説明

キノキサリン系化合物またはその塩、および工業用殺菌組成物

【課題】細菌、かび、酵母または藻などの有害微生物に対する優れた防除効果を発現する新規な有効成分、および、その有効成分を含有する工業用殺菌組成物を提供すること。
【解決手段】2,3−ジ(ブロモメチル)−6−トリフルオロメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシカルボニルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−エトキシカルボニルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−フルオロキノキサリン−1,4−ジオキシド、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシキノキサリン−1,4−ジオキシドなどの新規なキノキサリン系化合物またはその塩、および、その新規なキノキサリン系化合物またはその塩を含有する工業用殺菌組成物は、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノキサリン系化合物またはその塩、およびそれを含有する工業用殺菌組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、製紙パルプ工場の抄紙工程、各種工場の冷却水循環工程などにおける種々の産業用水や、金属加工油剤(切削油など)、カゼイン、澱粉糊、にかわ、塗工紙、紙用塗工液、表面サイズ剤、塗料、接着剤、合成ゴムラテックス、インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、樹脂製品、セメント混和剤、シーリング剤、目地剤などの各種の産業製品には、細菌、カビ、酵母、藻などの有害な微生物が繁殖しやすく、生産性や品質の低下、悪臭の発生などの原因となっている。そのため、このような有害微生物の繁殖を防除すべく、産業用水や産業製品には、抗菌、防カビ、防腐、防藻効果などを発現する種々の工業用殺菌組成物を添加することが、広く実施されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されるように、2,3−ジブロモ−6−ニトロキノキサリンなどのキノキサリン系化合物に殺菌効果があることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−84473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した公知のキノキサリン系化合物では殺菌効果が発現できない耐性菌なども現われており、新規な有効成分の開発が望まれている。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、細菌、かび、酵母または藻などの有害微生物に対する優れた防除効果を発現する新規な有効成分、および、その有効成分を含有する工業用殺菌組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明者らは、新規な有効成分について鋭意検討したところ、新規なキノキサリン系化合物またはその塩が、細菌、かび、酵母または藻などの有害微生物に対する優れた防除効果を発現する知見を見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(1)で示されることを特徴とする、キノキサリン系化合物またはその塩、
一般式(1):
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基を示し、Rは、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。1位および4位の窒素原子は、ともに酸化されていてもよい。ただし、Rが炭素数1〜6のハロゲノアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基であるときは、1位および4位の窒素原子は、ともに酸化されておらず、Rがハロゲン原子または炭素数1〜6のアルコキシ基であるときは、1位および4位の窒素原子は、ともに酸化されている。)
(2)前記一般式(1)に示すRが、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基であり、1位および4位の窒素原子がともに酸化されていないことを特徴とする、上記(1)に記載のキノキサリン系化合物またはその塩、
(3)前記一般式(1)に示すRが、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルコキシ基であり、1位および4位の窒素原子がともに酸化されているアミンオキシドであることを特徴とする、上記(1)に記載のキノキサリン系化合物またはその塩、
(4)2,3−ジ(ブロモメチル)−6−トリフルオロメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシカルボニルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−エトキシカルボニルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−フルオロキノキサリン−1,4−ジオキシド、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシキノキサリン−1,4−ジオキシド、または、それらの塩から選ばれることを特徴とする、キノキサリン系化合物またはその塩、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のキノキサリン系化合物またはその塩を含有することを特徴とする、工業用殺菌組成物
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のキノキサリン系化合物またはその塩は、細菌、かび、酵母または藻などの有害微生物に対する防除効果を発現するため、工業用殺菌組成物の有効成分として用いることができる。
そして、本発明のキノキサリン系化合物またはその塩を有効成分として含有する本発明の工業用殺菌組成物は、優れた、抗菌、防かび、防腐、防藻作用などを発現し、細菌、かび、酵母、藻などに対する防除剤として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のキノキサリン系化合物は、下記一般式(1)で示される。
一般式(1):
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基を示し、Rは、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。1位および4位の窒素原子は、ともに酸化されていてもよい。ただし、Rが炭素数1〜6のハロゲノアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基であるときは、1位および4位の窒素原子は、ともに酸化されておらず、Rがハロゲン原子または炭素数1〜6のアルコキシ基であるときは、1位および4位の窒素原子は、ともに酸化されている。)
