説明

キーボード装置

【課題】操作性を向上させるための、より適切な発光表示を可能とする発光表示部を備えたキーボード装置を提供する。
【解決手段】積層配置された複数の導光板22、26の各々の、光源であるLED24、28から出射されて導光板22、26に入射した後、導光板22、26内を伝播してくる光は、各々、顔料23、27の位置で偏向され、入力操作面の発光表示部であるキーキャップA1、A2に照射される。各導光板22、26に配置された顔料23、27は、各キーキャップA11、A21に対応付けてその位置が定められている。そして、各導光板22、26はそれ自体に配置された顔料23、27の部分が、各々発光することで、入力操作面の任意の部分又は範囲を、各々の導光板22、26毎に系統分けされた照光手段により、系統単位で独立して照光可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の入力装置であるキーボード装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の電子機器の入力装置として、従来からキーボード装置が広く用いられている。このキーボード装置は、多様な入力を可能とすべく、比較的広い入力操作面上に、キーキャップ等、多数の入力記号に対応する入力部が分布配置されている。又、必要なキーキャップやランプが点灯することで、操作性の向上が図られたキーボード装置も多く存在している(特許文献1参照)。
近年では、静電容量方式のタッチパネルと、該タッチパネルの上面を覆う透光性のカバーパネルとを備え、該カバーパネル上面が入力操作面をなすキーボード装置も実用化されている。かかるキーボード装置は、最上面に位置する入力操作面が平坦面とされたことから、清掃がし易くなって汚れが固着し難くなり、見栄えが向上する上に、清潔な状態を保つことができ、機能性と美観とを高度に兼ね備えたものである。そして、平坦な入力操作面を実現するにあたり、静電容量方式のタッチパネルが採用されていることで、透光性に優れたタッチパネルを簡単に構成することができ、かつ、高感度の入力検知が可能となっている(特願2009−253938)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−129374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らは、キーキャップやランプ等の発光表示部を点灯させるといった技術思想を更に一歩進め、特定の発光表示部のみ選択的に発光させ、あるいは、異なる色で発光させることが、キーボード装置の操作性を更に高める上で望ましいことに着目し、その研究開発を進めている。
図4には、かかる研究開発過程で試作されたキーボード装置10の構造を、平面図(部分透視図)図で示している。このキーボード装置10は、キーキャップの文字部分が発光表示部となっており、符号A1で示される一群のキーキャップが、例えば青色に発光する発光表示部として構成され、かつ、符号A2で示される残余のキーキャップが、例えば白色に発光する発光表示部として構成されている。図4の例では、一群のキーキャップA1には、特定のファンクションキーと、カーソル移動キーとが含まれている。
【0005】
そして、各キーキャップの文字部分は、キーキャップ本体の透明の部材と光透過性インクで構成されており、一群のキーキャップA1の直下には、各一群のキーキャップに対応する設置範囲を有する導光板14(各グレー表示)が配置され、かつ、この導光板14を介してその出射光を各一群のキーキャップA1に照射するLED16が、適所に配置されている。又、残余のキーキャップA2の直下には、それらの設置範囲に対応する導光板18が配置され、かつ、この導光板18を介してその出射光を残余のキーキャップにA2に照射するLED20が、適所に配置されている。なお、図4のキーボード装置は、図示の各構成の他、キーキャップの保持機構、キーキャップの物理的入力を電気信号に変換するメンブレンシート、回路基板、ケース等を含むものであるが、これらについては公知の構成であることから、詳しい説明を省略する。
【0006】
さて、図4に示されるキーボード装置10は、LED16、20を同時にあるいは任意に発光させることで、一群のキーキャップA1と、残余のキーキャップA2とを同時にあるいは任意に発光させることが可能である。しかしながら、LED16、20からの発光を制御して特定の発光表示部を発光させる導光板14、18の増加を来たし、符号A1で示される一群のキーキャップが、図示の如く分散して配置されている場合には、特に、導光板の総数の増加が顕著となった。又、同時に、LED16、20に係る回路基板も、各導光板14、18毎に独立しており、必要数も増加する(図示の例では、導光板及びフレキシブルプリント基板(以下、「FPC」という。)共に合計6枚を使用)等から、コスト的にも構造的にも所望の条件を満たすことが出来ず、実用化に至ってはいなかった。
