説明

キャビネット装置

【課題】開閉扉に入出力部を取付けてキャビネット本体の内部空間を増大させるとともに、開閉扉を開いたときおよび閉じたときの何れのときでも開閉扉の裏面や表面で入出力部の操作や表示確認をできるようにして操作性も向上させるようなキャビネット装置を提供する。
【解決手段】開閉扉11を閉じたときに窓部12を通じて開閉扉表側で入出力部30による入出力をするため入出力部30の入出力面31が開閉扉11の窓12に面するように入出力部30を配置し、また、開閉扉11を開いたときに開閉扉裏側で入出力部30による入出力をするため入出力部30を前後反転させて入出力部30の背面が開閉扉11に面するとともに入出力部30の入出力面31が開閉扉裏側に現れるように入出力部30を配置する反転機構部32を備えるキャビネット装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体装置と、この本体装置に接続される入出力部と、をともに収容するキャビネット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャビネット装置の従来技術について図を参照しつつ説明する。図8は従来技術のキャビネット装置の説明図であり、図8(a)は開閉扉を閉めたときの外観図、図8(b)は開閉扉を開けたときの外観図である。キャビネット装置100は、キャビネット本体10、開閉扉11、窓部12、本体装置20、入出力部30を備えている。
【0003】
キャビネット本体10は、本体装置20、入出力部30を収納する筐体である。
開閉扉11は、キャビネット本体10に開閉自在に取り付けられ、例えば、図8(b)で示すように右開きの扉である。
窓部12は、開閉扉11に設けられており、開閉扉11を閉めたときでも入出力部30の前面に窓部12が位置するようになされ、図8(a)で示すように窓部12を介して入出力部30を見ることができる。なお、入出力部30は、各種の装置を採用することができ、入出力部30が目視確認用のディスプレイ装置のみであるならば窓部12は透明板が介在してもよく、または、入力機能のみの操作部であったり、入力機能と出力機能とをともに有するタッチパネルであれば、窓部12は外界と連通する単なる孔となる。
【0004】
本体装置20は、各種の装置であるが、例えば、分析装置であって液体処理装置、気体処理装置、駆動装置、制御装置または信号処理装置などである。
入出力部30は、この本体装置20と通信するように図示しないケーブルにより接続されている。先に説明したが、入出力機能として、入出力部30から本体装置20への操作信号の入力を行う入力機能と、また、本体装置20から入出力部30への出力を行う出力機能と、を考えるとすると、入出力部30は入力機能のみ、出力機能のみ、または、入力出力両機能を備えても良い。なお、説明の具体化のため、本明細書中では入出力部30はタッチパネルであって入出力機能を共に備えるものとして以下説明する。
【0005】
このようなキャビネット装置100では、開閉扉11の開閉に拘らず、作業者が本体装置20の状態を常に確認できるようにするため、図8(b)で示すように、本体装置20の側に入出力部30が配置されるのが一般的である。しかしながら、近年ではキャビネット装置の小型化の要請や、高機能化に伴う本体装置20の容量増加のため、キャビネット本体内の収容スペースの確保が課題となっている。そこで、その一案として入出力部の他所への配置が検討されている。
【0006】
しかしながら、入出力部をキャビネット本体以外の場所に移した場合、メンテナンス時等では入出力部が離れたところにあるため、出力機能によりメンテナンスに必要な情報を確認したり、入力機能によりメンテナンスに必要な情報の入力がしにくいという問題があった。そこで、メンテナンスのため入出力部の位置を移動可能に構成したいという要請があった。
【0007】
そのような入出力部の移動に関する先行技術として、例えば、特許文献1,2,3が知られている。特許文献1(特開平8−184541号公報,発明の名称「材料試験装置」)に係る発明では、タッチパネルを外側に配置して内部空間を確保するとともに、上下に移動させてタッチパネルの操作性を確保している。
また、特許文献2(特開2004−624号公報,発明の名称「旋回する制御パネルを備える検査超音波システム」)に係る発明では、制御パネルを回転可能に構成して制御パネルの操作性を向上させている。
また、特許文献3(特開平5−277107号公報,発明の名称「超音波診断装置用操作パネル」)に係る発明でも、メインパネルを回転可能に構成してメインパネルの操作性を向上させている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−184541号公報
【特許文献2】特開2004−624号公報
