キャップ付き容器
【課題】子供にとって開蓋の方法がわかりにくく、しかも、部品点数が少なく、構造が簡単で、長期間損傷したり、破損したりすることがないキャップ付き容器を提供する。
【解決手段】容器1とキャップ11とを備え、上記口部4の外周面に第1上側ねじ部5が刻設され、この第1上側ねじ部5の下側にこの第1上側ねじ部5に対して逆ねじとなる第1下側ねじ部6が刻設され、上記キャップ11の内周面に、第1上側ねじ部5に螺合する第2上側ねじ部14および第1下側ねじ部6に螺合する第2下側ねじ部16が刻設され、閉蓋状態では上記両上側ねじ部5,6が螺合し、かつ第1下側ねじ部14の下側に第2下側ねじ部16が位置し、この閉蓋状態から開蓋状態に移行させる途中で、上記両上側ねじ部5,6の螺合が外れて第1下側ねじ部14に対応する位置に第2下側ねじ部16が上昇し上記両下側ねじ部14,16を螺合させうるように構成している。
【解決手段】容器1とキャップ11とを備え、上記口部4の外周面に第1上側ねじ部5が刻設され、この第1上側ねじ部5の下側にこの第1上側ねじ部5に対して逆ねじとなる第1下側ねじ部6が刻設され、上記キャップ11の内周面に、第1上側ねじ部5に螺合する第2上側ねじ部14および第1下側ねじ部6に螺合する第2下側ねじ部16が刻設され、閉蓋状態では上記両上側ねじ部5,6が螺合し、かつ第1下側ねじ部14の下側に第2下側ねじ部16が位置し、この閉蓋状態から開蓋状態に移行させる途中で、上記両上側ねじ部5,6の螺合が外れて第1下側ねじ部14に対応する位置に第2下側ねじ部16が上昇し上記両下側ねじ部14,16を螺合させうるように構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供が誤ってキャップを開けて容器内の薬液等を飲んでしまうという事故等を防ぐようにした誤飲防止用のキャップ付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の液体,錠剤等を収容する容器と、この容器の口部にねじ止めされるキャップとからなるキャップ付き容器が多く出回っているが、このものは、容器の口部にキャップをねじ止めしているだけであるため、子供でも簡単に開蓋することができる。したがって、容器内に人体に有害な薬液等が収容されている場合にも、子供が誤って開蓋して容器内の薬液等を飲んでしまうという事故等が発生する恐れがある。
【0003】
そこで、このような事故等を防ぐため、例えば、図18に示すような容器の安全キャップが提案されている。この安全キャップは、外キャップ41と、この外キャップ41内に回転自在および上下動自在に収容される内キャップ42とを備えており、上記外キャップ41の上壁41aの外周縁部に6個の突子43を突設するとともに、内周部にラチェット機構44の一方を構成する4個の固定爪45を突設し、上記内キャップ42の円筒体42aの上端面に6個のキー46を突設するとともに、中壁42bに、ラチェット機構44の他方を構成する4個の制止爪47を突設している。また、これら各制止爪47は、下方への押圧力を与えると深く屈曲しその押圧力を解除すると元の状態に復帰する弾力を備えている。
【0004】
そして、上記の安全キャップで容器口を閉蓋する場合には、通常どおり、外キャップ41を時計回り方向に回転する。このとき、上記ラチェット機構44の固定爪45とキー46との噛み合いにより、内外両キャップ41,42が一体化されており、容器口に内キャップ42をねじ止めすることができる。一方、開蓋する場合には、単に外キャップ41を反時計回り方向に回転してもラチェット機構44により空回りするだけであるため、外キャップ41を下側に押し付けて突子43とキー46とを係合させ、この係合により内外両キャップ41,42を一体化したのち外キャップ41を反時計回り方向に回転することを行う(例えば、特許文献1参照)。図において、48は上記容器口の雄ねじ(図示せず)に螺合する雌ねじで、49はパッキングである。
【特許文献1】特開平10−152155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の安全キャップでは、外キャップ41と内キャップ42とを備えているため、部品点数が多く、在庫管理等の管理面が複雑化する。しかも、外キャップ41に6個の突子43と、ラチェット機構44の一方を構成する4個の固定爪45を突設し、内キャップ42に、6個のキー46と、ラチェット機構44の他方を構成する4個の制止爪47を突設しているため、構造が複雑であり、製造コストが高価になる。しかも、開蓋操作中は常に、ラチェット機構44を構成する固定爪45,制止爪47に下向きの大きな力が作用しているため、これら固定爪45,制止爪47が早期に損傷したり、破損したりする。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、子供にとって開蓋の方法がわかりにくく、しかも、部品点数が少なく、構造が簡単で、長期間損傷したり、破損したりすることがないキャップ付き容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、容器と、この容器の口部に螺着されるキャップとを備え、上記容器の口部の外周面に第1上側ねじ部が刻設されているとともに、この第1上側ねじ部の下側にこの第1上側ねじ部に対して逆ねじとなる第1下側ねじ部が刻設され、上記キャップの内周面に、第1上側ねじ部に螺合する第2上側ねじ部および第1下側ねじ部に螺合する第2下側ねじ部が刻設され、上記両上側ねじ部を螺合させた状態で上記容器の口部に対してキャップを所定の方向に相対回動させることによりキャップを上昇可能に構成するとともに、上記両下側ねじ部を螺合させた状態でキャップを上記所定の方向に対し逆の方向に相対回動させることによってもキャップを上昇可能に構成し、閉蓋状態では、上記両上側ねじ部が螺合し、かつ第1下側ねじ部の下側に所定の隙間をあけて第2下側ねじ部が位置し、この閉蓋状態から開蓋状態に移行させる途中で、上記両上側ねじ部の螺合が外れるとともに第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部が上