説明

キャップ

【課題】 キャップの構成部材の部品点数が少なくて済み、製造容易でかつ組み立て作業も簡単になし得ると共に、長期間に亘って蓋体を片手でスムーズに開くことができるようにする。
【解決手段】 操作部を押圧操作したとき、押圧部が蓋体の開閉用ヒンジ側を後方に押圧して蓋体を開方向に揺動させるようにしたキャップにおいて、
前記操作体は、支持体の下方であって注出口の側方に配置される弾性連結杆を有し、弾性連結杆の前端部側に前記操作部が設けられ、弾性連結杆の後端部側に前記押圧部が設けられ、支持体に対する操作体の前後移動を許容すべく操作体は変形可能な連結片を介して支持体に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品用ボトル等の容器に用いられるキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品用ボトル等の容器に用いられるキャップとして、容器本体の口部に装着されると共に上方突出した注出口を有するキャップ本体と、キャップ本体の上部を開閉自在に覆蓋するようにキャップ本体の後端側に開閉用ヒンジを介して連結された蓋体とを備えたものがある。
この種の従来のキャップには、キャップ本体の上面側に操作体を前後移動自在に設け、操作体の前端側に操作部を設け、操作体の後端側に押圧部を設け、操作部を後方に押圧操作したとき、操作体の前部側で、蓋体の前部側を開方向に揺動させるべく上方に押圧すると共に、蓋体をさらに開方向に揺動させるべく操作体の押圧部で蓋体の開閉用ヒンジ側を押圧するようにし、これにより、蓋体を、片手でも簡単に開くことができるようにしたものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
この種の他の従来のキャップには、キャップ本体に固定される支持体と、支持体に支持された操作体とを設け、支持体を注出口の外周下方を覆うように注出口に外嵌し、操作体を支持体の下方に配置し、操作体の前端側に操作部を設け、操作体の後端側に押圧部を設け、操作部を後方に押圧操作することにより、操作体の前部側で蓋体の前部側を開方向に揺動させるべく上方に押圧すると共に、蓋体をさらに開方向に揺動させるべく操作体の押圧部で蓋体の開閉用ヒンジ側を押圧するようにし、これにより、蓋体を、片手でもより簡単に開くことができるようにしたものがある(例えば特許文献2、3)。
【特許文献1】特開2002−37294号公報
【特許文献2】実開平7−9747号公報
【特許文献3】実開平6−76094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前者の従来のキャップでは、キャップ本体の上面に板状の操作体が前後摺動自在に設けられていたので、操作体とキャップ本体との間の抵抗が大きくなって、操作体のスライド操作がスムーズにできない場合があり、特に、キャップ本体とのスライド部分(可動部分)に注出口から流出した容器の内容物が染み込んで付着成長し、次第に操作体の動きが悪化したりすることがあり、蓋体を片手で簡単に開くことができなくなることがあった。
後者の従来のキャップでは、支持体と操作体とが互いに別体に形成されているため、キャップの構成部材の部品点数がそれだけ多くなり、キャップの製造が面倒になり、また、キャップ本体に対する支持体及び操作体の組み込みも別々になす必要があり、キャップの組み立て作業も面倒になった。
【0005】
また、従来のキャップでは、操作体が板状に形成されていたため、操作体の操作部を後方に押圧した力が、そのまま押圧部に伝わって、蓋体が開き始める直前から押圧部でキャップ本体の開閉用ヒンジを強く押圧するので、蓋体の開閉操作を繰り返すうちに開閉用ヒンジが破損乃至損傷して、短期の使用で蓋体の開閉がスムーズになし得なくなるという問題があった。