説明

キサンチンオキシダーゼ阻害剤及び尿酸生成阻害剤

【課題】キサンチンオキシダーゼ阻害効果を有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤、及び尿酸生成阻害効果を有する尿酸生成阻害剤を提供する。
【解決手段】ピメンタ(Pimenta officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、グアバ(Psidium guajava)、アニス(Pimpinella anisum)、オリーブ(Olea europaea)、トウシキミ(Illicium verum)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ブラックカーラント(Ribes nigrum)、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)、ヨモギ(Artemisia princeps)及びカンペシアボク(Haematoxylon campechianum L.)からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を含有する、キサンチンオキシダーゼ阻害剤及び尿酸生成阻害剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサンチンオキシダーゼ阻害剤及び尿酸生成阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
尿酸は遺伝情報の担体である核酸やエネルギーの担体であるATPに由来する代謝産物であり、哺乳類等においてプリン化合物の最終分解産物として排泄される。この代謝のメカニズムとしては、ヒポキサンチンがキサンチンに変換され、キサンチンが尿酸に変換される。この反応はキサンチンオキシダーゼが触媒する。
【0003】
キサンチンオキシダーゼによるプリン化合物の代謝異常が起こるとさまざまな疾病を引き起こす。その例として、高尿酸血症が挙げられる(非特許文献1)。通常、摂氏37度での血漿中の尿酸ナトリウムの飽和溶解度は7mg/dLとされている。従って、尿酸の血中濃度が7mg/dLを超えると体内で尿酸結晶が析出する可能性が出てくる。このように、尿酸の血中濃度が7mg/dLを超える症状を高尿酸血症という。また、プリン化合物の代謝異常は痛風の原因ともなる。尿酸の血中濃度が高い状態が継続すると関節内又は関節周囲に尿酸塩の結晶が沈着する。この現象により、急性関節炎発作、痛風結節、関節機能障害、関節の変形等の症状をきたす。この症状を痛風といい、腎障害、血管障害等、多くの合併症を引き起こす病気である。
【0004】
従来、痛風及び高尿酸血症患者は我が国ではそれほど多くなかった。そのため、痛風及び高尿酸血症の予防に関心が持たれることも少なかった。しかしながら、近年、生活様式が急速に変化し、食生活においても高カロリー、高タンパク、高脂肪の食事をとる人が増加している。さらに、ストレスの増加等に伴い痛風発症例が増加しつつある。このため、痛風又はその危険因子である高尿酸血症の予防と改善に対する関心が高まっている。
【0005】
これまでに、血中尿酸量の高値によって引き起こされる高尿酸血症又は痛風を改善又は予防するために、尿酸排泄剤「プロベネシド(商品名)」や尿酸生成抑制剤「アロプリノール(商品名)」などが提供されている。しかし、それらの効果が一過性であることや、胃腸障害、発疹、白血球減少、血小板減少、肝障害、腎障害等の副作用を伴うことなどの問題点がある。
したがって、上記疾病を予防又は改善するために、体内中で尿酸の生成を阻害し、血中尿酸値を適正な値に制御又は低下させることが求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】小笠原 正志ら、「プリン・ピリミジン代謝」、1994年、第18巻、第1号、p.1−10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れたキサンチンオキシダーゼ阻害効果を有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤を提供することを課題とする。また、本発明は、優れた尿酸生成阻害効果を有する尿酸生成阻害剤を提供することを課題とする。また、本発明は、連用しても副作用の恐れがなく、効果的で安全性の高い、痛風又は高尿酸血症の改善又は予防効果を有する、痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤を提供することを課題とする。さらに、本発明は、キサンチンオキシダーゼ阻害効果、尿酸生成阻害効果、及び/又は痛風若しくは高尿酸血症の改善若しくは予防効果を有する、食品及び飲料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は上記課題に鑑み、ある特定の種の植物の抽出物が、キサンチンオキシダーゼが触媒する尿酸の生成を阻害し、キサンチンオキシダーゼ阻害活性を有することを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成させたものである。
【0009】
本発明は、ピメンタ(Pimenta officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、グアバ(Psidium guajava)、アニス(Pimpinella anisum)、オリーブ(Olea europaea)、トウシキミ(Illicium verum)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ブラックカーラント(Ribes nigrum)、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)、ヨモギ(Artemisia princeps)及びカンペシアボク(Haematoxylon campechianum L.)からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を含有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤に関する。