上記一般式(1)において、RおよびRで示されるハロゲノアルキル基としては、例えば、ブロモメチル、ブロモエチル、ブロモプロピル、イソブロモプロピル、ブロモブチル、イソブロモブチル、ブロモペンチル、ブロモヘキシルなどの臭化アルキル基、例えば、クロロメチル、クロロエチル、クロロプロピル、イソクロロプロピル、クロロブチル、イソクロロブチル、クロロペンチル、クロロヘキシルなどの塩化アルキル基、例えば、フルオロメチル、フルオロエチル、フルオロプロピル、イソフルオロプロピル、フルオロブチル、イソフルオロブチル、フルオロペンチル、フルオロヘキシルなどのフッ化アルキル基、例えば、ヨードメチル、ヨードエチル、ヨードプロピル、イソヨードプロピル、ヨードブチル、イソヨードブチル、ヨードペンチル、ヨードヘキシルなどのヨウ化アルキル基などの炭素数1〜6のハロゲノアルキル基が挙げられ、好ましくは、ブロモメチル、ブロモエチル、ブロモプロピル、イソブロモプロピル、クロロメチル、クロロエチル、クロロプロピル、イソクロロプロピル、フルオロメチル、フルオロエチル、フルオロプロピル、イソフルオロプロピル、ヨードメチル、ヨードエチル、ヨードプロピル、イソヨードプロピルなどの炭素数1〜3のハロゲノアルキル基、さらに好ましくは、ブロモメチル、クロロメチル、フルオロメチル、ヨードメチルなどのハロゲノメチル基、より一層好ましくは、ブロモメチル基が挙げられる。また、RおよびRで示されるハロゲノアルキル基のハロゲン置換数としては、特に限定されないが、モノ置換が好ましい。また、RおよびRで示されるハロゲノアルキル基は、ともに同一であることが好ましい。
【0013】
上記一般式(1)において、Rで示されるハロゲノアルキル基としては、例えば、モノブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、モノブロモエチル、ジブロモエチル、トリブロモエチル、テトラブロモエチル、パーブロモエチル、モノブロモプロピル、パーブロモプロピル、モノブロモイソプロピル、パーブロモイソプロピル、モノブロモブチル、パーブロモブチル、モノブロモペンチル、パーブロモペンチル、モノブロモヘキシル、パーブロモヘキシルなどの臭化アルキル基、例えば、モノクロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、モノクロロエチル、ジクロロエチル、トリクロロエチル、テトラクロロエチル、パークロロエチル、モノクロロプロピル、パークロロプロピル、モノクロロイソプロピル、パークロロイソプロピル、モノクロロブチル、パークロロブチル、モノクロロペンチル、パークロロペンチル、モノクロロヘキシル、パークロロヘキシルなどの塩化アルキル基、例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、モノフルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、テトラフルオロエチル、パーフルオロエチル、モノフルオロプロピル、パーフルオロプロピル、モノフルオロイソプロピル、パーフルオロイソプロピル、モノフルオロブチル、パーフルオロブチル、モノフルオロペンチル、パーフルオロペンチル、モノフルオロヘキシル、パーフルオロヘキシルなどのフッ化アルキル基、例えば、モノヨードメチル、ジヨードメチル、トリヨードメチル、モノヨードエチル、ジヨードエチル、トリヨードエチル、テトラヨードエチル、パーヨードエチル、モノヨードプロピル、パーヨードプロピル、モノヨードイソプロピル、パーヨードイソプロピル、モノヨードブチル、パーヨードブチル、モノヨードペンチル、パーヨードペンチル、モノヨードヘキシル、パーヨードヘキシルなどのヨウ化アルキル基などの炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のハロゲノアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜3の直鎖状または分岐状のハロゲノアルキル基、さらに好ましくは、モノブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、モノクロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、モノヨードメチル、ジヨードメチル、トリヨードメチルなどのハロゲノメチル基、より一層好ましくは、パーハロゲノメチル基が挙げられる。
【0014】
上記一般式(1)において、Rで示されるアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニルなどの炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルコキシカルボニル基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜3の直鎖状または分岐状のアルコキシカルボニル基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が挙げられる。
【0015】
上記一般式(1)において、Rで示されるハロゲン原子としては、例えば、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素などが挙げられ、好ましくは、フッ素が挙げられる。
上記一般式(1)において、Rで示されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルコキシ基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜3の直鎖状または分岐状のアルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくは、メトキシ基が挙げられる。
【0016】
上記一般式(1)において、1位および4位の窒素原子は、酸化されていてもよい。
ただし、Rが炭素数1〜6のハロゲノアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基であるときは、1位および4位の窒素原子は、ともに酸化されておらず、その場合、上記一般式(1)に示されるキノキサリン系化合物は、下記一般式(2)で示される。
【0017】
一般式(2):
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基を示し、Rは、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、または、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基を示す。)
上記一般式(2)において、RおよびRで示されるハロゲノアルキル基としては、上記一般式(1)において例示したRおよびRと同様のハロゲノアルキル基が挙げられる。
【0020】
上記一般式(2)において、Rで示されるハロゲノアルキル基としては、上記一般式(1)において例示したRと同様のハロゲノアルキル基が挙げられる。
上記一般式(2)において、Rで示されるアルコキシカルボニル基としては、上記一般式(1)において例示したRと同様のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
上記一般式(2)において、Rが炭素数1〜6のハロゲノアルキル基であるキノキサリン系化合物としては、例えば、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−モノブロモメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−ジブロモメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−トリブロモメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−モノクロロメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−ジクロロメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−トリクロロメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−モノフルオロメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−ジフルオロメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−トリフルオロメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−モノヨードメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−ジヨードメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−トリヨードメチルキノキサリンが挙げられ、好ましくは、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−トリフルオロメチルキノキサリンが挙げられる。
