−I′|および|Q−Q′|ではなく、|Q−I′|(または|I−Q′|)として、s[k]を求めている。
【0119】
ここで、この差分値s[k]に相当する信号の変化を、背景技術のところで参照した図18、図19と比較しながら説明する。ちなみに、背景技術で示した図18、図19は、有効シンボル区間の開始と有効シンボル区間の終了との間に生じる位相差または周波数差に依存して最小値(最小ピーク)の深さが変化したものと言える。つまり、図18では位相差がないために、最小値(最小ピーク)が生じた場合と言え、図19ではπ/2の位相差のために、最小値(最小ピーク)が生じなかった場合と言える。
【0120】
まず、サンプルkにおける受信信号(OFDM信号)をr1ejαとすると、同相成分信号I[k]はr1cosαとなり、直交成分信号Q[k]はr1sinαとなる。
また、有効シンボル長ne分だけ進んだサンプルk+neにおける受信信号をr2ejβとすると、同相成分信号I[k]はr2cosβとなり、直交成分信号Q[k]はr2sinβとなる。
【0121】
それから、|I−I′|と|Q−Q′|を求めると、|I−I′|=|r1cosα−r2cosβ|、|Q−Q′|=|r1sinα−r2sinβ|となる。なお、r1はサンプルkにおける振幅であり、r2はサンプルk+neにおける振幅である。また、αはサンプルkにおける位相であり、βはサンプルk+neにおける位相である。
【0122】
さらに、r1およびr2の振幅の平均値を|r|とし、αおよびβは独立して変動するとすると仮定すると、サンプルkがガード時間以外にあるとき、|I−I′|と|Q−Q′|の平均値は、概ね√2倍の|r|となる。
【0123】
そして、1シンボル内で生じる、伝搬路等の影響による波形歪みが同じであるとすると、サンプルkがガード時間内にあればr1≒r2と想定でき、さらに、β=α+θとすると、|I−I′|は|r2{cosα−cos(α+θ)}|と、|Q−Q′|は|r2{sinα−sin(α+θ)}|と置き換えることができる。ここで、θはサンプルkとサンプルk+neの間で変化した位相の変化量(位相差)を表すものである。
【0124】
これによって、θが0、つまり、周波数同期が取れている場合、いずれの信号|I−I′|および|Q−Q′|もほぼ0となる。θがπ/2、つまり、位相差がπ/2の場合、|I−I′|は|r2{cosα+sinα}|となり、|Q−Q′|は|r2{sinα−cosα}|となり、いずれの信号|I−I′|および|Q−Q′|も√2r2となる。
【0125】
そして、r2の平均値が|r|であることを考慮すると、図18、図19において示したように、有効シンボルの始めと有効シンボルの終了との間に位相差がない場合(図18)にはガードインターバルを検出できるが、有効シンボルの始めと有効シンボルの終了との間にπ/2の位相差がある場合(図19)にはガードインターバルを検出できないことが説明できる。
【0126】
それゆえ、この周波数オフセット検出装置21では、位相差の変化に基づいて差分値s[k]が変化したところを、当該サンプルkの位置で取り出すことで、周波数/位相オフセット制御信号として利用している。ただし、|I−I′|と|Q−Q′|を用いると、θが0の場合、これらの信号は0となるが、θが±π/2の場合、これらの信号が√2|r|となり、オフセットする方向が検出しにくくなる。そこで、この周波数オフセット検出装置21では、周波数/位相オフセット検出機能部分において、|Q−I′|(または|I−Q′|)を利用している。
【0127】
これによって、周波数オフセット検出装置21では、周波数/位相オフセット検出機能部分において、|I−I′|と|Q−Q′|を求めたプロセスと同様のプロセスで|Q−I′|(または|I−Q′|)を求めている。|Q−I′|は、位相差が−π/2の場合、2|r|、位相差が0の場合、√2|r|、位相差がπ/2の場合、0となる。ちなみに、|I−Q′|は、位相差が−π/2の場合、0、位相差が0の場合、√2|r|、位相差がπ/2の場合、2|r|となる。
【0128】
図11に戻って周波数オフセット検出装置21の構成の説明を続ける。
ゲート回路27は、積分回路11aから出力された差分値s[k]に相当する計算結果と、ピーク検出回路13から出力された、最小値となるサンプルkおよびシンボル制御信号(ガードインターバルの位置)とに基づいて、周波数/位相制御信号(周波数誤差信号)を出力するものである。つまり、このゲート回路27では、サンプルkでの最小値(最小ピーク)の変化を周波数/位相制御信号として取り出すために、ピーク検出回路13からの出力であるサンプルkおよびシンボル制御信号(ガードインターバルの位置)を利用している。
【0129】
これによって、周波数オフセット検出装置21では、周波数にして、受信信号のキャリア間隔の1/2から−1/2に相当する周波数制御(周波数オフセット)が可能になる。なお、この周波数オフセット検出装置21のシンボル同期部分は、図5に示したガードインターバル検出装置1Aの構成に置き換えることが可能である。
【0130】
〈周波数オフセット検出装置の動作〉
次に、図12に示すフローチャートを参照して、周波数オフセット検出装置の動作を説明する(適宜、図11参照)。
まず、周波数オフセット検出装置21は、受信信号を入力すると、直交検波回路3によって、直交検波を行って、同相成分信号(I)および直交成分信号(Q)を電力振幅演算回路5に出力する(ステップS21)。
【0131】
続いて、周波数オフセット検出装置21は、シンボル同期部分の電力振幅演算回路5によって、電力値または振幅値を計算して、この計算した電力値または振幅値を、配線によって分岐させて、遅延回路7と差分回路9とに出力する(ステップS22)。そして、周波数オフセット検出装置21は、遅延回路7によって、電力値または振幅値を遅延させて、遅延電力値または遅延振幅値とする(ステップS23)。続いて、周波数オフセット検出装置21は、差分回路9によって、電力値と遅延電力値、或いは、振幅値と遅延振幅値との間の有効シンボル長の時間差の信号間で引算して、絶対値をとる(ステップS24)。
【0132】
そして、周波数オフセット検出装置21は、積分回路11bによって、電力差分値または振幅差分値に基づいて、積分をとり、ピーク検出回路13によって、最小値(最小ピーク)を検出する(ステップS25)。そして、周波数オフセット検出装置21は、ピーク検出回路13からの出力であるシンボル制御信号(ガードインターバルの検出サンプル)を、ゲートタイミングを取るためのトリガー(ゲートトリガー)として出力する(ステップS26)。
【0133】
また、周波数オフセット検出装置21は、周波数/位相オフセット検出機能部分において、遅延回路23によって、同相成分信号Iを有効シンボル長の時間遅延させる(ステップS27)。続いて、周波数オフセット検出装置21は、差分回路25によって、遅延同相成分信号I′を直交成分信号Qから減算して絶対値|Q−I′|をとる(ステップS28)。そして、周波数オフセット検出装置21は、積分回路11aによって、絶対値|Q−I′|に基づいて、積分をとり、ゲート回路27によって、ピーク検出回路13からの出力であるゲートトリガーに基づいて、周波数/位相制御信号(周波数オフセット)を検出する(ステップS29)。
【0134】
