説明

キズ防止用治具

【課題】搬送効率及び切断効率を向上させ、押出材2の搬送時に確実に接触キズから保護するキズ防止用治具およびキズ防止方法を提供する。
【解決手段】キズ防止用治具1は、複数の押出材2の並列状態での移送に用い、並列する前記押出材2の間に配置される複数の接触防止板11と、隣接する前記接触防止板11同士を前記押出材2の上方で連結する連結部12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送時に押出材に生じるキズを防止するためのキズ防止用治具およびキズ防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
押出材を製造する押出設備は、一般に押出機と押出後面設備を備えている。押出材は押出機から押出されて、押出方向に搬送する押出後面設備に備えた搬送テーブルを介して押出後面設備の下流側に搬送され、切断機によって切断される(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−7929号公報
【特許文献2】特開2010−23079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同時に複数の押出材を製造する場合に、搬送テーブル上で搬送される押出材同士が接触すると押出材にキズが生じてしまう。また、押出材同士が接触しないように、各押出材との間に常に十分な間隔を保持して搬送するようにすると、押出材の搬送効率及び下流側に設けた切断機による押出材の切断効率が低下してしまう。
【0005】
さらに、十分な間隔で押出材を搬送している場合であっても、円管状や円柱状の押出材であれば転がり易いため、特に押出材同士の接触が生じやすい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した技術背景に鑑み、搬送効率及び切断効率を向上させ、押出材の搬送時に確実に接触キズから保護するキズ防止用治具およびキズ防止方法の提供を目的とする。
【0007】
即ち、本発明は下記[1]〜[9]に記載の構成を有する。
【0008】
[1] 複数の押出材の並列状態での移送に用いるキズ防止用治具であって、
並列する前記押出材の間に配置される複数の接触防止板と、
隣接する前記接触防止板同士を前記押出材の上方で連結する連結部と、
を備えることを特徴とするキズ防止用治具。
【0009】
[2] 前記連結部は、可撓性を有し、前記押出材の幅寸法と等しい或いは略等しい間隔で前記接触防止板を連結することを特徴とする前項1記載のキズ防止用治具。
【0010】
[3] 3つ以上の前記接触防止板を備えることを特徴とする前項1または2記載のキズ防止用治具。
【0011】
[4] 前記接触防止板の高さは、前記押出材の高さ寸法の半分以上に設定されることを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載のキズ防止用治具。
【0012】
[5] 前記接触防止板の高さは、前記押出材の高さ寸法より低いことを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載のキズ防止用治具。
【0013】
[6] 前記接触防止板同士は、少なくとも2本の帯状の連結部によって、前記接触防止板上面の前方および後方のそれぞれで連結されることを特徴とする前項1〜5のいずれかに記載のキズ防止用治具。
【0014】
[7] 複数の押出材の並列状態での移送に用いるキズ防止方法であって、
並列する前記押出材の間に、前記押出材の上方で連結部によって連結された接触防止板を配置することを特徴とするキズ防止方法。
【0015】
[8] 押出機から押し出された複数の押出材が並列状態で移送される押出設備において用いる押出方法であって、
並列する前記押出材の間に配置される複数の接触防止板と、前記押出材の上方で前記接触防止板を連結する連結部と、を備えるキズ防止用治具によって、前記押出材が保護された状態で、前記押出機から押し出された前記押出材を搬送することを特徴とする押出方法。
【0016】
[9] 押出機から押し出されて並列状態で移送される複数の押出材を切断する押出材の切断方法であって、
前記押出材の長さ寸法より短く設定され、並列する前記押出材の間に配置される複数の接触防止板と、前記押出材の上方で前記接触防止板を連結する連結部とを備えた複数のキズ防止用治具が前記押出材の押出し方向に対して離間して配置され、前記キズ防止用治具によって並列する前記押出材が保護された状態で、前記押出材が前記キズ防止用治具間で切断されることを特徴とする押出材の切断方法。