【0021】
上記一般式(2)において、Rが炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基であるキノキサリン系化合物としては、例えば、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシカルボニルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−エトキシカルボニルキノキサリン2,3−ジ(ブロモメチル)−6−プロポキシカルボニルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−イソプロポキシカルボニルキノキサリンなどが挙げられ、好ましくは、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシカルボニルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−エトキシカルボニルキノキサリンが挙げられる。
【0022】
また、Rが炭素数1〜6のハロゲン原子または炭素数1〜6のアルコキシ基であるときは、1位および4位の窒素原子はともに酸化されており、その場合、上記一般式(1)に示されるキノキサリン系化合物は、下記一般式(3)で示される。
一般式(3):
【0023】
【化4】

【0024】
(式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基を示し、Rは、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。)
上記一般式(3)において、RおよびRで示されるハロゲノアルキル基としては、上記一般式(1)において例示したRおよびRと同様のハロゲノアルキル基が挙げられる。
【0025】
上記一般式(3)において、Rで示されるハロゲン原子としては、上記一般式(1)において例示したRと同様のハロゲン原子が挙げられる。
上記一般式(3)において、Rで示されるアルコキシ基としては、上記一般式(1)において例示したRと同様のアルコキシ基が挙げられる。
上記一般式(3)において、Rがハロゲン原子であるキノキサリン化合物としては、例えば、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−ブロモキノキサリン−1,4−ジオキシド、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−クロロキノキサリン−1,4−ジオキシド、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−フルオロキノキサリン−1,4−ジオキシドが挙げられ、好ましくは、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−フルオロキノキサリン−1,4−ジオキシドが挙げられる。
【0026】
上記一般式(3)において、Rがアルコキシ基であるキノキサリン化合物としては、例えば、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシキノキサリン−1,4−ジオキシド、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−エトキシキノキサリン−1,4−ジオキシド、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−プロポキシキノキサリン−1,4−ジオキシド、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−ブトキシキノキサリン−1,4−ジオキシド、好ましくは、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシキノキサリン−1,4−ジオキシド、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−エトキシキノキサリン−1,4−ジオキシドなどが挙げられる。
【0027】
上記一般式(1)で示されるキノキサリン系化合物において、Rが、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルコキシ基から選択されるキノキサリン系化合物は、特に限定されないが、例えば、下記反応式(I)で示されるように、芳香族ジアミン(4)と、α−ジケトン(5)とを、脱水剤の存在下に、反応溶媒中で、縮合反応させることによって得られる。
【0028】
反応式(I):
【0029】
【化5】

【0030】
(式中、RおよびRは、上記一般式(1)のRおよびRと同意義を示し、Rは、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。)
上記一般式(1)で示されるキノキサリン系化合物において、Rが炭素数1〜6のハロゲノアルキル基であるキノキサリン系化合物を得るための芳香族ジアミン(4)としては、例えば、4−(C1−6ハロゲノアルキル)−1,2−フェニレンジアミンが挙げられ、好ましくは、4−(C1−3ハロゲノアルキル)−1,2−フェニレンジアミンが挙げられ、さらに好ましくは、4−ハロゲノメチル−1,2−フェニレンジアミンが挙げられ、より一層好ましくは、4−パーハロゲノメチル−1,2−フェニレンジアミンが挙げられる。
【0031】
また、上記一般式(1)で示されるキノキサリン系化合物において、Rがハロゲン原子であるキノキサリン系化合物を得るための芳香族ジアミン(4)としては、例えば、4−ハロゲノ−1,2−フェニレンジアミンが挙げられ、好ましくは、4−フルオロ−1,2−フェニレンジアミンが挙げられる。
また、上記一般式(1)で示されるキノキサリン系化合物において、Rがアルコキシ基であるキノキサリン系化合物を得るための芳香族ジアミン(4)としては、例えば、4−(C1−6アルコキシ)−1,2−フェニレンジアミンが挙げられ、好ましくは、4−(C1−3アルコキシ)−1,2−フェニレンジアミン挙げられ、さらに好ましくは、4−メトキシ−1,2−フェニレンジアミンが挙げられる。
【0032】
α−ジケトン(5)としては、例えば、1,4−ジハロゲノ−2,3−ブタンジオン、1,6−ジハロゲノ−3,4−ヘキサンジオン、1,8−ジハロゲノ−4,5−オクタンジオンなどが挙げられ、好ましくは、1,4−ジハロゲノ−2,3−ブタンジオンが挙げられ、さらに好ましくは、1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオンが挙げられる。
反応溶媒としては、芳香族ジアミンとα−ジケトンとを溶解することができれば、特に限定されず、例えば、プロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。プロトン性極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどが挙げられ、好ましくは、メタノールが挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0033】
反応溶媒の配合割合は、例えば、芳香族ジアミン100重量部に対して、200〜3000重量部、好ましくは、500〜1000重量部である。
脱水剤としては、芳香族ジアミンとα−ジケトンとを脱水縮合させることができれば、特に限定されず、例えば、硫酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、塩化マンガン(II)、ポリリン酸などが挙げられ、好ましくは、p−トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0034】
