キャピラリーカラムクロマトグラフィーのプロセスおよびシステム
【課題】多くの流体サンプルの成分を、平行な様式で、キャピラリー導管のアレイを通して分離するための微小流体システムを提供する。
【解決手段】流体サンプルを受容するため、およびサンプルを固体分離媒体を含むキャピラリー分離導管の対応するアレイに通すことによってサンプルの代用物の分離を実施するための、キャピラリー導管を備えるシステム。この微小流体回路は、3つ以上の基板層から作製され、そして好ましくは、異なる層内のエッチングされたチャネルを備え、これらのチャネルは、キャピラリー分離導管内への固体組成物の保持を提供するように、互いに対して寸法決めされている。このシステムはまた、キャピラリー分離導管と流体連絡した、検出器フローセルのアレイ、および不連続なキャピラリー管を微小流体回路における流体通路に接続するための高圧コネクタのアレイを備える。
【解決手段】流体サンプルを受容するため、およびサンプルを固体分離媒体を含むキャピラリー分離導管の対応するアレイに通すことによってサンプルの代用物の分離を実施するための、キャピラリー導管を備えるシステム。この微小流体回路は、3つ以上の基板層から作製され、そして好ましくは、異なる層内のエッチングされたチャネルを備え、これらのチャネルは、キャピラリー分離導管内への固体組成物の保持を提供するように、互いに対して寸法決めされている。このシステムはまた、キャピラリー分離導管と流体連絡した、検出器フローセルのアレイ、および不連続なキャピラリー管を微小流体回路における流体通路に接続するための高圧コネクタのアレイを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、サンプル分析(例えば、クロマトグラフィー)を実施するための、微小流体回路内に固体分離媒体を含むキャピラリーカラムを形成するためのシステム要素、ならびに装置および方法に関する。より具体的には、本発明は、微小流体導管中にキャピラリーチャネルのアレイを形成するための装置および方法、ならびに固体分離媒体をチャネルに挿入および保持するためのデバイス、ならびにキャピラリーチャネルとインターフェースするための流体入口および流体出口コネクタ、ならびにキャピラリーチャネルを通過する溶出勾配または分析物をモニタリングするための検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的サンプルの複雑さを減少させることは、プロテオミック分析の有効性のために重大である。生物学的サンプルは、何千もの成分を含有し、そして一連の連続分析工程が、分析のために個々の成分を単離するために必要とされる。この手順において、先の分離段階において作製された各画分は、さらなる分画を受ける。例えば、第一の分離段階の後に30の画分が生成される場合、これらの画分の各々は、第二の段階において完全分離プロセスを受ける。第二段階の分離の各々は、30と200との間の画分を生成し得る(合計で900画分と6000画分との間)。サンプル画分の数は幾何学的に増加するが、分離プロセスの数もまた、幾何学的に増加する。この分離作業の量の爆発的な増加は、現在の技術を使用する場合に非実用的である。さらに、単一のサンプルを多数の画分に分離することは、受容不可能な画分の希釈、または絶えず小さくなる体積を取り扱う必要性のいずれかを生じ得る。サンプル体積が極端に小さくなるにつれて、多量のサンプルの損失の予想が非常に重大になる。
【0003】
従来のクロマトグラフィーは、一般に、サンプル混合物を球状ビーズの床に通過させることによって実施される。これらのビーズは、ビーズ間の介在体積を最小にして、カラムの分離効率を増加させる様式で、管またはカラムに密集して充填される。クロマトグラフィー床は、混合物の異なる成分の通過を異なった程度に遅れさせ、この混合物がクロマトグラフィー床を通って進行するにつれてこれらの成分の分離を生じるように設計される。クロマトグラフィー床のための代替の分離媒体は、モノリシック媒体であり、これらは、収容体積の形態を採るモノリシックブロックである。
【0004】
クロマトグラフィーは、複雑な混合物を分離するための方法として非常に考慮される。なぜなら、いくつかの異なる分離機構が利用可能であるからである(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはアフィニティークロマトグラフィー)。十分に設計されたクロマトグラフィー方法の分離効率は非常に高くあり得、そしてクロマトグラフィーは、非常に広範囲の体積にわたって規模を変化され得る。クロマトグラフィーは、非常に複雑な混合物の複雑さを減少させるために選択される方法である;しかし、クロマトグラフィーは、十分なスループットを欠き、従って、ハイスループットは、非常に並行した操作を必要とする。
【0005】
クロマトグラフィーは、その最も小さい規模において、キャピラリークロマトグラフィーと称される。これは通常、非常に小さい粒子またはビーズの充填された床で充填された、0.01mmと0.25mmとの間の内径を有する不連続なキャピラリーにおいて実施される。キャピラリークロマトグラフィーのために必要とされる相補的な構成要素(例えば、カラムフリット、フローセル、およびサンプル注入バルブ)もまた、キャピラリーが取り付けられる不連続なデバイスである。キャピラリークロマトグラフィーの制限の1つは、相補的な構成要素が、通常、キャピラリー床の規模に対して大きすぎ、サンプルの分散および分離されるピークの混合を生じることである。さらに、不連続な構成要素の使用は、構成要素の高い費用および大きい大きさに起因して、キャピラリー液体クロマトグラフィー(LC)系のアレイに対して非実用的である。
【0006】
微小流体回路におけるキャピラリーチャネルの形成は、キャピラリーLC系を作製するための不連続な構成要素の使用の魅力的な代替である。本明細書中で使用される場合、微小流体回路とは、ガラス(好ましくは、溶融シリカ)、セラミック、またはプラスチック材料から作製される単一の基板内に形成された、流体移送および制御構造をいう。モノリシック回路は、クロマトグラフィー系の関連する構成要素の全てが、1つのデバイスに一体化され、適切な規模にされてサンプルの分散を最小にすることを可能にする。クロマトグラフィー系を単一の微小流体回路基板、または単一の基板上の系のアレイに組み立てるために必要とされる、特定の重要な構成要素は、現在利用可能ではないか、または利用可能である場合、市場で非実用的である。例えば、クロマトグラフィー分離媒体の小さい粒子を、より大きい従来のクロマトグラフィーカラム内に保持するための構造体は、流路に設置されるフィルタデバイス(時々、フィルタフリットとして公知)であり、これは、何らかの選択された閾値より大きい粒子を食い止めるためのものである。しかし、フリットは、微小流体回路技術のために実現可能な技術ではない。フォトリソグラフィーアプローチにおいて、Weirフィルタと称されるデバイスを使用することが提唱されているが、このようなデバイスは、製造することが困難である。なぜなら、障壁の深さが、エッチング深さに極端に感受性であり、そしてこの感受性は、微小流体回路におけるWeirフィルタの利用可能性への障害であるからである。
【0007】
小さい粒子をキャピラリークロマトグラフィー媒体として使用することの代替は、キャピラリー内で適所で直接重合した、モノリシッククロマトグラフィービーズを利用することである。スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのようなポリマーからなるこれらのモノリシック媒体は、収容体積の形態を採る、多孔性の均一なブロックである。キャピラリークロマトグラフィー適用のためのこのような媒体の使用の例は、米国特許第5,130,343号;同第5,334,310号および同第5,453,185号に記載されている。移動層をモノリシック床に通してポンピングすることにより、非常に速いクロマトグラフィー分離が提供される。なぜなら、固定相への拡散距離が無視できる(すなわち、数十ナノメートルである)からである。不連続な分離粒子とちょうど同じように、使用される特定の溶液を保持して移動床を所望の分離ゾーン内に形成することは困難である。重合した床の流体前駆体は、規定された分離ゾーンに閉じ込められるよりむしろ、キャピラリーネットワークにわたって流れ、毛細管力によって引かれる傾向がある。この結果は望ましくない。なぜなら、流体サンプルが分析され得るように、固体分離媒体から流体サンプルを分離することが必要であるからである。
【0008】
キャピラリークロマトグラフィーに関連する上記問題に加えて、液体をモノリシック回路へ、または微小流体回路から、導管から離れた目的地へと運ぶことは、困難である。なぜなら、液体の体積が非常に小さいからである。移送チュービングは、小さいボア(例えば、25〜150ミクロン)を有する不連続なキャピラリーでなければならず、そしてこのキャピラリーチュービングは、回路の表面上の同様に小さい穴と整列し、そしてこの穴を密封しなければならない。キャピラリーと、回路上の穴との整列は、小さい寸法に起因する問題であり、そしてクロマトグラフィー系が代表的に作動する高圧下での合理的な漏れのない密封の形成は、より困難である。さらに、これらの小さい寸法において、表面仕上げがしばしば、それら自体の特徴と比較して荒く、そしてこのことは、適切な密封を達成する際に困難を加える。さらなる複雑さは、接続が、好ましくは可逆的であるべきことである。なぜなら、多数の接続が予測され、そして欠損したキャピラリーの修復または交換が望ましいからである。カップリングの方法はまた、接続チュービングの回路への高密度の結合を可能にするために、小さいフットプリントを有するべきである。選択される結合技術もまた、製造可能でなければならない。すなわち、プロセスを自動化すること、または少なくとも、このような取り付け具を最小の時間および修正で組み立てることが可能でなければならない。
【0009】
従って、微小流体回路に含まれるキャピラリークロマトグラフィーのプロセスおよびシステム、ならびに上記問題を解決するシステム要素を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、所望のキャピラリー収容体積に閉じ込められた固体分離媒体を利用する微小流体回路に含まれた、キャピラリークロマトグラフィーのプロセスおよびシステムを提供する。1つの局面において、この固体媒体は、不連続な粒子または多孔性モノリシック固体のいずれかであり得る。この固体媒体は、キャピラリー経路を複数(すなわち、3つ以上)の層(これらが微小流体回路を構成する)内に形成することによって、所望の収容体積内に保持される。この保持構造体は、分離キャピラリーの収容体積に隣接して配置され、そして隣接する層の間で異なるチャネル深さを有して形成され、これによって、寸法的制限を作製し、不連続な固体媒体、またはモノリシック固体媒体を形成するために使用される流体前駆体の通過を防止するが、固体媒体によって分離されるべき流体サンプルの通過を可能にする。
