説明

キー入力装置、バックライトへの電力供給制御方法、およびプログラム

【課題】消費電力を低減しながら光るキートップを実現する。
【解決手段】キー入力装置10は、所定の厚みの蓄光材料の層を有するキートップ200と、前記キートップの上下動に応じて開閉する接点が設けられ、前記接点の開閉に応じて入力信号を生成するスイッチ部500と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、入力装置の制御方法、およびプログラムに関し、特に、光るキートップを有する入力装置、光るキートップを有する入力装置のバックライトへの電力供給制御方法、および光るキートップを有する入力装置として機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
暗い環境における、情報処理装置の操作を補助するために、光る操作部を有する情報処理装置が近年注目されている。例えば、特許文献1には、バックライトの光を透過する部分を含むキートップを有するキーボード装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−207101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、バックライトの消費電力は、提供する明るさに比例して増大する。このため、情報処理装置の演算回路の省エネルギー化を阻害しているという問題があった。そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、情報処理装置の操作部のキートップ表面を蓄光材料で覆うことにより、消費電力を低減しながら光るキートップを実現することが可能な、新規かつ改良されたキー入力装置、バックライトの制御方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、厚みが均一な蓄光材料の層を有するキートップと、上記キートップの上下動に応じて開閉する接点が設けられ、上記接点の開閉に応じて入力信号を生成するスイッチ部とを有する、キー入力装置が提供される。
【0006】
かかる構成によれば、キートップに蓄光材料が用いられるため、バックライトの光で直接キートップを発光させるキー入力装置と比較して、消費電力が低減される。このとき、厚みが均一な蓄光材料の層を用いることによって、均一な発光を得ることができる。厚みが均一な蓄光材料の層を有するキートップは、例えばインサートモールド成形により形成することができる。
【0007】
また、上記キートップを下から照射するバックライトをさらに有し、上記蓄光材料は、上記バックライトの発する光を蓄えてもよい。
【0008】
また、上記入力信号に基づいて、上記バックライトに印加する電力を制御する電力制御部をさらに有してもよい。
【0009】
また、上記バックライトは、近紫外線を発するバックライトであってもよい。
【0010】
上記電力制御部は、上記入力信号の生成頻度に基づいて、上記バックライトに印加する電力を制御してもよい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、厚みが均一な蓄光材料の層を有するキートップと、上記キートップの上下動に応じて開閉する接点が設けられたスイッチ部と、上記接点の開閉に応じた入力信号を生成する入力信号生成部と、上記キートップの下部に設けられたバックライトと、上記バックライトに印加する電力を制御する電力制御部とを有する入力装置の上記電力制御部が、上記入力信号の有無に基づいて、上記バックライトに印加する電力を制御する、キー入力装置の制御方法が提供される。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、厚みが均一な蓄光材料の層を有するキートップと、上記キートップの上下動に応じて開閉する接点が設けられたスイッチ部と、上記接点の開閉に応じた入力信号を生成する入力信号生成部と、上記キートップの下部に設けられたバックライトと、上記バックライトに印加する電力を制御する電力制御部とを有するキー入力装置として機能させるための、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、消費電力を低減しながら光るキートップを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る入力装置を有する情報処理装置の外観図である。
【図2】同実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成図である。
【図3】同実施形態にかかる情報処理装置の入力装置部分の概要図である。
【図4】同実施形態にかかる入力装置のキー構造の一例を示す分解斜視図である。
【図5】同実施形態にかかる入力装置の断面構造の一例を示す断面図である。
【図6】同実施形態にかかる入力装置のキートップ作製方法の説明図である。
【図7】同実施形態にかかる入力装置のキートップ作製方法の説明図である。
【図8】同実施形態にかかる入力装置のバックライトに供給する電力制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】同実施形態にかかる入力装置のバックライトに供給する電力制御動作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.概要
2.ハードウェア構成
3.キー構造
4.キートップの作製方法
5.バックライト制御
【0017】
<1.概要>
まず、本発明の一実施形態に係る入力装置を有する情報処理装置の概要について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置を有する情報処理装置の外観図である。
【0018】
