説明

キャップの開封器具

【課題】 キャップを強く把持するとともに、その把持状体を固定し、開封器具をキャップの中心を軸線として回転させることによって、キャップを回転させるようにした開封器具を提供すること。
【解決手段】 キャップを挿入する筒状のキャップ挿入部と握り筒部とからなる器具本体と、該器具本体内に進退自在に取着されたキャップ押付け部材と、握り筒部の一端に取着されたキャップ押付け部材の移動位置を決める操作部材とを具備した開封器具であって、キャップ挿入部の内周壁とキャップ押付け部材によりキャップを挟み込んで保持し、器具本体を回転させることにより、キャップを回転させるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル口部のキャップなどの開封器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボトル口部に強固に螺着したキャップを簡単に開封するために、ボトル口部のキャップを把持して、キャップを回転させて開封する開封器具は従来より知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1記載の開封器具は、可動部(15)を本体(10)に対し進退自在に設け、この本体(10)には異なる径のキャップ(円柱形蓋(11))が挿入可能となる円弧状溝部(12)を形成し、可動部(15)には弧状部(14)を設け、この円弧状溝部(12)と弧状部(14)により各種容器のキャップ(円柱形蓋(11))を把持して回せるようにしている。
【特許文献1】実開平7−33897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の開封器具では、本体と可動部を手指で挟持してキャップを把持するため、把持力が人によって異なり、ボトルを固定しキャップを把持して回転させる際に、把持力の弱い人ではキャップを回転させられないという問題があった。
また、開封器具を一定角度回転させると、キャップの把持を外し再度キャップを把持し直さなければならず、操作性がよくないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決することを課題とし、キャップを強く把持するとともに、その把持状体を固定し、開封器具をキャップの中心を軸線として回転させることによって、キャップを回転させるようにした開封器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、キャップの開封器具として、キャップを挿入する筒状のキャップ挿入部と握り筒部とからなる器具本体と、該器具本体内に進退自在に取着されたキャップ押付け部材と、握り筒部の一端に取着されたキャップ押付け部材の移動位置を決める操作部材とを具備した開封器具であって、キャップ挿入部の内周壁とキャップ押付け部材によりキャップを挟み込んで保持し、器具本体を回転させることにより、キャップを回転させるようにしたことを特徴とする構成を採用する。
【0007】
キャップ押付け部材を移動させる具体的手段として、操作部材の一端にねじ杆を設け、キャップ押付け部材に設けたねじ孔に螺着させ、操作部材を回転させることでキャップ押付け部材を軸方向に移動させるようにしたことを特徴とする構成を採用する。
【0008】
また、開閉器具の別実施例として上記構成に付加して、器具本体の少なくともキャップ挿入部を柔軟性を有する素材で形成し、キャップ挿入部の内周壁とキャップ押付け部材との間でキャップを挟み込むことにより、キャップの外周に合わせてキャップ挿入部を変形させるようにしたことを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
器具本体のキャップ挿入部の内周壁とキャップ押付け部材でキャップを挟み込み、挟み込んだ位置を操作部材により固定させることによって、キャップを確実に保持できるようになり、器具本体の握り筒部をキャップを中心に回転させることにより、キャップが簡単に回転できるようになった。
また、キャップ押付け部材をキャップの径に合わせて移動させ、操作部材により固定できるので、いろいろな径のキャップに対応できるようになった。
【0010】
さらにまた、キャップ挿入部を柔軟性を有する素材で形成するときには、キャップ挿入部の変形により、キャップの把持がさらに容易にできるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の開封器具の実施形態について実施例をあげて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1において、Aは、円筒状のキャップ挿入部Bと握り筒部Cとから形成される器具本体、Dは、器具本体A内部に進退自在に取着されるキャップ押付け部材である。
