説明

キャップ

【課題】小型の容器でも適用可能で、容器の向きに拘わらず開閉することができる、ヒンジ部付きのキャップを提供する。
【解決手段】容器100の開口部に配設され口部23を有する固定部2と、固定部2の口部23を覆う可動部3と、固定部2に対して可動部3を着脱自在に連結する第1ヒンジ部4及び第2ヒンジ部5と、を備え、抽出口23は第1ヒンジ部4と上記第2ヒンジ部5との間に設けられており、第1ヒンジ部4と第2ヒンジ部5とは、固定部2に設けられた第1係合部41,51と、可動部3に設けられ第1係合部41,51に着脱自在に連結する第2係合部42,52と、を備え、第2係合部42,52は軸部材422,522を備え、第1係合部41,51は軸部材422,522を回転自在且つ着脱自在に支持する受け部411,511を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ,ボトル,瓶などの容器の開口部に設けられるキャップに係り、特にヒンジ付きのキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チューブ,ボトル,瓶などの容器の開口部にはキャップが設けられている。従来のキャップは、容器の開口部に配設される固定部と、この固定部に対してヒンジ部を介して回動可能に取り付けられた可動部とから構成されている。
【0003】
例えば、固定部は筒状部とこの筒状部の上方の開口を閉塞する天井部とこの天井部に形成された注ぎ口,取り出し口,抽出口などの口部と可動部に係合する係合部とを備え、可動部は固定部の口部を覆う蓋本体部と固定部の係合部に係合する係合部とを備えている。
【0004】
このようなキャップを備えた容器の使用時、ユーザーは、例えば容器を左手で握りさらに右手で可動部を固定部から外すことで口部を露出させ、この口部から容器内の液や粉などの内容物を出すことができる。
【0005】
しかし、ユーザーが容器を握った状態でヒンジ部の位置によっては、右手で可動部を固定部から外すことが容易に行えないことがある。この場合、ユーザーは可動部の回動方向が右手で容易に可動部を固定部から外せる向きになるよう容器を回転させてヒンジ部の位置を調整する。
【0006】
一般的な商品では、商品名が明示された面を容器の前面とし、この面がユーザーに対向する容器の向きで、ユーザーが右手で可動部を容易に外すことができるよう、ヒンジ部の位置が決められている。したがって、容器の後面がユーザーに対向した状態では、容器の前面がユーザー側へ向くようにユーザーは容器を握りなおす必要があった。
【0007】
この種の蓋の開閉向きの問題を考慮し、容器の向きに拘わらず蓋を容易に開閉できる、容器の開閉蓋の構造が特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−250778号公報
【特許文献2】特開平10−238937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1,2の蓋開閉構造は、容器が保冷箱などの大きな開口を閉塞する蓋に関する技術であり、歯磨き粉を入れるチューブなどの小型の容器の開口部を閉塞するキャップの構造としては、当該チューブ(容器)の開口部及びその周辺領域が保冷箱の大きな開口の領域に比べて小さいため特許文献1,2の大型構造を適用することはできない。
【0010】
そこで、本発明は、小型の容器でも適用可能で、容器の向きに拘わらず開閉することができる、ヒンジ部付きのキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のキャップは、容器の開口部に配設され注ぎ口,取り出し口,抽出口などの口部を有する固定部と、上記固定部の口部を覆う可動部と、上記固定部に対して上記可動部を着脱自在に連結する第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部と、を備え、上記口部は上記第1ヒンジ部と上記第2ヒンジ部との間に設けられており、上記第1ヒンジ部と上記第2ヒンジ部とは、上記固定部に設けられた第1係合部と、上記可動部に設けられ上記第1係合部に着脱自在に連結する第2係合部と、を備え、上記第2係合部は軸部材を備え、上記第1係合部は上記軸部材を回転自在且つ着脱自在に支持する受け部を備えて、上記第1ヒンジ部は上記可動部の上記第2ヒンジ部側を持ち上げるよう上記固定部に対して上記可動部を回動させ、上記第2ヒンジ部は上記可動部の上記第1ヒンジ部側を持ち上げるよう上記固定部に対して上記可動部を回動させることを特徴としている。
