説明

クイックコネクタの解除器具

【課題】被操作部へ簡単にアクセスして係合を容易に解除できるクイックコネクタの解除器具を提供する。
【解決手段】保持部材33の被操作部73、73に当接してこの被操作部73、73を雄部材31の軸線L0側に押し付ける解除器具100を設け、この解除器具100により保持部材33の爪部71、71と雌部材32の窓部54、54との係合を解除して雄部材31と雌部材32とを着脱自在にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クイックコネクタの解除器具に関する。
【背景技術】
【0002】
各種流体を移送するホースやパイプを連結する配管用継手の一つとして、クイックコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
クイックコネクタは、外筒を形成する雌部材と、雌部材に挿入する管状の雄部材と、この雄部材を雌部材に固定する保持部材とから構成されている。すなわち、雄部材は、その外周に環状のフランジ部を備え、保持部材は、雄部材のフランジ部に取り付けられ、このフランジ部から雄部材の先端とは反対方向に延出して雄部材の軸線側および反対側に弾性変形可能な延出部と、この延出部の延出端に設けられる被操作部と、この延出部における被操作部よりもフランジ部側に設けられる爪部とを備えており、作業者が手で持って雄部材を雌部材に挿入すれば、雄部材に設けられた保持部材の爪部が雌部材の窓部に係合して雄部材が雌部材に固定される。
また、作業者が指で保持部材の被操作部を外方から押下すれば、被操作部が雄部材の軸側に弾性変形して爪部が雌部材の窓部から外れ、雄部材を雌部材から抜くことができる。
【特許文献1】特開平11−201355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のクイックコネクタは、被操作部が雌部材の端部よりも外側に位置するものの、被操作部が小さいので、指でコネクタを外すことが難しかった。一方、コネクタ周辺に空きスペースがない場合、被操作部を大きくすることはできない。
【0004】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、被操作部へ簡単にアクセスして係合を容易に解除できるクイックコネクタの解除器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述課題を解決するため、本発明は、外筒を形成する雌部材と、この雌部材に挿入する管状の雄部材と、この雄部材を雌部材に固定する保持部材とを備え、雄部材は、その外周に環状のフランジ部を備え、保持部材は、雄部材のフランジ部に取り付けられ、このフランジ部から雄部材の先端とは反対方向に延出して雄部材の軸線側および軸線の反対側に弾性変形可能な延出部と、この延出部の延出端に設けられる被操作部と、この延出部における被操作部よりもフランジ部側に設けられる爪部とを備え、雌部材は、雄部材が挿入された場合に、保持部材の被操作部が雌部材の外方に位置した状態で、保持部材の爪部が係合する窓部を備え、この係合を、保持部材の被操作部を雄部材の軸側に弾性変形させて解除自在なクイックコネクタにおいて、前記保持部材の被操作部に当接してこの被操作部を雄部材の軸線側に押し付ける解除器具を設け、この解除器具により前記係合を解除して前記雄部材と前記雌部材とを着脱自在にすることを特徴とする。
この発明によれば、保持部材の被操作部に当接してこの被操作部を雄部材の軸線側に押し付ける解除器具を設け、この解除器具により係合を解除して雄部材と雌部材とを着脱自在にするので、被操作部が小さくても被操作部へ簡単にアクセスして係合を容易に解除することができる。
【0006】
上記構成において、前記保持部材には、複数の前記被操作部が設けられ、前記解除器具は、前記複数の被操作部に当接してこれら被操作部を雄部材の軸線側に押し付ける複数の操作部を備えるようにしてもよい。この構成によれば、被操作部と操作部とが対となり、全ての被操作部を確実に操作することができる。
また、上記構成において、前記解除器具は、前記雄部材の軸線の直交面に沿って前記雄部材の軸線側に挿入自在な板状の解除器具本体を備え、前記複数の操作部は、前記解除器具本体に形成されるようにしてもよい。この構成によれば、解除器具本体を小型かつ単純な構造で被操作部へのアクセスを可能にでき、クイックコネクタの係合を容易に解除することができる。
【0007】
また、上記構成において、前記操作部は、前記被操作部に当接して当該解除器具が前記雄部材の軸側に移動するに従って前記被操作部を雄部材の軸側に押し付けるテーパー面を有するようにしてもよい。この構成によれば、このテーパー面により被操作部を雄部材の軸側に少しずつ押し付けることができ、簡単な操作で係合を解除できる。
また、上記構成において、前記解除器具は、前記保持部材の被操作部に当接してこの被操作部を雄部材の軸線側に押し付ける解除器具本体より延出するにぎり部を備えるようにしてもよい。この構成によれば、解除器具を持ちやすくすることができ、解除器具の操作性を向上できる。
【0008】
また、上記構成において、前記解除器具は、一方が開口する切り欠き部を有した略C型形状の解除器具本体を備え、この切り欠き部は、当該解除器具を前記雄部材の軸線側に移動した際に、前記雄部材およびこの雄部材に取り付けられた保持部材を挿入自在に開口すると共に、前記保持部材の被操作部に当接して雄部材の軸線側に押し付ける操作部となる形状に形成されるようにしてもよい。この構成によれば、燃料配管の一部を構成する雄部材を避けつつ、この雄部材の近傍に位置する被操作部を確実に操作することができる。
また、上記構成において、前記解除器具は、前記雌部材の外面に沿って当該解除器具を前記雄部材の軸線側に案内する案内体を有し、この案内体は、前記係合を解除した位置で前記雌部材の窓部に係止する突起を備えるので、案内体により解除器具の移動を案内することができ、かつ、突起により解除器具を係合解除位置に位置決めすることができ、これらにより解除器具の操作性が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、保持部材の被操作部に当接してこの被操作部を雄部材の軸線側に押し付ける解除器具を設け、この解除器具により係合を解除して雄部材と雌部材とを着脱自在にするので、被操作部へ簡単にアクセスして係合を容易に解除することができる。