【0011】
1つの実施形態において、このクロマトグラフィーシステムは、回路内のキャピラリークロマトグラフィーカラムのアレイを備える。溶融シリカ基板に対するフォトリソグラフィーエッチングプロセスの使用は、各キャピラリークロマトグラフィー要素が他の全てのこのような要素を複製することを保証する。このような技術を使用する結果として、複数(例えば、16以上)のサンプルが、非常に再現性のある様式で並行して、クロマトグラフィー分析を受け得る。
【0012】
本発明のなお別の局面において、不連続なキャピラリー移送管と微小流体回路との間のシステム接続要素が使用され、この要素は、流体サンプルの分散を防止しながら、キャピラリークロマトグラフィーカラムのアレイへの流体ストリームの導入およびこのカラムからの流体ストリームの除去を可能にする。これらの接続は、クロマトグラフィーを実施するために必要な正確な整列および高圧での整列の両方を与える。
【0013】
したがって、本発明は、以下を提供する。
(1) 流体サンプルの成分を分離するための微小流体回路であって、以下:
該回路の第一の領域に形成された、第一のエッチング深さの第一のキャピラリーであって、該流体サンプルを受容するように適合された、第一のキャピラリー;
該回路の第二の領域に形成された、該第一のキャピラリーの該第一のエッチング深さより大きい第二のエッチング深さの第二のキャピラリーであって、該第一のキャピラリーと流体連絡する、第二のキャピラリー;
該回路の第三の領域に形成された、該第二のキャピラリーの該第二のエッチング深さより小さい第三のエッチング深さの第三のキャピラリーであって、該第二のキャピラリーと流体連絡する、第三のキャピラリー;
該第二のキャピラリー内に含まれる固体組成物であって、該サンプルの該成分の分離を生じ得る、固体組成物、
を備え;
該第一のキャピラリー、第二のキャピラリーおよび第三のキャピラリーの間のエッチング深さの差異が、該固体組成物を、該第二のキャピラリーの所望の収容体積内に保持する、微小流体回路。
(2) 前記固体組成物が、固体粒子を含み、そして前記第一のキャピラリーおよび第三のキャピラリーのエッチング深さが、該固体粒子の大きさより小さく、そして該キャピラリーを通る流体サンプルの通過を可能にするために十分に大きい、項目1に記載の回路。
(3) 前記第三のキャピラリーを横断して配置される第四のキャピラリーを備え、該第四のキャピラリーは、液体の流れを、前記第一のキャピラリー、第二のキャピラリーおよび第三のキャピラリーの予め決定された収容体積に制限するメニスカスを作製するような寸法にされている、項目1に記載の回路。
(4) 前記固体組成物が、前記第一のキャピラリー、第二のキャピラリーおよび第三のキャピラリー内に収容される液体前駆体の重合によって形成される、多孔性モノリシック固体組成物を含む、項目3に記載の回路。
(5) 前記第二のキャピラリーと流体連絡するフローセル、および前記サンプルの前記成分を分析するために該フローセルに関連する検出器を備える、項目1に記載の回路。
(6) 前記検出器が光学検出器である、項目5に記載の回路。
(7) 一緒に結合された少なくとも3つの別個のガラス基板を備え、該基板が結合された後に、少なくとも2つの隣接する基板が、前記第一のキャピラリー、第二のキャピラリーおよび第三のキャピラリーを形成するようにエッチングされた特徴を有する、項目1に記載の回路。
(8) 前記ガラス基板が溶融シリカである、項目7に記載の回路。
(9) 前記基板が溶融結合されている、項目8に記載の回路。
(10) 前記基板のうちの1つの第一の表面が、第一の幅および深さにエッチングされており、そして隣接する基板の第二の表面が、第二の異なる幅および深さにエッチングされており、該第二の表面は、前記基板が結合される場合に該第一の表面に面さない表面であり;そして
穴が、該隣接する基板を通って延び、前記第一のキャピラリー、第二のキャピラリーおよび第三のキャピラリーの間の流体連絡を提供する、
項目7に記載の回路。
(11) 流体サンプルの成分を分離し得る多孔性モノリシック固体組成物を含む、キャピラリークロマトグラフィーカラムを形成するための方法であって、該方法は、以下:
それぞれの隣接する第一の層および第二の層に形成され、そして互いに流体連絡する第一のキャピラリー導管および第二のキャピラリー導管を備える、多層微小流体回路を提供する工程、
重合性モノマー、重合開始剤およびポロジェンを含有する液体組成物を、該第一のキャピラリー導管に導入する工程;
該第二のキャピラリー導管を横断して配置される第三のキャピラリー導管の入口においてメニスカスを作製し、これによって、該第三の導管を通るキャピラリーフローを防止することによって、該液体組成物の流れを、該第二のキャピラリー導管の一部において抑止する工程;ならびに
該第一のキャピラリー導管および該第二のキャピラリー導管の一部の内部で、該重合性モノマーを重合させる工程、
を包含する、方法。
(12) 前記モノマーが、スチレンおよびジビニルベンゼンの組み合わせである、項目11に記載の方法。
(13) 流体サンプルを導入または除去するための微小流体回路であって、以下:
分離要素;
少なくとも3つの基板であって、一緒に結合され、そして2つの隣接する基板が、該基板の各々において、同軸状の少なくとも1セットの貫通穴を備える、少なくとも3つの基板、
を備え;
第一の貫通穴が、最外層を通って延び、そして該流体サンプルを該分離要素へ、または該分離要素から移送するように適合された不連続なキャピラリー管の外径と同じ直径を有し、
第二の貫通穴が、該最外層に隣接する層を通って延び、そして該第一の貫通穴と同軸状に整列されており、そして該分離要素と流体連絡しており、該第二の貫通穴の直径は、該キャピラリー管が密封され得る表面を提供するように、該第一の貫通穴より十分に小さい、
微小流体回路。
(14) 前記第一の貫通穴および第二の貫通穴の位置を、互いに対して整列させるための手段を備える、項目13に記載の回路。
(15) 前記整列させるための手段が、各層を通して形成された1セットの機械的整列特徴を備える、項目14に記載の回路。
(16) 分離システムにおいて流体サンプルの成分を分離するためのプロセスであって、以下:
少なくとも3つのガラス層から形成される、多層微小流体回路を提供する工程;
該流体サンプルを、該微小流体導管の第一の層に形成された、固体組成物を含むキャピラリー分離導管に導入する工程であって、該固体組成物は、該流体サンプルの成分を分離し得る、工程;
該サンプルを、該キャピラリー分離導管から、該微小流体回路の第二の隣接する層に形成された第二のキャピラリー導管へと通す工程;
該サンプルを、該第二のキャピラリー導管から、該キャピラリー分離導管と流体連絡したフローセルへと通す工程;および
該サンプルを、該フローセルから、該系から分離された流体サンプルを除去するための出口キャピラリー導管へと通す工程、
を包含する、プロセス。
(17) 前記第二のキャピラリー導管の寸法が、前記キャピラリー分離導管に対して、該キャピラリー分離導管内の前記固体組成物を単離するように提供されている、項目16に記載のプロセス。
(18) 前記固体組成物が、固体粒子を含み、そして前記第二のキャピラリー導管のエッチング深さが、該粒子の大きさより小さく、そして該第二のキャピラリー導管を通しての前記流体サンプルの通過を可能にするために十分に大きい、項目16に記載のプロセス。
(19) 前記固体組成物が、液体前駆体の重合によってインサイチュで形成される、多孔性モノリシック固体組成物を含む、項目16に記載のプロセス。
(20) 前記第二のキャピラリー導管を横切り、そして前記液体前駆体の、該第二のキャピラリー導管を通るキャピラリーフローを防止するような寸法にされている保持導管を備える、請求欧19に記載のプロセス。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(特定の実施形態の説明)
本発明において、キャピラリークロマトグラフィーカラム内での小さい粒子の保持は、微小流体回路構造体におけるキャピラリー通路の寸法の厳密に制御された制限によってもたらされる。具体的には、微小流体回路は、溶融シリカの個々のウエハからなる3層の回路構造体であり、ここで、構成要素のウエハの表面は、従来のフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって、回路のキャピラリークロマトグラフィー構造体を規定する特徴(トレンチおよびウェルが挙げられる)を作製するように改変されている。この保持構造体は、隣接するウエハ層間で異なる深さにエッチングされたチャネルを作製し、これによって寸法制限を作製することによって、形成される。例えば、中央の層は、1ミクロンと3ミクロンとの間の深さにエッチングされ、そして底部の層は、25ミクロンと80ミクロンとの間の深さに、より深くエッチングされる。浅い層におけるエッチング特徴は、回路の他の層と結合されて内部キャピラリーチャネルを作製する場合、非常に小さく、直径が3ミクロンより大きい粒子の通過を可能にしない。溶融シリカウエハを通して穿孔された穴は、底部の層における特徴と中央の層における特徴との間の連絡を可能にする。この手段によって、粒子は、底部の層においてクロマトグラフィー床に充填され得、ここで、これらの粒子が保持され、一方で流体は、中央の層に形成されたキャピラリーを通過する。
【0015】
また、本発明の別の局面に従って、モノリシッククロマトグラフィー分離組成物を形成するために使用される液体前駆体が、毛細管作用によって、キャピラリー管の所望のセクション内に配置される。1つの適切な技術は、米国特許第5,453,185号(これは、本明細書中に参考として援用される)に開示されるような、モノリシック組成物を形成するための液体前駆体組成物の使用を包含する。固体粒子を保持する同じキャピラリー構造体が使用される;しかし、液体前駆体組成物の流れは、浅い(中央の)層に生じる毛細管力によって阻止され、これによって、重合性媒体を、溶融シリカの微小流体回路の所望の分離領域に閉じ込める。
【0016】
本発明の別の局面は、不連続なキャピラリー管を微小流体回路内の流体経路に接続し、これによって、溶融シリカ回路へおよび溶融シリカ回路からの、小さい流体ストリームの効果的な移送を可能にするための技術に関する。キャピラリー管のためのこれらの接続は、小さいフットプリントを有し、容易に可逆的であり(容易なメンテナンスおよび交換を可能にする)、そして高圧に対して密封し得る。
【0017】