昇して上記両下側ねじ部を螺合させうるように構成したキャップ付き容器を第1の要旨とし、容器と、この容器の口部に螺着されるキャップとを備え、上記容器の口部の外周面に係合部が係合されているとともに、この係合部の下側に第1ねじ部が刻設され、上記キャップの内周面に、上記係合部に対し上方への抜け出し防止状に係合する被係合部が形成されているとともに、この被係合部の下側に、上記第1ねじ部に螺合する第2ねじ部が刻設され、上記両ねじ部を螺合させた状態で上記容器の口部に対してキャップを所定の方向に相対回動させることによりキャップを上昇可能に構成し、上記キャップの上部が弾性変形可能であり、上記キャップの上部の、相対向する一側部同士を内側に押圧してキャップを横長形状に弾性変形させることにより、相対向する他側部同士の間隔を拡げて上記容器の係合部とキャップの被係合部との係合を外し上記係合部の上方に上記被係合部を抜き出し可能に構成し、閉蓋状態では、上記両係合部が係合し、かつ第1ねじ部の下側に所定の隙間をあけて第2ねじ部が位置し、この閉蓋状態から開蓋状態に移行させる途中で、上記係合が外れた状態のキャップを上方に移動させることにより第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部を上昇させて上記両下側ねじ部を螺合させうるように構成したキャップ付き容器を第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
すなわち、本発明の第1のキャップ付き容器は、閉蓋状態では、容器の口部の外周面の第1上側ねじ部とキャップの内周面の第2上側ねじ部とが螺合しており、容器の口部の外周面の(上記第1上側ねじ部に対して逆ねじとなる)第1下側ねじ部の下側にキャップの内周面の第2下側ねじ部が位置している。このような閉蓋状態から開蓋状態に移行させる場合には、まず、上記容器の口部に対してキャップを所定の方向に相対回動させることで上記両上側ねじ部の螺合によりキャップを上昇させる。ついで、この上昇により上記両上側ねじ部の螺合が外れると、第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部が上昇しており、キャップを上記所定の方向に対し逆の方向に相対回動させることで上記両下側ねじ部が螺合してキャップが再度上昇し、この上昇により容器の口部からキャップが取り外される。一方、閉蓋する場合には、上記開蓋作業と逆の手順を行う。
【0009】
上記のように、本発明の第1のキャップ付き容器では、開蓋する場合には、キャップの回転方向を途中で逆にしなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。しかも、容器以外には1個のキャップがあればよく、部品点数が少なく、在庫管理等の管理面が簡単化する。しかも、キャップの内周面に第2上側ねじ部と、この第2上側ねじ部に対して逆ねじとなる第2下側ねじ部とが刻設されているだけであるため、構造が簡単であり、製造コストが安価になる。しかも、開蓋はキャップを回転させるだけで行えるため、小さな力で行え、長期間にわたってキャップが損傷したり、破損したりすることがない。
【0010】
また、本発明の第2のキャップ付き容器は、閉蓋状態では、容器の口部の外周面の係合部とキャップの内周面の被係合部とが上方への抜け出し防止状に係合しており、容器の口部の外周面の第1ねじ部の下側にキャップの内周面の第2ねじ部が位置している。このような閉蓋状態から開蓋状態に移行させる場合には、まず、上記キャップの上部の、相対向する一側部同士を内側に押圧してキャップを横長形状に弾性変形させることにより、相対向する他側部同士の間隔を拡げて上記係合を外し、この係合が外れたキャップを上方に移動させることにより第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部を上昇させ、キャップを所定の方向に相対回動させることで上記両ねじ部が螺合してキャップが上昇し、この上昇により容器の口部からキャップが取り外される。一方、閉蓋する場合には、上記開蓋作業と逆の手順を行う。
【0011】
上記のように、本発明の第2のキャップ付き容器では、開蓋する場合には、キャップを下方に押圧したのち所定の方向に回転させなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。しかも、容器以外には1個のキャップがあればよく、部品点数が少なく、在庫管理等の管理面が簡単化する。しかも、キャップの内周面に被係合部と第2ねじ部が形成されているだけであるため、構造が簡単であり、製造コストが安価になる。しかも、開蓋はキャップを下方に押圧したのち所定の方向に回転させるだけで行えるため、小さな力で行え、長期間にわたってキャップが損傷したり、破損したりすることがない。
【0012】
また、本発明の第2のキャップ付き容器において、上記容器の口部の上部外周面に形成された係合部が、凹部もしくは凸部であり、上記キャップの上部内周面に形成された被係合部が、上記容器の口部の径方向に沿って移動しうる凸部もしくは凹部である場合には、キャップの上部の、相対向する一側部同士を内側に押圧してキャップを横長形状に弾性変形させるだけで、簡単に上記両係合部の係合を外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0014】
図1は本発明の第1のキャップ付き容器の一実施の形態を示している。図において、1は合成樹脂製の容器であり、内部に薬液等の内容物(図示せず)を収容する胴部2と、この胴部2の上端開口部から上方に向かって縮径状に延びる肩部3と、この肩部3の上端開口部から上方に向かって略円筒状に延びる口部4とを備えている。この口部4は、その外周面が段付き状に形成されており、外周面が小径に形成された上側小径部4aと、外周面が上側小径部4aより大径に形成された下側大径部4bとからなっている。
【0015】
