説明

キーボード、情報処理システム

【課題】キーボード本体に搭載されたスピーカを用いて臨場感を高めることが可能な情報処理システムを提供する。
【解決手段】 本実施形態の情報処理システムは、スピーカ(SR,SBR,SBL,SL)が搭載されたキーボード本体(2)と、スピーカ(L,C,R,LFE)が搭載された表示装置(1)と、を有して構成し、キーボード本体(2)は、キーボード本体(2)を支持する伸縮可能な脚部(20)を有し、脚部(20)は、脚部(20)を伸張した状態でキーボード本体(2)が設置面に接しないように支持することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCなどの表示装置を操作するキーボードに関し、特に、スピーカを搭載したキーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のPCなどの表示装置は、地デジ対応やブルーレイディスクなどの普及によりAV機能の性能向上が図られている。
【0003】
例えば、現在のPCなどの表示装置には、ウーファやスピーカを搭載し、2.1chや3.1chのサラウンドシステムを実現している装置もある。しかし、臨場感を更に高めるためには、リスニングポイントの左右や後方にもスピーカを配置し、5.1chや7.1chのサラウンドシステムを実現する必要がある。
【0004】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、例えば、特許文献1(特開2007-272819号公報)には、キーボード本体の裏側にスピーカを配置し、映画や音楽を鑑賞する際に、キーボード本体に配置したスピーカを活用する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−272819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1には、キーボード本体の裏側にスピーカを配置する点について開示されており、上記特許文献1に開示されたキーボード本体に実装されたスピーカを用いることで臨場感を更に高めることが可能と思われる。
【0007】
しかし、キーボード本体は扁平であるため、キーボード本体を直立させた状態にするには、何か(例えば、壁など)にキーボード本体を設置しなければならず、キーボード本体の配置位置が限定されてしまうことになる。その結果、キーボード本体の裏側に配置されたスピーカを用いても、キーボード本体の配置位置が限定されるため、キーボード本体の設置環境によっては臨場感を高めることが困難な場合もある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、キーボード本体に搭載されたスピーカを用いて臨場感を高めることが可能なキーボード、情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0010】
本発明にかかるキーボードは、
スピーカが搭載されたキーボード本体と、
前記キーボード本体を支持する伸縮可能な脚部と、を有し、
前記脚部は、前記脚部を伸張した状態で前記キーボード本体が設置面に接しないように支持することを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる情報処理システムは、
上記記載のキーボードと、スピーカが搭載された表示装置と、を有して構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、キーボード本体に搭載されたスピーカを用いて臨場感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の情報処理システムのシステム構成例を示す図である。
【図2】情報処理システムを構成するキーボード本体2の構成例を示す第1の図である。
【図3】キーボード本体2の構成例を示す第2の図である。
【図4】キーボード本体2に設けられたロッドアーム20の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<情報処理システムの概要>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の情報処理システムの概要について説明する。
【0015】
本実施形態の情報処理システムは、スピーカSR,SBR,SBL,SLが搭載されたキーボード本体2と、スピーカL,C,R,LFEが搭載された表示装置1と、を有して構成し、キーボード本体2は、キーボード本体2を支持する伸縮可能な脚部(ロッドアーム20に相当)を有し、脚部20は、脚部20を伸張した状態でキーボード本体2が設置面に接しないように支持することを特徴とする。
【0016】