図1を参照すると、3層のガラス組成物(例えば、溶融シリカ)から形成されるキャピラリークロマトグラフィー微小流体回路10が提供される。回路10は、互い違いに並んだ2列のキャピラリー入口ポート12および13を備え、そしてまた、互い違いに並んだ2列の粒子入口16および17を備える。入口16、17は、固体粒子を導入するために利用される。この固体粒子は、蛇行した分離キャピラリーカラム18のアレイにおいてクロマトグラフィー分離をもたらし、このカラムは、互いの複製であり、導管10を横切ってカラム内に配置される。16個のこのようなキャピラリー導管が、微小流体回路10内に備えられる。当業者は、より少ないかまたはより多いキャピラリーカラムが、微小流体回路に備えられ得ることを理解する。各分離キャピラリーカラム18は、分離されるべきサンプルを、入口ポート12、13から受容し、そして各々が、それぞれの粒子保持微小構造体26と流体連絡しており、この微小構造体は、キャピラリーカラムの出口端部に隣接して列に配置されており、この構造および機能は、以下により完全に記載される。分離プロセスを完了するために、粒子保持微小構造体26は、次に、フローセル30の列と流体連絡し、このフローセルは、フォトダイオードアレイ(PDA)と整列しており、各個々のフローセルは、個々のフォトダイオード36に関連している。これらのフローセルは、従来の紫外線ランプ24と共に機能して、このフローセルを横断する流体サンプルの分析を実施する。次に、これらのフローセルは、導管42を通して、互い違いに並んだ2列の流体出口40および41と流体連絡する。
【0018】
微小流体回路10は、少なくとも3つのガラス層(好ましくは、溶融シリカのウエハ)から形成される。他の構造およびガラス以外の材料(例えば、セラミック材料またはプラスチック材料)が、個々の層として使用され得る。各層が、分離カラムの列の外側の固定された位置にエッチングされた、2つの光学的な円形整列特徴33、34を有し、これらは、個々のウエハに、例えば穿孔によって穴を形成して層の間の流体連絡を可能にする場合に、絶対的な参照位置として働く。すなわち、ウエハ(これの寸法は、ウエハごとに変動し得る)の縁部から測定するよりむしろ、2つ以上の層の間の流体連絡を提供することを意図された穴の位置が、整列特徴33、34の位置と位置合わせされる。穿孔参照点は、特徴33、34の2つの直交する直径の交点に位置する。このような2つの特徴は、各ウエハが適切な「南北」方向を維持することを確実にするために含まれる。各層はまた、2つの整列穴を備え、1つの穴20は円形であり、そして他方の穴22は細長い。穴20、22の位置は、整列特徴33、34からの距離を測定することによって、位置合わせされる。穴20、22を通るように適合された正確な整列ピンを備える結合ブロック(図示せず)が、シリカウエハが一緒に結合される場合にシリカウエハを配置する役に立つ。微小流体回路10に関連する小さい寸法に起因して、穴20は、整列ピンの直径(例えば、0.001インチ)に対して厳密な公差で穿孔されるべきである。細長い穴22は、わずかな公差の不一致を補償して、個々の層が結合のために積み重なることを可能にする。微小流体回路の製造を完了するために、個々の層は、高温の適用によって溶融結合され、溶融シリカの単一の基板を形成する。適切に整列したシリカ層の互いへの結合は、これらの層が約1100℃の温度になる場合に達成され、そして当該分野の技術範囲内である。
【0019】
図2Aおよび2Bを参照すると、キャピラリーカラムクロマトグラフィーアレイの1つの要素に注意が払われて、微小流体回路10の入口セクションの拡大図が示される。入口ポート12は、回路構造体の第二の層にエッチングされた浅いチャネル14を通して、通過穴11と接続し、分析されるべき流体サンプルを受容するための入口キャピラリーを形成する。連絡穴15は、第二の層から、構造体の第三の層の頂部表面をエッチングすることなどによって形成された分離キャピラリーカラム18へと通る。しかし、第三の層における分離キャピラリーカラム18は、円形空洞16まで、連絡穴15を越え続け、円形空洞において、第三の層における穴が、シリカ回路の外側表面と連絡する。この微小構造体は、以下に詳細に説明されるように、クロマトグラフィー媒体を円形空洞16に導入することによってキャピラリー18にクロマトグラフィー媒体を充填する目的で、この様式で作製され、そして栓19を含めることによる媒体充填操作後に、移動相溶媒に対して非透過性にされる。このことはまた、キャピラリーカラム18を形成して、第二の層の底部表面をエッチングする場合に可能である;しかし、微小作製プロセシングの容易さのためには、第三の層の頂部表面をエッチングすることが好ましい。
【0020】
図2Bを特に参照すると、高圧キャピラリーコネクタ28の断面が示されている。第二の層に形成された小さい穴11(代表的に、200ミクロン(0.008インチ)未満でありかつ50ミクロン(0.002インチ)より大きい直径を有する)が、第二の層のキャピラリーチャネル14と連絡するために使用される。第三の層に形成された、より大きい穴が、この穴と同軸であり、このシステムのための入口ポート12を形成する。このより大きい直径の入口ポート12はまた、より小さい穴11と、不連続なキャピラリー管54を正確に整列させる機能を果たす。より大きい入口ポート12は、代表的に、約380ミクロン(0.015インチ)の直径を有し、これは、多くの市販のキャピラリーの外径に対応する。従って、入口ポート12は、機械加工された部品に関してより大きい規模で使用される馴染み深い技術である「端ぐり」と等価であると考えられ得るが、ここでは、2つのシリカウエハ(例えば、外側ウエハおよび中央ウエハ)を一緒に結合した後のみに形成される。高圧コネクタ28の密封表面21は、モノリシック回路の第二の層の表面によって形成され、この表面に対して、ばね52が、エポキシド(epoxied)ビーズ50を介して、不連続なキャピラリー管54、およびキャピラリー管54の研磨された端部を押し付ける。密封面(これは、溶融シリカウエハである)の表面仕上げは、非常に平滑であり、そしてキャピラリー管の端部は、PEEKのような順応性の材料から作製され、これによって、より高い圧力に対して効果的な密封を可能にする。コネクタ28のフットプリントは小さく、代表的に、約0.06インチの直径を有し、このことは、多数の分離系のアレイを単一の微小流体回路に作製する際に必要な高い密度を達成する際の、重要な利点である。ばね52は、微小流体ハウジング200(図8を参照のこと)の端ぐり(図示せず)内に収容され、そして微小流体回路10を、ランプハウジング202に対して押し付け、多数の接続を同時にかつ可逆的に提供することを可能にする。従って、この配置は、大きいアレイのコネクタを組み立てるために非常に適切である。
【0021】
第二の層に形成され、キャピラリー管54と、第二の層の頂部表面にエッチングされた浅いチャネル14との間を接続する小さい穴11は、整列端ぐりを形成する入口ポート12と同軸であるように整列され、これによって、外部キャピラリーと穴11との非常に正確な整列をもたらし、これは、このような小さい寸法を扱う場合に必要である。図2Bにはまた、分離キャピラリー18に分離媒体を充填するために使用される開口部16が示される。この特徴(開口部16)は、分離キャピラリーカラム18の流体移送通路であることを意図されず、むしろ、キャピラリーが充填された後にブラインド「ドッグレッグ」を形成することを意味する。このことは、穴16およびキャピラリーカラム18の端部を(クロマトグラフィー媒体が充填された後に)インサイチュで充填し、栓19を作製することによって、達成される(そして流体は、システムのこのセクションに入ることを防止される)。この栓は、エポキシまたは別の類似の、硬質の不活性物質から形成される。アクセス穴16の周りに形成されるウェル19Aは、高圧が、充填された栓を穴から吹き出し得る可能性に対して、さらなる機械的安定性を提供する。
【0022】
1つの実施形態において、クロマトグラフィーキャピラリーカラム18に粒子分離媒体を充填するプロセスは、この粒子を流体溶媒中の懸濁媒体に懸濁させ、そしてこのスラリーを、穴16への貫通接続を通して高圧でキャピラリーカラム18内にポンピングすることによって達成される。このことは、ポートの周りのOリングシールで微小流体回路を保持し、そして高圧チュービングと流体連絡するするクランプによって達成される。均一なスラリー充填のためには、スラリーを、粒子が中立の浮力を有する液体中に懸濁させることが望ましくあり得る。図2Bに示される構造体のスラリー充填の間の注意として特に、キャピラリー18と流体入口ポート12との間を連絡する流体経路15は、穴12を覆ってシールを配置することによって栓をされるべきである。このことがなされない場合、スラリー充填の間に起こる圧力低下の大部分は、チャネルのこの側に沿って起こり、クロマトグラフィー媒体を、連絡穴15までのみ充填させる。しかし、スラリー充填の完了前に、穴12を覆うシールが除去されて、穴15もまたクロマトグラフィー媒体で充填されることを確実にするべきである。なぜなら、この通路は、分離プロセスのための流体通路の一部であるからである。
【0023】
図3Aおよび3Bを参照すると、キャピラリーチャネル14(図3Aにおいて番号120によって示される)および18(図3Bにおいて番号125によって示される)を形成する特徴の、非常に拡大された側面図が、浅いエッチング層および深いエッチング層を形成するために代表的に必要とされるアスペクト比を示す。このエッチングは、溶融シリカにおいて等方性であり(すなわち、全ての方向で等しく)、そして図3Aにおけるマスク104は、エッチングによってわずかに下方侵食される。マスク特徴109は、エッチングの浅い深さを補償するために、幅広である。対照的に、図3Bは、マスク105においてより狭いマスク特徴108を用いる、より深いエッチングを示す。しかし、より深いエッチングはマスク105を、図3Aにおいて起こすよりもさらに下方侵食し、その結果、深いエッチングの断面は、ほぼ半円形である。
【0024】
再度図1を参照すると、分離キャピラリー18のアレイの各キャピラリーは、約10センチメートルの全長を有する3レッグの蛇行からなる。このキャピラリーの体積は、図3Bに示される断面の影響を受け得るそのエッチング深さに依存する。例えば、100ミクロンの等しい円形のキャピラリー直径は、マスク特徴108から開始して、線幅10ミクロンの、68ミクロンのエッチング深さに対応する。入口16、17に隣接する微小流体回路10の頂端部において、チャネルは、スラリー充填のために使用され、一方でクロマトグラフィー分離のための実際の流体経路は、15と26との間に延びる。キャピラリーにおける屈曲は、分離効率に対して無視できる影響を有するようであり、そして溶融シリカ微小流体回路上に達成され得るデバイス密度に大きく寄与する(クロマトグラフィーアレイを製造する単位費用に対する好ましい結果を伴う)。当業者は、キャピラリーが、蛇行した流体経路を規定する必要がないことを理解する;まっすぐなキャピラリーもまた、本発明の範囲内である。
