説明

キャリアテープ及び被搬送物の加工方法

【課題】被搬送物を取り付けた状態で、被搬送物の搬送移動ピッチを正確にし、必要に応じて洗浄、メッキ、組み付け等を行なうことができること。
【解決手段】被搬送物4を樹脂テープからなるテープ本体1に対して、所定のピッチで繰り返し形成された凸部6,7,12に位置決めし、そのテープ本体1の位置決め位置で係止部11により係止状態とし、外力によってその係止状態を解除すると共に、被搬送物4が係止状態にあるとき被搬送物4をテープ本体1に設けられた開口孔9から部分的に露出させるものである。したがって、被搬送物4はテープ本体1に設けられている凸部6,7,12で位置決めされ、かつ、係止部11によってテープ本体1に係止された状態でテープ本体1に被搬送物4を取り付けたまま、洗浄したり、メッキしたり、また、被搬送物4に他の部品を取り付けたりする作業ができ、被搬送物4の加工処理工程を省力化させて、効率良く作業を行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続して組み立て加工装置(トランスファマシン)、メッキ装置、塗装装置、プレス加工等のように所定の供給タイミングが決定される部品の搬送に使用されるキャリアテープ及び被搬送物を搬送しながら加工する被搬送物の加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キャリアテープとして、特許文献1及び特許文献2の技術を挙げることができる。
特許文献1の技術は、テープ本体の長さ方向に部品を収納する収納部を等間隔に形成し、前記収納部の深さを前記部品の高さより浅くしたもので、この収納部の深さは部品の高さの概ね50%以上が収納できる深さであり、収納部から上部が突出した部品をカバーテープで覆って、テープ本体とカバーテープとで挟持して収納するものである。
このテープ本体の長手方向に部品を収納する収納部を等間隔で形成したキャリアテープにおいては、前記収納部の深さを前記部品の高さより浅くしたので、前記収納部から上部が突出する部品はカバーテープで覆われ、部品はテープ本体とカバーテープとに挟持されて収納され、搬送時の振動や揺れにより部品が収納部内で移動が抑制され安定した実装状態が保たれる。また、部品の電極部が収納部底部との擦れなどによって損傷して部品が実装不能に陥るのを解消することができるものである。
また、特許文献2には、間隔を置いて多数の収納凹部が形成されたキャリアテープの各収納凹部内に被メッキ物を入れ、このキャリアテープを送りながらメッキ槽内を通過させて、被メッキ物の表面に金属メッキ層を形成させることによって、小物部品に変形等が生ずることなく、効率良くメッキすることのできる方法を開示している。
【特許文献1】特開2005-178786
【特許文献2】特開2005-23398
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の特許文献1のキャリアテープは、被搬送物がテープ本体とカバーテープとに挟持されて収納されるものであり、キャリアテープの部品点数が多く、その取り扱いが面倒であり、生産性がよくなかった。
また、特許文献1のキャリアテープは、電子部品等が収納凹部の壁に包囲された状態で収納されており、電子部品等はメッキ等を施した後に収納凹部内に収納されるものであり、電子部品等をキャリアテープに収納させた状態でメッキ等を行なうことは不可能なものであった。
これに対して特許文献2では、電子部品等をキャリアテープに収納させた状態でメッキを行なう方法を提供した。しかし、特許文献2のキャリアテープは、被メッキ物が収容凹部内を移動自在であるから、搬送距離の精度及びメッキ領域の設定においては正確な対応が困難であった。
【0004】
そこで、本発明は上記従来の問題点を解消し、被搬送物を取り付けた状態で、被搬送物の搬送移動ピッチを正確にし、必要に応じて洗浄、メッキ、組み付け等を行なうことのできるキャリアテープ及び被搬送物の加工方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1のキャリアテープは、帯板状の樹脂テープからなるテープ本体と、搬送しようとする被搬送物を、所定のピッチで前記テープ本体に対して繰り返しの位置決め位置となる凸部と、前記テープ本体に設けられた前記凸部による前記被搬送物の位置決め位置で前記被搬送物を係止状態とし、外力によってその係止状態を解除可能な取付部と、前記被搬送物が前記テープ本体の前記取付部にあり、かつ、係止状態にあるとき、前記被搬送物を部分的に露出させる前記テープ本体に設けられた開口孔とを具備するものである。
ここで、上記帯板状の樹脂テープからなるテープ本体は、加工性に富む材料からなり、特定の使用範囲の温度及び張力で容易に伸縮しない樹脂材料であればよい。また、上記被搬送物を前記テープ本体に位置決めする凸部は、所定の体積を有し、前記テープ本体から容易に変形しない程度の形状を維持できるものであればよい。そして、上記被搬送物を係止状態とする取付部は、テープ本体から切り起こして形成してもよいし、突起を形成してもよいし、弾性によって固定するものでもよい。更に、上記被搬送物を部分的に露出させることができる開口孔は、上記被搬送物に対応して設定されるものであり、広い面積の単一の開口孔であっても、小径のものを多数設けた開口孔であってもよい。即ち、洗浄、メッキ、組み付け、溶接、プレス加工等の使途に応じた開口であればよい。
【0006】
請求項2のキャリアテープは、前記テープ本体をリールに巻いたとき、前記被搬送物をリールに巻き付ける力の影響によって、前記取付部にある前記被搬送物を必要以上に押圧したり、前記被搬送物の取り付けを解除したりすることのない高さ寸法及び形状に前記凸部を設定したものである。
ここで、前記凸部の設定は、前記取付部が前記被搬送物を押圧したり、解除したりしない程度に高く設定するか、所定の形状とする必要があり、結果的に、前記凸部がリールに巻き付ける力の影響によって前記被搬送物を押圧したり、不用意に解除したりすることのない機械的強度の距離(高さ)構造が必要となる。
【0007】
請求項3のキャリアテープの前記被搬送物を位置決めする前記凸部は、複数に分割されているものである。ここで、前記凸部が複数に分割されたものとは、前記テープ本体の幅方向に複数に分割されたものでもよいし、前記テープ本体の長さ方向に複数分割されたものであってもよし、その両者であってもよい。
【0008】
請求項4のキャリアテープの前記被搬送物を係止状態とする取付部は、前記開口孔の両側に形成した前記立上片の端部の係止部としたものである。ここで、前記係止部が前記開口孔の両側に形成した前記立上片の端部に形成されているものとは、前記開口孔を形成する部分で前記立上片及び前記係止部が形成したもの、前記開口孔近傍から切り起こして形成したものとして構成できる。なお、前記立上片と前記係止部との比率は前記被搬送物及びその押圧力によって決定される。
【0009】
請求項5のキャリアテープの前記取付部は、前記立上片の端部に形成された前記係止部の相対距離を離す治具により、前記係止部による前記被搬送物の係止状態を解除するものである。