本実施形態の情報処理システムは、上記構成を有することで、伸縮可能な脚部20を用いてキーボード本体2を設置面から離した状態で直立に立たせることができるため、図1に示すようにリスニングポイントLPの背面に伸縮可能な脚部20を用いてキーボード本体2を設置し、キーボード本体2に搭載したスピーカSR,SBR,SBL,SLをユーザの耳に対向する位置に保持した状態で音を発することができる。また、伸縮可能な脚部20を用いてキーボード本体2に搭載したスピーカSR,SBR,SBL,SLの配置位置を適宜調整することができるため、理想的なリアスピーカの配置を実現することができる。その結果、キーボード本体2に搭載されたスピーカSR,SBR,SBL,SLを用いて臨場感を高めることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の情報処理システムについて詳細に説明する。
【0017】
<情報処理システムのシステム構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の情報処理システムについて説明する。
【0018】
本実施形態の情報処理システムは、表示装置1と、キーボード本体2と、を有して構成する。
【0019】
本実施形態の表示装置1は、PC(Personal Computer)、液晶テレビ、PDP(Plasma Display Panel)テレビ等の装置であり、図1に示すように、表示部11と、スタンド12と、を有して構成する。
【0020】
表示部11は、液晶パネルやPDP等の薄型表示パネルを筐体で囲んで構成する。なお、表示装置1がPCの場合は、表示部11は、PC全体を制御するためのOS、ハードウェア等の制御部と薄型表示パネルとを筐体で囲んで構成することになる。
【0021】
スタンド12は、表示部11を支持するものである。
【0022】
本実施形態の表示装置1は、表示部11とスタンド12とがネジ等により接合され、スタンド12により表示部11を支持するように構成している。
【0023】
本実施形態の表示装置1は、図1(b)に示すように、低周波数の音域を出力する低音用のスピーカ(以下、「ウーファーユニット」という)LFEをスタンド12の支柱に設けている。また、中高周波数の音域を出力する中高音用のスピーカL、C、Rを表示部11の左下部、中央下部、右下部に内蔵している。
【0024】
また、表示装置1は、音声出力回路(図示せず)を有して構成し、音声出力回路は、例えば、中高音用のスピーカL、C、Rに対し、200Hz以上の高周波数の音声信号を出力し、ウーファーユニットLFEに対し、200Hz未満の低周波数の音声信号を出力する。一般的に、低周波数帯の音が表示部11の振動原因になることが多いため、本実施形態では、低周波数帯の音を出力するウーファーユニットLFEをスタンド12の支柱に設け、表示部11の振動原因を回避することにしている。また、本実施形態では、表示部11の振動原因になることが少ない中高周波数帯の音を出力する中高音用のスピーカL、C、Rを表示部11に設け、ステレオ音声出力やステレオ感の調整が容易な構成にしている。
【0025】
キーボード本体2は、表示装置1の各種操作を行うものであり、キーボード本体2の操作により表示装置1の表示部11に各種情報を表示する。本実施形態のキーボード本体2は、無線通信機能を搭載し、表示装置1と各種データの遣り取りを行うことが可能になっている。
【0026】
本実施形態のキーボード本体2は、図1(a)に示すように、キーボード本体2背面に4つのスピーカSR,SBR,SBL,SLが搭載されており、その4つのスピーカSR,SBR,SBL,SLが搭載されたキーボード本体2の背面を、図1(b)に示すように、設置面に対して垂直に立たせた状態でリアスピーカとして使用することができる。このため、本実施形態の情報処理システムは、表示装置1に搭載されたスピーカL,C,RやウーファLFE、キーボード本体2に搭載された4つのスピーカSR,SBR,SBL,SLを用いて7.1chのサラウンドシステムを実現することができる。なお、キーボード本体2に搭載された2つのスピーカSR,SLを使用した場合は、5.1chのサラウンドシステムを実現することができる。
【0027】
<キーボード本体2の構成例>
次に、図2を参照しながら、本実施形態のキーボード本体2の構成例について説明する。図2(d)は、キーボード本体2の前面側の構成例を示し、図2(c)は、キーボード本体2の背面側の構成例を示し、図2(b)は、図2(c)に示すキーボード本体2に搭載したスピーカSR,SBR,SBL,SLを移動した状態を示し、図2(a)は、図2(b)に示すキーボード本体2をA方向から見た構成例を示し、キーボード本体2の両端のスピーカSR,SLの角度を調整した状態を示す。
【0028】
本実施形態のキーボード本体2は、図2(d)に示すように、前面側に、表示装置1を操作するための各種キーが配置されており、図2(c)に示すように、背面側に、4つのスピーカSR,SBR,SBL,SLが搭載されている。
