説明

キースイッチ構造

【課題】押下した際に接点部を確実に導通させることができるキースイッチ構造を提供すること。
【解決手段】キートップ12の長手方向に沿って補強用アームバーを配置し、この補強用アームバー58をキートップ12に対して揺動可能に支持すると共に、一部分をバックプレート28側に延ばしてバックプレート28側の端部をバックプレート28に揺動可能に支持する。バックプレート28には、リンク機構18の突起受け64を押圧する突起62を設ける。キートップ12を押下すると、アームバー58の突起62がリンク機構18の突起受け64を押下する。これにより、キートップ12でラバードーム20が確実に押され、接点部30が確実に押される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キースイッチ構造にかかり、特には、キートップが長方形の場合に好適なキースイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キートップ、押下時にキートップを押下方向に移動するようにガイドするリンク機構、キートップの押下により導通する接点部、リンク機構を支持するバックプレート、キートップとバックプレートとの間に設けられ、キートップの押下により圧縮され接点部を押圧し導通させると共に、キートップをバックプレートから離間する方向に付勢する弾性部材を備えた一般的なキースイッチ構造では、キートップを押下すると、リンク機構がキートップを押下方向に移動するようにガイドする(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−049110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、キーボードが小型化、薄型を追求したものである場合、スペースキー等の長方形のキートップにおいては、構成する部品も薄肉化され強度不足となり、キートップの長手方向端部を押下するとキートップが曲げ変形する場合がある。このため、リンク機構に押下力を効率的に伝達することができず、リンク機構によるキートップのガイドがうまく行かない場合があり、押下した際の接点部を確実に導通させることが困難となる。
【0005】
このため、キートップに補強を入れることが考えられるが、キースイッチ構造が薄型を追求したものである場合、キートップの厚みを増やす事無く補強を入れるにも限界がある。
また、キートップにアームバーを入れ、アームバーを湾曲させて強度を持たせた場合には、キースイッチの全高がアップしてしまうと共に、キートップがアームバーに沿って変形してしまう問題がある。
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、押下した際に接点部を確実に導通させることができるキースイッチ構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであって、請求項1に記載のキースイッチ構造は、キートップと、押下時に前記キートップを押下方向に移動するようにガイドするリンク機構と、前記キートップの押下により導通する接点部と、キートップを前記リンク機構を介して支持するバックプレートと、前記キートップと前記バックプレートとの間に設けられ、前記キートップの押下により圧縮され前記接点部を押圧し導通させると共に、前記キートップを前記バックプレートから離間する方向に付勢する弾性部材と、前記キートップの長手方向に沿って配置されると共に前記キートップに対して揺動可能に支持され、一部分が前記バックプレート側に延びてバックプレート側の端部が前記バックプレートに支持される補強用アームバーと、前記補強用アームバーに設けられ、前記キートップの押下時に前記リンク機構を押下する押下部と、を有する。
【0007】
請求項1に記載のキースイッチ構造では、キートップを押下すると、リンク機構がキートップを押下方向に移動するようにガイドする。キートップが押下されることで、弾性部材は圧縮され、接点部が導通する。
【0008】
補強用アームバーは、キートップの長手方向に沿って配置されているので、押下時のキートップの変形(特には長手方向の曲げ変形)を抑えることができる。長方形のキートップの長手方向端部を押下した際、長手方向端部を押下した力は、一部はキートップを介してリンク機構に伝達されるが、その他の一部はキートップの長手方向に沿って配置された補強用アームバーから押下部を介してリンク機構に伝達されるので、押下力をリンク機構へ確実に伝達することができる。
【0009】
これにより、キートップの押下時に、弾性体を確実に圧縮し、接点部を確実に導通させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のキースイッチ構造において、前記押下部は、前記補強用アームバーから突出して形成された突起である。