本発明は上記課題を解消し、操作性を向上させるための、より適切な発光表示を可能とする発光表示部を備え、かつ、低コストかつ構造的にも実現可能なキーボード装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0008】
(1)積層配置された複数の導光板と、該導光板へと光を照射する光源とを含む照光手段とを備え、該照光手段によって入力操作面の発光表示部が照光されるキーボード装置であって、前記複数の導光板の各々の、光の出射面となる主面と対向するもう一方の主面に、前記光源から前記複数の導光板に導かれた入射光を反射させて前記入力操作面の方向に照射するための顔料が配置されているキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、積層配置された複数の導光板の各々の、光の出射面となる主面と対向するもう一方の主面に配置された顔料が、光源から出射されて導光板に入射した後、導光板内を伝播してくる光を受けて、各々、顔料の位置で偏向され、入力操作面の発光表示部に照射されるものである。すなわち、各導光板はそれ自体に配置された顔料部分が発光するものであり、入力操作面の任意の部分又は範囲を、各々の導光板毎に系統分けされた照光手段により、系統単位で独立して照光可能な構成を有するものである。
【0009】
(2)上記(1)項において、前記顔料は、各導光板により光が照射される入力操作面の発光表示部が少なくとも部分的に異なるように、各発光表示部に対応付けて配置されているキーボード装置(請求項1)。
本項に記載のキーボード装置の、各導光板に配置された顔料は、各々、各導光板により光が照射される入力操作面の発光表示部が少なくとも部分的に異なるように、各発光表示部に対応付けてその位置が定められ、各導光板に配置された顔料部分と対応付けられた発光表示部については、各々の導光板毎に、一括して光が照射されるものである。そして、各々の導光板毎に系統分けされた部分又は範囲は、各々異なり、若しくは少なくとも部分的に一致することから、入力操作面の任意の部分又は範囲を、各々の導光板毎に系統分けされた照光手段により、系統単位で独立して照光することで、入力操作面の全範囲に渡る多彩な照光パターンを実現するものである。
【0010】
(3)上記(1)、(2)項において、前記積層配置された複数の導光板の、各々の設置範囲が概略一致することを特徴とするキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、各々の導光板の設置範囲が概略一致して、各導光板により照光可能となる位置も、各導光板で略一致するものとなる。そして、各導光板により光が照射される入力操作面の発光表示部が、少なくとも部分的に異なるように各発光表示部に対応付けて、その位置が定められていることから、入力操作面の任意の部分又は範囲を、各々の導光板毎に系統分けされた照光手段により、系統単位で独立して照光することで、入力操作面の全範囲に渡る多彩な照光パターンを与えるものである。ここで、「導光板の、各々の設置範囲が概略一致する」とは、導光板の、各々の設置範囲が完全に一致する場合のみならず、例えば、キーボード装置内での、光源その他の部品の設置場所の確保等、不可避の要因により、各導光板の形状を一部変えざるを得ない場合についても、「設置範囲が一致する」に含めることを意味するものである。
【0011】
(4)上記(1)から(3)項において、前記導光板同士を固定する光学透明両面テープが含まれるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、積層配置された導光板同士が、光学透明両面テープにより固定されて位置決めされる。又、光源から出射された光が光学透明両面テープに入射することで、導光板と同様に、光学透明両面テープ内を伝播してくる光が、光学透明両面テープ表面の接着剤層等において偏向され、入力操作面に照射されるものとなる。なお、光学透明両面テープは、それによって固定される導光板の密着面の全範囲に渡るものであっても良く、又、光学的に影響を与えない範囲で、導光板の全密着面に対し部分的に配置されるものであっても良い。
【0012】
(5)上記(1)から(4)項において、前記光源は、前記積層配置された各導光板の一側面に、各導光板へと個別に光を照射する態様で配置されているキーボード装置(請求項2)。