【0029】
キーボード本体2の背面側に搭載された4つのスピーカSR,SBR,SBL,SLは、配置位置を任意に調整することが可能であり、例えば、キーボード本体2の左右端の中央部に搭載した第1、第2のスピーカSR,SLは、図2(b)に示すように、シャフト等の移動機構3を用いてキーボード本体2の領域外に移動して配置できるようにしている。第1、第2のスピーカSR,SLを移動させるための移動機構3の構成は特に限定せず、任意の移動機構を用いることが可能である。
【0030】
また、第1、第2のスピーカSR,SLは、図2(a)に示すように、角度調整機構4を用いて第1、第2のスピーカSR,SLの角度を調整できるようにしている。なお、第1、第2のスピーカSR,SLの角度を調整するための角度調整機構4の構成も特に限定せず、任意の角度調整機構を用いることが可能である。
【0031】
また、キーボード本体2の左右の上部に搭載した第3、第4のスピーカSBR,SBLは、図2(b)に示すように、スライド機構5等を用いてキーボード本体2の領域内でスライド移動できるようにしている。第3、第4のスピーカSBR,SBLをキーボード本体2内でスライド移動するための移動機構5の構成は特に限定せず、任意の移動機構を用いることが可能である。
【0032】
このように、本実施形態のキーボード本体2の背面側に搭載した4つのスピーカSR,SBR,SBL,SLは、配置位置を任意に調整することが可能であるため、リスニングポジションLPに応じてスピーカSR,SBR,SBL,SLの配置位置を適宜調整することができる。
【0033】
なお、本実施形態のキーボード本体2は、図2(a)、(b)、(c)に示すように、キーボード本体2の下部にロッドアーム20を収納しており、このロッドアーム20を用いて図1(b)に示すようにキーボード本体2を設置面から離した状態で直立に立たせることができる。ロッドアーム20は、伸縮可能な構造になっており、キーボード本体2に設けた溝30(図3、図4参照)に収縮した状態で収納している。
【0034】
本実施形態のロッドアーム20は、複数の柱を連結して伸縮可能に構成しており、例えば、図3に示すように、第1の柱21、第2の柱22、第3の柱23、第4の柱24で構成している。第1の柱21は、径が最も小さい柱であり、ロッドアーム20の最内側を構成する。第1の柱21の一方の端部は接続部21Aを有し、接続部21Aを介してキーボード本体2と接続しており、その接続部21Aを回転軸としてロッドアーム20を回動可能にしている。第2の柱22は、第1の柱21よりも径が大きい柱であり、第1の柱21の外側を構成する。第3の柱23は、第2の柱22よりも径が大きい柱であり、第2の柱22の外側を構成する。第4の柱24は、第3の柱23よりも径が大きい柱であり、第3の柱23の外側を構成する。また、第4の柱24は、複数に枝分かれ可能な脚24Aを有し、その脚24Aを開いた状態で設置面に設置し、キーボード本体2を設置面から離した状態で直立に立たせることを可能にしている。脚24Aの構造は、特に限定せず、マイクスタンド等に適用されている三脚等の公知の構造が適用可能である。
【0035】
本実施形態のロッドアーム20は、まず、図4(a)に示すように、第1の柱21の一方の端部に設けられた接続部21Aを回転軸として、ロッドアーム20を回動し、キーボード本体2の溝30からロッドアーム20を取り出す(ステップS1)。次に、図4(b)に示すように、接続部21Aを溝30に沿ってキーボード本体2の長手方向の中央部までスライド移動させ、キーボード本体2の中央部で接続部21Aをキーボード本体2に嵌め込み、接続部21Aをキーボード本体2に固定する(ステップS2)。このため、溝30の中央部には接続部21Aをキーボード本体2に嵌め込むための勘合溝が設けられており、その勘合溝に接続部21Aを嵌め込むことで接続部21Aをキーボード本体2に嵌め込んで固定することができる。
【0036】
次に、図4(c)に示すように、第2、第3の柱22,23を伸ばし(ステップS3,S4)、図4(d)に示すように、第4の柱24に設けられた脚24Aを下方に伸ばし(ステップS5)、図4(e)に示すように、脚24Aを開いた状態にする(ステップS6)。これにより、ロッドアーム20は、ロッドアーム20を伸張した状態でキーボード本体2が設置面に接しないように支持し、キーボード本体2を設置面から離した状態で直立に立たせることができる。
【0037】
なお、キーボード本体2と接続している第1の柱21は、接続部21Aに角度調整機構(図示せず)を有しており、図3(b)に示すようにキーボード本体2の角度を調整することができるようにしている。これにより、キーボード本体2に搭載されたスピーカSR,SBR,SBL,SLから発する音の指向性を適宜調整することができる。角度調整機構の構成は、特に限定せず、図3(b)に示すようにキーボード本体2を上下に調整したり、左右に調整したりするように構成することも可能である。
