ガードル
【課題】 体型の個人差が調整されて美しくシェイプアップされたボディラインが維持でき、しかも快適な装着感の得られるガードルを提供する。
【解決手段】 ショーツ状の本体部と、この本体部の下に連なり使用者の両大腿部を囲む筒状をなすレッグ部とを具え、前記本体部と、レッグ部の境界部かつ少なくとも後身頃に、着用に伴う前記境界部の引張りに対する伸びを減じる小巾の高強度のズレ防止用の補強部を形成し、かつ前記レッグ部の前身頃に、下端からのびる切れ目を設けるとともに、着用者の大腿部の寸法に合わせて該レッグ部の内径を調節して切れ目を継ぐ連結手段を設けたことを特徴とする。
【解決手段】 ショーツ状の本体部と、この本体部の下に連なり使用者の両大腿部を囲む筒状をなすレッグ部とを具え、前記本体部と、レッグ部の境界部かつ少なくとも後身頃に、着用に伴う前記境界部の引張りに対する伸びを減じる小巾の高強度のズレ防止用の補強部を形成し、かつ前記レッグ部の前身頃に、下端からのびる切れ目を設けるとともに、着用者の大腿部の寸法に合わせて該レッグ部の内径を調節して切れ目を継ぐ連結手段を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェイプアップされた美しいプロポーションを維持できるとともに、装着感に優れたガードルに関する。
【背景技術】
【0002】
ガードルは、腹部から腰部へかけての体型を整えるために装着されるもので、伸縮性のある素材が用いられ、ある程度の寸法調整機能を備えるため、S、M、Lなど複数種類のサイズが品揃えされている。しかし前記伸縮性だけでは調整に限界があり、例えば、腰まわりは標準でも太腿が特に細いなど、体型にはバラツキが大きく、従って適合するサイズを選んだとしても、フィットしないことが多い。このような場合、使用者が体を動かす際に位置ズレを生じ易く、ガードルのシェイプアップ機能が損なわれて、保たれていたボディラインが崩れてしまう。またこのような時には、前記位置ズレにより局部的な圧迫を生じて装着感を低下させることが多い。
【0003】
そこで、図11に示すように、前身頃aと、後身頃bの両側縁を縫着することなく、双方の重なり部を、面ファスナーdを用いて着脱自在に係合できるように構成し、前記重なり代の巾を加減することにより体型に合わせて大きさを任意に調整することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−201513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、胴を細く見せるために、胸から腰にかけて全体を強く締め付けるコルセットとは異なり、ガードルは、腹部から腰部のたるみを理想に近い位置に補正してキープすることにより端麗なプロポーションを演出するものである。従ってガードルは、ポイントとなる箇所を適度に締めつけることにより美しいウェストラインを作る事が重要であり、前記上下に亘って分離された前身頃a及び後身頃bを、使用者自身が引っ張って連結する場合、要所を必要な力で締め上げることは難かしく、コルセットのように全体を締め上げてしまう結果、かえって前記たるみが強調されて、プロポーションを崩すことにもなり兼ねない。
【0006】
また、前身頃a及び後身頃bを引っ張って連結した場合、直立状態ではその姿勢が維持されるが、使用者が着座したり、逆に立上るなど腰部を大きく変化させる折には、位置ズレを生じるとともに、腰部から大腿部全体が一律に締め上げられるため動作が圧迫されて、動き難くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、レッグ部の内径を調節して切れ目を継ぐ連結手段を設けることを基本とし、体型の個人差が調整されて美しくシェイプアップされたボディラインを維持でき、しかも快適な装着感の得られるガードルの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、ショーツ状の本体部と、この本体部の下に連なり使用者の両大腿部を囲む筒状をなすレッグ部とを具え、前記本体部と、レッグ部の境界部かつ少なくとも後身頃に、着用に伴う前記境界部の引張りに対する伸びを減じる小巾の高強度のズレ防止用の補強部を形成し、かつ前記レッグ部の前身頃に、下端からのびる切れ目を設けるとともに、着用者の大腿部の寸法に合わせて該レッグ部の内径を調節して切れ目を継ぐ連結手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明において、前記連結手段は、小ループを多数設けた雌面材と小フックを多数設けた雄面材とが、圧着されて着脱可能に係合する面ファスナーであり、また請求項3に係る発明