説明

キャリア及びこれを用いた現像剤、画像形成方法、プロセスカートリッジ

【課題】キャリア付着の発生が少なく、画像濃度が高く、粒状性が良好で、長期に亘って安定した帯電付与能力を有することが可能なキャリアを提供し、さらに、該キャリアを用いた現像剤、画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】磁性を有する芯材粒子の表面にシリコーン樹脂を含有する被覆層を持つキャリアであり、該キャリアの印加電圧250(V/mm)における抵抗率が、1×108(Ω・cm)〜1×1017(Ω・cm)であり、該芯材粒子の磁場1000Oeにおける磁化の強さσ1000が55(emu/g)〜150(emu/g)であるキャリアにおいて、該芯材粒子の磁場500Oe、250Oeにおける磁化の強さをσ500、σ250、及び残留磁化をσrとしたとき、
【数1】


であることを特徴とするキャリア。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電子写真の現像方式には、トナーのみを主成分とする、いわゆる一成分系現像方式と、ガラスビーズ、磁性体キャリア又はそれらの表面を樹脂等で被覆したコートキャリアと、トナーを混合して使用する二成分系現像方式がある。
二成分系現像方式は、キャリアを使用することから、トナーに対する摩擦帯電面積が広いため、一成分系現像方式に比較して、帯電特性が安定しており、長期に亘って高画質を維持するのに有利である。また、現像領域へのトナー供給量能力が高いことから、特に高速機に使用されることが多い。
レーザービーム等で感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を顕像化する、いわゆるデジタル方式の電子写真システムにおいても、前述の特徴を活かした二成分系現像方式が広く採用されている。
【0002】
近年、解像度アップ、ハイライト再現性の向上、画像の粒状性(ザラツキ)の改良、カラー化等に対応するため、潜像の最小単位(1ドット)の極小化、高密度化が図られており、特に、これらの潜像(ドット)を、忠実に現像できる現像システムが重要な課題となっており、プロセス条件、現像剤(トナー、キャリア)両面から種々の提案がなされている。
プロセス面では、現像ギャップの近接化、感光体の薄膜化、また、書き込みビーム径の小径化等が有効であるが、コストが高くなること、また、信頼性等の点で依然大きな課題がある。
現像剤の面からは、トナーの小粒径化、キャリアの小粒径化が検討されており、小粒径キャリアの使用について種々提案されている。
【0003】
特許文献1には、スピネル構造をもつフェライト粒子からなる、平均粒径が30μm未満の磁性キャリアが開示されている。しかしながら、樹脂が被覆されていないキャリアであって、低い現像電界のもとで使用するものであり、現像能力に乏しく、寿命が短い。
【0004】
特許文献2には、キャリア粒子を有する電子写真用キャリアにおいて、該キャリアは、50%平均粒径(D50)15〜45μmを有し、該キャリアは、22μmより小さいキャリア粒子を1〜20%含有しており、16μmより小さいキャリア粒子を3%以下含有しており、62μm以上のキャリア粒子を2〜15%含有しており、かつ88μm以上のキャリア粒子を2%以下含有しており、該キャリアは、空気透過法によって測定される該キャリアの比表面積S1と、下記式
2=(6/ρ・D50)×104(ρ:キャリアの比重)
によって算出される該キャリアの比表面積S2とが下記条件
1.2≦S1/S2≦2.0
を満たすことを特徴とする電子写真用キャリアが開示されている。
【0005】
この小粒径キャリアを使用する場合には、次のような利点が得られる。
(1)単位体積当たりの表面積が大きいため、個々のトナーに充分な摩擦帯電を与えることができ、低帯電量トナー、逆帯電量トナーの発生が少ない。その結果、地汚れが発生しにくくなり、また、ドット周辺のトナーのちり、にじみが少なくドット再現性が良好となる。
(2)単位体積当たりの表面積が大きく、地汚れが発生しにくいことから、トナーの平均帯電量を低くすることができ、充分な画像濃度が得られる。従って、小粒径キャリアは、小粒径トナー使用時の不具合を補うことが可能であり、小粒径トナーの利点を引き出すのに特に有効である。
(3)小粒径キャリアは、緻密な磁気ブラシを形成し、かつ穂の流動性が良いため、画像に穂跡が発生しにくい。
【0006】
しかしながら、従来の小粒径キャリアは、キャリア付着が発生しやすいという問題があり、感光体の傷や定着ローラー傷の発生原因となっているため、実用化が難しい。
特に、重量平均粒径が30μmより小さいキャリアを用いると、ざらつきが大幅に改良され高画質となるが、キャリア付着が非常に起こりやすく、長期間に亘って、高画質を維持できないという問題がある。
【0007】
即ち、キャリア付着は、次式条件になったときに、キャリア又は切断された磁気ブラシの形態で付着する。
Fm<Fc(ただし、Fm:磁気束縛力、Fc:キャリア付着を引き起こす力)
磁気束縛力は
Fm=k×(キャリアの磁気モーメント)×(磁気の傾き)
で表される。ここで、
(キャリアの磁気モーメント)=(質量)×(磁化)=(4/3)π・r3・ρ×M
である。(r:キャリアの半径、ρ:キャリアの真比重)
【0008】
上記のように、キャリアの磁気モーメントは、r3に比例するから、キャリアの小粒径化に伴って急激に小さくなる。
