説明

キレート樹脂を用いるカチオンの改善された除去方法

【課題】キレート樹脂を用いるカチオンの改善された除去方法を提供する。
【解決手段】本発明は、カチオンの低い残存含有率および高い再生効率での、カチオンに対して高い動的吸収容量を有する酢酸および/またはイミノ二酢酸基を有するキレート樹脂を使用する、水溶液からのカチオン、好ましくはアルカリ土類金属、特にカルシウムおよびバリウムの改善された除去方法に、キレート形成性交換体自体に、ならびにまたそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオンの低い残存含有率および高い再生効率で、カチオンに対して高い動的吸収容量を有する酢酸および/またはイミノ二酢酸基を有するキレート樹脂を使用する水溶液からのカチオン、好ましくはアルカリ土類金属、特にカルシウムおよびバリウムの改善された除去方法に、キレート形成性交換体自体に、ならびにまたそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明によるキレート形成性交換体は、水性アルカリ金属塩溶液からのカチオンに対して、好ましくは二価カチオンに対して、特にバリウムに対して高い動的吸収容量を示し、ここで、キレート樹脂は、官能基の高い官能性利用度および高い再生効率と同時に高いビーズ安定性を示す。
【0003】
本発明との関連で、キレート樹脂という表現はまた、キレート形成性イオン交換体またはキレート形成性交換体またはキレート官能基を有するイオン交換体を意味する。明確にするために、本発明の文脈は、一般的にまたは好ましい範囲で、任意の所望の組み合わせで示されて、本明細書で以下にリストされる全ての定義およびパラメーターを包含することが理解されるであろう。
【0004】
水酸化ナトリウム溶液および塩素ガスは、大量に生産されている重要な基礎化学品である。水酸化ナトリウム溶液および塩素の最近の製造方法は、膜方法による水性塩化ナトリウム溶液の電解に基づく。高いエネルギー消費と関連する電解処理は膜で進行する。これらの膜は、マイナスに帯電したSO置換基を有するポリテトラフルオロエテン(PTFE/Teflon)からなる約0.1mm厚さの、耐塩素性カチオン交換膜である(Nafion)。OHまたはClなどの電解で形成されたアニオンは、それらを通過することができないが、プラスに帯電したNaイオンは、これらの膜を通過することができる。Clイオン不透過性のために、塩化ナトリウムで実質的に汚染されていない35%濃度の水酸化ナトリウム溶液が形成される。
【0005】
膜のマイナスに帯電したSO基は、特に、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムおよびその他などの二価カチオンを吸収することができる。沈殿物が膜上に生じ、その後、膜がブロックされてしまう。結果として、膜の性能は低下する。塩素および水酸化ナトリウム溶液を与える塩化ナトリウムの反応の収率は低下し、その結果、電流密度が低下し、セル電圧が増加し、それによって、エネルギー原単位がより高くなる。同時に、同様に、膜の耐用年数−それらが取り換えられなければならないまで−は低下する。
【0006】
それ故、ナトリウムを除き他のカチオンをできるだけ含まない塩化ナトリウムブラインを、膜での電解処理のために提供することは絶対に必要である。
【0007】
膜の製造業者は、沈澱およびまたキレート樹脂での精密精製後のブライン中に存在する最大カチオン残存濃度について、精製塩化ナトリウムブラインに対して以下の推奨値を与えている(Bayer SP IOW 4006e、2001−01)。
カルシウム2+;マグネシウム2+:<20ppb
ストロンチウム2+:<100ppb
バリウム2+:<500ppb
【0008】
製造業者によって納品される塩化ナトリウムは、塩化ナトリウムブラインを与えるために水に溶解されたときに、これらの高い純度要件を満たさない。
【0009】
供給原料として使用される塩化ナトリウムは、塩化ナトリウムに加えて、さらなる85種以下の化学元素を含み得る天然産物である。加えて、塩化ナトリウムの含有率は、天然産物塩化ナトリウムでかなり変動する。
【0010】
電解法で塩素および水酸化ナトリウム溶液を得るために使用される塩化ナトリウムは、少なくとも約97重量%のNaClの含有率を有するべきである。
【0011】
供給源に依存して、塩化ナトリウムはさらに、異なる量の前述のカチオンなどの二価およびより高原子価カチオンならびにまた、微量で、亜鉛、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、銅、とりわけカリウム、ならびにまた様々なアニオンを含む。
【0012】
例えば、分光光度法(AAS)を用いて1991年にKrakowのGeo−Anal−Speckによって実施された、死海の乾燥によって約2億8千万年前に形成されたZechstein期の天然岩塩の最も重要な鉱物の分析は、塩の100gを基準として、0.271ppmのCa、0.03ppmのMg、4.1ppmのZn、142ppmのFe、2.7ppmのCo、432ppmのNi、0.34ppmのCu、0.09ppmのCrおよびまた6.8ppmのMnの含有率を示した。アルカリ土類金属とは無関係に、前記重金属は、電解処理中に使用される電極、好ましくは今日使用されているガス拡散電極への損傷をもたらし得る。
【0013】
電解用に使用される水性塩化ナトリウム溶液中の塩化ナトリウムの濃度は、溶液の1リットル当たり250〜330グラムのNaClの範囲にある。
【0014】
特に、二価カチオンの濃度は、それらが電解処理に悪影響を及ぼすので、できるだけ定量的に電解処理の前に前述の理由により除去されるべきである。
【0015】
それ故、今でもアルカリ金属塩化物電解に使用されることになる水性塩化ナトリウム溶液は、電解前に2段階で精製され;第1段階では、沈澱によって、比較的大量の二価カチオンが除去される。沈澱後の水性ブライン中のそれらの濃度は、その結果約0.1〜約20ppmの範囲にある。第2段階では、ブライン中の特に二価カチオンのカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムの濃度は、キレート交換体上での超濾過(overfiltration)によって、カラムからの水性溶出液において、カチオン種類に依存して、約500ppb〜約20ppbより低い残存値まで低減される。
【0016】
二価カチオンの濃度が、個々にかまたは合計して、カラム溶出液中で前記値を超える場合、カラムは再生される。
【0017】
二価カチオンのカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムを塩化ナトリウムブラインから除去するためのキレート形成性イオン交換体の選択性は異なる。次の順序で選択性は低下する:マグネシウム>カルシウム>>ストロンチウム>バリウム>アルカリ金属(Na)。それ故、バリウムイオンは、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンより著しく不十分に吸収される。
【0018】
膜の製造業者は、このことを考慮して、二価カチオンのカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムに対して精製ブライン中の前述の異なる残存値を推奨している。
【0019】
それ故、目的は、二価カチオンに対する一般に高い吸収容量に加えて、特に、バリウムなどのカチオンに対する高い吸収容量を示す改善された選択性を有するキレート樹脂を開発することでなければならない。
【0020】
