説明

キーボード装置

【課題】 キートップが2つのリンク部材で昇降自在に支持されたキーボード装置において、抜け止め機能を有する支持基板に、リンク部材の下端部を組み付けやすくする。
【解決手段】 キートップを支持するリンク部材30の下端部30aに軸部33が設けられているとともに、下向きに突出する突起部34が形成されている。支持基板10には、支持凹部11aと開口部13が形成されている。軸部33が支持凹部11aに挿入されるときに、突起部34が開口部13に入り込む。突起部34と開口部13の対向縁部14との対向寸法hをさほど大きくしなくても、軸部33の十分な抜け止めを行うことができる。対向寸法hが比較的短いので、軸部33を組み付けるのに必要な力が弱くて済む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のリンク部材によってキートップが昇降自在に支持されているキーボード装置に係り、特に、リンク部材の下端部を支持基板に組み付けやすい構造のキーボード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたキーボード装置には、互いに交差するリンク部材が設けられている。それぞれのリンク部材の上端部が、キートップの下端部に回動自在に連結され、それぞれのリンク部材の下端部の軸部が、金属支持基板であるベースプレートから折り曲げられたフック状の支持凹部に回動自在に支持されている。
【0003】
一方の支持凹部の近くには、ベースプレートから上向きに折り曲げられた抜け止め部が設けられている。リンク部材の下端部に形成された軸部が支持凹部に入った状態で、この軸部が支持凹部と抜け止め部との間に挟まれて、軸部が支持凹部から抜け出ないように抜け止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−92995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたキーボード装置の組み立て作業は、一方のリンク部材の下端部に設けられた軸部を一方の支持凹部に掛止させて、他方のリンク部材の下端部に設けられた軸部を他方の支持凹部に強制的に掛止させる。このとき、軸部を、大きく撓ませて抜け止め部を乗り越えさせながら支持凹部に押し込むことが必要である。
【0006】
この組立作業には、過大な組み付け力が必要になり、手作業の場合は作業者の負担が大きくなり、また自動組立機によって組み付けることも難しい。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、一対のリンク部材の下端部を、支持基板に比較的弱い力で組み付けることができ、組み付けた後は軸部の抜け止めを効果的に防止できるキーボード装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、交叉して配置された一対のリンク部材と、それぞれのリンク部材の上端部に支持されているキートップと、それぞれのリンク部材の下端部を支持する支持基板と、前記キートップの押圧操作を検知する検知部とが設けられたキーボード装置において、
前記支持基板に、一方のリンク部材の下端部の軸部を支持する支持凹部と、他方のリンク部材の下端部の軸部を支持する支持凹部とが、凹部の開放方向を互いに逆に向けて設けられており、
少なくとも一方のリンク部材の下端部に突起部が設けられ、前記軸部が前記支持凹部に入った状態で、前記突起部が前記支持基板に形成された開口部の縁部に対向して、前記軸部の前記支持凹部からの抜け止めがなされていることを特徴とするものである。
【0009】
従来のように、支持基板から抜け止め部を折り曲げて形成した場合、抜け止め部の高さ寸法が比較的大きくなる。また、抜け止め部を軸部の中心よりも高い位置に延ばす必要があるので、これによっても抜け止め部の高さ寸法が比較的大きくなる。そのため、軸部を変形させて抜け止め部を乗り越えさせるために大きな力が必要になる。それに比べて、本発明では、リンク部材の下端部から突出する突起部と、支持基板の開口部の縁部とを対向させているため、その対向寸法が短くても、軸部が支持凹部から抜け出ないように、確実な抜け止めが可能である。また、軸部を支持凹部に挿入するときに、比較的小さな力で、突起部を開口部に介入させることが可能になる。
【0010】
本発明は、前記突起部の前記開口部の縁部に対向する隅部が突曲面形状であることが好ましい。
【0011】
突起部の隅部を突曲面形状にしておくことで、組立時に、突起部を開口部の内部に介入させやすくなる。
【0012】