また、保持部材には、複数の被操作部が設けられ、解除器具は、複数の被操作部に当接してこれら被操作部を雄部材の軸線側に押し付ける複数の操作部を備えるので、全ての被操作部を確実に操作することができる。
また、解除器具は、雄部材の軸線の直交面に沿って雄部材の軸線側に挿入自在な板状の解除器具本体を備え、複数の操作部は、解除器具本体に形成されるので、解除器具本体を小型かつ単純な構造で被操作部へのアクセスを可能にでき、クイックコネクタの係合を容易に解除することができる。
また、操作部は、被操作部に当接して当該解除器具が雄部材の軸側に移動するに従って被操作部を雄部材の軸側に押し付けるテーパー面を有するので、簡単な操作で係合を解除できる。
【0010】
また、解除器具は、保持部材の被操作部に当接してこの被操作部を雄部材の軸線側に押し付ける解除器具本体より延出するにぎり部を備えるので、解除器具を持ちやすくすることができ、解除器具の操作性を向上できる。
また、解除器具は、一方が開口する切り欠き部を有した略C型形状の解除器具本体を備え、この切り欠き部は、当該解除器具を雄部材の軸線側に移動した際に、雄部材およびこの雄部材に取り付けられた保持部材を挿入自在に開口すると共に、保持部材の被操作部に当接して雄部材の軸線側に押し付ける操作部となる形状に形成されるので、燃料配管の一部を構成する雄部材を避けつつ、この雄部材の近傍に位置する被操作部を確実に操作することができる。
また、解除器具は、雌部材の外面に沿って当該解除器具を雄部材の軸線側に案内する案内体を有し、この案内体は、係合を解除した位置で雌部材の窓部に係止する突起を備えるので、案内体により解除器具の移動を案内することができ、かつ、突起により解除器具を係合解除位置に位置決めすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を添付した図面を参照して説明する。
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る解除器具が適用されるクイックコネクタを周辺構成と共に示す図であり、図1(A)は上方から見た図を示し、図1(B)は側方から見た図を示している。この図では、クイックコネクタ30を燃料ポンプ10の配管接続に適用した態様を示している。
この燃料ポンプ10は、自動二輪車の燃料タンクに取り付けられるインタンク型の燃料ポンプであり、ポンプ本体12と、このポンプ本体12に設けられるフランジ部14とを備え、燃料タンクの上面Tを形成する上板に設けられたポンプ貫通孔からポンプ本体12をタンク内へ挿入され、フランジ部14が燃料タンクの上板にボルト等の締結部材で締結されることによって燃料タンクに固定される。
また、この燃料ポンプ10は、ポンプ本体12から突出する燃料配管(燃料吐出管)16を備えており、この燃料配管16は、クイックコネクタ30を介して他の燃料配管20と接続される。この他の燃料配管20の一端は、車体側につながっており、より具体的には、図示せぬインジェクタ(燃料噴射部)につながっている。すなわち、クイックコネクタ30を介して燃料ポンプ10と車体側のインジェクタとが接続される。従って、このクイックコネクタ30を外せば、燃料ポンプ10を車体から切り離すことができ、この燃料ポンプ10が取り付けられた燃料タンクを、車体から取り外すことが可能になる。
【0012】
一方、クイックコネクタ30が接続された状態では、燃料タンク内の燃料が燃料ポンプ10により車体に装備されたインジェクタへと供給され、このインジェクタにより車両のエンジンへと供給される。
ここで、図1では、燃料ポンプ10が、フランジ部14よりも上方に突出する略円柱状のカバー部18を有した場合を示しており、この構成の場合、燃料配管16は、このカバー部18の側壁(壁部)18Aから側方に向けて一直線状に延び、その先端側がクイックコネクタ30の一部を構成する雄部材31に形成される。
なお、本実施形態では、燃料ポンプ10を燃料タンク上板に取り付け、燃料タンク上方にて燃料ポンプ10にクイックコネクタ30を介して燃料配管20を接続する場合を説明するが、これに限らない。例えば、燃料タンクの底板にポンプ貫通孔を形成してポンプ本体12を燃料タンク下方からタンク内へ挿入し、フランジ部14を燃料タンクの底板に固定し、燃料タンク下方にて燃料ポンプ10にクイックコネクタ30を介して燃料配管20を接続する構成にしてもよい。
【0013】
図2は、クイックコネクタ30を周囲構成と共に示す分解斜視図であり、図3はクイックコネクタ30の側断面図である。
クイックコネクタ30は、燃料ポンプ10側に設けられる雄部材31と、この雄部材31が挿入される外筒を形成する雌部材(コネクタ本体とも言う)32と、雄部材31が雌部材32から抜けないように固定する保持部材(リテーナとも言う)33とを備えている。ここで、雌部材32には、樹脂チューブ20Aが取り付けられ、この樹脂チューブ20Aを介して車体側の燃料配管20が接続される。なお、図1(A)中、符号20Bは、樹脂チューブ20Aを雌部材32に固定するためのクリップである。
図2に示すように、雄部材31は、雌部材32の接続先となる管状部材であり、雌部材32よりも小径で燃料ポンプ10から一直線状に延びる直線パイプ部31Aと、その外周に設けられる環状のフランジ部31Bとを樹脂成形により一体に形成した樹脂製パイプである。このフランジ部31Bは、雄部材31の先端31Cから所定距離を隔てた位置に形成され、その外径は、パイプ部31Aの外径より大きく、かつ、雌部材32の一端側の開口である挿入開口端部51より小径に形成されている。
【0014】
図2および図3に示すように、雌部材32は、雄部材31よりも大径に形成され、雄部材31が保持部材33を介して着脱自在に挿入される筒状部材である。この雌部材32は、一端に雄部材31の先端31Cおよび保持部材33を挿入自在な内径の挿入開口端部51を備え、他端にチューブ接続部(燃料配管接続部)として機能するニップル部52(図2参照)を備え、この挿入開口端部51とニップル部52との間に挿入開口端部51から挿入された雄部材31および保持部材33が収容される筒状の収容部53を備え、これらを樹脂成形により一体に形成した樹脂製の部品である。
すなわち、この挿入開口端部51および収容部53は、同一軸線上に連なり、図3に示すように、挿入開口端部51から挿入された雄部材31がまっすぐに挿入され、雄部材31の先端が収容部53の奥まで挿入されるようになっている。また、保持部材33は、雄部材31のフランジ部31Bに取り付けられ、雄部材31と一体的に収容部53内に挿入されるようになっている。