の面ファスナーは、一方の面材がレッグ部の股側から脇側に向けてのびる端縁部に外向きに設けられ、かつ他方の面材が脇側から内に向けてのびる端縁部に内向きに設けられ、さらに請求項4に係る発明の面ファスナーは、正面方向から脇側に向かう90度の範囲に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、後身頃において使用者の臀溝に沿う領域に形成される補強部に連続して、前身頃において使用者の鼠蹊溝に沿ってのび、かつ前記補強部よりも補強程度が小さい前の補強部を有し、また請求項6に係る発明においては、前記レッグ部は、前身頃において本体部との間に間隙を設けて配され、前記間隙はレース地により覆われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明は、レッグ部の内径を、使用者の大腿部の寸法に合わせて調整する連結手段を設けたため、体型の個人差に拘わらず、本体部とレッグ部との境界部の補強部に掛かる引張り力を最適な強さに加減することができる。その結果、着座する時、逆に立上る時などに、本体部の後身頃の下部が強く引張られても、本体部が位置ズレすることなく、臀部を所定の位置で覆うことができるため、美しいヒップラインを保ちながらシェイプアップされたボディラインを形成して、端麗なプロポーションを維持できる。同時に補強部の位置ズレによる局部的な圧迫を生じることがなく、快適な装着感を維持できる。
【0012】
請求項2に係る発明では、面ファスナーにより、大腿部の太さの微妙な違いに合わせてレッグ部の内径を調整できるため、あらゆる体型に対して、最適な寸法に調整できる。しかも、同じ使用者であっても、日々少しずつ増減する体重に追従してレッグ部の太さを調整できるため、毎日の状態に応じて最適にフィットした装着感が得られる。
【0013】
請求項3に係る発明のように、レッグ部の股側から脇側に向けてのびる端縁部の外向きと、脇側から内に向けてのびる端縁部の内向きとに、面ファスナーを構成する二種類の面材を各々設けると、大腿部の太さを調整しつつレッグ部の切れ目の連結し、或いはこれを外す際に、自然な手の動作によって、力を入れることなく、しかも締め付け具合の微妙な調整を容易に行ないながら操作できる。また請求項4に係る発明のように、前記面ファスナーを、使用者の正面方向から脇側に向かう90度の範囲に配置すると、前記レッグ部の切れ目を連結操作が一層楽に行なえる。
【0014】
請求項5に係る発明のように、臀溝に沿って形成される補強部に連続し、鼠蹊溝に沿ってのびる補強程度が小さな前の補強部を設けると、後身頃の補強部と前身頃の前の補強部とが協働して、本体部のズレを有効に防止する。しかも前の補強部は、補強程度が小さいため、鼠蹊溝が強く圧迫されることがなく、快適な装着感が得られる。また請求項6に係る発明のように、レッグ部の前身頃に、レース地に覆われた間隙を形成すると、脚の上げ下げ動作が楽に行なえるなど自由性を高めて、圧迫感の少ない優れた装着性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1に示すように、ガードル1は、本体部2と、この本体部2の下に連なるレッグ部5と、ズレを防止するための補強部6と、連結手段8とを具える。
【0016】
前記本体部2は、腰部乃至臀部に装着されるための略筒状をなし、上端部に胴回り部21を有するとともに下端部に一対の脚開口部22を有し、ショーツ状に形成される。本体部2は、全体的に伸縮性を有するが、例えば図1に示すように、柔らかく接しつつ腹部を押圧してシルエットを矯正する菱形の腹補正部23が、前身頃の中央上部に配置されるなど、ヒップアップして美しいボディラインを形成するための補正部が適宜配置される。また前記胴回り部21には、ゴム帯が縫着され、或いは弾性に富む生地で一体に形成された腰支持部24が形成される。
【0017】
前記レッグ部5は、使用者3の左右の大腿部4、4を囲む筒状をなし、前記本体部2の脚開口部22の下に連続して形成される。また前記筒状のレッグ部5は、前身頃に下端から上にのびる切れ目7を有する。本形態の切れ目7には、左右のレッグ部5において、内股側から脇側へ向けのびる内の縁部25Uと、この内の縁部25Uの外側を覆って、脇側から内股へ向けのびる外の縁部25Sとが重なる重ね部26が形成される。
【0018】
前記本体部2及びレッグ部5は各々ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、綿及びこれらの混紡生地が用いられる。尚本形態のレッグ部5には、その下端縁及び前記外の縁部25Uに、5〜20mm程度の同じ巾で連続するレースを用いた縁飾り27が設けられる。