そして、周波数オフセット検出装置21は、通常、当該装置21の電源投入後、電源遮断まで、これらの動作を繰り返し実行する。なお、ステップS22〜ステップS25と、ステップS27およびステップS28とは、便宜上、前記のような順序で記載したが、実際には並列に処理している。
【0135】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、ガードインターバル検出装置1、1A、または、周波数オフセット検出装置21として説明したが、各装置の構成の処理を可能にするように、汎用または特殊なコンピュータ言語で記述したガードインターバル検出プログラム、または、周波数オフセット検出プログラムとみなすことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の実施形態に係るガードインターバル検出装置(第一実施形態)のブロック図である。
【図2】図1に示したガードインターバル検出装置による計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図3】図1に示したガードインターバル検出装置による計算結果の例(位相差π/2)を示した図である。
【図4】図1に示したガードインターバル検出装置の動作を説明したフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るガードインターバル検出装置(第二実施形態)のブロック図である。
【図6】図5に示したガードインターバル検出装置による計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図7】図5に示したガードインターバル検出装置による計算結果の例(位相差π/2)を示した図である。
【図8】図5に示したガードインターバル検出装置の動作を説明したフローチャートである。
【図9】図1に示したガードインターバル検出装置を、4送信のMIMO通信環境下に適用した場合の計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図10】図5に示したガードインターバル検出装置を、4送信のMIMO通信環境下に適用した場合の計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図11】本発明の実施形態に係る周波数オフセット検出装置のブロック図である。
【図12】図11に示した周波数オフセット検出装置の動作を説明したフローチャートである。
【図13】OFDM信号のシンボルとガードインターバルとを説明した図である。
【図14】ガードインターバルの生成について説明した図である。
【図15】従来のガードインターバル検出装置(ガードインターバル相関演算による方式)のブロック図である。
【図16】図15に示した従来のガードインターバル検出装置による計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図17】従来のガードインターバル検出装置(差分方式)のブロック図である。
【図18】図17に示した従来のガードインターバル検出装置(差分方式)による計算結果の例(位相差なし)を示した図である。
【図19】図17に示した従来のガードインターバル検出装置(差分方式)による計算結果の例(位相差π/2)を示した図である。
【図20】図15に示した従来のガードインターバル検出装置(ガードインターバル相関演算による方式)による計算結果の例(位相差π/2)を示した図である。
【符号の説明】
【0137】
1、1A ガードインターバル検出装置
3 直交検波回路
5 電力振幅演算回路(電力値演算手段、振幅値演算手段)
7 遅延回路(遅延手段)
9 差分回路(差分値演算手段)
9a 引算回路
9b 絶対値回路
11 積分回路
13 ピーク検出回路
17 平均値回路
19 除算回路
21 周波数オフセット検出装置
23 遅延回路(信号遅延手段)
25 差分回路(差分絶対値演算手段)
27 ゲート回路(周波数誤差信号検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出装置であって、
前記シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける電力値を演算する電力値演算手段と、
この電力値演算手段で電力値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた一方の当該電力値を示すサンプルを、前記有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延電力値とする遅延手段と、
この遅延手段で遅延させた遅延電力値と、前記電力値演算手段で電力値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた他方が示す電力値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する差分値演算手段とを備え、
この差分値演算手段で演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、前記ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出することを特徴とするガードインターバル検出装置。
【請求項2】
前記差分値演算手段は、前記電力値および前記遅延電力値の和または平均値に従って、前記OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する誤差距離率演算手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のガードインターバル検出装置。
【請求項3】
OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出装置であって、
前記シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける振幅値を演算する振幅値演算手段と、
この振幅値演算手段で振幅値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた一方の当該振幅値を示すサンプルを、前記有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延振幅値とする遅延手段と、
この遅延手段で遅延させた遅延振幅値と、前記振幅値演算手段で振幅値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた他方が示す振幅値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する差分値演算手段とを備え、
この差分値演算手段で演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、前記ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出することを特徴とするガードインターバル検出装置。
【請求項4】