また、従来のキャップでは、前者の場合のみならず後者の場合でも、操作体の摺動面が大きく摺動抵抗も大きいので、内容物が付着すると、摺動に大きな影響がでるという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、キャップの構成部材の部品点数が少なくて済み、製造容易でかつ組み立て作業も簡単になし得ると共に、長期間に亘って蓋体を片手でスムーズに開くことができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、容器本体の口部に装着されると共に注出口を有するキャップ本体と、キャップ本体の上部を開閉自在に覆蓋するようにキャップ本体の後端側に開閉用ヒンジを介して連結された蓋体とを備え、キャップ本体に固定される支持体と、支持体に支持された操作体とが設けられ、操作体はキャップ本体の上部側に前後移動自在に配置され、支持体は操作体の上方で注出口と操作体との間を塞ぐようにキャップ本体に固着され、操作体に操作部が設けられ、操作体の後端側に押圧部が設けられ、操作部を押圧操作したとき、押圧部が蓋体の開閉用ヒンジ側を後方に押圧して蓋体を開方向に揺動させるようにしたキャップにおいて、
前記操作体は、支持体の下方であって注出口の側方に配置される弾性連結杆を有し、弾性連結杆の一端部側に前記操作部が設けられ、弾性連結杆の他端部側に前記押圧部が設けられ、支持体に対する操作体の移動を許容すべく操作体は変形可能な連結片を介して支持体に連結されている点にある。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、蓋体が閉じている状態で操作部を押圧操作したときに、操作体の操作部側で蓋体の前部側を開方向に揺動させるべく上方に押圧すると共に、押圧部が蓋体の開閉用ヒンジ側を後方に押圧して蓋体をさらに開方向に揺動させるように構成されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、蓋体が閉じている状態で操作部を押圧操作したときに、蓋体を閉鎖位置に保持するための係合を解除すると共に、押圧部が蓋体の開閉用ヒンジ側を後方に押圧して蓋体を開方向に揺動させるように構成されている点にある。
【0009】
また、本発明の他の技術的手段は、前記操作体は、支持体の下方であって注出口を挟んだ両側に配置される一対の弾性連結杆を有するリング状に形成され、一対の弾性連結杆の前端部間に前記操作部が設けられ、一対の弾性連結杆の後端部間に前記押圧部が設けられ、支持体に対する操作体の前後移動を許容すべく操作体は変形可能な連結片を介して支持体に連結されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、キャップ本体に、上端が開口した収納凹部が注出口の下側を取り囲むように設けられ、収納凹部内に操作体が前後移動自在に収納され、収納凹部の上端開口を塞ぐように支持体がキャップ本体に固着されている点にある。
【0010】
また、本発明の他の技術的手段は、支持体に嵌合孔が設けられ、支持体は嵌合孔を介して注出口に外嵌固定されていると共に、収納凹部の上端開口を塞ぐようにキャップ本体に嵌合固着されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記連結片の一端部側が操作体に屈曲自在に連結され、連結片の他端部側が支持体に屈曲自在に連結されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記連結片は全長に亘って柔軟に屈曲するようにベルト状に形成されている点にある。
【0011】
また、本発明の他の技術的手段は、キャップ本体は、外周壁部と内周壁部と天壁部とを備え、内周壁部が容器本体の口部に外嵌状に装着され、天壁部に上方突出した凸状部が設けられ、凸状部の天壁に前記注出口が上方突設され、外周壁部の上部と凸状部の周壁との間に前記収納凹部が形成されている点にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作体は、支持体の下方であって注出口の側方に配置される弾性連結杆を有し、弾性連結杆の一端部側に操作部が設けられ、弾性連結杆の他端部側に押圧部が設けられ、支持体に対する操作体の移動を許容すべく操作体は変形可能な連結片を介して支持体に連結されているので、支持体と操作体とを一体に形成することができて、キャップの構成部材の部品点数がそれだけ少なくなり、キャップの製造が容易になる。また、支持体と操作体とを一体のものとしてキャップ本体に組込むことができ、キャップの組み立て作業も簡単になし得る。