ここで、前記開口孔の前記係止部の相対距離を離す治具は、ロボットのハンドとすることができ、また、特定の金具の回動または押し出しとすることができる。即ち、前記被搬送物の係止状態を解除する治具は、前記開口孔の前記係止部の相対距離を離すものであればよく、その形状を問うものではなく、前記係止部及び/または治具側で移動させることができる。
【0010】
請求項6のキャリアテープの前記被搬送物を係止状態とする前記取付部は、前記被搬送物を位置決めする前記凸部の側部の弾性部としたものである。ここで、前記凸部の側部の弾性部とは、前記被搬送物の厚みによってその位置が決定されるが、前記テープ本体の材料の弾性と前記凸部の切曲位置によって前記凸部の側部の弾性が決定されるから、それら弾性と前記被搬送物の厚みによって弾性部が決定される。
【0011】
請求項7のキャリアテープは、前記テープ本体をリールに巻いた状態で、メッキ液に浸漬したとき、前記被搬送物の周りの液回りをよくし、かつ、前記テープ本体及び前記被搬送物からの液切れをよくした構造としたものである。ここで、メッキ液に浸漬したとき、前記被搬送物の周りの液回りをよくし、かつ、前記テープ本体及び前記被搬送物からの液切れをよくした構造とは、前記テープ本体相互の接触部分、凸部との接触部分にメッキ液が溜まることなく排出できる構成を意味する。したがって、前記テープ本体の表面に凹凸、シボ、小孔、線条を形成した構造とすることもできる。
【0012】
請求項8の被搬送物の加工方法は、帯板状の樹脂テープからなるテープ本体に搬送しようとする被搬送物を所定のピッチで位置決めし、前記テープ本体の前記被搬送物の位置決め位置で、前記被搬送物を前記テープ本体の面方向の移動を拘束すると共に、その直角方向の移動も拘束してプレス加工機まで搬送し、そして、前記プレス加工機で前記テープ本体による前記被搬送物の搬送を停止し、前記テープ本体に前記被搬送物を取り付けた状態でプレス加工を行い、次の工程に搬送するものである。
ここで、被搬送物を所定のピッチで位置決めしたテープ本体とは、加工に応じたピッチで被搬送物を取り付けるものであり、また、前記テープ本体からの移動の拘束は、プレス加工する際に、加工の振動及び変形部位によって容易に離脱しない程度の係止状態を意味する。
【0013】
請求項9の被搬送物の加工方法の前記テープ本体に取り付けた前記被搬送物は、前記プレス加工部分を前記テープ本体から露出する構造とし、前記被搬送物のプレス加工部分以外で拘束のための係止を行なうものである。
ここで、前記プレス加工部分を前記テープ本体から露出する構造とは、露出する面積の大小を問うものではなく、前記プレス加工に支障のないように加工部分を露出させることを意味する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明のキャリアテープは、搬送しようとする被搬送物を、所定のピッチで前記テープ本体に対して繰り返しの位置決め位置となる凸部と、その前記テープ本体の前記取付部で被搬送物を係止状態とし、外力によってその係止状態を解除すると共に、前記被搬送物が係止状態にあるとき前記被搬送物を前記テープ本体に設けられた開口孔から部分的に露出させるものである。
したがって、被搬送物はキャリアテープに設けられている凸部で位置決めされ、かつ、キャリアテープに係止され、この状態でキャリアテープに被搬送物を取り付けたまま、被搬送物を洗浄したり、メッキしたり、また、被搬送物に他の部品を組み付けたりする作業ができ、キャリアテープに被搬送物を取り付けたまま連続して被搬送物を加工処理することができ、被搬送物の加工処理工程を省力化させ、効率の良い作業を行なうことができる。
【0015】
請求項2の発明のキャリアテープは、テープ本体をリールに巻いたとき、前記巻き付ける力の影響によって前記取付部が前記被搬送物との係止状態を解除することのない高さ寸法及び形状に前記凸部が設定されているから、請求項1の効果に加えて、テープ本体が小径のリールに巻かれて彎曲したような場合でも、確実に被搬送物を前記取付部で係止させてテープ本体からの脱落を防止することができる。
【0016】
請求項3の発明のキャリアテープは、前記被搬送物を位置決めする前記凸部が複数に分割されたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、前記凸部で前記被搬送物が位置決めされ、前記被搬送物の表面の露出面が大きくなり、また、テープ本体の開口孔の部分でも前記被搬送物が露出した状態となっており、前記被搬送物の周囲をとりまく流体の循環効率がよくなるから、前記被搬送物をテープ本体に取り付けたままでメッキ槽内に浸漬させてメッキを行なうことができ、また、テープ本体に前記被搬送物を取り付けたままで、他の部品を前記被搬送物に溶接等を行なうことができる。
【0017】
請求項4の発明のキャリアテープの前記被搬送物を係止状態とする前記取付部は、前記開口孔の両側に形成した立上片の端部に前記係止部を形成してなるものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、開口孔の両側に設けられている係止部で被搬送物をテープ本体に係止することができ、前記被搬送物は前記係止部で表面が露出した状態で保持できるから、テープ本体の開口孔の部分で被搬送物が露出した状態となり、被搬送物をキャリアテープに取り付けたままでメッキ槽内に浸漬させてメッキを行なうこと、また、キャリアテープに被搬送物を取り付けたままで他の部品を被搬送物に溶接等を行なうことができる。
【0018】
請求項5の発明のキャリアテープは、前記立上片の端部に形成された前記係止部の相対距離を離す治具により、前記係止部による前記被搬送物の係止状態を解除するものであるから、請求項4に記載の効果に加えて、被搬送物をキャリアテープに取り付ける際には治具を用いることなく、被搬送物を取り付けることができ、また、前記係止部を治具で解除させて前記被搬送物を開放できるから、被搬送物をキャリアテープに取り付けたり、取り外したりするが簡単であり、かつ、取り付け安定性、信頼性が向上する。
【0019】
請求項6の発明のキャリアテープの前記被搬送物を係止状態とする前記取付部は、前記被搬送物を位置決めする前記凸部の側部の弾性部としたものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、前記凸部の側部の弾性によって前記被搬送物を取り付けるものであるから、簡単な構造で前記被搬送物を取り付けるものであるから、その取り付け及び取り外し作業が単純化できる。
【0020】
請求項7の発明のキャリアテープは、前記テープ本体をリールに巻いた状態で、メッキ液に浸漬したとき、前記被搬送物の周りの液回りをよくし、かつ、前記テープ本体及び前記被搬送物からの液切れをよくしたものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、メッキ槽に入れてメッキする場合及びメッキ槽から出してメッキ液を液切りする場合に、略同時に全体の前記被搬送物に対してメッキ液に浸けたり、それを液切りすることができ、前記被搬送物に対して均一なメッキ層を形成できる。勿論、連続してキャリアテープを洗浄槽に通して良好に被搬送物を洗浄することもできる。