【0015】
この収容部53は、保持部材33に設けられた左右一対の爪部71、71が係合する一対の窓部54、54を備えている(図3参照)。すなわち、収容部53は、雄部材31と共に保持部材33が挿入されると、保持部材33の一対の爪部71、71が窓部54、54に入り込んで、図3に示すように、窓部54、54の一端側(挿入開口端部51側)の係止面54A、54Aに係止し、保持部材33が収容部53から抜けないように保持する。
この収容部53は、挿入開口端部51からニップル部52に向かうほど、外径が徐々に小さくなっており、つまり、挿入開口端部51に連なる最も大径の円筒形状に形成された大径筒部53Aと、この大径筒部53Aよりも小径に形成された中径筒部53Bと、この中径筒部53Bよりも小径に形成された小径筒部53Cとを一体に備えている。
【0016】
この大径筒部53Aは、雄部材31のフランジ部31B、保持部材33の本体部70および爪部71、71を収容する部分であり、外径だけでなく内径も最も大きく、この大径筒部53Aの周壁に、保持部材33の一対の爪部71、71が係合する一対の窓部54、54が、雌部材32の軸線L0(ニップル部52を除く部分(収容部53)の軸線)に対して180度間隔で形成されている。
ここで、このクイックコネクタ30では、雄部材31、雌部材32(ニップル部52を除く部分(収容部53))および保持部材33が同軸に配置されるため、各部材31、32および22の軸線が一致している。以下、これらの共通軸線を軸線L0と表記する。
【0017】
中径筒部53Bは、大径筒部53Aよりも内径および外径が小さく、内周面と雄部材31のパイプ部31Aの外周面との間に介挿されるブッシュ55(図3参照)とリング状のシール部材56、56(図3参照)とを保持する。ブッシュ55の内周面は、漏斗状に一方(大径筒部53A側)に向かって拡がって形成されており、雄部材31の先端を挿入し易くする。また、シール部材56、56は、雄部材31と雌部材32との間の水密性および気密性を充分に確保する。
小径筒部53Cは、中径筒部53Bよりもさらに内径および外径が小さく、雄部材31の先端を収容して保持する。つまり、雌部材32の小径筒部53Cで雄部材31の先端31Cを保持し、これによって、雌部材31に対して雄部材31の姿勢が安定し、クイックコネクタ30の接続が安定する。
【0018】
保持部材33は、図3に示すように、雄部材31のフランジ部31Bに取り付けられる本体部70と、フランジ部31Bから雄部材31の先端31Cとは反対方向に延出する一対の延出部72、72と、この一対の延出部72、72に設けられる一対の爪部71、71および一対の被操作部73、73とを備え、これらを樹脂成形により一体に形成した樹脂製の部品である。
本体部70は、弾性変形により拡径および縮径が可能な断面略C型形状に形成されている(図2参照)。このため、本体部70を、断面略C型形状の開口側から雄部材31に押し付けると、本体部70が弾性変形により拡がって雄部材31の外周に嵌り、雄部材31を弾性力で挟持する。このように弾性力で雄部材31を保持するので、本体部70を雄部材31から外すことも容易であり、つまり、保持部材33を雄部材31へ容易に着脱できる。
また、この本体部70は、雄部材31を保持した状態でフランジ部31Bに係合する一対の窓部70A、70Aを備えており、この窓部70A、70Aによって保持部材33が雄部材31の軸方向に移動せず、雄部材31に位置決めされる。なお、窓部70A、70Aがフランジ部31Bに係合した状態においても、保持部材33は、雄部材31の周方向に回転自在であり、保持部材33の雄部材31への取付角度は制限されない。
【0019】
一対の延出部72、72は、保持部材33の軸線L0に対して180度間隔で設けられており、本体部70から離れるほどその内周面が軸線L0から離れるように拡径する傾斜板形状に形成され、軸線L0側および軸線L0の反対側に弾性変形自在である。
この延出部72、72の基端側(本体部70側)には、軸線L0から離れる方向(遠心方向とも言う)に突出するように上記一対の爪部71、71が形成されており、延出部72、72の弾性変形に応じて爪部71、71が軸線L0側および軸線L0の反対側に移動する。
また、この延出部72、72の延出端側にも、軸線L0から離れる方向(遠心方向とも言う)に突出するように一対の被操作部73、73が形成されており、延出部72、72の弾性変形に応じて被操作部73、73も軸線L0側および軸線L0の反対側に移動する。
【0020】
すなわち、一対の爪部71、71および一対の被操作部73、73は、一対の延出部72、72の各々に対して、保持部材33の軸線L0方向に間隔を空けて設けられており、一対の被操作部73、73を押下して軸線L0側に移動させると、これら被操作部73、73を有する一対の延出部72、72が軸線L0側に縮径するように弾性変形し、これら延出部72、72に設けられた一対の爪部71、71も軸線L0側に移動する。
従って、一対の爪部71、71が雌部材32の窓部54、54に係合している場合(図3参照)、一対の被操作部73、73を軸線L0側に押し込めば、一対の爪部71、71と雌部材32の窓部54、54との係合が解除され、保持部材33および雄部材31を雌部材32から抜くことができ、つまり、クイックコネクタ30の接続を解除することができる。つまり、一対の被操作部73、73は、クイックコネクタ接続解除用の操作子として機能する。
【0021】
ここで、一対の被操作部73、73は、図3に示すように、一対の爪部71、71よりも外周側に突出しており、より具体的には、一対の爪部71、71が雌部材32の窓部54、54に各々係合した状態で、雌部材32の挿入開口端部51の内径よりも外周側に突出している。このため、保持部材33が取り付けられた雄部材31を、雌部材32に挿入していけば、この一対の被操作部73、73が雌部材31の挿入開口端部51に当接する位置で、それ以上の挿入が規制されえる。
この規制位置は、一対の爪部71、71が雌部材32の窓部54、54に各々係合する位置であり、一対の被操作部73、73は挿入深さを規制する挿入深さ規制部材としても機能している。
ただし、この一対の被操作部73、73は、図3に示すように、一対の爪部71、71が雌部材32の窓部54、54に各々係合した状態(クイックコネクタ接続状態)では、雌部材32の挿入開口端部51よりも外側(外周側)へは突出せず、雌部材32の外径内に収まるようになっている。
【0022】