【発明の効果】
【0017】
上記[1]に記載された発明によれば、複数の接触防止板が押出材の間に配置されることで押出材同士が接触することを防ぎ、接触によるキズのない押出材を製造できるようになる。
【0018】
上記[2]に記載された発明によれば、可撓性を有し、押出材の幅に合わせて設けられる連結部の形状が押出材上部に適合することで、接触防止板が密着するようにして押出材との間に配置されるので、搬送により押出材が転がることで押出材同士が接触することを防ぎ、接触キズのない押出材をより確実に製造できるようになる。
【0019】
上記[3]に記載された発明によれば、接触防止板が押出材の左右両外側に配置されるので、並列する複数の押出材を整列させることができる。また、搬送時に外側に配置された押出材が外側に逃げることがなく、効率的に搬送及び切断することができるようになる。
【0020】
上記[4]に記載された発明によれば、押出材の高さ寸法の半分以上の高さの接触防止板で構成されるため、円管状や円柱状の押出材の最大幅位置に接触防止板が確実に配置され、押出材同士の接触を確実に防ぐことができるようになる。また、接触防止板が確実に押出材の最大幅位置に配置されるように連結部の長さを調節する必要がなく、連結部の長さを必要最低限の長さに設定することができるようになり、押出材への装着が容易になる。
【0021】
上記[5]に記載された発明によれば、接触防止板の高さが押出材の高さ寸法より低く設定されるので、接触防止板の底部などが搬送テーブルに接触して押出材の移送に影響するようなことがない。搬送テーブルに備えた各搬送ローラの間隔が接触防止板の幅寸法より広く設定されている場合であっても、接触防止板が搬送ローラ間に嵌ることなく押出材を移送させることができ、搬送テーブルの設計に自由度を持たせることもできる。また、押出材同士の接触を確実に防ぐとともに、接触防止板のコストを低減することができるようになる。
【0022】
上記[6]に記載の発明によれば、押出材同士の接触を確実に防ぐとともに、連結部のコストをより低減することができるようになる。
【0023】
上記[7]に記載された発明によれば、複数の接触防止板が押出材の間に配置されることで押出材同士の接触を防ぎ、接触によるキズのない押出材を製造できるようになる。
【0024】
上記[8]に記載された発明によれば、複数の接触防止板が押出材の間に配置されることで押出材同士の接触を防ぎ、接触によるキズのない押出材を製造できるようになる。
【0025】
上記[9]に記載された発明によれば、キズ防止用治具で保護したまま押出材の切断処理を行い、キズ防止用治具を押出材に装着したままの状態で下流側へ移送することができるので、より確実に押出材を接触キズから保護することができ、かつ効率的に作業を進めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るキズ防止用治具の全体図である。
【図2】図1に係るキズ防止用治具の押出材への装着を説明する説明図である。
【図3】図1に係るキズ防止用治具を押出材に装着時の断面図および平面図である。
【図4】図1に係るキズ防止用治具を用いた押出設備における押出材のキズ防止方法を説明する説明図である。
【図5】図1に係るキズ防止用治具を用いた押出設備における押出材のキズ防止方法を説明する説明図である。
【図6】図1に係るキズ防止用治具を用いた押出設備における押出材のキズ防止方法を説明する説明図である。
【図7】図1に係るキズ防止用治具を用いた押出設備における押出材のキズ防止方法を説明する説明図である。
【図8】本発明の別実施形態に係るキズ防止用治具の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜3は、本発明のキズ防止用治具1に係る一実施形態を説明する図である。図4〜7は、キズ防止用治具1を用いた押出設備3におけるキズ防止方法を説明する図である。図8では、キズ防止用治具1の別実施形態について説明する図である。
【0028】
図4〜7に示す押出設備3は、複数の押出材2が製造及び上流側から下流側へ移送される、例えば、押出機31から押し出されてきた押出材2を順次、搬送、冷却、矯正及び切断するように構成されている。
【0029】
押出機31から押し出される押出材2は金属製であり、以降では、押出設備3において、例えば、アルミニウム(アルミニウム合金を含む。)製の円管状や円柱状の押出材2が製造される場合について説明する。尚、押出材2の形状及び材質については、上記に限定されるものではない。