本項に記載のキーボード装置は、各導光板へと個別に光を照射する態様で配置された光源を、各々任意に発光させることで、各々の導光板毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、系統単位で独立して、若しくは各系統同時に照光するものである。すなわち、入力操作面の全範囲に渡る多彩な照光パターンを、各導光板毎に光源を発光させることにより、実現するものである。
【0013】
(6)上記(1)から(4)項において、前記光源は、前記積層配置された各導光板の一側面に、各導光板へと個別に光を照射する態様で配置された第1群の光源と、該第1群の光源が配置された導光板を除く複数の導光板の一側面に、これら複数の導光板へと一括して光を照射する態様で配置されている第2群の光源とを含むキーボード装置(請求項3)。
本項に記載のキーボード装置は、第1群の光源に対応する各導光板については、各導光板へと個別に光を照射する態様で配置された第1群の光源を、各導光板に対応する毎に任意に発光させることで、各々の導光板毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、系統単位で独立して、若しくは各系統同時に照光するものである。又、第2群の光源に対応する各導光板については、これら複数の導光板へと一括して光を照射する態様で配置されている第2群の光源を発光させることで、各々の導光板毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、同時に照光するものである。
すなわち、入力操作面の全範囲に渡る多彩な照光パターンを、第1群の光源に係る各導光板については、導光板毎に第1群の光源の発光態様を同一又は異なるものとし、なおかつ、導光板毎に各発光表示部に対応付けて配置された顔料の位置を相違させることによって、実現するものである。又、第2群の光源に係る各導光板については、導光板毎に各発光表示部に対応付けて配置された顔料の位置が相違し、それによる発光位置が相違することによって、実現するものである。
【0014】
(7)上記(5)(6)項において、前記各光源の一部又は全部を任意に点灯ないし消灯可能な電気回路を備えるキーボード装置(請求項4)。
本項に記載のキーボード装置は、光源(適宜、第1群の光源、第2群の光源を含む。)の一部又は全部を、任意に点灯ないし消灯する電気回路により、各々の導光板毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、系統単位で独立して、若しくは各系統同時に照光するものである。なお、各電気回路に付与する電圧値、或いは電流値をコントロールするドライバは、この電気回路自体、すなわちキーボード装置内に配置されていても良く、又は、当該キーボート装置を入力装置とする電子機器側に配置されていても良い。
【0015】
(8)上記(7)項において、各導光板へと個別に光を照射する態様で配置された光源(適宜、第1群の光源を含む)については、各導光板に対応する光源毎に独立した回路基板を備え、複数の導光板へと一括して光を照射する態様で配置されている第2群の光源については、該第2群の光源のための回路基板を備えるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、回路基板の数を必要最小限に抑えるものである。
(9)上記(8)項において、回路基板がフレキシブルプリント基板(FPC)であるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、回路基板がFPCにより構成されることで、キーボード装置の構造上の制約が可能な限り解消されるものである。
【0016】
(10)上記(1)から(4)項において、前記光源は、前記積層配置された複数の導光板の一側面に、これら複数の導光板へと一括して光を照射する態様で配置されているキーボード装置(請求項5)。
本項に記載のキーボード装置は、積層配置された複数の導光板へと一括して光を照射する態様で配置されている光源を発光させることで、各々の導光板毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、同時に照光するものである。
すなわち、入力操作面の全範囲に渡る多彩な照光パターンを、導光板毎に各発光表示部に対応付けて配置された顔料の位置が相違し、それによる発光位置が相違することによって、実現するものである。
【0017】
(11)上記(1)から(10)項において、前記導光板の各々の、光の出射面となる主面と対向するもう一方の主面に配置された顔料は、各導光板毎に種類が異なるキーボード装置(請求項6)。