【0019】
前記補強部6は、前記本体部2の下端縁で小巾な帯状をなし、レッグ部5との境界に配置されることにより、使用者3の姿勢変化による本体部2の位置ズレを防止している。この補強部6は、前記本体部2及びレッグ部5よりも、引張りに対する伸びが小さく、引張り強度が、本体部2及びレッグ部5の普通の部位に比べて、例えば1.5〜5.0程度、好ましくは2.5〜4.0程度に形成される。1.5未満では、引張りに対する強度不足から、前記位置ズレを生じる可能性があり、逆に5.0を超えると、使用者3に対し紐状の食い込みを生じるなど、履き心地を低下させる。
【0020】
前記補強部6は、使用者3の本体部2の臀部へのズレを有効に防止するため、少なくとも後身頃に形成される。しかし本形態では、図3、6に示すように、使用者3の臀溝に沿う領域に形成された後の補強部6Bに連続して、前身頃で使用者3の鼠蹊溝に沿ってのびる前の補強部6Fが形成されている。この前の補強部6Fは、後の補強部6Bに比べて補強程度が、例えば0.3〜0.7程度に小さく形成される。
【0021】
また補強部6の巾は、例えば、3.0〜20.0mm程度、好ましくは5.0〜10.0mm程度が望ましい。3.0mm未満では、使用者3への食い込みが生じて、履き心地を損ね、逆に20.0mmを超えると、位置ズレ防止効果が低下する傾向がある。
【0022】
前記補強部6は、例えば本体部2の下端縁を、前記の巾で、二重、或いは三重に折り返すとともに一体に縫い合わせて形成することができ、或いは前記下端縁に高弾性の帯材を縫着して構成することもできる。また本体部2とレッグ部5との境界領域を細巾帯状に厚く紡織して高強度に形成することも良い。
【0023】
前記連結手段8は、前記重ね部26において、内の縁部25Uと外の縁部25Sとを相対位置調整可能に連結するものである。本形態では、内の縁部25Uの外面に取り付けられ、かつ小ループを多数設けた雌面材9Aと、外の縁部25Sの内面に取り付けられ、かつ小フックを多数設けた雄面材9Bとからなる面ファスナー10が用いられ、相互に圧着することにより着脱可能に係合することにより、前記レッグ部5の切れ目7を連結できる。
【0024】
前記連結の際、外の縁部25Sを引っ張る力を加減することにより、連結されて筒状となるレッグ部5の内径が、使用者3の大腿部4の寸法に合わせて調整でき、体型の違いを吸収してピッタリの大きさで着用できる。またその結果、前記補強部6は、適度なテンションが掛かって澱溝部、鼠蹊溝に密着するため、使用者が着座する時、或いは立上る際、本体部の後身頃の下部が強く引張られるが、後の補強部6Bが澱溝に確りと支持されて、本体部2の位置ズレを防止できる。このように本体部2が臀部を覆ってシェイプアップされたヒップラインを保つことにより美しいボディラインが形成され、端麗なプロポーションを維持できる。更には、補強部6が位置ズレして局部的な圧迫を生じることがなくなり、快適な装着感が得られる。
【0025】
しかも前記の如く、本形態では、連結手段8として面ファスナー10を用いているため、図4に示すように、大腿部4の太さが微妙に異なる場合にも、その太さに合わせてレッグ部5の内径を調整できる。更には、日々異なる体重の微妙な増減にも追従でき、最適にフィットした装着感が得られる。その結果、使用者3の動作に伴い生じ易い本体部2のズレを、補強部6によって確実に阻止でき、ヒップラインなどのプロポーションを保つことができる。
【0026】
本形態では、図1に示すように、外の縁部25Sを脇側から内股側へ向けて引っ張ると同時に、その内面の雄面材9Bを、内の縁部25Uの外面に取り付けらた雌面材9Aの上に押圧して面ファスナー10を係合させるため、自然な手の動作によって、力を入れることなく、しかも締め付け具合の微妙な調整を容易に行ないながら操作できる。また面ファスナー10を外す際にも、外の縁部25Sを内股側から脇側へ向けて引き剥がすことにより、簡単に取り扱いできる。
【0027】
また本形態の面ファスナー10は、図5に示すように、使用者3の正面方向から脇側に向かう90度の領域Aに配置される。従って、補強部6に掛かる引張力を調整しつつ前記の面ファスナー10を連結する操作及び、これを剥がす操作を、使用者3が最も腕を動かし易い範囲で行なえるため、自然で楽な姿勢によって、しかも簡単に脱ぎ履きが出来る。
【0028】