限界値より高い濃度(カルシウムおよびマグネシウムについては、キレート樹脂の水性溶出液中で20ppbのカチオンである)を超えるまでキレート樹脂が吸収した二価カチオンの量は、この場合にキレート樹脂の動的吸収容量と呼ばれる。
【0021】
このようにして精製されたブラインは、電解により水酸化ナトリウム溶液および塩素に変換される−(非特許文献1)を参照されたい。
【0022】
キレート形成性イオン交換体に、カチオンをもはや十分に除去することができず、カルシウムおよびマグネシウムの溶出液値で20ppbより大きい値が測定される程度まで、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなどの前述のカチオンがロードされた場合、キレート形成性イオン交換体は、酸、好ましくは塩酸で再生されなければならない。キレート基は水素形に転化される。次に、キレート樹脂は、水性水酸化ナトリウム溶液を用いてキレート基のナトリウム形へ転化され、次に再びブラインから二価カチオンを除去することができる。
【0023】
精製溶液中のカチオンの低い残存値、ローディング中の官能基の高度利用、および高い再生効率と同時にキレート樹脂の高いビーズ安定性のための、水性塩ブライン、特に塩化ナトリウムブラインからのカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなどの二価カチオンに対して高い動的吸収容量を有するキレート形成性イオン交換体が求められている。
【0024】
(特許文献1)で、イミノ二酢酸基を有するキレート樹脂が記載されており、塩化ナトリウムブラインからのカルシウムおよびマグネシウムなどのカチオンに対するそれらの吸収容量がブライン試験で試験されている。
【0025】
カルシウムイオンに対するそれらの動的吸収容量が測定された。Amberlite(登録商標)XE 318、イミノ二酢酸基のキレート樹脂の場合に、樹脂の1リットル当たり7.1グラムのカルシウムである。520ベッド体積のブラインが(1時間当たり20ベッド体積(BV)の速度で)26時間でキレート樹脂を通して濾過された。
【0026】
精製ブライン中のカルシウムの濃度は20ppbであり、キレート樹脂への塩化ナトリウムブラインのローディングは、カルシウム濃度がキレート樹脂の溶出液中で500ppbを超えた時に終了された。
【0027】
(特許文献2)は、イミノ二酢酸基を有するキレート樹脂を記載しており、塩化ナトリウムブラインからのカルシウムおよびマグネシウムなどのカチオンに対するそれらの動的吸収容量がブライン試験で試験された。
【0028】
カルシウムイオンに対するそれらの動的吸収容量が測定された。Bayer AG製のLewatit(登録商標)OC 1048、イミノ二酢酸基を有するマクロ多孔性キレート樹脂について、樹脂の1リットル当たり4.2グラムのカルシウムである(実施例2)。
【0029】
精製ブライン中のカルシウム濃度は、大半のローディングサイクルについて20ppb未満であり、キレート樹脂への塩化ナトリウムブラインのローディングは、カルシウム濃度がキレート樹脂の溶出液中で50ppbを超えた時に終了される。
【0030】
(特許文献3)は、キレート基を有する単分散イオン交換体であって、キレート基として、(CH−NRがイオン交換体中に存在し、RがとりわけH、CH−COOHであり、RがとりわけCH−COOHであり、nが1〜4の整数である単分散イオン交換体の製造方法を開示している。
【0031】
先行技術に記載されているキレート樹脂は、現在用いられている膜電解法での塩ブラインの精密精製の要件を満たさない。(特許文献1)での精製ブライン中のカルシウムの残存量は20ppbである。(特許文献2)での精製ブライン中のカルシウムの残存量は極たまに20ppb未満である。加えて、吸収されるカルシウムの量は十分には高くなく、そのため(特許文献1)ではローディングは26時間後すぐに終了され、次に再生が開始されなければならない。それ故、長期運転では、キレート樹脂は、1年当たり数百回も再生されなければならない。(特許文献3)のキレート樹脂は、特にカルシウムおよびバリウムの同時存在で、今日の膜処理に必要とされるバリウム選択性を示さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】米国特許第4,818,773号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3 704 307 A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1 078 690 A2号明細書
【非特許文献】
【0033】
【非特許文献1】R.M.Klipper、H.Hoffmann、T.Augustin、Ion Exchange Advances、Proceedings of IEX 92、414ページ以下のページ;Elsevier Applied Science、London、1992年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
それ故、本発明の目的は、
− クロルアルカリ電解で通例起こるような、水性ブラインからの、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、および特にカルシウムの同時存在下でのバリウムなどのアルカリ土類金属の
− 水溶液もしくは有機液体またはそれらの蒸気からの重金属および貴金属の、特にアルカリ土類金属およびアルカリ金属の水溶液からの水銀の(特にブラインまたはアルカリ金属塩化物電解からの水銀の)
著しくより良好な除去のための新規キレート形成性交換体の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は、
a)少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物および少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物およびまた少なくとも1種のポロジェンおよび少なくとも1種の開始剤または開始剤の組み合わせのモノマー液滴が、噴出原理(jetting principle)またはシード供給原理(seed−feed principle)によって反応させられて単分散架橋ポリマービーズを形成し、
b)前記単分散架橋ポリマービーズの1〜15重量%のサブ部分を、不活性溶媒中に存在するフタルイミド誘導体のSO付加体へ導入し、35℃以下の温度で1〜15時間撹拌し、ここで、遊離SOの量がフタルイミドの1モルを基準として0.28〜0.5モルであり、その後、ポリマービーズの残りの量を、不活性溶媒中に存在するフタルイミド誘導体のSO付加体へ30〜75℃の温度で導入することによって、ポリマービーズがフタルイミド誘導体でフタルイミドメチル化され、
c)前記フタルイミドメチル化ポリマービーズがアミノメチル化ポリマービーズに転化され、そして
d)前記アミノメチル化ポリマービーズが反応させられてキレート官能基を有するイオン交換体を形成する
ことを特徴とする、構造要素(I)
【化1】

(式中、
【化2】

はポリマー主鎖であり、Yは水素、ナトリウムまたはカリウムであり、Aは、水素、CHCOONa、CHCOOHまたはCHCOOKである)
で表されるキレート官能基を有する単分散イオン交換体の製造方法に関する。
【0036】
意外にも、本発明による方法を用いて、非常に高い総容量によって先行技術を上回る、酢酸および/またはイミノ二酢酸基を有するキレート樹脂が生成され得る。
【0037】
それ故、本発明はまた、