そして、図2および図3に示すように、上記上側小径部4aには第1上側ねじ部5が間欠状に刻設されており、上記下側大径部4bには、上記第1上側ねじ部5に対して逆ねじとなる第1下側ねじ部6が間欠状に刻設されているとともに、この第1下側ねじ部6の下側に、後述するキャップ11の第2下側ねじ部16が螺旋状に空回りしながら上下動しうる円筒部7が形成されている。なお、上記第1上側ねじ部5のねじ山の高さは、上記下側大径部4bの外周面から突出しない高さ(上記下側大径部4bの外周面と同一もしくは低くなる高さ)に形成されており、これにより、上記キャップ11の第2下側ねじ部16が口部4の上側小径部4aを通過する際に上記第2下側ねじ部16と第1上側ねじ部5とが干渉し合わないようにしている。
【0016】
11は有天円筒状に形成された合成樹脂製のキャップ(図1参照)であり、略円筒形状に形成された外壁12,内壁13からなる内外二重壁構造に形成されている。上記内壁13は、その内周面が段付き状に形成されており、内周面が小径に形成された上側小径部13aと、内周面が上側小径部13aより大径に形成された下側大径部13bとからなっている。
【0017】
そして、図4に示すように、上記上側小径部13aには、上記口部4の第1上側ねじ部5(図1参照)に螺合する第2上側ねじ部14が間欠状に刻設されており、上記下側大径部13bには、上記口部4の第1下側ねじ部6が上下動しうる円筒部15が形成されているとともに、この円筒部15の下側に、第1下側ねじ部6に螺合する(すなわち、第2上側ねじ部14に対して逆ねじとなる)第2下側ねじ部16が間欠状に刻設されている。17は上記キャップ11の天井壁に接着,固定された合成樹脂製もしくはゴム製の円板状シール材であり、閉蓋状態で上記口部4の上端開口部を密封する作用をする。
【0018】
上記の構成において、容器1の口部4にキャップ11を閉蓋した状態では、上記両上側ねじ部5,14は螺合しており、また、第1下側ねじ部6の下側に所定の距離をあけた状態で第2下側ねじ部16が位置決めされている(図1および図5参照)。
【0019】
この閉蓋状態からキャップ11を開蓋する場合には、まず、キャップ11を反時計回り方向に回転させ、上記両上側ねじ部5,14の螺合によりキャップ11を上昇させる。このとき、キャップ11の第2下側ねじ部16は口部4の円筒部7の外周を螺旋状に空回りしながら上昇する。ついで、キャップ11が所定の位置まで上昇して上記両上側ねじ部5,14の螺合が外れると、これと同時にもしくはキャップ11を少し上昇させることで、第1下側ねじ部6と第2下側ねじ部16とが当接し、もしくは第1下側ねじ部6に対応する位置に第2下側ねじ部16が位置決めされ(図6および図7参照)、この状態でキャップ11を上方に引っ張りながら時計回り方向に回転させると、上記両下側ねじ部6,16が螺合し、この螺合によりキャップ11が再度上昇して(図8および図9参照)口部4から取り外される。
【0020】
一方、キャップ11を閉蓋する場合には、まず、容器1の口部4にキャップ11を外嵌状に挿入し、ついで、上記両下側ねじ部6,16が当接すると、キャップ11を反時計回り方向に回転させて上記両下側ねじ部6,16の螺合によりキャップ11を下降させる。つぎに、キャップ11が所定の位置まで下降して上記螺合が外れる(第2下側ねじ部16の下側に第1下側ねじ部6が配設されていない位置までキャップ11を回転させる)と、これと同時にもしくはキャップ11を少し下降させることで、上記両上側ねじ部5,14とが当接し、もしくは第1上側ねじ部5に対応する位置に第2上側ねじ部14が位置決めされ、この状態でキャップ11を時計回り方向に回転させると、上記両上側ねじ部5,14が螺合し、この螺合によりキャップ11が再度下降して(このとき、第2下側ねじ部16は円筒部7の外周を螺旋状に空回りしながら下降する)口部4に取り付けられる。
【0021】
このように、上記実施の形態では、開蓋する場合には、キャップ11を下方に押圧したのち所定の方向に回転させなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。しかも、容器1以外には1個のキャップ11があればよく、部品点数が少なく、在庫管理等の管理面が簡単化する。しかも、キャップ11の内周面に第2上側ねじ部14と、この第2上側ねじ部14に対して逆ねじとなる第2下側ねじ部16とが刻設されているだけであるため、構造が簡単であり、製造コストが安価になる。しかも、開蓋はキャップ11を回転させるだけで行えるため、小さな力で行え、長期間にわたってキャップ11が損傷したり、破損したりすることがない。
【0022】
図10は本発明の第2のキャップ付き容器の一実施の形態を示している。この実施の形態では、容器1の口部4には、その上側小径部4aの上端部に円環状の係合凸部21が突設されており、下側大径部4bには、第1ねじ部22が間欠状に刻設されている(図11および図12参照)。
【0023】
一方、キャップ11は、内外二重壁構造に形成されており、(例えば、前後方向に長くて左右方向に短い)略楕円形状に形成された外壁12と、略円筒形状に形成された内壁13とからなっている(図13および図14参照)。上記内壁13には、その上側小径部13aの内周面の、相対向する両側面(例えば、左右両側面)に、上記係合凸部21に着脱自在に係合する一対の被係合凸部23が相対向する状態で形成されており、上記下側大径部13bには、第1ねじ部22に螺合する第2ねじ部24が間欠状に刻設されている。また、上記キャップ11は、外壁12および内壁13の上端部が弾性変形可能に形成されており、上記外壁12の前後両側部分を内側に押圧することにより、内壁13の左右両側部分が弾性変形して外側に移動し(左右両側部分間の間隔が拡がり)上記係合が外れる(すなわち、係合凸部21の外側に両被係合凸部23が飛び出す)ようにしている(図14および図15の矢印参照)。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0024】
上記の構成において、容器1の口部4にキャップ11を閉蓋した状態では、キャップ11の両被係合凸部23が上記口部4の係合凸部21の下側に位置決めされて上方への抜け出し防止状に係合している。また、上記両ねじ部22,24は螺合していない(図10参照)。
【0025】