なお本形態では前記の如く、外の縁部25Sを脇側から内股側へ向けて引っ張って面ファスナー10を係合させる。従ってその力を後の補強部6Bが有効に受けて、ズレ防止が有効に機能するため、図6に示すように、前記後の補強部6Bは、脇側において、使用者の真横を始点として、澱溝に沿って後身頃側をのびる。他方内股側は、ズレ防止効果が比較的小さい上、内股部に強い圧力が加わると履き心地を損ねるため、前記後の補強部6Bは、内股へ真直ぐ向かう方向(使用者の左右の真横を結ぶ方向)から角度α後側へ傾いた位置で終端する。尚前記角度αは、例えば、10〜30度程度、好ましくは15〜25度が望ましい。10度未満では、内股部を圧迫して、使用者に不快感を与え、逆に30度を超えると、後の補強部6Bによるズレ防止効果が低減する。そして、この範囲で連続する後の補強部6Bと前の補強部6Fとが協働して、本体部2のズレを有効に防止することができ、しかも補強のレベルの小さな前の補強部6Fは柔らかく作用するため、鼠蹊溝を圧迫することがなく、ソフトな履き心地が得られる。
【0029】
図7、8は他の実施形態を例示している。以下異なる内容について説明し、それ以外は図中に表れた主要構成に同じ符号を付すだけとする。本形態では、前記補強部6は、後身頃にのみ設け、鼠蹊溝に沿って配されることにより位置ズレを効果的に防止している。また、前記面ファスナー10は、内の縁部25Uには上下に連続する雌面材9Aが取り付けられ、他方外の縁部25Sには上下に間隔を隔てて独立した3個の雄面材9Bが設けられる。このように、外の縁部25Sに、独立した複数個の面材を設けると、外の縁部25Sを引張りながら連結する際の微妙な力の調整が容易となり、他方内の縁部25Uの雌面材9Aは連続して形成されるため、レッグ部5の太さの調整代を充分に大きくとることができる点で好ましい。
【0030】
図9、10は更に他の実施形態を例示している。本形態では、レッグ部5を上下方向の丈寸法が略揃った筒状とすることにより、前身頃において、本体部2とレッグ部5との間に間隙11を形成し、かつこの間隙11を覆うレース地12が本体部2から垂下して設けられている。なおレッグ部5の上縁は、レース地12の下縁に重なって配置されている。このように、前身頃において、本体部2とレッグ部5とが分離して形成されるため、脚の上げ下げなどが楽に動作できるとともに圧迫感が軽減され、優れた装着性が得られる点で好ましい。
【0031】
尚、叙上の説明は本発明の実施の形態を例示したものである。従って本発明の技術的範囲はこれに何ら限定されるものではなく、前記した実施の形態の他にも、各種の変形例が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態を例示する正面図である。
【図2】その背面図である。
【図3】その側面図である。
【図4】その要部拡大図である。
【図5】その断面斜視図である。
【図6】その水平断面図である。
【図7】他の実施の態様を例示する斜視図である。
【図8】その異なる方向の斜視図である。
【図9】更に他の実施の態様を例示する斜視図である。
【図10】その異なる方向の斜視図である。
【図11】従来例の正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ガードル
2 本体部
3 使用者
4 両大腿部
5 レッグ部
6 補強部
6F 前の補強部
7 切れ目
8 連結手段
9 面材
9A 雌面材
9B 雄面材
10 面ファスナー
11 間隙
12 レース地
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェイプアップされた美しいプロポーションを維持できるとともに、装着感に優れたガードルに関する。
【背景技術】
【0002】
ガードルは、腹部から腰部へかけての体型を整えるために装着されるもので、伸縮性のある素材が用いられ、ある程度の寸法調整機能を備えるため、S、M、Lなど複数種類のサイズが品揃えされている。しかし前記伸縮性だけでは調整に限界があり、例えば、腰まわりは標準でも太腿が特に細いなど、体型にはバラツキが大きく、従って適合するサイズを選んだとしても、フィットしないことが多い。このような場合、使用者が体を動かす際に位置ズレを生じ易く、ガードルのシェイプアップ機能が損なわれて、保たれていたボディラインが崩れてしまう。またこのような時には、前記位置ズレにより局部的な圧迫を生じて装着感を低下させることが多い。
【0003】
そこで、図11に示すように、前身頃aと、後身頃bの両側縁を縫着することなく、双方の重なり部を、面ファスナーdを用いて着脱自在に係合できるように構成し、前記重なり代の巾を加減することにより体型に合わせて大きさを任意に調整することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−201513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、胴を細く見せるために、胸から腰にかけて全体を強く締め付けるコルセットとは異なり、ガードルは、腹部から腰部のたるみを理想に近い位置に補正してキープすることにより端麗なプロポーションを演出するものである。従ってガードルは、ポイントとなる箇所を適度に締めつけることにより美しいウェストラインを作る事が重要であり、前記上下に亘って分離された前身頃a及び後身頃bを、使用者自身が引っ張って連結する場合、要所を必要な力で締め上げることは難かしく、コルセットのように全体を締め上げてしまう結果、かえって前記たるみが強調されて、プロポーションを崩すことにもなり兼ねない。