脱水剤の配合割合は、例えば、芳香族ジアミン1当量に対して、0.01〜2当量、好ましくは、0.1〜0.5当量である。
上記の合成反応において、芳香族ジアミンとα−ジケトンとの配合割合は、好ましくは、芳香族ジアミン1当量に対してα−ジケトン1〜2当量であり、より好ましくは、1.1〜1.5当量である。また、反応は、常圧下、例えば、室温〜120℃で、2〜50時間、好ましくは、50〜100℃で、2〜24時間反応させる。
【0035】
また、上記の合成反応は、還流下で実施することもできる。また、大気雰囲気または不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)雰囲気のいずれにおいても実施できる。好ましくは、不活性ガス雰囲気で実施する。
また、上記一般式(1)で示されるキノキサリン系化合物において、Rが炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基であるキノキサリン系化合物は、特に限定されないが、例えば、まず、上記反応式(I)に準じて、4−カルボキシ−1,2−フェニレンジアミンとα−ジケトンとを反応させて、2,3−ジ(置換)−6−カルボキシキノキサリン(6)を合成し、次いで、下記反応式(II)で示されるように、2,3−ジ(置換)−6−カルボキシキノキサリン(6)とアルコール(7)とを、脱水剤の存在下に縮合反応させることによって得られる。
【0036】
反応式(II):
【0037】
【化6】

【0038】
(式中、RおよびRは、上記一般式(1)のRおよびRと同意義を示す。Rは、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基を示す。)
上記一般式(6)で示される2,3−ジ(置換)−6−カルボキシキノキサリンとしては、例えば、2,3−ジ(C1−6ハロゲノアルキル)6−カルボキシキノキサリン、好ましくは、2,3−ジ(C1−3ハロゲノアルキル)6−カルボキシキノキサリンが挙げられる。
【0039】
上記一般式(7)で示されるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソペンチルアルコールなどの炭素数1〜6の直鎖または分岐アルコール、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜3の直鎖または分岐アルコールが挙げられる。
【0040】
脱水剤としては、例えば、濃硫酸、濃塩酸、p−トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロ酢酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどが挙げられ、好ましくは、濃硫酸、濃塩酸、ジシクロカルボジイミドが上げられる。
上記反応式(II)の合成反応において、2,3−ジ(置換)6−カルボキシキノキサリンとアルコールとの配合割合は、例えば、2,3−ジ(置換)6−カルボキシキノキサリン1当量に対してアルコール50〜1500当量であり、好ましくは、100〜1000当量である。また、反応は、常圧下、例えば、室温〜120℃で、2〜24時間、好ましくは、70〜100℃で、3〜10時間反応させる。
【0041】
また、上記反応式(II)の合成反応は、還流下で実施することもできる。また、大気雰囲気または不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)雰囲気のいずれにおいても実施できる。好ましくは、不活性ガス雰囲気で実施する。
これら反応式(I)または反応式(II)の合成反応により、上記一般式(1)に示されるキノキサリン系化合物のうち、上記一般式(2)に示されるキノキサリン系化合物を得ることができる。
【0042】
そして、上記一般式(1)に示されるキノキサリン系化合物のうち、上記一般式(3)に示されるキノキサリン系化合物を得るには、さらに、上記したように合成されたキノキサリン系化合物の1位および4位の窒素原子を酸化させる。例えば、キノキサリン系化合物と、トリフルオロ過酢酸、m−クロロ過安息香酸、過蟻酸などのペルオキシカルボン酸系酸化剤とを反応させる。
【0043】
上記の酸化反応においては、キノキサリン系化合物とペルオキシカルボン酸系酸化剤との配合割合は、例えば、キノキサリン系化合物1当量に対してペルオキシカルボン酸系酸化剤5〜15当量であり、好ましくは、8〜10当量である。また、酸化反応は、常圧下、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)雰囲気で、例えば、室温〜80℃で24〜96時間、好ましくは、室温で48〜96時間反応させる。
【0044】
上記の合成反応または酸化反応により得られた反応生成物(粗生成物)は、キノキサリン系化合物の他、不純物を含むが、そのまま用いることができ、また、単離精製を経た上で用いることもできる。
反応生成物は、例えば、濃縮、減圧濃縮、蒸留、分留、溶媒抽出、液性変換、転溶、クロマトグラフィー、結晶化、再結晶などの公知の分離手段により(必要に応じて、単一の分離手段による分離精製を繰り返し、または、2以上の分離手段による分離精製を組み合わせることにより)、単離精製することができる。
【0045】
また、キノキサリン系化合物は、上記一般式(1)においてRおよびRとして示すハロゲノアルキル基のハロゲン原子を置換することができる。例えば、ハロゲン交換反応により、ハロゲノアルキル基のハロゲン原子を異種のハロゲン原子に置換することができる。具体的には、キノキサリン系化合物と、例えば、ヨウ素、ヨウ化水素、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化銅などのヨウ素化剤、フッ素、フッ化水素、フッ化銀、フッ化カリウム、フッ化ホウ酸塩などのフッ素化剤、臭化水素、臭化カリウム、臭化銀などの臭素化剤などのハロゲン化剤とを反応させる。
【0046】
上記のハロゲン交換反応においては、キノキサリン系化合物とハロゲン化剤とを、キノキサリン系化合物1モルに対して、ハロゲン化剤を、例えば、5〜20モル、好ましくは、8〜12モルの割合で反応させる。また、ハロゲン交換反応においては、例えば、室温〜100℃、好ましくは50〜80℃の反応温度で、例えば、0.5〜6時間、好ましくは、2〜4時間反応させる。
【0047】
また、キノキサリン系化合物は、所望により塩にすることもできる。好ましい塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、アジピン酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。
そして、このような本発明のキノキサリン系化合物またはその塩は、細菌、かび、酵母、藻などの有害微生物に対する防除効果を発現するため、工業用殺菌組成物の有効成分として用いることができる。
【0048】
本発明のキノキサリン系化合物またはその塩を、工業用殺菌組成物として用いる場合には、特に限定されず、上記したキノキサリン系化合物またはその塩を単独で配合してもよく、2種以上を併用して配合してもよい。また、本発明のキノキサリン系化合物またはその塩を含有する工業用殺菌組成物は、種々の剤型に調製することができる。
本発明の工業用殺菌組成物の製剤化は、特に制限されることなく、その目的および用途に応じて、例えば、液剤(水懸濁剤および油剤を含む。)、ペースト剤、粉剤、粒剤、マイクロカプセルなどの公知の種々の剤型に製剤化することができる。また、包接化合物として調製してもよく、さらに、層状ケイ酸塩などのモンモリロナイト(スメクタイト類など)などに担持させ、あるいは、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルクなどに吸着させることにより調製することもできる。