キャリア付着を引き起こす力Fcは、現像ポテンシャル、地肌ポテンシャル、キャリアにかかる遠心力、キャリア抵抗及び現像剤帯電量に関連している。したがって、キャリア付着を防止するためには、Fcを小さくするように各パラメーターを設定することが有効であるが、現像能力、地汚れ、トナー飛散等と密接に関係するため、大幅に変えることは難しいのが現状である。
【0009】
一方、現像剤としては、小粒径トナーの使用により、ドットの再現性が大幅に改良される。しかし、小粒径トナーを含む現像剤には、地汚れの発生、画像濃度の不足等の解決すべき課題が残っている。また、小粒径のフルカラートナーの場合、十分な色調を得るため、低軟化点の樹脂が使用されるが、黒トナーの場合に比べて、キャリア表面の汚染(スペント)が多くなり、現像剤が劣化して、トナー飛散及び地肌汚れが起こりやすくなる。
さらに、プリント速度の高速化も相まって、キャリアの耐久性、キャリアの表面のスペントを防ぎながら、長期間に亘って安定した帯電付与能力を有することが、重要になっている。
【特許文献1】特開昭58−144839号公報
【特許文献2】特許第3029180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、キャリア付着の発生が少なく、画像濃度が高く、粒状性が良好で、長期に亘って安定した帯電付与能力を有することが可能なキャリアを提供することを目的とする。さらに、該キャリアを用いた現像剤、画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、
磁性を有する芯材粒子及び該芯材粒子の表面にシリコーン樹脂を含有する被覆層を有するキャリアであり、
該キャリアの印加電圧250(V/mm)における抵抗率が、1×108(Ω・cm)以上1×1017(Ω・cm)以下であり、
該芯材粒子の磁場1000Oeにおける磁化の強さσ1000が55(emu/g)以上150(emu/g)以下であるキャリアにおいて、
該芯材粒子の磁場500Oe、250Oeにおける磁化の強さをσ500、σ250、及び残留磁化をσrとしたとき、
【数1】

であることを特徴とする。これにより、キャリア付着の発生が少なく、画像濃度が高く、長期に亘って安定した帯電付与能力を有することが可能なキャリアを提供することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のキャリアにおいて、前記芯材粒子の粒子密度は、4.5g/cm3以上5.5g/cm3以下であることを特徴とする。これにより、長期に亘って安定した帯電付与能力を有し、キャリア付着の発生が少ないキャリアが得られる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のキャリアにおいて、重量平均粒径が22〜32μmであり、個数平均粒径に対する重量平均粒径の比が1.0以上1.2以下であり、粒径が0.02μm以上20μm以下である粒子の含有量が0重量%以上7重量%以下であり、粒径が0.02μm以上36μm以下である粒子の含有量が90重量%以上100重量%以下であることを特徴とする。これにより、キャリア付着の発生が少なく、画像濃度が高く、粒状性が良好なキャリアが得られる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のキャリアにおいて、前記被覆層は、アミノシランカップリング剤をさらに含有することを特徴とする。これにより、長期に亘って安定した帯電付与能力を有することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のキャリアにおいて、前記被覆層は、硬質粒子をさらに含有することを特徴とする。これにより、被覆層の耐摩耗性を向上させることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のキャリアにおいて、前記硬質粒子は、Siの酸化物からなる粒子、Tiの酸化物からなる粒子及びAlの酸化物からなる粒子の少なくとも一つを含有することを特徴とする。これにより、被覆層の耐摩耗性を向上させることができる。
請求項7に記載の発明は、現像剤において、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のキャリア及びトナーからなることを特徴とする。これにより、長期に亘って安定した高画質画像を形成することが可能な現像剤を提供することができる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、画像形成方法において、少なくとも、表面に静電潜像を担持する感光体と、内部に固定された磁界発生手段を有し、表面上に請求項7に記載の現像剤を担持して回転する非磁性現像スリーブからなる現像剤担持体と、感光体と現像剤担持体との間にDCバイアス現像電界を発生させる現像電界発生手段からなる現像工程と、該感光体上に現像された画像を画像記録媒体に転写する転写工程と、感光体の表面に残存する現像剤を払拭するクリーニング工程を有することを特徴とする。これにより、長期に亘って安定した高画質画像を形成することが可能な画像形成方法を提供することができる。
【0017】