【0006】
また、前身頃a及び後身頃bを引っ張って連結した場合、直立状態ではその姿勢が維持されるが、使用者が着座したり、逆に立上るなど腰部を大きく変化させる折には、位置ズレを生じるとともに、腰部から大腿部全体が一律に締め上げられるため動作が圧迫されて、動き難くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、レッグ部の内径を調節して切れ目を継ぐ連結手段を設けることを基本とし、体型の個人差が調整されて美しくシェイプアップされたボディラインを維持でき、しかも快適な装着感の得られるガードルの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、ショーツ状の本体部と、この本体部の下に連なり使用者の両大腿部を囲む筒状をなすレッグ部とを具え、前記本体部と、レッグ部の境界部かつ少なくとも後身頃に、着用に伴う前記境界部の引張りに対する伸びを減じる小巾の高強度のズレ防止用の補強部を形成し、かつ前記レッグ部の前身頃に、下端からのびる切れ目を設けるとともに、着用者の大腿部の寸法に合わせて該レッグ部の内径を調節して切れ目を継ぐ連結手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明において、前記連結手段は、小ループを多数設けた雌面材と小フックを多数設けた雄面材とが、圧着されて着脱可能に係合する面ファスナーであり、また請求項3に係る発明の面ファスナーは、一方の面材がレッグ部の股側から脇側に向けてのびる端縁部に外向きに設けられ、かつ他方の面材が脇側から内に向けてのびる端縁部に内向きに設けられ、さらに請求項4に係る発明の面ファスナーは、正面方向から脇側に向かう90度の範囲に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、後身頃において使用者の臀溝に沿う領域に形成される補強部に連続して、前身頃において使用者の鼠蹊溝に沿ってのび、かつ前記補強部よりも補強程度が小さい前の補強部を有し、また請求項6に係る発明においては、前記レッグ部は、前身頃において本体部との間に間隙を設けて配され、前記間隙はレース地により覆われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明は、レッグ部の内径を、使用者の大腿部の寸法に合わせて調整する連結手段を設けたため、体型の個人差に拘わらず、本体部とレッグ部との境界部の補強部に掛かる引張り力を最適な強さに加減することができる。その結果、着座する時、逆に立上る時などに、本体部の後身頃の下部が強く引張られても、本体部が位置ズレすることなく、臀部を所定の位置で覆うことができるため、美しいヒップラインを保ちながらシェイプアップされたボディラインを形成して、端麗なプロポーションを維持できる。同時に補強部の位置ズレによる局部的な圧迫を生じることがなく、快適な装着感を維持できる。
【0012】
請求項2に係る発明では、面ファスナーにより、大腿部の太さの微妙な違いに合わせてレッグ部の内径を調整できるため、あらゆる体型に対して、最適な寸法に調整できる。しかも、同じ使用者であっても、日々少しずつ増減する体重に追従してレッグ部の太さを調整できるため、毎日の状態に応じて最適にフィットした装着感が得られる。
【0013】
請求項3に係る発明のように、レッグ部の股側から脇側に向けてのびる端縁部の外向きと、脇側から内に向けてのびる端縁部の内向きとに、面ファスナーを構成する二種類の面材を各々設けると、大腿部の太さを調整しつつレッグ部の切れ目の連結し、或いはこれを外す際に、自然な手の動作によって、力を入れることなく、しかも締め付け具合の微妙な調整を容易に行ないながら操作できる。また請求項4に係る発明のように、前記面ファスナーを、使用者の正面方向から脇側に向かう90度の範囲に配置すると、前記レッグ部の切れ目を連結操作が一層楽に行なえる。
【0014】