本発明は、前記軸部が前記支持凹部に入った状態で、前記突起部と前記縁部との対向厚さ寸法を、前記軸部の半径未満とすることが可能であり、突起部と縁部との対向寸法を小さくして、組み付け作業を容易にできる。
【0013】
本発明は、前記軸部が前記支持凹部に挿入されるときに、前記軸部が撓み変形して、前記突起部が前記開口部に入り込むものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、リンク部材の下端部を比較的弱い力で支持基板に組み付けることができ、組み付け作業が容易である。また、組み付け後に、軸部が支持凹部から抜け出にくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態のキーボード装置を示す側面図、
【図2】図1に示したキーボード装置の分解斜視図、
【図3】第1のリンク部材の下端部および支持基板の支持凹部の構造を示す部分分解斜視図、
【図4】第1のリンク部材の下端部を支持凹部に組み付ける作業を示す拡大側面図、
【図5】第1のリンク部材の下端部が支持凹部に組み付けられた状態を示す拡大側面図、
【図6】第1のリンク部材の下端部が支持凹部に組み付けられた状態を示す拡大側面図、
【図7】比較例のリンク部材の下端部が支持凹部に組み付けられた状態を示す拡大側面図、
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1と図2に示すように、キーボード装置1は、支持基板10と、この支持基板10の表面に重ねられたメンブレンシート20を有している。図1と図2には、支持基板10とメンブレンシート20が1つのキーボード装置1を構成する大きさで図示されているが、実際は、支持基板10とメンブレンシート20の面積がさらに広く、共通の支持基板10およびメンブレンシート20の上に、複数のキーボード装置1が設けられている。
【0017】
支持基板10は金属板で形成されている。1つのキーボード装置1では、支持基板10に、一対の第1の支持片11,11と一対の第2の支持片12,12が設けられている。
【0018】
支持基板10のY1側に、一対の開口部13,13が貫通して形成されている。開口部13,13はX方向に間隔を空けて配置されており、それぞれの開口部のX方向の縁部から金属板の一部が上向きに折り曲げられて、第1の支持片11,11が形成されている。第1の支持片11,11のそれぞれには、Y1方向へ向けて開放された第1の支持凹部11a,11aが形成されている。第1の支持凹部11a,11aは、第1の支持片11,11のY1方向に向く縁部の一部を切断することでフック形状に形成されている。
【0019】
第1の支持片11,11から内側に離れた箇所において、開口部13,13のY1側の縁部の一部に対向縁部14,14が形成されている。図4ないし図6に示すように、対向縁部14,14は、金属板の支持基板10に開口部13,13を打ち抜いたときに形成されたものであり、支持基板10の表面10aに対してほぼ垂直に延びる板端面である。
【0020】
図1に示すように、支持基板10のY2側に、開口部15が貫通して形成されている。開口部15のY1側の縁部から金属板の一部が上向きに折り曲げられて一対の第2の支持片12,12が形成されている。第2の支持片12,12は上端部がY2方向へ向けて折り曲げられ、Y2方向に向けて開放された第2の支持凹部12a,12aが形成されている。第2の支持凹部12a,12aは、第1の支持凹部11a,11aと比べて、Y2方向へ長く形成されている。
【0021】
第1の支持凹部11a,11aはY1方向に向けて開放され、第2の支持凹部12a,12aはY2方向へ向けて開放され、両支持凹部の凹部の開放方向が互いに逆方向である。
【0022】
メンブレンシート20は、合成樹脂の可撓性シートで形成された下部シート21と上部シート22および両シート21,22の間に介在するスペーサシートとが重ねられて構成されている。キーボード装置1の中央部において、メンブレンシート20に検知部23が形成されている。検知部23では、スペーサシートが設けられておらず、下部シート21と上部シート22が薄い空間を介して上下に対向している。下部シート21と上部シート22のそれぞれの対向面にカーボン膜などの導電層で形成された接点が設けられている。検知部23において、上部シート22が押されると、上部シート22に設けられた接点と下部シート21に設けられた接点とが接触し、検知部23が検知状態となる。
【0023】