【0025】
図4および5を参照すると、分離キャピラリーカラム18の出口端部(図1において先に示された)が示され、ここで、微小構造体26とキャピラリー通路65との組み合わせは、粒子クロマトグラフィー媒体を分離キャピラリー18に保持し、一方で流体を、第二の層に形成された通路65を通して連絡穴67へ、次いで第三の層に形成された別の通路68へと流し、その後、検出器フローセル30に入れるために使用される。このフローセルは、第二の層における通路42によって、回路の出口ポート40と連絡している。
【0026】
図5は、図4に示される要素の詳細を、拡大断面図で示す。図示されるように、分離媒体は、穴26の頂部まで延び、ここで、第二の層において出口キャピラリーを形成するエッチングされた通路65の寸法は、粒子の直径より浅い。その結果、通路65は、分離媒体をその予め決定された収容体積に保持しながら、流体の通過を可能にする。流体通路は、穴67を通って第三の(底部)層に戻り、そしてキャピラリー68を通過してフローセル30に入る。フローセルを覆うステンレス鋼のピンホールマスク70(図4を参照のこと)は、ランプからのUV照射がフローセルの領域に制限され、そして微小流体回路の他方の側のフォトダイオード36によって測定されることを確実にする。フローセルの光路長は400ミクロンであり、そしてフローセルの体積は約30ナノリットルである。このフローセルは、第二の層における通路42を通して、整列穴/ポート構造体40、41(図2Bに先に示された小さい穴11およびキャピラリー入口ポート12の構造体と同一)と連絡する。このフローセルの配置は、米国特許第5,757,482号(その開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載される検出スキームと類似である。
【0027】
ピンホールマスク70は、複数のピンホール(この場合は、16個の穴)を備え、UVランプがフローセルのみを照射することを保証する。従って、光学検出器を飽和させ得る迷光が、排除されるか、または大いに最小化される。主要な発光線を253nmに有する水銀プラズマランプ24、または主要な発光線を214nmに有する亜鉛プラズマランプが、使用され得る。254nm(Hgについて)または214nm(Znについて)に中心合わせされた帯域フィルタ71は、選択された分析物によって吸収されない照射を除去する。マスク70は、微小流体回路に直接結合されたエポキシのような接着剤によって、適所に維持される。整列の公差は非常に注意を要するので、一時的なタブ(図示せず)が、マスクを顕微鏡下でフローセルの列と整列させるために使用され得、そして接着剤が硬化した後にスナップを外される。
【0028】
図6は、小さい直径のクロマトグラフィー媒体を、図5に示されるキャピラリーカラム内に保持するための構造体の拡大図である。微小流体回路の2つのシリカウエハ層(すなわち、底部層84および中央層82)を通って延びる、キャピラリー流路が示される。分離キャピラリー18からの液体は、より浅いエッチングキャピラリー65と連絡する穴26に入る。穴26は、50ミクロンと150ミクロンとの間の直径を有し、これは、分離キャピラリー18からの小さい粒子が通過するために十分に大きい。穴26からの流体は、約1ミクロンと3ミクロンとの間のエッチングされた深さを有するキャピラリー65を通過し、この深さは、代表的に5ミクロンの直径の分離媒体の粒子を内部に保持するために十分に小さく、その結果、粒子は、フローセルに入ることを防止される。キャピラリー18、65および連絡穴26をこの様式で構成することにより、流体サンプルはフローセルを通って流れ得、一方で、フローセルを通る粒子の通過は回避される。
【0029】
図6は、連絡穴の短いセクション90を保持される粒子で充填し、次いでよりずっと小さい粒子の充填床を充填することによって、浅い層のエッチング寸法よりなおずっと小さい粒子を保持することがどのように可能であるかを示す。高温による代わりに、より大きい粒子を焼結することもまた、可能である。しかし、この例において、分離媒体は結合または焼結の高温に耐えられないので、全ての高温プロセシング工程が完了した後に、より小さい粒子が添加されなければならない。
【0030】
図7Aおよび7Bは、キャピラリーカラムにモノリシック分離媒体を添加するための、別の実施形態を示す。ここで、モノリシック分離媒体の形成のための前駆体としての重合性流体を、キャピラリー内で単離するように設計された流路が示される。この流体流路は、流体経路がエッチングおよび穿孔された溶融シリカの微小流体回路10の、3つの層135、136および137から形成される。この流体経路は、分離キャピラリー142、穿孔された穴143、および浅いキャピラリー144を備える。経路144は、約5ミクロン未満の深さを有し、その結果、この領域における流体メニスカス131は、非常に小さい曲率半径を有する。この非常に小さい寸法は、流体をキャピラリー144内に引くが、流体が穴145から落下し続けることを防止する、強い毛細管力を生じる。この流路は、モノリシッククロマトグラフィー床への液体前駆体が、フローセルおよびキャピラリーネットワークの他の部分を通って拡散することなく、所望の分離体積内に含まれるように、設計される。液体前駆体は、上記米国特許第5,453,185号に教示されるように、重合性モノマー、重合開始剤およびポロジェン(porogen)を含有する。次いで、液体は、キャピラリー内でインサイチュで重合して、多孔性ポリマーカラムを形成し得る。穿孔された穴145および流路146を含む体積は、液体前駆体を自由にモノリシッククロマトグラフィー床にする。
【0031】
図8を参照すると、微小流体回路10を収容するハウジング200は、ランプブロック202、水銀(Hg)ランプ204、およびフォトダイオードアレイブロック203(PDAとその関連するエレクトロニクスの両方を収容する)からなる。サンプルおよび溶媒をクロマトグラフィーキャピラリーのアレイに供給するための入口キャピラリー管220の束、ならびに分離された成分をクロマトグラフィーキャピラリーからMALDIプレート210(ここに画分が沈着する)に移送する、対応する出口キャピラリー管225の束は、ハウジングと境界を接する。ガイドブロック206は、MALDIプレート210上への沈着のために、キャピラリー管225を、密集した列に整列させる。
【0032】
図9を参照すると、先に記載されたように適切なクロマトグラフィー媒体を充填された単一の分離要素の概略図が示されており、ここで、微小流体回路10内であるかまたはそれに関連する構成要素は、破線内に含まれている。高圧での移動相溶媒の供給源は、ポート230において6方バルブに入り、ここで、このバルブの1つの位置は、この溶媒を、不連続なキャピラリー管220のセクションを通して、キャピラリークロマトグラフィーカラム18に直接方向付ける。この同じバルブ位置において、サンプルは、ポート235に導入され得、ここで、このサンプルは、捕捉カラム250を通して移送され、このカラムは、サンプル中の分析物の混合物を結合する。捕捉カラム250の出口は、排液ポート240から出る。他のバルブ位置において、高圧移動相溶媒は、捕捉カラム250を通って方向付けられ、そしてクロマトグラフィーキャピラリーカラム18に入り、これによって、捕捉カラム250に結合した分析物の混合物を押しのけ、そしてキャピラリークロマトグラフィーカラムにおいて、その分離を開始する。バルブをクロマトグラフィーキャピラリー18に接続する不連続なキャピラリー管220は、高圧コネクタ208を備える。分離の完了時に、流体は、UV検出器フローセル30を通過し、分離において使用される勾配、またはクロマトフラフィーキャピラリーカラム18から出る分析物のモニタリングを可能にする。次いで、流体は、別の高圧コネクタ208を通って不連続なキャピラリー225へと通過し、ここで、この流体は、MALDIプレート210に移送され、そして沈着する。これによって、クロマトグラフィー分離によって得られた分離された画分は、さらなる分析(例えば、時間飛行質量分析による)のために利用可能にされる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態に従うキャピラリーカラムのアレイを示す、キャピラリークロマトグラフィー微小流体回路の上面図である。
【図2A】図2Aは、図1に示される不連続なキャピラリーと微小流体回路との間のコネクタ界面の側面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示される流体入口要素の拡大側面図である。
【図3A】図3Aおよび3Bは、図1に示されるデバイスを形成するために使用される層において、異なる深さをエッチングするためのアスペクト比を示す概略図である。
【図3B】図3Aおよび3Bは、図1に示されるデバイスを形成するために使用される層において、異なる深さをエッチングするためのアスペクト比を示す概略図である。
【図4】図4は、分離キャピラリーの出口端部の詳細を示す、図1の回路の上面図であり、この回路は、固体クロマトグラフィー媒体を保持するためのデバイス、UV検出器アレイのフローセル、および不連続なキャピラリーへのポート接続を備える。
【図5】図5は、図4に示される1つのシステム要素の拡大側面図である。
【図6】図6は、分離キャピラリー中に固体クロマトグラフィー粒子を保持するためのデバイスの拡大側面図である。
【図7A】図7Aは、分離キャピラリー内でモノリスを作製するための重合性溶液を含む代わりに使用される、図6に示されるものと同じデバイスの拡大側面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示されるデバイスの上面図である。
【図8】図8は、クロマトグラフィー微小流体回路アレイを収容するシステムの等角図であり、このシステムは、入口キャピラリーおよび出口キャピラリー、UVランプ、フォトダイオードアレイ検出器、ならびにMLADIプレート(この上に、画分が収集される)を備える。