【0012】
本発明のキャップにおいて、前記受け部は、前記固定部の表面から起立した一対の突片と、該突片に形成され前記軸部材を回転自在に収容する穴部と、上記突片の縁から穴部へ形成されたガイド部と、を備え、前記軸部材が上記ガイド部を通って上記突片外側から上記穴部内へ向かう移動方向が、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とを結ぶ仮想の線に直交する仮想鉛直線に対して傾斜した方向である。
【0013】
本発明のキャップは、好ましくは、前記切り欠き部の幅をWとし、前記軸部材の断面の寸法の内、前記可動部が前記固定部の抽出口を覆った状態での前記移動方向に沿った寸法をL1とし、前記穴部の寸法の内、前記移動方向と前記軸部材の長手方向とに直交する方向に沿った寸法をL2とすると、W<L1、W<L2である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器の向きに拘わらず、可動部を固定部に対してキャップを開閉することができる。また、本発明のキャップは大型の容器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るキャップの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るキャップの正面図である。
【図3】図2のα領域の拡大図である。
【図4】本発明の実施形態に係るキャップの動作を説明するための図である斜視図である。
【図5】図4のβ領域の拡大図である。
【図6】本発明の実施形態に係るキャップの動作を説明するために示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態の変形例に係るキャップの斜視図である。
【図8】本発明の実施形態の変形例に係るキャップの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係るキャップ1の斜視図であり、図2はキャップ1の正面図である。図中の矢印Frはキャップ1の前方、LHはキャップ1の左方、Upはキャップ1の上方を示す。なお、図中の符号100はチューブ,ボトル,瓶などの容器であり、チューブであれば長手方向の一端部に開口部が設けられ、ボトル,瓶であれば上部に開口部が設けられている。
【0018】
先ず、キャップ1の構成について説明する。キャップ1は、固定部2と、可動部3と、第1ヒンジ部4と、第2ヒンジ部5と、を備えている。
【0019】
固定部2は、図1に示すように、筒状部21と、筒状部21の上端を閉塞する天井部22と、天井部22の中央に形成された口部23と、を備えている。なお、以下では、筒状部21の軸25(図2参照)を鉛直方向に沿わせた筒状部21の姿勢を前提として説明する。
【0020】
本実施形態の筒状部21は、軸25を直交する仮想面P1(図2参照)で切った断面形状を楕円形に形成されている。筒状部21の上側では、断面形状である楕円の長辺(図1の符号26の線)方向に沿った両端部が切り欠かれて形成されている。具体的には、図2に示すように、筒状部21の上縁は中部(後述の図2中の22Aの領域)から両端側へいくにつれて低くなるように形成されている。筒状部21の下縁は、軸25を直交する面P1内で楕円を画する開口縁を形成している。
【0021】
天井部22は、軸25を直交する仮想の面P1に対して平行に広がった中部22Aと、この中部22Aの両端から外側へ行くにつれて低くなる左右の傾斜部22B,22Cと、を備えている。中部22Aに口部23が形成されている。
【0022】
左右の傾斜部22B,22Cは、筒状部21の上縁の内、中部22Aの両縁から筒状部21の両端部へ向けて次第に低くなる縁によって画される領域(図2中、固定部2の左右各側におけるγ領域)に設けられている。傾斜部22B,22Cによって当該γ領域の開口が塞がれている。
【0023】