メンブレンシート20の検知部23の上に、弾性部材25が設置されている。弾性部材25は合成ゴムなどの弾性を有する合成樹脂材料で形成されている。弾性部材25はテーパ部26aと天井部26bを有しており、テーパ部26aと天井部26bの内部は空洞である。また、天井部26bから前記空洞の内部に延びる押圧突起が一体に形成されている。
【0024】
弾性部材25は、キートップ5を支持基板10から離す向きに付勢している。キートップ5が支持基板10に向けて押されると、キートップ5で弾性部材25が上下に潰され、前記押圧突起でメンブレンシート20の検知部23が押されて、検知出力が得られる。
【0025】
メンブレンシート20には、第1の支持片11,11および対向縁部14,14を露出させる逃げ穴27,27と、第2の支持片12,12を露出させる逃げ穴28が開口している。
【0026】
キートップ5は合成樹脂材料で形成されている。図1に断面が示されているように、キートップ5はその上面が押圧面5aであり、裏面が掛止面5bである。
【0027】
キートップ5には、Y2側において掛止面5bから下向きに突出する第1の掛止突起6が一体に形成されており、第1の掛止突起6にY2方向に向けて開放された第1の掛止凹部6aが形成されている。第1の掛止凹部6aは、Y2方向へやや長く形成されている。第1の掛止突起6および第1の掛止凹部6aは、図1の紙面に直交する方向(図1のX方向)に距離を開けて、一対設けられている。
【0028】
キートップ5には、Y1側において掛止面5bから下向きに突出する第2の掛止突起7が一体に形成されている。第2の掛止突起7には下向きに開放された第2の掛止凹部7aが形成されている。第2の掛止突起7および第2の掛止凹部7aは、図1の紙面に直交する方向(図1のX方向)に距離を開けて、一対設けられている。
【0029】
支持基板10とキートップ5との間に第1のリンク部材30と第2のリンク部材40が設けられている。第1のリンク部材30と第2のリンク部材40は、共に合成樹脂材料で形成されている。
【0030】
図2に示すように、第1のリンク部材30は中央に穴部31が貫通して形成されており、第2のリンク部材40が穴部31の内部に位置している。第2のリンク部材40にも上下に貫通する穴部41が形成されている。図1に示すように、キーボード装置1が組み立てられると、前記弾性部材25が穴部41の内部に位置し、弾性部材25の上端部25aがキートップ5の掛止面5bに圧接される。
【0031】
図2に示すように、第1のリンク部材30の穴部31の内周面に、X方向に対向する一対の連結凹部32,32が形成されている。第2のリンク部材40には外周面からX方向の両側に突出する連結突起42,42が一体に形成されている。それぞれの連結突起42,42が連結凹部32,32に挿入されて、第1のリンク部材30と第2のリンク部材40が互いに交叉して組み合わされており、前記連結突起42,42を支点として互いに回動自在に連結されている。
【0032】
第1のリンク部材30は、下端部30aが支持基台10に回動自在に支持され、上端部30bがキートップ5に連結される。
【0033】
図2と図3に示すように、第1のリンク部材30の下端部30aには、X方向の両側に突出する軸部33,33が一体に形成されている。第1のリンク部材30の下端部30aでは、軸部33,33よりも内側に距離Wだけ離れた場所に、突起部34,34が一体に形成されている。図4ないし図6に示すように、突起部34,34は、軸部33,33の外周面よりもさらに支持基板10に向けて突出している。
【0034】
突起部34,34は、対向端部34a,34aと底側端部34b,34bを有している。図4に示すように、第1のリンク部材30が水平姿勢のとき、対向端部34a,34aは、支持基板10の表面10aに対して垂直な向きとなり、底側端部34b,34bは表面10aと平行な向きとなる。対向端部34a,34aと底側端部34b,34bとが交わる隅部34c,34cは、突曲面形状に形成されている。図4ないし図6に示すように、隅部34c,34cを側方から見たときにその輪郭が突曲線である。
【0035】
第1のリンク部材30の上端部30bにはX方向の外側に突出する軸部35,35が一体に形成されている。
【0036】
第2のリンク部材40も下端部40aと上端部40bを有している。下端部40aには、幅方向の中間部の2箇所に軸部43,43が一体に形成されている。上端部40bには、X方向の両側に突出する軸部44,44が一体に形成されている。
【0037】
次に、キーボード装置1の組立方法を説明する。
支持基板10にメンブレンシート20が積層され接着剤などで固定されると、メンブレンシート20の逃げ穴27,27の内部に、支持基板10に設けられた第1の支持片11,11と対向縁部14,14が露出し、逃げ穴28の内部に第2の支持片12,12が露出する。