Eは、器具本体Aの握り筒部Cの端部に取着され、キャップ押付け部材Dの固定位置を決める操作部材である。
【0013】
図1、2に示すように、器具本体Aは、キャップ挿入部Bと握り筒部Cとからなり、キャップ挿入部Bは、円筒状の周壁1と該周壁1の上端に連設された頂壁2とから形成され、頂壁2の中央部には開口3が設けられている。
周壁1の下端は、キャップを挿入する挿入口4となっている。
【0014】
周壁1には、握り筒部Cが連設され、その周壁1内周面には握り筒部Cの内周に続く開口5が設けられ、開口5の反対側の周壁1内周面には、所定の位置にローレットなどの滑り止め部6が設けられている。
【0015】
握り筒部Cは、キャップ挿入部Bの周壁1に連設された円筒状の筒部7で形成され、筒部7内周の開口5の反対側の端部には、操作部材Eを取着するために拡径された係止部8が設けられている。
筒部7内周には、ガイド溝9が設けられている。
【0016】
キャップ押付け部材Dは、弧状に形成されたキャップ押し板10と、該キャップ押し板10の外側面中央に連設される筒状部11とからなっている。
筒状部11の内周には、ねじ孔が穿孔され、該ねじ孔にはねじ溝12が螺設されており、外周には、握り筒部Cの筒部7内周に設けられたガイド溝9と係合するガイド突条13が設けられている。
【0017】
操作部材Eは、円柱状のつまみ部15と、該つまみ部15に連設されたねじ杆16とからなり、つまみ部15は、外周の中央部より外側にはローレットが設けられ、内側には、握り筒部Cに設けられた係止部8と係合する係止部17と、握り筒部Cの筒部7内周に挿入される挿入部18が設けられている。
【0018】
ねじ杆16の先端側には、キャップ押付け部材Dの筒状部11内周に設けられたねじ溝12と螺合するねじ山19が設けられている。
【0019】
次に、本実施例の開封器具の組立てと、作用効果について説明する。
開封器具の組立てにあたっては、まず、キャップ挿入部Bの内周面の開口5にキャップ押付け部材Dを筒状部11の先端から挿入する。
その際、握り筒部Cの筒部7内周に設けたガイド溝9とキャップ押付け部材Dの筒状部11外周に設けたガイド突条13が係合することにより、キャップ押付け部材Dは握り筒部C内では回転不能、筒の軸方向にのみ進退自在として挿入される。
【0020】
次に、器具本体Aの握り筒部C内周に係止部8側開口より操作部材Eをねじ杆16側から挿入し、キャップ押付け部材Dの筒状部11内周に設けたねじ溝12に、操作部材Eのねじ杆16に設けたねじ山19を、つまみ部15を回転させながら螺着していく。
最後に、操作部材Eの係止部17と握り筒部Cの係止部8を係合させ、握り筒部Cに操作部材Eを係止させる。
【0021】
器具本体Aを固定して操作部材Eを回転させると、操作部材Eのねじ杆16に設けたねじ山19も回転するが、ねじ山19に螺合しているキャップ押付け部材Dの筒状部11内周に設けたねじ溝12は、器具本体Aの握り筒部Bのガイド溝9により回転しないため、ねじ山19の回転力によりキャップ押付け部材Dは軸方向に移動される。
このことにより、器具本体Aを固定して操作部材Eを回転させると、キャップ押付け部材Dは、器具本体A内で進退自在に移動し、回転を止めるとその位置で固定される。
【0022】
開封器具の使用にあたっては、まず、キャップ挿入部Bを挿入口4よりボトル口部のキャップFに被せ、キャップFの上面にキャップ挿入部Bの頂壁2下面を当接させる。
器具本体Aを固定して操作部材Eを回転させることで、キャップ押付け部材DをキャップF側に移動させ、キャップFをキャップ押付け部材Dのキャップ押し板10が押し、キャップ挿入部B内周に設けた滑り止め部6に押し付けることにより、図3(a)に示すように、キャップFは、器具本体Aのキャップ挿入部B内に、滑り止め部6とキャップ押付け部材Dのキャップ押し板10で挟み込まれ保持される。
【0023】
径の小さいキャップFaの時には、器具本体Aを固定して操作部材Eをより回転させることで、キャップ押付け部材DをキャップFa側に移動させ、図3(b)に示すように、キャップFaを器具本体Aのキャップ挿入部B内に、滑り止め部6とキャップ押付け部材Dのキャップ押し板10で挟み込み保持する。
【0024】
したがって、本発明の開封器具は、器具本体Aを固定して操作部材Eを適量回転させることで、いろいろな径のキャップF、Faを器具本体Aのキャップ挿入部B内に保持することができる。