ノートPC(Personal Computer)10は、入力装置を有する情報処理装置の一例である。このノートPC10は、表示装置側の筐体12と入力装置側の筐体14とを有する。なお、以下の実施形態においては、本発明の一実施形態に係る入力装置について説明するために、このノートPC10が用いられる。しかし、本発明は、かかる例に限定されない。本発明の一実施形態に係る入力装置は、その他あらゆる情報処理装置に搭載されてよい。或いは、入力装置は、情報処理装置と別体の装置であり、ケーブル又は通信路等を介して情報処理装置に入力信号を送信してもよい。
【0019】
上述の通り、本実施形態に係る入力装置は、光るキートップを有する。近年、暗い環境でのキー操作を容易にするために、キーボードにバックライトを搭載してキートップが光るPCが注目されている。一方、特にノートPCなどのバッテリ駆動型の装置においては、バッテリによる駆動時間を延ばすために、省エネルギー化が進められている。このため、光るキートップの実現は、PCの演算回路の省エネルギー化を阻害していた。
【0020】
そこで、本発明の一実施形態に係る入力装置は、キートップに蓄光材料を用いることで光るキートップの省エネルギー化を図ることのできる入力装置を実現する。蓄光材料は、自然光を蓄えて発光することができる。しかし、ノートPC10の使用環境によっては、必ずしも蓄光材料が発光に必要な光を蓄えることができるとは限らない。このため、ノートPC10は、キートップを操作面と逆側の面から照射するバックライトを有する。以下、このノートPC10の全体構成、キー部分の構造、キートップの作製方法、およびバックライトの制御について説明される。
【0021】
<2.ハードウェア構成>
次に、図2および図3を参照しながら、本発明の一実施形態に係る入力装置を有する情報処理装置の一例であるノートPC10のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成図である。図3は、本実施形態にかかる情報処理装置の入力装置部分の概要図である。
【0022】
ノートPC10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ホストバス104と、ブリッジ105と、外部バス106と、インタフェース107と、入力装置108と、出力装置109と、ストレージ装置(HDD)110と、ドライブ111と、通信装置112とを有する。
【0023】
CPU101は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってノートPC10内の動作全般を制御する。また、CPU101は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM102は、CPU101が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM103は、CPU101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス104により相互に接続されている。
【0024】
ホストバス104は、ブリッジ105を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス106に接続されている。なお、必ずしもホストバス104、ブリッジ105および外部バス106を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0025】
入力装置108は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU101に出力する入力制御回路などから構成されている。ノートPC10のユーザは、該入力装置108を操作することにより、サーバ装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0026】
なお、本実施形態においては、この入力装置108のうちキーボード部分について主に説明される。図3に示されるように、ノートPC10は、入力装置側の筐体14に複数のキートップ200により操作されるキースイッチと、タッチパッド210と、ボタン220とを有する。このキースイッチと、タッチパッド210と、ボタン220とは、入力装置108の一例である。
【0027】
出力装置109は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置と、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。出力装置109は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0028】
ストレージ装置110は、本実施形態にかかるノートPC10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置であり、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含むことができる。このストレージ装置110は、ハードディスクを駆動し、CPU101が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0029】
ここで、ストレージ装置110は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリが記憶媒体として用いられるが、上記に限られない。
【0030】
ドライブ111は、記憶媒体用リーダライタであり、ノートPC10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ111は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体120に記録されている情報を読み出して、RAM103に出力する。
【0031】