【特許文献3】特開平5−277107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、キャビネット装置100は開閉扉11を備えることに着目し、窓部12を介して入出力部30が見えるように開閉扉11に入出力部30を取付けてキャビネット本体10の収容容積を増加させることが考えられる。しかしながら、開閉扉11に単に入出力部30を取付けた場合、通常は図8(a)のように窓部12を介して入出力部30が表示されるが、開閉扉11を開いた場合には入出力部30の裏側(入出力面ではない)が現われて操作できなくなる。そのため操作員が開閉扉11の表側と裏側とを行ったり来たりすることとなり、極めて不便になると予想される。図8(a),(b)で示すような従来技術では開閉扉11を開いてメンテナンスを行うときでも、本体装置20と、これに隣接する入出力部30と、を同時に操作確認できたことから、この従来技術と比較しても開閉扉11に入出力部30を取付けると操作性の著しい低下が回避できず、このような構造はそのままでは採用できないという問題があった。
【0010】
そこで開閉扉の開閉に拘らず作業者が容易に入出力部の確認・操作できるようにするため、入出力部を移動させたいという要請がある。
先に掲げた特許文献1,2,3に記載された先行技術では、入出力部を移動させて操作性を向上させるものであるが、開閉扉に取付けた入出力部に係るものではなかった。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、開閉扉に入出力部を取付けてキャビネット本体の内部空間を増大させるとともに、開閉扉を開いたときおよび閉じたときの何れのときでも開閉扉の裏面や表面で入出力部の操作や表示確認をできるようにして操作性を向上させたキャビネット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るキャビネット装置は、
各種の装置を含む本体装置を収納するキャビネット本体と、
キャビネット本体に設けられる開閉扉と、
開閉扉に設けられる窓部と、
本体装置への入力および/または本体装置からの出力を行うために開閉扉に取付けられた入出力部と、
開閉扉を閉じたときに窓部を通じて開閉扉表側で入出力部による入出力を行うため入出力部の入出力面が開閉扉の窓に面するように入出力部を配置し、また、開閉扉を開いたときに開閉扉裏側で入出力部による入出力を行うため入出力部を表裏反転させてその背面が開閉扉表側に向くとともに前記入出力面が開閉扉裏側に現れるように入出力部を配置する反転機構部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に係るキャビネット装置は、
請求項1に記載のキャビネット装置において、
前記反転機構部は、
入出力部に支持される回動軸と、
回動軸を支持する軸受部と、
を備え、回動軸を中心として入出力部を回動するように支持することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3に係るキャビネット装置は、
請求項1に記載のキャビネット装置において、
前記反転機構部は、
前記開閉扉に設けられ、摺動路を有する誘導部と、
前記入出力部に設けられ、摺動路に沿って移動するととも回動するようになされた被誘導部と、
を備え、前記入出力部を誘導部に従って移動させつつ回動するように支持することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4に係るキャビネット装置は、
請求項1に記載のキャビネット装置において、
前記反転機構部は、
前記入出力部に設けられた回動軸と、
回動軸とともに前記入出力部を回動させる回動駆動部と、
前記入出力部の回動位置を検出する検出センサ部と、
回動駆動部および検出センサ部が接続される制御部と、
制御部に操作信号を出力する制御信号入力部と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5に係るキャビネット装置は、
請求項4に記載のキャビネット装置において、
前記制御信号入力部は、手動スイッチであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項6に係るキャビネット装置は、
請求項4に記載のキャビネット装置において、
前記制御信号入力部は、開閉扉が開いたことを検出するセンサスイッチであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のような本発明によれば、開閉扉に入出力部を取付けてキャビネット本体の内部空間を増大させるとともに、開閉扉を開いたときおよび閉じたときの何れのときでも開閉扉の裏面や表面で入出力部の操作や表示確認をできるようにして操作性を向上させたキャビネット装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