請求項9に記載の発明は、プロセスカートリッジにおいて、感光体及び該感光体の表面に形成された静電潜像を請求項7に記載の現像剤で現像する現像装置を少なくとも一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とする。これにより、長期に亘って安定した高画質画像を形成することが可能なプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、キャリア付着の発生が少なく、画像濃度が高く、粒状性が良好で、長期に亘って安定した帯電付与能力を有することが可能なキャリアを提供することができる。さらに、該キャリアを用いた現像剤、画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
なお、いわゆる当業者は、特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明は、この発明における最良の形態の例であって、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0020】
本発明のキャリアは、磁性を有する芯材粒子と、その表面を被覆するシリコーン樹脂を含有する被覆層からなる。
本発明において、1kOeの磁界を印加したときの芯材粒子の磁化σ1000は、55〜150emu/gであり、60〜75emu/gであることがさらに好ましい。芯材粒子の磁化が55emu/gよりも小さくなると、磁気ブラシの磁気拘束力が弱くなり、キャリア付着が発生しやすくなることがある。なお、キャリア付着は、静電潜像の画像部又は地肌部にキャリアが付着する現象を示す。また芯材粒子の磁化が150emu/gよりも大きくなると、磁気ブラシが硬くなるために、磁気ブラシの穂跡が画像上に出やすくなる。
【0021】
また、該芯材粒子の磁場500Oe、250Oeにおける磁化の強さσ500、σ250、及び残留磁化σrから求められる式(1)
【数2】

の値が0.70以上0.85以下でであることが好ましく、0.70以上0.80以下であることがさらに好ましい。上記値が0.85より大きいと低磁場における芯材粒子に働く磁気拘束力が弱くなり、キャリア付着が発生しやすくなる。また、上記値が0.70より小さいと、現像スリーブ上での現像剤の入れ替わりが悪くなりやすくなったり、現像機内での現像剤攪拌が不充分になりやすくなったりして、画像濃度ムラが出やすくなる。
【0022】
芯材粒子の磁化は、B−HトレーサーBHU−60(理研電子社製)を用いて、以下のようにして測定することができる。円筒のセルに芯材粒子1gを詰めて装置にセットし、磁場を徐々に大きくして、3kOeまで変化させ、次に徐々に小さくして0にした後、反対向きの磁場を徐々に大きくして3kOeとする。さらに、徐々に磁場を小さくして0にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−H曲線を作成し、図より1000Oe、500Oe、250Oeの磁化を算出する。
【0023】
本発明における芯材粒子としては、例えば、鉄、コバルト等の強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト、Mn系フェライト等が挙げられる。
フェライトとは、一般に、一般式
(MO)x(NO)y(Fe23)z
で示される焼結体である。ここで、x、y及びzは、フェライトの組成を表し、M及びNとしては、それぞれ独立に、Ni、Cu、Zn、Li2、Mg、Mn、Sr、Ca等が挙げられ、金属酸化物と酸化鉄(III)との完全混合物から構成されている。
【0024】
本発明において、被覆層を形成する際に用いられるシリコーン樹脂は、一般式
【化1】

で示される繰り返し単位の少なくとも一つを含有することが好ましい。ここで、R1は水素原子、ハロゲン基、ヒドロキシル基、メトキシル基、炭素数1〜4の低級アルキル基又はアリール基(フェニル基、トリル基等)であり、R2は、炭素数1〜4のアルキレン基又はアリーレン基(フェニレン基等)である。
【0025】
アリール基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜14がさらに好ましい。アリール基としては、ベンゼン由来のアリール基(フェニル基)の他、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の縮合多環式芳香族炭化水素由来のアリール基、ビフェニル、ターフェニル等の鎖状多環式芳香族炭化水素由来のアリール基等が包含される。なお、アリール基は、各種の置換基で置換されていてもよい。
アリーレン基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜14がさらに好ましい。アリーレン基としては、ベンゼン由来のアリーレン基(フェニレン基)の他、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の縮合多環式芳香族炭化水素由来のアリーレン基、ビフェニル、ターフェニル等の鎖状多環式芳香族炭化水素由来のアリーレン基等が包含される。なお、アリーレン基は、各種の置換基で置換されていてもよい。
【0026】
本発明においては、被覆層を形成する際に、ストレートシリコーン樹脂を用いることができる。ストレートシリコーン樹脂としては、KR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152(信越化学工業社製)、SR2400、SR2411、SR2406(東レダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられる。
【0027】
