説明

キムチ納豆血液流動性改善食品

【課題】納豆が有する血液流動性改善の効果と、キムチの有する脂肪燃焼効果等が相乗的に作用させて、顕著な血液流動性改善の効果を示す血液流動性改善機能食品を実現する。
【解決手段】納豆食品及びキムチ食品がそれぞれ真空乾燥法又は凍結乾燥法により乾燥後、粉砕器で粉末化され、納豆粉末とキムチ粉末が互いに粉末撹拌混合機で混合されて製造される血液流動性改善機能食品であり、粉末、粒体又はペレットの形状で食され、或いは飲料、菓子又は主食に混ぜて食され、血液の流動性の改善機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、血液の流動性を改善する血液流動性改善機能食品に関し、特に、キムチの粉末と納豆の粉末とから成るキムチ納豆組成を含む血液流動性改善機能食品に関する。
【背景技術】
【0002】
血液中の脂質が高く(高脂血症)やコレステロール値が高く、血液粘性が高い場合に、血管壁に脂質やコレステロールがへばりつき、またアテローム(粥状隆起)が生成され、血管を狭め血液の流れを阻害し、動脈硬化、高血圧症の原因となり、心筋梗塞等虚血性心疾患を引き起こしたりする。
【0003】
そして、血管性疾患では、血液の粘性が高まり、血小板、白血球などが血管の内壁に固まり、それが血流によって、はがれて血栓ができるが、この血栓はフィブリノーゲンが活性化されたフィブリン(繊維素)を主としたもので、血栓が脳の毛細血管に詰まり脳梗塞等の原因となる。これらの疾患は、いずれも血液流動性の低下に起因する疾患である。
【0004】
従来、血液の流動性を改善するためにいろいろな健康食品等が提案されている。例えば、サフランまたはサフラン組織培養物の溶媒抽出エキスは優れた末梢血流改善作用を有する機能性食品が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、艾葉等抽出物あるいはその分画物を有効成分として含有し、微小循環系の血流停滞や微小血栓の易発状態等を改善する血液粘性低下剤及びそれを含む組成物が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、納豆の成分であるナットウキナーゼによる抗血栓作用、血液流動性向上作用、血小板凝集抑制作用、及び脂質代謝改善作用を有し、納豆と洋風食材の乳発酵産物とを組み合わせ、誰でもその保健効果を享受でき、かつ特異な保健効果を期待することができる機能性食品が提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平10−287576号公報
【特許文献2】特開平06−172196号公報
【特許文献3】WO2002−76240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
血液流動性を改善する食品等については、上記のとおりいろいろなものが提案されており、特許文献3にも示されているが、特に納豆に含まれる成分は血液の流動性にきわめて効果的である。本発明、従来の納豆の血液流動性をさらに改善すべき健康食品を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために、納豆粉末とキムチ粉末を混合して成り、粉末、粒体又はペレットの形状をしており、血液の流動性の改善機能を有することを特徴とする血液流動性改善機能食品を提供する。
【0009】
本発明は上記課題を解決するために、納豆粉末とキムチ粉末を混合して成り、飲料、菓子又は主食に混ぜて食され、血液の流動性の改善機能を有することを特徴とする血液流動性改善機能食品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
以上の構成から成る本発明に係る血液流動性改善機能食品によると、毎日摂取すれば、血液中の血栓ができにくくなり、そして滞留しにくくなり、血液流動性が改善され、動脈硬化、高血圧症、脳梗塞等の血液流動性が低下することに起因する各種の血管性疾患の予防効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る血液流動性改善機能食品を実施するための最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して説明する。