このクイックコネクタ30を接続する接続手順は、雄部材31に保持部材33を取り付け状態で行う第一接続手順と、雌部材32に保持部材33を取り付けた状態で行う第二接続手順とがある。
詳述すると、第一接続手順では、雄部材31のフランジ部31Bに保持部材33の窓部70A、70Aを嵌合させた状態で、雄部材31の先端31Cを、保持部材33ごと雌部材32の収容部53に挿入し、雄部材31の先端31Cを、雌部材32の大径筒部53Aおよび中径筒部53Bを通して小径筒部53C内にほぼ隙間無く嵌合させることによって行われる。
この雄部材31の先端31Cが小径筒部53Cに入って嵌合した状態では、雄部材31に取り付けられた保持部材33の爪部71、71が雌部材32の窓部54に係合するので、雄部材31、保持部材33および雌部材32が連結され、クイックコネクタ30の接続状態となる。
【0023】
また、第二接続手順では、雌部材32の窓部54に保持部材33の爪部71、71を係合した状態で、雄部材31の先端31Cを、雌部材32の収容部53に挿入し、雄部材31の先端31Cを、雌部材32の大径筒部53Aおよび中径筒部53Bを通して小径筒部53C内にほぼ隙間無く嵌合させることによって行われる。
この雄部材31の先端31Cが収容部53に挿入された際に、この収容部53に保持される保持部材33に雄部材31が挿入され、この雄部材31の先端31Cが保持部材33を通って小径筒部53Cに嵌合した状態では、雄部材31のフランジ部31Bが保持部材33の窓部70A、70Aに係合し、雄部材31、保持部材33および雌部材32が連結され、クイックコネクタ30の接続状態となる。つまり、クイックコネクタ30の接続手順は、上記の二通りの手順のいずれによっても行うことができる。
【0024】
このクイックコネクタ30の接続を解除する解除手順は、保持部材33に設けられた一対の被操作部73、73を軸線L0側に押し込むことによって行われる。すなわち、クイックコネクタ30が接続した状態で、一対の被操作部73、73を軸線L0側へ押し込むと、保持部材33の一対の爪部71、71が軸線L0側(内周側)に移動するので、一対の爪部71、71と雌部材32の一対の窓部54、54との係合が解除される。この状態で、雄部材31を雌部材32から引き抜く方向に操作力を加えると、雄部材31が雌部材32から引き抜かれ、クイックコネクタ30の接続が解除される。
【0025】
ところで、図3に示すように、クイックコネクタ30の一対の被操作部73、73は、雌部材32から外側へはみ出さないように小さく形成されるので、指で操作することが難しい。特に、図1に示すように、クイックコネクタ30の雄部31の近傍に側壁(壁部)18Aが存在している場合には、この側壁18Aとクイックコネクタ30の雌部材32との間の隙間Sが狭いため、この隙間Sから指を入れて被操作部73、73を操作することが難しい。
そこで、本実施形態では、かかる隙間Sにも挿入自在で、保持部材33の被操作部73、73に当接してこの被操作部73、73を雄部材31の軸線L0側に押し付け可能な解除器具100を設け、この解除器具100により被操作部73、73を操作してクイックコネクタ30の接続を解除できるようにしている。以下、この解除器具100について詳述する。
【0026】
図4は解除器具100の三面図を示しており、図4(A)は解除器具100の平面図を示し、図4(B)は側断面図を示し、図4(C)は図4(A)を下方から見た図を示している。
この解除器具100は、一方が開口する切り欠き部102を有した略C型形状の板部材からなる解除器具本体110を有し、樹脂材料で形成されている。なお、樹脂材料に限らず、剛性を有する他の材料で形成してもよい。
この解除器具本体110は、樹脂製の円板部材(軸線LAの円板部材)に切り欠き部102を設けた形状を有し、この切り欠き部102は、大別すると、解除器具本体の略中央に設けられた中央開口部102Aと、この中央開口部102Aに連なり中央開口部102Aから解除器具本体110の外側に行くに従ってその開口幅HAが徐々に拡がる案内用開口部102Bとを備えている。
この中央開口部102Aは、解除器具本体110の中心軸線LAを中心とした直径RAの開口形状に形成されており、この直径RAは、保持部材33の被操作部73、73が縮径して爪部71、71が窓部54、54に非係合の状態での一対の被操作部73、73(図3に二点鎖線で示す状態)の外側面間の距離L1(図3参照)に相当する長さに形成されている。
【0027】
また、案内用開口部102Bは、中央開口部102Aに向かってその開口幅HAを徐々に狭くするように傾斜する左右対称形状の一対のテーパー面を内側面102B1、102B1としており、最も外側の開口幅HA1は、保持部材33の被操作部73、73が拡径して爪部71、71が窓部54、54に係合している状態での一対の被操作部73、73(図3に実線で示す状態)の外側面間の距離L2(図3参照)よりも大きく形成されている(HA1>L2)。
すなわち、案内用開口部102Bは、当該開口部102B内に雄部材31および保持部材33を、保持部材33の被操作部73、73が拡がった状態でも挿入自在な開口に形成されており、かつ、その一対の内側面102B1、102B1が、中央開口部102Aに向けて傾斜するテーパー面に形成されているので、雄部材31および保持部材33を中央開口部102Aへ向けて円滑に案内することができる。
【0028】
図5は、解除器具100の使用状態を示している。解除器具本体110を、雄部材31の軸線L0の直交面M1(図5参照)に沿わせて軸線L0側に移動させれば(図5の紙面奥側から手前側に向かって移動させれば)、案内用開口部102Bの内側面102B1、102B1に沿って保持部材33の被操作部73、73が中央開口部102Aへ向けて案内される。
この場合、案内用開口部102Bの内側面102B1、102B1によって保持部材33の被操作部73、73が少しずつ軸線L0側に押し付けられ、図5に示すように、解除器具本体110の中央開口部102A内に、保持部材33の被操作部73、73が入ることとなる。
上述したように、中央開口部102Aは、保持部材33の被操作部73、73が、爪部71、71と窓部54、54とが非係合の状態まで縮径した際に入ることが可能な開口形状に形成されているので、図5に示すように、中央開口部102Aの一対の内側面102A1、102A1は、保持部材33の被操作部73、73に当接して被操作部73、73を軸線L0側に押し込んだ状態に保持する。
【0029】