また、被覆層を形成する際に、エポキシ変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、フェノール変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、ポリエステル変性シリコーン樹脂、アルキッド変性シリコーン樹脂等の変性シリコーン樹脂を用いてもよい。エポキシ変性シリコーン樹脂としては、ES−1001N(以上、信越化学工業社製)、SR2115(東レダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられ、アクリル変性シリコーン樹脂としては、KR−5208(信越化学工業社製)等が挙げられ、ポリエステル変性シリコーン樹脂としては、KR−5203(信越化学工業社製)等が挙げられ、アルキッド変性シリコーン樹脂としては、KR−206(信越化学工業社製)、SR2110(東レダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられ、ウレタン変性シリコーン樹脂としては、KR−305(信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0028】
本発明において、被覆層は、シリコーン樹脂の他に、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロロアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂等を含有してもよい。
【0029】
芯材粒子の表面に被覆層を形成する方法としては、スプレードライ法、浸漬法、パウダーコーティング法等の公知の方法を用いることができる。特に、流動層型コーティング装置を用いる方法は、均一な被覆層を形成するのに有効である。
芯材粒子表面の被覆層膜厚は、通常、0.02〜1μmであり、0.03〜0.8μmが好ましい。被覆層膜厚は、芯材粒子の粒径と比較して極めて小さいことから、表面に被覆層が形成されているキャリアと芯材粒子の粒径は、実質的に同じである。
【0030】
本発明において、印加電界250V/mmにおけるキャリア電気抵抗率は、1×108Ω・cm以上1×1017Ω・cm以下であり、1×1012Ω・cm以上1×1016Ω・cm以下であることがさらに好ましい。電気抵抗率が上記範囲の場合、帯電性の環境による変動及び現像剤放置時の帯電量の低下を抑制することができる。印加電界250V/mmにおけるキャリア電気抵抗率が1×108Ω・cmより小さいと、放置時の帯電量の低下が大きくなることがある。また、温湿度による帯電量の変動が大きくなることがある。また、電気抵抗率が1×1017Ω・cmより大きいと、連続印刷時にキャリアのチャージアップによる画像濃度の低下が生じることがある。
【0031】
上記キャリア電気抵抗率は、次の方法により、測定することができる。
図1に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極(22a)、(22b)を収容したフッ素樹脂製容器からなるセル(21)にキャリア(23)を充填し、両極間に直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK 5HVLVWDQFH OHWHU;横川ヒューレットパッカード株式会社製)にて直流抵抗を測定し、電気抵抗率(Ω・cm)を算出する。
【0032】
上記キャリアの電気抵抗率の調整は、芯材粒子上の被覆樹脂の抵抗調整、被覆層厚の制御によって可能である。また、キャリア電気抵抗率調整のために、導電性微粉末を被覆樹脂層に添加して使用することも可能である。上記導電性微粉末としては、導電性ZnO、Al等の金属又は金属酸化物粉、種々の方法で調製されたSnO2又は種々の元素をドープしたSnO2、TiB2、ZnB2、MoB2等のホウ化物、炭化ケイ素、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フェニレンスルフィド)ポリピロール、ポリエチレン等の導電性高分子、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。
【0033】
これらの導電性微粉末は、以下の方法、即ち、コーティングに使用する溶媒、あるいは被覆用樹脂溶液に導電性微粉末を投入後、ボールミル、ビーズミルなどメディアを使用した分散機、あるいは高速回転する羽根を備えた攪拌機を使用することによって均一に分散することができる。
【0034】
本発明において、芯材粒子の粒子密度は、4.5〜5.5g/cm3であることが好ましく、さらに好ましくは、4.7〜5.2g/cmである。粒子密度が5.5g/cm3より大きくなると、トナーによるキャリアスペント化や、キャリア同士の摺擦による被覆層の剥れが起きやすくなり、経時帯電性が低下しやすくなる。また、粒子密度が4.5g/cm3より小さくなると、キャリアの磁気モーメントが小さくなりやすくなり、キャリア付着の発生が多くなることがある。
【0035】
芯材粒子の粒子密度は、乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所社製)で測定することができる。なお、粒子密度とは、粒子内部の閉じた空洞を粒子の体積に含め、粒子表面の凹みや割れ目、開いた空洞は粒子の体積に含めない場合の密度を意味する。
【0036】