【0011】
請求項2に記載のキースイッチ構造では、キートップを押下すると、補強用アームバーの突起がリンク機構を押下する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のキースイッチ構造において、前記突起は、前記補強用アームバーの一部を変形させて形成されている。
【0013】
請求項3に記載のキースイッチ構造では、補強用アームバーの突起が補強用アームバーの一部を変形させて形成されており、補強用アームバーの一部を変形させて形成された突起がリンク機構を押下する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のキースイッチ構造において、前記突起は、前記補強用アームバーとは別部材から形成されている。
【0015】
請求項4に記載のキースイッチ構造では、補強用アームバーの突起が補強用アームバーに設けられた別部材から形成されており、この別部材がリンク機構を押下する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のキースイッチ構造において、前記押下部は、前記リンク機構を構成するリンク部材の側部から突出する被押下部を押圧する。
【0017】
請求項5に記載のキースイッチ構造では、キートップを押下すると、アームバーの押下部が、リンク機構を構成するリンク部材の側部から突出する被押下部を押圧する。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のキースイッチ構造において、前記キートップには、前記補強用アームバーの一部を挟持する一対の爪を有する。
【0019】
請求項6に記載のキースイッチ構造では、キートップの一対の爪が補強用アームバーの一部を挟持することで、補強用アームバーをキートップの予め設定した所定位置に位置決めしつつ、揺動可能に支持することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明のキースイッチ構造によれば、押下した際に接点部を確実に導通させることができる、という優れた効果がある。
【0021】
請求項2に記載のキースイッチ構造によれば、補強用アームバーの突起でリンク機構を確実に押下することができ、これにより、接点部を確実に導通させることができる。
【0022】
請求項3に記載のキースイッチ構造によれば、簡単な構造で突起を形成することができる。
【0023】
請求項4に記載のキースイッチ構造によれば、所望の大きさの突起を形成することができる。
【0024】
請求項5に記載のキースイッチ構造によれば、アームバーの押下部がリンク機構を構成するリンク部材の側部から突出する被押下部を押圧する構成とされているので、被押下部がリンク機構の上部に設けられる場合に比較してキースイッチ構造の全高を抑えることができる。
【0025】
請求項6に記載のキースイッチ構造によれば、補強用アームバーをキートップの所定位置に位置決めしつつ、揺動可能に支持するので、補強用アームバーの押下部でリンク機構を確実に押下することができ、これにより、接点部を確実に導通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係るキースイッチ構造の分解斜視図である。
【図2】キースイッチ構造の内部を示す平面図である。
【図3】キースイッチ構造の断面図である。
【図4】(A)は第1ホルダの側面図あり、(B)は第1ホルダの平面図であり、(C)は第1ホルダの側面図である。
【図5】ラバードームの断面図である。
【図6】(A)はキートップの平面図であり、(B)は図6(A)のB−B線断面図であり、(C)は図6(A)のC−C線断面図であり、(D)は図6(A)のD−D線断面図である。
【図7】キートップの裏面側から見た斜視図である。
【図8】(A)は第1リンク部材の側面図であり、(B)は第1リンク部材の平面図であり、(C)は第1のリンク部材の側面図である。
【図9】(A)は第2リンク部材の側面図であり、(B)は第2リンク部材の平面図であり、(C)は第2のリンク部材の側面図である。
【図10】(A)は第1リンク部材とアームバーの平面図であり、(B)は第1リンク部材とアームバーの通常時の側面図であり、(C)は第1リンク部材とアームバーの押下時の側面図である。
【図11】キートップ押下時のアームバー及び第1リンク部材の断面図である。
【図12】キートップの断面図である。
【図13】(A)は第2の実施形態に係るアームバーの平面図であり、(B)はアームバー及び第1リンク部材の断面図である。
【図14】第3の実施形態に係るキースイッチ構造の内部を示す平面図である。
【図15】キースイッチ構造の断面図である。
【図16】キースイッチの断面図である。