つまり、案内用開口部102Bの内側面102B1、102B1は、保持部材33の被操作部73、73を、爪部71、71と窓部54、54とが非係合となる直前の状態まで押し込む一対の第一操作部として機能し、中央開口部102Aの内側面102A1、102A1は、上記一対の第一操作部により押し付けられた一対の被操作部73、73を、爪部71、71と窓部54、54とが非係合の状態に保持する一対の第二操作部として機能する。
これによって、保持部材33の被操作部73、73に当接して、これら被操作部73、73を、爪部71、71と窓部54、54が非係合となる位置まで徐々に押し込む一対の操作部(第一操作部および第二操作部)が構成される。
したがって、この解除器具100を雄部材31の軸線L0側に押し込めば(図5参照)、クイックコネクタ30の接続状態が解除され、雄部材31を雌部材32から引き抜くことができる。
【0030】
また、図5に示すように、解除器具100は、クイックコネクタ30の最大外径を構成する雌部材32よりも大径に形成されており、この雌部材32よりも外側に突出する部分を、作業者が指で把持可能なにぎり部として機能させることができる。
つまり、解除器具本体110は、保持部材33の一対の被操作部73、73に当接して軸線L0に押し込むための上記一対の操作部を構成する部分であり、切り欠き部102の一対の内側面(102A1、102B1)に相当しており、それ以外の部分、つまり、解除器具本体110より延出する周囲部分120、120は、作業者が解除器具100を持つためのにぎり部として機能する。
本構成では、このにぎり部120、120が、一対の操作部を構成する一対の内側面(102A1、102B1)の左右に位置するので、作業者が解除器具100を片手で持って解除操作を容易に行うことが可能である。
【0031】
また、本構成の解除器具100では、中央開口部102Aに対し、案内用開口部102Bと反対側にも開口部102C(図4(A)参照)が形成されており、つまり、切り欠き部102が中央開口部102Aよりも更に奥側まで切れ込んでいる。
このように、切り欠き部102の切れ込み量を長くした場合には、解除器具100の一対の操作部を構成する部分が弾性変形して開きやすくなるため、解除器具100をクイックコネクタ30側へ押し込む際に、その操作力を小さくすることができ、解除操作をより容易にすることができる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態によれば、保持部材33の被操作部73、73に当接してこの被操作部73、73を雄部材31の軸線L0側に押し付ける解除器具100を設け、この解除器具100により保持部材33の爪部71、71と雌部材32の窓部54、54との係合を解除して雄部材31と雌部材32とを着脱自在にしたので、被操作部73、73が小さくても被操作部73、73に簡単にアクセスしてクイックコネクタ30の係合を容易に解除することができる。
また、保持部材33には複数(本例では一対)の被操作部73、73が設けられ、解除器具100には、複数(本例では一対)の被操作部73、73に各々当接して雄部材31の軸線L0側に押し付ける複数(本例では一対)の操作部として機能する一対の内側面(102A1、102B1)を備えるので、被操作部73と操作部とが対となり、全ての被操作部73、73を確実に操作することができる。
【0033】
また、解除器具100は、図5に示すように、雄部材31の軸線L0の直交面M1に沿って雄部材31の軸線L0側に挿入自在な板状の解除器具本体110を有し、この板状の解除器具本体110に一対の操作部(一対の内側面102A1、102B)を設けているので、クイックコネクタ30の雄部31の近傍に側壁(壁部)18Aが存在し、この側壁18Aとクイックコネクタ30との間の隙間Sが狭い場合でも、かかる隙間Sに解除器具本体110を外方から容易に入れることができる。
この場合、この解除器具本体110を燃料ポンプ10の側壁18Aに沿わせれば、該隙間S2に容易に入れることができ、つまり、燃料ポンプ10の側壁18Aを利用して簡単にクイックコネクタ30の解除操作を行うことが可能である。これによって、解除器具本体110を小型かつ単純な構造で被操作部73、73へのアクセスを可能にでき、クイックコネクタ30の係合を容易に解除することができる。
【0034】
また、解除器具100の操作部(一対の内側面102A1、102B)は、保持部材33の被操作部73、73を、非係合となる直前の状態まで押し込むテーパー面の第一操作部と、第一操作部により押し付けられた被操作部73、73を、非係合の状態に保持する第二操作部とで構成されるので、簡単な操作で保持部材33の被操作部73、73を徐々に押し付けて係合を確実に解除することができる。
また、解除器具100は、解除器具本体110より延出するにぎり部120、120を備えるので、解除器具100を持ちやすくすることができ、解除器具100の操作性を向上できる。
さらに、この解除器具100は、一方が開口する切り欠き部102を有した略C型形状の解除器具本体110を備え、この切り欠き部102は、当該解除器具100を雄部材31の軸線L0側に移動した際に雄部材31およびこの雄部材31に取り付けられた保持部材33を挿入自在に開口すると共に、保持部材33の被操作部73、73に当接して雄部材31の軸線L0側に押し付ける操作部となる形状に形成されているので、燃料配管16の一部を構成する雄部材31を避けつつ、この雄部材31の近傍に位置する被操作部73、73を確実に操作することができる。
【0035】
なお、この実施形態では、解除器具100を平板形状に形成する場合について説明したが、これに限らず、図6に示すように、この解除器具100の厚さ方向に突出するにぎり部121を設ける等の設計変更をしてもよい。このにぎり部121を設ければ、解除器具100をより持ちやすくすることができ、また、このにぎり部121は、解除器具100をクイックコネクタ30側に押し込んだ際に、雌部材32の上面に当接し、この解除器具100の押し込み位置を適正位置までに規制することもできる。
【0036】
<第二実施形態>
図7は、第二実施形態に係る解除器具100の斜視図を示している。また、図8は解除器具100の四面図を示しており、図8(A)は前方から見た図を示し、図8(B)は下方から見た図を示し、図8(C)は後方から見た図を示し、図8(D)は側方から見た図を示している。なお、上下左右等の各方向は、図7に示す紙面上下左右の方向に略対応している。
