説明

キーボード装置

【課題】 ユーザー認証装置が動作可能で、コンパクトで使い勝手が良く、ユーザー操作性を向上可能なキーボート装置を提供する。
【解決手段】 DC電源が供給可能な自己給電ハブ(19a、19b)を2ポート搭載しているコンピュータ(19)に本発明のキーボード装置(11)を、USBケーブル21―1、21―2を介して接続する。キーボード装置(11)は、ユーザー認証部(15)やマウス部(17)をキーボード部(13)に搭載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力装置、より詳しくは、キーボート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の入力装置として、コンピュータに接続され、キーボードが一体に設けられた個人認証する本人認証システムがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−175478号公報(請求項6及び図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した従来のキーボード装置は、本人認証システムが一体の場合、USBケーブル1本でも、キーボード装置用及び認証装置用のそれぞれの電流値を加算したときでも、USB規格の定常電流(許容電流)の範囲内に収まる。
【0004】
しかしながら、認証装置の起動時に定常電流(許容電流)より大きい電流が流れることがある。これは、認証装置の起動電流によって、コンピュータの制御部の電流制限監視機能が作動することによる。そのため、USBケーブル1本では、現実には、使用不能となる。しかもコンパクトでなく使い勝手が悪く、ユーザー操作性の向上が必要であるという課題がある。
【0005】
そのため、本発明の発明者は、このような課題に鑑み、ユーザー認証装置が動作可能なように電源が供給可能な自己給電ハブ(例えばUSBハブ)を2ポート搭載しているコンピュータに着目し、当該コンピュータに接続されるキーボードに認証装置やマウスを搭載することを創作した。
【0006】
そこで、本発明の技術的課題は、ユーザー認証が可能で、コンパクトで使い勝手が良く、ユーザー操作性を向上可能なキーボード装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記知見を基に研究を続けた発明者は、次の構成を採用した。詳細は、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たって行う用語の定義等は、その性質上可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用があるものとする。
【0008】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る装置(以下、適宜「請求項1のキーボード装置」という)は、コンピュータに接続されるキーボード部と、当該コンピュータの使用の際に個人認証を行うユーザー認証部と、を有するキーボード装置であって、当該キーボード部と当該ユーザー認証部とが一体に構成されると共に、当該キーボード部は、当該コンピュータとの間でキーボードデータ信号を伝送するキーボード側インターフェースを備える他方、当該ユーザー認証部は、当該コンピュータとの間で認証データ信号を伝送する認証側インターフェースを備え、当該インターフェースの各々には、一端及び他端を持ち所定の最大許容電流値が規定されたケーブルの当該一端を受け入れるケーブルコネクタが備えられており、当該コンピュータは、DC供給電源を持ち、当該キーボードデータ信号及び当該認証データ信号に基づいて当該ユーザー認証部へ優先的にDC電源を供給可能な一対の自己給電ハブを有し、当該一対のケーブルは、当該一端近傍では二股であり、束ねられて一体となった一体部分を備え、当該一体部分から二股になって当該他端まで延びており、当該コンピュータの自己給電ハブに当該他端がそれぞれ接続され、当該ユーザー認証部へ優先的に当該DC電源が当該ケーブルを介して供給可能に構成されている。
【0009】
請求項1のキーボード装置によれば、キーボード部とユーザー認証部とが一体に構成され、コンピュータの一対の自己給電ハブに所定の最大許容電流値が規定されたケーブルの他端がそれぞれ接続され、ケーブルの一端の各々は、キーボード側及び認証側インターフェースにそれぞれ接続される。そのため、ユーザー認証部へ優先的に自己給電ハブ、ケーブル、及び認証側インターフェースを介してDC電源が供給され、認証操作が可能となる。その後、キーボード部へ自己給電ハブ、ケーブル、キーボード側インターフェースを介してDC電源が供給されキーボード操作が可能となる。
【0010】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係る装置(以下、適宜「請求項2のキーボード装置」という)は、請求項1のキーボード装置の基本的構成を備えさせた上で、前記ケーブルは、前記自己給電ハブに対応してシリアルバス制御が可能であり、前記キーボード部は、入力装置と接続可能なバス給電ハブを備えるように構成される。