【0012】
納豆については引用文献3にも記載されているように納豆キナーゼが血液流動性改善に効果的であることが知られいている。一方、キムチは、その発酵菌により胃腸の活性化に良く、その副材料である唐辛子による脂肪の燃焼によりダイエット効果が期待できるということは知られている。
【0013】
本発明者らは、納豆粉末を中心に別の食品粉末を混合してより血液流動性改善の効果が上がる食品を鋭意開発していたら、納豆粉末にキムチ粉末を加えるとより顕著な血液流動性改善の効果が得られるという知見を得た。この結果、本発明者らは、納豆粉末とキムチ粉末を混合して成る本発明に係る血液流動性改善機能食品を想到するに至ったのである。
【0014】
本発明に係る血液流動性改善機能食品が血液流動性改善の機能を有する作用機序は、明確ではないが、納豆がそもそも有する血液流動性改善の効果と、キムチの有する脂肪燃焼効果等が相乗的に作用して、顕著な血液流動性改善の効果を示すものとも考えられる。本発明の血液流動性改善の効果は、後述するが、本発明者らの行った血液流動性を確認する血液検査の結果からみても明らかである。
【0015】
納豆は、通常の納豆製造方法に従って製造する。そして得られた納豆を、真空乾燥法(真空状態で数十℃で加熱して乾燥する方法)又は凍結乾燥法(フリーズドライ方法)で乾燥し、これを粉砕して粉末化する。
【0016】
一方、キムチ粉末については、キムチを通常の製造方法で作成する。キムチとしては白菜キムチ等、その中身によりいろいろな種類のキムチがあるが、どのようなキムチでもよい。ここでは、白菜キムチの材料の一例を挙げると、次のとおりである。
【0017】
キムチの内容材料の例:
白菜(1株)、唐辛子粉(200g)、塩 10g、アミ塩(50g)、ニンニク(30g)、ショウガ(10g)、砂糖(10g)、水(少量)
【0018】
作成されたキムチは、納豆粉末の製造方法と同様に、真空乾燥法(真空状態で数十℃で加熱して乾燥する方法)又は凍結乾燥法(フリーズドライ方法)で乾燥し、これを粉砕機で粉砕して粉末化する。
【0019】
このようにして得られた納豆粉末をキムチ粉末を粉末撹拌混合機によって混合する。混合する納豆粉末とキムチ粉末の重量比は、納豆粉末30〜70重量%とキムチ粉末70〜30重量%とする。一例として、両者の重量比は、50:50でもよい。
【0020】
このようにして得られた納豆粉末をキムチ粉末との混合粉末は、キムチ納豆血液流動性改善食品として食するのであるが、パウダー状でジュース等の飲料、菓子、主食(米、パン等)に混ぜた食品形態としてもよいが、適宜調味料で味付けし、造粒機によって適宜粒径の粒状物又はペレットに加工した食品形態としてもよい。
【0021】
本発明に係るキムチ納豆血液流動性改善食品の実施例について、含有成分の分析を行った。この分析結果及び分析条件等を、図1及び図2に示す。図1の表は、本発明のキムチ納豆血液流動性改善食品100g中の、水分、たんぱく質、脂質等の含有成分を示し、図2(a)、(b)の表は、ビタミン等の含有成分を示している。
【0022】
そして、本発明に係るキムチ納豆血液流動性改善食品は、顕著な血液流動性改善効果を有する。この点について、本発明者らは、血液流動性を確認する血液検査を行い、顕著な血液流動性改善効果を確認した。以下、この血液検査について詳述する。
【0023】
この血液検査は、毛細血管と同じ太さのシリコン単結晶基板(毛細血管モデルを示すもので、「マイクロチャンネルアレイ」と言われている。)に、血液100μリットルを20cm水中圧で流し、血液通過時間(血液の通過量と通過時間との関係)と、マイクロチャンネルアレイ内の血液流動状態を顕微鏡で拡大して観察する検査である。
【0024】
図4、5に示すように、マイクロチャンネルアレイ内には、血液の流動方向に沿って一列に一定間隔をおいて、血液の流動の阻害となるた複数の突起アレイが配列されている。血液がどろどろ状態で血液流動性が低いと、この突起アレイによりその流動がより阻害され、血液の通過時間が長くなる。
【0025】
この血液検査を被検査者Aについて、第1回目の血液検査から、毎日、本発明のキムチ納豆血液流動性改善食品の粉末を1800mg程度食して摂取し、46日経過後に第2回目の血液検査の2回を実施した。第1回目の血液検査における血液のマイクロチャンネルアレイ内の通過量と通過時間の関係を図3(a)に示し、第2回目の血液検査におけるマイクロチャンネルアレイ内の血液の通過量と通過時間の関係を図3(b)にそれぞれ示す。