本発明のキャリアの重量平均粒径Dwは、22〜32μmであることが好ましく、さらに好ましくは、23μm〜30μmである。重量平均粒径Dwが32μmよりも大きいと、キャリア付着が起こりにくくなるが、潜像に対してトナーが忠実に現像されなくなって、ドット径のバラツキが大きくなり粒状性が低下することがある。また、トナー濃度を高くした場合、地汚れが発生しやすくなることがある。このとき、印加される電界が強い程、キャリア付着が起こりやすくなる。キャリア付着は、感光体や定着ローラーの傷の原因となる等の不都合を生じるので好ましくない。また、個数平均粒径Dpと重量平均粒径Dwの比Dw/Dpは1.0以上1.2以下であることが好ましい。Dw/Dpが1.20より大きいと、微粒子の比率が大きくなり、キャリア付着が増加することがある。
【0037】
本発明のキャリアは、粒径が0.02〜20μmである粒子の含有量は7重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、5重量%以下、特に好ましくは、3重量%以下である。上記粒子の含有量が7重量%より多くなると、粒径分布が広くなり、磁気ブラシ中に磁気モーメントの小さな粒子が存在するようになり、キャリア付着が発生することがある。また、上記粒子の含有量は、生産性を向上させるために、0.5重量%以上であることが好ましい。
【0038】
更に、本発明のキャリアは、粒径が0.02〜36μmである粒子の含有量が90重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、92重量%以上である。このように、表面が樹脂で被覆されたキャリアの粒径分布を狭くすることにより、各粒子の磁気モーメントの分布を狭くすることができ、キャリア付着の発生を大幅に改善できる。
【0039】
本発明において、個数平均粒径Dp及び重量平均粒径Dwは、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものであり、次式で表わされる。
Dp={1/Σ(n)}×{Σ(nD)}
Dw={1/Σ(nD)}×{Σ(nD)}
ここで、Dは、各チャンネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは、各チャンネルに存在する粒子数である。なお、チャンネルは、粒径分布図における粒径の範囲を等分に分割するための長さであり、本発明においては、2μmを採用することができる。また、各チャンネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャンネルの粒径の下限値を採用することができる。粒径分布を測定するための粒度分析計としては、マイクロトラック粒度分析計モデルHRA9320−X100(Honewell社製)を用いることができる。
【0040】
本発明において、芯材粒子としては、磁性材料の破砕物粒子を用いることができる。また、フェライト、マグネタイト等の芯材粒子の場合には、焼成前の一次造粒品を分級し、焼成した粒子を、分級処理により異なる粒度分布を有する粒子粉体に分級した後、複数の粒子粉体を混合することにより得ることができる。
芯材粒子を分級する方法としては、ふるい分け機、重力分級機、遠心分級機、慣性分級機等の公知の分級方法を用いることができるが、生産性が良好で分級点の変更が容易にできることから重力分級機、遠心分級機、慣性分級機等の風力分級機を用いることが好ましい。
【0041】
本発明において、被覆層は、アミノシランカップリング剤をさらに含有することが好ましい。これにより、耐久性の良好なキャリアを得ることができる。アミノシランカップリング剤としては、以下のようなものが挙げられる。
2N(CH2)3Si(OCH3)3
2N(CH2)3Si(OC25)3
2N(CH2)3Si(CH3)2(OC25)
2N(CH2)3Si(CH3)(OC25)2
2N(CH2)2NHCH2Si(OCH3)3
2N(CH2)2NH(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3
(CH3)2N(CH2)3Si(CH3)(OC25)2
(C49)2N(CH2)3Si(OCH3)3
なお、被覆層中のアミノシランカップリング剤の含有量は、0.001〜30重量%であることが好ましい。
【0042】
また、被覆層を補強するために、被覆層は、硬質粒子をさらに含有することが好ましい。中でも、金属酸化物からなる粒子は、粒子径の均一性が高く、被覆層の成分と高い親和性が得られ、被覆層の補強効果が大きいため、好ましく用いられる。金属酸化物は、Siの酸化物、Tiの酸化物又はAlの酸化物であることが好ましく、硬質粒子は、単独又は二種以上混合して用いることができる。
被覆層中の硬質粒子の含有量は、2〜70重量%であることが好ましく、5〜40重量%がさらに好ましい。また、硬質粒子の粒径は、5nm〜500nmであることが好ましい。硬質粒子の含有量は、粒径、比表面積によって適宜選択すればよいが、2重量%未満では、被覆層の耐摩耗性を向上させる効果が発現しにくくなることがあり、70重量%を超えると、硬質粒子の脱離が発生しやすくなり、経時帯電性が低下することがある。
【0043】
本発明の現像剤は、本発明のキャリアとトナーからなる。
トナーとしては、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂、着色剤、微粒子、帯電制御剤、離型剤等を含有する公知の各種トナーを用いることができる。トナーは、重合法、造粒法等の製造方法を用いて製造することができ、不定形又は球形のトナーが得られる。また、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれも用いることができる。