このように構成される固定部2は、容器100の開口部(図示省略)に配設される。
【0024】
可動部3は、図1に示すように、筒状部31と、筒状部31の上端を閉塞する天井部32と、を備えている。なお、筒状部31の軸35を鉛直方向に沿わせた姿勢を前提として以下説明する。可動部3の軸35は固定部2の軸25の延長方向に延びている(図2参照)。
【0025】
可動部3の筒状部31は、軸35を直交する仮想面P2(図2参照)で切った断面形状を楕円形に形成されている。具体的には、可動部3は、固定部2と同じ断面形状に形成されている。
【0026】
筒状部31の下側では、断面形状である楕円の長辺(図1の符号26の線)方向に沿った両端部が切り欠かれて形成されている。具体的には、中部(図2の矢印33Aの領域部分)から両端へいくにつれて筒状部の下縁が高くなるように形成されている。筒状部31の下縁の内、中部33Aの両縁から筒状部31の両端部へ向けて次第に高くなる縁によって画される領域(図2中、可動部3の左右各側におけるδ領域)には、傾斜部33B,33Cが設けられている。傾斜部33B,33Cによって当該δ領域の開口が塞がれている。
【0027】
筒状部31の上縁は、楕円形の輪郭に形成されている。この筒状部31の上端を塞ぐよう、筒状部31にはプレート状の天井部32が設けられている。天井部32は、筒状部31の断面より大きく形成されて、筒状部31の上縁より外側へ突出している。
【0028】
筒状部31の下縁は、中部33Aにおける前側と後側の円弧状の一対の縁(即ち、筒状部31の下縁の内、δ領域を除いた部分)と左右の直線状の一対の縁(即ち、前述の傾斜部33B,33Cの下縁)とで、たる型の開口を形成している。この四角型の開口の縁を、以下、開口縁と呼ぶ。
【0029】
このように形成された可動部3を、可動部3の開口から可動部内へ固定部2の口部23が入り込むよう固定部2の上に載せると、可動部3の開口縁が固定部2の天井部22の中部22Aに当接する。このように可動部3が固定部2に載置された状態で、固定部2の抽出口23は可動部3の内面から突出した突起部34が嵌入して閉塞されている(図2参照)。
【0030】
このように構成される可動部3は、第1ヒンジ部4と第2ヒンジ部5とによって着脱自在に固定部2に連結されている。第1ヒンジ部4と第2ヒンジ部5とは、図1に示すように可動部3を固定部2の上に載せた状態、即ち可動部3の開口縁の全域が固定部2の天井部22(具体的には天井部22の中部22A)に載った状態を開放可能に保持する。
【0031】
第1ヒンジ部4と第2ヒンジ部5とは、固定部2に設けられた第1係合部と、可動部3に設けられ第1係合部に着脱自在に連結する第2係合部と、を備えている。具体的には、図1及び図2に示すように、第1ヒンジ部4は、固定部2の左側の傾斜部22Bに設けられた第1係合部41と、可動部3の左側の傾斜部33Bに設けられた第2係合部42と、から構成されている。第1ヒンジ部4と同様に、第2ヒンジ部5は、固定部2の右側の傾斜部22Cに設けられた第1係合部51と、可動部3の右側の傾斜部33Cに設けられた第2係合部52と、から構成されている。
【0032】
各ヒンジ部の第2係合部42,52は、可動部3の傾斜部33B,33Cから突出した支持部421,521と、この支持部421,521によって可動部3の最下縁(言い換えれば、開口縁)より低い位置で保持される軸部材422,522と、を備えている。本実施形態の支持部421,521は、図1に示すように、可動部3の傾斜部33B,33Cの面から突出すると共に、輪郭を四角形とし且つ薄肉の突片状に形成されている。軸部材422,522はこの支持部421,521の先端部に設けられている。軸部材422,522は、軸25,35と筒状部21,31の断面をなす楕円の長辺方向(LH方向)と直交する方向(Fr方向)へ軸部材422,522の長手方向を沿わせている。この軸部材422,522は支持部421,521の先端部の幅(Fr方向に沿った寸法)よりも長いため、図1に示すように、軸部材422,522の端部が支持部421,521の先端部より外側へ、即ちキャップ1の前後方向へ突出している。軸部材422,522の両端部を支持するよう、第1係合部41,51が設けられている。
【0033】
