説明

キャビネット

【課題】 吊上げ時に遮蔽板を取り外す必要がなく、全高が高くならず、ワイヤーを吊りボルトに容易に挿通できるキャビネットを提供する。
【解決手段】 キャビネット1は電気機器を収納する箱体2を備え、箱体2の屋根部3に遮熱または遮光用の遮蔽板4と、吊上げワイヤーを通すための4つの吊りボルト5が設けられている。遮蔽板4は平面多角形の薄箱形に成形され、内側に空気流通空間が形成されている。吊りボルト5は、遮蔽板4の外周りに露出する状態で屋根部3の4隅に取り付けられ、箱体2の吊上げ時に、遮蔽板4を取り付けたままの状態でワイヤーを吊りボルト5に挿通できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を収納するキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器を収納する箱体に遮蔽板と吊りボルトを設けたキャビネットが知られている。遮蔽板は箱体の内部を外部の熱や光から遮蔽するために、吊りボルトは箱体の吊上げに使用できるように、どちらも箱体の屋根部に取り付けられている。
【0003】
例えば、図3に示す従来のキャビネット31では、箱体32の屋根部33に遮蔽板34が吊りボルト35を覆うように取り付けられている。図4に示すキャビネット41では、吊りボルト45が遮蔽板44の上方に突出するように取り付けられている。
【0004】
なお、特許文献1には、図3に示すようなキャビネット31において、吊りボルト35と対応する位置の遮蔽板34に十字孔を形成し、吊上げワイヤーを十字孔に通して吊りボルト35に挿通する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−224049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来のキャビネットによると、次のような問題点があった。
(1)図3に示すキャビネット31は、遮蔽板34が吊りボルト35を覆っているので、吊上げ時に遮蔽板34を取り外し、据付後に再び取り付ける必要があり、作業に手間が掛かった。
【0007】
(2)図4に示すキャビネット41は、吊りボルト45が遮蔽板44の上方に突出しているので、全体の高さ寸法が増し、強度が落ちるばかりでなく、吊りボルト45の取り付けに背高ナットや補強金具等の付属部品46を屋根部43に溶接する必要があった。
【0008】
(3)特許文献1のキャビネットは、ワイヤーを十字孔と吊りボルト35の両方に通す必要があり、吊り上げ作業に手間がかかった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、吊上げ時に遮蔽板を取り外す必要がなく、全高が高くならず、ワイヤーを容易に挿通できるキャビネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のキャビネットは、電気機器を収納する箱体の屋根部に遮蔽板と吊りボルトを備え、吊りボルトを遮蔽板の外周りに露出する状態で箱体の屋根部に取り付けたことを特徴とする。
【0011】
ここで、遮蔽板の内側に比較的大きな容積の空気流通空間を形成できるように、4つの吊りボルトを箱体の屋根部の四隅に取り付け、遮蔽板を平面多角形または円形に形成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のキャビネットによれば、吊りボルトが遮蔽板の外周りに露出するので、遮蔽板を取り付けたままの状態で、ワイヤーを吊りボルトに容易に挿通できる。また、吊りボルトを箱体の屋根部に取り付けたので、全高を抑え、強度を維持し、付属部品の溶接加工を省略することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示すキャビネットの斜視図である。
【図2】遮蔽板の平面形状を例示するキャビネットの平面図である。
【図3】従来のキャビネットを示す斜視図である。
【図4】従来の別のキャビネットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態のキャビネット1は、電気機器を収納する箱体2の屋根部3に、遮熱または遮光用の遮蔽板4と、吊上げワイヤーを通すための4つの吊りボルト5とが配設されている。
【0015】
遮蔽板4は平面多角形の薄箱形に板金成形され、内側に空気流通空間が形成されている。吊りボルト5は、遮蔽板4の外周りに露出する状態で屋根部3の4隅に取り付けられている。箱体2の4隅には支柱(図示略)が内装され、支柱の上端付近に吊りボルト5を留めるナットが設けられている。
【0016】
図2(a)に示す遮蔽板4Aは平面八角形に形成され、屋根部3の四隅が吊りボルト5と共に遮蔽板4Aの外回りに露出している。図2(b)に示す遮蔽板4Bは、屋根部3の四辺に内接する円形に形成されている。図2(c)に示す遮蔽板4Cは、四隅に吊りボルト5を露出させるための切欠部6を備えた多角形に形成されている。
【0017】
上記構成のキャビネット1によれば、次のような効果を期待できる。
(a)吊りボルト5が遮蔽板4の外周りに露出しているので、遮蔽板4を取り付けたままの状態で吊上げワイヤーを挿通でき、運搬据付作業を簡単に行うことができる。
(c)吊りボルト4を屋根部3の四隅で箱体2に取り付けたので、キャビネット1の全高を低く抑え、強度を維持し、付属部品の溶接加工を省略できる
(b)遮蔽板4にワイヤー挿通孔を加工する必要がなく、ワイヤーを吊りボルト4に直接挿通でき、吊り上げ作業を短時間に行うことができる。
【0018】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、遮蔽板の形状や吊りボルトの個数を変更するなど、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 キャビネット
2 箱体
3 屋根部
4 遮蔽板
5 吊りボルト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を収納する箱体の屋根部に遮蔽板と吊りボルトを備えたキャビネットにおいて、前記吊りボルトを遮蔽板の外周りに露出する状態で箱体の屋根部に取り付けたことを特徴とするキャビネット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−235598(P2012−235598A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101754(P2011−101754)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】