続いて本発明を実施するための最良の形態のキャビネット装置について、図を参照しつつ説明する。図1は本形態のキャビネット装置1の説明図であり、図1(a)は開閉扉を閉めたときの外観図、図1(b)は開閉扉を開けたときの外観図である。キャビネット装置1は、キャビネット本体10、開閉扉11、窓部12、本体装置20、入出力部30を備えている。本形態のキャビネット装置1は、先に図8を用いて説明した従来技術のキャビネット装置100と比較すると、入出力部30が開閉扉11側に配置される点が相違している。本形態では入出力部30の配置および後述する反転機構部の構成について詳述するものとし、他のキャビネット本体10、開閉扉11、窓部12、本体装置20については、先に説明した構成と同じであるとして、同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。
【0020】
入出力部30について説明する。図2は入出力部の詳細を説明する説明図であり、図2(a)は開閉扉表側に入出力部が現れた場合を示す平面図、図2(b)は開閉扉裏側に入出力部が現れた場合を示す平面図、図2(c)は開閉扉裏側に入出力部が現れた場合を示す正面図である。
入出力部30は、図2(a),(b)で示すように、入出力面31、反転機構部32を備える。反転機構部32は、さらに回動軸321、軸受部322を備える。開閉扉11および入出力部30は、回動軸321により回動自在に軸支される。これにより入出力部30は開閉扉11に対して回動自在に移動する。また、入出力部30には、図2(a),(b)で示すように弾性部13が配置され、入出力部30は開閉扉11に衝突しないように配慮されている。
【0021】
続いて、入出力部30の回動操作について説明する。通常の開閉扉11を閉じた状態では、図2(a)で示すように、開閉扉11の窓部12を通じて開閉扉表側で入出力部30による入出力を行うため、入出力部30の入出力面が開閉扉11の窓部12に面するように入出力部30を配置する。開閉扉11の表側で窓部12を介して入出力面31が現れた状態である。入出力部30は、図1(b)で示す本体装置20と通信するようにケーブル(図示せず)を介して接続されており、窓部12を介して入出力部30の入出力面31の操作部311(図2(c)参照)から本体装置20への操作信号の入力や、本体装置20から入出力部30の入出力面31の表示部312(図2(c)参照)への情報の出力を行う。
【0022】
メンテナンスのため開閉扉11を開いた状態では、図2(b),(c)で示すように、開閉扉裏側で入出力部30による入出力を行うため、操作員が入出力部30を表裏反転させて入出力部30の背面が開閉扉11に面するとともに入出力部30の入出力面31が開閉扉裏側に現れるように入出力部30を配置し、開閉扉11の裏側に入出力面31が現れた状態となる。図1(b)で示すように、キャビネット本体10の本体装置20の各種メンテナンスを行いつつ入出力部30から本体装置20への操作信号の入力や、本体装置20から入出力部30への出力により本体装置20の状態を確認しつつ行う。
【0023】
このように本形態によれば、開閉扉11を閉めた場合は窓部12を介して開閉扉11の表側に入出力面31を向け、また、開閉扉11を開いた場合は、開閉扉11に取付けた入出力部30を反転移動させて入出力面31を開閉扉11の裏側に向けることができるため、メンテナンス時でも本体装置20および入出力部30が並んだ状態となってメンテナンスが容易になる。
また、入出力部30が開閉扉11に取付けられるためキャビネット本体10の収容スペースが増え、キャビネット装置1の収容容積の増加またはキャビネット装置1の小型化に寄与することとなる。
【0024】
続いて他の形態の入出力部30について説明する。図3は入出力部の詳細を説明する説明図であり、図3(a)は開閉扉裏側に入出力面が現れた場合を示す斜視図、図3(b)は入出力部を取り去った反転機構を示す斜視図である。図4は入出力部の詳細を説明する説明図であり、図4(a)は開閉扉表側に入出力面が現れた場合を示す平面図、図4(b)は開閉扉表側に入出力面が現れた場合を示す断面図、図4(c)は反転動作を示す断面図である。図5は入出力部の詳細を説明する説明図であり、図5(a)は反転動作を示す断面図、図5(b)は開閉扉裏側に入出力面が現れた場合を示す断面図である。
【0025】
この形態の入出力部30は、特に反転機構部33のみを変更したものであり、他のキャビネット本体10、開閉扉11、窓部12、本体装置20、入出力部30は、先に図1,図8を用いて説明した構成と同じである。この反転機構部33は、図3(a),(b)で示すように、回動軸331、ガイド部332を備える。ガイド部332はさらに細長い孔である摺動路333を備え、この摺動路333に回動軸331が差し込まれている。このような回動軸331、ガイド部332は、図3(b)でも示すように下側でも同様に形成され、上下で入出力部30を支持する。また、入出力部30には、図4(b),図5(b)で示すように弾性部13が配置され、入出力部30は開閉扉11に衝突しないように配慮されている。