本項に記載のキーボード装置は、各導光板毎に種類が異なる顔料が用いられることで、各々の導光板毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、異なる色に照光する構成を有するものである。
【0018】
(12)上記(1)から(11)項において、前記導光板の各々に係る光源の発光色が異なるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、前記導光板の各々に係る光源の発光色が異なることにより、各々の導光板毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、異なる色に照光する構成を有するものである。
(13)上記(12)項において、光源がLEDであるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、光源がLEDにより構成されることで、キーボード装置の構造上の制約を可能な限り解消するものである。
(14)上記(1)から(13)項において、前記入力操作面がキーキャップであるキーボード装置。
本項に記載のキーボード装置は、各々の導光板毎に系統分けされたキーキャップに、多彩な照光パターンを与えるものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明はこのように構成したので、操作性を向上させるための、より適切な発光表示を可能とする発光表示部を備え、かつ、低コストかつ構造的にも実現可能なキーボード装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る、キーボード装置の構造を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る、キーボード装置の構造の別例を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る、キーボード装置の構造の更なる別例を概略的に示すものであり、(a)は、導光板、光源を主に示す平面図であり、(b)は要部の全体を示す断面図である。
【図4】本発明の従来技術に該当する、非公知のキーボード装置の構造を示す平面図(部分透視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。以下の説明において、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については、同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
なお、以下の記載において、「上」、「下」の方向は、本発明に係るキーボード装置を平置きした状態での、上下方向を意味する。
【0022】
本発明の実施の形態に係るキーボード装置21は、図1に示されるように、入力操作面として複数のキーキャップを備え、各キーキャップの文字部分が発光する、発光表示部として構成されたキーボード装置である。そして、一群のキーキャップA1(図4参照)と、一群のキーキャップA1を除くキーキャップA2(図4参照)とで、独立した2系統の照光手段を有している。なお、キーボード装置21の外観平面視は、図4に示されるキーボード装置10と同様であり、詳しい説明を省略する。又、図1(図2、図3も同様)において、一群のキーキャップA1に属するキーキャップの夫々(1個単位)を符号A11で示し、一群のキーキャップA1を除くキーキャップA2に属するキーキャップの夫々(1個単位)を符号A21で示している。
【0023】
ここで、図1に示されるキーボード装置21(211)の独立した2系統の照光手段には、第1の照光手段として、一群のキーキャップA1に属するキーキャップA11と、一群のキーキャップA1を除くキーキャップA2に属するキーキャップA21の設置範囲に渡って広がる第1の導光板22と、第1の導光板22へと光を照射する光源としてのLED24とを備えている。又、第1の導光板22の上方には、第2の照光手段として、一群のキーキャップA1に属するキーキャップA11と、一群のキーキャップA1を除くキーキャップA2に属するキーキャップA21の設置範囲に渡って広がる第2の導光板26と、第2の導光板26へと光を照射する光源としてのLED28とを備えている。
これら第1の導光板22と第2の導光板26とは、いずれも、一群のキーキャップA1と、一群のキーキャップA1を除くキーキャップA2の設置範囲の全てをカバーする範囲に広がって設置されており、各導光板22、26の設置範囲が概略一致している。よって、各導光板22、26により照光し得る位置も、各導光板22、26で略一致するものとなる。