a)少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物および少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物およびまた少なくとも1種のポロジェンおよび少なくとも1種の開始剤または開始剤の組み合わせのモノマー液滴を、噴出原理またはシード供給原理によって反応させて単分散架橋ポリマービーズを形成する工程と、
b)前記単分散架橋ポリマービーズの1〜15重量%のサブ部分を不活性溶媒中に存在するフタルイミド誘導体のSO付加体へ導入し、35℃以下の温度で1〜15時間撹拌し、ここで、遊離SOの量がフタルイミドの1モルを基準として0.28〜0.5モルであり、その後、ポリマービーズの残りの量を、不活性溶媒中に存在するフタルイミド誘導体のSO付加体へ30〜75℃の温度で導入することによって、ポリマービーズをフタルイミド誘導体でフタルイミドメチル化する工程と、
c)前記フタルイミドメチル化ポリマービーズをアミノメチル化ポリマービーズに転化する工程と、
d)前記アミノメチル化ポリマービーズを反応させてキレート官能基を有するイオン交換体を形成する工程と
によって好ましくは得られる、2.7〜3.2モル/lの総容量TCおよび75〜90nmの中央粒径を有する、構造要素(I)
【化3】

(式中、
【化4】

はポリマー主鎖であり、Yは水素、ナトリウムまたはカリウムであり、Aは、水素、CHCOONa、CHCOOKまたはCHCOOHである)
のキレート官能基を有する単分散イオン交換体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明を実施するための実験的構造を示す。
【図2】図2は、中央ビーズ径を測定するための測定装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
好ましい実施形態では、構造要素(I)において、Yは水素またはナトリウムであり、Aは水素、CHCOOHまたはCHCOONaである。
好ましい実施形態では、本発明によるキレート形成性交換体は、52〜65%の気孔率を有する。さらに好ましい実施形態では、本発明によるキレート形成性交換体は、240〜480μの中央ビーズ径を有する。さらに好ましい実施形態では、本発明によるキレート形成性交換体は、700〜950mm/gの細孔容積を有する。さらに好ましい実施形態では、本発明によるキレート形成性交換体は、75〜90nmの中央孔径を有する。
【0040】
加えて、それらは、生産に関連した単分散粒度分布を有する。
【0041】
本出願において単分散と称される物質は、粒子の少なくとも90容量%または90質量%が、最も頻度の高い直径の周りの最も頻度の高い直径の±10%の幅を有する区間に存在する直径を有する物質である。
【0042】
例えば、0.5mmの最も頻度の高い直径を有する物質の場合には、少なくとも90容量%または90質量%が0.45mm〜0.55mmのサイズ区間に存在し、0.7mmの最も頻度の高い直径を有する物質の場合には、少なくとも90容量%または90質量%が0.77mm〜0.63mmのサイズ区間に存在する。
【0043】
本発明による中央ビーズ径は、240〜480μ、好ましくは250〜450μの範囲にある。本発明によるキレート形成性交換体の単分散性は、ポリマービーズ前駆体、すなわち単分散の架橋ビニル芳香族ベースポリマーが噴出原理またはシード供給原理によって製造されるという点において、プロセスに関連している。それに関しては、それらの内容が本出願のプロセス工程a)に関して本出願により本明細書によって援用される、米国特許第4,444,961号明細書、欧州特許出願公開第0 046 535A号明細書、米国特許第4,419,245号明細書または国際公開第93/12167号パンフレットの先行技術に言及されてもよい。
【0044】
酢酸および/またはイミノ二酢酸基を有し、かつ、上記の特性を有する本発明によるキレート樹脂は、後架橋が行われることなく得られる。それらは、先行技術と比較して、クロルアルカリ電解で通例起こるような水性ブラインからのマグネシウム、カルシウム、バリウムまたはストロンチウムなどのアルカリ土類金属の著しく良好な除去および、さらに、著しく改善されたカルシウム吸収と共にバリウムへの著しく改善された選択性、およびまた岩塩ブライン中に微量に存在する前述の重金属に向けて改善された吸着容量を示す。
【0045】
それ故、本発明による酢酸および/またはジアミノ酢酸基を有するキレート樹脂は、化学工業、エレクトロニクス産業、廃棄物処理/利用産業または電気めっきもしくは表面処理技術における使用の最も多様な分野のために、しかし特にアルカリ金属電解用のブラインを精製するために非常に好適である。
【0046】
さらに、それらは、ブラインから重金属をまさしく実質的になくすことによって、クロルアルカリ電解に現在使用されているガス拡散電極、特に酸素消費電極を保護するために役立つ。
【0047】
プロセス工程a)において、少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物および少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物が使用される。しかしながら、2種以上のモノビニル芳香族化合物の混合物および2種以上のポリビニル芳香族化合物の混合物を使用することもまた可能である。
【0048】
プロセス工程a)に好ましくは使用される本発明との関連でのモノビニル芳香族化合物は、モノエチレン系不飽和化合物、特に好ましくはスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、アクリル酸のアルキルエステルまたはメタクリル酸のアルキルエステルである。
【0049】
とりわけ好ましくは、スチレンまたはスチレンと前述のモノマーとの混合物が使用される。
【0050】
プロセス工程a)用の、本発明との関連での好ましいポリビニル芳香族化合物は、多官能性のエチレン系不飽和化合物、特に好ましくはジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルナフタレン、1,7−オクタジエン、1,5−ヘキサジエン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートまたはアリルメタクリレート、とりわけ好ましくはジビニルベンゼンである。
【0051】
ポリビニル芳香族化合物は好ましくは、モノマーまたはそれと他のモノマーとの混合物を基準として、1〜20重量%、特に好ましくは2〜12重量%、とりわけ好ましくは4〜10重量%の量で使用される。ポリビニル芳香族化合物(架橋剤)の種類は、球形ポリマーの後の使用に関して選択される。ジビニルベンゼンの使用の場合には、ジビニルベンゼンの異性体に加えて、エチルビニルベンセンもまた含む市販のジビニルベンゼンの品質は十分である。
【0052】
本発明の好ましい実施形態では、プロセス工程a)において、マイクロカプセル化モノマー液滴が使用される。
【0053】
モノマー液滴のマイクロカプセル化のためには、コンプレック・コアセルベート(complex coacervates)としての使用について知られている材料、特にポリエステル、天然および合成ポリアミド、ポリウレタンまたはポリウレアが考慮される。
【0054】