この解除器具100は、略コ字状の板部材で形成された解除器具本体110と、この解除器具本体110を雌部材32の外面に沿って案内する案内体として機能する上板131および左右の側板132、132とを備え、これらを樹脂成形により一体に形成した樹脂部品で形成されている。
解除器具本体110は、一方(図7における下方)が開口する切り欠き部102を有した略C型形状の板部材で形成され、解除器具100の前面を構成している。この切り欠き部102は、解除器具本体110の略中央に位置して一定の開口幅HB1(図8(A)参照)を有する中央開口部102Aと、この中央開口部102Aに連なり中央開口部102Aから解除器具本体110の外側(下側)に行くに従ってその開口幅HB(図8(A)参照)が徐々に拡がる案内用開口部102Bとを備えている。
【0037】
この中央開口部102Aの開口幅HB1は、保持部材33の被操作部73、73が縮径して爪部71、71が窓部54、54に非係合の状態での一対の被操作部73、73(図3に二点鎖線で示す状態)の外側面間の距離L1(図3参照)に相当する長さに形成されている。つまり、中央開口部102Aの一対の内側面102A1、102A1は、一対の被操作部73、73を、爪部71、71と窓部54、54とが非係合の状態に保持する一対の第二当接部操作部として機能する。
また、案内用開口部102Bは、中央開口部102Aに向かってその開口幅HBを徐々に狭くするように傾斜する左右対称形状の一対のテーパー面を内側面102B1、102B1としており、最も外側の開口幅HB1は、保持部材33の被操作部73、73が拡径して爪部71、71が窓部54、54に係合している状態での一対の被操作部73、73(図3に実線で示す状態)の外側面間の距離L2(図3参照)よりも大きく形成されている(HB1>L2)。
つまり、案内用開口部102Bの一対の内側面102B1、102B1は、保持部材33の被操作部73、73を、爪部71、71と窓部54、54とが非係合となる直前の状態まで押し込む一対の第一操作部として機能する。
従って、これら第一操作部および第二操作部によって、保持部材33の被操作部73、73に当接して、これら被操作部73、73を、爪部71、71と窓部54、54が非係合となる位置まで徐々に押し込む一対の操作部が構成される。
【0038】
図9は、この解除器具100の使用状態を示している。なお、この図に示すように、解除器具100は、解除器具本体110を雄部材31の軸線L0の直交面M1に沿わせて軸線L0側に移動させることによって保持部材33の一対の被操作部73、73を軸線L0側に押し付けるようになっている。
左右の側板132、132の内面間の距離LB3(図8(B)参照)は、図9に示すように、雌部材32の収容部53の外径、より具体的には、最も大径の大径筒部53Aの外径と略一致する長さに形成されている。また、左右の側板132、132の後端は、内側に屈曲しており、この一対の屈曲板部132R、132Rの間の距離LB4(図8(B)参照)は、図9に示すように、雌部材32の中径筒部53Bの外径と略一致する長さに形成されている。これにより、解除器具100を軸線L0側に移動する際に、この左右の側板132、132および屈曲板部132R、132Rが、雌部材32の大径筒部53Aおよび中径筒部53Bの外周面に沿って当該解除器具100の移動を案内する。
【0039】
さらに、左右の屈曲板部132R、132Rと解除器具本体110との間の距離LB5(図8(B)参照)は、図9に示すように、雌部材32の大径筒部53Aの軸長さと略一致する長さに形成されており、これによって、解除器具100を軸線L0側に移動する際に、解除器具100が大径筒部53Aの前面および後面に沿って案内される。
すなわち、解除器具100は、雌部材32の外面(外周面および前面および後面)に沿って案内され、この案内によって、解除器具本体110が、保持部材33の一対の被操作部73、73を押し込む位置に案内され、しかも、この押し込む位置に移動すると上板131が雌部材32に当接し、それ以上の移動が規制されるようになっている。
【0040】
以上説明したように、この解除器具100は、保持部材33の被操作部73、73に当接してこの被操作部73、73を雄部材31の軸線L0側に押し付ける解除器具本体110と、この解除器具本体110を雌部材32の外面に沿って雄部材31の軸線L0側に案内する案内体として機能する上板131および左右の側板132とを備えるので、第1実施形態の各種効果に加えて、解除器具100の操作をより容易にすることができる。
また、一対の側板132は、解除器具本体110より延出する一対のにぎり部としても機能し、作業者が解除器具100を片手で持って解除操作を容易に行うことが可能である。
【0041】
<第三実施形態>
図10は、第三実施形態に係る解除器具100の斜視図を示している。また、図11は解除器具100の四面図を示しており、図11(A)は前方から見た図を示し、図11(B)は下方から見た図を示し、図11(C)は後方から見た図を示し、図11(D)は側方から見た図を示している。なお、上下左右等の各方向は、図10に示す紙面上下左右の方向に略対応している。
この解除器具100は、左右一対の板部材で形成された解除器具本体110と、この解除器具本体110を雌部材32の外面に沿って案内する案内体として機能する一対の湾曲板部141、141とこれら湾曲板部141、141をつなぐつなぎ部142とを備え、これらを樹脂成形により一体に形成した樹脂部品で形成されている。
解除器具本体110は、解除器具100の前面を構成し、上下方向に開口する切り欠き部102を有する左右一対の板部材111、111で形成され、一対の板部材111、111は、解除器具本体110の中心軸線LCを中心とした扇形状に形成されている。
切り欠き部102は、図11(A)に示すように、解除器具本体110の中心軸線LCを中心とした直径RC1の開口形状に形成された中央開口部102Aと、この中央開口部102Aに連なり中央開口部102Aから解除器具本体110の外側(下側)に行くに従ってその開口幅HC(図11(A)参照)が徐々に拡がる案内用開口部102Bとを備えている。
【0042】
この中央開口部102Aの直径RC1は、保持部材33の被操作部73、73が縮径して爪部71、71が窓部54、54に非係合の状態での一対の被操作部73、73(図3に二点鎖線で示す状態)の外側面間の距離L1(図3参照)に相当する長さに形成されている。つまり、中央開口部102Aの一対の内側面102A1、102A1は、一対の被操作部73、73を、爪部71、71と窓部54、54とが非係合の状態に保持する一対の第二当接部操作部として機能する。