【図9】図9は、クロマトグラフィー微小流体回路アレイの1つの分離要素の概略図であり、流体サンプルの導入、その分離および検出、ならびにこの回路からのサンプルの除去を示す。微小流体回路内または微小流体回路上に形成される要素は破線内に示されており、そして微小流体回路の外部の要素は破線の外側にある。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、サンプル分析(例えば、クロマトグラフィー)を実施するための、微小流体回路内に固体分離媒体を含むキャピラリーカラムを形成するためのシステム要素、ならびに装置および方法に関する。より具体的には、本発明は、微小流体導管中にキャピラリーチャネルのアレイを形成するための装置および方法、ならびに固体分離媒体をチャネルに挿入および保持するためのデバイス、ならびにキャピラリーチャネルとインターフェースするための流体入口および流体出口コネクタ、ならびにキャピラリーチャネルを通過する溶出勾配または分析物をモニタリングするための検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的サンプルの複雑さを減少させることは、プロテオミック分析の有効性のために重大である。生物学的サンプルは、何千もの成分を含有し、そして一連の連続分析工程が、分析のために個々の成分を単離するために必要とされる。この手順において、先の分離段階において作製された各画分は、さらなる分画を受ける。例えば、第一の分離段階の後に30の画分が生成される場合、これらの画分の各々は、第二の段階において完全分離プロセスを受ける。第二段階の分離の各々は、30と200との間の画分を生成し得る(合計で900画分と6000画分との間)。サンプル画分の数は幾何学的に増加するが、分離プロセスの数もまた、幾何学的に増加する。この分離作業の量の爆発的な増加は、現在の技術を使用する場合に非実用的である。さらに、単一のサンプルを多数の画分に分離することは、受容不可能な画分の希釈、または絶えず小さくなる体積を取り扱う必要性のいずれかを生じ得る。サンプル体積が極端に小さくなるにつれて、多量のサンプルの損失の予想が非常に重大になる。
【0003】
従来のクロマトグラフィーは、一般に、サンプル混合物を球状ビーズの床に通過させることによって実施される。これらのビーズは、ビーズ間の介在体積を最小にして、カラムの分離効率を増加させる様式で、管またはカラムに密集して充填される。クロマトグラフィー床は、混合物の異なる成分の通過を異なった程度に遅れさせ、この混合物がクロマトグラフィー床を通って進行するにつれてこれらの成分の分離を生じるように設計される。クロマトグラフィー床のための代替の分離媒体は、モノリシック媒体であり、これらは、収容体積の形態を採るモノリシックブロックである。
【0004】
クロマトグラフィーは、複雑な混合物を分離するための方法として非常に考慮される。なぜなら、いくつかの異なる分離機構が利用可能であるからである(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはアフィニティークロマトグラフィー)。十分に設計されたクロマトグラフィー方法の分離効率は非常に高くあり得、そしてクロマトグラフィーは、非常に広範囲の体積にわたって規模を変化され得る。クロマトグラフィーは、非常に複雑な混合物の複雑さを減少させるために選択される方法である;しかし、クロマトグラフィーは、十分なスループットを欠き、従って、ハイスループットは、非常に並行した操作を必要とする。
【0005】
クロマトグラフィーは、その最も小さい規模において、キャピラリークロマトグラフィーと称される。これは通常、非常に小さい粒子またはビーズの充填された床で充填された、0.01mmと0.25mmとの間の内径を有する不連続なキャピラリーにおいて実施される。キャピラリークロマトグラフィーのために必要とされる相補的な構成要素(例えば、カラムフリット、フローセル、およびサンプル注入バルブ)もまた、キャピラリーが取り付けられる不連続なデバイスである。キャピラリークロマトグラフィーの制限の1つは、相補的な構成要素が、通常、キャピラリー床の規模に対して大きすぎ、サンプルの分散および分離されるピークの混合を生じることである。さらに、不連続な構成要素の使用は、構成要素の高い費用および大きい大きさに起因して、キャピラリー液体クロマトグラフィー(LC)系のアレイに対して非実用的である。
【0006】
微小流体回路におけるキャピラリーチャネルの形成は、キャピラリーLC系を作製するための不連続な構成要素の使用の魅力的な代替である。本明細書中で使用される場合、微小流体回路とは、ガラス(好ましくは、溶融シリカ)、セラミック、またはプラスチック材料から作製される単一の基板内に形成された、流体移送および制御構造をいう。モノリシック回路は、クロマトグラフィー系の関連する構成要素の全てが、1つのデバイスに一体化され、適切な規模にされてサンプルの分散を最小にすることを可能にする。クロマトグラフィー系を単一の微小流体回路基板、または単一の基板上の系のアレイに組み立てるために必要とされる、特定の重要な構成要素は、現在利用可能ではないか、または利用可能である場合、市場で非実用的である。例えば、クロマトグラフィー分離媒体の小さい粒子を、より大きい従来のクロマトグラフィーカラム内に保持するための構造体は、流路に設置されるフィルタデバイス(時々、フィルタフリットとして公知)であり、これは、何らかの選択された閾値より大きい粒子を食い止めるためのものである。しかし、フリットは、微小流体回路技術のために実現可能な技術ではない。フォトリソグラフィーアプローチにおいて、Weirフィルタと称されるデバイスを使用することが提唱されているが、このようなデバイスは、製造することが困難である。なぜなら、障壁の深さが、エッチング深さに極端に感受性であり、そしてこの感受性は、微小流体回路におけるWeirフィルタの利用可能性への障害であるからである。
【0007】
小さい粒子をキャピラリークロマトグラフィー媒体として使用することの代替は、キャピラリー内で適所で直接重合した、モノリシッククロマトグラフィービーズを利用することである。スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのようなポリマーからなるこれらのモノリシック媒体は、収容体積の形態を採る、多孔性の均一なブロックである。キャピラリークロマトグラフィー適用のためのこのような媒体の使用の例は、米国特許第5,130,343号;同第5,334,310号および同第5,453,185号に記載されている。移動層をモノリシック床に通してポンピングすることにより、非常に速いクロマトグラフィー分離が提供される。なぜなら、固定相への拡散距離が無視できる(すなわち、数十ナノメートルである)からである。不連続な分離粒子とちょうど同じように、使用される特定の溶液を保持して移動床を所望の分離ゾーン内に形成することは困難である。重合した床の流体前駆体は、規定された分離ゾーンに閉じ込められるよりむしろ、キャピラリーネットワークにわたって流れ、毛細管力によって引かれる傾向がある。この結果は望ましくない。なぜなら、流体サンプルが分析され得るように、固体分離媒体から流体サンプルを分離することが必要であるからである。
【0008】
キャピラリークロマトグラフィーに関連する上記問題に加えて、液体をモノリシック回路へ、または微小流体回路から、導管から離れた目的地へと運ぶことは、困難である。なぜなら、液体の体積が非常に小さいからである。移送チュービングは、小さいボア(例えば、25〜150ミクロン)を有する不連続なキャピラリーでなければならず、そしてこのキャピラリーチュービングは、回路の表面上の同様に小さい穴と整列し、そしてこの穴を密封しなければならない。キャピラリーと、回路上の穴との整列は、小さい寸法に起因する問題であり、そしてクロマトグラフィー系が代表的に作動する高圧下での合理的な漏れのない密封の形成は、より困難である。さらに、これらの小さい寸法において、表面仕上げがしばしば、それら自体の特徴と比較して荒く、そしてこのことは、適切な密封を達成する際に困難を加える。さらなる複雑さは、接続が、好ましくは可逆的であるべきことである。なぜなら、多数の接続が予測され、そして欠損したキャピラリーの修復または交換が望ましいからである。カップリングの方法はまた、接続チュービングの回路への高密度の結合を可能にするために、小さいフットプリントを有するべきである。選択される結合技術もまた、製造可能でなければならない。すなわち、プロセスを自動化すること、または少なくとも、このような取り付け具を最小の時間および修正で組み立てることが可能でなければならない。
【0009】
従って、微小流体回路に含まれるキャピラリークロマトグラフィーのプロセスおよびシステム、ならびに上記問題を解決するシステム要素を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、所望のキャピラリー収容体積に閉じ込められた固体分離媒体を利用する微小流体回路に含まれた、キャピラリークロマトグラフィーのプロセスおよびシステムを提供する。1つの局面において、この固体媒体は、不連続な粒子または多孔性モノリシック固体のいずれかであり得る。この固体媒体は、キャピラリー経路を複数(すなわち、3つ以上)の層(これらが微小流体回路を構成する)内に形成することによって、所望の収容体積内に保持される。この保持構造体は、分離キャピラリーの収容体積に隣接して配置され、そして隣接する層の間で異なるチャネル深さを有して形成され、これによって、寸法的制限を作製し、不連続な固体媒体、またはモノリシック固体媒体を形成するために使用される流体前駆体の通過を防止するが、固体媒体によって分離されるべき流体サンプルの通過を可能にする。
【0011】
1つの実施形態において、このクロマトグラフィーシステムは、回路内のキャピラリークロマトグラフィーカラムのアレイを備える。溶融シリカ基板に対するフォトリソグラフィーエッチングプロセスの使用は、各キャピラリークロマトグラフィー要素が他の全てのこのような要素を複製することを保証する。このような技術を使用する結果として、複数(例えば、16以上)のサンプルが、非常に再現性のある様式で並行して、クロマトグラフィー分析を受け得る。
【0012】
本発明のなお別の局面において、不連続なキャピラリー移送管と微小流体回路との間のシステム接続要素が使用され、この要素は、流体サンプルの分散を防止しながら、キャピラリークロマトグラフィーカラムのアレイへの流体ストリームの導入およびこのカラムからの流体ストリームの除去を可能にする。これらの接続は、クロマトグラフィーを実施するために必要な正確な整列および高圧での整列の両方を与える。
【0013】
したがって、本発明は、以下を提供する。
(1) 流体サンプルの成分を分離するための微小流体回路であって、以下:
該回路の第一の領域に形成された、第一のエッチング深さの第一のキャピラリーであって、該流体サンプルを受容するように適合された、第一のキャピラリー;
該回路の第二の領域に形成された、該第一のキャピラリーの該第一のエッチング深さより大きい第二のエッチング深さの第二のキャピラリーであって、該第一のキャピラリーと流体連絡する、第二のキャピラリー;
該回路の第三の領域に形成された、該第二のキャピラリーの該第二のエッチング深さより小さい第三のエッチング深さの第三のキャピラリーであって、該第二のキャピラリーと流体連絡する、第三のキャピラリー;