天然ポリアミドとして、好ましくはゼラチンが使用される。これは、特に、コアセルベートおよびコンプレックス・コアセルベートとして使用される。本発明との関連でゼラチン含有コンプレックス・コアセルベートは、とりわけ、ゼラチンと合成高分子電解質との組み合わせを意味すると見なされる。好適な合成高分子電解質は、例えば、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの包含単位を有するコポリマーである。特に好ましくは、アクリル酸およびアクリルアミドが使用される。ゼラチン含有カプセルは、例えば、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドなどの従来の硬化剤で硬化させることができる。ゼラチン、ゼラチン含有コアセルベートおよびゼラチン含有コンプレックス・コアセルベートでのモノマー液滴のカプセル化は、欧州特許出願公開第0 046 535A号明細書に詳細に記載されている。合成ポリマーでのカプセル化の方法は公知である。モノマー液滴に溶解した反応性成分(特にイソシアネートまたは酸塩化物)が水相に溶解した第2の反応性成分(特にアミン)と反応させられる界面縮合が好ましい。
【0055】
任意選択的にマイクロカプセル化されたモノマー液滴は、重合を開始させるための少なくとも1種の開始剤または開始剤の混合物を含む。本発明による方法のための好ましい開始剤は、ペルオキシ化合物、とりわけ好ましくはジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(p−クロロベンゾイル)ペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、過オクタン酸第三ブチル、第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンまたは第三アミルペルオキシ−2−エチルヘキサン、およびまた、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)または2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)などのアゾ化合物である。
【0056】
開始剤は好ましくは、モノマー混合物を基準として、0.05〜2.5重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%の量で使用される。
【0057】
微孔性またはゲル型またはマクロ多孔性という表現は、専門家による文献に詳細に既に記載されてきた。
【0058】
単分散マクロ多孔性ポリマービーズは、球形ポリマー中にマクロ多孔性構造を生成するために、不活性材料、好ましくは少なくとも1種のポロジェンを重合中のモノマー混合物に加えることによって形成される。得られたポリマーを不十分に溶解させるかまたは膨潤させる有機溶媒がそのために好適である。とりわけ好ましいポロジェンは、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、メチルエチルケトン、ブタノールまたはオクタノールおよびそれらの異性体である。モノマーに溶解するが、ポリマーを不十分に溶解させるかまたは膨潤させる有機物質(ポリマー用の沈澱剤)、例えば、脂肪族炭化水素がとりわけ好適である(Farbenfabriken Bayer DBP 1045102、1957;DBP 1113570、1957)。
【0059】
米国特許第4,382,124号明細書では、ポロジェンとして、本発明との関連で同様に好ましく使用されることになる4〜10個の炭素原子を有するアルコールが、スチレン/ジビニルベンゼンをベースとする単分散マクロ多孔性ポリマービーズを製造するために使用されている。加えて、マクロ多孔性ポリマービーズの製造方法の概説が示されている。
【0060】
それ故、プロセス工程a)によって製造される、本発明との関連で使用されることになるポリマービーズは、ポロジェンの使用が原因で、マクロ多孔性構造を有する。
【0061】
任意選択的にマイクロカプセル化されたモノマー液滴はまた、30重量%以下(モノマーを基準として)の架橋または未架橋ポリマーを任意選択的に含むことができる。好ましいポリマーは、前述のモノマーから、特に好ましくはスチレンから誘導される。
【0062】
工程a)での任意選択的にカプセル化されたモノマー液滴の中央粒径は、10〜380μm、好ましくは100〜330μmである。プロセス工程a)でカプセル化モノマー液滴から得られる単分散ポリマービーズの中央粒径は、10〜350μm、好ましくは100〜300μmである。
【0063】
プロセス工程a)による単分散ポリマービーズの製造において、水相は、さらに好ましい実施形態では、溶解した重合防止剤を含むことができる。本発明との関連で考慮される防止剤は、無機および有機物質である。好ましい無機防止剤は、窒素化合物、とりわけ好ましくはヒドロキシルアミン、ヒドラジン、亜硝酸ナトリウムおよび亜硝酸カリウム、亜リン酸水素ナトリウムなどの亜リン酸の塩およびまた亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオシアン酸ナトリウムおよびチオシアン酸アンモニウムなどの硫黄化合物である。有機防止剤の例は、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、レゾルシノール、ピロカテコール、第三ブチルピロカテコール、ピロガロールおよびフェノールとアルデヒドとの縮合生成物などのフェノール系化合物である。さらなる好ましい有機防止剤は窒素化合物である。例えばN,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N−イソプロピルヒドロキシルアミンおよびまたスルホン化またはカルボキシル化N−アルキルヒドロキシルアミン誘導体またはN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン誘導体などのヒドロキシルアミン誘導体、例えばN,N−ヒドラジノ二酢酸などのヒドラジン誘導体、例えばN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩またはN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩などのニトロソ化合物がとりわけ好ましい。防止剤の濃度は5〜1000ppm(水相を基準として)、好ましくは10〜500ppm、特に好ましくは10〜250ppmである。
【0064】
球形の単分散ポリマービーズを与えるための任意選択的にマイクロカプセル化されたモノマー液滴の重合は、水相中に任意選択的にまたは好ましくは1種以上の保護コロイドの存在下に、既に上に述べられたように進行する。好適な保護コロイドは、天然または合成の水溶性ポリマー、好ましくはゼラチン、デンプン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸または(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸のエステルとのコポリマーである。セルロース誘導体、特に、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースなどの、セルロースエステルおよびセルロースエーテルがさらに好ましい。ゼラチンがとりわけ好ましい。使用される保護コロイドの量は、水相を基準として、一般に0.05〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0065】
プロセス工程a)での球形の単分散マクロ多孔性ポリマービーズを与えるための重合は、緩衝系の存在下で、代わりの好ましい実施形態で実施することができる。重合の開始時に水相のpHを14〜6、好ましくは12〜8に設定する緩衝系が好ましい。これらの条件下に、カルボン酸基を有する保護コロイドは全部または一部が塩として存在する。このようにして、保護コロイドの作用は、良い影響を受ける。特に高度に好適な緩衝系は、リン酸塩またはホウ酸塩を含む。本発明との関連でリン酸塩およびホウ酸塩という表現はまた、相当する酸および塩のオルト形の縮合生成物を含む。水相中のリン酸塩またはホウ酸塩の濃度は0.5〜500ミリモル/l、好ましくは2.5〜100ミリモル/lである。