【0026】
このような反転機構部33により、摺動路333に沿って回動軸331が移動するため入出力部30は摺動路333に誘導されて移動可能に構成され、さらに、入出力部30は回動軸331を基準に回動可能に構成される。本形態のガイド部332は本発明の誘導部に相当し、また、本形態の回動軸331は本発明の被誘導部に相当する。また、ガイド部332の板状平面が入出力部30の上下面と接するため、移動方向が拘束されて入出力部30の水平移動と回動以外は困難としている。このためガイド部332の入出力部30との当接面は、図4(a)で示すように入出力部30の上下面と比較して十分広くして、入出力部30の水平移動と回動とを容易にしている。本発明の誘導部・被誘導部はこのような水平移動と回動とを誘導する機能も含む。
これにより入出力部30は、開閉扉11に対して入出力部30の線方向の移動および回動が可能となる。ここで摺動路333は、図4(a)で示すように、特に入出力部30の略対角線上で形成される。この理由については後述する。
【0027】
続いて、入出力部30の回動操作について説明する。通常の開閉扉11を閉じた状態では、図4(a),(b)で示すように、開閉扉11の表側から窓部12を介して入出力面31が現れた状態である。入出力部30は、本体装置20と通信するように接続されており、窓部12を介して入出力部30の操作部311(図3(a)参照)から本体装置20への操作信号の入力や、本体装置20から入出力部30の表示部312(図3(a)参照)への出力を行う。
【0028】
メンテナンスのため開閉扉11を開いた状態では、以下のようにして入出力部30を反転させる。まず、図4(b)の状態から、摺動路333に沿って入出力部30を移動させつつ、入出力部30を回転させ、図4(b),図4(c),図5(a)という状態を経て、図5(b)で示すように、開閉扉11の裏側に入出力面31が現れた状態とする。摺動路333は、図4(a)で示すように、特に入出力部30の略対角線上で形成されているため、回動軸331が反対側に到達した場合に、入出力部30が同じ位置で前後のみ反転させた状態にすることができる。
【0029】
以上本形態について説明した。本形態では本発明の誘導部と被誘導部を具体的に掲げて説明したが、他にも各種の形態を掲げることが可能である。例えば、本形態では回動軸331が摺動路333から突出する形態としたが、摺動路333が溝であり回動軸331が突出しない様にしても良い。少なくとも、誘導部が有する摺動路に沿って移動するとともに回動するようになされた被誘導部とすれば良く、これらは適宜設計される。
【0030】
このように本形態でも、開閉扉11を閉めた場合は窓部12を介して、また、開閉扉11を開いた場合は、開閉扉11に取付けた入出力部30を移動させて入出力面が見えるようにして本体装置20および入出力部30が並んだ状態となるため、メンテナンスが容易になる。
また、入出力部30の移動によりキャビネット本体10の収容スペースが増えるため、キャビネット装置1の小型化に寄与する。
さらに、先に図2を用いて説明した入出力部30では正常位置および反転位置とで広い領域が必要であったが、本形態では、入出力部30を反転させて同じ位置で配置できるため、この点でも省スペースが可能となっており、入出力部30を大型化することも可能である。
【0031】
続いて他の形態の入出力部30について説明する。図6は入出力部の詳細を説明する説明図であり、図6(a)は開閉扉裏側に入出力部が現れた場合を示す斜視図、図6(b)は入出力部を取り去った反転機構を示す斜視図である。図7は入出力部の詳細を説明する説明図であり、図7(a)は反転機構の回路系の説明図、図7(b)は開閉扉表側に入出力部が現れた場合を示す平面図、図7(c)は開閉扉裏側に入出力部が現れた場合を示す平面図である。
【0032】
入出力部30は、反転機構部34により開閉扉11に対して自動的に回動するように構成される。この反転機構部34は、図6(a),(b)で示すように、回動軸341、軸受部342,モータ343(本発明の回転駆動部の一具体例である)、検出センサ部344,345を備える。さらに制御回路として、図7(a)で示すように、モータ343、検出センサ部344,345、制御部346、制御信号入力部347を備える。モータ343が駆動する回動軸341は、図6(b)でも示すように、上下の軸受部342により軸支されている。また、入出力部30には、図7(b),(c)で示すように弾性部13が配置され、入出力部30は開閉扉11に衝突しないように配慮されている。
【0033】
続いて、入出力部30の回動操作について説明する。通常の開閉扉11を閉じた状態では、図7(b)で示すように、開閉扉11の表側から窓部12を介して入出力面31が現れた状態である。入出力部30は、この本体装置20とケーブル(図示せず)を介して通信するように接続されており、窓部12を介して入出力部30から本体装置20への操作信号の入力や、本体装置20から入出力部30への出力を行う。