この閉蓋状態からキャップ11を開蓋する場合には、まず、キャップ11の外壁12の前後両側部分を内側に押圧して上記係合凸部21,両被係合凸部23の係合を外し(図16参照)、ついで、キャップ11を上方に持ち上げて、上記両ねじ部22,24を当接させ、もしくは第1ねじ部22に対応する位置に第2ねじ部24を位置決めさせ、この状態でキャップ11を上方に引っ張りながら反時計回り方向に回転させると、上記両ねじ部22,24が螺合し、この螺合によりキャップ11が上昇して(図17参照)口部4から取り外される。
【0026】
一方、閉蓋する場合には、まず、容器1の口部4にキャップ11を外嵌状に挿入し、ついで、上記両ねじ部22,24が当接すると、キャップ11を時計回り方向に回転させて上記両ねじ部22,24の螺合によりキャップ11を下降させる。つぎに、キャップ11が所定の位置まで下降して上記螺合が外れる(第2ねじ部24の下側に第1ねじ部22が配設されていない位置までキャップ11を回転させる)と、キャップ11の外壁12の前後両側部分を内側に押圧しながらキャップ11を下降させて上記係合凸部21,両被係合凸部23を係合させ、口部4に取り付ける。
【0027】
このように、上記実施の形態では、開蓋する場合には、キャップ11を下方に押圧したのち所定の方向に回転させなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。しかも、容器1以外には1個のキャップ11があればよく、部品点数が少なく、在庫管理等の管理面が簡単化する。しかも、キャップ11の内周面に被係合凸部23と第2ねじ部24が形成されているだけであるため、構造が簡単であり、製造コストが安価になる。しかも、開蓋はキャップ11を下方に押圧したのち所定の方向に回転させるだけで行えるため、小さな力で行え、長期間にわたってキャップ11が損傷したり、破損したりすることがない。
【0028】
なお、上記両実施の形態では、容器1の口部4に刻設した第1上側ねじ部5,第1ねじ部22およびキャップ11に刻設した第2上側ねじ部14,第2ねじ部24を、開蓋時に反時計回り方向に回転し、容器1の口部4に刻設した第1下側ねじ部6およびキャップ11に刻設した第2下側ねじ部16を、開蓋時に時計回り方向に回転しているが、これに限定するものではなく、逆の方向に回転してもよい。
【0029】
また、上記両実施の形態では、容器1の口部4の外周面に上側小径部4a,下側大径部4bが形成され、キャップの内周面に上側小径部13a,下側大径部13bが形成されてているが、上記外周面および内周面の双方が、その上下全幅にわたって同径であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1のキャップ付き容器の一実施の形態を示す要部の断面図である。
【図2】容器の口部を示す断面図である。
【図3】上記口部を示す側面図である。
【図4】キャップの断面図である。
【図5】上記第1のキャップ付き容器の作用を示す側面図である。
【図6】上記第1のキャップ付き容器の作用を示す断面図である。
【図7】上記第1のキャップ付き容器の作用を示す側面図である。
【図8】上記第1のキャップ付き容器の作用を示す断面図である。
【図9】上記第1のキャップ付き容器の作用を示す側面図である。
【図10】本発明の第2のキャップ付き容器の一実施の形態を示す要部の断面図である。
【図11】上記口部を示す断面図である。
【図12】上記口部を示す側面図である。
【図13】キャップの断面図である。
【図14】上記キャップの平面図である。
【図15】上記キャップの作用を示す説明図である。
【図16】上記第2のキャップ付き容器の作用を示す断面図である。
【図17】上記第2のキャップ付き容器の作用を示す断面図である。
【図18】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 容器
4 口部
5 第1上側ねじ部
6 第1下側ねじ部
11 キャップ
14 第2上側ねじ部
16 第2下側ねじ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供が誤ってキャップを開けて容器内の薬液等を飲んでしまうという事故等を防ぐようにした誤飲防止用のキャップ付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の液体,錠剤等を収容する容器と、この容器の口部にねじ止めされるキャップとからなるキャップ付き容器が多く出回っているが、このものは、容器の口部にキャップをねじ止めしているだけであるため、子供でも簡単に開蓋することができる。したがって、容器内に人体に有害な薬液等が収容されている場合にも、子供が誤って開蓋して容器内の薬液等を飲んでしまうという事故等が発生する恐れがある。
【0003】
そこで、このような事故等を防ぐため、例えば、図18に示すような容器の安全キャップが提案されている。この安全キャップは、外キャップ41と、この外キャップ41内に回転自在および上下動自在に収容される内キャップ42とを備えており、上記外キャップ41の上壁41aの外周縁部に6個の突子43を突設するとともに、内周部にラチェット機構44の一方を構成する4個の固定爪45を突設し、上記内キャップ42の円筒体42aの上端面に6個のキー46を突設するとともに、中壁42bに、ラチェット機構44の他方を構成する4個の制止爪47を突設している。また、これら各制止爪47は、下方への押圧力を与えると深く屈曲しその押圧力を解除すると元の状態に復帰する弾力を備えている。
【0004】
そして、上記の安全キャップで容器口を閉蓋する場合には、通常どおり、外キャップ41を時計回り方向に回転する。このとき、上記ラチェット機構44の固定爪45とキー46との噛み合いにより、内外両キャップ41,42が一体化されており、容器口に内キャップ42をねじ止めすることができる。一方、開蓋する場合には、単に外キャップ41を反時計回り方向に回転してもラチェット機構44により空回りするだけであるため、外キャップ41を下側に押し付けて突子43とキー46とを係合させ、この係合により内外両キャップ41,42を一体化したのち外キャップ41を反時計回り方向に回転することを行う(例えば、特許文献1参照)。図において、48は上記容器口の雄ねじ(図示せず)に螺合する雌ねじで、49はパッキングである。