【0010】
また、本発明は、ピメンタ(Pimenta officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、グアバ(Psidium guajava)、アニス(Pimpinella anisum)、オリーブ(Olea europaea)、トウシキミ(Illicium verum)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ブラックカーラント(Ribes nigrum)、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)、ヨモギ(Artemisia princeps)及びカンペシアボク(Haematoxylon campechianum L.)からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を含有する尿酸生成阻害剤に関する。
【0011】
また、本発明は、ピメンタ(Pimenta officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、グアバ(Psidium guajava)、アニス(Pimpinella anisum)、オリーブ(Olea europaea)、トウシキミ(Illicium verum)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ブラックカーラント(Ribes nigrum)、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)、ヨモギ(Artemisia princeps)及びカンペシアボク(Haematoxylon campechianum L.)からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤に関する。
【0012】
さらに、本発明は、ピメンタ(Pimenta officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、グアバ(Psidium guajava)、アニス(Pimpinella anisum)、オリーブ(Olea europaea)、トウシキミ(Illicium verum)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ブラックカーラント(Ribes nigrum)、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)、ヨモギ(Artemisia princeps)及びカンペシアボク(Haematoxylon campechianum L.)からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を含有することを特徴とする食品又は飲料に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、優れたキサンチンオキシダーゼ活性阻害効果を有する。また、本発明の尿酸生成阻害剤は、優れた尿酸生成阻害効果を有する。また、本発明の痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤は、連用しても副作用の恐れがなく、効果的で安全性が高く、優れた痛風又は高尿酸血症の改善又は予防効果を有する。さらに、本発明の食品及び飲料は、優れたキサンチンオキシダーゼ阻害効果、尿酸生成阻害効果、及び/又は痛風若しくは高尿酸血症の改善若しくは予防効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ピメンタ、グアバ及びマジョラムの抽出物をそれぞれ添加したときのキサンチンオキシダーゼ阻害率を示す図である。
【図2】トウシキミ、ヒソップ、アニス、ビルベリー、ヨモギ、ナタマメ、ブラックカーラント、カンペシアボク及びオリーブの抽出物をそれぞれ添加したときのキサンチンオキシダーゼ阻害率を示す図である。
【図3】高尿酸血症誘導モデルラットにピメンタ抽出物を経口摂取させたときの血清中の尿酸値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤及び尿酸生成阻害剤は、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及びカンペシアボクからなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を含有する。これらの抽出物は天然物由来である。また、従来から香辛料など、従来から服用されてきたものを抽出したものである。したがって、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤及び尿酸生成阻害剤は、連用しても副作用がなく、安全性の高い、痛風又は高尿酸血症の改善又は予防効果を発揮する医薬、食品及び飲料として有用である。
【0016】
本発明において、ピメンタ(Pimenta officinalis)とはオールスパイスとも呼ばれ、ジャマイカ原産で、フトモモ(Myrtaceae)科ピメント(Pimenta)属の常緑高木の果実又は葉を指す。従来、香辛料として主に用いられてきたものある。
【0017】
本発明において、マジョラム(Origanum majorana)とは、エジプト原産で、シソ(Lamiaceae)科ハナハッカ(Origanum)属の多年草の植物である。マジョラムは従来、香辛料として主に用いられてきたものある。
【0018】