【0024】
又、LED24、28は、積層配置された第1の導光板22、第2の導光板26の一側面に、各導光板22、26へと個別に光を照射する態様で配置されている。具体的には、第1の導光板22に係るLED24は、その出射光が第2の導光板26へと及ぶことがないように、LED24の厚みは第1の導光板22の厚み以下とされている。同様に、第2の導光板26に係るLED28は、その出射光が第1の導光板22へと及ぶことがないように、LED28の厚みは第2の導光板26の厚み以下とされている。
なお、図示の例では、LED24は第1の導光板22の左側端に、LED28は第2の導光板26の右側端に配置されているが、これらの配置については、他の部品との取り合い等も考慮して、任意に設定可能である。
【0025】
又、第1の導光板22と第2の導光板26とは、光学透明両面テープ36によって固定されている。図1の例では、光学透明両面テープ36は、それによって固定される第1の導光板22と第2の導光板26との、密着面の全範囲に渡るものである。
そして、第1の導光板22、第2の導光板26には、何れも、光の出射面となる主面と対向するもう一方の主面に、LED24、28から各導光板22、26に導かれた入射光を偏向させてキーキャップA11、A21の方向に照射するための、顔料23、27が配置されているものである。
【0026】
この顔料23、27は、それらにより光が照射されるキーキャップが異なるように、各々キーキャップA11、A21の位置に対応付けて配置されるものであり、図示の例では、第1の導光板22に係る顔料23は、キーキャップA11の位置に対応付けて配置され、第2の導光板26に係る顔料27は、キーキャップA21の位置に対応付けて配置されている。
なお、図示の例では、第1の導光板22に係る顔料23、第2の導光板26に係る顔料27共に、夫々の光源であるLED24、28から離間した位置に設けられているが、これはあくまでも一例であり、各顔料23、27が、少なくとも部分的に異なるように各発光表示部に対応付けて設けられていれば良く、その設置場所は、第1の導光板22又は第2の導光板26の及ぶ範囲において、任意に設定可能である。
【0027】
又、顔料23、27は、各導光板22、26に導かれた入射光を、キーキャップA11、A21の方向に効率的に偏向することが出来る態様で配置されるものであり、例えば、微細なドットパターンとして塗布、印刷される。ドットパターンを構成する凹凸構造の形状は、特定のものに限定されることはなく、ドーム形状や円錐台、多角錐等の任意の形状であっても良い。又、ドット形状の代わりに、三角溝、プリズム形状に形成しても良い。
又、第1の導光板22に係る顔料23と、第2の導光板26に係る顔料27とは、種類が異なっており、例えば、第1の導光板22の裏面(下面)には、白色顔料を成分として有する白色インクを印刷し、第2の導光板26の裏面(下面)には、青色顔料を成分として有する青色インクを印刷して形成するものであっても良い。このように、各導光板22,26毎に顔料の種類を異ならせることにより、各々の導光板22、26毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、異なる色に照光することが可能となる。
【0028】
なお、第1の照光手段と第2の照光手段とで、LED及び顔料の組み合わせを適宜選択することが、多彩な照光パターンを与える上では望ましいが、必要に応じ、同一の組み合わせを採用することも可能である。又、各LED24、28からの出射光は、第1の導光板22又は第2の導光板26内を広範囲に伝播することから、LED24、28の数は、キーキャップA11、A21と同数である必要はない。
【0029】
又、第1の導光板22に係るLED24と、第2の導光板26に係るLED28とは、同時にあるいは任意に発光可能となっている。又、図1の例では、LED24が実装された第1の回路基板38と、LED28が実装された第2の回路基板40との、二枚の回路基板を備えている。(なお、本発明の実施の形態では、第1、第2の回路基板38、40のいずれにもFPCが用いられていることから、適宜、各回路基板を実施態様に合わせて「FPC」ともいう。)そして、各回路基板38、40に付与する電圧値、或いは電流値をコントロールするドライバ42は、この電気回路自体、すなわちキーボード装置内に配置されていても良く、又は、当該キーボート装置を入力装置とする電子機器側に配置されていても良い。
【0030】