【特許文献1】特開平10−152155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の安全キャップでは、外キャップ41と内キャップ42とを備えているため、部品点数が多く、在庫管理等の管理面が複雑化する。しかも、外キャップ41に6個の突子43と、ラチェット機構44の一方を構成する4個の固定爪45を突設し、内キャップ42に、6個のキー46と、ラチェット機構44の他方を構成する4個の制止爪47を突設しているため、構造が複雑であり、製造コストが高価になる。しかも、開蓋操作中は常に、ラチェット機構44を構成する固定爪45,制止爪47に下向きの大きな力が作用しているため、これら固定爪45,制止爪47が早期に損傷したり、破損したりする。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、子供にとって開蓋の方法がわかりにくく、しかも、部品点数が少なく、構造が簡単で、長期間損傷したり、破損したりすることがないキャップ付き容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、容器と、この容器の口部に螺着されるキャップとを備え、上記容器の口部の外周面に第1上側ねじ部が刻設されているとともに、この第1上側ねじ部の下側にこの第1上側ねじ部に対して逆ねじとなる第1下側ねじ部が刻設され、上記キャップの内周面に、第1上側ねじ部に螺合する第2上側ねじ部および第1下側ねじ部に螺合する第2下側ねじ部が刻設され、上記両上側ねじ部を螺合させた状態で上記容器の口部に対してキャップを所定の方向に相対回動させることによりキャップを上昇可能に構成するとともに、上記両下側ねじ部を螺合させた状態でキャップを上記所定の方向に対し逆の方向に相対回動させることによってもキャップを上昇可能に構成し、閉蓋状態では、上記両上側ねじ部が螺合し、かつ第1下側ねじ部の下側に所定の隙間をあけて第2下側ねじ部が位置し、この閉蓋状態から開蓋状態に移行させる途中で、上記両上側ねじ部の螺合が外れるとともに第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部が上昇して上記両下側ねじ部を螺合させうるように構成したキャップ付き容器を第1の要旨とし、容器と、この容器の口部に螺着されるキャップとを備え、上記容器の口部の外周面に係合部が係合されているとともに、この係合部の下側に第1ねじ部が刻設され、上記キャップの内周面に、上記係合部に対し上方への抜け出し防止状に係合する被係合部が形成されているとともに、この被係合部の下側に、上記第1ねじ部に螺合する第2ねじ部が刻設され、上記両ねじ部を螺合させた状態で上記容器の口部に対してキャップを所定の方向に相対回動させることによりキャップを上昇可能に構成し、上記キャップの上部が弾性変形可能であり、上記キャップの上部の、相対向する一側部同士を内側に押圧してキャップを横長形状に弾性変形させることにより、相対向する他側部同士の間隔を拡げて上記容器の係合部とキャップの被係合部との係合を外し上記係合部の上方に上記被係合部を抜き出し可能に構成し、閉蓋状態では、上記両係合部が係合し、かつ第1ねじ部の下側に所定の隙間をあけて第2ねじ部が位置し、この閉蓋状態から開蓋状態に移行させる途中で、上記係合が外れた状態のキャップを上方に移動させることにより第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部を上昇させて上記両下側ねじ部を螺合させうるように構成したキャップ付き容器を第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
すなわち、本発明の第1のキャップ付き容器は、閉蓋状態では、容器の口部の外周面の第1上側ねじ部とキャップの内周面の第2上側ねじ部とが螺合しており、容器の口部の外周面の(上記第1上側ねじ部に対して逆ねじとなる)第1下側ねじ部の下側にキャップの内周面の第2下側ねじ部が位置している。このような閉蓋状態から開蓋状態に移行させる場合には、まず、上記容器の口部に対してキャップを所定の方向に相対回動させることで上記両上側ねじ部の螺合によりキャップを上昇させる。ついで、この上昇により上記両上側ねじ部の螺合が外れると、第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部が上昇しており、キャップを上記所定の方向に対し逆の方向に相対回動させることで上記両下側ねじ部が螺合してキャップが再度上昇し、この上昇により容器の口部からキャップが取り外される。一方、閉蓋する場合には、上記開蓋作業と逆の手順を行う。
【0009】
上記のように、本発明の第1のキャップ付き容器では、開蓋する場合には、キャップの回転方向を途中で逆にしなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。しかも、容器以外には1個のキャップがあればよく、部品点数が少なく、在庫管理等の管理面が簡単化する。しかも、キャップの内周面に第2上側ねじ部と、この第2上側ねじ部に対して逆ねじとなる第2下側ねじ部とが刻設されているだけであるため、構造が簡単であり、製造コストが安価になる。しかも、開蓋はキャップを回転させるだけで行えるため、小さな力で行え、長期間にわたってキャップが損傷したり、破損したりすることがない。
【0010】
また、本発明の第2のキャップ付き容器は、閉蓋状態では、容器の口部の外周面の係合部とキャップの内周面の被係合部とが上方への抜け出し防止状に係合しており、容器の口部の外周面の第1ねじ部の下側にキャップの内周面の第2ねじ部が位置している。このような閉蓋状態から開蓋状態に移行させる場合には、まず、上記キャップの上部の、相対向する一側部同士を内側に押圧してキャップを横長形状に弾性変形させることにより、相対向する他側部同士の間隔を拡げて上記係合を外し、この係合が外れたキャップを上方に移動させることにより第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部を上昇させ、キャップを所定の方向に相対回動させることで上記両ねじ部が螺合してキャップが上昇し、この上昇により容器の口部からキャップが取り外される。一方、閉蓋する場合には、上記開蓋作業と逆の手順を行う。