【0030】
(押出設備について)
押出設備3は、押出機31と、複数の押出材2が並列状態で下流側へ移送される押出後面設備32〜39とを備え、押出後面設備32〜39には押出材2を押出機31から押出し方向に搬送する第1搬送テーブル321と、押出材2を牽引する牽引部材であるプラー39などを備えている。第1搬送テーブル321は、押出機31の押出方向下流側で押出材2の押出方向に真直ぐに延びて配置されたものであり、押出材2の押出方向に順次並んで配置されたイニシャルテーブル30及びランナウトテーブル32を備えている。
【0031】
押出機31から押出されてくる押出材2は、第1搬送テーブル321のイニシャルテーブル30及びランナウトテーブル32の上で順次搬送される。第1搬送テーブル321のイニシャルテーブル30及びランナウトテーブル32は、それぞれ第1搬送テーブル321の搬送方向C(押出材2の押出方向)に並んだ複数個の搬送ローラによって構成される。当該搬送ローラは、回転自在或いは押出材2の押出速度と同調して回転駆動される。
【0032】
押出機31から押出されてきた押出材2は、当該押出材2の先端を第1搬送テーブル321に沿って移動可能に構成されたプラー39で牽引され、押出機31近傍に備えた切断刃を有する切断手段で切断されるように構成されている。
【0033】
イニシャルテーブル30には、押出機31から押出されてきた押出材2を初期冷却する冷却機301が配置され、第1搬送テーブル321には、押出材2を冷却する複数個の冷却ファンが搬送方向Cに並んで配置されている。
【0034】
ランナウトテーブル32に並列して、クーリングテーブル33、移載テーブル35及びソーチャージテーブル36が順次配置されている。第1搬送テーブル321に搬送された押出材2は、クーリングテーブル33からソーチャージテーブル36まで順次移載されるように構成されている。
【0035】
クーリングテーブル33は、押出材2を強制冷却する際に、押出材2が載置されるものである。クーリングテーブル33としての第2搬送テーブル331及び第3搬送テーブル332は、例えば、クーリングテーブル33の長さ方向に並ぶ複数のベルトコンベアでそれぞれ構成されている。また、例えば、第2搬送テーブル331及び第3搬送テーブル332には、押出材2を冷却する複数個の冷却ファンがクーリングテーブル33の長さ方向に並んで配置されている。
【0036】
移載テーブル35は、強制冷却された後に矯正された押出材2が載置されるものである。移載テーブル35には、第4搬送テーブル351、押出材2を真直ぐに矯正するための引張矯正機34、第5搬送テーブル352が配置されている。
【0037】
第4搬送テーブル351及び第5搬送テーブル352は、搬送方向Cに並ぶ複数のベルトコンベアでそれぞれ構成され、第3搬送テーブル332から第4搬送テーブル351へ押出材2が移載される。第4搬送テーブル351に移載された押出材2は、引張矯正機34で引っ張り矯正された後に、第5搬送テーブル352に移載される。
【0038】
ソーチャージテーブル36は、引っ張り矯正された押出材2を切断機37に送るためのものである。ソーチャージテーブル36には、第6搬送テーブル361、押出材2を切断する切断機37が配置されている。
【0039】
ソーチャージテーブル36は、当該テーブルの長さ方向に並ぶとともに、切断機37に送るための複数個の搬送ローラによって構成される。切断機37は、剪断機、鋸断機等が用いられる。
【0040】
切断機37の下流側には、切断機37によって切断された押出材2を移載するための積込テーブル38が配置される。最も下流側に配置された積込テーブル38には、第7搬送テーブル381及び当該第7搬送テーブル381に並列した第8搬送テーブル382が配置されている。
【0041】
図示するように、第8搬送テーブル382は、移載テーブル35側で第7搬送テーブル381に並列するように構成されることが好ましいが、この構成に限定するものではない。
【0042】
第7搬送テーブル381は、ソーチャージテーブル36の第6搬送テーブル361の搬送方向Cに並んだ複数個の搬送ローラによって構成される。第7搬送テーブル381は、回転自在或いはソーチャージテーブル36の搬送速度と同調して回転駆動される。第8搬送テーブル382は、積込テーブル38の長さ方向に並ぶベルトコンベアで構成され、第7搬送テーブル381から押出材2が移載される。
【0043】
