説明

キーボードの検査方法

【課題】 汎用性に優れ、確実かつ効率的に検査可能なキーボードの検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】 検査対象となるキーボードの各キーの配置パターン及び位置、キーを特定するコード、検査開始時の打鍵ソレノイドの基準位置、打鍵ソレノイドによるキーの押下力、の各データをあらかじめ入力して記憶しておき、検査対象となるキーボードの配置パターン及びキーの押下力を指定すると、制御部は記憶していたデータにしたがって、打鍵ソレノイドを基準位置に移動し、キーの配置パターンにしたがって打鍵ソレノイド及びキーボードを相対的にXYZ方向に移動したうえ、各キーの中央を設定した押下力で打鍵し、打鍵したキーが正常な動作をするか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打鍵ソレノイドでキーを打鍵して正常に動作するか否かを判定するキーボードの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、打鍵ソレノイドを水平方向に移動して所定のキーの直上に対応位置させ、ソレノイドを駆動して当該キーを押し下げて、正常に動作するか検査するキーボードの検査装置は知られている。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−139818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この従来例によると、打鍵キーは水平な一方向にしか移動せず、キーの配置パターンが異なったものには適用できないので、汎用性がないという不都合があった。本発明は、この不都合を解消して、汎用性に優れ、確実かつ効率的に検査可能なキーボードの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、本発明の請求項1に係るキーボードの検査方法は、キーボードの各種パターンで配置された各キーの動作を打鍵ソレノイドで打鍵して正常か否かを検査するキーボードの検査方法であって、検査対象となるキーボードの各キーの配置パターン及び位置、各キーを特定するID、各キーの配置パターンに応じた検査開始時の打鍵ソレノイドの基準位置、打鍵ソレノイドによるキーの押下力、の各データをあらかじめ入力して記憶しておき、検査対象となるキーボードの配置パターン及びキーの押下力を指定すると、制御部は記憶していたデータにしたがって、打鍵ソレノイドを基準位置に移動し、キーの配置パターンにしたがって打鍵ソレノイド及びキーボードを相対的にXYZ方向に移動したうえ、各キーの中央を設定した押下力で打鍵し、打鍵したキーが正常な動作をするか否かを判断する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係るキーボードの検査方法によれば、汎用性に優れ、確実かつ効率的に検査可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。ここにおいて、図1は本発明を実施するための検査装置の一例を示す正面図、図2は同じく側面図、図3は検査装置の制御系統を示すブロック図、図4及び図5は検査の制御動作を示すフロー図である。
【0008】
はじめに、本発明を実施するための検査装置の構成を説明する。図1及び図2に示すように、検査装置1は、検査対象であるキーボード2を脱着可能に載置固定するための載置テーブル3を備え、この載置テーブル3は、回転力伝達機構を介して駆動モータ4の回転駆動力が伝達されることにより、Y方向(図2における左右方向)に移動される移動板5上に取り付けられている。
【0009】
載置テーブル3の上方には、n個、例えば10個の打鍵ソレノイド6a〜6jを設けた昇降体7と、この昇降体7を昇降可能に支持する移動体8を配置している。前記昇降体7は、回転力伝達機構を介して駆動モータ9の回転駆動力が伝達されることにより、Z方向(図1における上下方向)に昇降する。また、移動体8は、回転力伝達機構を介して駆動モータ10の回転駆動力が伝達されることにより、ガイドロッド11,12に沿ってX方向(図1における左右方向)に移動する。
【0010】
前面に操作パネル13を設けた収納ボックス14には、操作パネル13に設けたスイッチ類によって操作する、制御部たるCPU19を有するコントロールユニット20を収納している(図3参照)。コントロールユニット20は、図3に示すように、各駆動モータ4,8,10をそれぞれモータドライバ15a,15b,15cを介して制御するドライバインターフェイス16と、各打鍵ソレノイド6a〜6jを制御するソレノイドドライバ17と、キーボード2のキー動作による信号を受けるキーボードインターフェイス18を備え、これらは前記CPU19により制御される。
【0011】
また、コントロールユニット20には、外部記憶装置としてフラッシュメモリ21を設けるとともに、外部出力装置としてプリンタ22を設け、また、外部入力装置としてコマンダ23を設けている。そして、このコマンダ23から前記コントロールユニット20に、あらかじめ必要なデータを入力してファイル化し、前記フラッシュメモリ21に記憶しておくものである。なお、入力されるデータは、検査対象となるキーボード2の各キーの配置パターン及び位置、各キーを特定するIDであるコード、各キーの配置パターンに対応した検査開始時の打鍵ソレノイド6a〜6jの基準位置、打鍵ソレノイド6a〜6jによるキーの押下力である。
【0012】
続いて、上述した検査装置1を用いたキーボードの検査方法を説明する。まず、検査動作の全体について図4に基づいて説明する。検査対象となるキーボード2を載置テーブル3の所定位置に載置、固定し、キーボード2の出力端をキーボードインターフェース18に接続する。電源を投入し(ステップ101)、操作パネル13のスイッチ類を操作して、操作検査対象となるキーボード2のキー配置パターン及びキーの押下力を指定すると、コントロールユニット20はCPUの制御によりプログラムにしたがった制御動作を行うものである。
【0013】