【0011】
上記のように、本発明の第2のキャップ付き容器では、開蓋する場合には、キャップを下方に押圧したのち所定の方向に回転させなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。しかも、容器以外には1個のキャップがあればよく、部品点数が少なく、在庫管理等の管理面が簡単化する。しかも、キャップの内周面に被係合部と第2ねじ部が形成されているだけであるため、構造が簡単であり、製造コストが安価になる。しかも、開蓋はキャップを下方に押圧したのち所定の方向に回転させるだけで行えるため、小さな力で行え、長期間にわたってキャップが損傷したり、破損したりすることがない。
【0012】
また、本発明の第2のキャップ付き容器において、上記容器の口部の上部外周面に形成された係合部が、凹部もしくは凸部であり、上記キャップの上部内周面に形成された被係合部が、上記容器の口部の径方向に沿って移動しうる凸部もしくは凹部である場合には、キャップの上部の、相対向する一側部同士を内側に押圧してキャップを横長形状に弾性変形させるだけで、簡単に上記両係合部の係合を外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0014】
図1は本発明の第1のキャップ付き容器の一実施の形態を示している。図において、1は合成樹脂製の容器であり、内部に薬液等の内容物(図示せず)を収容する胴部2と、この胴部2の上端開口部から上方に向かって縮径状に延びる肩部3と、この肩部3の上端開口部から上方に向かって略円筒状に延びる口部4とを備えている。この口部4は、その外周面が段付き状に形成されており、外周面が小径に形成された上側小径部4aと、外周面が上側小径部4aより大径に形成された下側大径部4bとからなっている。
【0015】
そして、図2および図3に示すように、上記上側小径部4aには第1上側ねじ部5が間欠状に刻設されており、上記下側大径部4bには、上記第1上側ねじ部5に対して逆ねじとなる第1下側ねじ部6が間欠状に刻設されているとともに、この第1下側ねじ部6の下側に、後述するキャップ11の第2下側ねじ部16が螺旋状に空回りしながら上下動しうる円筒部7が形成されている。なお、上記第1上側ねじ部5のねじ山の高さは、上記下側大径部4bの外周面から突出しない高さ(上記下側大径部4bの外周面と同一もしくは低くなる高さ)に形成されており、これにより、上記キャップ11の第2下側ねじ部16が口部4の上側小径部4aを通過する際に上記第2下側ねじ部16と第1上側ねじ部5とが干渉し合わないようにしている。
【0016】
11は有天円筒状に形成された合成樹脂製のキャップ(図1参照)であり、略円筒形状に形成された外壁12,内壁13からなる内外二重壁構造に形成されている。上記内壁13は、その内周面が段付き状に形成されており、内周面が小径に形成された上側小径部13aと、内周面が上側小径部13aより大径に形成された下側大径部13bとからなっている。
【0017】
そして、図4に示すように、上記上側小径部13aには、上記口部4の第1上側ねじ部5(図1参照)に螺合する第2上側ねじ部14が間欠状に刻設されており、上記下側大径部13bには、上記口部4の第1下側ねじ部6が上下動しうる円筒部15が形成されているとともに、この円筒部15の下側に、第1下側ねじ部6に螺合する(すなわち、第2上側ねじ部14に対して逆ねじとなる)第2下側ねじ部16が間欠状に刻設されている。17は上記キャップ11の天井壁に接着,固定された合成樹脂製もしくはゴム製の円板状シール材であり、閉蓋状態で上記口部4の上端開口部を密封する作用をする。
【0018】
上記の構成において、容器1の口部4にキャップ11を閉蓋した状態では、上記両上側ねじ部5,14は螺合しており、また、第1下側ねじ部6の下側に所定の距離をあけた状態で第2下側ねじ部16が位置決めされている(図1および図5参照)。
【0019】
この閉蓋状態からキャップ11を開蓋する場合には、まず、キャップ11を反時計回り方向に回転させ、上記両上側ねじ部5,14の螺合によりキャップ11を上昇させる。このとき、キャップ11の第2下側ねじ部16は口部4の円筒部7の外周を螺旋状に空回りしながら上昇する。ついで、キャップ11が所定の位置まで上昇して上記両上側ねじ部5,14の螺合が外れると、これと同時にもしくはキャップ11を少し上昇させることで、第1下側ねじ部6と第2下側ねじ部16とが当接し、もしくは第1下側ねじ部6に対応する位置に第2下側ねじ部16が位置決めされ(図6および図7参照)、この状態でキャップ11を上方に引っ張りながら時計回り方向に回転させると、上記両下側ねじ部6,16が螺合し、この螺合によりキャップ11が再度上昇して(図8および図9参照)口部4から取り外される。
【0020】
一方、キャップ11を閉蓋する場合には、まず、容器1の口部4にキャップ11を外嵌状に挿入し、ついで、上記両下側ねじ部6,16が当接すると、キャップ11を反時計回り方向に回転させて上記両下側ねじ部6,16の螺合によりキャップ11を下降させる。つぎに、キャップ11が所定の位置まで下降して上記螺合が外れる(第2下側ねじ部16の下側に第1下側ねじ部6が配設されていない位置までキャップ11を回転させる)と、これと同時にもしくはキャップ11を少し下降させることで、上記両上側ねじ部5,14とが当接し、もしくは第1上側ねじ部5に対応する位置に第2上側ねじ部14が位置決めされ、この状態でキャップ11を時計回り方向に回転させると、上記両上側ねじ部5,14が螺合し、この螺合によりキャップ11が再度下降して(このとき、第2下側ねじ部16は円筒部7の外周を螺旋状に空回りしながら下降する)口部4に取り付けられる。
【0021】