各ヒンジ部の第1係合部41,51は、固定部2の傾斜部22B,22Cから突出した一対の受け部411,411,511,511を備えている。一対の受け部411,411(511,511)は、同じ形状に形成されていて、軸25,35と筒状部21,31の断面をなす楕円の長辺方向(図中のLH方向)と直交する方向(即ち、図中のFr方向)へ距離を置いて並設されている。各受け部411,511は、固定部2の傾斜部22B、22Cから起立した薄肉の突片411A,511Aと、この突片411A,511Aに形成され軸部材422,522を回転自在に収容する穴部411B,511Bと、突片411A,511Aの上縁から穴部411B,511Bへ通ずるよう突片411A,511Aを切り欠いたガイド部411C,511Cと、を備えている。このガイド部411C,511Cを通って、可動部側の軸部材422,522は突片外から穴部内へ入れられる。このように構成される一対の受け部411,411(511,511)は、各突片411A,411A(511A,511A)の面が対向するよう、傾斜部22B,22Cに設けられる。抽出口23は、このように構成される第1ヒンジ部4と第2ヒンジ部5との間に設けられている(図1参照)。
【0034】
図3は図2のα領域の拡大図である。この図に示すように、軸部材522がガイド部511Cを通って突片外から穴部内へ向かう移動方向Mが、鉛直方向(軸25,35に相当)に対して角度θで傾斜するよう選定されている。具体的には、右側の第2ヒンジ部5のガイド部511Cの延出方向はその上側から下側へ行くにつれて、固定部2の口部23側から端部側(図3の左側)へ傾斜している。例えば、軸部材522の移動方向Mが鉛直方向からθで傾斜するように、ガイド部511Cは突片511Aに形成される。角度θが20度を超えると可動部3の左右片方を固定して開けようとすると持ち上げられる側(左右の他方側)が円弧状に動くため開け難くなり、0度だと可動部3を固定部2からそのまま上に力を加えると抜け易くなるので、角度θは1度〜20度程度である。左側のヒンジ部4は、右側のヒンジ部5と対称に形成されている。
【0035】
さらに、本実施形態では、下記の式1が成立するよう、第1ヒンジ部4と第2ヒンジ部5とが形成されている。
【0036】
【数1】

ここで、Wはガイド部411C、511Cの幅(図3)、L1は軸部材422,522の断面の寸法の内で可動部3が固定部2の口部23を覆った状態(図1及び図2の状態)での移動方向Mに沿った寸法(図3)、L2は穴部411B、511Bの寸法の内で移動方向Mと軸部材422,522の長手方向とに直交する方向に沿った寸法である(図3)。このように、軸部材422,522は後述するように断面を雨滴型(或いはハート型、丸型に突起の付いたものなど)として形成され、穴部411B、511Bもその形状を雨滴型に形成されている。
【0037】
本実施形態のキャップ1は以上のように構成されており、以下、キャップ1の動作について説明する。
【0038】
図1に示すキャップ1では、第1ヒンジ部4と第2ヒンジ部5とにおける各第1係合部41,51と第2係合部42,52とが係合していることで、可動部3が固定部2の口部23を覆う状態で固定部2に保持されている。本明細書では図1に示すキャップ1の状態を基本姿勢とする。
【0039】
図1の基本姿勢のキャップ1において、可動部3の左側の端部を固定部2に対して上側へ押し上げると、左側のヒンジ部4を構成する第1係合部41と第2係合部42とが分離する。その後、可動部3の左側の端部をさらに上方へ押し上げると、可動部3は、図4に示すように、右側のヒンジ部5によって、つまり右側のヒンジ部5の軸部材522まわり(図中の矢印A)に回動する。このように、第2ヒンジ部5は、第1ヒンジ部4の第1係合部41と第2係合部42とが分離した状態で、可動部3の第1ヒンジ部4側を持ち上げるよう固定部2に対して可動部3を回動させる。可動部3の回動によって、口部23が露出される。これにより、ユーザーは、口部23から容器100内の液或いは粉などの内容物を容器外へ出すことができる。
【0040】