請求項5に係る発明のように、臀溝に沿って形成される補強部に連続し、鼠蹊溝に沿ってのびる補強程度が小さな前の補強部を設けると、後身頃の補強部と前身頃の前の補強部とが協働して、本体部のズレを有効に防止する。しかも前の補強部は、補強程度が小さいため、鼠蹊溝が強く圧迫されることがなく、快適な装着感が得られる。また請求項6に係る発明のように、レッグ部の前身頃に、レース地に覆われた間隙を形成すると、脚の上げ下げ動作が楽に行なえるなど自由性を高めて、圧迫感の少ない優れた装着性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1に示すように、ガードル1は、本体部2と、この本体部2の下に連なるレッグ部5と、ズレを防止するための補強部6と、連結手段8とを具える。
【0016】
前記本体部2は、腰部乃至臀部に装着されるための略筒状をなし、上端部に胴回り部21を有するとともに下端部に一対の脚開口部22を有し、ショーツ状に形成される。本体部2は、全体的に伸縮性を有するが、例えば図1に示すように、柔らかく接しつつ腹部を押圧してシルエットを矯正する菱形の腹補正部23が、前身頃の中央上部に配置されるなど、ヒップアップして美しいボディラインを形成するための補正部が適宜配置される。また前記胴回り部21には、ゴム帯が縫着され、或いは弾性に富む生地で一体に形成された腰支持部24が形成される。
【0017】
前記レッグ部5は、使用者3の左右の大腿部4、4を囲む筒状をなし、前記本体部2の脚開口部22の下に連続して形成される。また前記筒状のレッグ部5は、前身頃に下端から上にのびる切れ目7を有する。本形態の切れ目7には、左右のレッグ部5において、内股側から脇側へ向けのびる内の縁部25Uと、この内の縁部25Uの外側を覆って、脇側から内股へ向けのびる外の縁部25Sとが重なる重ね部26が形成される。
【0018】
前記本体部2及びレッグ部5は各々ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、綿及びこれらの混紡生地が用いられる。尚本形態のレッグ部5には、その下端縁及び前記外の縁部25Uに、5〜20mm程度の同じ巾で連続するレースを用いた縁飾り27が設けられる。
【0019】
前記補強部6は、前記本体部2の下端縁で小巾な帯状をなし、レッグ部5との境界に配置されることにより、使用者3の姿勢変化による本体部2の位置ズレを防止している。この補強部6は、前記本体部2及びレッグ部5よりも、引張りに対する伸びが小さく、引張り強度が、本体部2及びレッグ部5の普通の部位に比べて、例えば1.5〜5.0程度、好ましくは2.5〜4.0程度に形成される。1.5未満では、引張りに対する強度不足から、前記位置ズレを生じる可能性があり、逆に5.0を超えると、使用者3に対し紐状の食い込みを生じるなど、履き心地を低下させる。
【0020】
前記補強部6は、使用者3の本体部2の臀部へのズレを有効に防止するため、少なくとも後身頃に形成される。しかし本形態では、図3、6に示すように、使用者3の臀溝に沿う領域に形成された後の補強部6Bに連続して、前身頃で使用者3の鼠蹊溝に沿ってのびる前の補強部6Fが形成されている。この前の補強部6Fは、後の補強部6Bに比べて補強程度が、例えば0.3〜0.7程度に小さく形成される。
【0021】
また補強部6の巾は、例えば、3.0〜20.0mm程度、好ましくは5.0〜10.0mm程度が望ましい。3.0mm未満では、使用者3への食い込みが生じて、履き心地を損ね、逆に20.0mmを超えると、位置ズレ防止効果が低下する傾向がある。
【0022】
前記補強部6は、例えば本体部2の下端縁を、前記の巾で、二重、或いは三重に折り返すとともに一体に縫い合わせて形成することができ、或いは前記下端縁に高弾性の帯材を縫着して構成することもできる。また本体部2とレッグ部5との境界領域を細巾帯状に厚く紡織して高強度に形成することも良い。
【0023】
前記連結手段8は、前記重ね部26において、内の縁部25Uと外の縁部25Sとを相対位置調整可能に連結するものである。本形態では、内の縁部25Uの外面に取り付けられ、かつ小ループを多数設けた雌面材9Aと、外の縁部25Sの内面に取り付けられ、かつ小フックを多数設けた雄面材9Bとからなる面ファスナー10が用いられ、相互に圧着することにより着脱可能に係合することにより、前記レッグ部5の切れ目7を連結できる。
【0024】
前記連結の際、外の縁部25Sを引っ張る力を加減することにより、連結されて筒状となるレッグ部5の内径が、使用者3の大腿部4の寸法に合わせて調整でき、体型の違いを吸収してピッタリの大きさで着用できる。またその結果、前記補強部6は、適度なテンションが掛かって澱溝部、鼠蹊溝に密着するため、使用者が着座する時、或いは立上る際、本体部の後身頃の下部が強く引張られるが、後の補強部6Bが澱溝に確りと支持されて、本体部2の位置ズレを防止できる。このように本体部2が臀部を覆ってシェイプアップされたヒップラインを保つことにより美しいボディラインが形成され、端麗なプロポーションを維持できる。更には、補強部6が位置ズレして局部的な圧迫を生じることがなくなり、快適な装着感が得られる。
