キャリアカップ、及び被検査物の搬送方法
【課題】被検査物をその搬送過程で円滑に昇降させ、しかもベルトコンベヤ上で被検査物を適正に位置決めできるキャリアカップ、及び被検査物の搬送方法を提供する。
【解決手段】キャリアカップ1は、ベルトコンベヤ13,17に載せられる支持体2に、被検査物7の投入される上向きの開口部3、及び水平方向に延びる溝部5を形成したものである。支持体2は、その全周に溝部5を形成した円柱形である。被検査物の搬送方法は、相互に対向する複数の爪をキャリアカップ1の溝部5に掛止めする工程と、キャリアカップ1から被検査物7を引き上げる工程と、被検査物7をキャリアカップ1の開口部3に投入される高さまで下降する工程と、複数の爪をキャリアカップ1の溝部5から離脱させる工程とから成る。
【解決手段】キャリアカップ1は、ベルトコンベヤ13,17に載せられる支持体2に、被検査物7の投入される上向きの開口部3、及び水平方向に延びる溝部5を形成したものである。支持体2は、その全周に溝部5を形成した円柱形である。被検査物の搬送方法は、相互に対向する複数の爪をキャリアカップ1の溝部5に掛止めする工程と、キャリアカップ1から被検査物7を引き上げる工程と、被検査物7をキャリアカップ1の開口部3に投入される高さまで下降する工程と、複数の爪をキャリアカップ1の溝部5から離脱させる工程とから成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的検査の対象となる被検査物を搬送するのに用いるキャリアカップ、及び被検査物の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の薬剤を被検査物に封入して成る製品がある。例えば注射器のシリンジ(被検査物)が製造後にベルトコンベヤに載せられ工場内を搬送される過程で、その傷、変形、又は異物の付着等の不具合の有無について、オペレータが目視で検査し、或いはモニターカメラで撮影したシリンジの画像情報に基づきコンピュータがシリンジの不具合の有無を判定する。この場合、シリンジをキャリアカップで受け止め、このキャリアカップをベルトコンベヤに載せる。そして、キャリアカップと共に搬送されるシリンジがオペレータ、又はモニターカメラの視野を通過するときに、シリンジがキャリアカップで遮られないように、シリンジをキャリアカップから持ち上げることが試みられている。
【0003】
上記のキャリアカップは、シリンジを起立させることに加え、次の理由で不可欠である。即ち、複数のキャリアカップをベルトコンベヤの搬送方向に一列に並べ互いに隣接させれば、これらのキャリアカップに投入されたシリンジをベルトコンベヤに等間隔で配置するのが容易である。また、ベルトコンベヤが摩擦係数の比較的小さなプラスチック製のベルトを有する場合、ベルトコンベヤの搬送方向を横切る停止バーにキャリアカップを突き当てるだけで、キャリアカップを停止させベルトコンベヤによるシリンジの搬送を中断できる。この間、ベルトコンベヤのベルトはキャリアカップに滑り接触するので、停止バーに突き当てられたキャリアカップと、これに後続するキャリアカップをベルトコンベヤのベルト上に溜めておくことができる。
【0004】
しかしながら、シリンジが上記のように上昇されるときに、キャリアカップがシリンジに擦られる等してベルトコンベヤから浮き上がり、又は転倒するのを予防することが不可欠である。また、キャリアカップがベルトコンベヤのベルトに対して滑ることのないように、キャリアカップをベルトに位置決めする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−322067号公報
【特許文献2】特開平10−338343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、被検査物をその搬送過程で円滑に昇降させ、しかもベルトコンベヤ上で被検査物を適正に位置決めできるキャリアカップ、及び被検査物の搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被検査物を支持しベルトコンベヤで搬送される支持体に、被検査物の投入される上向きの開口部、及び水平方向に延びる溝部を形成したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記支持体が前記溝部を全周に形成した円柱形であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、ベルトコンベヤで搬送される被検査物を前記ベルトコンベヤに対して昇降させる被検査物の搬送方法であって、請求項1又は2に記載のキャリアカップの開口部に被検査物を投入する工程と、前記開口部に被検査物を投入されたキャリアカップをベルトコンベヤのベルトに載せ、前記ベルトを走行させる工程と、相互に対向する複数の爪を前記ベルトの走行する向きに移動させ、前記キャリアカップの溝部に前記複数の爪を掛止めする工程と、相互に対向する複数の挟着部材を前記ベルトの走行する向きに移動させ、前記複数の挟着部材の間に、前記キャリアカップの開口部に投入された被検査物を挟着する工程と、前記複数の挟着部材を前記爪に対して上昇させることにより、前記複数の挟着部材の間に挟着された被検査物を前記キャリアカップの開口部から引き上げる工程と、前記複数の挟着部材の間に挟着された被検査物が前記キャリアカップの開口部に投入される高さまで、前記複数の挟着部材を前記爪に対して下降させ、前記複数の挟着部材の間から被検査物を解放する工程と、前記複数の爪を前記キャリアカップの溝部から離脱させる工程とから成ることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記挟着部材が被検査物に転がり接触するローラであり、前記挟着部材に回転力を入力することにより、前記キャリアカップの開口部から引き上げられた被検査物を、前記複数の挟着部材の間で回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベルトコンベヤで搬送されるキャリアカップの支持体に、被検査物の投入される上向きの開口部、及び水平方向に延びる溝部を形成しているので、相互に対向する複数の爪をベルトの走行する向きに移動させ、キャリアカップの溝部に複数の爪を掛止めできる。これにより複数の爪の間にキャリアカップを保持し、ベルトコンベヤで搬送されるキャリアカップがベルトコンベヤのベルトに対して滑るのを規制できる。このため、キャリアカップの開口部から引き上げられた被検査物の直下にキャリアカップの開口部の位置が合致するように、キャリアカップをベルトコンベヤ上で位置決めすることができる。この状態で、複数の挟着部材を爪に対して下降させれば、複数の挟着部材の間に挟着された被検査物をキャリアカップの開口部に円滑に投入することができる。
【0012】
しかも、本発明によれば、キャリアカップの溝部に複数の爪を掛止することにより、被検査物がキャリアカップの開口部から引き上げられる過程で、キャリアカップが被検査物に擦られる等してベルトコンベヤから浮き上がるのを予防し、或いはキャリアカップが転倒するのを予防することができる。特に、キャリアカップの支持体が全周に溝部を形成した円柱形である場合、キャリアカップの溝部にその全周のあらゆる角度から爪を掛止できる。このため、キャリアカップの溝部に爪が掛止される前の工程で、キャリアカップの鉛直軸周りの向きが変化しても、以上の効果を達成することができる。
【0013】
また、挟着部材が被検査物に転がり接触するローラである場合、キャリアカップの開口部から引き上げられた被検査物を、挟着部材の回転に従わせ回転させることができる。この間に、被検査物の全周をオペレータが目視で検査し、或いはモニターカメラで撮影した被検査物の画像情報に基づきコンピュータが被検査物の不具合の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るキャリアカップ、及び被検査物の組合わせ例をキャリアカップの一部破断して示した斜視図。