キャップをキャップ挿入部B内に保持する際、キャップ挿入部Bの頂壁2に開口3を設けているため、キャップが正確に保持されているか否かを開口3から容易に視認できる。
【0025】
キャップを器具本体Aのキャップ挿入部B内に保持したまま握り筒部Cを握り、ボトルを固定して、器具本体Aをキャップを中心に開封方向に回転させると、器具本体Aのキャップ挿入部B内に保持されたキャップもいっしょに回転することとなり、簡単にキャップを開封することができる。
【0026】
ボトル口部からキャップを開封した後に、操作部材Eを逆回転させると、キャップを簡単に外すことができる。
また、キャップ挿入部Bの頂壁2に開口3を設けているため、操作部材Eを逆回転させなくても、開口3の上方より指でキャップを押すことで、簡単にキャップ挿入部B内からキャップを外すことができ、連続して開封器具を使用することができる。
【実施例2】
【0027】
次に、前記実施例の器具本体のキャップ挿入部の構成を変えた実施例について説明する。
図4において、Aaは、円筒状のキャップ挿入部Baと握り筒部Caとからなる器具本体で、キャップ挿入部Baは柔軟性を有する合成樹脂、ゴム等を素材として形成されている。
Daは、器具本体Aa内部に進退自在に取着されるキャップ押付け部材である。
Eaは、器具本体Aaの握り筒部Caの端部に取着され、キャップ押付け部材Daの固定位置を決める操作部材である。
【0028】
器具本体Aaのキャップ挿入部Ba以外の構成は、実施例1と同様であるので、キャップ挿入部Ba以外の説明は省略する。
図4、5に示すように、キャップ挿入部Baは、円筒状の周壁20より形成され、周壁20の下端は、キャップを挿入する挿入口21となっている。
【0029】
周壁20には、握り筒部Caが連設され、その周壁20内周面には握り筒部Caの内周に続く開口22が設けられ、開口22の反対側の周壁20内周面には所定の位置にローレットなどの滑り止め部23が設けられている。
実施例1と同様に、開口22にはキャップ押付け部材Daが挿入され、周壁20内でキャップ押し板10aが進退自在となるように器具本体Aaに取着されている。
【0030】
本実施例の開封器具の組立については、実施例1と同様であるので説明は省略する。
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
使用にあたっては、まず、キャップ挿入部Baを挿入口21よりボトル口部のキャップFbに被せる。
【0031】
器具本体Aaを固定して操作部材Eaを回転させることで、キャップ押付け部材DaをキャップFb側に移動させ、キャップFbをキャップ押付け部材Daのキャップ押し板10aが押し、キャップ挿入部Ba内周に設けた滑り止め部23に押し付けることにより、キャップFbは、器具本体Aaのキャップ挿入部Ba内に、滑り止め部23とキャップ押付け部材Daのキャップ押し板10aで挟み込まれ保持される。
【0032】
キャップ挿入部Baが柔軟性を有する素材で形成されているため、キャップ挿入部Baの内周の径より、径の小さいキャップFbの時には、キャップ押付け部材DaをキャップFb側に移動させ、キャップFbをキャップ挿入部Ba内周に設けた滑り止め部23に押し付ける際に、図6(a)に示すように、キャップ挿入部Ba自体も押されてキャップFaの外周に合わせて滑り止め部23側に変形する。
キャップ挿入部Baが変形することにより、キャップFbに締付け力が働き、キャップFbは、より強く保持される。
【0033】
キャップ挿入部Baの内周の径よりある程度径の大きいキャップFcの時には、キャップ挿入部Ba内周の滑り止め部23側にキャップFcの外周の一端をかけ、器具本体Aaを引っ張れば、キャップ挿入部Ba自体が柔軟性を有する材質で形成されているためキャップの外周に合わせて延びるように変形し、図6(b)に示すように、キャップFcの外周をキャップ挿入部Ba内周に挿嵌することができる。
【0034】
したがって、本実施例の開封器具は、器具本体Aaを固定して操作部材Eaを適量回転させることと、キャップ挿入部Ba自体が変形することで、いろいろな径のキャップFb、Fcを器具本体Aaのキャップ挿入部Ba内に保持することができる。
【0035】
キャップを、器具本体Aaのキャップ挿入部Ba内に保持したまま握り筒部Caを握り、ボトルを固定して、器具本体Aaをキャップを中心に開封方向に回転させると、器具本体Aaのキャップ挿入部Ba内に保持されたキャップもいっしょに回転することとなり、簡単にキャップを開封することができる。
【0036】