【0038】
本実施形態のキーボード本体2は、伸縮可能なロッドアーム20を用いてキーボード本体2を設置面から離した状態で直立に立たせることができるため、図1に示すようにリスニングポイントLPの背面に伸縮可能なロッドアーム20を用いてキーボード本体2を設置し、キーボード本体2に搭載したスピーカSR,SBR,SBL,SLから音を発することができる。また、キーボード本体2に搭載したスピーカSR,SBR,SBL,SLの配置位置を適宜調整することができるため、理想的なリアスピーカの配置を実現することができる。理想的なリアスピーカの配置とは、各スピーカSR,SBR,SBL,SLとリスニングポジションLPとの等距離化、各スピーカSR,SBR,SBL,SLの取付角度の最適化などが挙げられる。
【0039】
<本実施形態の情報処理システムの作用・効果>
このように、本実施形態の情報処理システムは、表示装置1とキーボード本体2とを有し、表示装置1は、スピーカL,C,RやウーファLFEを搭載しており、キーボード本体2は、スピーカSR,SBR,SBL,SLを搭載し、伸縮可能なロッドアーム20を用いてキーボード本体2を設置面から離した状態で直立に立たせることができるため、表示装置1に搭載されたスピーカL,C,RやウーファLFEと、キーボード本体2に搭載されたスピーカSR,SBR,SBL,SLと、を用いて5.1chや7.1chのサラウンドシステムを実現することができる。その結果、臨場感を高めることができる。
【0040】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0041】
例えば、マイクが搭載されたマウスを図1に示すリスニングポイントLPにセットし、各スピーカL,C,R,LFE,SR,SBR,SBL,SLの特性反響効果を測定し、その測定した特性反響効果を表示装置1に送信し、表示装置1においてサラウンド効果のチューニングを行い、そのチューニング結果を基に、表示装置1とキーボード本体2との間で無線通信を行い、各スピーカL,C,R,LFE,SR,SBR,SBL,SLの音を調整するようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 表示装置
11 表示部
12 スタンド
LFE ウーファ
L、C、R スピーカ
2 キーボード本体
SL、SBL、SBR、SR スピーカ
20 ロッドアーム(脚部)
30 溝
21 第1の柱
21A 接続部
22 第2の柱
23 第3の柱
24 第4の柱
24A 脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカが搭載されたキーボード本体と、
前記キーボード本体を支持する伸縮可能な脚部と、を有し、
前記脚部は、前記脚部を伸張した状態で前記キーボード本体が設置面に接しないように支持することを特徴とするキーボード。
【請求項2】
前記脚部は、前記キーボード本体の背面側に取り付けられており、収縮した状態で前記キーボード本体に収納されていることを特徴とする請求項1記載のキーボード。
【請求項3】
前記脚部の一方の端部は、前記脚部を前記キーボード本体に接続するための接続部を有し、前記脚部は、前記接続部を軸として回動可能であり、前記接続部は、前記キーボード本体の長手方向の中央部で前記キーボード本体に固定されることを特徴とする請求項1または2記載のキーボード。
【請求項4】
前記キーボード本体は、前記脚部を収縮した状態で収納するための溝を有し、
前記接続部は、前記溝に沿って前記中央部まで移動し、前記中央部で前記キーボード本体に嵌め込まれ、前記キーボード本体に固定されることを特徴とする請求項3記載のキーボード。
【請求項5】
前記脚部の他方の端部は、複数に枝分かれ可能な脚を有することを特徴とする請求項3または4記載のキーボード。
【請求項6】
前記脚部は、複数の柱を連結して伸縮可能な脚部を構成し、前記脚部の一方の端部を構成する柱は、前記接続部を有し、前記脚部の他方の端部を構成する柱は、前記脚を有することを特徴とする請求項5記載のキーボード。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載のキーボードと、スピーカが搭載された表示装置と、を有して構成することを特徴とする情報処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−215951(P2012−215951A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79105(P2011−79105)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(311012169)NECパーソナルコンピュータ株式会社 (116)
【Fターム(参考)】