【図17】キートップ押下時のアームバー及び第1リンク部材の断面図である。
【図18】(A)は第3の実施形態に係る第1リンク部材の側面図であり、(B)は第3の実施形態に係る第1リンク部材の平面図であり、(C)は第3の実施形態に係る第1のリンク部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明によるキースイッチ構造10の第1の実施形態について説明する。
図1〜図3に示すように、本実施の形態のキースイッチ構造は、キートップ12、第1リンク部材14と第2リンク部材16とを含んで構成されるリンク機構18、弾性部材としてのラバードーム20、メンブレンシート22、第1ホルダ24及び第2ホルダ26が取り付けられたバックプレート28等を含んで構成されている。
【0028】
バックプレート28は金属製あるいは硬質の樹脂製など、ある程度の硬度と剛性を備えた素材で形成された板材であり、メンブレンシート22は図示しないスペーサシートを挟んで配線パターンが印刷された2枚のシート、すなわち図示しない上部シートと下部シートとが貼合された構成とされており、バックプレート28の表面に貼付される柔軟な素材で形成されている。
【0029】
第1ホルダ24、第2ホルダ26の位置に合わせてメンブレンシート22に設けられた穴(図示省略)がそれぞれ第1ホルダ24、第2ホルダ26を突出させ、バックプレート28上にメンブレンシート22が貼付されている。
(第1ホルダ24)
図4(A)〜(C)に示すように、第1ホルダ24は、矩形の枠状を呈しており、下面にはバックプレート28に形成された孔(図示せず)に挿入されて第1ホルダ24をバックプレート28に固定するためのピン24Aが形成されている。
【0030】
第1ホルダ24の互いに平行とされる辺24Bには、上方に向けて開口し、かつ矢印B方向に延びるヒンジ溝44が形成されている。
第1ホルダ24の一方の辺24Bと他方の辺24Bとは、一端側が連結部24Cで連結され、他端側が連結部24Dで連結されている。連結部24Cには突起24Eが形成されており、この突起24Eの端部には、枠外側へ向けて開口する溝48が形成されている。
【0031】
図5に示すようにメンブレンシート22の中央には接点部30が設けられている。この接点部30の上側においてメンブレンシート22にラバードーム20が接着剤などで固定されている。ラバードーム20はゴム等を素材として略カップ状に形成され、上部中央に嵌合穴20Aを有し、内面の中央部には接点押下部20Bがメンブレンシート22に向けて突出形成されている。
【0032】
キートップ12(図5では図示せず)が押下されることにより、キートップ12は、リンク機構18(図5では図示せず)の作用によってメンブレンシート22(バックプレート28)に向けて平行を保ちながら移動してラバードーム20が圧縮変形すると共に、内部に形成されている接点押下部20Bがメンブレンシート22の接点部30を押圧する。
【0033】
接点部30はメンブレンシート22の、図示しないスペーサシートを挟んで貼合された図示しない上部シートと下部シートの、対向するそれぞれの箇所に電気接点が配置されており、メンブレンシート22が厚さ方向に押圧されると、上部シートと下部シートに設けられ対向するふたつの電気接点が接触して電気的に接続し、スイッチとして閉成状態となる。
【0034】
キートップ12の押下を解除すると、各構成部品はラバードーム20とメンブレンシート22との復元力(弾性)によって元の状態に戻り、メンブレンシート22の接点部30が接触を失い、電気的接触が絶たれるためスイッチは開放状態となる。
【0035】
(キートップ12)
図1、図6、及び図7に示すように、キートップ12の裏側(メンブレンシート22に対向する側)には、第2リンク部材16の他端側に設けられた回転軸32を回転可能に支持する回転支持部34と、後述する第1リンク部材14の一端側に設けられた摺動ピン36を回転可能かつ水平方向(キートップ12の裏面に沿った方向)に平行移動(運動)可能に支持するスライド支持部38とが設けられている。
本実施形態のキートップ12は合成樹脂の成形品である。
【0036】
(第1リンク部材14)
図1及び図8に示すように、第1リンク部材14は、中央に後述する第2リンク部材16の逃げ孔が形成された枠形状とされている。
【0037】
図8に示すように、第1リンク部材14の互いに平行とされる辺14Aは、一端側が連結部材14Bで連結され、他端側が連結部材14Cで連結されている。
第1リンク部材14の辺14Aの外側面には、一端側に摺動ピン36が設けられ、他端側にヒンジピン42が設けられている。
【0038】
図2、及び図3に示すように、第1リンク部材14のヒンジピン42は、バックプレート28に設けた第1ホルダ24のヒンジ溝44に挿入されて回転可能に保持されている。したがって、第1リンク部材14は、ヒンジ溝44に挿入されたヒンジピン42の軸心を中心として揺動可能となっている。