【0021】
請求項8の発明の被搬送物の加工方法においては、帯板状の樹脂製のテープ本体に搬送しようとする被搬送物を所定のピッチで位置決めし、その位置決め位置で前記被搬送物を前記テープ本体の面方向の移動及びその直角方向の移動を拘束してプレス加工機まで搬送し、その搬送を停止し、前記テープ本体に前記被搬送物を取り付けた状態でプレス加工を行い、次の工程に搬送するものであるから、プレス加工する部品を正確なタイミンングでプレス位置に搬送できるから加工精度のよいプレス加工が可能となる。また、搬送タイミングが均一化できるからプレスの金型の移動距離(ストローク)に無駄がない動作が可能である。そして、無人加工を行なうことができる。
したがって、前記テープ本体に被搬送物を取り付けたまま連続して被搬送物を加工処理することができ、被搬送物の加工処理工程を省力化させ、効率の良い作業を行なうことができる。
【0022】
請求項9の発明の被搬送物の加工方法において、前記テープ本体に取り付けた前記被搬送物は、前記プレス加工部分を前記テープ本体から露出する構造とし、前記被搬送物のプレス加工部分以外で拘束のための係止を行なうものであるから、請求項8の効果に加えて、前記プレス加工部分を前記テープ本体から露出する構造は、金型間に前記テープ本体が弾性体となって介在することなくプレスできるので、精度よく、かつ、無駄のない加圧力によってプレス加工を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、実施の形態2以降において、実施の形態1の部分と同一記号及び同一符号は、実施の形態1と同一または相当する機能を意味する部品であるから、ここでは重複する説明を省略する。
【0024】
[実施の形態1]
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態1のキャリアテープの全体の移動を示す概略構成図である。また、図2は本発明の実施の形態1のキャリアテープで搬送する被搬送物の一例を示す斜視図、図3は本発明の実施の形態1のキャリアテープで搬送する被搬送物にワイヤーコードをカシメ組み付けた状態の斜視図、図4は本発明の実施の形態1のキャリアテープの表側の上面から見た斜視図、図5は本発明の実施の形態1のキャリアテープの裏面側の下面から見た斜視図、図6は本発明の実施の形態1のキャリアテープの要部を拡大して示す表側からの斜視図、図7は本発明の実施の形態1のキャリアテープの要部を拡大して示す裏側からの斜視図である。そして、図8は本発明の実施の形態1のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の表側の要部斜視図で、図9は本発明の実施の形態1のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の裏側の要部斜視図である。
【0025】
図1において、本実施の形態1のキャリアテープは、帯板状の樹脂テープで構成されており、所定間隔に配置された送り複数のスプロケット2の回転によって順次送られて、巻取リール3に巻き取られるものである。また、スプロケット2を回転させることなく巻取リール3側を回転させて、直接巻取リール3に巻き取ることもできる。このキャリアテープには、所定間隔で被搬送物4を複数取り付けることができる。
【0026】
本実施の形態では、被搬送物4は、図2及び図3の斜視図で示すような圧着式の電線端子である。図2及び図3に示す被搬送物4は、板状に形成された端子部41の先端に連続して連結部42が形成されており、この連結部42は、底部42aの前後方向両端に上方へ立ち上げてカシメ片42bが複数立設されており、この連結部42の底部42a上に、図3に示すように電線端部を載せて、複数のカシメ片42bをカシメにより電線50の端部を底部42a側に押し付けて、連結部42に電線50を圧着することができる。
【0027】
本実施の形態のキャリアテープは、図4に示すように、その全体を構成する合成樹脂製のテープ本体1の幅方向の一端側に、その長さ方向に所定間隔で所定のピッチで連続する送り孔5が形成されており、この送り孔5内に前述した送りスプロケット2の歯が嵌まり込んで、送りスプロケット2の回転によりキャリアテープがその長さ方向に所定のタイミングで順次送られる構造を呈している。
【0028】
テープ本体1に形成されている被搬送物4の取り付けは、図4から図7に示すように、表面側に突出する形態で、テープ本体1の幅の送り孔5側に複数個の凸部12が一体に形成されている。凸部12には、その内側にコの字状に切り欠いた位置決め部12aが形成されている。この凸部12の位置決め部12aの底側には、被搬送物4の一部を受ける載置面8bが形成されている。この載置面8bの中央側には、テープ本体1の表裏に貫通する開口孔9が形成されており、この開口孔9の送り孔5の反対側には、それぞれ上方へ向けて立上片10a,10bがテープ本体1から一体に形成されており、また、各立上片10a,10bの上端から開口孔9側に傾斜して係止部11a,11bが一体に折曲形成されている。
【0029】
開口孔9の送り孔5の反対側には、2分割されて上方に盛り上がった凸部6,7がテープ本体1と一体に形成されている。2分割されて上方に盛り上がった凸部6及び凸部7によって、その間には、被搬送物4を載置可能な載置面8aが形成されている。即ち、載置面8bの反対側には、凸部6及び凸部7が形成され、載置面8aはテープ本体1の開放縁1aとなっており、この凸部6及び凸部7の対向する壁面、即ち、対向する内側の立ち上がり面が位置決め壁面6a,7aとなっている。壁面6a,7aにより被搬送物4のテープ本体1の面方向の移動を拘束して、図8のように被搬送物4を取り付けることができる。なお、本実施の形態においては、この凸部6,7,12の立ち上げ高さは、立上片10a,10bの上下高さ寸法よりも高い寸法に設定されている。
【0030】
即ち、被搬送物4の端子部41が開口孔9上に配置され、係止部11a,11bの下端が端子部41の上面側に位置し、被搬送物4を係止し、同時に端子部41の先端は凸部12の位置決め部12aで位置決めし、また、被搬送物4の連結部42は凸部6及び凸部7の位置決め壁面6aと位置決め壁面7aとの間で良好に位置決めされるものであり、被搬送物4の取付状態では被搬送物4の連結部42側は、テープ本体1の開放縁1aの外側に配置されることとなる。この位置決め壁面6aと位置決め壁面7aは、被搬送物4と所定の弾接状態とすることができる。この位置決め壁面6aと位置決め壁面7aと被搬送物4との弾接は、正確に位置決めする場合には、弾性力が大であり、多少変形させて保持される場合には、弾性力を弱く設定でき、安定した取り付け状態が維持できる。
【0031】
本実施の形態の凸部12と凸部6及び凸部7との違いは、凸部6と凸部7との間には、載置面8a及び載置面8bが存在し、テープ本体1の長さに対して、その直角方向が開放されているか否かであり、直角方向が開放されている場合、洗浄槽またはメッキ槽にドブ漬けして洗浄及び/またはメッキ処理を行なったとき、洗浄液、メッキ液の液切れがよくなる。即ち、凸部12及び凸部6及び凸部7は、複数に分割すると分割された位置によって洗浄液、メッキ液の液切れを良くすることができる。