本発明において、グアバ(Psidium guajava)は、メキシコから熱帯アメリカが原産で、フトモモ(Myrtaceae)科バンジロウ(Psidium)属の熱帯性の常緑低木である。
【0019】
本発明において、アニス(Pimpinella anisum)とは、セリ(Apiaceae)科ミツバグサ(Pimpinella)属の一年草の植物である。ギリシャ、エジプト等の地中海東部地域を原産とし、その果実であるアニス果(別名アニシード aniseed)は香辛料、香料として主に用いられている。
【0020】
本発明において、オリーブ(Olea europaea)とは、地中海沿岸原産で、モクセイ(Oleaceae)科オリーブ(Olea)属の常緑高木の植物である。その果実(果肉、種子)は、オリーブオイルの原料として利用される。
【0021】
本発明において、トウシキミ(Illicium verum)は、中国原産のシキミ(Illiciaceae)科シキミ(Illicium)属の常緑高木の植物である。その果実を乾燥させたものは、スターアニスと呼ばれる香辛料として主に用いられている。
【0022】
本発明において、ナタマメ(Canavalia gladiata)とは、別名、刀豆(sword bean)ともよばれ、熱帯アジア等で栽培されているマメ(Fabaceae)科ナタマメ(Canavalia)属の一年草の植物である。ナタマメは、漢方薬、健康食品、健康茶として用いられている。
【0023】
本発明において、ヒソップ(Hyssopus officinalis)は、ヨーロッパ、東南アジア原産のシソ(Lamiaceae)科ヤナギハッカ(Hyssopus)属の半常緑低木の植物である。ヒソップは主にアロマオイルとして用いられている。
【0024】
本発明において、ブラックカーラント(Ribes nigrum)はカシスとも呼ばれ、ヨーロッパ、中央アジア原産のスグリ(Grossulariaceae)科スグリ(Ribes)属の落葉低木の植物である。その果実は主に食用として用いられる。
【0025】
本発明において、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)は、Bilberryとも呼ばれ、北アメリカ原産のツツジ(Ericaceae)科スノキ(Vaccinium)属の落葉低木の植物である。ビルベリーは主に生食、加工食品等に用いられる。
【0026】
本発明において、ヨモギ(Artemisia princeps)はmugwortとも呼ばれ、日本、朝鮮半島原産のキク(Asteraceae)科ヨモギ(Artemisia)属の多年草の植物である。ヨモギは主に食用として用いられている。
【0027】
本発明において、カンペシアボク(Haematoxylon campechianum L.)とは、ログウッドともよばれ、メキシコ原産のジャケツイバラ(Caesalpiniaceae)科アカミノキ(Haematoxylon)属の常緑小高木の植物である。カンペシアボクは、蜜源、染料、色素、インク等に用いられる。
【0028】
本発明における上記植物は、その植物の全ての任意の部分が使用可能である。例えば、上記植物の全木、全草、根、根茎、幹、枝、茎、葉、樹皮、樹液、樹脂、花、果実、種子、果皮、莢、芽、花穂、心材等の任意の部分、及びそれらの組み合わせのいずれか1つ又は複数を使用することができる。
【0029】
本発明においてピメンタの抽出物を得るためには、ピメンタの果実及び/又は葉を抽出することが好ましい。
【0030】
本発明においてマジョラムの抽出物を得るためには、マジョラムの葉及び/又は地上部を抽出することが好ましい。
【0031】
本発明においてグアバの抽出物を得るためには、グアバの葉、果実及び/又は果皮を抽出することが好ましい。
【0032】
本発明においてアニスの抽出物を得るためには、アニスの果実及び/又は種子を抽出することが好ましい。
【0033】
本発明においてオリーブの抽出物を得るためには、オリーブの果実、種子及び/又は葉を抽出することが好ましく、葉を抽出することが特に好ましい。
【0034】
本発明においてトウシキミの抽出物を得るためには、トウシキミの果皮、果実及び/又は種子を抽出することが好ましい。
【0035】
本発明においてナタマメの抽出物を得るためには、ナタマメの地上部分を抽出することが好ましく、莢及び/又は種子を抽出することが特に好ましい。
【0036】
本発明においてヒソップの抽出物を得るためには、ヒソップの葉、茎、芽、花などの地上部分を抽出することが好ましく、ヒソップの葉を抽出することが特に好ましい。
【0037】
本発明においてブラックカーラントの抽出物を得るためには、ブラックカーラントの葉、果実及び/又は種子を抽出することが好ましく、ブラックカーラントの果実を抽出することが特に好ましい。
【0038】
本発明においてビルベリーの抽出物を得るためには、ビルベリーの地上部分を抽出することが好ましく、ビルベリーの葉、果実、果皮及び/又は種子を抽出することが好ましい。
【0039】
本発明においてヨモギの抽出物を得るためには、ヨモギの葉、茎、花穂など全草を含む地上部分を抽出することが好ましく、ヨモギの葉を抽出することが特に好ましい。
【0040】
本発明においてカンペシアボクの抽出物を得るためには、カンペシアボクの地上部分を抽出することが好ましい。
【0041】
本発明において用いる、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ又はカンペシアボクの抽出物の製造方法については特に限定はなく、通常の方法により上記植物を抽出することにより抽出物を得ることができる。
具体的には、上記植物を乾燥させた乾燥物、その粉砕物、それら自身を圧搾抽出することにより得られる搾汁、水、又はアルコール、エーテル及びアセトンなどの有機溶媒による粗抽出物、並びに粗抽出物を分配又はカラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで精製して得られた抽出物画分などを本発明における抽出物として用いることができる。これらは単独で用いても良く、また2種以上混合して用いても良い。本発明においては、上記植物を乾燥させた乾燥物又はその粉砕物から、水、アルコール、又はこれらの混合液を用いて得られた抽出物を用いることが好ましい。