【0039】
第1リンク部材14の摺動ピン36は、キートップ12の裏側に設けたスライド支持部38のスライド用の溝45に挿入され、溝45に対して回転可能かつ水平方向(図面矢印A方向、キートップ12の裏面に沿った方向)に平行移動(運動)可能に保持されている。
【0040】
図2、図8、及び図9に示すように、第1リンク部材14の辺14Aの内側面には、長手方向中央部に、後述する第2リンク部材16のヒンジ穴40に挿入されるヒンジ軸43が設けられている。
なお、本実施形態の第1リンク部材14は、合成樹脂の成形品である。
【0041】
(第2リンク部材16)
図1、図2、及び図9に示すように、第2リンク部材16は、中央にラバードーム20の逃げ孔が形成された枠形状とされている。
図9に示すように、第2リンク部材16の互いに平行とされる辺16Aには、中央付近の外面に、第1リンク部材14のヒンジ軸43が挿入されるヒンジ穴40が設けられている。
なお、第2リンク部材16の一方の辺16Aと他方の辺16Aとは、一端側がスライドピン46で連結され、他端側が回転軸32で連結されている。
【0042】
図3に示すように、回転軸32は、キートップ12の裏側に設けられた回転支持部34のヒンジ溝34Aに挿入されて回転可能に保持されている。したがって、第2リンク部材16は、ヒンジ溝34Aに挿入された回転軸32の軸心を中心として揺動可能となっている。
【0043】
図3、及び図4に示すように、第2リンク部材16のスライドピン46は、バックプレート28に設けた第1ホルダ24のスライド用の溝48に挿入され、溝48に対して回転可能かつ水平方向(図面矢印A方向、メンブレンシート22の表面に沿った方向)に平行移動(運動)可能に保持されている。
【0044】
図1、及び図2に示すように、第1リンク部材14と第2リンク部材16とは、第1リンク部材14の内側に第2リンク部材16が嵌り込む入れ子構造となっており、第1リンク部材14のヒンジ軸43が第2リンク部材16のヒンジ穴40に回転可能に挿入されて、これら第2リンク部材16と第1リンク部材14とでパンタグラフ方式(X字状)のリンク機構18を構成している。
【0045】
これにより、キートップ12が押下された際、ヒンジ穴40に回転可能に支持されたヒンジ軸43はキートップ12およびバックプレート28に対する位置は変わらず、その場所で回転するのみであるのに対して、スライドピン46、及び摺動ピン36は、キートップ12が押下されるに従ってメンブレンシート22上およびキートップ12裏側を移動する。
なお、本実施形態の第2リンク部材16は、合成樹脂の成形品である。
【0046】
(キートップ、及びアームバー)
図6、及び図7に示すように、キートップ12には、外周に沿ってキートップ12の箱状デザインを兼ねた補強用のリブ50が形成されている。
また、キートップ12の裏面側には、長手方向の両端付近に、矢印B方向に延びるリブ52が形成されており、リブ52の中間部分が矢印A方向に延びるリブ54によって外周のリブ50と連結されている。
【0047】
キートップ12の裏面側には、キートップ12の矢印B方向の一方側の両方の角部付近に、各々一対の爪56Bからなる挟持爪部56が形成されている。この挟持爪部56には一対の爪56Bの間にヒンジ溝56Aが形成されており、このヒンジ溝56Aに断面円形の金属線、例えばステンレス線等から形成されるアームバー58が揺動自在に挿入されている。
【0048】
したがって、挟持爪部56は、アームバー58を揺動自在に支持していると共に、キートップ12の予め決められた位置にアームバー58を位置決めしている。
図7及び図10に示すように、アームバー58は、全体的にコ字形状を呈しており、キートップ12の長手方向に沿って配置される長尺部58Aと、長尺部58Aの両端から直角に延びる短尺部58Bと、短尺部58Bの先端から直角に延びるヒンジ部58Cとを含んで構成されている。
【0049】
長尺部58Aは補強用のリブ50の長尺辺に沿って配置され、短尺部58Bは補強用のリブ50の短尺辺に沿って配置されている。
挟持爪部56のヒンジ溝56Aには、アームバー58の長尺部58Aが回動自在に支持されており、アームバー58は長尺部58Aの軸心を中心として揺動可能となっている。
【0050】
図1、及び図2に示すように、アームバー58のヒンジ部58Cは、バックプレート28に取り付けられた第2ホルダ26の角穴状の凹部60に回転、及びバックプレート28に沿ってスライド自在(矢印B方向)に挿入されている。
図2、図10、及び図11に示すように、アームバー58の長尺部58Aには、長手方向中央部に、リンク機構18に向けて突出する突起62が形成されている。本実施形態の突起62は、長尺部58Aの一部をプレス機で押し潰すことで形成されている。
【0051】