【0032】
被搬送物4をキャリアテープ1に取り付け、キャリアテープ1から取り外すには、図8及び図9に示すように行なうことができる。
まず、テープ本体1の凸部12の位置決め部12aの載置面8bに、被搬送物4の一部を当接させ、徐々に被搬送物4を凸部6及び凸部7の位置決め壁面6a,7aに装着位置を移動させる。この位置決め壁面6a,7aに接触する直前に、開口孔9の両側に配設した係止部11a,11bに被搬送物4の両側が当接する。このとき、被搬送物4の端子部41の両側は、係止部11a,11b及び立上片10a、10bを広げる方向に移動させ装着する。そして、被搬送物4を凸部6,7の位置決め壁面6a,7aに移動させながら挿着すると、被搬送物4が凸部6,7,12によって、テープ本体1の平面方向への移動を規制し、また、被搬送物4の端子部41の両側が係止部11a,11bの端部で押圧され、テープ本体1の面の垂直方向への移動もできない状態となる。
即ち、被搬送物4が係止部11a,11bの端部の下方に落とし込まれ、その結果、前記端子部41と係止部11a,11bの端部を所定の間隔をおいて、または所定の間隔をおくことなく弾接して、係止部11a,11bの端部を位置させることができる。
【0033】
このように、帯板状の樹脂テープからなるテープ本体1は、被搬送物4がテープ本体1に設けられている凸部6及び凸部7、凸部12で位置決めされ、かつ、係止部11a,11bによってテープ本体1に係止され、この状態でテープ本体1に被搬送物4を取り付けたまま、被搬送物4を洗浄したり、メッキしたり、また、被搬送物4に他の部品を取り付けたりすることができ、キャリアテープに被搬送物4を取り付けたまま連続して被搬送物4を加工処理することができ、被搬送物4の加工処理工程を省力化させて、効率良く作業を行なうことができる。
【0034】
本実施の形態1のキャリアテープに被搬送物4を取り付ける場合には、治具を用いて行なうこともできる。
図10は被搬送物を取り付ける際の作業説明図で、図11は本発明の実施の形態1のキャリアテープに被搬送物を取り付ける際の他の作業説明図である。
図10に示す治具60には、上方へ突出して押圧部材61a,61bが一体形成されており、この治具60をテープ本体1の開口孔9に下側から押し込むと、押圧部材61a,61bに押されて立上片10a,10bが開口孔9の外側に起立状態となり、係止部11a,11b間の間隔が広がるため、この状態で被搬送物4を上方から開口孔9上に落とし込んで、被搬送物4を取り付けることができ、治具60を下方側へ抜き取ると、立上片10a,10bが開口孔9側へ向けて傾斜し、係止部11a,llbにより被搬送物4はテープ本体1に係止される。
【0035】
また、図11に示すロボットのアーム等からなる治具60には、下方へ突出して押圧する押圧部62a,62b、被搬送物4を引っ掛ける把持部63a,63bが一体に形成されている。この治具60の押圧部62a,62bをテープ本体1の開口孔9に上側から押し込むと、押圧部材62a,62bに押されて係止部11a,11bが開口孔9の外側に押され、係止部11a,11b間の間隔が広がる。この状態で被搬送物4を上方から開口孔9上に落とし込んで、被搬送物4をテープ本体1に取り付けることができる。
また、この治具60の押圧部62a,62bをテープ本体1の開口孔9に上側から押し込むと、押圧部材62a,62bに押されて係止部11a,11bが開口孔9の外側に押され、係止部11a,11b間の間隔が広がる。この状態で被搬送物4を引っ掛ける把持部63a,63bが被搬送物4を把持し、治具60を上方側へ抜き取ると、係止部11a,11bの影響を受けることなく、被搬送物4は把持部63a,63bで取り出すことができる。
【0036】
本実施の形態の被搬送物4は、キャリアテープの長さ方向、即ち、送り方向に所定間隔で取り付け、取り付けた状態で被搬送物4を洗浄工程で洗浄し、その後、メッキ工程でメッキを施し、その後、組み立て工程で図3のように電線50を組み付けることができる。また、図3のように電線50を組み付けた状態で、被搬送物4を完成品としてキャリアテープから取り外すことができる。このように、本実施の形態の被搬送物4は、キャリアテープに取り付けたままの状態で洗浄、メッキ、組み付け工程を連続して行なうことができる。
【0037】
前記洗浄工程及びメッキ工程は、キャリアテープを順次長さ方向に送りながら行なうこともでき、また、図1に示す巻取リール3に巻き取った状態で、そのまま洗浄槽またはメッキ槽にドブ漬けして洗浄及び/またはメッキ処理を行なうことができ、多数の被搬送物4をキャリアテープに取り付けた状態で大量にメッキ処理等を行なうことができる。
【0038】
また、前記組み付け工程では、図3のように、電線50を連結部42に組み付けるカシメ工程を、キャリアテープを送りながら順次連続して行なうことができる。更には、キャリアテープを送りながら、被搬送物4にナット等をスポット溶接で取り付けてゆくこともでき、キャリアテープに被搬送物4を取り付けたままの状態で連続して行なうことができる。
【0039】
このようにして、キャリアテープの送り方向に所定間隔で多数の被搬送物4を取り付けておき、この被搬送物4の取付状態では、被搬送物4の連結部42はキャリアテープの外側へ配置されており、また、開口孔9の部分では被搬送物4の端子部41の表側のみならず裏側も露出した状態となっているから、このような状態で洗浄槽或いはメッキ槽内に浸漬されると、連結部42及び端子部41を良好に洗浄或いはメッキすることができ、キャリアテープの載置面8a,8bにも上下に貫通する開口孔9等を開けておけば、被搬送物4の全周を良好にメッキすることができる。
【0040】
また、キャリアテープに被搬送物4を取り付けたままで、図3に示すように、電線50を連結部42に嵌め込んで、カシメ片42b,42bをカシメ作業することができる。なお、キャリアテープの凸部6,7,12の高さをある程度高く設定しておけば、キャリアテープに被搬送物4を多数取り付けたままで、図1のように巻取リール3に良好に巻き取ることができるものとなり、この巻取リール3に巻き取った状態で、そのままメッキ槽等にドブ漬けして、メッキ処理等を同時に大量に行なうことができる。勿論、洗浄についても同様である。
【0041】
キャリアテープの載置面8a,8bにも上下に貫通して複数の開口孔9を形成させても良い。このように載置面8a,8bにも開口孔9を形成させれば、より被搬送物4の露出面積が大となり、キャリアテープに被搬送物4を取り付けたままの状態で洗浄槽に通して、洗浄液を被搬送物4の外周に浸透させて良好に被搬送物4を洗浄することができ、また、メッキ槽内にキャリアテープを送り込んで、キャリアテープに保持された被搬送物4の外周にメッキ液を浸透させて、良好に連続して被搬送物4をメッキすることができるものとなる。
【0042】
即ち、キャリアテープのテープ本体1をリール3に巻いた状態で、メッキ液に浸漬したとき、被搬送物4の周囲の液回りをよくし、かつ、テープ本体1及び被搬送物4からの液切れをよくしたものであるから、メッキ槽に入れてメッキする場合及びメッキ槽から出してメッキ液を液切りする場合に、略同時に全体の被搬送物4に対してメッキ液を浸けたり、液切りすることができる。勿論、連続してキャリアテープを洗浄槽に通して良好に被搬送物を洗浄することもできる。