図4に示す状態では、軸部材522は受け部511の穴部511Bからガイド部511Cを通って突片外へ抜け出ることを規制される。これは、軸部材522の断面が円形を基本形状としつつその周辺の一部をさらに外方へ突出させて、例えば雨滴型に形成されると共に、雨滴型における最長の寸法が前述したように、ガイド部511Cの幅Wよりも長い寸法L1に設定されていることに加え、可動部3を開いた状態(図4)で軸部材522が穴部511B内でガイド部511Cへ入り込まない向きになることに拠る。このような構成により、可動部3を固定部2に対して可動させても、可動部3は固定部2から容易に外れることはない。つまり、可動部3を開けるときに、支点となる側のヒンジ部5の外れを防止する。さらに完全に開封したときには軸部材522の向きが穴部511Bの形状に一致する。このとき、ユーザーは、軸部材522が穴部511Bの形状に合致するときのクリック感覚を得ることができる。このクリック感によって、その位置で開封作業を停止することをユーザーは容易に判断できる。このように軸部材522の向きが穴部511Bの形状に一致することで、可動部3の開封状態を維持することができ、再び可動部3を閉じるときには多少力を入れないと戻らない(L1≦L2)。なお、図3(図1)のキャップ1を閉じた状態では、軸部材522は、ガイド部511Cによる移動方向Dに雨滴型の断面形状の長手方向を沿わせていることで、図3の状態において可動部3の右側を押し上げるとヒンジ部522が受け部511から円滑に外れて、第2ヒンジ部5の第1係合部51と第2係合部52とが分離する。
【0041】
図4に示す状態から開動作とは逆の動作を行い、左側のヒンジ部4の第1係合部と第2係合部とを再び係合させることで、当初の基本姿勢に戻すことができる。
【0042】
ユーザーが、基本姿勢のキャップ1において可動部3の右側の端部を押し上げれば、右側の第2ヒンジ部5の第1係合部と第2係合部とが分離し、左側のヒンジ部4によって可動部3の第2ヒンジ部側を持ち上げることができる。
【0043】
図6に示すように、固定部2に保持された実線で示す可動部3を点線で示す位置側へ固定部2から持ち上げるよう、ユーザーが、可動部3の左右の端部を図中の矢印B方向へ同時に力を加えたとしても、両側の受け部41,51のガイド溝411C,511Cの方向が鉛直方向から傾斜した角度θに沿って延びているため、二つの軸部材422,522をそのまま鉛直上方へ持ち上げることを、容易には行えないことに拠る。つまり、ガイド溝511Cは図3の方向Mであり、ガイド溝411Cは図3の方向Mを軸25,35を境界に対称とした方向(以下、M*:図2参照)であって、方向Mと方向M*とが非平行、本実施形態では交差する関係にあるため、二つの軸部材422,522を同時にそのまま鉛直上方へ持ち上げる動作を本実施形態では規制している。
【0044】
本実施形態に係るキャップ1によれば、容器100の向きに拘わらず、可動部3を固定部2に対して開閉することができる。また、キャップ1は小型の容器にも適用可能である。
[変形例]
図7は本発明の実施形態の変形例に係るキャップ1Aの斜視図であり、図8はキャップ1Aの分解斜視図である。キャップ1Aは、前述のキャップ1と異なり、第1ヒンジ部4と第2ヒンジ部5とにおける第2係合部42,52が前述の支持部421,521を備えずに構成されている点で相違する。本実施形態では、第2係合部の軸部材422,522は、可動部3の筒状部31の内周面から突出するように形成されている。具体的には、各第1ヒンジ部4と第2ヒンジ部5とにおいて、それぞれ2本の軸部材422,422(522,522)が同じ仮想線L1’(L2’)上に設けられている(図8参照)。このキャップ1Aにおいても、前述のキャップ1と同様に、容器100の前後の向きに拘わらず、可動部3を固定部2に対して開閉することができる。さらに、前述のキャップ1に比べて、キャップ1Aは支持部421,521を省略することで、構造を簡素にできる。
【0045】
以上詳述したが、本発明は発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
【0046】
例えば、可動部と固定部とを構成する各筒状部は、断面を楕円に限らず、円、四角、六角形、その他の対象形状に加え、非対称形状でもよい。また、可動部と固定部との断面形状が異なってもよい。図中の寸法比率は一例である。説明中の数値に本発明は限定されるものではない。