このように、上記実施の形態では、開蓋する場合には、キャップ11を下方に押圧したのち所定の方向に回転させなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。しかも、容器1以外には1個のキャップ11があればよく、部品点数が少なく、在庫管理等の管理面が簡単化する。しかも、キャップ11の内周面に第2上側ねじ部14と、この第2上側ねじ部14に対して逆ねじとなる第2下側ねじ部16とが刻設されているだけであるため、構造が簡単であり、製造コストが安価になる。しかも、開蓋はキャップ11を回転させるだけで行えるため、小さな力で行え、長期間にわたってキャップ11が損傷したり、破損したりすることがない。
【0022】
図10は本発明の第2のキャップ付き容器の一実施の形態を示している。この実施の形態では、容器1の口部4には、その上側小径部4aの上端部に円環状の係合凸部21が突設されており、下側大径部4bには、第1ねじ部22が間欠状に刻設されている(図11および図12参照)。
【0023】
一方、キャップ11は、内外二重壁構造に形成されており、(例えば、前後方向に長くて左右方向に短い)略楕円形状に形成された外壁12と、略円筒形状に形成された内壁13とからなっている(図13および図14参照)。上記内壁13には、その上側小径部13aの内周面の、相対向する両側面(例えば、左右両側面)に、上記係合凸部21に着脱自在に係合する一対の被係合凸部23が相対向する状態で形成されており、上記下側大径部13bには、第1ねじ部22に螺合する第2ねじ部24が間欠状に刻設されている。また、上記キャップ11は、外壁12および内壁13の上端部が弾性変形可能に形成されており、上記外壁12の前後両側部分を内側に押圧することにより、内壁13の左右両側部分が弾性変形して外側に移動し(左右両側部分間の間隔が拡がり)上記係合が外れる(すなわち、係合凸部21の外側に両被係合凸部23が飛び出す)ようにしている(図14および図15の矢印参照)。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0024】
上記の構成において、容器1の口部4にキャップ11を閉蓋した状態では、キャップ11の両被係合凸部23が上記口部4の係合凸部21の下側に位置決めされて上方への抜け出し防止状に係合している。また、上記両ねじ部22,24は螺合していない(図10参照)。
【0025】
この閉蓋状態からキャップ11を開蓋する場合には、まず、キャップ11の外壁12の前後両側部分を内側に押圧して上記係合凸部21,両被係合凸部23の係合を外し(図16参照)、ついで、キャップ11を上方に持ち上げて、上記両ねじ部22,24を当接させ、もしくは第1ねじ部22に対応する位置に第2ねじ部24を位置決めさせ、この状態でキャップ11を上方に引っ張りながら反時計回り方向に回転させると、上記両ねじ部22,24が螺合し、この螺合によりキャップ11が上昇して(図17参照)口部4から取り外される。
【0026】
一方、閉蓋する場合には、まず、容器1の口部4にキャップ11を外嵌状に挿入し、ついで、上記両ねじ部22,24が当接すると、キャップ11を時計回り方向に回転させて上記両ねじ部22,24の螺合によりキャップ11を下降させる。つぎに、キャップ11が所定の位置まで下降して上記螺合が外れる(第2ねじ部24の下側に第1ねじ部22が配設されていない位置までキャップ11を回転させる)と、キャップ11の外壁12の前後両側部分を内側に押圧しながらキャップ11を下降させて上記係合凸部21,両被係合凸部23を係合させ、口部4に取り付ける。
【0027】
このように、上記実施の形態では、開蓋する場合には、キャップ11を下方に押圧したのち所定の方向に回転させなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。しかも、容器1以外には1個のキャップ11があればよく、部品点数が少なく、在庫管理等の管理面が簡単化する。しかも、キャップ11の内周面に被係合凸部23と第2ねじ部24が形成されているだけであるため、構造が簡単であり、製造コストが安価になる。しかも、開蓋はキャップ11を下方に押圧したのち所定の方向に回転させるだけで行えるため、小さな力で行え、長期間にわたってキャップ11が損傷したり、破損したりすることがない。
【0028】
なお、上記両実施の形態では、容器1の口部4に刻設した第1上側ねじ部5,第1ねじ部22およびキャップ11に刻設した第2上側ねじ部14,第2ねじ部24を、開蓋時に反時計回り方向に回転し、容器1の口部4に刻設した第1下側ねじ部6およびキャップ11に刻設した第2下側ねじ部16を、開蓋時に時計回り方向に回転しているが、これに限定するものではなく、逆の方向に回転してもよい。
【0029】
また、上記両実施の形態では、容器1の口部4の外周面に上側小径部4a,下側大径部4bが形成され、キャップの内周面に上側小径部13a,下側大径部13bが形成されてているが、上記外周面および内周面の双方が、その上下全幅にわたって同径であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1のキャップ付き容器の一実施の形態を示す要部の断面図である。
【図2】容器の口部を示す断面図である。
【図3】上記口部を示す側面図である。
【図4】キャップの断面図である。
【図5】上記第1のキャップ付き容器の作用を示す側面図である。
【図6】上記第1のキャップ付き容器の作用を示す断面図である。
【図7】上記第1のキャップ付き容器の作用を示す側面図である。
【図8】上記第1のキャップ付き容器の作用を示す断面図である。
【図9】上記第1のキャップ付き容器の作用を示す側面図である。
【図10】本発明の第2のキャップ付き容器の一実施の形態を示す要部の断面図である。
【図11】上記口部を示す断面図である。
【図12】上記口部を示す側面図である。
【図13】キャップの断面図である。
【図14】上記キャップの平面図である。
【図15】上記キャップの作用を示す説明図である。
【図16】上記第2のキャップ付き容器の作用を示す断面図である。
【図17】上記第2のキャップ付き容器の作用を示す断面図である。
【図18】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 容器