【0013】
また、操作部を押圧操作したとき、操作体の押圧部が容器本体の開閉用ヒンジに接当した後、操作体の操作部側の移動に伴って弾性連結杆が弾性変形するので、蓋体が開き始める際に、押圧部が開閉用ヒンジに対して押圧する力を緩和吸収して、押圧体が開閉用ヒンジに過度の力で一度に強く押圧するのを防ぐことができ、開閉用ヒンジの破損乃至損傷を効果的に防止して、長期間に亘って蓋体を片手でスムーズかつ確実に開くことができるようになる。また、操作体はキャップ本体の上部側に前後移動自在に配置され、支持体は操作体の上方で注出口と操作体との間を塞ぐようにキャップ本体に固着されているので、注出口から流出した容器の内容物が操作体側に流出しないように支持体で保護でき、操作体に容器の内容物が付着することもなくなり、長期間亘って操作体によって蓋体をスムーズに開放操作することができる。
【0014】
しかも、操作体が支持体に連結されているのは連結片を介してだけであり、あとはフリー(宙ブラ状態)であり、干渉する箇所がないので、通常使用時でも摺動抵抗が少ない(干渉する箇所がなく、抵抗も少ない)ので、容器の内容物が付着しても、大きな影響にならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1〜図8は、本発明に係るキャップ1の一実施形態を示している。
図1〜図8において、キャップ1は、容器本体2の口部3に着脱自在に装着されるものであり、容器本体2とキャップ1とで、化粧品用ボトル等の容器が構成される。
キャップ1は、キャップ本体7と、キャップ本体7の上部を覆蓋する蓋体8とを備え、キャップ1には、キャップ本体7に固定される支持体9と、支持体9に支持された操作体10とが設けられている。キャップ本体7は、容器本体2の口部3に装着されると共に上方突出した注出口12を有する。蓋体8は、キャップ本体7の後端側に開閉用ヒンジ13を介して連結されており、キャップ本体7の上部を開閉自在に覆蓋するように構成されている。
【0016】
キャップ本体7と蓋体8と開閉用ヒンジ13とは合成樹脂により一体形成されている。操作体10は後述する連結片46を介して支持体9に連結されており、操作体10と支持体9と連結片46とは合成樹脂により一体に形成されている。なお、支持体9及び操作体10は、キャップ本体7及び蓋体8とは別体に形成されている。
キャップ本体7は、外周壁部16と内周壁部17と天壁部18とを備え、内周壁部17の下端部と外周壁部16の下端部とは連結壁19で連結されている。天壁部18に上方突出した凸状部20が設けられ、凸状部20は天壁21と周壁22とを有する有底円筒状に形成され、凸状部20の天壁21に注出口12が上方突設され、外周壁部16の上部と凸状部20の周壁22との間に収納凹部24が形成されている。これにより、キャップ本体7に上端が開口した収納凹部24が設けられ、収納凹部24は注出口12の下側をリング状に取り囲むように構成されている。
【0017】
キャップ本体7の内周壁部17の内周に雌ネジが形成され、容器本体2の口部3の外周に雄ネジが形成されており、内周壁部17は容器本体2の口部3に雄ネジ及び雌ネジを介して着脱自在に螺合され、これにより、キャップ本体7は容器本体2の口部3に着脱自在に装着されるようになっている。外周壁部16の前部の上部側に開口窓23が設けられている。
蓋体8は有底円筒状に形成されている。蓋体8の中央部の下面側に、キャップ本体7の注出口12に対応して栓体25が突設され、蓋体8を閉じたときに、栓体25が注出口12に内嵌して注出口12を塞ぐように構成され、これによって高い止水作用が得られるようになっている。蓋体8の前端部に前上がりに傾斜した傾斜面26aを有する被押し上げ部26が設けられている。
【0018】
開閉用ヒンジ13は、バネ帯部27と、このバネ帯部27の両側に設けられた補助連結部28とを有し、開閉用ヒンジ13は、バネ力によって、蓋体8が閉鎖状態から所定角度(45度程度)に至るまでは蓋体8を閉鎖方向へ付勢すると共に、蓋体8が所定角度に近づくに従ってその閉鎖方向に付勢する力を増大していき、所定角度を超えた時点で付勢方向が逆転して蓋体8を開放方向へ向かわせるものとなり、最終的には蓋体8を所定の開き角度に開かせた状態でバネ力を消失して、このときの蓋体8の開き状態が保持され、キャップ本体7の注出口12から内容物を流出させるときに蓋体8が邪魔にならない程度(120度から180度程度)まで開いた状態を保持するように構成されている。