前記差分値演算手段は、前記振幅値および前記遅延振幅値の和または平均値に従って、前記OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する誤差距離率演算手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のガードインターバル検出装置。
【請求項5】
OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出方法であって、
前記シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける電力値を演算する電力値演算ステップと、
この電力値演算ステップにおいて電力値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた一方の当該電力値を示すサンプルを、前記有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延電力値とする遅延ステップと、
この遅延ステップにおいて遅延させた遅延電力値と、前記電力値演算ステップにおいて電力値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す電力値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する差分値演算ステップとを含み、
この差分値演算ステップにおいて演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、前記ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出することを特徴とするガードインターバル検出方法。
【請求項6】
前記差分値演算ステップにおいて、前記電力値および前記遅延電力値の和または平均値に従って、前記OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する誤差距離率演算ステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のガードインターバル検出方法。
【請求項7】
OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出方法であって、
前記シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける振幅値を演算する振幅値演算ステップと、
この振幅値演算ステップにおいて振幅値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた一方の当該振幅値が示すサンプルを、前記有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延振幅値とする遅延ステップと、
この遅延ステップにおいて遅延させた遅延振幅値と、前記振幅値演算ステップにおいて振幅値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す振幅値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する差分値演算ステップとを含み、
この差分値演算ステップにおいて演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、前記ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出することを特徴とするガードインターバル検出方法。
【請求項8】
前記差分値演算ステップにおいて、前記振幅値および前記遅延振幅値の和または平均値に従って、前記OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する誤差距離率演算ステップを含むことを特徴とする請求項7に記載のガードインターバル検出方法。
【請求項9】
OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出し、この検出したガードインターバルに基づいて、当該OFDM信号の周波数オフセットを検出する周波数オフセット検出装置であって、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガードインターバル検出装置と、
前記OFDM信号の任意数番目のサンプルにおける同相成分信号または直交成分信号を、前記有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させる信号遅延手段と、
この信号遅延手段で遅延された遅延同相成分信号と前記直交成分信号とに基づき、または、前記信号遅延手段で遅延された遅延直交成分信号と前記同相成分信号とに基づき、差分の絶対値を演算する差分絶対値演算手段と、
前記ガードインターバル検出装置から出力されたガードインターバルの検出サンプルに基づいたゲートタイミングに従って、前記差分絶対値演算手段で演算された差分の絶対値を出力することで、周波数誤差信号を検出する周波数誤差信号検出手段と、
を備えることを特徴とする周波数オフセット検出装置。
【請求項1】
OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出装置であって、
前記シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける電力値を演算する電力値演算手段と、
この電力値演算手段で電力値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた一方の当該電力値を示すサンプルを、前記有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延電力値とする遅延手段と、
この遅延手段で遅延させた遅延電力値と、前記電力値演算手段で電力値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた他方が示す電力値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する差分値演算手段とを備え、
この差分値演算手段で演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、前記ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出することを特徴とするガードインターバル検出装置。
【請求項2】
前記差分値演算手段は、前記電力値および前記遅延電力値の和または平均値に従って、前記OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する誤差距離率演算手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のガードインターバル検出装置。
【請求項3】
OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出装置であって、
前記シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける振幅値を演算する振幅値演算手段と、