ボトル口部からキャップを開封した後に、キャップ挿入部Baの周壁20上端の上方より指でキャップを押すことで、キャップ挿入部Ba内からキャップを外した後に、同じ径のキャップなら、キャップ挿入部Ba自体が柔軟性を有する材質で形成されているためキャップの外周に合わせて変形し、キャップの外周をキャップ挿入部Ba内周に挿嵌することができるので、操作部材Eaを回転し、押付け板10aを移動しなくても、簡単に連続して開封器具を使用することができる。
【0037】
上記実施例では、キャップ挿入部Baの周壁20内に滑り止め部23を設けたが、キャップ挿入部Baの周壁20の素材が滑り止めの作用をする場合は、滑り止め部23は設けなくてもよい。
【0038】
本実施例では、器具本体のキャップ挿入部だけを柔軟性を有する素材で形成したが、器具本体の全体を柔軟性を有する素材で形成してもよく、器具本体の構成は、本実施例に限定されない。
【0039】
前記各実施例では、器具本体のキャップ挿入部を円形の筒で形成したが、キャップ挿入部の内周の一方とキャップ押付け部材のキャップ押し板により、キャップを挟み込み保持できればよく、キャップ挿入部の形、キャップ押し板の形は、各実施例の形態に限定されない。
【0040】
また、キャップ押し板自体も柔軟性を有する素材で形成すれば、キャップに押し付けたときにキャップに合わせて変形し、より強くキャップを保持するので、キャップ押し板の形、構成素材は、各実施例の形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の開封器具は、キャップをキャップ挿入部とキャップ押付け部で挟み込み、確実にキャップを保持することができ、次いで、器具本体をキャップを中心に回転させることにより、キャップが簡単に回転し、開封できる。
また、キャップ押付け部材を、キャップの径に合わせて移動して、操作部材によって固定できるので、いろいろな径のキャップに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明第1実施形態の開封器具の斜視図である。
【図2】開封器具の縦断面図である。
【図3】開封器具の横断面説明図で、(a)は径の大きいキャップの使用時、(b)は径の小さいキャップの使用時である。
【図4】本発明第2実施形態の開封器具の斜視図である。
【図5】開封器具の縦断面図である。
【図6】開封器具の横断面説明図で、(a)は径の小さいキャップの使用時、(b)は径の大きいキャップの使用時である。
【符号の説明】
【0043】
A、Aa 器具本体
B、Ba キャップ挿入部
C、Ca 握り筒部
D、Da キャップ押付け部材
E、Ea 操作部材
F、Fa、Fb、Fc キャップ
1、20 周壁
2 頂壁
3、 開口
4、21 挿入口
5、22 開口
6、23 滑り止め部
7 筒部
8 係止部
9 ガイド溝
10、10a キャップ押し板
11 筒状部
12 ねじ溝
13 ガイド突条
15 つまみ部
16 ねじ杆
17 係止部
18 挿入部
19 ねじ山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを挿入する筒状のキャップ挿入部と握り筒部とからなる器具本体と、
該器具本体内に進退自在に取着されたキャップ押付け部材と、
握り筒部の一端に取着されたキャップ押付け部材の移動位置を決める操作部材とを具備した開封器具であって、
キャップ挿入部の内周壁とキャップ押付け部材によりキャップを挟み込んで保持し、器具本体を回転させることにより、キャップを回転させるようにしたことを特徴とするキャップの開封器具。
【請求項2】
操作部材の一端にねじ杆を設け、キャップ押付け部材に設けたねじ孔に螺着させ、操作部材を回転させることでキャップ押付け部材を軸方向に移動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のキャップの開封器具。
【請求項3】
器具本体の少なくともキャップ挿入部を柔軟性を有する素材で形成し、キャップ挿入部の内周壁とキャップ押付け部材との間でキャップを挟み込むことにより、キャップの外周に合わせてキャップ挿入部を変形させるようにしたことを特徴とする請求項1〜2記載のキャップの開封器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−36326(P2006−36326A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222210(P2004−222210)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】