本発明で用いられる抽出物を得るための抽出時間及び抽出温度については特に制限はない。抽出時間については、30分〜20日が好ましく、1日〜10日がより好ましい。抽出温度については、0〜100℃が好ましく、10〜70℃がより好ましい。
【0042】
上記の植物から得られた抽出物はそのままキサンチンオキシダーゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤として用いてもよい。又は、上記抽出物に、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、蒸留水、乳糖、デンプン等の適当な液体又は固体の賦形剤又は増量剤を加えてキサンチンオキシダーゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤として用いてもよい。あるいは、前記抽出物を血中尿酸値上昇抑制剤、通風又は高尿酸血症の発症可能性の低下剤等として使用することもできる。この場合、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、尿酸生成阻害剤、血中尿酸値上昇抑制剤又は通風若しくは高尿酸血症の発症可能性の低下剤中のピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ又はカンペシアボクの抽出物の量は特に制限されないが、前記抽出物が固形分濃度として0.001〜100質量%含まれるのが好ましく、0.01〜80質量%含まれるのがより好ましく、0.1〜80質量%含まれるのがさらに好ましい。
【0043】
ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及びカンペシアボクの抽出物は、キサンチンオキシダーゼ阻害活性及び尿酸生成阻害活性を有している。したがって、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及びカンペシアボクからなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物は、痛風又は高尿酸血症の予防、発症可能性の低下又は改善を目的とした医薬として使用可能である。さらに、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及びカンペシアボクからなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を含有する食品及び飲料は、キサンチンオキシダーゼ阻害効果、尿酸生成阻害効果、血中尿酸値上昇抑制効果、又は痛風若しくは高尿酸血症の改善、予防若しくは発症可能性の低下効果を有する。ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ又はカンペシアボクの抽出物がキサンチンオキシダーゼ阻害活性及び尿酸生成阻害活性を有することは、従来全く知られておらず、本発明者等により得られた新しい知見である。
【0044】
ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及びカンペシアボクからなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を有効成分として含有するキサンチンオキシターゼ阻害剤及び尿酸生成阻害剤は、そのままで本発明の飲料又は食品として用いてもよいし、飲料又は食品の添加剤又は配合剤として用いてもよい。本発明において、飲料又は食品の添加剤又は配合剤とは、香料、色素、酸化防止剤など、飲料又は食品に通常用いられる添加剤又は配合剤にピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及びカンペシアボクからなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を有効成分として含有するキサンチンオキシターゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤を混合したものをいう。
【0045】
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤をそのまま痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤とすることもできる。あるいは、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤を有効成分として含有させ、他の成分とを配合して痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤とすることもできる。
【0046】
本発明の痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤は、必要により各種添加剤を配合し、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及び/又はカンペシアボクの抽出物を適量含有させて、各種剤形の医薬として調製することができる。例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、エキス剤等の経口医薬として、又は、軟膏、眼軟膏、ローション、クリーム、貼付剤、坐剤、点眼薬、点鼻薬、注射剤といった非経口医薬として調製することができる。これらの医薬は、各種添加剤を用いて常法に従って製造すればよい。使用する添加剤には特に制限はなく、通常用いられているものを使用することができる。その例としては、デンプン、乳糖、白糖、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩等の固形担体、蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール等のアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の液体担体、各種の動植物油、白色ワセリン、パラフィン、ロウ類等の油性担体、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤等が挙げられる。