【0034】
メンテナンスのため開閉扉11を開いた状態では、以下のようにして入出力部30を反転させる。まず、図7(a)で示すように、制御信号入力部347から制御部346へ回動開始信号を送信する。この制御信号入力部347は、例えば図示しない手動スイッチであり、操作員が手動スイッチを操作して回動開始信号を送信することとなる。なお、これに代えて、制御信号入力部347は、開閉扉11が開いたことを検出するセンサスイッチとし、開閉扉11を開いたことを検出して回動開始信号を送信するようにしても良い。この場合、制御部346が所定期間経過後に回動開始するようにしたり、または、開閉扉11が半分以開いたときに検出して回動開始するようにして、キャビネット本体10と入出力部30とが衝突しないように配慮しても良い。
【0035】
回動開始により制御部346はモータ343を正転させる駆動信号を出力し、図7(b)の状態から入出力部30の回動を開始し、図7(c)で示す位置まで回動させる。このとき、検出センサ部345がリミット位置まで入出力部30が回動したことを検出し、検出センサ部345からの検出信号を制御部346が受信し、制御部346はモータ343に停止信号を出力する。モータ343は回転を停止し、図7(c)で示す状態で停止する。これで開閉扉11の裏側に入出力面31が現れた状態となる。
【0036】
なお、元に戻すときには、回動開始により制御部346はモータ343を逆転させる駆動信号を出力し、図7(c)の状態から入出力部30の回動を開始し、図7(b)で示す位置まで回動させる。このとき、検出センサ部344がリミット位置まで入出力部30が回動したことを検出し、検出センサ部344からの検出信号を制御部346が受信し、制御部346はモータ343に停止信号を出力する。モータ343は回転を停止し、図7(b)で示す状態で停止する。これで開閉扉11の表側に入出力面31が現れた状態となる。
なお、本形態では回転駆動部の具体例としてモータ343を掲げて説明したが、例えば、減速器付きモータ等各種の形態の採用が可能である。
【0037】
このように本形態でも、開閉扉11を閉めた場合は窓部12を介して、また、開閉扉11を開いた場合は、開閉扉11に取付けた入出力部30を移動させて入出力面31を反転させ、本体装置10および入出力部30が並んだ状態となるため、メンテナンスが容易になる。
また、入出力部30の移動によりキャビネット本体10のスペースが増えるため、キャビネット装置1の小型化に寄与する。
さらに、先に図2〜図6を用いて説明した入出力部30では手動であるため、回転しないときには停止固定手段(図示せず)により固定する必要があったが、本形態ではモータ343が回転しないときはそのまま固定されているため、停止固定手段は不要になる。また、入出力部30の移動は自動的なため当然に簡単かつ容易である。
【0038】
以上本発明の各種形態について説明した。なお、これら図2〜図7を用いて説明した入出力部30は入力機能を有する操作部311、出力機能を有する表示部312を共に備えるものとして説明したが、本発明では入力機能単体や出力機能単体のみ有する場合も含め、総称して入出力部としている。また、出力機能としてプリンタ装置・記録計の機能を有する入出力部であっても良い。このように入力機能単体や出力機能単体の入出力部であっても操作の容易化という本発明の効果を奏しうるものである。
【0039】
また、開閉扉11を右開きであるとして説明した。しかしながら、図示しないが開閉扉11を左開きに構成しても良い。
さらにまた、図2の反転機構部32や図6の反転機構部34による入出力部30も右開きであるとして説明した。しかしながら、図示しないが入出力部30も左開きに構成しても良い。
さらにまた、開閉扉11を右開きで入出力部30を左開きに構成したり、また、開閉扉11を左開きで入出力部30を右開きに構成したりしても良い。この場合、開閉扉11の裏側で入出力部30の入出力面31を表示させる場合、入出力面31が本体装置20に近くなって、両者を比較しながら見やすいという利点もある。
【0040】
さらに、本形態の適用対象は各種あるが、例えば、環境測定装置に適用することが考えられる。環境測定装置として、気体試料としての大気を測定部内へ取り込み、気体試料に含まれる物質の濃度を測定する大気汚染測定装置などに適用しても良い。また、他の環境測定装置として、例えば、河川・湖沼から採取した水試料を測定部内へ取り込み、水試料に含まれる物質の濃度を測定する全窒素・全りん/COD自動測定装置などに適用しても良い。キャビネット装置の使用形態は適宜選択される。
【0041】
このように本発明によれば、開閉扉を閉めた場合は窓部を介して、また、開閉扉を開いた場合は、開閉扉に取付けた入出力部を移動させて入出力面が見えるようにできて本体装置および入出力部が並んだ状態となるため、メンテナンスが容易になる。