【0038】
メンブレンシート20の表面に弾性部材25が設置され接着剤で固定された後に、第1のリンク部材30と第2のリンク部材40が取り付けられる。第1のリンク部材30と第2のリンク部材40は、連結凹部32,32と連結突起42,42を介して互いに回動自在に連結された状態で、支持基板10に組み付けられる。
【0039】
最初に、第2のリンク部材40の下端部40aに設けられた軸部43,43を、Y2方向の外方から第2の支持凹部12a,12aの内部に挿入し、軸部43,43を第2の支持片12,12に掛止させる。その後、第1のリンク部材30の下端部30aをY1方向へ引っ張って、第1のリンク部材30と第2のリンク部材40を、支持基板10の表面10aとほぼ平行な水平状態にする。第1のリンク部材30が水平姿勢となった状態で、図4から図5に示す手順で、第1のリンク部材30の下端部30aに設けられた軸部33,33を、第1の支持片11,11に形成された第1の支持凹部11a,11aに掛止させる。
【0040】
図4に示すように、第1のリンク部材30が水平姿勢のとき、突起部34の底側端部34bから軸部33の上縁までの図示上下方向の高さ寸法H1が、支持基板10の表面10aから第1の支持凹部11aの開口上縁までの開口高さ寸法H0よりも大きい。また、軸部33が、第1の支持片11のY1側の端部に当接したときに、支持基板10の対向縁部14が、突起部34の対向端部34aよりもY2側に位置している。
【0041】
図3に示すように、軸部33,33と第1の支持片11,11との掛止部と、突起部34,34と対向縁部14,14との対向部との間には、X方向に向けて距離Wが設けられている。したがって、図4の状態から、軸部33,33を第1の支持凹部11a,11aに強制的に押し込むと、軸部33,33が弾性変形して撓みながら、突起部34,34の底側端部34b,34bが支持基板10の表面10aを摺動して、図5に示すように、突起部34,34が開口部13,13の内部に入り込む。突起部34,34の隅部34c,34cは突曲面形状であるため、隅部34c,34cが、支持基板10の対向縁部14,14の上エッジ部14a,14aを比較的滑らかに乗り越えて、突起部34,34が開口部13,13に入り込む。
【0042】
図5に示すように、突起部34が開口部13に入り込むと、突起部34のほぼ垂直に形成された対向端部34aが、支持基板10の対向縁部14と対向して、軸部33が第1の支持凹部11aから抜け出なくなる。ほぼ垂直な対向端部34aが対向縁部14と対向するため、軸部33の抜け止めを確実に行うことができる。したがって、突起部34と対向縁部14との上下方向の対向寸法hをあまり大きく確保する必要がなく、対向寸法hが、軸部33の半径よりも小さい寸法であっても、軸部33の抜け止め機能を十分に発揮できる。
【0043】
図7は、比較例のキーボード装置を示している。この比較例は、特許文献1に記載された従来技術と同等のものである。
【0044】
図7に示す比較例は、第1のリンク部材130に設けられた軸部133が、支持基板110に形成された支持片111の支持凹部111aに掛止されている。そして、支持基板110の一部が上向きに折り曲げられて、抜け止め片114が形成されている。
【0045】
抜け止め片114は、金属板の支持基板110の一部を折り曲げて形成しているため、支持基板110の表面110aから抜け止め片114の上端までの高さ寸法を短く加工することは困難である。また、抜け止め片114は円柱状の軸部133に対向するため、抜け止め片114の上端を軸部133の中心よりも所定寸法δだけ上方へ延ばしておかないと、軸部133に対する抜け止めが不十分になる。抜け止め片114が高い寸法にならざるを得ないため、軸部133と抜け止め片114との上下の重なり寸法が必然的に大きくなる。この場合、軸部133を、抜け止め片114を乗り越えさせて、支持凹部111aの内部に入り込ませるのに非常に大きな組み付け力が必要になる。
【0046】
これに対し、前記実施の形態のキーボード装置1では、図5に示すように、突起部34の垂直な対向端部34aを対向縁部14に対向させることができるため、対向寸法hをさほど大きくしなくても、抜け止め機能を十分に発揮できる。その結果、突起部34を開口部13に入り込ませるのに必要な突起部34の乗り越え量が比較的小さくなり、組み付けに過大な作業力が不要になる。
【0047】
また、実施の形態では、対向縁部14が、開口部13を打ち抜いたときに形成される板端面であるため、図7の比較例のように抜け止め片114を折り曲げる必要がなくなり、支持基板10の構造も簡単なものにできる。