なお、図1において、符号L1は、第1の照光手段から照射される光を模式的に示したものであり、LED24からの出射光は、第1の導光板22内を伝播して、顔料23の直上に位置するキーキャップA11に対して照射されるものである。一方、符号L2は、第2の照光手段から照射される光を模式的に示したものであり、LED28からの出射光は、導光板26内を伝播して、顔料27の直上に位置するキーキャップA21に対して照射されるものである。
又、図1の例において、符号30は、キーキャップA11、A21の物理的入力を電気信号に変換するメンブレンシートであり、符号32は、メンブレンシート30の下方に位置して、メンブレンシート30を支持するバックプレートである。又、符号34は、第2の導光板26及びバックプレート32の間に位置して、不要な光を遮断するためのマスキングシートである。更に、符号36aは、光学透明両面テープ36の表面の接着剤層である。更に上記各構成は、図示を省略するケースによって覆われているが、これらは何れも公知の構成であることから、詳しい説明を省略する。
【0031】
又、図示は省略するが、第1の導光板22に係る顔料23と、第2の導光板26に係る顔料27とが、部分的に上下方向に一致するようにして設置されていても良い。
又、独立した2系統の照光手段を3系統以上、すなわち、導光板を三枚以上積層して、各導光板の一側端に、各々、LEDを配置することとしても良い。
【0032】
さて、図2には、本発明の実施の形態に係る、キーボード装置21(212)の構造の別例を概略的に示している。ここで、図1に示されたキーボード装置21(211)と同一部分、若しくは相当する部分については、同一の符号を付して、詳しい説明を省略する。
図2のキーボード装置212は、光源としてのLED24が、積層配置された第1の導光板22、第2の導光板26の一側面に、これら複数の導光板22、26へと一括して光を照射する態様で配置されている。具体的には、光源としてのLED24は、その出射光が、第1の導光板22、第2の導光板26の双方へと及ぶように、LED24の厚みは第1の導光板22、第2の導光板26の積層高さと略同一となるように設定されている。
【0033】
そして、LED24からの出射光は、第1の導光板22内を伝播して、符号L1で示されるように、顔料23の直上に位置するキーキャップA11に対して照射されるものである。同様に、LED24からの出射光は、第2の導光板26内も伝播して、符号L2で示されるように、顔料27の直上に位置するキーキャップA21に対して照射されるものである。
更に、図2の例では、LED24から出射された光が、第1の導光板22及び第2の導光板26に挟まれた光学透明両面テープ36にも入射することで、導光板と同様に、光学透明両面テープ36内を伝播してくる光が、光学透明両面テープ36表面の接着剤層36a等において偏向され、各キーキャップA11、A21等の入力操作面の方向へと照射され得るものとなる。なお、図1の例においても、第1の導光板22に係るLED24からの出射光が、光学透明両面テープ36にも入射するように設定することで、光学透明両面テープ36を第1の導光板22と同様に機能させることも可能である。
【0034】
又、図2の例においても、図1の例で説明したのと同様に、第1の導光板22に係る顔料23と、第2の導光板26に係る顔料27とが、部分的に上下方向に一致するようにして設置されていても良い。
又、独立した2系統の照光手段を3系統以上、すなわち、導光板を三枚以上積層して、各導光板の一側端に配置された、光源としてのLEDの出射光が、各導光板の全てへと及ぶように、LEDの厚みを全ての導光板の積層高さと略同一となるよう設定することも可能である。
【0035】
図3には、図2に示されたキーボード装置21(212)の更なる別例を概略的に示している。ここで、図2に示されたキーボード装置21(212)と同一部分、若しくは相当する部分については、同一の符号を付して、詳しい説明を省略する。
図3のキーボード装置213は、光学透明両面テープ36が、第1の導光板22及び第2の導光板26の密着面に対して部分的に配置された例を示しており、特に、これら導光板22、26の外周部にのみ、光学透明両面テープ36が設けられたものである。
このような構成は、光学透明両面テープ36が、第1の導光板22又は第2の導光板26と同様に発光することが望ましくないような場合や、第1の導光板22と第2の導光板26との間に空気層を設けることが望ましい場合に採用されるものであり、光学透明両面テープ36の設置幅を適切に調整することで、第1の導光板22と第2の導光板26とを確実に固定することが可能である。なお、この構成は、図1に示されたキーボード装置21(211)においても、適宜採用可能である。
【0036】