また、入出力部の移動によりキャビネット本体のスペースが増えるため、キャビネット装置の小型化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明を実施するための最良の形態のキャビネット装置の説明図であり、図1(a)は開閉扉を閉めたときの外観図、図1(b)は開閉扉を開けたときの外観図である。
【図2】入出力部の詳細を説明する説明図であり、図2(a)は開閉扉表側に入出力面が現れた場合を示す平面図、図2(b)は開閉扉裏側に入出力面が現れた場合を示す平面図、図2(c)は開閉扉裏側に入出力面が現れた場合を示す正面図である。
【図3】入出力部の詳細を説明する説明図であり、図3(a)は開閉扉裏側に入出力面が現れた場合を示す斜視図、図3(b)は入出力部を取り去った反転機構を示す斜視図である。
【図4】入出力部の詳細を説明する説明図であり、図4(a)は開閉扉表側に入出力面が現れた場合を示す平面図、図4(b)は開閉扉表側に入出力面が現れた場合を示す断面図、図4(c)は反転動作を示す断面図である。
【図5】入出力部の詳細を説明する説明図であり、図5(a)は反転動作を示す断面図、図5(b)は開閉扉裏側に入出力面が現れた場合を示す断面図である。
【図6】入出力部の詳細を説明する説明図であり、図6(a)は開閉扉裏側に入出力面が現れた場合を示す斜視図、図6(b)は入出力部を取り去った反転機構を示す斜視図である。
【図7】入出力部の詳細を説明する説明図であり、図7(a)は反転機構の回路系の説明図、図7(b)は開閉扉表側に入出力面が現れた場合を示す平面図、図7(c)は開閉扉裏側に入出力面が現れた場合を示す平面図である。
【図8】従来技術のキャビネット装置の説明図であり、図8(a)は開閉扉を閉めたときの外観図、図8(b)は開閉扉を開けたときの外観図である。
【符号の説明】
【0043】
1,100:キャビネット装置
10:キャビネット本体
11:開閉扉
12:窓部
13:弾性部
20:本体装置
30:入出力部(タッチパネル)
31:入出力面
311:操作部
312:表示部
32:反転機構部
321:回動軸
322:軸受部
33:反転機構部
331:回動軸
332:ガイド部
333:摺動路
34:反転機構部
341:回動軸
342:軸受部
343:モータ
344,345:検出センサ部
346:制御部
347:制御信号入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の装置を含む本体装置を収納するキャビネット本体と、
キャビネット本体に設けられる開閉扉と、
開閉扉に設けられる窓部と、
本体装置への入力および/または本体装置からの出力を行うために開閉扉に取付けられた入出力部と、
開閉扉を閉じたときに窓部を通じて開閉扉表側で入出力部による入出力を行うため入出力部の入出力面が開閉扉の窓に面するように入出力部を配置し、また、開閉扉を開いたときに開閉扉裏側で入出力部による入出力を行うため入出力部を表裏反転させてその背面が開閉扉表側に向くとともに前記入出力面が開閉扉裏側に現れるように入出力部を配置する反転機構部と、
を備えることを特徴とするキャビネット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のキャビネット装置において、
前記反転機構部は、
入出力部に支持される回動軸と、
回動軸を支持する軸受部と、
を備え、回動軸を中心として入出力部を回動するように支持することを特徴とするキャビネット装置。
【請求項3】
請求項1に記載のキャビネット装置において、
前記反転機構部は、
前記開閉扉に設けられ、摺動路を有する誘導部と、
前記入出力部に設けられ、摺動路に沿って移動するととも回動するようになされた被誘導部と、
を備え、前記入出力部を誘導部に従って移動させつつ回動するように支持することを特徴とするキャビネット装置。
【請求項4】
請求項1に記載のキャビネット装置において、
前記反転機構部は、
前記入出力部に設けられた回動軸と、
回動軸とともに前記入出力部を回動させる回動駆動部と、
前記入出力部の回動位置を検出する検出センサ部と、
回動駆動部および検出センサ部が接続される制御部と、
制御部に操作信号を出力する制御信号入力部と、
を備えることを特徴とするキャビネット装置。
【請求項5】
請求項4に記載のキャビネット装置において、
前記制御信号入力部は、手動スイッチであることを特徴とするキャビネット装置。
【請求項6】
請求項4に記載のキャビネット装置において、
前記制御信号入力部は、開閉扉が開いたことを検出するセンサスイッチであることを特徴とするキャビネット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−278444(P2006−278444A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91697(P2005−91697)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】