【0047】
本発明の痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤において、前記抽出物の混合比率に特に制限はなく、抽出物が固形分濃度として0.001〜100質量%混合されているのが好ましく、0.01〜80質量%混合されているのがより好ましく、0.1〜80質量%混合されているのがさらに好ましい。
【0048】
本発明の痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤の有効投与量は、患者の年齢、体重、症状、患者の程度、投与経路、投与スケジュール、製剤形態、素材の阻害活性の強さなどにより、適宜選択、決定される。例えば、経口投与の場合、一般に1日当たり0.001〜10g/kg体重が好ましく、1日数回に分けて投与してもよい。
【0049】
ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及びカンペシアボクからなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を有効成分として含有するキサンチンオキシターゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤をそのまま食品又は飲料とすることができる。さらに、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及びカンペシアボクからなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を有効成分として含有するキサンチンオキシターゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤を添加剤として含有する食品又は飲料を提供することができる。前記抽出物を含有する本発明の食品又は飲料はキサンチンオキシダーゼ阻害効果、尿酸生成阻害効果及び血中尿酸値上昇抑制効果を有し、さらには痛風及び高尿酸血症の改善、予防及び発症可能性の低下効果を有する。そのため、前記抽出物を含有する本発明の食品又は飲料は、キサンチンオキシダーゼ阻害効果、尿酸生成阻害効果、血中尿酸値上昇抑制効果又は痛風、高尿酸血症等の疾患の改善、予防若しくは発症可能性の低下効果をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した機能性飲食品、病者用飲食品、特定保健用食品に応用できる。また、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤及び尿酸生成阻害剤は前述した機能性飲食品、病者用飲食品、特定保健用食品の製造の為に使用することができる。
【0050】
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤を有効成分として含有する食品は、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及び/又はカンペシアボクの抽出物を有効成分として含有するキサンチンオキシターゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤に適当な助剤を添加した後、通常の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して提供することができる。また、本発明の食品は、飴、トローチ、ガム、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、ゼリー、水ようかん等に対して、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及び/又はカンペシアボクの抽出物を有効成分として含有するキサンチンオキシターゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤を適量含有させて提供することができる。これらの食品は、必要により各種添加剤を配合し、常法に従って提供することができる。
【0051】
本発明の飲料は、アルコール飲料、コーヒー飲料、ジュース、果汁飲料、炭酸飲料、清涼飲料水、牛乳、乳清飲料、乳酸菌飲料等に対して、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及び/又はカンペシアボクの抽出物を有効成分として含有するキサンチンオキシターゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤を適量含有させて提供することができる。これらの飲料は、必要により各種添加剤を配合し、常法に従って得ることができる。
【0052】
これらのキサンチンオキシダーゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤を有効成分として含有する食品又は飲料は、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェノール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルアラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等、通常の食品又は飲料の原料として使用されている添加剤を適宜配合して、常法に従って製造することができる。
【0053】