【図2】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置の動作を説明する概略図。
【図3】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置の要部の平面図。
【図4】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置に適用した保持昇降装置の要部の使用例を示した正面図。
【図5】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置に適用した保持昇降装置の使用例を一部破断して示した側面図。
【図6】図4のc−c線断面図。
【図7】(a)は本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置に適用した挟着手段の開放動作を示す正面図、(b)はその挟着動作を示す正面図。
【図8】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置に適用した挟着手段、及び回転駆動手段の要部の平面図。
【図9】図8のd−d線断面図。
【図10】図4のe−e線断面図。
【図11】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置の要部の他例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、キャリアカップ1は、合成樹脂製の円柱形の支持体2の上端面に、上向きに開放した開口部3を形成し、支持体2の周面の全周に、水平方向に延びる無端状の溝部5を形成したものである。被検査物7は、フランジ9を上部に形成し、注射針の取付けられる射出管10を先端12に設けた注射器のシリンジであっても良い。キャリアカップ1の開口部3の内側には底端14が形成されており、開口部3に投入された被検査物7がフランジ9を開口部3の上方へ突出するように、被検査物7の先端12が底端14で受け止められる。符号16は、射出管10を底端14の下方へ逃がすための縦孔を指している。
【0016】
図2に示す保持昇降装置11は、第1のベルトコンベヤ13と搬送分離装置15と第2のベルトコンベヤ17とを備える。これらの要素が後述の動作を行うことにより、キャリアカップ1と共に被検査物7を搬送する過程で、キャリアカップ1を一定の高さに保持し、被検査物7を昇降させることができる。
【0017】
第1のベルトコンベヤ13は、プーリー19に巻掛されたベルト21を、サーボモータ等の駆動源によるプーリー19の回転に従わせて走行させるベルトコンベヤである。第2のベルトコンベヤ17は、ベルト22を走行させる行程が搬送分離装置15に対してキャリアカップ1の搬送される向きの下流側である点を除き、第1のベルトコンベヤ13と同様である。ベルト21,22の走行する速度は互いに一致する。また、ベルト21,22に載せられたキャリアカップ1がベルト21,22に対して適度に滑ることのできるように、キャリアカップ1の下端面に接するベルト21,22の材質はプラスチックであることが好ましい。
【0018】
図3に示すように、搬送分離装置15は、互いに環状に縦列する複数の保持昇降装置23と、複数の保持昇降装置23を矢印Tの向きに走行させる走行手段25とを備える。個々の保持昇降装置23は、図4,5に示すように、支持部材27と挟着手段29と後述の回転駆動手段と案内手段31と昇降手段33と保持手段35とを備える。
【0019】
特に断らない限り図面は図3〜図5を参照する。図4は、支持部材27、案内手段31、及び昇降手段33の昇降部材37の正面図であり、昇降部材37が昇降する位置を実線と仮想線で表している。図5は、支持部材27、被検査物7を挟着した挟着手段29、案内手段31、昇降手段33、及びキャリアカップ1を保持した保持手段35の一部を破断した側面図である。また、同図は、挟着手段29、及び昇降部材37が被検査物7と共に昇降する位置を実線と仮想線で表している。支持部材27は、その正面の形状が略y字形の支柱39をベース滑子41の上面に接合したものである。図3は支柱39の断面を表しており、保持昇降装置23の支柱39よりも上部を省略している。
【0020】
支持部材27のベース滑子41は、図に表れていない水平案内レールに係合し、走行ローラ45を側方へ突出している。また、隣合うベース滑子41の間に掛け渡された連結ロッド等を介して、ベース滑子41が互いに連結している。走行手段25は、ドラム59の周面に螺旋溝61を形成し、ベース滑子41の走行ローラ45を螺旋溝61に係合させたものである。ドラム59が電動機で回転することにより走行ローラ45が推進され、保持昇降装置23が水平案内レールに沿って矢印Tの向きに走行する。
【0021】
保持昇降装置23の走行する過程で、第1のベルトコンベヤ13のベルト21からベース滑子41までの高さ、及び第2のベルトコンベヤ17のベルト22からベース滑子41までの高さは一定であり、ベルト21,22に対して保持手段35の高さが変化することはない。また、以下の説明で、保持昇降装置23の走行する速度は、ベルト21,22の走行に同期しているものとするが、これは発明の必須の事項でない。
【0022】
案内手段31は、支持部材27の支柱39の上端に、鉛直方向に延びる一対のガイドポール63を固定し、これらのガイドポール63に2個の昇降滑子65を昇降自在に各々係合したものである。昇降手段33は、2個の昇降滑子65に昇降部材37を固定し、昇降部材37に取付けた昇降ローラ67を、昇降カムレール69に転がり接触させたものである。符号71はベアリングを指している。
【0023】
図6及び図7(a),(b)に示すように、挟着手段29は、回動軸73と懸架部材75と支軸77,79とブラケット81,83とローラを主体とする挟着部材85,87と回動ローラ89と図5に示す回動カムレール91とを備える。図7(a),(b)は、図6の矢印fの向きから見た正面図として、挟着手段29が被検査物7を解放し、又は挟着する動作を示している。また、同図(a)は、ブラケット81が挟着部材85を支持する構造を挟着部材85の断面として表している。
【0024】
図8,9に示すように、回転駆動手段95は、入力従節97と入力軸99と伝達円板101,103と駆動カムレール105とを備える。図8は挟着手段29の要部の平面図であり、挟着手段29によって挟着された被検査物7の断面を表している。
【0025】
図6〜図11に基づき挟着手段29、及び回転駆動手段95について説明する。挟着手段29の回動軸73は、昇降手段33の昇降部材37に軸受けされている。支持板107が回動軸73の先端に接合され、回動従節109が回動軸73の後端に接合されている。回動従節109は、回動ローラ89を先端に取付けている。回動軸73にトーションスプリング111が設けられ、図6に示すように、支持板107の下側へ延出するストッパー113が昇降部材37に設けられている。トーションスプリング111は、回動軸73を図7(a)の矢印gの向きに付勢し、この向きに回動軸73の回動できる限界をストッパー113が規定する。
【0026】
ブラケット81は、2個の挟着部材85を回転自在に支持し、支軸77を中心として支持板107に回動自在に取付けられている。支軸77に設けたトーションスプリング115は、ブラケット81を支持板107に対して図6の矢印hの向きに付勢し、支持板107の下面に設けたストッパー117にブラケット81を押し付けることにより、ブラケット81の図6に示す姿勢を保つものである。
【0027】