上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
すなわち、本発明の実施の形態に係るキーボード装置21(211、212、213)は、積層配置された複数の導光板22、26の各々の、光の出射面となる主面と対向するもう一方の主面に配置された顔料23、27が、光源であるLED24、28から出射されて導光板22、26に入射した後、導光板22、26内を伝播してくる光を受けて、各々、顔料23、27の位置で偏向され、入力操作面の発光表示部に照射されるものである。すなわち、各導光板22、26はそれ自体に配置された顔料23、27の部分が、各々発光することで、入力操作面の任意の部分又は範囲を、各々の導光板22、26毎に系統分けされた照光手段により、系統単位で独立して照光可能となっている。
【0037】
又、本項に記載のキーボード装置21(211、212、213)の、各導光板22、26に配置された顔料23、27は、各々、各導光板22、26により光が照射される入力操作面の発光表示部であるキーキャップA11、A21が、少なくとも部分的に異なるように各キーキャップA11、A21に対応付けてその位置が定められている。そして、各導光板22、26に配置された顔料23、27の部分と対応付けられた各キーキャップA11、A21については、各々の導光板22、26毎に、一括して光が照射されるものである。ここで、各々の導光板22、26毎に系統分けされた部分又は範囲は、各々異なり、若しくは少なくとも部分的に一致することから、入力操作面の任意の部分又は範囲を、各々の導光板22、26毎に系統分けされた照光手段により、系統単位で独立して照光することで、入力操作面の全範囲に渡る多彩な照光パターンを実現することが可能となる。
しかも、各導光板22、26毎に顔料23、27の種類が異なることで、各々の導光板22、26毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、異なる色に照光することが可能である。
【0038】
又、図1に示されるように、各導光板22、26へと個別に光を照射する態様で配置されたLED24、28を、各々任意に発光させることで、各々の導光板22、26毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、系統単位で独立して、若しくは各系統同時に照光することが可能である。すなわち、入力操作面の全範囲に渡る多彩な照光パターンを、各導光板22、26毎にLED24、28を発光させることによっても、実現するものである。
一方、図2に示されるように、積層配置された複数の導光板22、26へと一括して光を照射する態様で配置されているLED24を発光させることで、各々の導光板毎22、26に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、同時に照光することも可能となる。
すなわち、この場合には、入力操作面の全範囲に渡る多彩な照光パターンを、導光板22、26毎に各発光表示部に対応付けて配置された顔料23、27の位置が相違し、それによる発光位置が相違することによって、実現するものである。
【0039】
更には、図示は省略するが、図1、図2(更には図3)に示されたいずれの態様も含むキーボード装置を構成することも可能である。
すなわち、図1に示される、積層配置された各導光板22、26の一側面に、各導光板へと個別に光を照射する態様で配置されたLED24、28を「第1群の光源」とし、図2に示される、複数の導光板22、26の一側面に、これら複数の導光板へと一括して光を照射する態様で配置されているLED24を「第2群の光源」として、図1及び図2の各導光板が更に積層配置された構成となる。
そして、図1に示される、第1群の光源に対応する各導光板については、各導光板へと個別に光を照射する態様で配置された第1群の光源を、各導光板に対応する毎に任意に発光させることで、各々の導光板毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、系統単位で独立して、若しくは同時に照光するものとなる。又、図2に示される、第2群の光源に対応する各導光板については、これら複数の導光板へと一括して光を照射する態様で配置されている第2群の光源を発光させることで、各々の導光板毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、同時に照光するものとなり、双方の作用効果を併せて、更に多彩な照光パターンの実現が可能となる。
【0040】