【0025】
しかも前記の如く、本形態では、連結手段8として面ファスナー10を用いているため、図4に示すように、大腿部4の太さが微妙に異なる場合にも、その太さに合わせてレッグ部5の内径を調整できる。更には、日々異なる体重の微妙な増減にも追従でき、最適にフィットした装着感が得られる。その結果、使用者3の動作に伴い生じ易い本体部2のズレを、補強部6によって確実に阻止でき、ヒップラインなどのプロポーションを保つことができる。
【0026】
本形態では、図1に示すように、外の縁部25Sを脇側から内股側へ向けて引っ張ると同時に、その内面の雄面材9Bを、内の縁部25Uの外面に取り付けらた雌面材9Aの上に押圧して面ファスナー10を係合させるため、自然な手の動作によって、力を入れることなく、しかも締め付け具合の微妙な調整を容易に行ないながら操作できる。また面ファスナー10を外す際にも、外の縁部25Sを内股側から脇側へ向けて引き剥がすことにより、簡単に取り扱いできる。
【0027】
また本形態の面ファスナー10は、図5に示すように、使用者3の正面方向から脇側に向かう90度の領域Aに配置される。従って、補強部6に掛かる引張力を調整しつつ前記の面ファスナー10を連結する操作及び、これを剥がす操作を、使用者3が最も腕を動かし易い範囲で行なえるため、自然で楽な姿勢によって、しかも簡単に脱ぎ履きが出来る。
【0028】
なお本形態では前記の如く、外の縁部25Sを脇側から内股側へ向けて引っ張って面ファスナー10を係合させる。従ってその力を後の補強部6Bが有効に受けて、ズレ防止が有効に機能するため、図6に示すように、前記後の補強部6Bは、脇側において、使用者の真横を始点として、澱溝に沿って後身頃側をのびる。他方内股側は、ズレ防止効果が比較的小さい上、内股部に強い圧力が加わると履き心地を損ねるため、前記後の補強部6Bは、内股へ真直ぐ向かう方向(使用者の左右の真横を結ぶ方向)から角度α後側へ傾いた位置で終端する。尚前記角度αは、例えば、10〜30度程度、好ましくは15〜25度が望ましい。10度未満では、内股部を圧迫して、使用者に不快感を与え、逆に30度を超えると、後の補強部6Bによるズレ防止効果が低減する。そして、この範囲で連続する後の補強部6Bと前の補強部6Fとが協働して、本体部2のズレを有効に防止することができ、しかも補強のレベルの小さな前の補強部6Fは柔らかく作用するため、鼠蹊溝を圧迫することがなく、ソフトな履き心地が得られる。
【0029】
図7、8は他の実施形態を例示している。以下異なる内容について説明し、それ以外は図中に表れた主要構成に同じ符号を付すだけとする。本形態では、前記補強部6は、後身頃にのみ設け、鼠蹊溝に沿って配されることにより位置ズレを効果的に防止している。また、前記面ファスナー10は、内の縁部25Uには上下に連続する雌面材9Aが取り付けられ、他方外の縁部25Sには上下に間隔を隔てて独立した3個の雄面材9Bが設けられる。このように、外の縁部25Sに、独立した複数個の面材を設けると、外の縁部25Sを引張りながら連結する際の微妙な力の調整が容易となり、他方内の縁部25Uの雌面材9Aは連続して形成されるため、レッグ部5の太さの調整代を充分に大きくとることができる点で好ましい。
【0030】
図9、10は更に他の実施形態を例示している。本形態では、レッグ部5を上下方向の丈寸法が略揃った筒状とすることにより、前身頃において、本体部2とレッグ部5との間に間隙11を形成し、かつこの間隙11を覆うレース地12が本体部2から垂下して設けられている。なおレッグ部5の上縁は、レース地12の下縁に重なって配置されている。このように、前身頃において、本体部2とレッグ部5とが分離して形成されるため、脚の上げ下げなどが楽に動作できるとともに圧迫感が軽減され、優れた装着性が得られる点で好ましい。
【0031】
尚、叙上の説明は本発明の実施の形態を例示したものである。従って本発明の技術的範囲はこれに何ら限定されるものではなく、前記した実施の形態の他にも、各種の変形例が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態を例示する正面図である。
【図2】その背面図である。
【図3】その側面図である。
【図4】その要部拡大図である。
【図5】その断面斜視図である。
【図6】その水平断面図である。
【図7】他の実施の態様を例示する斜視図である。
【図8】その異なる方向の斜視図である。