懸架部材75は、昇降部材37から延出し、その先端を鉛直方向に貫く挟着手段29の支軸79と回転駆動手段95の入力軸99とを軸受けしている。ストッパー119と掛片121とが懸架部材75の上面に設けられ、ストッパー123が懸架部材75に隣接するよう位置決めされている。支軸79は、ブラケット83を下端に接合し、支軸79の径方向に延出する旋回爪125を上端に接合している。ブラケット83は、2個の挟着部材87とローラを主体とする駆動用挟着部材93とを回転自在に支持している。支軸79には支軸77と同様のトーションスプリングが設けられている。このトーションスプリングは、旋回爪125がストッパー119に押し付けられる向きに支軸77を付勢し、ブラケット83を図6に示す姿勢に保つものである。
【0028】
入力軸99は、入力従節97を下端に接合し、規制アーム127を上端に接合している。入力従節97は、入力ローラ129を先端に取付けている。伝達円板101は入力軸99に固定され、伝達円板103は支軸79に回転自在に取付けられている。入力従節97に後述の回転力が入力されると、この回転力は入力軸99と共に回転する伝達円板101から伝達円板103を介して駆動用挟着部材93に伝達され、駆動用挟着部材93を回転させる。図11は回転力の伝達される要素にドットを付している。図示の便宜により2個の駆動用挟着部材93のうち片方を伝達円板103から離しているが、2個の駆動用挟着部材93が伝達円板103に転がり接触するのが好ましい。
【0029】
上記の入力軸99の回転は、規制アーム127が図8に示すストッパー119に突き当たる位置から図6に示すストッパー123に突き当たるまでの範囲で許容される。また、懸架部材75の掛片121と規制アーム127に設けた掛片131との間に、図に表れていない引張コイルスプリングが掛け渡されている。この引張コイルスプリングは、入力軸99の不用意な回転を防止するために、規制アーム127をストッパー119、又はストッパー123に押付ける力を発生するものである。
【0030】
図10に示すように、保持手段35は、開閉ローラ133を基端に設け可動部材135を先端に設けた旋回従節137と、ベース滑子41に旋回従節137を接合する支軸139と、可動部材135に対向しベース滑子41に固定された保持部材141と、開閉カムレール143,145とを備える。旋回従節137とベース滑子41に各々設けられた掛片147,149の間に、引張コイルスプリング151が掛け渡されている。引張コイルスプリング151は、旋回従節137を矢印iの向きに旋回するよう付勢し、可動部材135と保持部材141との間にキャリアカップ1を挟む力を発生させるものである。
【0031】
可動部材135と保持部材141とは、キャリアカップ1の溝部5に掛止される爪153を各々設けており、これらの爪153を互いに対向させている。ストッパー156は、引張コイルスプリング151が旋回従節137を旋回させる限界を規定するものである。開閉カムレール143,145は、搬送分離装置15の筐体の適所に固定されていれば良い。この点は、既述の昇降手段33の昇降カムレール69、挟着手段29の回動カムレール91、及び回転駆動手段95の駆動カムレール105についても同様である。
【0032】
次に保持昇降装置11を使用した被検査物の搬送方法について説明する。以下の文頭に付した英文字は保持昇降装置11の動作工程を区分する指標である。保持昇降装置11は、走行手段25により走行する複数の保持昇降装置23が順次に同じ動作をするものであるが、以下の説明は一つの保持昇降装置23に注目する。また、図3の左側から右向きに保持昇降装置23の走行する行程を「往動区間」と記し、右側から左向きに保持昇降装置23の走行する行程を「復動区間」と記す。同図の左側で保持昇降装置23が180度向きを転じる行程を「送り周回区間」と記し、その右側で180度向きを転じる行程を「戻り周回区間」と記す。
【0033】
A:保持昇降装置23が送り周回区間を走行する過程で、保持手段35の開閉ローラ133が開閉カムレール143に転がり接触する。開閉カムレール143は、引張コイルスプリング151に抗して、旋回従節137が図10の矢印i'の向きに旋回するように開閉ローラ133を案内する。これにより可動部材135と保持部材141との間隔が広げられる。図8に示すように、入力軸99の規制アーム127は本工程でストッパー119に突き当たる位置にあるとする。
【0034】
B:上記Aの工程と同時に、挟着手段29の回動ローラ89が回動カムレール91に転がり接触する。回動カムレール91は、回動ローラ89をトーションスプリング111に抗して下方へ案内する。これにより、挟着部材85が回動軸73を中心として、図7(a)の矢印g'の向きに回動し、ブラケット81,83の間隔が広げられる。
【0035】
C:保持昇降装置23は、送り周回区間から往動区間に達する手前で、第1のベルトコンベヤ13のベルト21に載せられたキャリアカップ1に接近する。そして、保持昇降装置23が往動区間に達したところで、可動部材135と保持部材141との間にキャリアカップ1が進入し、このキャリアカップ1に投入された被検査物7の上部がブラケット81,83の内側に進入する。
【0036】
D:保持昇降装置23が往動区間に達し、開閉カムレール143は、旋回従節137が図10の矢印iの向きに旋回するよう開閉ローラ133を案内する。これにより可動部材135が保持部材141に接近し、可動部材135と保持部材141との間にキャリアカップ1が保持されるのと同時に、可動部材135、及び保持部材141のそれぞれの爪153が溝部5に掛止される。本工程が完了した時点で、キャリアカップ1の下面がベルト21に接していても良い。
【0037】
E:上記Dの工程と同時に、回動ローラ89が回動カムレール91から離脱し、トーションスプリング111の弾性力によって回動ローラ89が上方に復帰する。このとき回動軸73が図7(a)の矢印gの向きに回転するので、挟着部材85と挟着部材87との間、及び挟着部材85と駆動用挟着部材93との間に被検査物7の上部が挟まれ、挟着手段29による被検査物7の挟着が完了する。この後、トーションスプリング111の弾性力によって被検査物7の挟着が維持される。
【0038】
F:保持昇降装置23が往動区間を走行する過程で、昇降手段33の昇降カムレール69が昇降ローラ67を上方へ案内する。これにより、昇降部材37が挟着手段29に挟着された被検査物7と共に上昇し、保持手段35に保持された被検査物7がその全体を露出する高さにキャリアカップ1の開口部3から引き上げられたところで、昇降部材37の上昇が停止する。また、保持手段35の開閉ローラ133は、本工程で開閉カムレール143から離脱するが、引張コイルスプリング151の弾性力によってキャリアカップ1の保持が維持される。
【0039】
G:保持昇降装置23が往動区間を走行する過程、或いは保持昇降装置23が戻り周回区間を通過し復動区間を走行する過程で、図11に示す回転駆動手段95の入力ローラ129が駆動カムレール105に転がり接触する。駆動カムレール105は、図8の矢印jの向きに入力軸99が回転するよう入力ローラ129を案内する。これにより入力軸99に入力される回転力に基づき駆動用挟着部材93が回転するので、挟着手段29に挟着された被検査物7が駆動用挟着部材93の回転に従い回転する。
【0040】
上記Gの工程で、規制アーム127が矢印jの向きに旋回しストッパー123に突き当たるまでに、被検査物7は鉛直軸周りに約180度回転することになる。このように回転する被検査物7の全周をオペレータが目視で検査するようにしても良い。この場合、オペレータは視点を移動することなく被検査物7の全周を視野に入れることができ、被検査物7を保持昇降装置23の正面から一目で検査することができる。或いは、被検査物7を撮影するモニターカメラによる被検査物7の全周の画像情報に基づき、コンピュータが被検査物7の不具合の有無を判定しても良い。
【0041】