4 口部
5 第1上側ねじ部
6 第1下側ねじ部
11 キャップ
14 第2上側ねじ部
16 第2下側ねじ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、この容器の口部に螺着されるキャップとを備え、上記容器の口部の外周面に第1上側ねじ部が刻設されているとともに、この第1上側ねじ部の下側にこの第1上側ねじ部に対して逆ねじとなる第1下側ねじ部が刻設され、上記キャップの内周面に、第1上側ねじ部に螺合する第2上側ねじ部および第1下側ねじ部に螺合する第2下側ねじ部が刻設され、上記両上側ねじ部を螺合させた状態で上記容器の口部に対してキャップを所定の方向に相対回動させることによりキャップを上昇可能に構成するとともに、上記両下側ねじ部を螺合させた状態でキャップを上記所定の方向に対し逆の方向に相対回動させることによってもキャップを上昇可能に構成し、閉蓋状態では、上記両上側ねじ部が螺合し、かつ第1下側ねじ部の下側に所定の隙間をあけて第2下側ねじ部が位置し、この閉蓋状態から開蓋状態に移行させる途中で、上記両上側ねじ部の螺合が外れるとともに第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部が上昇して上記両下側ねじ部を螺合させうるように構成したことを特徴とするキャップ付き容器。
【請求項2】
容器と、この容器の口部に螺着されるキャップとを備え、上記容器の口部の外周面に係合部が係合されているとともに、この係合部の下側に第1ねじ部が刻設され、上記キャップの内周面に、上記係合部に対し上方への抜け出し防止状に係合する被係合部が形成されているとともに、この被係合部の下側に、上記第1ねじ部に螺合する第2ねじ部が刻設され、上記両ねじ部を螺合させた状態で上記容器の口部に対してキャップを所定の方向に相対回動させることによりキャップを上昇可能に構成し、上記キャップの上部が弾性変形可能であり、上記キャップの上部の、相対向する一側部同士を内側に押圧してキャップを横長形状に弾性変形させることにより、相対向する他側部同士の間隔を拡げて上記容器の係合部とキャップの被係合部との係合を外し上記係合部の上方に上記被係合部を抜き出し可能に構成し、閉蓋状態では、上記両係合部が係合し、かつ第1ねじ部の下側に所定の隙間をあけて第2ねじ部が位置し、この閉蓋状態から開蓋状態に移行させる途中で、上記係合が外れた状態のキャップを上方に移動させることにより第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部を上昇させて上記両下側ねじ部を螺合させうるように構成したことを特徴とするキャップ付き容器。
【請求項3】
上記容器の口部の上部外周面に形成された係合部が、凹部もしくは凸部であり、上記キャップの上部内周面に形成された被係合部が、上記容器の口部の径方向に沿って移動しうる凸部もしくは凹部である上記請求項2記載のキャップ付き容器。
【請求項1】
容器と、この容器の口部に螺着されるキャップとを備え、上記容器の口部の外周面に第1上側ねじ部が刻設されているとともに、この第1上側ねじ部の下側にこの第1上側ねじ部に対して逆ねじとなる第1下側ねじ部が刻設され、上記キャップの内周面に、第1上側ねじ部に螺合する第2上側ねじ部および第1下側ねじ部に螺合する第2下側ねじ部が刻設され、上記両上側ねじ部を螺合させた状態で上記容器の口部に対してキャップを所定の方向に相対回動させることによりキャップを上昇可能に構成するとともに、上記両下側ねじ部を螺合させた状態でキャップを上記所定の方向に対し逆の方向に相対回動させることによってもキャップを上昇可能に構成し、閉蓋状態では、上記両上側ねじ部が螺合し、かつ第1下側ねじ部の下側に所定の隙間をあけて第2下側ねじ部が位置し、この閉蓋状態から開蓋状態に移行させる途中で、上記両上側ねじ部の螺合が外れるとともに第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部が上昇して上記両下側ねじ部を螺合させうるように構成したことを特徴とするキャップ付き容器。
【請求項2】
容器と、この容器の口部に螺着されるキャップとを備え、上記容器の口部の外周面に係合部が係合されているとともに、この係合部の下側に第1ねじ部が刻設され、上記キャップの内周面に、上記係合部に対し上方への抜け出し防止状に係合する被係合部が形成されているとともに、この被係合部の下側に、上記第1ねじ部に螺合する第2ねじ部が刻設され、上記両ねじ部を螺合させた状態で上記容器の口部に対してキャップを所定の方向に相対回動させることによりキャップを上昇可能に構成し、上記キャップの上部が弾性変形可能であり、上記キャップの上部の、相対向する一側部同士を内側に押圧してキャップを横長形状に弾性変形させることにより、相対向する他側部同士の間隔を拡げて上記容器の係合部とキャップの被係合部との係合を外し上記係合部の上方に上記被係合部を抜き出し可能に構成し、閉蓋状態では、上記両係合部が係合し、かつ第1ねじ部の下側に所定の隙間をあけて第2ねじ部が位置し、この閉蓋状態から開蓋状態に移行させる途中で、上記係合が外れた状態のキャップを上方に移動させることにより第1下側ねじ部に対応する位置に第2下側ねじ部を上昇させて上記両下側ねじ部を螺合させうるように構成したことを特徴とするキャップ付き容器。
【請求項3】
上記容器の口部の上部外周面に形成された係合部が、凹部もしくは凸部であり、上記キャップの上部内周面に形成された被係合部が、上記容器の口部の径方向に沿って移動しうる凸部もしくは凹部である上記請求項2記載のキャップ付き容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−30801(P2008−30801A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206321(P2006−206321)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】
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