【0049】
また、本発明のキノキサリン系化合物またはその塩は、剤型、目的および用途などに応じて、工業用殺菌組成物に対して、0.1〜99重量%の範囲から適宜選択して配合することができる。より具体的には、例えば、本発明の工業用殺菌組成物を液剤として製剤化する場合には、液剤に対してキノキサリン系化合物またはその塩を、例えば、0.1〜50重量%の範囲で配合することができる。また、ペースト剤として製剤化する場合には、ペースト剤に対してキノキサリン系化合物またはその塩を、例えば、5〜70重量%の範囲で配合することができる。また、粉剤、粒剤として製剤化する場合には、粉剤、粒剤に対してキノキサリン系化合物またはその塩を、例えば、20〜100重量%の範囲で配合することができる。
【0050】
また、液剤として調製する場合など、本発明のキノキサリン系化合物またはその塩の溶解を向上させる観点より、溶媒を配合してもよい。
溶媒としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、例えば、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性溶媒、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどのエステル系溶媒、例えば、キシレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、エチルビフェニル、ソルベントナフサ、ミネラルスピリットなどの芳香族系溶媒などが挙げられる。これら溶媒は、単独または2種以上併用してもよく、好ましくは、グリコール系溶媒や芳香族系溶媒が挙げられる。
【0051】
溶媒の配合割合は、有効成分1重量部に対して、通常、1〜100重量部である。なお、キノキサリン系化合物またはその塩の種類や、後述する添加剤の種類によっては、溶媒の比率を大幅に変えて調製することもできる。
さらに、本発明の工業用殺菌組成物には、その目的、用途などに応じて、公知の添加剤、例えば、防藻剤および/または防かび剤(有効成分)、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤などを添加してもよい。
【0052】
防藻剤および/または防かび剤としては、例えば、イソチアゾリン系化合物、ニトロアルコール系化合物、ジチオール系化合物、チオフェン系化合物、ハロアセチレン系化合物、フタルイミド系化合物、ハロアルキルチオ系化合物、ピリチオン系化合物、フェニルウレア系化合物、トリアジン系化合物、グアニジン系化合物、トリアゾール系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、四級アンモニウム塩系化合物などが挙げられる。
【0053】
イソチアゾリン系化合物としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが挙げられる。
【0054】
ニトロアルコール系化合物としては、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノールなどが挙げられる。
ジチオール系化合物としては、例えば、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンがなど挙げられる。
チオフェン系化合物としては、例えば、3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドなどが挙げられる。
【0055】
ハロアセチレン系化合物としては、例えば、N−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートなどが挙げられる。
フタルイミド系化合物としては、例えば、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captafol)、N−トリクロロメチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captan)、N−ジクロロフルオロメチルチオフタルイミド(Fluorfolpet)、N−トリクロロメチルチオフタルイミド(Folpet)などが挙げられる。
【0056】
ハロアルキルチオ系化合物としては、例えば、N−ジメチルアミノスルホニル−N−トリル−ジクロロフルオロメタンスルファミド(Tolylfluanide)、N−ジメチルアミノスルホニル−N−フェニル−ジクロロフルオロメタンスルファミド(Dichlofluanide)などが挙げられる。
ピリチオン系化合物としては、例えば、ナトリウムピリチオン、ジンクピリチオンなどが挙げられる。
【0057】
フェニルウレア系化合物としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどが挙げられる。
トリアジン系化合物としては、例えば、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンなどが挙げられる。
グアニジン系化合物としては、例えば、1,6−ジ−(4’−クロロフェニルジグアニド)−ヘキサン、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩などが挙げられる。
【0058】
トリアゾール系化合物としては、例えば、α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:テブコナゾール)、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:プロピコナゾール)、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:アザコナゾール)、α−(4−クロロフェニル)−α−(1−シクロプロピルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:シプロコナゾール)などが挙げられる。
【0059】
ベンズイミダゾール系化合物としては、例えば、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート、エチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
四級アンモニウム塩系化合物としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジ−n−デシル−ジメチルアンモニウムクロライド、1−ヘキサデシルピリジニウムクロライドなどが挙げられる。
【0060】
また、他の防藻剤および/または防かび剤として、その他に、例えば、ジヨードメチル−p−トルイルスルホン、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルフォルマールなどの有機ヨウ素系化合物、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチオカーバメート系化合物、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどのニトリル系化合物、例えば、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジンなどのピジリン系化合物、例えば、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール系化合物、例えば、3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン−4−オキサイドなどのオキサチアジン系化合物、例えば、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロパンアミドなどのシアノアセトアミド系化合物、例えば、メチレンビスチオシアネートなどのチオシアネート系化合物などが挙げられる。
【0061】