【0066】
重合中の撹拌速度はあまり重要ではなく、従来のビーズ重合とは対照的に、粒径に影響を及ぼさない。懸濁液中に懸濁したモノマー液滴を保ち、かつ、重合熱の除去をサポートするのに十分である低い撹拌速度が用いられる。この役割のために、様々な攪拌機タイプを使用することができる。特に好適な攪拌機は、軸方向動きを有するゲート型攪拌機である。
【0067】
カプセル化モノマー液滴と水相との容積比は、1:0.75〜1:20、好ましくは1:1〜1:6である。
【0068】
重合温度は、使用される開始剤の分解温度に依存する。それは一般に50〜180℃、好ましくは55〜130℃である。重合は、0.5〜約20時間の期間を要する。重合が低温、例えば60℃で始まり、重合転化率が進行すると共に反応温度が上昇する温度プログラムを用いることが有用であることが分かった。このようにして、例えば、安全な反応進行および高い重合転化率要件が非常に容易に満たされる。重合後に、ポリマーは、従来の方法を用いて、例えば濾過またはデカンテーションによって単離され、任意選択的に洗浄される。
【0069】
プロセス工程b)において、先ずアミドメチル化剤が製造される。この目的のために、フタルイミド誘導体は溶媒に溶解され、ホルマリンと混合される。その後、水の脱離で、ビス(フタルイミド)エーテルが形成される。ビス(フタルイミド)エーテルは、任意選択的にフタルイミドエステルに転化することができる。本発明との関連で好ましいフタルイミド誘導体は、フタルイミドそのものまたは置換フタルイミド、好ましくはメチルフタルイミドである。
【0070】
プロセス工程b)に使用される溶媒は、ポリマーを膨潤させるために好適である不活性溶媒、好ましくは塩素化炭化水素、特に好ましくはジクロロエタンまたは塩化メチレンである。
【0071】
プロセス工程b)でポリマービーズはフタルイミド誘導体と縮合させられる。この場合に使用される触媒は、不活性溶媒中でフタルイミド誘導体のSO付加体をそれらから生成するために発煙硫酸、硫酸または三酸化硫黄である。
【0072】
本発明によれば、35℃以下の、好ましくは5〜30℃の温度で、先ずプロセス工程a)からのポリマービーズのサブ量が不活性溶媒、好ましくは1,2−ジクロロエタン中に存在するフタルイミド誘導体のSO付加体へ導入されるような手順に従う。好ましくは、サブ量は、処理されることになるポリマービーズの総量の1〜15重量%である。遊離SOの量はここでは、フタルイミド誘導体の形成のために使用されたフタルイミドの1モルを基準として、0.28〜0.65モルである。
【0073】
サブ量は次に、1〜15時間の期間にわたってバッチを撹拌することによって前述の温度でフタルイミドメチル化される。
【0074】
その後、処理されることになるポリマービーズの残りの量が30〜75℃、好ましくは35〜65℃の温度で加えられる。
【0075】
本研究の結果は、プロセス工程b)でのポリマービーズの段階的な添加が意外にもキレート形成性交換体のより高い収率をもたらし、同時にこれらが先行技術より高い総容量を有することを示す。
【0076】
これは、ポリマービーズの高度のフタルイミドメチル化(第1置換)、使用されるポリマービーズの1グラム当たりのml単位での最終生成物のより高い収率およびキレート形成性交換体の官能化度(第2置換)で表され、先行技術と比較して著しく増加している。
【0077】
増加した官能化度は、プロセス工程c)からの中間体として製造されたアミノメチル化ポリマービーズがアミノ/イミノ二酢酸基でより完全に官能化されていること(増加した第2置換)を意味すると見なされる。
【0078】
フタル酸置換基の脱離ひいてはアミノメチル基の露出は、フタルイミドメチル化架橋ポリマービーズを、100〜250℃、好ましくは120〜190℃の温度で、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの、アルカリ金属水酸化物の水性またはアルコール性溶液で処理することによってプロセス工程c)で進行する。水酸化ナトリウム溶液の濃度は、10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲にある。この方法は、2つ以上の芳香環の置換を有するアミノアルキル含有架橋ポリマービーズの製造を可能にする。
【0079】
得られたアミノメチル化ポリマービーズは、最終的に脱塩水でアルカリを含まないように洗浄される。
【0080】
プロセス工程d)において、本発明によるキレート交換体が、水性懸濁液中のアミノメチル含有単分散架橋ビニル芳香族ベースポリマーをクロロ酢酸またはその誘導体と反応させることによって製造される。より特に好ましいクロロ酢酸誘導体は、クロロ酢酸のナトリウム塩である。
【0081】
クロロ酢酸のナトリウム塩は好ましくは水溶液として使用される。
【0082】
クロロ酢酸のナトリウム塩の水溶液は、反応温度で0.5〜15時間の間にアミノメチル含有ベースポリマーの装入水性懸濁液へ計量供給される。好ましくは、定量供給は5〜11時間の間に行われる。
【0083】
アミノメチル含有ポリマービーズとクロロ酢酸との反応で放出される塩酸は、水性懸濁液のpHがこの反応中pH5〜10.5の範囲に設定されるように、水酸化ナトリウム溶液を加えることによって一部および全部が中和される。好ましくは、反応はpH9で実施される。
【0084】
反応は、50〜100℃の範囲の温度で実施される。好ましくは、反応は、80〜95℃の範囲の温度で進行する。
【0085】
懸濁媒体として、水または水性塩酸溶液が使用される。考慮される塩は、アルカリ金属塩、特にNaClおよび硫酸ナトリウムである。
【0086】
キレート官能基を有する本発明によるイオン交換体は、水溶液および有機液体からの金属、特に重金属および貴金属ならびにそれらの化合物の吸着に好適である。キレート官能基を有する本発明によるイオン交換体は、水溶液から、特にアルカリ土類金属またはアルカリ金属の水溶液から、アルカリ金属塩化物電解用のブラインから重金属または貴金属を除去するために特に好適である。さらに、キレート官能基を有する本発明によるイオン交換体は、アルカリ金属塩化物電解に通例使用されるような、ブラインからアルカリ土類金属を除去するために好適である。それ故、本発明は、アルカリ土類金属、重金属または貴金属である、金属の吸着のための本発明によるキレート樹脂の使用に関する。
【0087】
本発明の目的のための重金属および貴金属は、水銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛、カドミウム、マンガン、ウラン、バナジウム、白金族の元素およびまた金または銀である。
【0088】
好ましくは、本発明は、キレート官能基を有する本発明によるイオン交換体を用いる、水溶液および有機液体からの金属の吸着であって、特に好ましくは、水溶液が、アルカリ土類金属もしくはアルカリ金属の溶液またはアルカリ金属塩化物電解用のブラインである吸着に関する。
【0089】
好ましい実施形態では、本発明は、アルカリ金属塩化物電解用のブラインからのアルカリ土類金属を除去するための、好ましくはアルカリ金属塩化物電解用のブラインからのマグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウムの除去のための本発明によるキレート形成性交換体の使用に関する。
【0090】
好ましくは、本発明は、本発明によるキレート樹脂を用いることによる、著しく改善されたカルシウム吸着と共にもたらされる、アルカリ金属塩化物電解用のブラインからのバリウムの選択的除去に関する。
【0091】