【0019】
支持体9は円板状に形成され、支持体9の中央部に嵌合孔31が設けられ、支持体9は嵌合孔31を介して注出口12に外嵌固定されている。支持体9の外周に嵌合壁32が下方突設され、外周壁部16の上端部の内周側に没入段部33がリング状に設けられ、支持体9の嵌合壁32が没入段部33に内嵌され、嵌合壁32に周方向外方に突出した係合突部35が設けられ、没入段部33に周方向内方に突出した係止突部36が設けられ、嵌合壁32を没入段部33に内嵌したときに、嵌合壁32を没入段部33から抜け止めすべく係合突部35が係止突部36に下側から係合するように構成されている。これにより、支持体9は嵌合壁32を介してキャップ本体7の外周壁部16の上端部に内嵌固着されて、支持体9は操作体10の上方で注出口12と操作体10との間を塞ぐようにキャップ本体7に固着されている。また、支持体9は、注出口12の外周下方を覆うように配置されて、収納凹部24の上端開口を塞ぐように容器本体2に固着されている。
【0020】
操作体10は、一対の弾性連結杆41を有するリング状に形成され、一対の弾性連結杆41の前端部間に操作部42が設けられ、一対の弾性連結杆41の後端部間に押圧部43が設けられている。操作体10は収納凹部24内に前後移動自在に収納されて、操作体10はキャップ本体7の上部側における支持体9の下方に前後移動自在に配置されている。一対の弾性連結杆41は、支持体9の下方であって注出口12を挟んだ両側に配置されている。操作体10が支持体9に連結されているのは連結片46を介してだけであり、あとはフリー(宙ブラ状態)であり、操作体10が収納凹部24内で前後移動する際に他の部材と干渉する箇所がないようになっている。操作部42は外周壁部16の開口窓23から前方に向けて外方突出されて、キャップ本体7及び蓋体8の前端よりも前方に突出されている。
【0021】
支持体9の前端部に被押し上げ部26に対応して切欠凹部38が設けられている。切欠凹部38に対向する操作体10の操作部42の後端縁が押し上げ部44とされ、蓋体8を閉じたとき、被押し上げ部26が切欠凹部38に挿入されて、被押し上げ部26の傾斜面26aが押し上げ部44の後方に位置し、蓋体8を閉じた状態で操作部42を後方に押圧すると、押し上げ部44が被押し上げ部26の傾斜面26aに前側から押圧して、栓体25が注出口12から外れるべく被押し上げ部26を上方に押し上げるように構成されている。
【0022】
従って、操作体10の前端側に操作部42が設けられ、操作体10の後端側に押圧部43が設けられ、操作部42を後方に押圧操作したとき、操作体10の前部側で蓋体8の前部側を開方向に揺動させるべく上方に押圧すると共に、操作部42の押圧操作により、操作体10が後方移動して、蓋体8をさらに開方向に揺動させるべく操作体10の押圧部43で蓋体8の開閉用ヒンジ13の下部側を後方に押圧ようになっている。
支持体9に対する操作体10の前後移動を許容すべく操作体10は変形可能な連結片46を介して支持体9に連結されて、操作体10は支持体9と一体に形成されている。連結片46は、押圧部43の左右両側であって一対の弾性連結杆41の前端部に一対設けられ、一対の連結片46の一端部(下端部)側がそれぞれ一対の弾性連結杆41の前端部に屈曲自在に連結され、一対の連結片46の他端部(上端部)側がそれぞれ支持体9の前端部に屈曲自在に連結されている。
【0023】
上記実施の形態によれば、キャップ1を製造する場合、キャップ本体7と蓋体8とを一体成形すると共に、図5に示すように、支持体9と操作体10とを一体に成形し、その後、支持体9に対して操作体10を連結片46を支点に矢印a方向に回動して、図6に示すように操作体10を支持体9に組み付ける。そして、図8に示すように蓋体8を開いた状態のキャップ本体7に対してに、図6に示す操作体10及び支持体9をキャップ本体7の上面側に組み込めばよく、キャップ1の構成部材の部品点数を少なくしてキャップ1を簡単に製造できる。また、支持体9と操作体10とを一体のものとしてキャップ本体7に組込むことができ、キャップ1の組み立て作業も簡単になし得る。