【0043】
本実施の形態のメッキ処理は、ドブ漬けのメッキ装置であっても良いが、図示しない電源の供給、即ち、キャリアテープの送り方向に沿って電極を配置させておき、この電極にキャリアテープの幅方向外側へ突出する被搬送物4のカシメ片42bの端面が接触するように配置しておけば、電極にカシメ片42bが接触して良好に被搬送物4に通電させることができる。または、被搬送物4の何れかの位置に接触するように配置しておけば、電極から被搬送物4に通電させることができる。これによって、良好に電気メッキを被搬送物4に施すことができ、被搬送物4をキャリアテープに取り付けたままの状態で連続して洗浄槽、メッキ槽内に通して、洗浄、メッキを良好に行なうことができる。
【0044】
また、上記実施の形態の左右の立上片10a,10bは、図10に示すように、傾斜状に長い寸法に形成させておけば、前後側のそれぞれの係止部11a,11b間の間隔を狭く設定することができ、そのため被搬送物4が小さいものであっても確実に一対の係止部11a,11bで脱落を防ぐことができる。特に、小径のリール3にキャリアテープが巻かれる場合には、キャリアテープがかなり彎曲して被搬送物4が脱落しやすくなるが、立上片10a,10bを長く設定しておけば、リール3に巻かれてキャリアテープが彎曲したときにも確実に被搬送物4の脱落を防ぐことができるものとなる。
【0045】
即ち、リール3に巻かれてキャリアテープが彎曲したときの状態は図12(リール3は図示せず)のようになる。
図12は本発明の実施の形態1のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態で巻回した要部断面図である。
図12において、テープ本体1がリール3に巻かれた時には巻き付け圧力により下層側に押圧力が加わるが、前述したように、凸部6,7,12の高さ寸法は立上片10a,10bの上端高さよりも高い寸法に設定されているため、巻き付け圧力はこの凸部6,7,12に加わり、係止部11a,11bには押圧力は加わらないために、リール3に巻いた状態でも係止部11a,11bにより被搬送物4が押し付けられることはなく、被搬送物4の取付状態でテープ本体1がリール3に巻かれても、ある程度の被搬送物4の横移動及び上下移動は許容された状態に維持されるため、テープ本体1をリール3に巻き取った状態のまま洗浄槽或いはメッキ槽内に入れても、被搬送物4の回りに洗浄液或いはメッキ液が良好に浸透されて、被搬送物4の全周を良好にメッキ処理することができるものとなる。
【0046】
このように、テープ本体1をリール3に巻いた状態で、メッキ液に浸漬したとき、被搬送物4の周りの液回りをよくし、かつ、テープ本体1及び被搬送物4からの液切れをよくした構造とすることにより、メッキ槽に入れてメッキする場合及びメッキ槽から出してメッキ液を液切りする場合、略同時に全体の被搬送物4に対してメッキ液を浸けたり、液切りすることができる。勿論、連続してキャリアテープを洗浄槽に通して良好に被搬送物4を洗浄することもできる。
[実施の形態2]
【0047】
図13は本発明の実施の形態2のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の表側の要部斜視図である。
本実施の形態のキャリアテープは、上記実施の形態の左右の立上片10a,10bから折曲形成されている係止部11a,11bの開放端部にジグザグの端部11A及び端部11Bを形成している。ジグザグの端部11A及び端部11Bは、被搬送物4を弾接する圧力を所定の値に均一化することができ、また、被搬送物4に接触する面積を少なくし、かつ、キャリアテープの移動中にその圧力変化によって、ジグザグの端部11A及び端部11Bが部分的に接触圧を搬送と共に変化させ、メッキ液、洗浄液の回り込み及び液切れを良くすることができる。
[実施の形態3]
【0048】
図14は本発明の実施の形態3のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の表側の要部斜視図である。
本実施の形態のキャリアテープは、上記実施の形態の左右の立上片10a,10bから折曲形成されている係止部11a,11bの開放端部に弧状の端部11C及び端部11Dを形成している。弧状の端部11C及び端部11Dは、被搬送物4を弾接する圧力を所定の値に均一化することができ、また、被搬送物4に接触する面積を少なくし、かつ、キャリアテープの移動中にその圧力変化によって、弧状の端部11C及び端部11Dが部分的に接触圧を搬送と共に変化させ、メッキ液、洗浄液の回り込み及び液切れを良くすることができる。
【0049】
また、テープ本体1の凸部12の内側のコの字状に切り欠いた位置決め部12aには、略半球状の突起からなる係止部12A及び係止部12Bが形成されており、被搬送物4を固定している。即ち、被搬送物4を載置面8bと係止部12A及び係止部12Bとの間で挟持している。この種の略半球状の突起からなる係止部12A及び係止部12Bを使用すると、被搬送物4の装着と取り外しが外力のみで操作可能となる。略半球状の突起からなる係止部12A及び係止部12Bは、凸部12の内側のコの字状に切り欠いた位置決め部12aの面によって弾性が付与されている。したがって、係止部12A及び係止部12Bは、全体的に弾性機能を有することから、後述する弾性部とすることができる。
[実施の形態4]
【0050】
図15は本発明の実施の形態4のキャリアテープに被搬送物を取り付ける際の他の作業説明図である。
【0051】
左右の立上片10a,10bから折曲形成されている係止部11a,11bの開放端部に略L字状の受部11aa及び受部11bbを形成し、かつ、受部11aa、受部11bbの上面から被搬送物4の厚みの位置に、略半球状の突起からなる係止部12E及び係止部12Fを形成し、受部11aaと係止部12E相互間及び受部11bbと係止部12F相互間で被搬送物4の両端部を挟持し、かつ、係止部11a,11bとの間で弾接することにより、位置決めすることができる。略半球状の突起からなる係止部12E及び係止部12Fは、左右の立上片10a,10bから折曲形成されている係止部11a,11bの面によって弾性が付与されている。したがって、受部11aa及び受部11bbと係止部12E及び係止部12Fは、全体的に弾性機能を有することから、後述する弾性部とすることができる。
【0052】
図15に示すロボットのアーム等からなる治具60には、下方へ突出して押圧する押圧部64a,64bが一体に形成されている。この治具60の押圧部64a,64bをテープ本体1の開口孔9に上側から押し込むと、押圧部材64a,64bに押されて係止部11a,11bが開口孔9の外側に押され、係止部11a,11b間の間隔が広がる。この状態で被搬送物4を上方から開口孔9上に更に押圧すると、受部11aaと受部11bb相互間が開き、被搬送物4の両端部の挟持状態が開放されるから、被搬送物4をテープ本体1から落下させることができる。また、治具60を電磁石とすることにより、係止部12E及び係止部12F間から被搬送物4の挟持を解除し、被搬送物4をテープ本体1から取り外すことができる。