H:保持昇降装置23が復動区間に達し、保持手段35に保持されたキャリアカップ1が、第2のベルトコンベヤ17のベルト22に乗り上げる。昇降手段33の昇降カムレール69が昇降ローラ67を下方へ案内し、挟着手段29に挟着された被検査物7がキャリアカップ1の開口部3に投入されるまで、昇降部材37を下降させる。続いて、保持手段35の開閉ローラ133が開閉カムレール145に転がり接触し、可動部材135と保持部材141との間隔が広げられる。これにより、可動部材135、及び保持部材141がそれぞれの爪153がキャリアカップ1の溝部5から離脱し、キャリアカップ1が保持手段35から解放されるのと同時に、第2のベルトコンベヤ17のベルト22に受け止められる。
【0042】
I:上記Hの工程と同時に、挟着手段29の回動ローラ89が回動カムレール91に転がり接触する。これにより、挟着部材85と挟着部材87との間隔、及び挟着部材85と駆動用挟着部材93との間隔が広げられ、挟着手段29から被検査物7が解放される。
【0043】
J:保持昇降装置23は、送り周回区間を走行する過程で、第2のベルトコンベヤ17のベルト22に載せられたキャリアカップ1から離れる一方、キャリアカップ1は、これに投入された被検査物7と共に第2のベルトコンベヤ17によって搬出される。この後、図8の矢印j'の向きに入力軸99が回転するように、図に表れていないカム等が入力ローラ129を案内する。これにより、規制アーム127がストッパー119に突き当たる位置に復帰し、保持昇降装置11は上記Aの工程を繰り返すことができる。
【0044】
以上に述べた被検査物の搬送方法によれば、上記Dの工程で溝部5に掛止された複数の爪153は、互いにキャリアカップ1を挟む位置で対向するので、第1のベルトコンベヤ13で搬送されるキャリアカップ1がベルト21に対して滑るのを規制できる。同様に、上記Hの工程で、複数の爪153は第2のベルトコンベヤ17で搬送されるキャリアカップ1がベルト22に対して滑るのを規制できる。このため、保持手段35は、上記Fの工程で開口部3から引き上げられた被検査物7の直下に開口部3の位置が合致するように、キャリアカップ1をベルト21,22に位置決めできるので、上記Hの工程で被検査物7を開口部3に円滑に投入することができる。
【0045】
しかも、キャリアカップ1の溝部5に掛止された爪153は、上記Fの工程で被検査物7がキャリアカップ1の開口部3から引き上げられる過程で、キャリアカップ1が被検査物7に擦られる等して第1のベルトコンベヤ13から浮き上がるのを予防し、或いはキャリアカップ1が転倒するのを予防することができる。また、上記Dの工程でキャリアカップ1の溝部5にその全周のあらゆる角度から爪153を掛止できる。このため、図3に示す第1のベルトコンベヤ13にその左側からキャリアカップ1が搬入される行程で、キャリアカップ1が何らかの外力を受ける等してその鉛直軸周りの向きが変化しても、キャリアカップ1の溝部5に複数の爪153を適正に掛止することができる。
【0046】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施することができる。図2に示すように第1のベルトコンベヤ13、搬送分離装置15、及び第2のベルトコンベヤ17を一列に配置しても良い。第1のベルトコンベヤ13と第2のベルトコンベヤ17とがキャリアカップ1の搬送を分担するように説明したが、上記A〜Jの全工程で単一のベルトコンベヤがキャリアカップ1を搬送するようにしても良い。上記Aの工程以前にキャリアカップ1を準備し、その開口部3に被検査物7を予め投入する手順は何ら限定されるものでない。
【0047】
図11に示すように、第1のベルトコンベヤ13により搬送される複数のキャリアカップ1を互いに隣接させても良い。そして、第1のベルトコンベヤ13の終端付近に配置したスターホイール155の鉤部157に、ベルト21の上のキャリアカップ1を1つずつ掛止し、このキャリアカップ1をスターホイール155の回転に従わせ、上記Cの工程で可動部材135と保持部材141との間に進入させても良い。この場合、保持昇降装置23の走行する速度がベルト21の走行に同期する必要はない。また、キャリアカップ1、及び被検査物7の断面は必ずしも円形でなくて良い。既述のコイルスプリング、及びトーションスプリングに代えてゴム等の弾性体を適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、被検査物の用途、材質、又は形状に関わらず、キャリアカップに投入された被検査物を手早く検査するのに有益な技術である。
【符号の説明】
【0049】
1...キャリアカップ、2...支持体、3...開口部、5...溝部、7...被検査物、9...フランジ、10...射出管、11...検査用搬送装置、12...先端、13...第1のベルトコンベヤ、14...底端、15...搬送分離装置、16...縦孔、17...第2のベルトコンベヤ、19...プーリー、21,22...ベルト、23...保持昇降装置、25...走行手段、27...支持部材、29...挟着手段、31...案内手段、33...昇降手段、35...保持手段、37...昇降部材、39...支柱、41...ベース滑子、45...走行ローラ、47...上側板、49...スペーサ、51...下側板、53...継手軸、55...係合ローラ、57...連結ロッド、59...ドラム、61...螺旋溝、63...ガイドポール、65...昇降滑子、67...昇降ローラ、69...昇降カムレール、71...ベアリング、73...回動軸、75...懸架部材、77,79,139...支軸、81,83...ブラケット、85,87...挟着部材、89...回動ローラ、91...回動カムレール、93...駆動用挟着部材、95...回転駆動手段、97...入力従節、99...入力軸、101,103...伝達円板、105...駆動カムレール、107...支持板、109...回動従節、111...トーションスプリング、115...トーションスプリング、113,117,119,123,156...ストッパー、121,131,147,149...掛片、125...旋回爪、127...規制アーム、129...入力ローラ、133...開閉ローラ、135...可動部材、137...旋回従節、141...保持部材、143,145...開閉カムレール、151...引張コイルスプリング、153...爪、155...スターホイール、157...鉤部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的検査の対象となる被検査物を搬送するのに用いるキャリアカップ、及び被検査物の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の薬剤を被検査物に封入して成る製品がある。例えば注射器のシリンジ(被検査物)が製造後にベルトコンベヤに載せられ工場内を搬送される過程で、その傷、変形、又は異物の付着等の不具合の有無について、オペレータが目視で検査し、或いはモニターカメラで撮影したシリンジの画像情報に基づきコンピュータがシリンジの不具合の有無を判定する。この場合、シリンジをキャリアカップで受け止め、このキャリアカップをベルトコンベヤに載せる。そして、キャリアカップと共に搬送されるシリンジがオペレータ、又はモニターカメラの視野を通過するときに、シリンジがキャリアカップで遮られないように、シリンジをキャリアカップから持ち上げることが試みられている。
【0003】