【0044】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。なお、これらは、単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0045】
ポリエステル樹脂は、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂と比較して、トナーの保存時の安定性を確保しながら、溶融粘度を低下させることができる。ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応によって得ることができる。
アルコール成分としては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーA等のエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体、その他の2価のアルコール単位体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の高アルコール単量体が挙げられる。
【0046】
カルボン酸成分としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルと、リノレイン酸からの二量体酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、3,3−ジカルボキシメチルブタン酸、テトラカルボキシメチルメタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これら酸の無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体が挙げられる。
【0047】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの重縮合物等を用いることができ、具体的には、エポミックR362、R364、R365、R366、R367、R369(以上、三井石油化学工業社製)、エポトートYD−011、YD−012、YD−014、YD−904、YD−017、(以上、東都化成社製)、エポコート1002、1004、1007(以上、シェル化学社製)等の市販品が挙げられる。
【0048】
着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、ハンザイエローG、ローダミン6Gレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系染顔料、ジスアゾ系染顔料等の公知の染顔料を単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0049】
磁性トナーは、磁性体を含有するが、磁性体としては、鉄、コバルト等の強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト等の微粉末を用いることができる。
摩擦帯電性を制御するために、トナーは、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフトエ塩、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体アミノ化合物、4級アンモニウム塩、有機染料等の帯電制御剤を含有してもよい。
【0050】
さらに、トナーは、必要に応じて、離型剤を含有してもよい。離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックス等を単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0051】
トナーは、この他の添加剤を含有してもよい。良好な画像を得るためには、トナーに流動性を付与することが好ましい。このためには、一般に流動性向上剤として、疎水化された金属酸化物の粒子、滑剤等の粒子を添加することが有効であり、金属酸化物、樹脂、金属石鹸等の粒子を添加剤として用いることができる。添加剤の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ステアリン酸亜鉛等の滑剤、酸化セリウム、炭化ケイ素等の研磨剤、表面を疎水化したSiO2、TiO2等の無機酸化物等の流動性付与剤、公知のケーキング防止剤及びそれらの表面処理物等が挙げられる。トナーの流動性を向上させるためには、特に、疎水性シリカが好ましく用いられる。
【0052】
トナーの重量平均粒径は、3.0〜9.0μmであることが好ましく、3.5〜7.5μmがさらに好ましい。なお、トナーの粒径は、コールターカウンター(コールターカウンター社製)を用いて測定することができる。
【0053】
本発明の画像形成方法は、表面に静電潜像を担持する感光体と、内部に固定された磁界発生手段を有し、表面上に本発明の現像剤を担持して回転する非磁性現像スリーブからなる現像剤担持体と、感光体と現像剤担持体との間にDCバイアス現像電界を発生させる現像電界発生手段からなる現像工程と、該感光体上に現像された画像を画像記録媒体に転写する転写工程と、感光体の表面に残存する現像剤を払拭するクリーニング工程を少なくとも有する。
【0054】