該第二のキャピラリー内に含まれる固体組成物であって、該サンプルの該成分の分離を生じ得る、固体組成物、
を備え;
該第一のキャピラリー、第二のキャピラリーおよび第三のキャピラリーの間のエッチング深さの差異が、該固体組成物を、該第二のキャピラリーの所望の収容体積内に保持する、微小流体回路。
(2) 前記固体組成物が、固体粒子を含み、そして前記第一のキャピラリーおよび第三のキャピラリーのエッチング深さが、該固体粒子の大きさより小さく、そして該キャピラリーを通る流体サンプルの通過を可能にするために十分に大きい、項目1に記載の回路。
(3) 前記第三のキャピラリーを横断して配置される第四のキャピラリーを備え、該第四のキャピラリーは、液体の流れを、前記第一のキャピラリー、第二のキャピラリーおよび第三のキャピラリーの予め決定された収容体積に制限するメニスカスを作製するような寸法にされている、項目1に記載の回路。
(4) 前記固体組成物が、前記第一のキャピラリー、第二のキャピラリーおよび第三のキャピラリー内に収容される液体前駆体の重合によって形成される、多孔性モノリシック固体組成物を含む、項目3に記載の回路。
(5) 前記第二のキャピラリーと流体連絡するフローセル、および前記サンプルの前記成分を分析するために該フローセルに関連する検出器を備える、項目1に記載の回路。
(6) 前記検出器が光学検出器である、項目5に記載の回路。
(7) 一緒に結合された少なくとも3つの別個のガラス基板を備え、該基板が結合された後に、少なくとも2つの隣接する基板が、前記第一のキャピラリー、第二のキャピラリーおよび第三のキャピラリーを形成するようにエッチングされた特徴を有する、項目1に記載の回路。
(8) 前記ガラス基板が溶融シリカである、項目7に記載の回路。
(9) 前記基板が溶融結合されている、項目8に記載の回路。
(10) 前記基板のうちの1つの第一の表面が、第一の幅および深さにエッチングされており、そして隣接する基板の第二の表面が、第二の異なる幅および深さにエッチングされており、該第二の表面は、前記基板が結合される場合に該第一の表面に面さない表面であり;そして
穴が、該隣接する基板を通って延び、前記第一のキャピラリー、第二のキャピラリーおよび第三のキャピラリーの間の流体連絡を提供する、
項目7に記載の回路。
(11) 流体サンプルの成分を分離し得る多孔性モノリシック固体組成物を含む、キャピラリークロマトグラフィーカラムを形成するための方法であって、該方法は、以下:
それぞれの隣接する第一の層および第二の層に形成され、そして互いに流体連絡する第一のキャピラリー導管および第二のキャピラリー導管を備える、多層微小流体回路を提供する工程、
重合性モノマー、重合開始剤およびポロジェンを含有する液体組成物を、該第一のキャピラリー導管に導入する工程;
該第二のキャピラリー導管を横断して配置される第三のキャピラリー導管の入口においてメニスカスを作製し、これによって、該第三の導管を通るキャピラリーフローを防止することによって、該液体組成物の流れを、該第二のキャピラリー導管の一部において抑止する工程;ならびに
該第一のキャピラリー導管および該第二のキャピラリー導管の一部の内部で、該重合性モノマーを重合させる工程、
を包含する、方法。
(12) 前記モノマーが、スチレンおよびジビニルベンゼンの組み合わせである、項目11に記載の方法。
(13) 流体サンプルを導入または除去するための微小流体回路であって、以下:
分離要素;
少なくとも3つの基板であって、一緒に結合され、そして2つの隣接する基板が、該基板の各々において、同軸状の少なくとも1セットの貫通穴を備える、少なくとも3つの基板、
を備え;
第一の貫通穴が、最外層を通って延び、そして該流体サンプルを該分離要素へ、または該分離要素から移送するように適合された不連続なキャピラリー管の外径と同じ直径を有し、
第二の貫通穴が、該最外層に隣接する層を通って延び、そして該第一の貫通穴と同軸状に整列されており、そして該分離要素と流体連絡しており、該第二の貫通穴の直径は、該キャピラリー管が密封され得る表面を提供するように、該第一の貫通穴より十分に小さい、
微小流体回路。
(14) 前記第一の貫通穴および第二の貫通穴の位置を、互いに対して整列させるための手段を備える、項目13に記載の回路。
(15) 前記整列させるための手段が、各層を通して形成された1セットの機械的整列特徴を備える、項目14に記載の回路。
(16) 分離システムにおいて流体サンプルの成分を分離するためのプロセスであって、以下:
少なくとも3つのガラス層から形成される、多層微小流体回路を提供する工程;
該流体サンプルを、該微小流体導管の第一の層に形成された、固体組成物を含むキャピラリー分離導管に導入する工程であって、該固体組成物は、該流体サンプルの成分を分離し得る、工程;
該サンプルを、該キャピラリー分離導管から、該微小流体回路の第二の隣接する層に形成された第二のキャピラリー導管へと通す工程;
該サンプルを、該第二のキャピラリー導管から、該キャピラリー分離導管と流体連絡したフローセルへと通す工程;および
該サンプルを、該フローセルから、該系から分離された流体サンプルを除去するための出口キャピラリー導管へと通す工程、
を包含する、プロセス。
(17) 前記第二のキャピラリー導管の寸法が、前記キャピラリー分離導管に対して、該キャピラリー分離導管内の前記固体組成物を単離するように提供されている、項目16に記載のプロセス。
(18) 前記固体組成物が、固体粒子を含み、そして前記第二のキャピラリー導管のエッチング深さが、該粒子の大きさより小さく、そして該第二のキャピラリー導管を通しての前記流体サンプルの通過を可能にするために十分に大きい、項目16に記載のプロセス。
(19) 前記固体組成物が、液体前駆体の重合によってインサイチュで形成される、多孔性モノリシック固体組成物を含む、項目16に記載のプロセス。
(20) 前記第二のキャピラリー導管を横切り、そして前記液体前駆体の、該第二のキャピラリー導管を通るキャピラリーフローを防止するような寸法にされている保持導管を備える、請求欧19に記載のプロセス。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(特定の実施形態の説明)
本発明において、キャピラリークロマトグラフィーカラム内での小さい粒子の保持は、微小流体回路構造体におけるキャピラリー通路の寸法の厳密に制御された制限によってもたらされる。具体的には、微小流体回路は、溶融シリカの個々のウエハからなる3層の回路構造体であり、ここで、構成要素のウエハの表面は、従来のフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって、回路のキャピラリークロマトグラフィー構造体を規定する特徴(トレンチおよびウェルが挙げられる)を作製するように改変されている。この保持構造体は、隣接するウエハ層間で異なる深さにエッチングされたチャネルを作製し、これによって寸法制限を作製することによって、形成される。例えば、中央の層は、1ミクロンと3ミクロンとの間の深さにエッチングされ、そして底部の層は、25ミクロンと80ミクロンとの間の深さに、より深くエッチングされる。浅い層におけるエッチング特徴は、回路の他の層と結合されて内部キャピラリーチャネルを作製する場合、非常に小さく、直径が3ミクロンより大きい粒子の通過を可能にしない。溶融シリカウエハを通して穿孔された穴は、底部の層における特徴と中央の層における特徴との間の連絡を可能にする。この手段によって、粒子は、底部の層においてクロマトグラフィー床に充填され得、ここで、これらの粒子が保持され、一方で流体は、中央の層に形成されたキャピラリーを通過する。
【0015】
また、本発明の別の局面に従って、モノリシッククロマトグラフィー分離組成物を形成するために使用される液体前駆体が、毛細管作用によって、キャピラリー管の所望のセクション内に配置される。1つの適切な技術は、米国特許第5,453,185号(これは、本明細書中に参考として援用される)に開示されるような、モノリシック組成物を形成するための液体前駆体組成物の使用を包含する。固体粒子を保持する同じキャピラリー構造体が使用される;しかし、液体前駆体組成物の流れは、浅い(中央の)層に生じる毛細管力によって阻止され、これによって、重合性媒体を、溶融シリカの微小流体回路の所望の分離領域に閉じ込める。
【0016】
本発明の別の局面は、不連続なキャピラリー管を微小流体回路内の流体経路に接続し、これによって、溶融シリカ回路へおよび溶融シリカ回路からの、小さい流体ストリームの効果的な移送を可能にするための技術に関する。キャピラリー管のためのこれらの接続は、小さいフットプリントを有し、容易に可逆的であり(容易なメンテナンスおよび交換を可能にする)、そして高圧に対して密封し得る。
【0017】
図1を参照すると、3層のガラス組成物(例えば、溶融シリカ)から形成されるキャピラリークロマトグラフィー微小流体回路10が提供される。回路10は、互い違いに並んだ2列のキャピラリー入口ポート12および13を備え、そしてまた、互い違いに並んだ2列の粒子入口16および17を備える。入口16、17は、固体粒子を導入するために利用される。この固体粒子は、蛇行した分離キャピラリーカラム18のアレイにおいてクロマトグラフィー分離をもたらし、このカラムは、互いの複製であり、導管10を横切ってカラム内に配置される。16個のこのようなキャピラリー導管が、微小流体回路10内に備えられる。当業者は、より少ないかまたはより多いキャピラリーカラムが、微小流体回路に備えられ得ることを理解する。各分離キャピラリーカラム18は、分離されるべきサンプルを、入口ポート12、13から受容し、そして各々が、それぞれの粒子保持微小構造体26と流体連絡しており、この微小構造体は、キャピラリーカラムの出口端部に隣接して列に配置されており、この構造および機能は、以下により完全に記載される。分離プロセスを完了するために、粒子保持微小構造体26は、次に、フローセル30の列と流体連絡し、このフローセルは、フォトダイオードアレイ(PDA)と整列しており、各個々のフローセルは、個々のフォトダイオード36に関連している。これらのフローセルは、従来の紫外線ランプ24と共に機能して、このフローセルを横断する流体サンプルの分析を実施する。次に、これらのフローセルは、導管42を通して、互い違いに並んだ2列の流体出口40および41と流体連絡する。
【0018】