図7、図11、及び図12に示すように、キートップ12の裏面側には、突起62の突出方向と反対側に、突起状のアームバー受け63が形成されている。アームバー受け63には、円弧状曲面(半径R)を有する凹状の円弧状ガイド面63Aが形成されており、この円弧状ガイド面63Aにアームバー58の長尺部58Aが回転方向に摺動可能に支持されている。
【0052】
図1、図2、図10、及び図11に示すように、第1リンク部材14の一方の辺14Aの側部には、アームバー58の突起62と対向する位置に、突起受け64が突出形成されている。なお、第1リンク部材14の突起受け64は、アームバー58の突起62よりも下側(バックプレート28側)に位置しており、キートップ12を平面視するように突起62及び突起受け64を見ると、突起62は、突起受け64の上を覆うように配置されている。
【0053】
図11に示すように、通常は、図11の2点鎖線で示すように、突起62は突起受け64の上方に離れているが、アームバー58の長尺部58Aが下方(バックプレート28側)に移動されると、図11の実線で示すように突起受け64に接触し、第1リンク部材14の突起受け64を押下するようになっている。
【0054】
図2、及び図6に示すように、リブ52にはアームバー58の長尺部18Aを逃げる切欠状の逃げ66が形成されており、リブ54にはアームバー58の短尺部18Bを逃げる切欠状の逃げ68が形成されている。
【0055】
(作用)
本実施形態のキースイッチ構造10によれば、キートップ12を押下すると、キートップ12はリンク機構18の作用によってメンブレンシート22(バックプレート28)に向けて平行を保ちながら移動してラバードーム20を圧縮変形させ、接点押下部20Bがメンブレンシート22の接点部30を押圧してスイッチとして閉成状態とすることができる。
【0056】
ところで、キートップ12の長手方向端部を押圧した際に、キートップ12が変形してリンク機構18へ押下力が上手く伝達され難い場合が考えられる。
しかしながら、本実施形態のキースイッチ構造10によれば、例えば、キートップ12の長手方向端部を押圧した際に、押下力を、キートップ12を介してリンク機構18へ伝達する他、アームバー58を介してもリンク機構18へ伝達することができる。
【0057】
即ち、キートップ12を押下すると、金属線からなる剛性の高いアームバー58が揺動し、アームバー58の突起62が第1リンク部材14の突起受け64に接触(図10(C)、及び図11参照)してリンク機構18を押し縮めてリンク機構18の高さを低くし、キートップ12の変形を抑えつつキートップ12全体をリンク機構18の作用によってメンブレンシート22(バックプレート28)に向けて平行を保ちながら移動させ、ラバードーム20を圧縮変形させて接点押下部20Bで接点部30を確実に押圧することが出来る。このため、キースイッチ構造10としての良好な動作を得ることが出来、また、キースイッチ構造10の薄型化も可能となる。
【0058】
なお、キートップ12から手を離すと、キートップ12は、ラバードーム20及びリンク機構18の作用によってメンブレンシート22(バックプレート28)から離れる方向に平行を保ちながら初期の高さまで復帰し、接点押下部20Bはメンブレンシート22の接点部30から離間してスイッチとしては開放状態となる。
【0059】
[第2の実施形態]
次に、本発明のキースイッチ構造の第2の実施形態を図13にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図13に示すように、本実施形態のキースイッチ構造10では、アームバー58の構造が第1の実施形態と若干異なっている。
【0060】
本実施形態のアームバー58では、長尺部58Aの中央部に、合成樹脂からなる突起形成部材70が一体的に形成されている。
突起形成部材70には、第1リンク部材14の突起受け64を押圧する突起70Aが形成されている。
なお、長尺部58Aには、突起形成部材70の形成されている部分に、回り止めの溝72が形成されている。
本実施形態のアームバー58においても、第1の実施形態と同様に、キートップ12を押下した際に、突起70Aで第1リンク部材14の突起受け64を押圧することが出来る。
【0061】
[第3の実施形態]
次に、本発明のキースイッチ構造の第3の実施形態を図14乃至図18にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図14、及び図15に示すように、本実施形態のキースイッチ構造10では、アームバー58の反対側に、アームバー58と略同一構成のアームバー78が設けられている。なお、図14に示すアームバー78において、符号78Aは長尺部、符号78Bは短尺部、符号78Cはヒンジ部である。
【0062】