上記のキャリアカップは、シリンジを起立させることに加え、次の理由で不可欠である。即ち、複数のキャリアカップをベルトコンベヤの搬送方向に一列に並べ互いに隣接させれば、これらのキャリアカップに投入されたシリンジをベルトコンベヤに等間隔で配置するのが容易である。また、ベルトコンベヤが摩擦係数の比較的小さなプラスチック製のベルトを有する場合、ベルトコンベヤの搬送方向を横切る停止バーにキャリアカップを突き当てるだけで、キャリアカップを停止させベルトコンベヤによるシリンジの搬送を中断できる。この間、ベルトコンベヤのベルトはキャリアカップに滑り接触するので、停止バーに突き当てられたキャリアカップと、これに後続するキャリアカップをベルトコンベヤのベルト上に溜めておくことができる。
【0004】
しかしながら、シリンジが上記のように上昇されるときに、キャリアカップがシリンジに擦られる等してベルトコンベヤから浮き上がり、又は転倒するのを予防することが不可欠である。また、キャリアカップがベルトコンベヤのベルトに対して滑ることのないように、キャリアカップをベルトに位置決めする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−322067号公報
【特許文献2】特開平10−338343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、被検査物をその搬送過程で円滑に昇降させ、しかもベルトコンベヤ上で被検査物を適正に位置決めできるキャリアカップ、及び被検査物の搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被検査物を支持しベルトコンベヤで搬送される支持体に、被検査物の投入される上向きの開口部、及び水平方向に延びる溝部を形成したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記支持体が前記溝部を全周に形成した円柱形であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、ベルトコンベヤで搬送される被検査物を前記ベルトコンベヤに対して昇降させる被検査物の搬送方法であって、請求項1又は2に記載のキャリアカップの開口部に被検査物を投入する工程と、前記開口部に被検査物を投入されたキャリアカップをベルトコンベヤのベルトに載せ、前記ベルトを走行させる工程と、相互に対向する複数の爪を前記ベルトの走行する向きに移動させ、前記キャリアカップの溝部に前記複数の爪を掛止めする工程と、相互に対向する複数の挟着部材を前記ベルトの走行する向きに移動させ、前記複数の挟着部材の間に、前記キャリアカップの開口部に投入された被検査物を挟着する工程と、前記複数の挟着部材を前記爪に対して上昇させることにより、前記複数の挟着部材の間に挟着された被検査物を前記キャリアカップの開口部から引き上げる工程と、前記複数の挟着部材の間に挟着された被検査物が前記キャリアカップの開口部に投入される高さまで、前記複数の挟着部材を前記爪に対して下降させ、前記複数の挟着部材の間から被検査物を解放する工程と、前記複数の爪を前記キャリアカップの溝部から離脱させる工程とから成ることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記挟着部材が被検査物に転がり接触するローラであり、前記挟着部材に回転力を入力することにより、前記キャリアカップの開口部から引き上げられた被検査物を、前記複数の挟着部材の間で回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベルトコンベヤで搬送されるキャリアカップの支持体に、被検査物の投入される上向きの開口部、及び水平方向に延びる溝部を形成しているので、相互に対向する複数の爪をベルトの走行する向きに移動させ、キャリアカップの溝部に複数の爪を掛止めできる。これにより複数の爪の間にキャリアカップを保持し、ベルトコンベヤで搬送されるキャリアカップがベルトコンベヤのベルトに対して滑るのを規制できる。このため、キャリアカップの開口部から引き上げられた被検査物の直下にキャリアカップの開口部の位置が合致するように、キャリアカップをベルトコンベヤ上で位置決めすることができる。この状態で、複数の挟着部材を爪に対して下降させれば、複数の挟着部材の間に挟着された被検査物をキャリアカップの開口部に円滑に投入することができる。
【0012】
しかも、本発明によれば、キャリアカップの溝部に複数の爪を掛止することにより、被検査物がキャリアカップの開口部から引き上げられる過程で、キャリアカップが被検査物に擦られる等してベルトコンベヤから浮き上がるのを予防し、或いはキャリアカップが転倒するのを予防することができる。特に、キャリアカップの支持体が全周に溝部を形成した円柱形である場合、キャリアカップの溝部にその全周のあらゆる角度から爪を掛止できる。このため、キャリアカップの溝部に爪が掛止される前の工程で、キャリアカップの鉛直軸周りの向きが変化しても、以上の効果を達成することができる。
【0013】
また、挟着部材が被検査物に転がり接触するローラである場合、キャリアカップの開口部から引き上げられた被検査物を、挟着部材の回転に従わせ回転させることができる。この間に、被検査物の全周をオペレータが目視で検査し、或いはモニターカメラで撮影した被検査物の画像情報に基づきコンピュータが被検査物の不具合の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るキャリアカップ、及び被検査物の組合わせ例をキャリアカップの一部破断して示した斜視図。
【図2】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置の動作を説明する概略図。
【図3】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置の要部の平面図。
【図4】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置に適用した保持昇降装置の要部の使用例を示した正面図。
【図5】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置に適用した保持昇降装置の使用例を一部破断して示した側面図。
【図6】図4のc−c線断面図。
【図7】(a)は本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置に適用した挟着手段の開放動作を示す正面図、(b)はその挟着動作を示す正面図。
【図8】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置に適用した挟着手段、及び回転駆動手段の要部の平面図。
【図9】図8のd−d線断面図。
【図10】図4のe−e線断面図。
【図11】本発明に係る被検査物の搬送方法を実行する検査用搬送装置の要部の他例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、キャリアカップ1は、合成樹脂製の円柱形の支持体2の上端面に、上向きに開放した開口部3を形成し、支持体2の周面の全周に、水平方向に延びる無端状の溝部5を形成したものである。被検査物7は、フランジ9を上部に形成し、注射針の取付けられる射出管10を先端12に設けた注射器のシリンジであっても良い。キャリアカップ1の開口部3の内側には底端14が形成されており、開口部3に投入された被検査物7がフランジ9を開口部3の上方へ突出するように、被検査物7の先端12が底端14で受け止められる。符号16は、射出管10を底端14の下方へ逃がすための縦孔を指している。
【0016】
図2に示す保持昇降装置11は、第1のベルトコンベヤ13と搬送分離装置15と第2のベルトコンベヤ17とを備える。これらの要素が後述の動作を行うことにより、キャリアカップ1と共に被検査物7を搬送する過程で、キャリアカップ1を一定の高さに保持し、被検査物7を昇降させることができる。
【0017】