通信装置112は、例えば、通信網50に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置112は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0032】
<3.キー構造>
次に、図4および図5を参照しながら、本実施形態に係るキー構造の一例について説明する。図4は、本実施形態にかかる入力装置のキー構造の一例を示す分解斜視図である。図5は、本実施形態にかかる入力装置の断面構造の一例を示す断面図である。
【0033】
典型的にはキーボードとして実現されるキースイッチは、それぞれのキーに割当てられた入力信号をタイプされた順に入力する。キーひとつひとつは、信号をON/OFFするスイッチであり、通常の状態ではOFF、押し下げた状態でONとなる。この機能を実現するために、キースイッチは、キーを操作するための操作部と、キーを上下動させ、キーを押し下げて行く過程の感触、いわゆるタイプ感を作り出すアクチュエータと、キーの上下動に応じた入力信号を生成するスイッチ部と、を主に有する。
【0034】
図4には、ノートPC10の入力装置側の筐体14が有するキースイッチのうち、ひとつのキートップ200の下部領域の構造の一例が示される。キースイッチは、複数のキートップ200と、機構部300と、ラバードーム400と、基板500とを主に有する。
【0035】
キートップ200は、キーを操作するための操作部の一例である。キートップ200は、所定の厚みを有する蓄光材料により表面が覆われる。ここで用いられる蓄光材料は、自然光および光源から発せられる光を蓄えて発光する性質を有する。キートップ200の詳細な構成とその作製方法については、後述される。
【0036】
機構部300およびラバードーム400は、キートップ200が押圧されると、キーを上下動させるとともに、キーを押し下げて行く過程の感触、いわゆるタイプ感を作り出すアクチュエータの一例である。機構部300は、例えば基板500に固定され、キートップ200を保持する。機構部300は、キートップ200を通常位置に保持すると共に、ユーザによりキートップ200が押し下げられると、押し下げられた状態から再び通常位置へ復帰させるまでの上下動を補助する役割を有する。ラバードーム400は、ドーム状のばねである。また、本実施形態においてラバードーム400は、キートップ200が押圧されるとともに変形して基板500に形成された信号パターンの接点と接触する。これによりラバードーム400は、キートップ200の上下動に応じて接点を開閉する。このため、ラバードーム400は、少なくとも上記接点と接触する部分が導電性を有する。
【0037】
基板500は、キートップ200の上下動に応じた入力信号を生成するスイッチ部の機能を有する。基板500は、例えばガラスエポキシ印刷配線板である。この基板500上には、入力信号を生成するための接点が設けられた信号回路パターンが形成される。この信号回路パターンは、キー位置に対応する位置に接点が設けられる。また、基板500上には、LED530に電力を供給するための電力供給パターンが形成される。この電力供給パターンは、キー位置に対応する位置にLED530に電力を供給するための+接点と−接点とが設けられる。LED530は、+端子と−端子とを有し、電力供給パターンの+接点と−接点とにそれぞれ半田付けされる。
【0038】
LED530は、基板500上において、キートップ200を下方から照射する光源の一例である。このとき、LED530は、キートップ200全面を照射することができる位置に配置されることが望ましい。また、LED530は、近紫外線を発する近紫外線LEDであってよい。近紫外線LEDを用いることにより、キートップ200に用いられた蓄光材料の発光効率が高まるという効果がある。光源としては、冷陰極放電管のような高電圧を使用するものであってもよい。しかし、近紫外線LEDを用いることによって、駆動回路が簡素化される。また、低価格化を実現することができる。
【0039】
以上、本実施形態に係る入力装置のキースイッチを構成する主な構成要素について説明してきた。これらの構成要素は、例えば図5に示すように組合わされる。これにより、キートップ200がユーザにより押圧されると、機構部300及びラバードーム400が下方に押し下げられる。このとき、ラバードーム400は変形して基板500上の接点を接続する。接点が接続されると、接続された接点に応じた入力信号が生成される。
【0040】
なお、ここで示した物理的構造は一例であり、本発明はかかる例に限定されない。例えば、図5に示したキースイッチ構造は、図4の例と異なり、機構部300としてパンタグラフ型のアクチュエータが用いられている。また、機構部300が省略された構造であってもよい。
【0041】
<4.キートップの作製方法>
次に、図6および図7を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置の入力装置に用いられるキートップ200の構成と作製方法について説明する。図6および図7は、本実施形態にかかる入力装置のキートップ作製方法の説明図である。
【0042】
キートップ200は、均一な厚みの蓄光材料を含み、インサートモールド成形により成形される。まず、図6に示すように、透光性フィルム202aに蓄光樹脂202bを均一な厚みに塗布することにより、付形加飾シート202が作製される。
【0043】
そして、図7に示されるように、付形加飾シート202と透明樹脂204とを合わせることによりキートップ200は作製される。ここで、付形加飾シート202は、成形された透明樹脂204と共に金型に入れられ、圧縮加工されることによりキートップ200の形状に成形されてもよい。或いは、付形加飾シート202がセットされた金型内に透明樹脂を流し込む射出成形が用いられてもよい。
【0044】