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤を有効成分として含有する食品又は飲料において、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ又はカンペシアボクの抽出物の混合比率に特に制限はなく、抽出物が固形分濃度として0.001〜100質量%混合されているのが好ましく、0.01〜80質量%混合されているのがより好ましく、0.01〜80質量%混合されているのがさらに好ましい。
【0054】
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤又は尿酸生成阻害剤を有効成分として含有する食品、飲料又は医薬を調製する際、他のキサンチンオキシダーゼ阻害作用又は尿酸生成阻害作用を奏する抽出物(例えば、ローズマリー、ペパーミントなどの抽出物(特開2003−252776参照))を併せて用いることができる。この場合、本発明における抽出物と他の抽出物との配合割合に特に制限はないが、抽出物(エキス成分)の固形分として質量割合で通常約1:9〜9:1である。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
1.各種抽出物の調製
(1)ピメンタ抽出物の調製
ピメンタの果実部位(栃本天海堂より入手)10gに50体積%のエタノール水溶液100mLを加え、室温、静置条件下で7日間抽出を行った。その後、ろ過を行うことにより抽出物を得た。抽出物の固形分濃度は1.33%(w/v)であった。
【0057】
(2)グアバ抽出物の調製
グアバの葉のエキス末(松浦薬業より入手)を20体積%のエタノール水溶液に1%(w/v)の濃度で溶解し、抽出物を得た。
【0058】
(3)マジョラム抽出物の調製
マジョラムの地上部(葉を含む)(栃本天海堂より入手)10gに50体積%のエタノール水溶液100mLを加え、室温、静置条件下で7日間抽出を行った。その後、ろ過を行うことにより抽出物を得た。抽出物の固形分濃度は2.22%(w/v)であった。
【0059】
(4)アニス抽出物の調製
アニスの種子(栃本天海堂より入手)10gに50体積%エタノール水溶液100mlを加え、室温、静置条件下で7日間抽出を行った。その後、ろ過を行うことにより抽出液を得た。抽出液の固形分濃度は1.12%(w/v)であった。抽出液は、50体積%エタノール水溶液を用い、固形分濃度が1.00%(w/v)となるように希釈した。
【0060】
(5)オリーブ抽出物の調製
オリーブの葉をエタノールで抽出して調製したオリーブエキスパウダー(日本粉末薬品より入手)を40体積%エタノール水溶液に溶解し、固形分濃度が1.00%(w/v)となるようにオリーブ抽出物を調製した。
【0061】
(6)トウシキミ抽出物の調製
トウシキミの果実(スターアニス、栃本天海堂より入手)10gに50体積%エタノール水溶液100mlを加え、室温、静置条件下で7日間抽出を行った。その後、ろ過を行うことにより抽出液を得た。抽出液の固形分濃度は2.51%(w/v)であった。抽出液は、50体積%エタノール水溶液を用い、固形分濃度が1.00%(w/v)となるように希釈した。
【0062】
(7)ナタマメ抽出物の調製
ナタマメ(新和物産より入手)10gに熱水100mLを加え、70℃で7時間抽出した。その後、ろ過し、抽出液を得た。抽出液は、99.5体積%エタノールを加え、10体積%エタノール水溶液とした。本抽出液の固形分濃度は0.76%(w/v)であった。
【0063】
(8)ヒソップ抽出物の調製
ヒソップの地上部(栃本天海堂より入手)10gに50体積%エタノール水溶液100mlを加え、室温、静置条件下で7日間抽出を行った。その後、ろ過を行うことにより抽出液を得た。抽出液の固形分濃度は1.76%(w/v)であった。抽出液は、50体積%エタノール水溶液を用い、固形分濃度が1.00%(w/v)となるように希釈した。
【0064】
(9)ブラックカーラント抽出物の調製
北欧産のブラックカーラントの果実を原料とし調製したブラックカーラントエキス粉末(研光通商より入手)を50体積%エタノール水溶液に溶解し、固形分濃度が1.00%(w/v)となるようにブラックカーラント抽出物を調製した。
【0065】
(10)ビルベリー抽出物の調製
ビルベリーエキス粉末(研光通商より入手)を50体積%エタノール水溶液に溶解し、固形分濃度が1.00%(w/v)となるようにビルベリー抽出物を調製した。
【0066】
(11)ヨモギ抽出物の調製
ヨモギの乾燥葉を熱水で抽出して調製したヨモギ乾燥エキスF(丸善製薬より入手)を20体積%エタノール水溶液に溶解し、固形分濃度が1.00%(w/v)となるようにヨモギ抽出物を調製した。
【0067】
(12)カンペシアボク抽出物の調製
カンペシアボクのエキスであるログウッドエキス(商品名:ヘマテイン、一丸ファルコスより入手)を20体積%エタノール水溶液に溶解し、固形分濃度が1.00%(w/v)となるようにカンペシアボク抽出物を調製した。
【0068】
2.キサンチンオキシダーゼ阻害効果及び尿酸生成阻害効果の評価
ヒポキサンチン(和光純薬工業製、濃度:100μM/L)及びキサンチンオキシダーゼ(バターミルク由来;和光純薬工業製、濃度:0.01unit/mL)をリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.6、反応液中濃度:25mM/L)に溶解し、試料溶液を調製した。この試料溶液に、前記製造例で調製した各種抽出物を濃度が1体積%、0.1体積%又は0.01体積%となるように添加し、各成分を反応させた。室温で反応液を30分間反応させた後、0.3mol/Lの過塩素酸を反応液に対して半分量を加えることで反応を停止させた。
反応停止後、0.2mol/Lの燐酸二水素ナトリウムを上記反応液に対して半分量を加え、HPLC用試料とした。得られたHPLC用試料中に含まれる尿酸量を、HPLCシステム(島津製作所製)を用い測定した。HPLCシステムの概要は下記に記す。
【0069】