しかしながら、本発明はまた、アルカリ金属塩化物電解に使用される、膜および電極、特にガス拡散電極を保護するための本発明によるキレート形成性交換体の使用に関する。この保護は、膜および電極に有害であるアルカリ土類金属および重金属の吸収の結果として生じる。
【0092】
本発明はさらに、アルカリ金属塩化物電解における膜処理の効率を上げるための本発明によるキレート形成性交換体の使用に関する。それ故、本発明はまた、本発明によるキレート形成性交換体を用いることによる、電解プロセスに有害であるアルカリ土類金属および重金属、特にカルシウムおよびバリウム、ならびにまた亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、銅、クロムおよびマンガンの吸着によるアルカリ金属塩化物電解プロセスの効率の増加方法に関する。
【0093】
脱塩水は、本発明の目的のためには、0.1〜10μSの導電率を有することによって特徴づけられ、ここで、可溶性金属イオンの含有率は、個々の成分としてのFe、Co、Ni、Mo、Cr、Cuについては1ppm以下、好ましくは0.5ppm以下、そして前記金属の合計については10ppm以下、好ましくは1ppm以下である。
【0094】
[樹脂のキレート基の量−総容量(TC)の測定]
濾過カラムに100mlの交換体を充填し、カラムを1.5時間で3重量%濃度の塩酸で溶出する。次にカラムを、溶出液が中性になるまで脱塩水で洗浄する。
【0095】
50mlの再生されたイオン交換体で充填したカラムに、0.1N水酸化ナトリウム溶液(=0.1規定水酸化ナトリウム溶液)を装入する。溶出液を各場合に250mlの測定フラスコに集め、総量を1N塩酸でメチルオレンジに対して滴定する。
【0096】
250mlの溶出液が24.5〜25mlの1N塩酸を消費するまで、アプライを続ける。試験が完了した後に、Na形の交換体の容積を測定する。
【0097】
総容量(TC)=(X・25−ΣV)・2・10−2(交換体の1リットル当たりのモル単位で)
X=溶出液分画の数
ΣV=溶出液の滴定での1N塩酸のml単位での総消費量
【0098】
[中央孔径の測定]
中央孔径および粒度分布は、特にDIN 66133によって明記されるように、Hg−ポロシメトリによって測定する。
【0099】
[ビーズ径の測定]
先ず、撹拌容器に5リットルの脱塩水を満たし、撹拌機を100rpmの回転速度に設定する(図2を参照されたい)。
【0100】
撹拌容器のメインコックを次に開き、空気泡が測定センサー中へ通ることがないよう注意を払う。
【0101】
プログラム開始後に、全部で約1000個のイオン交換体ビーズを、約100個のビーズずつ撹拌容器に注意深く加える。
【0102】
図2は、中央ビーズ径を測定するための測定装置を例として示す。
【0103】
図2において、
X=脱塩水のための供給
Y=攪拌機
Z=オーバーフロー
R=測定センサー、HCB 250
A=溶出液
P=PMT 2120測定計数器
B=篩
R=パソコン
D=プリンター
B=遮断弁
T=キーボード
【0104】
[マニュアル評価]
粒度分布のマニュアル描写は、粒度格子(例えばSelecta No.421 1/2 A4、Schleicher & Schuell)上に測定された篩画分の容積パーセントをプロットし、曲線を形成するために個々のプロット点を結ぶことによって行われる。
横座標:%単位の個々の篩での残留物合計
縦座標:mm単位の粒径
【0105】
得られた曲線に対して、元の線のセグメントにできるだけ接近する直線を引く。これらの直線とそれぞれ90%および40%残留物についての垂線との交点は、mm単位の値を与える。
【0106】
90%残留物についての値は有効粒径である。
【0107】
40%残留物についてグラフから求められた値を有効粒径で割ると、均等係数が得られる。
【0108】
先ず、撹拌容器に5リットルの脱塩水を満たし、撹拌機を100rpmの回転速度に設定する。PMT装置、電子データ処理装置およびプリンターを、次に、PMT−2120操作ハンドブックおよびPAMASソフトウェア(バージョン2.11)に従って操作する。
【0109】
撹拌容器のメインコックを次に開き、空気泡が測定センサー中へ通らないよう注意を払う。
【0110】
プログラム開始後に、全部で約1000個のイオン交換体ビーズを、約100個のビーズずつ撹拌容器に注意深く加える。これは結果の歪曲をもたらすので、多過ぎるビーズが検出器へ通らないよう注意を払う。加えて、ビーズ凝集が起こらないよう注意を払う。測定は一般に7〜10分を要する。
【0111】
[計算]
a)オートマチック評価
プログラム終了後に、オートマチック評価が、粒度分布、有効粒径および均等係数の測定を始める。
b)マニュアル評価
粒度分布のマニュアル描写は、粒度格子(例えばSelecta No.421 1/2 A4、Schleicher & Schuell)上に測定された篩画分の容積百分率をプロットし、曲線を作るために個々のプロット点を結ぶことによって進行する。
横座標:%単位の個々の篩での残留物合計
縦座標:mm単位の粒径
【0112】
得られた曲線に対して、元の線のセグメントにできるだけ接近する直線を引く。これらの直線とそれぞれ90%および40%残留物についての垂線との交点は、mm単位の値を与える。
【0113】
90%残留物についての値は有効粒径である。
【0114】
40%残留物についてグラフから求められた値を有効粒径で割ると、均等係数が得られる。
【0115】
[水銀細孔容積の測定]
細孔容積を、特にDIN 66135に明記されるように、Hg−ポロシメトリによって測定する。
【実施例】
【0116】
[実施例1]
1a)スチレン、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレンをベースとする単分散マクロ多孔性ポリマービーズの製造
10リットルのガラス反応器に、3000gの脱塩水を装入し、320gの脱塩水中の10gのゼラチン、16gのリン酸水素二ナトリウム12水和物および0.73gのレゾルシノールの溶液を加え、混合した。混合物を加熱し、25℃に維持した。撹拌しながら、その後、3.6重量%のジビニルベンゼンおよび0.9重量%のエチルスチレン(80%ジビニルベンゼンを含むジビニルベンゼンとエチルスチレンとの市販の異性体混合物として使用される)、0.5重量%のジベンゾイルペルオキシド、56.2重量%のスチレンおよび38.8重量%のイソドデカン(ペンタメチルヘプタンの高い割合を有する工業的異性体混合物)の、狭い粒度分布を有する3200gのマイクロカプセル化モノマー液滴であって、マイクロカプセルがゼラチンおよびアクリルアミドとアクリル酸とのコポリマーのホルムアルデヒド硬化コンプレックス・コアセルベートからなるモノマー液滴と、12のpHを有する3200gの水相との混合物を加えた。モノマー液滴の中央粒径は260μmであった。
【0117】
このバッチを、25℃に始まり、そして95℃で終わる温度プログラムに従った温度上昇によって撹拌しながら完結まで重合させた。バッチを冷却し、32μm篩上で洗浄し、その後80℃で真空乾燥させた。240μmの中央粒径、狭い粒度分布および滑らかな表面を有する1893gの球形ポリマーを生成した。
【0118】
このポリマーはチョークのような白色外観を有し、約350g/lの嵩密度を有する。
【0119】
1b)アミドメチル化ポリマービーズの製造
室温で、3855gのジクロロエタン、875.4gのフタルイミドおよび615.6gの29.6重量%濃度のホルマリンを装入した。この懸濁液のpHを、水酸化ナトリウム溶液を使用して5.5〜6に設定した。その後、水を蒸留によって除去した。次に、64.2gの硫酸を加えた。生じた水を蒸留によって除去した。バッチを冷却した。30℃で、271.2gの65%濃度の発煙硫酸、その後、37.1gのプロセス工程1a)により生成した単分散ポリマービーズを加えた。懸濁液を30℃でさらに2時間撹拌した。次に、30分の間に、さらなる334.3gのプロセス工程1a)により生成した単分散ポリマービーズを加えた。懸濁液を70℃に加熱し、この温度でさらに6.5時間撹拌した。反応液を離水し、脱塩水を加え、残存量のジクロロエタンを蒸留によって除去した。