【0047】
ガイド部によって軸部材が移動する方向は、上記角度θに沿った方向に限らず、鉛直方向などでもよい。
【0048】
支持部の形状や構造は図示例に限られるものではない。
【0049】
本発明の固定部の口部は、注ぎ口,取り出し口,抽出口などとして機能するものであり、容器に収容される内容物は説明した例に限られるものではない。
【0050】
本発明は、小型の容器に限らず、大きな開口を有する保冷箱などの大型の容器に適用できることは勿論である。
【0051】
本発明を構成する固定部は、容器の開口部に対して螺着などの構造的結合に限らず、容器の開口部に接着や溶着などによって取り付けて配設されることに加えて、容器の開口部と一体に樹脂で構成されてもよい。
【0052】
本発明のキャップを構成する、固定部、可動部、第1ヒンジ部、第2ヒンジ部はPE(ポリエチレン),PP(ポリプロピレン),PS(ポリスチレン)などの樹脂によって構成されている。
【符号の説明】
【0053】
1,1A キャップ
2 固定部
21 固定部の筒状部
22 固定部の天井部
22A 天井部を構成する中部
22B,22C 天井部を構成する傾斜部
23 固定部に設けられた口部
25 固定部の軸
3 可動部
31 可動部の筒状部
32 可動部の天井部
33B,33C 傾斜部
34 突起部
35 可動部の軸
4 第1ヒンジ部
41 第1ヒンジ部の第1係合部
411 受け部
42 第1ヒンジ部の第2係合部
421 支持部
422 軸部材
5 第2ヒンジ部
51 第2ヒンジ部の第1係合部
511 受け部
52 第2ヒンジ部の第2係合部
521 支持部
522 軸部材
P1,P2 仮想面
L1 軸部材の寸法
L2 穴部の寸法
L1’,L2’ 仮想線
W 切り欠き部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部に配設され注ぎ口,取り出し口,抽出口などの口部を有する固定部と、上記固定部の口部を覆う可動部と、上記固定部に対して上記可動部を着脱自在に連結する第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部と、を備え、
上記口部は上記第1ヒンジ部と上記第2ヒンジ部との間に設けられており、
上記第1ヒンジ部と上記第2ヒンジ部とは、上記固定部に設けられた第1係合部と、上記可動部に設けられ上記第1係合部に着脱自在に連結する第2係合部と、を備え、
上記第2係合部は軸部材を備え、上記第1係合部は上記軸部材を回転自在且つ着脱自在に支持する受け部を備えて、
上記第1ヒンジ部は上記可動部の上記第2ヒンジ部側を持ち上げるよう上記固定部に対して上記可動部を回動させ、
上記第2ヒンジ部は上記可動部の上記第1ヒンジ部側を持ち上げるよう上記固定部に対して上記可動部を回動させることを特徴とする、キャップ。
【請求項2】
前記受け部は、前記固定部の表面から起立した一対の突片と、上記突片に形成され前記軸部材を回転自在に収容する穴部と、上記突片の縁から上記穴部へ形成されたガイド部と、を備え、
前記軸部材が上記ガイド部を通って上記突片外側から上記穴部内へ向かう移動方向が、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とを結ぶ仮想の線に直交する仮想鉛直線に対して傾斜した方向であることを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記切り欠き部の幅をWとし、
前記軸部材の断面の寸法の内、前記可動部が前記固定部の口部を覆った状態での前記移動方向に沿った寸法をL1とし、
前記穴部の寸法の内、前記移動方向と前記軸部材の長手方向とに直交する方向に沿った寸法をL2とすると、
W<L1、W<L2であることを特徴とする、請求項2に記載のキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−105322(P2011−105322A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260230(P2009−260230)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】