また、案内用開口部102Bは、中央開口部102Aに向かってその開口幅HC1を徐々に狭くするように傾斜する左右対称形状の一対のテーパー面を内側面102B1、102B1としており、最も外側の開口幅HC1は、保持部材33の被操作部73、73が拡径して爪部71、71が窓部54、54に係合している状態での一対の被操作部73、73(図3に実線で示す状態)の外側面間の距離L2(図3参照)よりも大きく形成されている(HC1>L2)。
つまり、案内用開口部102Bの一対の内側面102B1、102B1は、保持部材33の被操作部73、73を、爪部71、71と窓部54、54とが非係合となる直前の状態まで押し込む一対の第一操作部として機能する。
従って、本実施形態においても、上記実施形態と同様に、これら第一操作部および第二操作部によって、保持部材33の被操作部73、73に当接して、これら被操作部73、73を、爪部71、71と窓部54、54が非係合となる位置まで徐々に押し込む一対の操作部が構成される。
【0043】
図12は、この解除器具100の使用状態を示している。なお、この図に示すように、解除器具100は、解除器具本体110を雄部材31の軸線L0の直交面M1に沿わせて軸線L0側に移動させることによって保持部材33の一対の被操作部73、73を軸線L0側に押し付けるようになっている。
この解除器具100の左右一対の湾曲板部141、141は、解除器具本体110の軸線LCを中心とした円弧に沿って形成されており、雌部材32の大径筒部53Aより若干大径の大径湾曲板部141A、141Aと、雌部材32の中径筒部53Bの外径と略同じ内径の中径湾曲板部141B、141Bとを備えている。
このため、解除器具100を軸線L0側に移動する際には、一対の大径湾曲板部141A、141Aおよび中径湾曲板部141B、141Bが、雌部材32の大径筒部53Aおよび中径筒部53Bの外周面に沿って当該解除器具100の移動を案内するようになっている。
【0044】
また、中径湾曲板部141B、141Bと解除器具本体110との間の距離LC2(図11(B)参照)は、図12に示すように、雌部材32の大径筒部53Aの軸長さと略一致する長さに形成されており、これによって、解除器具100を軸線L0側に移動する際に、解除器具100が大径筒部53Aの前面および後面に沿って案内される。
すなわち、解除器具100は、雌部材32の外面(外周面および前面および後面)に沿って案内され、この案内によって、解除器具本体110が、保持部材33の一対の被操作部73、73を押し込む位置に案内され、しかも、この押し込む位置に移動するとつなぎ部142が雌部材32に当接し、それ以上の移動(押し込み)が規制されるようになっている。
【0045】
さらに、一対の大径湾曲板部141A、141Aの内側には、内周側に突出して雌部材32の窓部54に係止する突起141C、141Cが各々設けられている。この一対の突起141C、141Cは、解除器具本体110を保持部材33の一対の被操作部73、73を押し付ける解除位置に移動した際に(図12参照)、窓部54に嵌る位置であって、かつ、窓部54、54における爪部71、71が係止する係止面54A、54Aと軸方向で反対側の面54B、54Bに略係止する位置に設けられている。
このため、解除器具100を、保持部材33の被操作部73、73を押し込む位置(解除位置に相当)に移動すると、解除器具100に設けられた一対の突起141C、141Cが、窓部54、54に係止してその位置に解除器具100を保持させることができる。また、一対の突起141C、141Cが窓部54、54に各々係止するため、雌部材32に対する解除器具100の回転も規制することができる。
【0046】
以上説明したように、この解除器具100は、保持部材33の被操作部73、73に当接してこの被操作部73、73を雄部材31の軸線L0側に押し付ける解除器具本体110と、この解除器具本体110を雌部材32の外面に沿って雄部材31の軸線L0側に案内する案内体として機能する湾曲板部141、141およびつなぎ部142とを備えるので、第1実施形態の各種効果に加えて、解除器具100の操作をより容易にすることができる。
しかも、この案内体が、クイックコネクタ30の係合を解除した位置で雌部材32の窓部54、54に係止する突起141C、141Cを備えるので、解除器具100の位置決めを行うことができる。
さらに、一対の湾曲板部141、141は、解除器具本体110より延出する一対のにぎり部としても機能するので、作業者が解除器具100を片手で持って解除操作を容易に行うことが可能である。
【0047】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、種々の設計変形を行うことができる。
例えば、上述の実施形態では、燃料ポンプ10を燃料タンク上板に取り付け、燃料タンク上方にて燃料ポンプ10にクイックコネクタ30を介して燃料配管20を接続した構成の下、解除器具100を用いる場合を説明したが、これに限らない。例えば、燃料タンクの底板にポンプ貫通孔を形成してポンプ本体12を燃料タンク下方からタンク内へ挿入し、フランジ部14を燃料タンクの底板に固定し、燃料タンク下方にて燃料ポンプ10にクイックコネクタ30を介して燃料配管20を接続した構成の下、解除器具100を用いることも可能である。
【0048】
さらに、上述の実施形態では、燃料ポンプ10が、フランジ部14よりも上方に突出する略円柱状のカバー部18を有し、このカバー部18の側壁(壁部)18Aから燃料配管(燃料吐出管)16と一体の雄部材31が突出する場合に本発明の解除器具100を用いる場合について説明したが、これに限定されない。
例えば、図13(A)(B)に示すように、燃料ポンプ10のフランジ部14から略L字状に屈曲する燃料配管(燃料吐出管)16が設けられ、この燃料配管16の先端側に雄部材31を設けた場合にも、本発明の解除器具100を用いてクイックコネクタ30の解除操作を行うことができる。
また、図14(A)(B)に示すように、燃料ポンプ10のフランジ部14から直線状に延びる燃料配管(燃料吐出管)16が設けられ、この燃料配管16の先端側に雄部材31を設けた場合にも、本発明の解除器具100を用いてクイックコネクタ30の解除操作を行うことができる。
【0049】