アミドメチル化ポリマービーズの収量:2570ml
元素分析による組成:
炭素:73.6重量%;
水素: 4.7重量%;
窒素: 6.1重量%;
残り: 酸素。
【0120】
1c)アミノメチル化ポリマービーズの製造
反応器で、819.1mlの50重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液を、脱塩水で3048mlの総容積に構成した。これに、室温で2540mlの1b)からのアミドメチル化ポリマービーズを加えた。この懸濁液を180℃に2時間加熱し、この温度で8時間撹拌した。得られたポリマービーズを脱塩水で洗浄した。
収量:2100ml
元素分析による組成:
窒素:12.0重量%;
炭素:74.1重量%;
水素: 8.1重量%;
酸素: 4.8重量%
塩基性基の量の測定:樹脂の1リットル当たり2.33モル
【0121】
アミノメチル化ポリマービーズの元素組成から、芳香環(スチレンおよびジビニルベンゼン単位に由来する)当たりの統計的平均で、1.36個の水素原子がアミノメチル基で置換されたと計算することができる。
【0122】
1d)イミノ二酢酸基を有するキレート樹脂の製造
反応器に、室温で474mlの脱塩水を装入した。これに、450mlの実施例1c)からのアミノメチル化ポリマービーズを加えた。この懸濁液を90℃に加熱した。4時間にわたって、408.7グラムの80重量%濃度の水性クロロ酢酸を計量供給した。この場合に、懸濁液のpHを、50重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液の定量供給添加によってpH9.2に保つ。その後、懸濁液を95℃に加熱した。pHを、水酸化ナトリウム溶液の定量供給添加によって10.5に調整する。撹拌を、95℃およびpH10.5で6時間実施した。その後、バッチを冷却した。得られたキレート樹脂を脱塩水で篩上にて洗浄した。
収量:830ml
供給ポリマービーズの1グラム当たりの最終生成物の膨張係数ml:10.55
窒素含有率:5.3重量%
中央ビーズ径:400μ
キレート基の量(総容量):3.11モル/l
圧入水銀細孔容積:856mm/g
気孔率:57%
中央孔径:82nm
200サイクル膨潤安定性試験での樹脂安定性:99%無傷ビーズ。
【0123】
【表1】

【0124】
測光プロセス分析計を使用して、濾過された30%濃度のNaCl溶液中のカルシウム濃度を1時間毎に測定した。濾液中のカルシウム濃度が20μgのCa/リットルを著しく超えたときに実験を終了した。
【0125】
この時点で達成された濾過容積および既知のカルシウム供給濃度に基づいて、樹脂のカルシウムに対する動的吸収容量と称されるものを、これらの実験条件に関して求めた。
【0126】
結果:
標準粒径(φ0.65mm±0.05mm)でのカルシウムの動的吸収容量:8.2gのCa/リットル
微細粒径(φ0.40mm±0.05mm)のカルシウムに対する動的吸収容量:18.4gのCa/リットル
【0127】
本発明による微粒子のキレート樹脂は、欧州特許出願公開第1 078 690 A2号明細書による標準粒径の市販のLewatit(登録商標)Monoplus TP208より2.2倍高いカルシウムに対する動的吸収容量を有する。
【0128】
[実施例2]
欧州特許出願公開第1 078 690 A2号明細書によるイミノ二酢酸基を有するキレート樹脂(中央ビーズ径0.65mm±0.05mm)と比較した、イミノ二酢酸基を有するキレート樹脂(中央ビーズ径0.40mm±0.05mm)を使用する30%濃度の塩化ナトリウム溶液からのバリウム除去。
【0129】
実験の説明:
蠕動ポンプを用いて、ブラインを、測定されるべき様々な粒径のイオン交換体上に連続的にポンプ送液した。
【0130】
次の実験パラメーターをここでは考慮した:
供給濃度: 14mgCa/リットル
供給濃度: 1mgBa/リットル
供給pH: 8.2
供給速度: 20BV/時
カラム温度: 60℃
破過濃度: 20μgCa/リットル
樹脂の使用量: 100ml
樹脂形: Na形
【0131】
実験手順は実施例1に記載されたように進行した。測光プロセス分析計を使用して、濾過された30%濃度のNaCl溶液中のバリウム濃度を1時間毎に測定した(BV=ベッド体積)。
【0132】
結果:
イミノ二酢酸基を有する本発明による微細分散キレート樹脂(中央ビーズ径0.40mm±0.05mm)は、溶出液中のバリウムイオンの濃度を10〜30ppbの範囲の値に低減する。
【0133】
欧州特許出願公開第1 078 690 A2号明細書によるイミノ二酢酸基を有する通常粒径キレート樹脂(中央ビーズ径0.65mm±0.05mm)は、溶出液中のバリウムイオンの濃度を100〜70ppbの範囲の値に低減する。
【0134】
イミノ二酢酸基を有する本発明による微細分散キレート樹脂は、欧州特許出願公開第1 078 690 A2号明細書による通常粒径キレート樹脂よりはるかにより良好に著しく低い残存含有率まで塩化ナトリウムブライン中のバリウム濃度を低減する。
【0135】
[実施例3]
欧州特許出願公開第1 078 690 A2号明細書によるイミノ二酢酸基を有するキレート樹脂(中央ビーズ径φ0.65mm±0.05mm)と比較した、イミノ二酢酸基を有するキレート樹脂(中央ビーズ径0.40mm±0.05mm)を使用する30%濃度の塩化ナトリウム溶液からのカルシウム除去
【0136】
実験の説明:
蠕動ポンプを用いて、ブラインを、測定されるべき様々な粒径のイオン交換体上に連続的にポンプ送液した。
【0137】
次の実験パラメーターをここでは考慮した:
供給濃度: 14mgCa/リットル
供給pH: 8.2
供給速度: 20BV/時
カラム温度: 60℃
破過濃度: 20μgCa/リットル
樹脂の使用量: 100ml
樹脂形: Na形
【0138】
実験的構造については図1を参照されたい:
A= 300gのNaCl/リットルのブラインリザーバ容器;400リットル容量
B= 300gのNaCl/リットルのブラインリザーバ容器;400リットル容量
C= 蠕動ポンプ
D= TIC(70℃)
E= ADI(カルシウム滴定)
F= 廃水
G= QIR
H= LIC
J= ブライン混合容器600リットル
K= 加熱可能なプレフィルター(操作温度70℃)
L= 加熱可能な濾過カラム(操作温度60℃)
M= ブライン移動ビーカー/ブラインは収集容器へ蠕動ポンプを用いて移動させた
TIC=温度指示調節計
ADI=Metrohm製のADI 2040プロセス分析計の省略形
QIR=品質表示記録計(この場合Qは濾液中のCa/Mg含有率である)
LIC=調節器付きの標準指圧器
【0139】
[実施例4]
イミノ酢酸基を有する実施例4および5に使用される2種のキレート樹脂の特性データの比較
【0140】
【表2】

【0141】
400μの中央ビーズ径を有するキレート樹脂は、650μの中央ビーズ径を有するキレート樹脂と比較して、樹脂安定性の損失を示すことなく、著しくより高い総容量ならびにまた細孔容積、気孔率および孔径の非常に高い値を示す。加えて、400μの中央ビーズ径を有するキレート樹脂は、650μを有するキレート樹脂と比較して、120%を越えるカルシウム吸収容量、ならびにまた、濾液中のカルシウムの量が20ppbを超えるまでのキレート樹脂ローディング時間の99%の延長を示す。加えて、微細ビーズキレート樹脂は、ブレイン中のバリウム濃度を著しくより低い残存値に低減する。