このような、多彩な照光パターンの実現は、上記の光源(適宜、第1群の光源、第2群の光源を含む。)の一部又は全部を、任意に点灯ないし消灯する電気回路(本実施例ではFPC38、40)により、各々の導光板22、26毎に系統分けされた入力操作面の部分又は範囲を、系統単位で独立して、若しくは各系統同時に照光することで可能となるものである。なお、各電気回路に付与する電圧値、或いは電流値をコントロールするドライバ42は、この電気回路自体、すなわちキーボード装置内に配置されていても良く、又は、当該キーボート装置を入力装置とする電子機器側に配置されていても良い。
又、図1に示される光源(第1群の光源)に対応する各導光板22、26については、各導光板に対応するLED24、28毎に独立した回路基板(FPC38、40)を備え、図2に示される、光源(第2群の光源)に対応する各導光板22、26については、第2群の光源のための回路基板(FPC38)のみ備えることで、回路基板の数を必要最小限に抑えることが可能となる。
【0041】
なお、本発明の実施の形態に係るキーボード装置21(211、212、213)は、一群の発光表示部、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部の双方がキーキャップ(群)A1、A2であるが、これに限定されることなく、一群の発光表示部、及び、一群の発光表示部を除く発光表示部の一方がキーキャップ、他方が、単なる表示ランプであっても良い。又、図示の例では、一群のキーキャップA1には、特定のファンクションキーと、カーソル移動キーとが含まれているが(図4参照)、これに限定されるものでもなく、複数系統の照光手段を用い、キーキャップを更に複数の群に分けることで、入力操作面の全範囲に渡る多彩な照光パターンを実現することも可能である。
更には、静電容量方式のタッチパネルと、該タッチパネルの上面を覆う透光性のカバーパネルとを備え、該カバーパネル上面が入力操作面をなすキーボード装置においても、同様に複数系統の照光手段を用いることで、図示のキーボード装置と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
21(211、212、213):キーボード装置、22:第1の導光板、 23、27:顔料、 24、28:LED、26:第2の導光板、36:光学透明両面テープ、 38、40:FPC、42:ドライバ、 A11、A21:キーキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層配置された複数の導光板と、該導光板へと光を照射する光源とを含む照光手段とを備え、該照光手段によって入力操作面の発光表示部が照光されるキーボード装置であって、
前記複数の導光板の各々の、光の出射面となる主面と対向するもう一方の主面に、前記光源から前記複数の導光板に導かれた入射光を反射させて前記入力操作面の方向に照射するための顔料が配置され、かつ、前記顔料は、各導光板により光が照射される入力操作面の発光表示部が少なくとも部分的に異なるように、各発光表示部に対応付けて配置されていることを特徴とするキーボード装置。
【請求項2】
前記光源は、前記積層配置された各導光板の一側面に、各導光板へと個別に光を照射する態様で配置されていることを特徴とする請求項1記載のキーボード装置。
【請求項3】
前記光源は、前記積層配置された各導光板の一側面に、各導光板へと個別に光を照射する態様で配置された第1群の光源と、該第1群の光源が配置された導光板を除く複数の導光板の一側面に、これら複数の導光板へと一括して光を照射する態様で配置されている第2群の光源とを含むことを特徴とする請求項1記載のキーボード装置。
【請求項4】
前記各光源の一部又は全部を任意に点灯ないし消灯可能な電気回路を備えることを特徴とする請求項2又は3記載のキーボード装置。
【請求項5】
前記光源は、前記積層配置された複数の導光板の一側面に、これら複数の導光板へと一括して光を照射する態様で配置されていることを特徴とする請求項1記載のキーボード装置。
【請求項6】
前記導光板の各々の、光の出射面となる主面と対向するもう一方の主面に配置された顔料は、各導光板毎に種類が異なることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のキーボード装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−113360(P2012−113360A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259429(P2010−259429)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】