これら防藻剤および/または防かび剤は、単独または2種以上併用してもよく、好ましくは、イソチアゾリン系化合物(2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン)、ハロアセチレン系化合物(3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート)、ピリチオン系化合物(ジンクピリチオン)、フェニルウレア系化合物(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア)、トリアジン系化合物(2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン)トリアゾール系化合物(α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:テブコナゾール))、ベンズイミダゾール系化合物(メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート)と併用することで、相乗的な微生物の防除効果を発現させることができる。
【0062】
また、防藻剤および/または防かび剤の配合割合は、剤型、目的および用途によって適宜選択されるが、例えば、キノキサリン系化合物100重量部に対して、1〜9000重量部、好ましくは、3〜8000重量部である。
界面活性剤としては、例えば、石鹸類、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン界面活性剤、高分子界面活性剤など公知の界面活性剤が挙げられる。これら界面活性剤は、単独または2種以上併用してもよく、好ましくは、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0063】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、酸化エチレンと酸化プロピレンブロック共重合物などが挙げられる。
また、アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸金属塩、ポリカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸エステル金属塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸金属塩、リグニンスルホン酸金属塩などが挙げられ、金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
【0064】
これら、界面活性剤は、単独または2種以上併用してもよく、その配合割合は、特に制限されず、剤型、目的および用途によって適宜選択されるが、例えば、液剤として製剤化される場合には、その液剤100重量部に対して0.1〜5重量部添加される。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤、例えば、アルキルジフェニルアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0065】
これら、酸化防止剤は、単独または2種以上併用してもよく、その配合割合は、特に制限されず、剤型、目的および用途によって適宜選択されるが、例えば、液剤として製剤化される場合には、その液剤100重量部に対して0.1〜5重量部添加される。
また、光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。光安定剤は、単独または2種以上併用してもよく、その配合割合は、特に制限されず、剤型、目的および用途によって適宜選択されるが、例えば、液剤として製剤化される場合には、その液剤100重量部に対して0.1〜10重量部添加される。
【0066】
このような、本発明のキノキサリン系化合物またはその塩を有効成分として含有する本発明の工業用殺菌組成物は、優れた、抗菌、防かび、防腐、防藻作用などを発現し、細菌、かび、酵母、藻などに対する防除剤(微生物防除剤)として用いることができる。
本発明の工業用殺菌組成物は、例えば、製紙パルプ工場、冷却水循環工程などの種々の産業用水や、切削油などの金属加工用油剤、カゼイン、澱粉粉、にかわ、塗工紙、紙用塗工液、表面サイズ剤、紙力増強剤、塗料、接着剤、合成ゴムラテックス、インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、樹脂製品、セメント混和剤、シーリング剤、目地剤などの各種工業製品における工業用殺菌剤として好適に用いられる。
【0067】
なお、本発明の工業用殺菌組成物は、適用対象、微生物の種類(細菌類、かび類、酵母、藻類など)や防除期間に応じて、添加量を適宜選択すればよいが、例えば、スライムコントロール剤として用いる場合には、0.1〜500mg(有効成分)/kg(製品)、好ましくは、0.5〜100mg(有効成分)/kg(製品)、防腐剤として用いる場合には、1〜5000mg(有効成分)/kg(製品)、好ましくは、10〜1000mg(有効成分)/kg(製品)、防かびまたは防藻剤として用いる場合には、10〜50000mg(有効成分)/kg(製品)、好ましくは、100〜10000mg(有効成分)/kg(製品)となるように添加すればよい。
【実施例】
【0068】
次に、合成例、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの合成例および実施例により限定されるものではない。
合成例1
4−トリフルオロメチル−1,2−フェニレンジアミン1.41g(8.0mmol)、1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオン2.15g(8.8mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物152mg(0.8mmol)をメタノール6.0mlに溶解させ、アルゴン雰囲気下で、2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却して吸引ろ過し、沈殿物として得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:80g、展開溶媒:クロロホルム)で精製し、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−(トリフルオロメチル)キノキサリン(C11Br)を、白色固体として得た。
【0069】
収量:2.1g、収率:69%、融点:58.6〜59.6℃
IR(KBr):3040(νArC−H),2979(νC−H),1339(νC−N),1281(νC−F),906and819(γC−H),and668cm−1(νC−Br).
H−NMR(δ、CDCl、400MHz):4.93(4H,s,C−andC−CH),7.97(1H,dd,J=1.8and8.8Hz,C−H),8.20(1H,d,J=8.8Hz,C−H),and8.40ppm(1H,d,J=1.8Hz,C−H).
元素分析(EA):C11Br・0.1H
理論値:C,34.25%、H,1.88%、N,7.26%
実測値:C,33.95%、H,1.77%、N,7.10%
合成例2
(1)3,4−ジアミノ安息香酸2.0g(13.1mmol)および1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオン3.2g(13.2mmol)をメタノール20mlに溶解させ、アルゴン雰囲気下で2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、析出した粗生成物を吸引ろ過後、メタノール20mlで洗浄し、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−カルボキシキノキサリン(C11Br)を褐色固体として得た。
【0070】
収量:3.8g、収率:83%、融点:169.6℃(decomp.)