【0024】
また、図2に示すように蓋体8を閉じた状態から開く場合、容器を片手で持った状態で指で操作部42を後方に押圧操作すると、操作体10の押し上げ部44が被押し上げ部26の傾斜面26aに前側から押圧して、蓋体8の前部側を開方向に揺動させて栓体25が注出口12から外れるべく被押し上げ部26を上方に押し上げる。即ち、操作部42を後方に押圧操作したとき、図1及び図4に示すように操作体10の前部側で蓋体8の前部側を開方向に揺動させるべく上方に押圧する。これにより、軽い力でも、開閉用ヒンジ13のバネ力に抗して、蓋体8をスムーズに開方向(図4に示す矢印A方向)に揺動させることができ、栓体25を注出口12から簡単に外すことができる。これと同時に、操作部42の押圧操作により操作体10が収納凹部24内をやや後方に移動し、まず、操作体10の押圧部43が容器本体2の開閉用ヒンジ13のバネ帯部27に接当し、その後、操作体10の操作部42側の後方移動に伴って一対の弾性連結杆41が左右に膨らむように弾性変形する。これによって、栓体25が注出口12から外れる前(蓋体8が開き始める際)に、押圧部43が開閉用ヒンジ13のバネ帯部27に対して押圧する力を、弾性連結杆41の弾性により効果的に緩和吸収して、押圧部43が開閉用ヒンジ13に過度の力で一度に強く押圧するのを防ぐことができる。その後、栓体25が注出口12から外れて蓋体8が開方向にさらに大きく揺動し始めると、一対の弾性連結杆41の弾性変形による復元力によって一対の弾性連結杆41が後方側に伸長して操作体10の押圧部43が大きく後方に移動し、これにより、操作体10の押圧部43により開閉用ヒンジ13のバネ帯部27を大きなストロークで後方に押圧して、蓋体8をさらに大きく開方向に揺動させる。従って、押圧部43が開閉用ヒンジ13に当接した後、操作部42が所定量操作されるまでの間に、一対の弾性連結杆41が弾性変形することに伴って開閉用ヒンジ13に対する押圧力の蓄えを可能とし、開閉用ヒンジ13に対して、所定の押圧力で長いストロークで押圧できるようになり、蓋体8を確実に開くことができる。
【0025】
従って、容器本体2を把持した片手の親指等で操作部42を後方に押圧操作することによって、蓋体8を容器本体2を把持した片手で、蓋体8を簡単に開操作することができる。また、蓋体8が開き始める際に、押圧部43が開閉用ヒンジ13に強く押圧するのを防ぐことができ、開閉用ヒンジ13の破損乃至損傷を効果的に防止して、長期間に亘って蓋体8を片手でスムーズかつ確実に開くことができるようになる。
また、操作体10の大部分は、支持体9とキャップ本体7との間に収納された状態になるため、蓋体8を開放しても、操作体10が外部に大きく露出することもなくなる。また、支持体9は注出口12の外周下方を覆うように注出口12に外嵌され、操作体10は支持体9の下方に配置されていて、支持体9は操作体10の上方で注出口12と操作体10との間を塞ぐようにキャップ本体7に固着されているので、注出口12から注出された内容物が操作体10側に流出しないように支持体9で保護できるので、操作体10に容器本体2内の内容物が付着することもなくなり、この点からも、蓋体8を長期間亘ってスムーズに開放操作することができる。
【0026】
しかも、操作体10が支持体9に連結されているのは連結片46を介してだけであり、あとはフリー(宙ブラ状態)であり、干渉する箇所がないので、通常使用時でも摺動抵抗が少ない(干渉する箇所がなく、抵抗も少ない)ので、容器の内容物が付着しても、大きな影響にならない。また、万が一、連結片46が破断して、操作体10が支持体9から分離した場合でも、操作体10の前後移動に支障を生じることもない。
図9は他の実施形態を示し、押圧部43の左右両側であって一対の弾性連結杆41の前端部に連結片46が一対設けられ、一対の連結片46は全長に亘って柔軟に屈曲するようにベルト状に形成されている。その他の点は前記図1〜図8の実施形態の場合と同様の構成であり、前記実施形態の場合と同様の作用効果を奏する。
【0027】