【0048】
第1のリンク部材30と第2のリンク部材40が、支持基板10に組み付けられた後に、図1に示すように、第1のリンク部材30の上端部30bと第2のリンク部材40の上端部40bにキートップ5が取り付けられる。
【0049】
キートップ5の取付け作業は、第1のリンク部材30の上端部30bに設けられた軸部35,35をキートップ5の掛止面5bに形成された第1の掛止凹部6a,6aの内部に挿入する。その後に、第2のリンク部材40の上端部40bに設けられた軸部44,44を、キートップ5に設けられた第2の掛止凹部7aに対して下側から嵌合させる。
【0050】
図1に示すキーボード装置1は、キートップ5が昇降するときに、第1のリンク部材30が、下端部30aの軸部33を支点として回動し、第1のリンク部材30の上端部30aに設けられた軸部35が、キートップ5の第1の掛止凹部6a内を移動する。また、第2のリンク部材が、上端部40bに設けられた軸部44を支点として回動し、下端部40aに設けられた軸部43が支持基板10に設けられた第2の支持凹部12a内を移動する。
【0051】
図1に示すように、キートップ5が押されていないときは、弾性部材25の弾性力でキートップ5が持ち上げられている。このとき、図6に示すように、第1のリンク部材30の下端部30aは、軸部33を支点として時計方向へ回動して、突起部34の対向端部34aが支持基板10の対向縁部14から離れるが、弾性部材25の弾性力によって、軸部33が第1の支持凹部11aに押し付けられる。キートップ5が押されると、図5に示すように、第1のリンク部材30はほぼ水平姿勢となり、対向端部34aが対向縁部14に対面する。したがって、キートップ5がどの姿勢のときでも、第1の支持凹部11a,11aから軸部33,33が抜け出ないように抜け止めされる。
【0052】
上記実施の形態では、第1のリンク部材30の下端部30aに突起部34が形成されているが、前記下端部30aとともに第2のリンク部材40の下端部40aにも突起部を設け、支持基板10にこの突起部と対向する対向縁部を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 キーボード装置
5 キートップ
6 第1の掛止突起
6a 第1の掛止凹部
7 第2の掛止突起
7a 第2の掛止凹部
10 支持基板
10a 表面
11 第1の支持片
11a 第1の支持凹部
12 第2の支持片
12a 第2の支持凹部
13 開口部
14 対向縁部
20 メンブレンシート
23 検知部
30 第1のリンク部材
30a 下端部
30b 上端部
33 軸部
34 突起部
34a 対向端部
34b 底側端部
34c 隅部
35 軸部
40 第2のリンク部材
40a 下端部
40b 上端部
43,44 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交叉して配置された一対のリンク部材と、それぞれのリンク部材の上端部に支持されているキートップと、それぞれのリンク部材の下端部を支持する支持基板と、前記キートップの押圧操作を検知する検知部とが設けられたキーボード装置において、
前記支持基板に、一方のリンク部材の下端部の軸部を支持する支持凹部と、他方のリンク部材の下端部の軸部を支持する支持凹部とが、凹部の開放方向を互いに逆に向けて設けられており、
少なくとも一方のリンク部材の下端部に突起部が設けられ、前記軸部が前記支持凹部に入った状態で、前記突起部が前記支持基板に形成された開口部の縁部に対向して、前記軸部の前記支持凹部からの抜け止めがなされていることを特徴とするキーボード装置。
【請求項2】
前記突起部の前記開口部の縁部に対向する隅部が突曲面形状である請求項1記載のキーボード装置。
【請求項3】
前記軸部が前記支持凹部に入った状態で、前記突起部と前記縁部との対向厚さ寸法が、前記軸部の半径未満である請求項1または2記載のキーボード装置。
【請求項4】
前記軸部が前記支持凹部に挿入されるときに、前記軸部が撓み変形して、前記突起部が前記開口部に入り込む請求項1ないし3のいずれかに記載のキーボード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−119182(P2012−119182A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268346(P2010−268346)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】