第1のベルトコンベヤ13は、プーリー19に巻掛されたベルト21を、サーボモータ等の駆動源によるプーリー19の回転に従わせて走行させるベルトコンベヤである。第2のベルトコンベヤ17は、ベルト22を走行させる行程が搬送分離装置15に対してキャリアカップ1の搬送される向きの下流側である点を除き、第1のベルトコンベヤ13と同様である。ベルト21,22の走行する速度は互いに一致する。また、ベルト21,22に載せられたキャリアカップ1がベルト21,22に対して適度に滑ることのできるように、キャリアカップ1の下端面に接するベルト21,22の材質はプラスチックであることが好ましい。
【0018】
図3に示すように、搬送分離装置15は、互いに環状に縦列する複数の保持昇降装置23と、複数の保持昇降装置23を矢印Tの向きに走行させる走行手段25とを備える。個々の保持昇降装置23は、図4,5に示すように、支持部材27と挟着手段29と後述の回転駆動手段と案内手段31と昇降手段33と保持手段35とを備える。
【0019】
特に断らない限り図面は図3〜図5を参照する。図4は、支持部材27、案内手段31、及び昇降手段33の昇降部材37の正面図であり、昇降部材37が昇降する位置を実線と仮想線で表している。図5は、支持部材27、被検査物7を挟着した挟着手段29、案内手段31、昇降手段33、及びキャリアカップ1を保持した保持手段35の一部を破断した側面図である。また、同図は、挟着手段29、及び昇降部材37が被検査物7と共に昇降する位置を実線と仮想線で表している。支持部材27は、その正面の形状が略y字形の支柱39をベース滑子41の上面に接合したものである。図3は支柱39の断面を表しており、保持昇降装置23の支柱39よりも上部を省略している。
【0020】
支持部材27のベース滑子41は、図に表れていない水平案内レールに係合し、走行ローラ45を側方へ突出している。また、隣合うベース滑子41の間に掛け渡された連結ロッド等を介して、ベース滑子41が互いに連結している。走行手段25は、ドラム59の周面に螺旋溝61を形成し、ベース滑子41の走行ローラ45を螺旋溝61に係合させたものである。ドラム59が電動機で回転することにより走行ローラ45が推進され、保持昇降装置23が水平案内レールに沿って矢印Tの向きに走行する。
【0021】
保持昇降装置23の走行する過程で、第1のベルトコンベヤ13のベルト21からベース滑子41までの高さ、及び第2のベルトコンベヤ17のベルト22からベース滑子41までの高さは一定であり、ベルト21,22に対して保持手段35の高さが変化することはない。また、以下の説明で、保持昇降装置23の走行する速度は、ベルト21,22の走行に同期しているものとするが、これは発明の必須の事項でない。
【0022】
案内手段31は、支持部材27の支柱39の上端に、鉛直方向に延びる一対のガイドポール63を固定し、これらのガイドポール63に2個の昇降滑子65を昇降自在に各々係合したものである。昇降手段33は、2個の昇降滑子65に昇降部材37を固定し、昇降部材37に取付けた昇降ローラ67を、昇降カムレール69に転がり接触させたものである。符号71はベアリングを指している。
【0023】
図6及び図7(a),(b)に示すように、挟着手段29は、回動軸73と懸架部材75と支軸77,79とブラケット81,83とローラを主体とする挟着部材85,87と回動ローラ89と図5に示す回動カムレール91とを備える。図7(a),(b)は、図6の矢印fの向きから見た正面図として、挟着手段29が被検査物7を解放し、又は挟着する動作を示している。また、同図(a)は、ブラケット81が挟着部材85を支持する構造を挟着部材85の断面として表している。
【0024】
図8,9に示すように、回転駆動手段95は、入力従節97と入力軸99と伝達円板101,103と駆動カムレール105とを備える。図8は挟着手段29の要部の平面図であり、挟着手段29によって挟着された被検査物7の断面を表している。
【0025】
図6〜図11に基づき挟着手段29、及び回転駆動手段95について説明する。挟着手段29の回動軸73は、昇降手段33の昇降部材37に軸受けされている。支持板107が回動軸73の先端に接合され、回動従節109が回動軸73の後端に接合されている。回動従節109は、回動ローラ89を先端に取付けている。回動軸73にトーションスプリング111が設けられ、図6に示すように、支持板107の下側へ延出するストッパー113が昇降部材37に設けられている。トーションスプリング111は、回動軸73を図7(a)の矢印gの向きに付勢し、この向きに回動軸73の回動できる限界をストッパー113が規定する。
【0026】
ブラケット81は、2個の挟着部材85を回転自在に支持し、支軸77を中心として支持板107に回動自在に取付けられている。支軸77に設けたトーションスプリング115は、ブラケット81を支持板107に対して図6の矢印hの向きに付勢し、支持板107の下面に設けたストッパー117にブラケット81を押し付けることにより、ブラケット81の図6に示す姿勢を保つものである。
【0027】
懸架部材75は、昇降部材37から延出し、その先端を鉛直方向に貫く挟着手段29の支軸79と回転駆動手段95の入力軸99とを軸受けしている。ストッパー119と掛片121とが懸架部材75の上面に設けられ、ストッパー123が懸架部材75に隣接するよう位置決めされている。支軸79は、ブラケット83を下端に接合し、支軸79の径方向に延出する旋回爪125を上端に接合している。ブラケット83は、2個の挟着部材87とローラを主体とする駆動用挟着部材93とを回転自在に支持している。支軸79には支軸77と同様のトーションスプリングが設けられている。このトーションスプリングは、旋回爪125がストッパー119に押し付けられる向きに支軸77を付勢し、ブラケット83を図6に示す姿勢に保つものである。
【0028】
入力軸99は、入力従節97を下端に接合し、規制アーム127を上端に接合している。入力従節97は、入力ローラ129を先端に取付けている。伝達円板101は入力軸99に固定され、伝達円板103は支軸79に回転自在に取付けられている。入力従節97に後述の回転力が入力されると、この回転力は入力軸99と共に回転する伝達円板101から伝達円板103を介して駆動用挟着部材93に伝達され、駆動用挟着部材93を回転させる。図11は回転力の伝達される要素にドットを付している。図示の便宜により2個の駆動用挟着部材93のうち片方を伝達円板103から離しているが、2個の駆動用挟着部材93が伝達円板103に転がり接触するのが好ましい。
【0029】
上記の入力軸99の回転は、規制アーム127が図8に示すストッパー119に突き当たる位置から図6に示すストッパー123に突き当たるまでの範囲で許容される。また、懸架部材75の掛片121と規制アーム127に設けた掛片131との間に、図に表れていない引張コイルスプリングが掛け渡されている。この引張コイルスプリングは、入力軸99の不用意な回転を防止するために、規制アーム127をストッパー119、又はストッパー123に押付ける力を発生するものである。
【0030】
図10に示すように、保持手段35は、開閉ローラ133を基端に設け可動部材135を先端に設けた旋回従節137と、ベース滑子41に旋回従節137を接合する支軸139と、可動部材135に対向しベース滑子41に固定された保持部材141と、開閉カムレール143,145とを備える。旋回従節137とベース滑子41に各々設けられた掛片147,149の間に、引張コイルスプリング151が掛け渡されている。引張コイルスプリング151は、旋回従節137を矢印iの向きに旋回するよう付勢し、可動部材135と保持部材141との間にキャリアカップ1を挟む力を発生させるものである。
【0031】