【図9】更に他の実施の態様を例示する斜視図である。
【図10】その異なる方向の斜視図である。
【図11】従来例の正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ガードル
2 本体部
3 使用者
4 両大腿部
5 レッグ部
6 補強部
6F 前の補強部
7 切れ目
8 連結手段
9 面材
9A 雌面材
9B 雄面材
10 面ファスナー
11 間隙
12 レース地
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーツ状の本体部と、この本体部の下に連なり使用者の両大腿部を囲む筒状をなすレッグ部とを具え、 前記本体部と、レッグ部の境界部かつ少なくとも後身頃に、着用に伴う前記境界部の引張りに対する伸びを減じる小巾の高強度のズレ防止用の補強部を形成し、
かつ前記レッグ部の前身頃に、下端からのびる切れ目を設けるとともに、着用者の大腿部の寸法に合わせて該レッグ部の内径を調節して切れ目を継ぐ連結手段を設けたことを特徴とするガードル。
【請求項2】
前記連結手段は、小ループを多数設けた雌面材と小フックを多数設けた雄面材とが、圧着されて着脱可能に係合する面ファスナーであることを特徴とする請求項1記載のガードル。
【請求項3】
前記面ファスナーは、一方の面材がレッグ部の股側から脇側に向けてのびる端縁部に外向きに設けられ、かつ他方の面材が脇側から内に向けてのびる端縁部に内向きに設けられることを特徴とする請求項2記載のガードル。
【請求項4】
前記面ファスナーは、正面方向から脇側に向かう90度の範囲に配置されることを特徴とする請求項2又は3記載のガードル。
【請求項5】
後身頃において使用者の臀溝に沿う領域に形成される補強部に連続して、前身頃において使用者の鼠蹊溝に沿ってのび、かつ前記補強部よりも補強程度が小さい前の補強部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガードル。
【請求項6】
前記レッグ部は、前身頃において本体部との間に間隙を設けて配され、前記間隙はレース地により覆われることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガードル。
【請求項1】
ショーツ状の本体部と、この本体部の下に連なり使用者の両大腿部を囲む筒状をなすレッグ部とを具え、 前記本体部と、レッグ部の境界部かつ少なくとも後身頃に、着用に伴う前記境界部の引張りに対する伸びを減じる小巾の高強度のズレ防止用の補強部を形成し、
かつ前記レッグ部の前身頃に、下端からのびる切れ目を設けるとともに、着用者の大腿部の寸法に合わせて該レッグ部の内径を調節して切れ目を継ぐ連結手段を設けたことを特徴とするガードル。
【請求項2】
前記連結手段は、小ループを多数設けた雌面材と小フックを多数設けた雄面材とが、圧着されて着脱可能に係合する面ファスナーであることを特徴とする請求項1記載のガードル。
【請求項3】
前記面ファスナーは、一方の面材がレッグ部の股側から脇側に向けてのびる端縁部に外向きに設けられ、かつ他方の面材が脇側から内に向けてのびる端縁部に内向きに設けられることを特徴とする請求項2記載のガードル。
【請求項4】
前記面ファスナーは、正面方向から脇側に向かう90度の範囲に配置されることを特徴とする請求項2又は3記載のガードル。
【請求項5】
後身頃において使用者の臀溝に沿う領域に形成される補強部に連続して、前身頃において使用者の鼠蹊溝に沿ってのび、かつ前記補強部よりも補強程度が小さい前の補強部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガードル。
【請求項6】
前記レッグ部は、前身頃において本体部との間に間隙を設けて配され、前記間隙はレース地により覆われることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガードル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−23407(P2007−23407A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205853(P2005−205853)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(505266916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(505266916)
【Fターム(参考)】
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