尚、イニシャルテーブル30の左右両側、ランナウトテーブル32の左右両側のうちのクーリングテーブル33側と反対側、及びソーチャージテーブル36の左右両側のうちの移載テーブル35側と反対側には、各テーブル上の押出材2の搬送を案内するための案内部材が配置されているのであってもよい。また、ソーチャージテーブル36の第6搬送テーブル361及び積込テーブル38の第7搬送テーブル381は、同一のテーブルで構成されているのであってもよい。
【0044】
移載テーブル35で強制冷却された押出材2は、一時的に複数同時に載置された後、それぞれソーチャージテーブル36に移載される。ソーチャージテーブル36に移載された各押出材2は、複数同時に切断機37に搬送されて切断処理がなされた後、押出後面設備32〜39の図示するうち最も下流側に位置する積込テーブル38に送られる。
【0045】
このような場合に、本発明のキズ防止用治具1を用いて、例えば、搬送時に、ソーチャージテーブル36上で並列する円管状や円柱状の押出材2同士が接触して傷つくことを防止する。
【0046】
(キズ防止用治具)
図1〜3に示すように、キズ防止用治具1は、複数の接触防止板11と、連結部12を備え、押出設備3において用いられている。
【0047】
接触防止板11は、押出材2で挟み込まれるように、並列する前記押出材2の間に配置される。連結部12は、隣接する前記接触防止板11同士を前記押出材2の上方で連結する。
【0048】
図1に示すように、例えば、5枚の平行する接触防止板11が、2本の帯状に形成された連結部12によって、隣接する接触防止板11上面の前方および後方のそれぞれで連結されている。このような構成により、押出材2同士の接触を確実に防ぐとともに、連結部12のコストをより低減することができるようになる。
【0049】
図1〜3によれば、接触防止板11は、接触防止板11上面側で連結部12により連結されているが、接触防止板11の側面側で連結部12により連結されているのであってもよい。
【0050】
接触防止板11は、例えば、MCナイロンなどの合成樹脂や、カーボン板或いはカーボン紙などのカーボン素材など、押出材2と接触してもキズが比較的付き難い素材を採用する。連結部12は、例えば、布などの可撓性を有する材料で形成される。また、連結部12は、押出材2の幅寸法と等しい或いは略等しい間隔で接触防止板11を連結するように構成されている。
【0051】
このように、接触防止板11は押出材2の幅寸法と同等或いは略同等に配置されることになるので、キズ防止用治具1装着時の各押出材2の配置間隔は、接触防止板11の厚みと同等或いは略同等に設定されることになる。
【0052】
キズ防止用治具1は、押出材2で挟み込むようにして接触防止板11を押出材2間に配置し、連結する接触防止板11間で撓んでいた連結部12が接触防止板11の自重で押出材2上方に覆い被さるようにして押出材2に装着される。
【0053】
キズ防止用治具1は、3つ以上の前記接触防止板11を備えることが好ましい。3つ以上の接触防止板11を備えることで、並列する押出材2の左右両外側に配置される各押出材2についてもキズ防止用治具1で保護するのである。押出材2の左右両外側に配置された接触防止板11によって、並列する複数の押出材2を整列させることができので、搬送時に外側に配置された押出材2が外側に逃げることがなく、効率的に搬送することができるようになる。
【0054】
尚、キズ防止用治具1の押出材2への装着は、装置を介するのであってもよいし、人為的に装着されるのであっても良い。
【0055】
接触防止板11の高さは、前記押出材2の高さ寸法の半分以上に設定されることが好ましい。押出材2の高さ寸法の半分以上の高さの接触防止板11で構成されることで、接触防止板11が円管状や円柱状の押出材2の最大幅位置に接触防止板11が確実に配置され、押出材2同士の接触を確実に防ぐことができるようになる。また、接触防止板11が確実に押出材2の最大幅位置に配置されるように連結部12の長さを調節する必要がなく、連結部12の長さを必要最低限の長さに設定することができるようになり、押出材2への装着が容易になる。
【0056】
また、接触防止板11の高さは、前記押出材2の高さ寸法と略同等或いは高さ寸法より低いことが望ましく、前記押出材2の高さ寸法より低いことがより望ましい。この構成によれば、接触防止板11の高さが押出材2の高さ寸法より低く設定されるので、接触防止板11の底部などが搬送テーブルに接触して押出材2の移送に影響するようなことがない。搬送テーブルに備える各搬送ローラの間隔が接触防止板11の幅寸法より広く設定されている場合であっても、接触防止板11が搬送ローラ間に嵌ることなく押出材2を移送させることができ、搬送テーブルの設計に自由度を持たせることもできる。また、押出材2同士の接触を確実に防ぐとともに、接触防止板11のコストを低減することができる。