【0142】
[実施例5]
欧州特許出願公開第1 078 690 A2号明細書によるイミノ二酢酸基を有するキレート樹脂(中央ビーズ径φ0.65mm±0.05mm)と比較した、イミノ二酢酸基を有する、そしてカルシウムをローディングしたキレート樹脂(中央ビーズ径0.40mm±0.05mm)の増加した再生効率
【0143】
実施例4での2種のカルシウムイオンをローディングしたキレート樹脂を、2時間にわたってカルシウム−および他の二価カチオンを脱離させるために(再生)、2ベッド体積の7.5重量%濃度の塩酸で上部から溶出させ、次に4ベッド体積の脱塩水で上部から溶出させた。その後、キレート樹脂を遊離酸からナトリウム形に転化するために、2000mlの4重量%濃度の水性水酸化ナトリウム溶液で処理し、次に2ベッド体積の脱塩水で溶出させた。
【0144】
この方法で再生された2種のキレート樹脂を、塩化ナトリウムブラインからカルシウムイオンを除去するために、実施例4に記載されたように、再び使用した。
【0145】
結果:
標準粒径(φ0.65mm±0.05mm)のカルシウムに対する動的吸収容量:8.3gのCa/リットル
微細粒径(φ0.40mm±0.05mm)のカルシウムに対する動的吸収容量:21.4gのCa/リットル
【0146】
本発明による微細粒径キレート樹脂は、通常粒径のキレート樹脂と同じ量の再生酸(塩酸)で再生された後に、出発物よりカルシウムに対して実質的に3倍高い動的吸収容量を示した。
【0147】
それ故、同じ量の塩酸によって、微細粒径キレート樹脂の場合には、欧州特許出願公開第1 078 690 A2号明細書による標準粒径と比較して、カルシウムの量を2倍より多く脱離させ、その後(すなわち再生後)、微細粒径キレート樹脂は再び、塩化ナトリウムブラインから元の量よりさらに多くのカルシウムイオンを除去することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物および少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物およびまた少なくとも1種のポロジェンおよび少なくとも1種の開始剤または開始剤の組み合わせのモノマー液滴が、噴出原理またはシード供給原理によって反応させられて単分散架橋ポリマービーズを形成し、
b)前記単分散架橋ポリマービーズの1〜15重量%のサブ部分を、不活性溶媒中に存在するフタルイミド誘導体のSO付加体へ導入し、35℃以下の温度で1〜15時間撹拌し、ここで、遊離SOの量がフタルイミドの1モルを基準として0.28〜0.5モルであり、その後、ポリマービーズの残りの量を、不活性溶媒中に存在するフタルイミド誘導体のSO付加体へ30〜75℃の温度で導入することによって、ポリマービーズがフタルイミド誘導体でフタルイミドメチル化され、
c)前記フタルイミドメチル化ポリマービーズがアミノメチル化ポリマービーズに転化され、そして
d)前記アミノメチル化ポリマービーズが反応させられてキレート官能基を有するイオン交換体を形成する
ことを特徴とする、構造要素(I)
【化1】

(式中、
【化2】

はポリマー主鎖であり、Yは水素、ナトリウムまたはカリウムであり、Aは、水素、CHCOOH、CHCOONaまたはCHCOOKである)
で表されるキレート官能基を有する単分散イオン交換体の製造方法。
【請求項2】
2.7〜3.2モル/lの総容量TCおよび75〜90nmの中央粒径を有する、構造要素(I)
【化3】

(式中、
【化4】

はポリマー主鎖であり、Yは水素、ナトリウムまたはカリウムであり、Aは、水素、CHCOOH、CHCOONaまたはCHCOOKである)
のキレート官能基を有する単分散イオン交換体。
【請求項3】
a)少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物および少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物およびまた少なくとも1種のポロジェンおよび少なくとも1種の開始剤または開始剤の組み合わせのモノマー液滴を、噴出原理またはシード供給原理によって反応させて単分散架橋ポリマービーズを形成する工程と、
b)前記単分散架橋ポリマービーズの1〜15重量%のサブ部分を不活性溶媒中に存在するフタルイミド誘導体のSO付加体へ導入し、35℃以下の温度で1〜15時間撹拌し、ここで、遊離SOの量がフタルイミドの1モルを基準として0.28〜0.5モルであり、その後、ポリマービーズの残りの量を不活性溶媒中に存在するフタルイミド誘導体のSO付加体へ30〜75℃の温度で導入することによって、ポリマービーズをフタルイミド誘導体でフタルイミドメチル化する工程と、
c)前記フタルイミドメチル化ポリマービーズをアミノメチル化ポリマービーズに転化する工程と、
d)前記アミノメチル化ポリマービーズを反応させてキレート官能基を有するイオン交換体を形成する工程と
によって得られる、請求項2に記載のキレート官能基を有する単分散イオン交換体。
【請求項4】
金属の吸着のための請求項2または3に記載のキレート形成性交換体の使用。
【請求項5】
前記金属がアルカリ土類金属、重金属もしくは貴金属またはそれらの化合物であることを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記金属が水溶液および有機液体から吸着されることを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記水溶液がアルカリ土類金属もしくはアルカリ金属の溶液またはアルカリ金属塩化物電解用のブラインであることを特徴とする請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記金属がアルカリ金属塩化物電解用のブラインからのアルカリ土類金属であることを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項9】
前記重金属および貴金属が水銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛、カドミウム、マンガン、ウラン、バナジウム、白金族の元素、およびまた金または銀であることを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項10】
前記アルカリ土類金属が金属マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウムであることを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項11】
アルカリ金属塩化物電解用のブラインからのバリウムの選択的除去と同時に、著しく改善されるカルシウム吸着に関することを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記アルカリ土類金属の吸着がアルカリ金属塩化物電解において膜処理の効率を上げるために進行することを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項13】
前記金属の吸着がアルカリ金属塩化物電解において膜および電極を保護するために進行することを特徴とする請求項7に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−137136(P2011−137136A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−218847(P2010−218847)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】