微小流体回路10は、少なくとも3つのガラス層(好ましくは、溶融シリカのウエハ)から形成される。他の構造およびガラス以外の材料(例えば、セラミック材料またはプラスチック材料)が、個々の層として使用され得る。各層が、分離カラムの列の外側の固定された位置にエッチングされた、2つの光学的な円形整列特徴33、34を有し、これらは、個々のウエハに、例えば穿孔によって穴を形成して層の間の流体連絡を可能にする場合に、絶対的な参照位置として働く。すなわち、ウエハ(これの寸法は、ウエハごとに変動し得る)の縁部から測定するよりむしろ、2つ以上の層の間の流体連絡を提供することを意図された穴の位置が、整列特徴33、34の位置と位置合わせされる。穿孔参照点は、特徴33、34の2つの直交する直径の交点に位置する。このような2つの特徴は、各ウエハが適切な「南北」方向を維持することを確実にするために含まれる。各層はまた、2つの整列穴を備え、1つの穴20は円形であり、そして他方の穴22は細長い。穴20、22の位置は、整列特徴33、34からの距離を測定することによって、位置合わせされる。穴20、22を通るように適合された正確な整列ピンを備える結合ブロック(図示せず)が、シリカウエハが一緒に結合される場合にシリカウエハを配置する役に立つ。微小流体回路10に関連する小さい寸法に起因して、穴20は、整列ピンの直径(例えば、0.001インチ)に対して厳密な公差で穿孔されるべきである。細長い穴22は、わずかな公差の不一致を補償して、個々の層が結合のために積み重なることを可能にする。微小流体回路の製造を完了するために、個々の層は、高温の適用によって溶融結合され、溶融シリカの単一の基板を形成する。適切に整列したシリカ層の互いへの結合は、これらの層が約1100℃の温度になる場合に達成され、そして当該分野の技術範囲内である。
【0019】
図2Aおよび2Bを参照すると、キャピラリーカラムクロマトグラフィーアレイの1つの要素に注意が払われて、微小流体回路10の入口セクションの拡大図が示される。入口ポート12は、回路構造体の第二の層にエッチングされた浅いチャネル14を通して、通過穴11と接続し、分析されるべき流体サンプルを受容するための入口キャピラリーを形成する。連絡穴15は、第二の層から、構造体の第三の層の頂部表面をエッチングすることなどによって形成された分離キャピラリーカラム18へと通る。しかし、第三の層における分離キャピラリーカラム18は、円形空洞16まで、連絡穴15を越え続け、円形空洞において、第三の層における穴が、シリカ回路の外側表面と連絡する。この微小構造体は、以下に詳細に説明されるように、クロマトグラフィー媒体を円形空洞16に導入することによってキャピラリー18にクロマトグラフィー媒体を充填する目的で、この様式で作製され、そして栓19を含めることによる媒体充填操作後に、移動相溶媒に対して非透過性にされる。このことはまた、キャピラリーカラム18を形成して、第二の層の底部表面をエッチングする場合に可能である;しかし、微小作製プロセシングの容易さのためには、第三の層の頂部表面をエッチングすることが好ましい。
【0020】
図2Bを特に参照すると、高圧キャピラリーコネクタ28の断面が示されている。第二の層に形成された小さい穴11(代表的に、200ミクロン(0.008インチ)未満でありかつ50ミクロン(0.002インチ)より大きい直径を有する)が、第二の層のキャピラリーチャネル14と連絡するために使用される。第三の層に形成された、より大きい穴が、この穴と同軸であり、このシステムのための入口ポート12を形成する。このより大きい直径の入口ポート12はまた、より小さい穴11と、不連続なキャピラリー管54を正確に整列させる機能を果たす。より大きい入口ポート12は、代表的に、約380ミクロン(0.015インチ)の直径を有し、これは、多くの市販のキャピラリーの外径に対応する。従って、入口ポート12は、機械加工された部品に関してより大きい規模で使用される馴染み深い技術である「端ぐり」と等価であると考えられ得るが、ここでは、2つのシリカウエハ(例えば、外側ウエハおよび中央ウエハ)を一緒に結合した後のみに形成される。高圧コネクタ28の密封表面21は、モノリシック回路の第二の層の表面によって形成され、この表面に対して、ばね52が、エポキシド(epoxied)ビーズ50を介して、不連続なキャピラリー管54、およびキャピラリー管54の研磨された端部を押し付ける。密封面(これは、溶融シリカウエハである)の表面仕上げは、非常に平滑であり、そしてキャピラリー管の端部は、PEEKのような順応性の材料から作製され、これによって、より高い圧力に対して効果的な密封を可能にする。コネクタ28のフットプリントは小さく、代表的に、約0.06インチの直径を有し、このことは、多数の分離系のアレイを単一の微小流体回路に作製する際に必要な高い密度を達成する際の、重要な利点である。ばね52は、微小流体ハウジング200(図8を参照のこと)の端ぐり(図示せず)内に収容され、そして微小流体回路10を、ランプハウジング202に対して押し付け、多数の接続を同時にかつ可逆的に提供することを可能にする。従って、この配置は、大きいアレイのコネクタを組み立てるために非常に適切である。
【0021】
第二の層に形成され、キャピラリー管54と、第二の層の頂部表面にエッチングされた浅いチャネル14との間を接続する小さい穴11は、整列端ぐりを形成する入口ポート12と同軸であるように整列され、これによって、外部キャピラリーと穴11との非常に正確な整列をもたらし、これは、このような小さい寸法を扱う場合に必要である。図2Bにはまた、分離キャピラリー18に分離媒体を充填するために使用される開口部16が示される。この特徴(開口部16)は、分離キャピラリーカラム18の流体移送通路であることを意図されず、むしろ、キャピラリーが充填された後にブラインド「ドッグレッグ」を形成することを意味する。このことは、穴16およびキャピラリーカラム18の端部を(クロマトグラフィー媒体が充填された後に)インサイチュで充填し、栓19を作製することによって、達成される(そして流体は、システムのこのセクションに入ることを防止される)。この栓は、エポキシまたは別の類似の、硬質の不活性物質から形成される。アクセス穴16の周りに形成されるウェル19Aは、高圧が、充填された栓を穴から吹き出し得る可能性に対して、さらなる機械的安定性を提供する。
【0022】
1つの実施形態において、クロマトグラフィーキャピラリーカラム18に粒子分離媒体を充填するプロセスは、この粒子を流体溶媒中の懸濁媒体に懸濁させ、そしてこのスラリーを、穴16への貫通接続を通して高圧でキャピラリーカラム18内にポンピングすることによって達成される。このことは、ポートの周りのOリングシールで微小流体回路を保持し、そして高圧チュービングと流体連絡するするクランプによって達成される。均一なスラリー充填のためには、スラリーを、粒子が中立の浮力を有する液体中に懸濁させることが望ましくあり得る。図2Bに示される構造体のスラリー充填の間の注意として特に、キャピラリー18と流体入口ポート12との間を連絡する流体経路15は、穴12を覆ってシールを配置することによって栓をされるべきである。このことがなされない場合、スラリー充填の間に起こる圧力低下の大部分は、チャネルのこの側に沿って起こり、クロマトグラフィー媒体を、連絡穴15までのみ充填させる。しかし、スラリー充填の完了前に、穴12を覆うシールが除去されて、穴15もまたクロマトグラフィー媒体で充填されることを確実にするべきである。なぜなら、この通路は、分離プロセスのための流体通路の一部であるからである。
【0023】
図3Aおよび3Bを参照すると、キャピラリーチャネル14(図3Aにおいて番号120によって示される)および18(図3Bにおいて番号125によって示される)を形成する特徴の、非常に拡大された側面図が、浅いエッチング層および深いエッチング層を形成するために代表的に必要とされるアスペクト比を示す。このエッチングは、溶融シリカにおいて等方性であり(すなわち、全ての方向で等しく)、そして図3Aにおけるマスク104は、エッチングによってわずかに下方侵食される。マスク特徴109は、エッチングの浅い深さを補償するために、幅広である。対照的に、図3Bは、マスク105においてより狭いマスク特徴108を用いる、より深いエッチングを示す。しかし、より深いエッチングはマスク105を、図3Aにおいて起こすよりもさらに下方侵食し、その結果、深いエッチングの断面は、ほぼ半円形である。
【0024】
再度図1を参照すると、分離キャピラリー18のアレイの各キャピラリーは、約10センチメートルの全長を有する3レッグの蛇行からなる。このキャピラリーの体積は、図3Bに示される断面の影響を受け得るそのエッチング深さに依存する。例えば、100ミクロンの等しい円形のキャピラリー直径は、マスク特徴108から開始して、線幅10ミクロンの、68ミクロンのエッチング深さに対応する。入口16、17に隣接する微小流体回路10の頂端部において、チャネルは、スラリー充填のために使用され、一方でクロマトグラフィー分離のための実際の流体経路は、15と26との間に延びる。キャピラリーにおける屈曲は、分離効率に対して無視できる影響を有するようであり、そして溶融シリカ微小流体回路上に達成され得るデバイス密度に大きく寄与する(クロマトグラフィーアレイを製造する単位費用に対する好ましい結果を伴う)。当業者は、キャピラリーが、蛇行した流体経路を規定する必要がないことを理解する;まっすぐなキャピラリーもまた、本発明の範囲内である。
【0025】
図4および5を参照すると、分離キャピラリーカラム18の出口端部(図1において先に示された)が示され、ここで、微小構造体26とキャピラリー通路65との組み合わせは、粒子クロマトグラフィー媒体を分離キャピラリー18に保持し、一方で流体を、第二の層に形成された通路65を通して連絡穴67へ、次いで第三の層に形成された別の通路68へと流し、その後、検出器フローセル30に入れるために使用される。このフローセルは、第二の層における通路42によって、回路の出口ポート40と連絡している。
【0026】
図5は、図4に示される要素の詳細を、拡大断面図で示す。図示されるように、分離媒体は、穴26の頂部まで延び、ここで、第二の層において出口キャピラリーを形成するエッチングされた通路65の寸法は、粒子の直径より浅い。その結果、通路65は、分離媒体をその予め決定された収容体積に保持しながら、流体の通過を可能にする。流体通路は、穴67を通って第三の(底部)層に戻り、そしてキャピラリー68を通過してフローセル30に入る。フローセルを覆うステンレス鋼のピンホールマスク70(図4を参照のこと)は、ランプからのUV照射がフローセルの領域に制限され、そして微小流体回路の他方の側のフォトダイオード36によって測定されることを確実にする。フローセルの光路長は400ミクロンであり、そしてフローセルの体積は約30ナノリットルである。このフローセルは、第二の層における通路42を通して、整列穴/ポート構造体40、41(図2Bに先に示された小さい穴11およびキャピラリー入口ポート12の構造体と同一)と連絡する。このフローセルの配置は、米国特許第5,757,482号(その開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載される検出スキームと類似である。