ここで、蓄光材料は、透光性フィルム202aに塗布することにより、均一な厚みに成形される。蓄光材料を用いたキートップの作製方法としては、例えば、蓄光樹脂でキートップ本体を成形することも考えられる。しかし、この場合には、キートップの部位によって厚みが異なってしまう。蓄光材料は、その厚みによって輝度が異なる。このため、キートップ本体を全て蓄光樹脂で成形した場合には、発光の輝度に斑が生じ、デザイン性を大きく損なうという問題があった。
【0045】
また、蓄光材料を用いたキートップの作製方法としては、キートップ本体の表面に、蓄光材料を塗りこむ溝を設ける方法がある。蓄光材料から実用に耐える光量を得るためには、蓄光材料の厚みを確保することが重要である。例えば、0.5mm程度の厚みが必要である。このため、キートップに溝を設けることにより、蓄光材料に厚みを出すことができる。しかし、キートップに溝を設けた場合には、蓄光材料を塗りこんだとしても、キートップ表面に凹凸が残ってしまう。キートップには、所定のキーにホームポジション・マーカが設けられることがある。ホームポジション・マーカは、キーボードを見ずに手をホームポジションに指を置けるようにキートップに施された工夫である。一般的には、ホームポジション・マーカは、両手の人差し指を置く「F」と「J」の位置に設けられる。ところが、キートップに蓄光材料を塗りこむための溝を設ける場合には、各キートップ表面に残る凹凸によりホームポジション・マーカの位置がわからなくなってしまうという問題があった。
【0046】
また、キートップに蓄光材料を塗りこむための溝を設ける場合には、各キートップ本体が、キートップ表面に記載される文字の形の溝を有する形状に成形される。このため、キートップ本体が他の文字が記載されるキースイッチに流用することができず、製造上の不都合が生じる。すなわち、通常のキートップは、ホームポジション・マーカが形成されるキー、並びに、例えばEnterキーなどの形状及び大きさが異なるキースイッチを除いては、表面に印刷する文字を変えることによって、キートップ本体は相互に共用することができた。ところが、溝が形成されることにより、この共用を行うことができないという問題があった。
【0047】
一方、本実施形態に係るキートップ200は、蓄光材料が均一な厚みで含まれるため、キートップの発光に斑ができないという効果がある。このとき、キートップ200表面は、透光性フィルム202aで覆われ、ユーザの指が直接蓄光材料に触れない。蓄光材料は、鉱物が含まれるために一般的にざらざらとした質感を有する。しかし、本実施形態に係るキートップ200の構成によれば、滑らかなキータッチ感覚を保つことができる。
【0048】
また、本実施形態に係るキートップ200は、キートップ表面に溝を設ける必要がない。このため、同じ大きさ及び形状を有するキートップは、共用することができる。例えば、「G」のキースイッチのキートップと、「H」のキースイッチのキートップとが共用される。このことは、製造工程上のロスを低減するために重要である。
【0049】
<5.バックライト制御>
次に、図8及び図9を参照しながら、本実施形態に係る入力装置のバックライトに供給する電力量の制御の一例について説明する。図8は、本実施形態にかかる入力装置のバックライトに供給する電力制御動作の一例を示すフローチャートである。図9は、本実施形態にかかる入力装置のバックライトに供給する電力制御動作の一例を示す説明図である。
【0050】
なお、以下に説明するノートPC10の動作は、例えば、CPU101にかかる動作の手順を記述したプログラムを実行させることにより実現することができる。まず図8を参照すると、ノートPC10は、ユーザ操作を検知したか否かを判断する(S101)。ここでユーザ操作の有無は、入力装置108からの入力信号に基づいて判断される。入力信号は、キートップ200の操作に基づいて入力されたものであってもよいし、タッチパッド210或いはボタン220の操作に基づいて入力されたものであってもよい。
【0051】
ステップS101の判断によりユーザ操作が検知されると、光源であるLED530に所定量の電力供給を開始する(S103)。ここで、所定量の電力は、例えば供給することのできる電力の最大量であってもよい。そして、所定の時間が経過したか否かが判断される(S105)。所定の時間は、例えば蓄光材料が光を蓄えるのに十分な時間に基づいて決められてよい。そして、所定の時間が経過すると、ノートPC10は、光源に供給する電力量を低減する(S107)。そして、電力供給の停止条件を満たしているか否かが判断される(S109)。ステップS109の判断において、電力供給の停止条件を満たしていると判断された場合には、光源に供給する電力を停止する(S111)。
【0052】
一方、電力供給の停止条件を満たしていないと判断された場合には、再びステップS101の動作に戻る。ここで、電力供給の停止条件を満たしているか否かは、例えば、ユーザが停止のための操作を行ったか否かに基づいて判断されてよい。或いは、電力供給の停止条件を満たしているか否かは、ユーザ操作がない状態の継続時間に基づいて判断されてもよい。ユーザ操作が所定時間以上継続してないと判断される場合には、キートップの発光が必要ないと判断される。
【0053】
次に、電力量の調整の具体例について図9を用いて説明する。図9の上図は、時間と電力供給の有無を示した図である。本実施形態において、電力量の調整は、PWM(Pulse Width Modulation)を用いて行われる。PWMは、パルス波のデューティー比を変化させて変調する変調方法である。ここで、デューティー比は、周期的なパルス波を出したときの周期とパルス幅の比のことであり、パルス幅を周期で除算した値である。
【0054】
図9の例では、時刻t0において、ユーザがキー入力を開始すると、パルス波の印加が開始される。そして、所定のデューティー比で電力の供給が制御される。ここで用いられる所定のデューティー比を、用いられるデューティー比の中で最大の値という意味で最大デューティー比とする。
【0055】