【0026】
さらに、第1回目の血液検査におけるマイクロチャンネルアレイ内の通過時間毎の血液流動状態の顕微鏡の拡大写真を図4に示し、第2回目の血液検査におけるマイクロチャンネルアレイ内の通過時間毎の血液流動状態の顕微鏡の拡大写真を図5にそれぞれ示す。
【0027】
図3(a)、(b)において、参考値Minと参考値Maxは、血液流動性が正常な者の血液の通過量に対する血液通過時間の上限及び下限を示している。要するに、参考値Minと参考値Maxの直線の間は血液流動性の正常な場合である。
【0028】
血液通過時間についてみると、被検査者Aの採取血液は、第1回目の血液検査では、図3(a)に示すように、通過時間が参考値Maxより上まわっており、正常な血液流動性は示されなかった。
【0029】
しかしながら、本発明のキムチ納豆血液流動性改善食品を46日間食した結果、第2回目の血液検査では、図3(b)に示すように、通過時間が参考値Minと参考値Maxの間に入り、むしろ、参考値Minに近い値となり、正常な血液流動性が示された。この結果、本発明のキムチ納豆血液流動性改善食品は、血液流動性改善効果があることが実証された。
【0030】
そして、血液流動状態についてみると、第1回目の血液検査では、図4に示すように、32秒経過するあたりから、血液の流動が阻害され、複数の突起アレイ間に血液が血栓状態を呈し滞留している状態が観察される。
【0031】
ところが、第2回目の血液検査では、図5に示すように、36秒経過しても、複数の突起アレイ間に血液が血栓状態とならず滞留が生成されている状態もなく、血液の流動が阻害されていないで、いわば、血液がさらさら流れている状態が観察される。このような観察結果からも、本発明のキムチ納豆血液流動性改善食品は、血液流動性改善効果があることが実証された。
【0032】
以上、本発明に係るキムチ納豆血液流動性改善食品の最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は特にこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のとおり、本発明に係るキムチ納豆血液流動性改善食品は、人が食すれば、顕著な血液流動性改善がみられるので、キムチ納豆血液流動性改善食品は、粒体やペレットとして直接に食してもよい食品形態としてもよいし、粉状でジュースや菓子等に混ぜた食品形態としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るキムチ納豆血液流動性改善食品の実施例について、含有成分の分析結果及び分析条件等を示す表である。
【図2】本発明に係るキムチ納豆血液流動性改善食品の実施例について、含有成分の分析結果及び分析条件等を示す表である。
【図3】本発明に係るキムチ納豆血液流動性改善食品を食したことによる血液流動性改善効果を示す血液検査の結果を示すグラフである。
【図4】図3の血液検査において、本発明に係るキムチ納豆血液流動性改善食品を食する前の血液流動状態を示す顕微鏡拡大写真である。
【図5】図3の血液検査において、本発明に係るキムチ納豆血液流動性改善食品を食した後の血液流動状態を示す顕微鏡拡大写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
納豆粉末とキムチ粉末を混合して成り、粉末、粒体又はペレットの形状をしており、血液の流動性の改善機能を有することを特徴とする血液流動性改善機能食品。
【請求項2】
納豆粉末とキムチ粉末を混合して成り、飲料、菓子又は主食に混ぜて食され、血液の流動性の改善機能を有することを特徴とする血液流動性改善機能食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−306824(P2007−306824A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137405(P2006−137405)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(306017830)有限会社柴山商事 (1)
【Fターム(参考)】