【0053】
また、この治具60の押圧部64a,64bをテープ本体1の開口孔9の下側から押圧すると、押圧部材64a,64bに押されて、被搬送物4と係止部12E相互間及び係止部12F相互間の係合が開放され、受部11aaと受部11bbの影響を受けることなく、被搬送物4を取り出すことができる。
【0054】
このように、キャリアテープに被搬送物4を取り付ける位置、及び取り出す位置に、上下動する治具60を設け、治具60を上動させて立上片10a,10bを起立状態にさせ、または係止部11a,11bの間隔を大にし、良好に被搬送物4をテープ本体1に取り付け、取り外すことができる。
【0055】
上記実施の形態の被搬送物4は、複雑形状のものの事例で説明したが、他の形状の被搬送物4においても、被搬送物4をテープ本体1に係止できる係止部11a,11bと、被搬送物4を位置決めできる凸部6,7,12と、被搬送物4が取り付けられた状態で被搬送物4を露出させる開口孔9を備えることで、良好に被搬送物4を取り付けた状態のまま洗浄、メッキ、組み付けを連続して行なうことができる。更に、端子部41や連結部42等にナット等をスポット溶接する作業も、テープ本体1に被搬送物4を取り付けたままの状態で連続して行なうことができる。
[実施の形態5]
【0056】
図16は本発明の実施の形態5のキャリアテープの概略構成図であり、図17は本発明の実施の形態5のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の図16の切断線X−Xによる断面図である。
図16において、本発明の実施の形態5のキャリアテープは、帯板状の樹脂テープで構成されており、2列に形成された所定のピッチで連続する送り孔5を複数のスプロケット2の回転によって順次送られて、巻取リール3に巻き取られるものである。また、スプロケット2を回転させることなく巻取リール3側を回転させて、直接巻取リール3に巻き取ることもできる。
【0057】
キャリアテープは、その全体を構成する合成樹脂性のテープ本体1の幅方向一端側に、その長さ方向に所定間隔で所定のピッチで連続する2列の送り孔5が形成されており、この送り孔5内に前述した送りスプロケット2の歯が嵌まり込んで、送りスプロケット2の回転によりキャリアテープがその長さ方向に順次送られる。
【0058】
テープ本体1に形成されている被搬送物4の取付部分は、図16の表面側に突出して、対称(中心線の線対称、点対称)位置に4個の凸部72が一体に形成されている。この凸部72には、被搬送物4の一部を受ける載置面78が形成されている。この載置面78の内側には、貫通する開口孔9が形成されており、この4個の凸部72の開口孔9側には、弾性変形が容易な受け面72aが形成されている。
【0059】
テープ本体1の両側に形成されている凸部72と凸部72との間には、係止部74が形成されている。係止部74の先端部は、開口孔9の開口端よりも内方にわずかに突出して、その上面を押圧しているから、被搬送物4の係止を可能にしている。開口孔9の形状・大きさは、テープ本体1の上に被搬送物4を所定の位置に載置し、かつ、テープ本体1から被搬送物4を脱落させることなく、所定の加工機に搬送し、更に、所定位置で機械加工することができる程度となっている。
【0060】
また、被搬送物4をテープ本体1に形成されている4個の凸部72から取り外す場合には、少なくとも被搬送物4をその背後から上方に押し上げて係止部74を撓ませる。更に、必要に応じてテープ本体1をその長さ方向に対して直角方向に彎曲させる操作を加える。勿論、巻回したキャリアテープに被搬送物4を取り付けたままの状態で洗浄、メッキ、組み付け工程を連続して行なう場合には、テープ本体1に対して内径側に被搬送物4を取り付け、被搬送物4を巻き込むように巻回すると、容易に被搬送物4が落下することがない。また、逆に、巻回したキャリアテープから被搬送物4を取り外す場合には、テープ本体1に対して外形側に被搬送物4が位置するように彎曲させると、容易に被搬送物4が取り出せることになる。
【0061】
本実施の形態では、被搬送物4は、図16の斜視図で示すような円板部品である。被搬送物4は、キャリアテープの長さ方向、即ち、送り方向に所定間隔で取り付け、取り付けた状態で被搬送物4を洗浄工程で洗浄し、その後、メッキ工程でメッキを施し、その後、組み立て工程で他の部品と共に組み付けられるものである。そして、図16のように被搬送物4を組み付けた状態で、被搬送物4を完成品としてキャリアテープから取り外すことができる。このように、本実施の形態の被搬送物4は、キャリアテープに取り付けたままの状態で洗浄、メッキ、組み付け工程、プレス加工工程等を連続して行なうことができる。
【0062】
即ち、帯板状の樹脂テープからなるテープ本体1は、被搬送物4がテープ本体1に設けられている4個の凸部72で位置決めされ、かつ、弾性変形が容易な弾性部72aによってテープ本体1に係止され、この状態でテープ本体1に被搬送物4を取り付けたまま、被搬送物4を洗浄したり、メッキしたり、また、被搬送物4に他の部品を取り付けたりすることができ、キャリアテープに被搬送物4を取り付けたまま連続して被搬送物4を加工処理することができ、被搬送物4の加工処理工程を省力化させて、効率良く作業を行なうことができる。
[実施の形態6]
【0063】
図18は本発明の実施の形態6のプレス加工におけるキャリアテープの概略構成図である。図18(a)はプレス加工前、(b)はプレス加工、(c)はプレス加工後を示すものである。
図18において、被搬送物4は、図16に示すように、テープ本体1に設けられている4個の凸部72で位置決めされ、係止部74がその上面を押圧している。これによって、被搬送物4をテープ本体1の面方向の移動及びその直角方向の移動を拘束している。被搬送物4を所定のピッチで取り付けたテープ本体1は、所定のピッチで連続する2列の送り孔5によって所定のタイミングで搬送される。
【0064】
プレス加工機100は、突起80aを有する上型80と突起80aに対応する図示しない凹部を有する下型90を有し、両者間で被搬送物4に下に凸を形成している。下型90の形状は、被搬送物4の開口孔9の形状より小さく形成され、プレス加工位置では、被搬送物4の下面に下型90が直接受けるようになっている。即ち、プレス加工位置では、被搬送物4の下面と下型90との間にテープ本体1の一部が介在することなく、プレス加工するようになっている。
【0065】
このように、本発明の実施の形態のキャリアテープは、帯板状の樹脂テープで構成されており、帯板状の樹脂製のテープ本体1に搬送しようとする被搬送物4を所定のピッチで4個の凸部72によって位置決めし、テープ本体1の被搬送物4の位置決め位置で、被搬送物4をテープ本体1の面方向の移動及びその直角方向の移動を拘束して突起80aを有する上型80及び突起80aに対応する図示しない凹部を有する下型90を具備するプレス加工機100まで搬送し、そして、プレス加工機100でテープ本体1による被搬送物4の搬送を停止し、テープ本体1に被搬送物4を取り付けた状態でプレス加工を行い、次の工程に搬送するものであり、被搬送物の加工方法として捉えることができる。