可動部材135と保持部材141とは、キャリアカップ1の溝部5に掛止される爪153を各々設けており、これらの爪153を互いに対向させている。ストッパー156は、引張コイルスプリング151が旋回従節137を旋回させる限界を規定するものである。開閉カムレール143,145は、搬送分離装置15の筐体の適所に固定されていれば良い。この点は、既述の昇降手段33の昇降カムレール69、挟着手段29の回動カムレール91、及び回転駆動手段95の駆動カムレール105についても同様である。
【0032】
次に保持昇降装置11を使用した被検査物の搬送方法について説明する。以下の文頭に付した英文字は保持昇降装置11の動作工程を区分する指標である。保持昇降装置11は、走行手段25により走行する複数の保持昇降装置23が順次に同じ動作をするものであるが、以下の説明は一つの保持昇降装置23に注目する。また、図3の左側から右向きに保持昇降装置23の走行する行程を「往動区間」と記し、右側から左向きに保持昇降装置23の走行する行程を「復動区間」と記す。同図の左側で保持昇降装置23が180度向きを転じる行程を「送り周回区間」と記し、その右側で180度向きを転じる行程を「戻り周回区間」と記す。
【0033】
A:保持昇降装置23が送り周回区間を走行する過程で、保持手段35の開閉ローラ133が開閉カムレール143に転がり接触する。開閉カムレール143は、引張コイルスプリング151に抗して、旋回従節137が図10の矢印i'の向きに旋回するように開閉ローラ133を案内する。これにより可動部材135と保持部材141との間隔が広げられる。図8に示すように、入力軸99の規制アーム127は本工程でストッパー119に突き当たる位置にあるとする。
【0034】
B:上記Aの工程と同時に、挟着手段29の回動ローラ89が回動カムレール91に転がり接触する。回動カムレール91は、回動ローラ89をトーションスプリング111に抗して下方へ案内する。これにより、挟着部材85が回動軸73を中心として、図7(a)の矢印g'の向きに回動し、ブラケット81,83の間隔が広げられる。
【0035】
C:保持昇降装置23は、送り周回区間から往動区間に達する手前で、第1のベルトコンベヤ13のベルト21に載せられたキャリアカップ1に接近する。そして、保持昇降装置23が往動区間に達したところで、可動部材135と保持部材141との間にキャリアカップ1が進入し、このキャリアカップ1に投入された被検査物7の上部がブラケット81,83の内側に進入する。
【0036】
D:保持昇降装置23が往動区間に達し、開閉カムレール143は、旋回従節137が図10の矢印iの向きに旋回するよう開閉ローラ133を案内する。これにより可動部材135が保持部材141に接近し、可動部材135と保持部材141との間にキャリアカップ1が保持されるのと同時に、可動部材135、及び保持部材141のそれぞれの爪153が溝部5に掛止される。本工程が完了した時点で、キャリアカップ1の下面がベルト21に接していても良い。
【0037】
E:上記Dの工程と同時に、回動ローラ89が回動カムレール91から離脱し、トーションスプリング111の弾性力によって回動ローラ89が上方に復帰する。このとき回動軸73が図7(a)の矢印gの向きに回転するので、挟着部材85と挟着部材87との間、及び挟着部材85と駆動用挟着部材93との間に被検査物7の上部が挟まれ、挟着手段29による被検査物7の挟着が完了する。この後、トーションスプリング111の弾性力によって被検査物7の挟着が維持される。
【0038】
F:保持昇降装置23が往動区間を走行する過程で、昇降手段33の昇降カムレール69が昇降ローラ67を上方へ案内する。これにより、昇降部材37が挟着手段29に挟着された被検査物7と共に上昇し、保持手段35に保持された被検査物7がその全体を露出する高さにキャリアカップ1の開口部3から引き上げられたところで、昇降部材37の上昇が停止する。また、保持手段35の開閉ローラ133は、本工程で開閉カムレール143から離脱するが、引張コイルスプリング151の弾性力によってキャリアカップ1の保持が維持される。
【0039】
G:保持昇降装置23が往動区間を走行する過程、或いは保持昇降装置23が戻り周回区間を通過し復動区間を走行する過程で、図11に示す回転駆動手段95の入力ローラ129が駆動カムレール105に転がり接触する。駆動カムレール105は、図8の矢印jの向きに入力軸99が回転するよう入力ローラ129を案内する。これにより入力軸99に入力される回転力に基づき駆動用挟着部材93が回転するので、挟着手段29に挟着された被検査物7が駆動用挟着部材93の回転に従い回転する。
【0040】
上記Gの工程で、規制アーム127が矢印jの向きに旋回しストッパー123に突き当たるまでに、被検査物7は鉛直軸周りに約180度回転することになる。このように回転する被検査物7の全周をオペレータが目視で検査するようにしても良い。この場合、オペレータは視点を移動することなく被検査物7の全周を視野に入れることができ、被検査物7を保持昇降装置23の正面から一目で検査することができる。或いは、被検査物7を撮影するモニターカメラによる被検査物7の全周の画像情報に基づき、コンピュータが被検査物7の不具合の有無を判定しても良い。
【0041】
H:保持昇降装置23が復動区間に達し、保持手段35に保持されたキャリアカップ1が、第2のベルトコンベヤ17のベルト22に乗り上げる。昇降手段33の昇降カムレール69が昇降ローラ67を下方へ案内し、挟着手段29に挟着された被検査物7がキャリアカップ1の開口部3に投入されるまで、昇降部材37を下降させる。続いて、保持手段35の開閉ローラ133が開閉カムレール145に転がり接触し、可動部材135と保持部材141との間隔が広げられる。これにより、可動部材135、及び保持部材141がそれぞれの爪153がキャリアカップ1の溝部5から離脱し、キャリアカップ1が保持手段35から解放されるのと同時に、第2のベルトコンベヤ17のベルト22に受け止められる。
【0042】
I:上記Hの工程と同時に、挟着手段29の回動ローラ89が回動カムレール91に転がり接触する。これにより、挟着部材85と挟着部材87との間隔、及び挟着部材85と駆動用挟着部材93との間隔が広げられ、挟着手段29から被検査物7が解放される。
【0043】
J:保持昇降装置23は、送り周回区間を走行する過程で、第2のベルトコンベヤ17のベルト22に載せられたキャリアカップ1から離れる一方、キャリアカップ1は、これに投入された被検査物7と共に第2のベルトコンベヤ17によって搬出される。この後、図8の矢印j'の向きに入力軸99が回転するように、図に表れていないカム等が入力ローラ129を案内する。これにより、規制アーム127がストッパー119に突き当たる位置に復帰し、保持昇降装置11は上記Aの工程を繰り返すことができる。
【0044】
以上に述べた被検査物の搬送方法によれば、上記Dの工程で溝部5に掛止された複数の爪153は、互いにキャリアカップ1を挟む位置で対向するので、第1のベルトコンベヤ13で搬送されるキャリアカップ1がベルト21に対して滑るのを規制できる。同様に、上記Hの工程で、複数の爪153は第2のベルトコンベヤ17で搬送されるキャリアカップ1がベルト22に対して滑るのを規制できる。このため、保持手段35は、上記Fの工程で開口部3から引き上げられた被検査物7の直下に開口部3の位置が合致するように、キャリアカップ1をベルト21,22に位置決めできるので、上記Hの工程で被検査物7を開口部3に円滑に投入することができる。
【0045】
しかも、キャリアカップ1の溝部5に掛止された爪153は、上記Fの工程で被検査物7がキャリアカップ1の開口部3から引き上げられる過程で、キャリアカップ1が被検査物7に擦られる等して第1のベルトコンベヤ13から浮き上がるのを予防し、或いはキャリアカップ1が転倒するのを予防することができる。また、上記Dの工程でキャリアカップ1の溝部5にその全周のあらゆる角度から爪153を掛止できる。このため、図3に示す第1のベルトコンベヤ13にその左側からキャリアカップ1が搬入される行程で、キャリアカップ1が何らかの外力を受ける等してその鉛直軸周りの向きが変化しても、キャリアカップ1の溝部5に複数の爪153を適正に掛止することができる。