すなわち、フラッシュメモリ21に記憶していたデータファイルを内蔵フラッシュメモリ(図示せず)に移し(ステップ102)、各駆動モータ4,8,10を駆動して、打鍵ソレノイド6a〜6jを基準位置に移動する(ステップ103)。ここで、操作パネル13の検査開始スイッチを投入し(ステップ104)、操作パネル13の指定スイッチによってキーボード2のキー配置パターンによるタイプを指定すると、内蔵フラッシュメモリ中のデータファイルから指定されたキーボード2に対応するファイルを指定し(ステップ105)、指定ファイルを内蔵フラッシュメモリから1行ずつ読み込んで、その内容を順次実行する(ステップ106,107,108)。
【0014】
この制御動作により、指定したキー配置パターンにしたがって、各駆動モータ4,9,10を駆動し、打鍵ソレノイド6a〜6jを移動体8及び昇降体7を介してXZ方向に移動するとともに、キーボード2を載置テーブル3を介してY方向に移動して、動作させるべき打鍵ソレノイド6a〜6jをキーボード2の対象となる各キーの中央に位置させ、前記動作させるべき打鍵ソレノイド6a〜6jを順次駆動して設定した押下力で打鍵し、打鍵したキーが正常な動作をするか否かを判断する。
【0015】
ここで、異常動作したキーがあるか否かを判断し(ステップ109)、異常動作したキーがあればそのキーを特定してプリンタ22でプリントアウト(ステップ110)する一方、すべてのキーが正常に動作していればプリントアウトすることなく、検査を終了する(ステップ111)。
【0016】
続いて、上述した各打鍵ソレノイド6a〜6jのXZ方向への移動と、キーボード2のY方向への移動、及び打鍵されたキーが正常か否かの判断動作を、図5のフロー図に基づいて、打鍵ソレノイド6aを例にしてより詳細に説明する。打鍵動作が開始される(ステップ201)と、打鍵ソレノイド6aのX方向の移動が必要であるか否かを判断し(ステップ202)、必要であればX方向へ移動命令を発する(ステップ203)一方、必要でなければY方向への移動の判断に移る。そして、載置テーブル3のY方向の移動が必要であるか否かを判断し(ステップ204)、必要であればY方向へ移動命令を発する(ステップ205)一方、必要でなければZ方向への移動の判断に移る。そして、打鍵ソレノイド6aのZ方向の移動が必要であるか否かを判断し(ステップ206)、必要であればZ方向へ移動命令を発する(ステップ207)一方、必要でなければXYZ方向への移動が完了したか否かの判断に移る(ステップ208)。移動が完了していなければ移動し、完了していれば打鍵ソレノイド6aを駆動して、直下に対応位置するキーを打鍵する命令を発する(ステップ209)。
【0017】
続いて、打鍵動作によるキーの所定量の押し下げにより、所定時間内にキーボード2から出力されたキーのコードを得られたか否か(ステップ210,211)に基づいて、所定時間内にコードを得られた場合には、あらかじめ入力されているこのキーのコードと比較してキー動作が正常か否か判定する一方、所定時間内にコードを得られなかった場合には、キー動作が異常と判定する(ステップ212)。さらに続いて、打鍵ソレノイドをオフとする開放命令を発してキーの押し下げを解除し(ステップ213)、所定時間内にこのキーから出力されたコードを得られたか否か(ステップ214,215)に基づいて、所定時間内にコードを得られた場合には、あらかじめ入力されているこのキーのコードと比較してキー動作が正常か否か判定する一方、所定時間内にコードを得られなかった場合には、キー動作が異常と判定する(ステップ216)。
【0018】
以上の動作を他の打撃ソレノイド6b〜6jについても、同様に所定の順で行い、すべてのキーについての検査が終了すると、次のステップに移行する。
【0019】
なお、本発明は上述の実施形態に限られず、IDとしては、コードに限らず、各キーが接点に接触したときに生ずる抵抗値を利用することもでき、この抵抗値の利用はノートパソコンのキーボードを検査するときに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を実施するための検査装置の一例を示す正面図。
【図2】同じくその側面図。
【図3】検査装置の制御系統を示すブロック図。
【図4】検査の全動作における制御動作を示すフロー図。
【図5】打鍵ソレノイドに関する制御動作を示すフロー図。
【符号の説明】
【0021】
1 検査装置
2 キーボード
3 載置テーブル
4,9,10 駆動モータ
5 移動板
6a〜6j 打鍵ソレノイド
7 昇降体
8 移動体
11,12 ガイドロッド
13 操作パネル
14 収納ボックス
15a,15b,15c モータドライバ
16 ドライバインターフェイス
17 ソレノイドドライバ
18 キーボードインターフェイス
19 CPU
20 コントロールユニット
21 フラッシュメモリ
22 プリンタ
23 コマンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボードの各種パターンで配置された各キーの動作を打鍵ソレノイドで打鍵して正常か否かを検査するキーボードの検査方法であって、検査対象となるキーボードの各キーの配置パターン及び位置、各キーを特定するID、各キーの配置パターンに応じた検査開始時の打鍵ソレノイドの基準位置、打鍵ソレノイドによるキーの押下力、の各データをあらかじめ入力して記憶しておき、検査対象となるキーボードの配置パターン及びキーの押下力を指定すると、制御部は記憶していたデータにしたがって、打鍵ソレノイドを基準位置に移動し、キーの配置パターンにしたがって打鍵ソレノイド及びキーボードを相対的にXYZ方向に移動したうえ、各キーの中央を設定した押下力で打鍵し、打鍵したキーが正常な動作をするか否かを判断するキーボードの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−41802(P2007−41802A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224575(P2005−224575)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(390021669)椿本興業株式会社 (20)
【出願人】(591156799)ユニパルス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】