図10は他の実施形態を示し、支持体9の外周に嵌合壁32が下方突設され、支持体9は嵌合壁32を介してキャップ本体7の外周壁部16の上端部に外嵌固着されている。その他の点は前記図1〜図8の実施形態の場合と同様の構成である。
図11は他の実施形態を示し、一対の弾性連結杆41の前後方向の中央部に連結片46が一対設けられ、一対の連結片46の一端部(下端部)側がそれぞれ一対の弾性連結杆41の前端部に屈曲自在に連結され、一対の連結片46の他端部(上端部)側がそれぞれ支持体9の前後方向中途部に屈曲自在に連結されている。その他の点は前記図1〜図8の実施形態の場合と同様の構成である。
【0028】
図12は他の実施形態を示し、前記実施形態では、キャップ本体7は、外周壁部16と内周壁部17とを備え、内周壁部17の下端部と外周壁部16の下端部とは連結壁19で連結されているが、これに代え、キャップ本体7に、前記外周壁部16と内周壁部17と連結壁19に代えて、一つの周壁部50を設け、周壁部50を、容器本体2の口部3に雄ネジ及び雌ネジを介して着脱自在に螺合し、これにより、キャップ本体7を容器本体2の口部3に着脱自在に装着するようにしたものである。その他の点は前記図1〜図8の実施形態の場合と同様の構成である。
【0029】
図13は他の実施形態を示し、蓋体8の中央部の下面側に、前記栓体25に代えて、キャップ本体7の注出口12に対応してパッキン53が設けられ、蓋体8を閉じたときに、パッキン53が注出口12の上端に押圧して注出口12を塞ぐように構成されている。
また、蓋体8の前端部側に、前記被押し上げ部26に代えて、下方突出したフック部54が設けられ、操作体10の操作部42側に、前記押し上げ部44に代えて、フック部54に対応して係止孔(係止部)55が設けられており、蓋体8を閉じたときに、フック部54が上側から係止孔55に挿通されて、蓋体8を閉鎖位置に保持すべく係止孔55の下開口縁に下側から係脱自在に係合し、操作体10の操作部42を後方に押圧したときに、操作体10の係止孔55が後方移動することによってフック部54の係止孔55への係合が解除されるようになっている。従って、本実施形態の場合、蓋体8が閉じている状態で操作部42を押圧操作したときに、蓋体8を閉鎖位置に保持するための係合を解除すると共に、押圧部43が蓋体8の開閉用ヒンジ13側を後方に押圧して蓋体8を開方向に揺動させるように構成されている。その他の点は前記図1〜図8の実施形態の場合と同様の構成である。
【0030】
なお、前記図13の実施形態の場合、蓋体8のフック部54を操作体10側に係合させて、蓋体8を閉鎖位置に保持するようにしているが、これに代え、フック部54が係合する係止部をキャップ本体7に設け、蓋体8のフック部54をキャップ本体7の係止部に係合させて蓋体8を閉鎖位置に保持すると共に、操作体10の操作部42を押圧操作したときに、フック部54がキャップ本体7の係止部から外れるようにし、これにより、蓋体8が閉じている状態で操作部42を押圧操作したときに、蓋体8を閉鎖位置に保持するための係合を解除すると共に、押圧部43が蓋体8の開閉用ヒンジ13側を後方に押圧して蓋体8を開方向に揺動させるようにしてもよい。
【0031】
なお、前記図1〜図8等の実施形態の場合、キャップ本体7の外周壁部16の内周壁部17との間に水が溜まることがあるので、例えば図2に鎖線で示すように、連結壁部19に水抜き孔49を設け、外周壁部16の内周壁部17との間に溜まった水を水抜き孔49から外部に排出できるようにしてもよい。
また、前記実施の形態では、連結片46は一対の弾性連結杆41に対応して一対設けられ、一対の連結片46の一端部側がそれぞれ一対の弾性連結杆41に連結され、一対の連結片46の他端部側がそれぞれ支持体9に連結されているが、連結片46を操作体10の前端部(操作部42側)又は後端部(押圧部43側)に対応して1つのみ設け、1つの連結片46で操作体10と支持体9とを連結するようにしてもよい。
【0032】