【0046】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施することができる。図2に示すように第1のベルトコンベヤ13、搬送分離装置15、及び第2のベルトコンベヤ17を一列に配置しても良い。第1のベルトコンベヤ13と第2のベルトコンベヤ17とがキャリアカップ1の搬送を分担するように説明したが、上記A〜Jの全工程で単一のベルトコンベヤがキャリアカップ1を搬送するようにしても良い。上記Aの工程以前にキャリアカップ1を準備し、その開口部3に被検査物7を予め投入する手順は何ら限定されるものでない。
【0047】
図11に示すように、第1のベルトコンベヤ13により搬送される複数のキャリアカップ1を互いに隣接させても良い。そして、第1のベルトコンベヤ13の終端付近に配置したスターホイール155の鉤部157に、ベルト21の上のキャリアカップ1を1つずつ掛止し、このキャリアカップ1をスターホイール155の回転に従わせ、上記Cの工程で可動部材135と保持部材141との間に進入させても良い。この場合、保持昇降装置23の走行する速度がベルト21の走行に同期する必要はない。また、キャリアカップ1、及び被検査物7の断面は必ずしも円形でなくて良い。既述のコイルスプリング、及びトーションスプリングに代えてゴム等の弾性体を適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、被検査物の用途、材質、又は形状に関わらず、キャリアカップに投入された被検査物を手早く検査するのに有益な技術である。
【符号の説明】
【0049】
1...キャリアカップ、2...支持体、3...開口部、5...溝部、7...被検査物、9...フランジ、10...射出管、11...検査用搬送装置、12...先端、13...第1のベルトコンベヤ、14...底端、15...搬送分離装置、16...縦孔、17...第2のベルトコンベヤ、19...プーリー、21,22...ベルト、23...保持昇降装置、25...走行手段、27...支持部材、29...挟着手段、31...案内手段、33...昇降手段、35...保持手段、37...昇降部材、39...支柱、41...ベース滑子、45...走行ローラ、47...上側板、49...スペーサ、51...下側板、53...継手軸、55...係合ローラ、57...連結ロッド、59...ドラム、61...螺旋溝、63...ガイドポール、65...昇降滑子、67...昇降ローラ、69...昇降カムレール、71...ベアリング、73...回動軸、75...懸架部材、77,79,139...支軸、81,83...ブラケット、85,87...挟着部材、89...回動ローラ、91...回動カムレール、93...駆動用挟着部材、95...回転駆動手段、97...入力従節、99...入力軸、101,103...伝達円板、105...駆動カムレール、107...支持板、109...回動従節、111...トーションスプリング、115...トーションスプリング、113,117,119,123,156...ストッパー、121,131,147,149...掛片、125...旋回爪、127...規制アーム、129...入力ローラ、133...開閉ローラ、135...可動部材、137...旋回従節、141...保持部材、143,145...開閉カムレール、151...引張コイルスプリング、153...爪、155...スターホイール、157...鉤部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を支持しベルトコンベヤで搬送される支持体に、被検査物の投入される上向きの開口部、及び水平方向に延びる溝部を形成したことを特徴とするキャリアカップ。
【請求項2】
前記支持体が前記溝部を全周に形成した円柱形であることを特徴とする請求項1に記載のキャリアカップ。
【請求項3】
ベルトコンベヤで搬送される被検査物を前記ベルトコンベヤに対して昇降させる被検査物の搬送方法であって、
請求項1又は2に記載のキャリアカップの開口部に被検査物を投入する工程と、
前記開口部に被検査物を投入されたキャリアカップをベルトコンベヤのベルトに載せ、前記ベルトを走行させる工程と、
相互に対向する複数の爪を前記ベルトの走行する向きに移動させ、前記キャリアカップの溝部に前記複数の爪を掛止めする工程と、
相互に対向する複数の挟着部材を前記ベルトの走行する向きに移動させ、前記複数の挟着部材の間に、前記キャリアカップの開口部に投入された被検査物を挟着する工程と、
前記複数の挟着部材を前記爪に対して上昇させることにより、前記複数の挟着部材の間に挟着された被検査物を前記キャリアカップの開口部から引き上げる工程と、
前記複数の挟着部材の間に挟着された被検査物が前記キャリアカップの開口部に投入される高さまで、前記複数の挟着部材を前記爪に対して下降させ、前記複数の挟着部材の間から被検査物を解放する工程と
前記複数の爪を前記キャリアカップの溝部から離脱させる工程とから成ることを特徴とする被検査物の搬送方法。
【請求項4】
前記挟着部材が被検査物に転がり接触するローラであり、前記挟着部材に回転力を入力することにより、前記キャリアカップの開口部から引き上げられた被検査物を、前記複数の挟着部材の間で回転させることを特徴とする請求項3に記載の被検査物の搬送方法。
【請求項1】
被検査物を支持しベルトコンベヤで搬送される支持体に、被検査物の投入される上向きの開口部、及び水平方向に延びる溝部を形成したことを特徴とするキャリアカップ。
【請求項2】
前記支持体が前記溝部を全周に形成した円柱形であることを特徴とする請求項1に記載のキャリアカップ。
【請求項3】
ベルトコンベヤで搬送される被検査物を前記ベルトコンベヤに対して昇降させる被検査物の搬送方法であって、
請求項1又は2に記載のキャリアカップの開口部に被検査物を投入する工程と、
前記開口部に被検査物を投入されたキャリアカップをベルトコンベヤのベルトに載せ、前記ベルトを走行させる工程と、
相互に対向する複数の爪を前記ベルトの走行する向きに移動させ、前記キャリアカップの溝部に前記複数の爪を掛止めする工程と、
相互に対向する複数の挟着部材を前記ベルトの走行する向きに移動させ、前記複数の挟着部材の間に、前記キャリアカップの開口部に投入された被検査物を挟着する工程と、
前記複数の挟着部材を前記爪に対して上昇させることにより、前記複数の挟着部材の間に挟着された被検査物を前記キャリアカップの開口部から引き上げる工程と、
前記複数の挟着部材の間に挟着された被検査物が前記キャリアカップの開口部に投入される高さまで、前記複数の挟着部材を前記爪に対して下降させ、前記複数の挟着部材の間から被検査物を解放する工程と
前記複数の爪を前記キャリアカップの溝部から離脱させる工程とから成ることを特徴とする被検査物の搬送方法。
【請求項4】
前記挟着部材が被検査物に転がり接触するローラであり、前記挟着部材に回転力を入力することにより、前記キャリアカップの開口部から引き上げられた被検査物を、前記複数の挟着部材の間で回転させることを特徴とする請求項3に記載の被検査物の搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−255973(P2011−255973A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129282(P2010−129282)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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