【0027】
ピンホールマスク70は、複数のピンホール(この場合は、16個の穴)を備え、UVランプがフローセルのみを照射することを保証する。従って、光学検出器を飽和させ得る迷光が、排除されるか、または大いに最小化される。主要な発光線を253nmに有する水銀プラズマランプ24、または主要な発光線を214nmに有する亜鉛プラズマランプが、使用され得る。254nm(Hgについて)または214nm(Znについて)に中心合わせされた帯域フィルタ71は、選択された分析物によって吸収されない照射を除去する。マスク70は、微小流体回路に直接結合されたエポキシのような接着剤によって、適所に維持される。整列の公差は非常に注意を要するので、一時的なタブ(図示せず)が、マスクを顕微鏡下でフローセルの列と整列させるために使用され得、そして接着剤が硬化した後にスナップを外される。
【0028】
図6は、小さい直径のクロマトグラフィー媒体を、図5に示されるキャピラリーカラム内に保持するための構造体の拡大図である。微小流体回路の2つのシリカウエハ層(すなわち、底部層84および中央層82)を通って延びる、キャピラリー流路が示される。分離キャピラリー18からの液体は、より浅いエッチングキャピラリー65と連絡する穴26に入る。穴26は、50ミクロンと150ミクロンとの間の直径を有し、これは、分離キャピラリー18からの小さい粒子が通過するために十分に大きい。穴26からの流体は、約1ミクロンと3ミクロンとの間のエッチングされた深さを有するキャピラリー65を通過し、この深さは、代表的に5ミクロンの直径の分離媒体の粒子を内部に保持するために十分に小さく、その結果、粒子は、フローセルに入ることを防止される。キャピラリー18、65および連絡穴26をこの様式で構成することにより、流体サンプルはフローセルを通って流れ得、一方で、フローセルを通る粒子の通過は回避される。
【0029】
図6は、連絡穴の短いセクション90を保持される粒子で充填し、次いでよりずっと小さい粒子の充填床を充填することによって、浅い層のエッチング寸法よりなおずっと小さい粒子を保持することがどのように可能であるかを示す。高温による代わりに、より大きい粒子を焼結することもまた、可能である。しかし、この例において、分離媒体は結合または焼結の高温に耐えられないので、全ての高温プロセシング工程が完了した後に、より小さい粒子が添加されなければならない。
【0030】
図7Aおよび7Bは、キャピラリーカラムにモノリシック分離媒体を添加するための、別の実施形態を示す。ここで、モノリシック分離媒体の形成のための前駆体としての重合性流体を、キャピラリー内で単離するように設計された流路が示される。この流体流路は、流体経路がエッチングおよび穿孔された溶融シリカの微小流体回路10の、3つの層135、136および137から形成される。この流体経路は、分離キャピラリー142、穿孔された穴143、および浅いキャピラリー144を備える。経路144は、約5ミクロン未満の深さを有し、その結果、この領域における流体メニスカス131は、非常に小さい曲率半径を有する。この非常に小さい寸法は、流体をキャピラリー144内に引くが、流体が穴145から落下し続けることを防止する、強い毛細管力を生じる。この流路は、モノリシッククロマトグラフィー床への液体前駆体が、フローセルおよびキャピラリーネットワークの他の部分を通って拡散することなく、所望の分離体積内に含まれるように、設計される。液体前駆体は、上記米国特許第5,453,185号に教示されるように、重合性モノマー、重合開始剤およびポロジェン(porogen)を含有する。次いで、液体は、キャピラリー内でインサイチュで重合して、多孔性ポリマーカラムを形成し得る。穿孔された穴145および流路146を含む体積は、液体前駆体を自由にモノリシッククロマトグラフィー床にする。
【0031】
図8を参照すると、微小流体回路10を収容するハウジング200は、ランプブロック202、水銀(Hg)ランプ204、およびフォトダイオードアレイブロック203(PDAとその関連するエレクトロニクスの両方を収容する)からなる。サンプルおよび溶媒をクロマトグラフィーキャピラリーのアレイに供給するための入口キャピラリー管220の束、ならびに分離された成分をクロマトグラフィーキャピラリーからMALDIプレート210(ここに画分が沈着する)に移送する、対応する出口キャピラリー管225の束は、ハウジングと境界を接する。ガイドブロック206は、MALDIプレート210上への沈着のために、キャピラリー管225を、密集した列に整列させる。
【0032】
図9を参照すると、先に記載されたように適切なクロマトグラフィー媒体を充填された単一の分離要素の概略図が示されており、ここで、微小流体回路10内であるかまたはそれに関連する構成要素は、破線内に含まれている。高圧での移動相溶媒の供給源は、ポート230において6方バルブに入り、ここで、このバルブの1つの位置は、この溶媒を、不連続なキャピラリー管220のセクションを通して、キャピラリークロマトグラフィーカラム18に直接方向付ける。この同じバルブ位置において、サンプルは、ポート235に導入され得、ここで、このサンプルは、捕捉カラム250を通して移送され、このカラムは、サンプル中の分析物の混合物を結合する。捕捉カラム250の出口は、排液ポート240から出る。他のバルブ位置において、高圧移動相溶媒は、捕捉カラム250を通って方向付けられ、そしてクロマトグラフィーキャピラリーカラム18に入り、これによって、捕捉カラム250に結合した分析物の混合物を押しのけ、そしてキャピラリークロマトグラフィーカラムにおいて、その分離を開始する。バルブをクロマトグラフィーキャピラリー18に接続する不連続なキャピラリー管220は、高圧コネクタ208を備える。分離の完了時に、流体は、UV検出器フローセル30を通過し、分離において使用される勾配、またはクロマトフラフィーキャピラリーカラム18から出る分析物のモニタリングを可能にする。次いで、流体は、別の高圧コネクタ208を通って不連続なキャピラリー225へと通過し、ここで、この流体は、MALDIプレート210に移送され、そして沈着する。これによって、クロマトグラフィー分離によって得られた分離された画分は、さらなる分析(例えば、時間飛行質量分析による)のために利用可能にされる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態に従うキャピラリーカラムのアレイを示す、キャピラリークロマトグラフィー微小流体回路の上面図である。
【図2A】図2Aは、図1に示される不連続なキャピラリーと微小流体回路との間のコネクタ界面の側面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示される流体入口要素の拡大側面図である。
【図3A】図3Aおよび3Bは、図1に示されるデバイスを形成するために使用される層において、異なる深さをエッチングするためのアスペクト比を示す概略図である。
【図3B】図3Aおよび3Bは、図1に示されるデバイスを形成するために使用される層において、異なる深さをエッチングするためのアスペクト比を示す概略図である。
【図4】図4は、分離キャピラリーの出口端部の詳細を示す、図1の回路の上面図であり、この回路は、固体クロマトグラフィー媒体を保持するためのデバイス、UV検出器アレイのフローセル、および不連続なキャピラリーへのポート接続を備える。
【図5】図5は、図4に示される1つのシステム要素の拡大側面図である。
【図6】図6は、分離キャピラリー中に固体クロマトグラフィー粒子を保持するためのデバイスの拡大側面図である。
【図7A】図7Aは、分離キャピラリー内でモノリスを作製するための重合性溶液を含む代わりに使用される、図6に示されるものと同じデバイスの拡大側面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示されるデバイスの上面図である。
【図8】図8は、クロマトグラフィー微小流体回路アレイを収容するシステムの等角図であり、このシステムは、入口キャピラリーおよび出口キャピラリー、UVランプ、フォトダイオードアレイ検出器、ならびにMLADIプレート(この上に、画分が収集される)を備える。
【図9】図9は、クロマトグラフィー微小流体回路アレイの1つの分離要素の概略図であり、流体サンプルの導入、その分離および検出、ならびにこの回路からのサンプルの除去を示す。微小流体回路内または微小流体回路上に形成される要素は破線内に示されており、そして微小流体回路の外部の要素は破線の外側にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載のプロセスおよびシステム。
【請求項1】
明細書に記載のプロセスおよびシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−139323(P2008−139323A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104(P2008−104)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【分割の表示】特願2003−566548(P2003−566548)の分割
【原出願日】平成15年1月21日(2003.1.21)
【出願人】(595165597)パーセプティブ バイオシステムズ,インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】PerSeptive Biosystems,Inc.
【住所又は居所原語表記】500 Old Connecticut Path,Framingham,Massachusetts 01701,United States of America
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【分割の表示】特願2003−566548(P2003−566548)の分割
【原出願日】平成15年1月21日(2003.1.21)
【出願人】(595165597)パーセプティブ バイオシステムズ,インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】PerSeptive Biosystems,Inc.
【住所又は居所原語表記】500 Old Connecticut Path,Framingham,Massachusetts 01701,United States of America
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