また、前記実施の形態では、操作体10は、支持体9の下方であって注出口12を挟んだ両側に配置される一対の弾性連結杆41を有するリング状に形成され、一対の弾性連結杆41の前端部間に操作部42が設けられ、一対の弾性連結杆41の後端部間に押圧部43が設けられているが、これに代え、一対の弾性連結杆41のうちの一方を省略して、操作体10を、支持体9の下方であって注出口12の側方に配置される弾性連結杆41を一つのみ有するように構成し、該一つの弾性連結杆41の一端部側に操作部42を設け、弾性連結杆41の他端部側に押圧部43を設けるようにしてもよい。
【0033】
また、前記実施形態では、操作体10は、注出口12を挟んだ両側に配置される一対の弾性連結杆41を有する円筒形のリング状に形成され、操作部42を押圧操作した際に、一対の弾性連結杆41が弾性変形により左右に膨らむように構成されているが、
これに代え、操作体10を、注出口12を挟んだ両側に配置される一対の弾性連結杆41を有する円板形のリング状に形成し、これにより、操作部42を押圧操作した際に、一対の弾性連結杆41が弾性変形により上下に方向に湾曲するように構成してもよい。
また、前記実施の形態では、支持体9は嵌合孔31を介して注出口12に外嵌固定されていると共に、キャップ本体7の外周壁部16に嵌合固着されているが、これに代え、支持体9を注出口12又は外周壁部16の一方のみに固着するようにしてもよいし、支持体9をキャップ本体7の注出口12及び外周壁部16以外の他の部位に固着するようにしてもよい。
【0034】
また、前記実施の形態では、操作体10の前端側に操作部42が設けられ、操作部42を後方に押圧操作するようにしているが、これに代え、操作部42を、操作体10の前端側以外の左右側方その他の位置に設け、操作部42を左右方向内方等に押圧操作したとき、操作体10の操作部42側で蓋体8の前部側を開方向に揺動させるべく上方に押圧すると共に、押圧部43が蓋体8の開閉用ヒンジ13側を後方に押圧して蓋体8をさらに開方向に揺動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態を示す蓋体が開いた状態の容器の斜視図である。
【図2】同蓋体が閉じた状態の容器の側面断面図である。
【図3】同蓋体が開き始めた状態の容器の側面断面図である。
【図4】同蓋体が開いた状態の容器の側面断面図である。
【図5】支持体及び操作体の斜視図である。
【図6】操作体を支持体に組み付けた状態の斜視図である。
【図7】キャップ本体に操作体及び支持体を組み込んだ状態のキャップの斜視図である。
【図8】操作体及び支持体を組み込む前のキャップ本体の斜視図である。
【図9】他の実施の形態を示す蓋体が閉じた状態の容器の側面断面図である。
【図10】他の実施の形態を示すキャップの斜視図である。
【図11】他の実施の形態を示す操作体10を支持体9に組み付けた状態の斜視図である。
【図12】他の実施の形態を示す容器の側断面図である。
【図13】他の実施の形態を示すキャップの側断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 キャップ
2 容器本体
3 口部
7 キャップ本体
8 蓋体
9 支持体
10 操作体
12 注出口
13 開閉用ヒンジ
16 外周壁部
17 内周壁部
18 天壁部
20 凸状部
21 天壁
22 周壁
24 収納凹部
31 嵌合孔
41 弾性連結杆
42 操作部
43 押圧部
46 連結片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(2)の口部(3)に装着されると共に注出口(12)を有するキャップ本体(7)と、キャップ本体(7)の上部を開閉自在に覆蓋するようにキャップ本体(7)の後端側に開閉用ヒンジ(13)を介して連結された蓋体(8)とを備え、キャップ本体(7)に固定される支持体(9)と、支持体(9)に支持された操作体(10)とが設けられ、操作体(10)はキャップ本体(7)の上部側に前後移動自在に配置され、支持体(9)は操作体(10)の上方で注出口(12)と操作体(10)との間を塞ぐようにキャップ本体(7)に固着され、操作体(10)に操作部(42)が設けられ、操作体(10)の後端側に押圧部(43)が設けられ、操作部(42)を押圧操作したとき、押圧部(43)が蓋体(8)の開閉用ヒンジ(13)側を後方に押圧して蓋体(8)を開方向に揺動させるようにしたキャップにおいて、