IR(KBr):3312(νO−H),3035(νArC−H),2981(νC−H),1692(νC=O),1314(νC−N),1276(νC−O),910and826(γC−H),and635cm−1(νC−Br).
H−NMR(δ、CDCl、400MHz):5.06(4H,s,C−andC−CHBr),8.20(1H,d,J=8.8Hz,C−H),8.34(1H,dd,J=1.5and8.8Hz,C−H),and8.58ppm(1H,d,J=1.5Hz,C−H).
元素分析(EA):C11Br
理論値:C,36.72%、H,2.24%、N,7.78%
実測値:C,36.92%、H,2.06%、N,7.65%
(2)上記(1)で得られた2,3−ジ(ブロモメチル)−6−カルボキシキノキサリン0.5g(1.47mmol)を乾燥メタノール30mlに溶解させ、そこに濃硫酸2mlを加え、2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却して脱溶媒し、残渣をクロロホルム50mlに溶解させ、水50mlで3回洗浄した。脱溶媒後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:70g、展開溶媒:クロロホルム:アセトン:エタノール=200:5:1)で精製し、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシカルボニルキノキサリン(C1210Br)を、白色固体として得た。
【0071】
収量:0.4g、収率:74%、融点:92.1〜93.5℃
IR(KBr):3033(νArC−H),2951(νC−H),1726(νC=O),1365(νC−N),1263(νC−O),911and802(γC−H),and637cm−1(νC−Br).
H−NMR(δ、CDCl、400MHz):4.02(3H,s,OCH),4.93(4H,s,C−andC−CHBr),8.12(1H,d,J=8.8Hz,C−H),8.39(1H,dd,J=1.9and8.8Hz,C−H),and8.78ppm(1H,d,J=1.9Hz,C−H).
元素分析(EA):C1210Br
理論値:C,38.53%、H,2.69%、N,7.49%
実測値:C,38.69%、H,2.61%、N,7.39%
合成例3
合成例2の(1)と同様にして得られた2,3−ジ(ブロモメチル)−6−カルボキシキノキサリン0.5g(1.47mmol)を乾燥エタノール60mlに溶解させ、そこに濃硫酸2mlを加え、2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却して脱溶媒し、残渣をクロロホルム50mlに溶解させ、水50mlで3回洗浄した。脱溶媒後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:70g、展開溶媒:クロロホルム:アセトン:エタノール=200:5:1)で精製し、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−エトキシカルボニルキノキサリン(C1312Br)を、白色固体として得た。
【0072】
収量:0.5g、収率:90%、融点:72.5〜74.3℃
IR(KBr):3002(νArC−H),2940(νC−H),1741(νC=O),1314(νC−N),1195and1026(νC−O),858and808(γC−H),and579cm−1(νC−Br).
H−NMR(δ、CDCl、400MHz):1.46(3H,t,J=7.2Hz,OCHCH),4.47(2H,q,J=7.2HZ,OCHCH),4.93(4H,s,C−andC−CHBr),8.12(1H,d,J=8.8Hz,C−H),8.39(1H,dd,J=1.9and8.7Hz,C−H),and8.79ppm(1H,d,J=1.9Hz,C−H).
元素分析(EA):C1312Br・0.2H
理論値:C,39.87%、H,3.19%、N,7.15%
実測値:C,39.86%、H,3.20%、N,7.16%
合成例4
4−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン1.01g(8.0mmol)、1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオン2.15g(8.8mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物152mg(0.8mmol)をメタノール6.0mlに溶解させ、アルゴン雰囲気下で、2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却して吸引ろ過し、沈殿物として得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:80g、展開溶媒:クロロホルム)で精製し、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−フルオロキノキサリンを、白色固体として得た。
【0073】
2,3−ジ(ブロモメチル)−6−フルオロキノキサリン0.4g(1.18mmol)およびm−クロロ過安息香酸2.0g(12mmol)をジクロロメタン20mlに溶解させ、アルゴン雰囲気下において、室温で96時間攪拌した。反応後、反応液にジクロロメタン30ml加え、10%炭酸ナトリウム水溶液50mlで3回洗浄した。脱溶媒後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:70g、展開溶媒:クロロホルム:アセトン:エタノール=200:5:1)で精製し、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−フルオロキノキサリン−1,4−ジオキシド(C10BrFO)を黄色固体として得た。
【0074】
収量:0.3g、収率:65%、融点:168.4〜169.8℃
IR(KBr):3109and3045(νArC−H),2977(νC−H),1335(νC−N),1263(νN−O),1227(νC−F),874and823(γC−H),and622cm−1(νC−Br).
H−NMR(δ、CDCl、400MHz):4.91(4H,s,C−andC−CHBr),7.59−7.65(1H,m,C−H),8.29−8.33(1H,m,C−H),and8.66−8.70ppm(1H,m,C−H).