本発明のプロセスカートリッジは、感光体及び感光体の表面に形成された静電潜像を本発明の現像剤で現像する現像装置を少なくとも一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在である。なお、プロセスカートリッジは、上記以外に、感光体の表面を帯電させる帯電ブラシ等の帯電装置と、感光体の表面に残存する現像剤を払拭するブレード等のクリーニング装置等をさらに一体に支持してもよい。
【0055】
図2に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。本プロセスカートリッジは、現像装置30、ケース32、帯電装置34、感光体35、クリーニング装置37を一体に結合して構成され、複写機、プリンター等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成される。このとき、現像装置においては、本発明の現像剤を用いて現像が行われる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、ここに例示される実施例に限定されるものではない。ただし、部は、重量部を表す。
実施例1
(キャリア製造例1)
シリコーン樹脂SR2411(東レダウコーニングシリコーン社製)に対して、比表面積が1270m2/gの導電性カーボン及び平均粒子径0.3μmのアルミナ粒子をそれぞれシリコーン樹脂の固形分に対して、5重量%となるように調製した液を、ホモジナイザーを使用して、30分間分散させた。得られた分散液を固形分が10重量%になるよう希釈し、この分散液に、化学構造式
2N(CH2)3Si(OCH3)3
で表されるアミノシランカップリング剤を、シリコーン樹脂の固形分に対して、3重量%添加して混合し、被覆層塗布液1を得た。
【0057】
次に、表1に示す芯材粒子1に対して、被覆層塗布液1を、流動床型コーティング装置を用いて、100℃の雰囲気下で、50g/分の割合で塗布した。更に、250℃で2時間加熱して、平均被覆層厚0.6μmのキャリアAを得た。被覆層の厚さは、キャリアを破砕し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより、測定した。また、芯材粒子1の成分分析を行ったところ、Fe23が48.8mol%、MnOが48.7mol%、MgOが2.5mol%であった。
【0058】
実施例2
(キャリア製造例2)
芯材粒子1の代わりに、芯材粒子2を用いた以外は、実施例1と同様にして、キャリアBを得た。芯材粒子2の成分分析を行ったところ、Fe23が49.0mol%、MnOが49.0mol%、MgOが2.0mol%であった。
実施例3
(キャリア製造例3)
芯材粒子1の代わりに、芯材粒子3を用いた以外は、実施例1と同様にして、キャリアCを得た。芯材粒子3の成分分析を行ったところ、Fe23が48.5mol%、MnOが48.5mol%、MgOが3.0mol%であった。
【0059】
比較例1
(キャリア製造例4)
芯材粒子1の代わりに、芯材粒子4を用いた以外は、実施例1と同様にして、キャリアDを得た。芯材粒子4の成分分析を行ったところ、Fe23が80.5mol%、Li2Oが19.5mol%であった。
比較例2
(キャリア製造例5)
芯材粒子1の代わりに、芯材粒子5を用いた以外は、実施例1と同様にして、キャリアE得た。芯材粒子3の成分分析を行ったところ、Fe23が55.0mol%、MnOが45.0mol%であった。
【0060】
実施例4
(キャリア製造例6)
比表面積1270m2/gの導電性カーボンをシリコーン樹脂の固形分に対して、2重量%添加したこと以外は実施例1と同様にすることでキャリアFを得た。
実施例5
(キャリア製造例7)
比表面積1270m2/gの導電性カーボンをシリコーン樹脂の固形分に対して、10重量%添加したこと以外は実施例1と同様にすることでキャリアGを得た。
【0061】
得られたキャリアの特性値(印加電圧250V/mmにおける抵抗率、重量平均粒径(Dw)、個数平均粒径に対する重量平均粒径の比(Dw/Dp)、粒径が0.02μm以上20μm以下である粒子の含有量、粒径が0.02μm以上36μm以下である粒子の含有量)を表1にまとめる。表1の式(1)は下式のとおりである。
【0062】
【数3】

【0063】
【表1】

【0064】
(トナー製造例)
ポリエステル樹脂100部、キナクリドン系マゼンタ顔料3.5部及び含フッ素4級アンモニウム塩4部をブレンダーで充分に混合した後、2軸式押出し機で溶融混練し、放冷した。次に、カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流式微粉砕機で微粉砕し、さらに風力分級機を用いて分級して、重量平均粒径6.8μm、真比重1.20のトナー母粒子を得た。
更に、トナー母粒子100部に対して、疎水性シリカ粒子R972(日本アエロジル社製)0.8部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得た。
【0065】
(現像剤の作製及び評価)
100部のキャリアA〜Gに対して、トナー製造例で作製したトナー8部をそれぞれに加えて、ボールミルで20分攪拌して、現像剤を作製した。
【0066】
以上の現像剤を用いて、画像形成を行い、その初期における画像品質を評価した。なお、画像を形成する際には、次のように設定されたフルカラープリンターを用いた。
感光体線速:350mm/sec
感光体径:60mm