(HPLCシステム概要)
システムコントローラー:SCL−10A(商品名、島津製作所製)
カラムオーブン:CTO−10A(商品名、島津製作所製)
ポンプ:LC−10AD(商品名、島津製作所製)
オートサンプラー:SIL−10A(商品名、島津製作所製)
ディテクター:SPD−10A(商品名、島津製作所製)
【0070】
上記HPLC用試料50μLをカラム(商品名、inertsilODS−3(粒子径5μm、内径4.6mm、長さ250mm、ジーエルサイエンス製))に注入し、カラム温度摂氏40度下で、溶離液(5%メタノール、60mM燐酸、14mM燐酸水素二ナトリウム(pH2.2))を用い、流速1.0mL/minで溶離した。265nmの吸光度を測定することで生成した尿酸量の測定を行った。
対照実験として、前記抽出物を含まない反応液についても同様に、生成した尿酸量をHPLCにて測定した。
【0071】
各種抽出物を添加したときのキサンチンオキシダーゼ阻害活性(尿酸生成阻害活性)は、次式に従い算出した。
キサンチンオキシダーゼ阻害活性(キサンチンオキシダーゼ阻害率)(%)={(B−A)/B}×100
ここで、Aは前記抽出物を添加したときの尿酸の生成量を示し、Bは前記抽出物を添加しなかったときの尿酸の生成量をしめす。
結果を表1及び図1〜2に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
表1及び図1〜2からも明らかなように、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及びカンペシアボクの抽出液はそれぞれキサンチンオキシダーゼ阻害活性及び尿酸生成阻害活性を有することがわかる。なお、上記抽出物と酵素(キサンチンオキシダーゼ)を含まない反応液では、尿酸が生成されないことを別途確認した。
したがって、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤及び尿酸生成阻害剤は、ぞれぞれ、優れたキサンチンオキシダーゼ活性阻害効果及び尿酸生成阻害効果を有する。
【0074】
3.高尿酸血症予防効果の評価
雄性SD系ラット(6週齢;日本チャールズリバー(株)製)を室温23±2℃、湿度55±10%、12時間の明暗サイクル(明期;AM7:00〜PM7:00)下で、ステンレス製ブラケット飼育ケージを用い飼育した。なお、飼育期間中ラットには、実験動物用固形飼料(CE−2固形食、日本クレア(株)製)、水道水を自動給水装置で、いずれも自由摂取させた。
ラットの高尿酸血症の発症は、Komoriya K.ら、「Eur J Pharmacol」、1993年、第241巻、第3号、p.183〜188に記載の高尿酸血症誘導剤であるオキソン酸を用いる方法を一部改変して行った。即ち、ラットを、各群で体重が平均化する様に3群に分け、1群5匹でオキソン酸投与無群、オキソン酸投与対照群、オキソン酸・ピメンタ抽出物投与群に分けた。
【0075】
ラットは、12時間の絶食を行った後、麻酔下において、頸静脈から200μLの採血を行った。この1時間後に、オキソン酸投与無群には0.5w/v%メチルセルロース溶液(400cP、滅菌済、和光純薬工業(株)製)を5mL/kg体重の量で経口投与し、オキソン酸投与無群以外の群には0.5w/v%メチルセルロース溶液に500mg/5mLの濃度に溶解したオキソン酸カリウム(Sigma Aldrich Chemie Gmbh製)を5mL/kg体重の量で経口投与した。オキソン酸投与1時間後に、オキソン酸・ピメンタ抽出物投与群には0.5w/v%メチルセルロース溶液に4g/20mLの濃度に溶解したピメンタ抽出物の凍結乾燥物を20mL/kg体重の量で経口投与し、それ以外の群には0.5w/v%メチルセルロース溶液を20mL/kg体重の量で経口投与した。この投与から1、2、3、6時間後に、麻酔下において頸静脈から200μLの採血を行った。得られた血液は、キャピジェクト微量採血管(商品名、テルモ(株)製)に移し、3500×gで5分間遠心することで、血清を分離し、血清中尿酸量測定試料とした。
この血清中尿酸量測定試料20μLに、0.3mol/Lの過塩素酸を200μL加え、氷上で30分間放置後、20000×gで20分間遠心し、得られた上清100μLに、0.2mol/Lの燐酸二水素ナトリウムを100μL加え、HPLC用試料とした。得られたHPLC用試料中に含まれる尿酸量を、HPLCシステム(島津製作所製)を用い測定した。HPLCシステムの概要は下記に記す。
【0076】
(HPLCシステム概要)
システムコントローラー:SCL−10A(商品名、島津製作所製)
カラムオーブン:CTO−10A(商品名、島津製作所製)
ポンプ:LC−10AD(商品名、島津製作所製)
オートサンプラー:SIL−10A(商品名、島津製作所製)
ディテクター:SPD−10A(商品名、島津製作所製)
【0077】
上記HPLC用試料50μLをカラム(inertsil ODS−3(商品名)(粒子径5μm、内径4.6mm、長さ250mm、ジーエルサイエンス製))に注入し、カラム温度摂氏40度下で、溶離液(5%メタノール、60mM燐酸、14mM燐酸水素二ナトリウム(pH2.2))を用い、流速0.5mL/minで溶離した。284nmの吸光度を測定することで血清中尿酸量の測定を行った。
その結果を図3に示す。
【0078】
図3からも明らかなように、高尿酸血症誘導剤であるオキソン酸カリウムを投与することにより血清中尿酸値は増加するが、ピメンタの抽出物を投与することで高尿酸血症誘導時の血清中尿酸値の増加が抑制されることがわかる。
【0079】
以上の結果から、ピメンタ、マジョラム、グアバ、アニス、オリーブ、トウシキミ、ナタマメ)、ヒソップ、ブラックカーラント、ビルベリー、ヨモギ及びカンペシアボクの抽出物は、キサンチンオキシダーゼ阻害効果、尿酸生成阻害効果、血中尿酸値上昇抑制効果及び痛風又は高尿酸血症の改善、予防又は発症可能性の低下効果を有する。したがって、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤、尿酸生成阻害剤、及び痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤は、キサンチンオキシダーゼによるプリン化合物の代謝異常によって引き起こされる痛風又は高尿酸血症の改善又は予防に好適である。