元素分析(EA):C10BrFO
理論値:C,32.82%、H,1.93%、N,7.65%
実測値:C,32.95%、H,2.01%、N,7.44%
合成例5
4−メトキシ−1,2−フェニレンジアミン1.10g(8.0mmol)、1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオン2.15g(8.8mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物152mg(0.8mmol)をメタノール6.0mlに溶解させ、アルゴン雰囲気下で、2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却して吸引ろ過し、沈殿物として得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:80g、展開溶媒:クロロホルム)で精製し、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシキノキサリンを、白色固体として得た。
【0075】
2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシキノキサリン0.48g(1.4mmol)およびm−クロロ過安息香酸1.6g(9.3mmol)をジクロロメタン20mlに溶解させ、アルゴン雰囲気下において、室温で48時間攪拌した。反応後、反応液にジクロロメタン30ml加え、10%炭酸ナトリウム水溶液50mlで3回洗浄した。脱溶媒後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:70g、展開溶媒:クロロホルム:アセトン:エタノール=200:5:1)で精製し、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシキノキサリン−1,4−ジオキシド(C11H10Br2O3N2)を黄色固体として得た。
【0076】
収量:0.5g、収率:99%、融点:171.0〜173.0℃
IR(KBr):3049(νArC−H),2987(νC−H),1334(νC−N),1282(νN−O),1241and1017(νArC−O−C),857and829(γC−H),and553cm−1(νC−Br).
H−NMR(δ、CDCl、400MHz):4.02(3H,s,−OCH),4.93(4H,s,C−andC−CHI),7.45(1H,d,J=2.4Hz,C−H),7.95(1H,dd,J=2.4and9.3Hz,C−H),and8.54ppm(1H,d,J=9.3Hz,C−H).
元素分析(EA):C1110Br
理論値:C,34.95%、H,2.67%、N,7.41%
実測値:C,34.98%、H,2.43%、N,7.14%
実施例1
2,3−ジ(ブロモメチル)−6−トリフルオロメチルキノキサリン1重量部と、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)20重量部と、水79重量部とを配合して、攪拌混合することにより、液剤を得た。
【0077】
実施例2
2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシカルボニルキノキサリン1重量部と、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)20重量部と、水79重量部とを配合して、攪拌混合することにより、液剤を得た。
実施例3
2,3−ジ(ブロモメチル)−6−エトキシカルボニルキノキサリン1重量部と、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)20重量部と、水79重量部とを配合して、攪拌混合することにより、液剤を得た。
【0078】
実施例4
2,3−ジ(ブロモメチル)−6−フルオロキノキサリン−1,4−ジオキシド1重量部と、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)20重量部と、水79重量部とを配合して、攪拌混合することにより、液剤を得た。
実施例5
2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシキノキサリン−1,4−ジオキシド1重量部と、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)20重量部と、水79重量部とを配合して、攪拌混合することにより、液剤を得た。
【0079】
試験例1(細菌に対するMICの測定)
実施例1〜5で得られた液剤をそれぞれ添加したグルコースブイヨン寒天培地(pH6.0)に、ミクロプランタ(佐久間製作所製)を用いて、接種用細菌懸濁液を接種し、33℃で18時間培養した。次いで、培養後の菌の生育を観察して、最小発育阻止濃度MIC(μg/mL)を求めた。
【0080】
試験例2(かびおよび酵母に対するMICの測定)
実施例1〜5で得られた液剤をそれぞれ添加したグルコースブイヨン寒天培地(pH6.0)に、ミクロプランタ(佐久間製作所製)を用いて、かび胞子懸濁液および接種用酵母を接種し、33℃で18時間培養し、さらに、28℃で2日間培養した。次いで、培養後の菌の生育を観察して、最小発育阻止濃度MIC(μg/mL)を求めた。
【0081】
MICの測定に使用した細菌、かびおよび酵母の菌株名と、試験例1および2の結果と
を、表1に示す。なお、表中の数値は、最小発育阻止濃度MIC(μg/mL)を示す。
【0082】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されることを特徴とする、キノキサリン系化合物またはその塩。
一般式(1):
【化1】

(式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基を示し、Rは、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。1位および4位の窒素原子は、ともに酸化されていてもよい。ただし、Rが炭素数1〜6のハロゲノアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基であるときは、1位および4位の窒素原子は、ともに酸化されておらず、Rがハロゲン原子または炭素数1〜6のアルコキシ基であるときは、1位および4位の窒素原子は、ともに酸化されている。)
【請求項2】
前記一般式(1)に示すRが、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基であり、1位および4位の窒素原子がともに酸化されていないことを特徴とする、請求項1に記載のキノキサリン系化合物またはその塩。
【請求項3】
前記一般式(1)に示すRが、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルコキシ基であり、1位および4位の窒素原子がともに酸化されているアミンオキシドであることを特徴とする、請求項1に記載のキノキサリン系化合物またはその塩。
【請求項4】
2,3−ジ(ブロモメチル)−6−トリフルオロメチルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシカルボニルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−エトキシカルボニルキノキサリン、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−フルオロキノキサリン−1,4−ジオキシド、2,3−ジ(ブロモメチル)−6−メトキシキノキサリン−1,4−ジオキシド、または、それらの塩から選ばれることを特徴とする、キノキサリン系化合物またはその塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のキノキサリン系化合物またはその塩を含有することを特徴とする、工業用殺菌組成物。

【公開番号】特開2011−37776(P2011−37776A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187453(P2009−187453)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(503140056)日本エンバイロケミカルズ株式会社 (95)
【Fターム(参考)】