すなわち、本発明に係る解除器具100は、様々なタイプの燃料ポンプ10の配管接続に用いられるクイックコネクタ30の解除に広く適用でき、また、クイックコネクタ30が狭い場所にレイアウトされている場合でも容易に狭い場所へ入れて解除操作を行うことができる。さらに、この解除器具100は、燃料配管の接続に用いるクイックコネクタ30に限らず、その他の配管接続に用いるクイックコネクタにも広く適用可能である。
また、第三実施形態において、解除器具100が解除器具本体110を雌部材32の外面に沿って案内する案内体および解除器具100の位置決めを行う突起141C、141Cを備える場合を説明したが、これらの構成を、第一実施形態および第二実施形態の解除器具100に追加することも勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(A)は本発明の解除器具が適用されるクイックコネクタを周辺構成と共に上方から見た図であり、(B)は側方から見た図である。
【図2】クイックコネクタを周囲構成と共に示す分解斜視図である。
【図3】クイックコネクタの側断面図である。
【図4】(A)は解除器具の平面図であり、図4(B)は側断面図であり、(C)は(A)を下方から見た図である。
【図5】解除器具の使用状態を示す図である。
【図6】(A)は変形例に係る解除器具の平面図であり、図4(B)は側断面図であり、(C)は(A)を下方から見た図である。
【図7】第二実施形態に係る解除器具の斜視図である。
【図8】(A)は解除器具を前方から見た図であり、(B)は下方から見た図であり、(C)は後方から見た図であり、(D)は側方から見た図である。
【図9】解除器具の使用状態を示す図である。
【図10】第三実施形態に係る解除器具の斜視図である。
【図11】(A)は解除器具を前方から見た図であり、(B)は下方から見た図であり、(C)は後方から見た図であり、(D)は側方から見た図である。
【図12】解除器具の使用状態を示す図である。
【図13】(A)は本発明の解除器具が適用される他のクイックコネクタを周辺構成と共に上方から見た図であり、(B)は側方から見た図である。
【図14】(A)は本発明の解除器具が適用される他のクイックコネクタを周辺構成と共に上方から見た図であり、(B)は側方から見た図である。
【符号の説明】
【0051】
10 燃料ポンプ
16、20 燃料配管
30 クイックコネクタ
31 雄部材
31B フランジ部
32 雌部材
33 保持部材
52 ニップル部
54、54 窓部
70 本体部
71、71 爪部
72、72 延出部
73、73 被操作部
100 解除器具
102 切り欠き部
102A 中央開口部
102A1、102A1 内側面(操作部)
102B 案内用開口部
102B1、102B1 内側面(操作部)
110 解除器具本体
120、120、121 にぎり部
132、132 側板(案内体、にぎり部)
141、141 湾曲板部(案内体、にぎり部)
141C、141C 突起
L0 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒を形成する雌部材と、この雌部材に挿入する管状の雄部材と、この雄部材を雌部材に固定する保持部材とを備え、
雄部材は、その外周に環状のフランジ部を備え、
保持部材は、雄部材のフランジ部に取り付けられ、このフランジ部から雄部材の先端とは反対方向に延出して雄部材の軸線側および軸線の反対側に弾性変形可能な延出部と、この延出部の延出端に設けられる被操作部と、この延出部における被操作部よりもフランジ部側に設けられる爪部とを備え、
雌部材は、雄部材が挿入された場合に、保持部材の被操作部が雌部材の外方に位置した状態で、保持部材の爪部が係合する窓部を備え、この係合を、保持部材の被操作部を雄部材の軸側に弾性変形させて解除自在なクイックコネクタにおいて、
前記保持部材の被操作部に当接してこの被操作部を雄部材の軸線側に押し付ける解除器具を設け、この解除器具により前記係合を解除して前記雄部材と前記雌部材とを着脱自在にすることを特徴とするクイックコネクタの解除器具。
【請求項2】
前記保持部材には、複数の前記被操作部が設けられ、
前記解除器具は、前記複数の被操作部に当接してこれら被操作部を雄部材の軸線側に押し付ける複数の操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載のクイックコネクタの解除器具。
【請求項3】
前記解除器具は、前記雄部材の軸線の直交面に沿って前記雄部材の軸線側に挿入自在な板状の解除器具本体を備え、前記複数の操作部は、前記解除器具本体に形成されることを特徴とする請求項2に記載のクイックコネクタの解除器具。
【請求項4】
前記操作部は、前記被操作部に当接して当該解除器具が前記雄部材の軸側に移動するに従って前記被操作部を雄部材の軸側に押し付けるテーパー面を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のクイックコネクタの解除器具。
【請求項5】
前記解除器具は、前記保持部材の被操作部に当接してこの被操作部を雄部材の軸線側に押し付ける解除器具本体より延出するにぎり部を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のクイックコネクタの解除器具。
【請求項6】
前記解除器具は、一方が開口する切り欠き部を有した略C型形状の解除器具本体を備え、この切り欠き部は、当該解除器具を前記雄部材の軸線側に移動した際に、前記雄部材およびこの雄部材に取り付けられた保持部材を挿入自在に開口すると共に、前記保持部材の被操作部に当接して雄部材の軸線側に押し付ける操作部となる形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のクイックコネクタの解除器具。
【請求項7】
前記解除器具は、前記雌部材の外面に沿って当該解除器具を前記雄部材の軸線側に案内する案内体を有し、この案内体は、前記係合を解除した位置で前記雌部材の窓部に係止する突起を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のクイックコネクタの解除器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−196782(P2010−196782A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42161(P2009−42161)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】