前記操作体(10)は、支持体(9)の下方であって注出口(12)の側方に配置される弾性連結杆(41)を有し、弾性連結杆(41)の一端部側に前記操作部(42)が設けられ、弾性連結杆(41)の他端部側に前記押圧部(43)が設けられ、支持体(9)に対する操作体(10)の移動を許容すべく操作体(10)は変形可能な連結片(46)を介して支持体(9)に連結されていることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
蓋体(8)が閉じている状態で操作部(42)を押圧操作したときに、操作体(10)の操作部(42)側で蓋体(8)の前部側を開方向に揺動させるべく上方に押圧すると共に、押圧部(43)が蓋体(8)の開閉用ヒンジ(13)側を後方に押圧して蓋体(8)をさらに開方向に揺動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
蓋体(8)が閉じている状態で操作部(42)を押圧操作したときに、蓋体(8)を閉鎖位置に保持するための係合を解除すると共に、押圧部(43)が蓋体(8)の開閉用ヒンジ(13)側を後方に押圧して蓋体(8)を開方向に揺動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記操作体(10)は、支持体(9)の下方であって注出口(12)を挟んだ両側に配置される一対の弾性連結杆(41)を有するリング状に形成され、一対の弾性連結杆(41)の前端部間に前記操作部(42)が設けられ、一対の弾性連結杆(41)の後端部間に前記押圧部(43)が設けられ、支持体(9)に対する操作体(10)の前後移動を許容すべく操作体(10)は変形可能な連結片(46)を介して支持体(9)に連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のキャップ。
【請求項5】
キャップ本体(7)に、上端が開口した収納凹部(24)が注出口(12)の下側を取り囲むように設けられ、収納凹部(24)内に操作体(10)が前後移動自在に収納され、収納凹部(24)の上端開口を塞ぐように支持体(9)がキャップ本体(7)に固着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のキャップ。
【請求項6】
支持体(9)に嵌合孔(31)が設けられ、支持体(9)は嵌合孔(31)を介して注出口(12)に外嵌固定されていると共に、収納凹部(24)の上端開口を塞ぐようにキャップ本体(7)に嵌合固着されていることを特徴とする請求項5に記載のキャップ。
【請求項7】
前記連結片(46)の一端部側が操作体(10)に屈曲自在に連結され、連結片(46)の他端部側が支持体(9)に屈曲自在に連結されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のキャップ。
【請求項8】
前記連結片(46)は全長に亘って柔軟に屈曲するようにベルト状に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のキャップ。
【請求項9】
キャップ本体(7)は、外周壁部(16)と内周壁部(17)と天壁部(18)とを備え、内周壁部(17)が容器本体(2)の口部(3)に外嵌状に装着され、天壁部(18)に上方突出した凸状部(20)が設けられ、凸状部(20)の天壁(21)に前記注出口(12)が上方突設され、外周壁部(16)の上部と凸状部(20)の周壁(22)との間に前記収納凹部(24)が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−184682(P2009−184682A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24030(P2008−24030)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【特許番号】特許第4276283号(P4276283)
【特許公報発行日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000241625)エム・エフ・ヴィ株式会社 (22)
【Fターム(参考)】