【0057】
(キズ防止方法)
図4〜7に示すように、押出後面設備で搬送される押出材2は、ソーチャージテーブル36上に並列して載置された後に、複数の押出材2が同時に切断機37で切断される。搬送方向Cに長く形成された押出材2は、切断機37まで搬送されて所定長さに切断されるのである。
【0058】
接触防止板11は、複数の押出材2間で挟み込まれるようにして配置される。接触防止板11の長さは、前記押出材2の長さより短く設定され、押出材2の間で複数に離間して配置されている。
【0059】
ソーチャージテーブル36に所定数の押出材2が並列すると、キズ防止用治具1が装着される。押出材2は、複数に配置された前記接触防止板11間で切断されるように構成されている。
【0060】
図5に示すように、例えば、押出材2を長さLで切断する場合に、切断長さL内において長さ方向に離間した状態でキズ防止用治具1を配置する。押出材2の長さLの切断後の各両端部側にキズ防止用治具1を予め配置しておけば、切断処理などの際に押出材2が移動してしまうなどの問題が生じることなく、積込テーブル38へ押出材2を搬送することができる。
【0061】
このように、押出材2を接触防止板11で保護したまま切断処理を行い、そのままの状態で積込テーブル38に押出材2を搬送することができるので、より確実に押出材2同士の接触による接触キズから保護することができ、かつ効率的に作業を進めることができるようになる。
【0062】
また、このようにして押出材2が切断されるので、搬送時に外側に配置された押出材2が外側に逃げることなく全ての押出材2を整列させることができるので、切断機37を通過して処理される際にも、押出材2が並列する幅を最小幅に設定することができる。
【0063】
上述したように、本発明のキズ防止方法によれば、押出材2同士の接触を防ぐとともに、押出材2の並列する幅を最小限に抑えることで下流側に備えた切断機37での切断効率が向上するようになる。
【0064】
こうして切断機37で切断された押出材2は、キズ防止用治具1を装着したままの状態で第8搬送テーブル382に移載されて、積込テーブル38近傍の作業員によってキズ防止用治具1が取り外される。
【0065】
このように、押出材2にキズ防止治具1を装着したソーチャージテーブル36から積込テーブル38まで搬送する間は、確実に押出材2を接触キズから保護することができるようになるのである。
【0066】
上述したキズ防止用治具を用いることによって、複数の押出材2の並列状態での移送において、並列する前記押出材2の間に、前記押出材2の上方で連結部12によって連結された接触防止板11を配置するキズ防止方法が行われる。
【0067】
また、上述したキズ防止用治具1を用いることにより、押出機31から押し出された複数の押出材2が並列状態で移送される押出設備3において、並列する前記押出材2の間に配置される複数の接触防止板11と、前記押出材2の上方で前記接触防止板11を連結する連結部12と、を備えるキズ防止用治具1によって前記押出材2が保護された状態で、前記押出機31から押し出された前記押出材2を搬送する押出方法が行われる。
【0068】
キズ防止方法及び押出方法によって、複数の接触防止板11が押出材2の間に配置されることで押出材2同士の接触を防ぎ、接触によるキズのない押出材2を製造できるようになる。
【0069】
さらに、上述したキズ防止用治具1を用いることにより、前記押出材2の長さ寸法より短く設定され、並列する前記押出材2の間に配置される複数の接触防止板11と、前記押出材2の上方で前記接触防止板11を連結する連結部12とを備えた複数のキズ防止用治具1が前記押出材2の押出し方向に対して離間して配置され、前記キズ防止用治具1によって並列する前記押出材2が保護された状態で、前記押出材2が前記キズ防止用治具1間で切断される押出材2の切断方法が行われる。これにより、キズ防止用治具1で保護したまま押出材2の切断処理を行い、キズ防止用治具1を押出材2に装着したままの状態で下流側へ移送することができるので、より確実に押出材2を接触キズから保護することができ、かつ効率的に作業を進めることができるようになる。
【0070】