そして、予め設定された所定時間が経過する時刻t1において、用いるデューティー比を徐々に減少させることにより、供給される電力量が低減される。その後、ユーザが入力操作を一定時間以上行わない場合には、用いられるデューティー比は、最小のデューティー比まで減少される。ここでは、最小デューティー比は、最大デューティー比を用いた場合と比較して、平均電流が50%となる値とした。
【0056】
また、最小デューティー比で供給する電力量が制御されている間に、ユーザの入力操作がtnにおいて再開された場合には、再び用いられるデューティー比は、最大デューティー比に戻される。なお、ここでは図示していないが、最小デューティー比を用いて供給する電力量が制御されている間に、所定の時間が経過すると、電力供給を停止するようにしてもよい。
【0057】
蓄光材料は、蓄えた光を放出することにより発光を続けるため、電力供給を停止してからも、蓄えた光を放出し終えるまでは発光し続ける。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係るノートPC10のキー入力部は、所定の厚みの蓄光材料をキートップ200に含むことにより、光るキートップを実現することができる。このとき、蓄光材料の厚みが均一であるため、輝度に斑のない発光が実現される。蓄光材料は、照射される光を蓄えて、放出することにより発光する。本実施形態においてキートップ200に用いられる蓄光材料は、自然光を蓄えることができるとともに、背面に設けられた近紫外線LED530の光を蓄えることもできる。このため、キートップ200は、バックライトとしての近紫外線LED530を照射しなくとも、自然光を蓄えることにより発光する。また、蓄光を補助するために近紫外線LED530が用いられるが、蓄光材料が用いられず、光源の光により直接発光するキートップと比較すると、キートップの発光に消費される電力は低減される。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
例えば、上記実施形態においては、LED530に供給される電力量はPWMにより調整されるものとして説明されたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、LED530と電源(図示せず)との間に、可変抵抗を挟むことにより実現されてよい。すなわち、可変抵抗の値を変化させることにより、LED530に供給される電力量が調整される。このとき、抵抗値が0Ωであれば、LED530は、100%の明るさで発光する。抵抗値を大きくすることにより、LED530に供給される電力量が減少するため、発光の明るさは暗くなる。
【0061】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
10 ノートPC(情報処理装置)
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 ホストバス
105 ブリッジ
106 外部バス
107 インタフェース
108 入力装置
109 出力装置
110 ストレージ装置(HDD)
111 ドライブ
112 通信装置
200 キートップ
300 機構部(アクチュエータ)
400 ラバードーム(アクチュエータ)
500 基板(スイッチ部)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚みの蓄光材料の層を有するキートップと、
前記キートップの上下動に応じて開閉する接点が設けられ、前記接点の開閉に応じて入力信号を生成するスイッチ部と、
を備える、キー入力装置。
【請求項2】
前記キートップを裏から照射するバックライト、
をさらに備え、
前記蓄光材料は、前記バックライトの発する光を蓄える、請求項1に記載のキー入力装置。
【請求項3】
前記入力信号に基づいて、前記バックライトに印加する電力を制御する電力制御部、
をさらに備える、請求項2に記載のキー入力装置。
【請求項4】
前記バックライトは、近紫外線を発する、請求項2または3のいずれかに記載のキー入力装置。
【請求項5】
前記電力制御部は、前記入力信号の生成頻度に基づいて、前記バックライトに印加する電力を制御する、請求項3に記載のキー入力装置。
【請求項6】
前記キートップは、前記蓄光材料を前記所定の厚みで塗布したフィルムと樹脂とを一体成形するインサートモールド成形で成形されることで、前記所定の厚みの蓄光材料の層が形成される、請求項1に記載のキー入力装置。
【請求項7】
所定の厚みの蓄光材料の層を有するキートップと、
前記キートップの上下動に応じて開閉する接点が設けられたスイッチ部と、
前記接点の開閉に応じた入力信号を生成する入力信号生成部と、
前記キートップの下部に設けられたバックライトと、
前記バックライトに印加する電力を制御する電力制御部と、
を備える入力装置の前記電力制御部が、前記入力信号の有無に基づいて、前記バックライトに印加する電力を制御する、バックライトへの電力供給制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、
所定の厚みの蓄光材料の層を有するキートップと、
前記キートップの上下動に応じて開閉する接点が設けられたスイッチ部と、
前記接点の開閉に応じた入力信号を生成する入力信号生成部と、
前記キートップの下部に設けられたバックライトと、
前記バックライトに印加する電力を制御する電力制御部と、
を備えるキー入力装置として機能させるための、プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−133447(P2012−133447A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282894(P2010−282894)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】