【0066】
したがって、帯板状の樹脂製のテープ本体1に搬送しようとする被搬送物4を所定のピッチで位置決めし、その位置決め位置で被搬送物4をテープ本体1の面方向の移動及びその直角方向の移動を拘束してプレス加工機100まで搬送し、その搬送を停止し、テープ本体1に被搬送物4を取り付けた状態でプレス加工を行い、次の工程に搬送するものであるから、プレス加工する部品を正確なタイミンングでプレス位置に搬送できるから加工精度のよいプレス加工が可能となる。また、搬送タイミングが均一化できるからプレスの上型80及び下型90からなる金型の移動距離に無駄がないストローク動作が可能である。そして、昼夜の無人加工を行なうことができる。
したがって、テープ本体1に被搬送物4を取り付けたまま連続して被搬送物4を加工処理することができ、被搬送物4の加工処理工程を省力化させ、効率の良い作業を行なうことができる。また、単に、プレス加工工程のみではなく、洗浄、メッキ、組み付け工程等、必要に応じて複数の工程で、被搬送物4をテープ本体1に取り付けた状態で使用することができる。
【0067】
更に、テープ本体1に取り付けた前記被搬送物4は、前記プレス加工部分を前記テープ本体1から露出する構造とし、前記被搬送物4のプレス加工部分以外で拘束のための係止を行なうものであるから、プレス加工部分をテープ本体1から露出する構造は、金型間にテープ本体1が弾性体となって介在することなくプレスできるので、精度よく、かつ、無駄のない加圧力によってプレス加工を行なうことができる。
【0068】
上記実施の形態のキャリアテープは、帯板状の樹脂テープからなるテープ本体1と、テープ本体1に搬送しようとする被搬送物4を位置決めする所定のピッチで繰り返し形成された凸部6,7,12,72と、テープ本体1に設けられた凸部6.7.12,72による被搬送物4の位置決め位置であり、取り付けを行なう係止部11または弾性部72aからなる取付部で被搬送物4を係止状態とし、外力によってその係止状態を解除可能な係止部11または弾性部72aからなる取付部と、テープ本体1に設けられた凸部6,7,12による被搬送物4の位置決め位置にあり、かつ、被搬送物4が係止状態にあるとき、被搬送物4を部分的に露出させるテープ本体1に設けられた開口孔9を具備するものである。
【0069】
搬送しようとする被搬送物4をテープ本体1に位置決めする所定のピッチで繰り返し形成された凸部6,7,12,72と、そのテープ本体1の係止部11または弾性部72aからなる取付部で被搬送物4を係止状態とし、外力によってその係止状態を解除すると共に、被搬送物4が係止状態にあるとき前記被搬送物4をテープ本体1に設けられた開口孔9から部分的に露出させるものである。
【0070】
したがって、被搬送物4はキャリアテープに設けられている凸部6,7,12,72で位置決めされ、かつ、キャリアテープに係止部11または弾性部72aからなる取付部で係止され、この状態でキャリアテープに被搬送物4を取り付けたまま、被搬送物4を洗浄したり、メッキしたり、また、被搬送物4に他の部品を取り付けたりする作業ができ、キャリアテープに被搬送物4を取り付けたまま連続して被搬送物4を加工処理することができ、被搬送物4の加工処理工程を省力化させ、効率良く作業を行なうことができる。
ここで、係止部11または弾性部72aからなる取付部は、直接、被搬送物4をテープ本体1に位置決めする凸部6,7,12,72を使用してもよいし、係止部11のように別に形成してもよい。
【0071】
また、上記実施の形態のキャリアテープは、テープ本体1をリール3に巻いたとき、巻き付ける力の影響によって係止部11または弾性部72aからなる取付部が被搬送物4との係止状態を解除することのない高さ寸法及び形状に凸部6,7,12,72が設定されているものである。
したがって、テープ本体1が小径のリール3に巻かれて彎曲したような場合でも、確実に被搬送物4を係止部11または弾性部72aからなる取付部で係止させてテープ本体1からの脱落を防止することができる。
【0072】
そして、上記実施の形態のキャリアテープは、被搬送物4を位置決めする凸部6,7,12,72は、凸部6,7,12,72が複数に分割されているものである。
したがって、凸部6,7,12,72で被搬送物4が位置決めされ、被搬送物4は表面が露出した状態となり、また、テープ本体1の開口孔9の部分でも被搬送物4が露出した状態となっており、被搬送物4の周囲をとりまく流体の循環効率がよくなるから、被搬送物4をテープ本体1に取り付けたままでメッキ槽内に浸漬させてメッキを行なうことができ、また、テープ本体1に被搬送物4を取り付けたままで他の部品を被搬送物4に溶接等を行なうことができる。
【0073】
上記実施の形態のキャリアテープは、被搬送物4を係止状態とする係止部11は、係止部11が開口孔9の両側に形成した立上片10の端部に形成されているものである。
したがって、凸部6,7,12,72で被搬送物4が位置決めされ、被搬送物4は表面が露出した状態となり、また、テープ本体1の開口孔9の部分でも被搬送物4が露出した状態となっており、被搬送物4の周囲をとりまく流体の循環効率がよくなるから、被搬送物4をテープ本体1に取り付けたままでメッキ槽内に浸漬させてメッキを行なうことができ、また、テープ本体1に被搬送物4を取り付けたままで他の部品を被搬送物4に溶接等を行なうことができる。
【0074】
上記実施の形態のキャリアテープは、被搬送物4を係止状態とする係止部11は、立上片10の端部に形成され、開口孔9の両側の係止部11の相対距離を離す治具60により、係止部11による被搬送物4の係止状態を解除するものである。したがって、係止部11を治具60で解除させ、被搬送物4を開放できるから、被搬送物4をキャリアテープに取り付ける際、治具60を用いることなく、被搬送物4を取り付けることができ、かつ、キャリアテープから被搬送物4を取り出す際、治具60によって被搬送物4を係止部11から容易に開放することができるから、被搬送物4をキャリアテープから取り出すことができる。
【0075】
上記実施の形態のキャリアテープの係止部11は、立上片10の端部の位置に、前記テープ本体1に平行して形成されたものである。したがって、凸部6,7,12,72の側部の弾性によって被搬送物4を取り付けるものであるから、簡単な構造で被搬送物4を取り付けるものであるから、その取り付け及び取り外し作業が単純化できる。
【0076】
上記実施の形態のキャリアテープは、テープ本体1をリール3に巻いた状態で、メッキ液に浸漬したとき、被搬送物4の周りの液回りをよくし、かつ、テープ本体1及び被搬送物4からの液切れをよくした構造としたものである。