上述の説明では、押出機31から押し出された複数の押出材2が並列状態で下流側へ移送される押出設備3及び押出後面設備において、キズ防止治具によって保護された押出材を搬送ローラ上で下流側へ搬送するように説明したが、押出材を移送或いは搬送する場面においてキズ防止治具を用いることができる。例えば、押出材2がベルトコンベア上で移送或いは搬送される場合にキズ防止治具を用いて押出材2を接触キズから保護するのであってもよい。
【0071】
以上説明したように、少なくとも2本の帯状の連結部12によって、接触防止板11上面の前方および後方のそれぞれで連結される構成が好ましいが、一つの連結部12によって接触防止板11が連結されて構成されるのであってもよい。
【0072】
例えば、図8(a)に示すように、隣接する接触防止板11の上面側同士が幅広の1本の帯状の連結部12によって連結されるのであってもよい。
【0073】
また、少なくとも3つ以上の前記接触防止板11を備えることが好ましいが、図8(b)に示すように、並列する押出材2の最も外側に配置された押出材2の外側に接触防止板11を配置しないように構成するのであってもよい。
【0074】
このように、図8(a),(b)に示すように構成することでも押出材2同士の接触キズを防止することができる。
【0075】
以上説明した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において具体的構成などを適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0076】
1…キズ防止用治具
2…押出材
3…押出設備
11…接触防止板
12…連結部
32〜39…押出後面設備


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の押出材の並列状態での移送に用いるキズ防止用治具であって、
並列する前記押出材の間に配置される複数の接触防止板と、
隣接する前記接触防止板同士を前記押出材の上方で連結する連結部と、
を備えることを特徴とするキズ防止用治具。
【請求項2】
前記連結部は、可撓性を有し、前記押出材の幅寸法と等しい或いは略等しい間隔で前記接触防止板を連結することを特徴とする請求項1記載のキズ防止用治具。
【請求項3】
3つ以上の前記接触防止板を備えることを特徴とする請求項1または2記載のキズ防止用治具。
【請求項4】
前記接触防止板の高さは、前記押出材の高さ寸法の半分以上に設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のキズ防止用治具。
【請求項5】
前記接触防止板の高さは、前記押出材の高さ寸法より低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のキズ防止用治具。
【請求項6】
前記接触防止板同士は、少なくとも2本の帯状の連結部によって、前記接触防止板上面の前方および後方のそれぞれで連結されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のキズ防止用治具。
【請求項7】
複数の押出材の並列状態での移送に用いるキズ防止方法であって、
並列する前記押出材の間に、前記押出材の上方で連結部によって連結された接触防止板を配置することを特徴とするキズ防止方法。
【請求項8】
押出機から押し出された複数の押出材が並列状態で移送される押出設備において用いる押出方法であって、
並列する前記押出材の間に配置される複数の接触防止板と、前記押出材の上方で前記接触防止板を連結する連結部と、を備えるキズ防止用治具によって、前記押出材が保護された状態で、前記押出機から押し出された前記押出材を搬送することを特徴とする押出方法。
【請求項9】
押出機から押し出されて並列状態で移送される複数の押出材を切断する押出材の切断方法であって、
前記押出材の長さ寸法より短く設定され、並列する前記押出材の間に配置される複数の接触防止板と、前記押出材の上方で前記接触防止板を連結する連結部とを備えた複数のキズ防止用治具が前記押出材の押出し方向に対して離間して配置され、前記キズ防止用治具によって並列する前記押出材が保護された状態で、前記押出材が前記キズ防止用治具間で切断されることを特徴とする押出材の切断方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−152803(P2012−152803A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15494(P2011−15494)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】