この振幅値演算手段で振幅値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた一方の当該振幅値を示すサンプルを、前記有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延振幅値とする遅延手段と、
この遅延手段で遅延させた遅延振幅値と、前記振幅値演算手段で振幅値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた他方が示す振幅値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する差分値演算手段とを備え、
この差分値演算手段で演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、前記ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出することを特徴とするガードインターバル検出装置。
【請求項4】
前記差分値演算手段は、前記振幅値および前記遅延振幅値の和または平均値に従って、前記OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する誤差距離率演算手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のガードインターバル検出装置。
【請求項5】
OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出方法であって、
前記シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける電力値を演算する電力値演算ステップと、
この電力値演算ステップにおいて電力値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた一方の当該電力値を示すサンプルを、前記有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延電力値とする遅延ステップと、
この遅延ステップにおいて遅延させた遅延電力値と、前記電力値演算ステップにおいて電力値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す電力値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する差分値演算ステップとを含み、
この差分値演算ステップにおいて演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、前記ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出することを特徴とするガードインターバル検出方法。
【請求項6】
前記差分値演算ステップにおいて、前記電力値および前記遅延電力値の和または平均値に従って、前記OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する誤差距離率演算ステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のガードインターバル検出方法。
【請求項7】
OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出するガードインターバル検出方法であって、
前記シンボルを構成する複数のサンプルの中で、任意数番目のサンプルにおける同相成分信号と直交成分信号とに基づいて、当該OFDM信号の当該サンプルにおける振幅値を演算する振幅値演算ステップと、
この振幅値演算ステップにおいて振幅値が演算された前記サンプルを2つに分岐させた一方の当該振幅値が示すサンプルを、前記有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させて、遅延振幅値とする遅延ステップと、
この遅延ステップにおいて遅延させた遅延振幅値と、前記振幅値演算ステップにおいて振幅値が演算されたサンプルを2つに分岐させた他方が示す振幅値とに基づいて、当該サンプルにおける差分値を演算する差分値演算ステップとを含み、
この差分値演算ステップにおいて演算された差分値が予め設定した値となる任意数番目のサンプルを、前記ガードインターバルの開始タイミングを取得する基準として、当該ガードインターバルを検出することを特徴とするガードインターバル検出方法。
【請求項8】
前記差分値演算ステップにおいて、前記振幅値および前記遅延振幅値の和または平均値に従って、前記OFDM信号の当該サンプルにおける誤差距離率を演算する誤差距離率演算ステップを含むことを特徴とする請求項7に記載のガードインターバル検出方法。
【請求項9】
OFDM信号を伝送する際に、当該OFDM信号の有効シンボルの一部をコピーしたガードインターバルを、当該有効シンボルの直前に付加してシンボルとした場合に、前記ガードインターバルを検出し、この検出したガードインターバルに基づいて、当該OFDM信号の周波数オフセットを検出する周波数オフセット検出装置であって、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガードインターバル検出装置と、
前記OFDM信号の任意数番目のサンプルにおける同相成分信号または直交成分信号を、前記有効シンボルの時間長である有効シンボル長に相当する時間だけ遅延させる信号遅延手段と、
この信号遅延手段で遅延された遅延同相成分信号と前記直交成分信号とに基づき、または、前記信号遅延手段で遅延された遅延直交成分信号と前記同相成分信号とに基づき、差分の絶対値を演算する差分絶対値演算手段と、
前記ガードインターバル検出装置から出力されたガードインターバルの検出サンプルに基づいたゲートタイミングに従って、前記差分絶対値演算手段で演算された差分の絶対値を出力することで、周波数誤差信号を検出する周波数誤差信号検出手段と、
を備えることを特徴とする周波数オフセット検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
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【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−135861(P2006−135861A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325023(P2004−325023)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(594044646)株式会社エヌエイチケイテクニカルサービス (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(594044646)株式会社エヌエイチケイテクニカルサービス (20)
【Fターム(参考)】
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