現像スリーブ/感光体線速比:2
汲み上げ量:50mg/cm2
現像スリーブ径:25mm
主極角度:6°
主極磁束密度:120mT
主極下流側磁束密度:110mT
帯電電位:−600V
露光後電位:−60V
現像バイアス:DC−430V
【0067】
なお、採用した評価方法は、次の通りである。
(1)画像濃度
上記現像条件における、30mm×30mmのベタ部の中心をX−Rite938分光測色濃度計で、5箇所測定し、平均値を求めた。
(2)粒状度
下記式で定義された粒状度(明度範囲:50〜80)を測定し、その数値を、◎(大変良好):0以上0.1未満、○(良好):0.1以上0.2未満、△(使用可能):0.2以上0.3未満、×(使用不可):0.3以上のランクに置き換えて評価した。
粒状度=exp(aL+b)∫(WS(f))1/2・VTF(f)df
L:平均明度
f:空間周波数(cycle/mm)
WS(f):明度変動のパワースペクトラム
VTF(f):視覚の空間周波数特性
a、b:係数
【0068】
(3)地汚れ
画像上の地肌部の汚れを目視で評価し、○:良好、△:使用可能、×:不良(許容不可のレベル)として、判定した。
(4)キャリア付着
キャリア付着が発生しても一部のキャリアしか紙に転写してこないため、感光体上から粘着テープで転写して評価した。具体的には、帯電電位を−750V、現像バイアスをDC−400Vに固定し、地肌部(未露光部)を現像し、感光体上の30cm2に付着したキャリアの個数を直接カウントしてキャリア付着の評価を行い、○:良好、△:使用可能、×:不良(許容不可のレベル)として、判定した。
【0069】
評価結果を表2にまとめる。
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】キャリアの電気抵抗率を測定する際に用いるセルを説明する図である。
【図2】本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0071】
21 セル
22a、22b 電極
23 キャリア
30 現像装置
32 ケース
34 帯電装置
35 感光体
37 クリーニング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を有する芯材粒子及び該芯材粒子の表面にシリコーン樹脂を含有する被覆層を有するキャリアであり、
該キャリアの印加電圧250(V/mm)における抵抗率が、1×108(Ω・cm)以上1×1017(Ω・cm)以下であり、
該芯材粒子の磁場1000Oeにおける磁化の強さσ1000が55(emu/g)以上150(emu/g)以下であるキャリアにおいて、
該芯材粒子の磁場500Oe、250Oeにおける磁化の強さをσ500、σ250、及び残留磁化をσrとしたとき、
【数1】

であることを特徴とするキャリア。
【請求項2】
前記芯材粒子の粒子密度は、4.5g/cm3以上5.5g/cm3以下であることを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
【請求項3】
重量平均粒径が22〜32μmであり、
個数平均粒径に対する重量平均粒径の比が1.0以上1.2以下であり、
粒径が0.02μm以上20μm以下である粒子の含有量が0重量%以上7重量%以下であり、
粒径が0.02μm以上36μm以下である粒子の含有量が90重量%以上100重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリア。
【請求項4】
前記被覆層は、アミノシランカップリング剤をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のキャリア。
【請求項5】
前記被覆層は、硬質粒子をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のキャリア。
【請求項6】
前記硬質粒子は、Siの酸化物からなる粒子、Tiの酸化物からなる粒子及びAlの酸化物からなる粒子の少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項5に記載のキャリア。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のキャリア及びトナーからなることを特徴とする現像剤。
【請求項8】
少なくとも、表面に静電潜像を担持する感光体と、内部に固定された磁界発生手段を有し、表面上に請求項7に記載の現像剤を担持して回転する非磁性現像スリーブからなる現像剤担持体と、感光体と現像剤担持体との間にDCバイアス現像電界を発生させる現像電界発生手段からなる現像工程と、
該感光体上に現像された画像を画像記録媒体に転写する転写工程と、
感光体の表面に残存する現像剤を払拭するクリーニング工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
感光体及び該感光体の表面に形成された静電潜像を請求項7に記載の現像剤で現像する現像装置を少なくとも一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−70500(P2008−70500A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247503(P2006−247503)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】