【0080】
4.本発明の痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤の製造
本発明の痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤について、下記の組成の軟カプセル剤皮の中に大豆油400mgとピメンタのエタノール抽出物100mgを常法により充填し、軟カプセル剤を製造した。
(組成) (配合:質量%)
ゼラチン 70.0
グリセリン 22.9
パラオキシ安息香酸メチル 0.15
パラオキシ安息香酸プロピル 0.51
水 6.44
【0081】
5.本発明の飲料の製造
本発明の飲料について、ピメンタのエタノール抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成の飲料を製造した。
(組成) (配合:質量%)
脱脂粉乳 3.5
ミルクカゼイン酵素分解物 3.5
フラクトース 9.0
ピメンタのエタノール抽出物 0.5
クエン酸 0.1
アスコルビン酸 0.1
香料 0.1
水 83.2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピメンタ(Pimenta officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、グアバ(Psidium guajava)、アニス(Pimpinella anisum)、オリーブ(Olea europaea)、トウシキミ(Illicium verum)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ブラックカーラント(Ribes nigrum)、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)、ヨモギ(Artemisia princeps)及びカンペシアボク(Haematoxylon campechianum L.)からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を含有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
【請求項2】
ピメンタ(Pimenta officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、グアバ(Psidium guajava)、アニス(Pimpinella anisum)、オリーブ(Olea europaea)、トウシキミ(Illicium verum)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ブラックカーラント(Ribes nigrum)、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)、ヨモギ(Artemisia princeps)及びカンペシアボク(Haematoxylon campechianum L.)からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を含有する尿酸生成阻害剤。
【請求項3】
ピメンタ(Pimenta officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、グアバ(Psidium guajava)、アニス(Pimpinella anisum)、オリーブ(Olea europaea)、トウシキミ(Illicium verum)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ブラックカーラント(Ribes nigrum)、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)、ヨモギ(Artemisia princeps)及びカンペシアボク(Haematoxylon campechianum L.)からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を有効成分として含有する痛風又は高尿酸血症の改善又は予防剤。
【請求項4】
ピメンタ(Pimenta officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、グアバ(Psidium guajava)、アニス(Pimpinella anisum)、オリーブ(Olea europaea)、トウシキミ(Illicium verum)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、ヒソップ(Hyssopus officinalis)、ブラックカーラント(Ribes nigrum)、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)、ヨモギ(Artemisia princeps)及びカンペシアボク(Haematoxylon campechianum L.)からなる群より選ばれる少なくとも1つの抽出物を含有する食品又は飲料。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−37335(P2010−37335A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161146(P2009−161146)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】