【0011】
請求項2のキーボード装置によれば、請求項1のキーボード装置の作用効果に加え、キーボード部での操作でシリアルバス制御が可能となり、前記キーボード部のバス給電ハブには、入力装置が接続可能となる。
【0012】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係る装置(以下、適宜「請求項3のキーボード装置」という)は、請求項1又は2のキーボード装置の基本的構成を備えさせた上で、前記コンピュータのモニター画面上で入力操作位置を表示するためのマウス部を備え、前記ユーザー認証部が、前記キーボード部を介して当該マウス部と一体に構成される。
【0013】
請求項3のキーボード装置によれば、請求項1又は2のキーボード装置の作用効果に加え、キーボード部及びマウス部についてユーザーの片手だけでも操作性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るキーボード装置によれば、ユーザー認証装置が動作可能なように電源が供給可能な自己給電ハブを2ポート搭載しているコンピュータに接続されるキーボードに認証装置やマウスを搭載する構成を備えるので、ユーザー認証が可能で、コンパクトで使い勝手が良く、ユーザー操作性を向上可能なキーボート周辺装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
各図を参照しながら、発明を実施するための最良の形態(以下、適宜、「本実施形態」という)について説明する。図1は、本実施形態のキーボード装置をコンピュータに接続した概略全体図である。図2は、図1の配線系統図である。
【0016】
図1を参照しながら、キーボード装置11をコンピュータ19に接続する例について説明する。キーボード装置11は、ユーザーによって入力操作された入力情報をコンピュータ19に伝送するキーボード部13と、コンピュータ19の使用の際に個人認証を行う静脈認証等のユーザー認証部15と、を有する。そして、キーボード装置11は、キーボード部13とユーザー認証部15とが一体に構成される。キーボード部13は、キーボード装置11をコンパクトにするため、テンキーを除くキーが搭載されている。
【0017】
図2に示すように、コンピュータ19は、周辺装置を制御するUSBコントローラを持つ制御部19−1、外部からAC電源を受けDC電源に変換するAC/DC変換器(DC供給電源)19−2、及び最大電流500mAが規格された自己給電ハブを2ポート有するUSBハブ(自己給電ハブ)19a、19bを備えるモニター・ハードディスク内蔵コンピュータである。コンピュータ19は、I/Oポート等の自動設定可能なプラグアンドプレイ機能を持つ二股USBケーブル21が接続される。自己給電ハブ19a、19bは、周辺装置が2台接続可能で、AC/DC変換器19−2からDC電源、すなわち、5V電源を供給可能である。
【0018】
制御部19−1のUSBコントローラは、キーボードデータ信号及び認証データ信号を受け、認証データの入力を優先的に確認して自己給電ハブ19bを動作しDC電源電圧5V、500mAをUSBケーブル21−1に供給する。その後、認証動作が完了しユーザーが使用許可された場合には、自己給電ハブ19bを動作しUSBケーブル21−2に給電され、キーボード部13の操作が可能となるように設定されている。
【0019】
キーボード部13は、コンピュータ19とキーボード部13との間でデータ信号を伝送するキーボード側インターフェース13−2を有するキーボード制御基板13−1を備える。ユーザー認証部15は、コンピュータ19とユーザー認証部15との間でデータ信号を伝送する認証側インターフェース15−2を有する静脈認証ユニット15−1を備える。キーボード側インターフェース13−2とコンピュータ19との間には、一端21−1a及び他端21−1cを持ち、所定の最大許容電流値、500mAが規定されたUSBケーブル21−1が接続される。同様に、認証側インターフェース15−2とコンピュータ19との間には、一端21−2b及び他端21−2dを持ち、所定の最大許容電流値、500mAが規定されたUSBケーブル21−2が接続される。
【0020】
キーボード側インターフェース13−2は、USBケーブル21−1の一端を受け入れるケーブルコネクタ(汎用コネクタ)21−1aを有する。認証側インターフェース15−2は、USBケーブル21−2の一端を受け入れるケーブルコネクタ(USB(B)、ハーフピッチ、5pin)21−1bを有する。USBケーブル21−1は、キーボード装置11側の一端21−1aが、ケーブルコネクタ(汎用コネクタ)及びフレームグランド(FG)端子と接続されている。そして、USBケーブル21−1の他端21−1cは、USBケーブルコネクタが接続されている。同様に、USBケーブル21−2の一端21−2bは、ケーブルコネクタ(USB(B)、ハーフピッチ、5pin)が接続されている。そして、他端21−2dには、USBケーブルコネクタが接続されている。