本実施形態のキートップ12には、第2ホルダ26と同一構成の第3ホルダ80が形成されており、この第3ホルダ80には、第2ホルダ26の凹部60と同様の凹部82が形成されている。凹部82には、アームバー78のヒンジ部78Cが挿入されている。
【0063】
図14、及び図16に示すように、キートップ12には、アームバー受け63とは反対側にアームバー受け63と同様の形状のアームバー受け74が形成されており、挟持爪部56の反対側に挟持爪部56と同様の形状の挟持爪部76が形成されている。なお、符号74Aは円弧状ガイド面である。また、符号76Aはヒンジ溝である。
【0064】
挟持爪部76のヒンジ溝76Aに、断面円形の金属線、例えばステンレス線等から形成されるアームバー78が揺動自在に支持されている。
図14、及び図17に示すように、アームバー78の長尺部78Aの中央部には、アームバー58の突起62と同様の突起84が形成されている。
【0065】
図18に示すように、本実施形態の第1リンク部材14は、第1の実施形態と異なり、両側に突起受け64が形成されており、左右対称形状となっている。
本実施形態のキースイッチ構造10では、キートップ12の幅方向の一方の側にアームバー58が設けられ、他方の側にアームバー78が設けられ、アームバー58の突起62とアームバー78の突起84が、第1リンク部材14の両方の突起64を押下するので、第1の実施形態よりもより確実にリンク機構18を押し縮めることができる。てリンク機構18の高さを低くし、キートップ12の変形を抑えつつキートップ12全体をリンク機構18の作用によってメンブレンシート22(バックプレート28)に向けて平行を保ちながら移動させ、ラバードーム20を圧縮変形させて接点押下部20Bで接点部30を確実に押圧することが出来る。
【0066】
[その他の実施形態]
上記実施形態のキースイッチ構造10では、一つのキートップ12に対して一つのリンク機構18が設けられていたが、キートップ12が長い場合には、キートップ12の長手方向にリンク機構18を複数個設けても良い。
【0067】
以上、本発明の実施例について記述したが、本発明は上記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。例えば本発明はキースイッチ構造に関するものであるが、これ以外にもリンク部材を用いた可動部品の構造に応用することもできる。
【符号の説明】
【0068】
10 キースイッチ構造
12 キートップ
18 リンク機構
20 ラバードーム
28 バックプレート
30 接点部
58 アームバー
62 突起(押下部)
70 突起形成部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップと、
押下時に前記キートップを押下方向に移動するようにガイドするリンク機構と、
前記キートップの押下により導通する接点部と、
キートップを前記リンク機構を介して支持するバックプレートと、
前記キートップと前記バックプレートとの間に設けられ、前記キートップの押下により圧縮され前記接点部を押圧し導通させると共に、前記キートップを前記バックプレートから離間する方向に付勢する弾性部材と、
前記キートップの長手方向に沿って配置されると共に前記キートップに対して揺動可能に支持され、一部分が前記バックプレート側に延びてバックプレート側の端部が前記バックプレートに支持される補強用アームバーと、
前記補強用アームバーに設けられ、前記キートップの押下時に前記リンク機構を押下する押下部と、
を有するキースイッチ構造。
【請求項2】
前記押下部は、前記補強用アームバーから突出して形成された突起である、請求項1に記載のキースイッチ構造。
【請求項3】
前記突起は、前記補強用アームバーの一部を変形させて形成されている、請求項2に記載のキースイッチ構造。
【請求項4】
前記突起は、前記補強用アームバーとは別部材から形成されている、請求項2に記載のキースイッチ構造。
【請求項5】
前記押下部は、前記リンク機構を構成するリンク部材の側部から突出する被押下部を押圧する、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のキースイッチ構造。
【請求項6】
前記キートップには、前記補強用アームバーの一部を挟持する一対の爪を有する、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のキースイッチ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−41765(P2013−41765A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178442(P2011−178442)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】