したがって、メッキ槽に入れてメッキする場合及びメッキ槽から出してメッキ液を液切りする場合に、略同時に全体の被搬送物4に対してメッキ液に浸けたり、それを液切りすることができ、均一なメツキ層を形成できる。勿論、連続してキャリアテープを洗浄槽に通して良好に被搬送物4を洗浄することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は本発明の実施の形態1のキャリアテープの全体の移動を示す概略構成図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1のキャリアテープで搬送する被搬送物の一例を示す斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1のキャリアテープで搬送する被搬送物にワイヤーコードをカシメ組み付けた状態の斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1のキャリアテープの表側の上面から見た斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1のキャリアテープの裏面側の下面から見た斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1のキャリアテープの要部を拡大して示す表側からの斜視図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1のキャリアテープの要部を拡大して示す裏側からの斜視図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の表側の要部斜視図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の裏側の要部斜視図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態1のキャリアテープに被搬送物を取り付ける際の作業説明図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態1のキャリアテープに被搬送物を取り付ける際の他の作業説明図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態1のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態で巻回した要部断面図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態2のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の表側の要部斜視図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態3のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の表側の要部斜視図である。
【図15】図15は本発明の実施の形態4のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の表側の要部斜視図である。
【図16】図16は本発明の実施の形態5のキャリアテープの全体の概略構成図である。 図16は本発明の実施の形態5のキャリアテープの概略構成図である。
【図17】図17は本発明の実施の形態5のキャリアテープに被搬送物を取り付けた状態の図16の切断線X−Xによる断面図である。
【図18】図18は本発明の実施の形態6のプレス加工におけるキャリアテープの概略構成図である。
【符号の説明】
【0078】
1 テープ本体
3 リール
4 被搬送物
5 送り孔
9 開口孔
10 立上片
11 係止部(取付部)
6,7,12,72 凸部
60 治具
72a 弾性部(取付部)
80 上型
90 下型
100 プレス加工機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板状の樹脂製のテープ本体と、
搬送しようとする被搬送物を、所定のピッチで前記テープ本体に対して繰り返しの位置決め位置となる凸部と、
前記テープ本体に設けられた前記凸部による前記被搬送物の位置決め位置で前記被搬送物を係止状態とし、外力によってその係止状態を解除可能な取付部と、
前記被搬送物が前記テープ本体の前記取付部にあり、かつ、係止状態にあるとき、前記被搬送物を部分的に露出させる前記テープ本体に設けられた開口孔と
を具備することを特徴とするキャリアテープ。
【請求項2】
前記テープ本体をリールに巻き付けたとき、前記巻き付ける力の影響によって前記取付部が前記被搬送物との係止状態を解除することのない高さ寸法及び形状に前記凸部が設定されていることを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープ。
【請求項3】
前記被搬送物を位置決めする前記凸部は、前記凸部が複数に分割されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャリアテープ。
【請求項4】
前記被搬送物を係止状態とする前記取付部は、前記開口孔の両側に形成した立上片の端部に形成された前記被搬送物に当接する前記係止部としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のキャリアテープ。
【請求項5】
前記被搬送物を係止状態とする前記取付部は、前記立上片の端部に形成された前記係止部の相対距離を離す治具により、前記係止部による前記被搬送物の係止状態を解除することを特徴とする請求項4に記載のキャリアテープ。
【請求項6】
前記被搬送物を係止状態とする前記取付部は、前記被搬送物を位置決めする前記凸部の側部の弾性部としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のキャリアテープ。
【請求項7】
前記テープ本体をリールに巻き付けた状態で、メッキ液に浸漬したとき、前記被搬送物の周囲の液回りをよくし、かつ、前記テープ本体及び前記被搬送物からの液切れをよくした構造としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のキャリアテープ。
【請求項8】
帯板状の樹脂製のテープ本体に搬送しようとする被搬送物を所定のピッチで位置決めし、
前記テープ本体の前記被搬送物の位置決め位置で、前記被搬送物を前記テープ本体の面方向の移動及びその直角方向の移動を拘束してプレス加工機まで搬送し、
そして、前記プレス加工機で前記テープ本体による前記被搬送物の搬送を停止し、
前記テープ本体に前記被搬送物を取り付けた状態でプレス加工を行い、次の工程に搬送することを特徴とする被搬送物の加工方法。
【請求項9】
前記テープ本体に取り付けた前記被搬送物は、前記プレス加工部分を前記テープ本体から露出する構造とし、前記被搬送物のプレス加工部分以外で拘束のための係止を行なうことを特徴とする請求項8に記載の被搬送物の加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−19002(P2008−19002A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302958(P2006−302958)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(592256140)兼子電機株式会社 (15)
【Fターム(参考)】