【0021】
詳しく述べると、一対のUSBケーブル21−1,21−2は、一端近傍では二股で、束ねられて一体となったモールド一体部分の分離部23を備え、分離部23から二股になって他端まで延びている。前記コンピュータ19の自己給電ハブ19a、19bに当該他端がそれぞれ接続可能に構成されている。
【0022】
USBケーブル21−1,21−2は、自己給電ハブ19aに対応してシリアルバス制御が可能であり、キーボード制御基板13−1は、テンキー入力装置14−3をUSBケーブル14−2のUSBケーブルコネクタ14−1と接続可能なバス給電ハブ13−1aを備えるように構成される。テンキー入力装置14−3の操作でキーボード制御基板13−1を介してコンピュータ19をシリアルバス制御が可能となる。
【0023】
その上、本発明のキーボード装置11には、コンピュータ19のモニター画面上で入力操作位置を表示するためのマウス部17が一体に備えられている。マウス部17は、制御IC17−2a搭載のマウス制御基板17−2が、キーボード制御基板13−1とFPCケーブル17−3を介して接続されている。本発明のキーボード装置11は、マウス部17も一体である結果、ユーザーの操作性が更に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のキーボード装置は、様々な変形例が可能である。例えば、USBケーブルの代わりにPS/2でも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係るキーボード装置をコンピュータに接続した状態を示す概略全体図である。
【図2】キーボード装置とコンピュータとの配線系統図である。
【符号の説明】
【0026】
11 キーボード装置
13 キーボード部
13−1 キーボード制御基板
13―1a バス給電ハブ(USBハブ(USBポート))
13−2 キーボード側インターフェース
14―1 USBケーブルコネクタ
14−2 USBケーブル
14−3 テンキー入力装置
15 ユーザー認証部
15−1 静脈認証ユニット
15−2 認証側インターフェース
17 マウス部
17−2 マウス制御基板
17−2a 制御IC
17−3 FPCケーブル
19 コンピュータ
19−1 制御部(USBコントローラ)
19−2 AC/DC変換器(DC供給電源)
19a,19b 自己給電ハブ(USBハブ(USBポート))
21 二股USBケーブル
21−1 USBケーブル
21−2 USBケーブル
21−1a 一端(ケーブルコネクタ(汎用コネクタ))
21−1c 他端(USBケーブルコネクタ)
21−2b 一端(ケーブルコネクタ(USB(B)、ハーフピッチ、5pin)
21−2d 他端(USBケーブルコネクタ)
23 分離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに接続されるキーボード部と、
当該コンピュータの使用の際に個人認証を行うユーザー認証部と、
を有するキーボード装置であって、
当該キーボード部と当該ユーザー認証部とが一体に構成されると共に、
当該キーボード部は、
当該コンピュータとの間でキーボードデータ信号を伝送するキーボード側インターフェースを備える他方、
当該ユーザー認証部は、
当該コンピュータとの間で認証データ信号を伝送する認証側インターフェースを備え、
当該インターフェースの各々には、
一端及び他端を持ち所定の最大許容電流値が規定されたケーブルの当該一端を受け入れるケーブルコネクタが備えられており、
当該コンピュータは、DC供給電源を持ち、当該キーボードデータ信号及び当該認証データ信号に基づいて当該ユーザー認証部へ優先的にDC電源を供給可能な一対の自己給電ハブを有し、
当該一対のケーブルは、当該一端近傍では二股であり、束ねられて一体となった一体部分を備え、当該一体部分から二股になって当該他端まで延びており、
当該コンピュータの自己給電ハブに当該他端がそれぞれ接続され、当該ユーザー認証部へ優先的に当該DC電源が当該ケーブルを介して供給可能に構成されている
ことを特徴とするキーボード装置。
【請求項2】
前記ケーブルは、
前記自己給電ハブに対応してシリアルバス制御が可能であり、
前記キーボード部は、
入力装置と接続可能なバス給電ハブを備えるように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載のキーボード装置。
【請求項3】
前記コンピュータのモニター画面上で入力操作位置を表示するためのマウス部
を備え、前記ユーザー認証部が、前記キーボード部を介して当該マウス部と一体に構成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のキーボード装置。

【図1】
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【図2】
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