説明

クッション

【課題】
例えば釣り用クッションに好適で、構成が簡単で安価かつ容易に製作でき、しかも小形軽量で携帯に至便なうえに、使用時には風等によって移動若しくは飛ばされず安心かつ安定して座れるクッションを提供すること。
【解決手段】
内部にクッション材4を収容し、外周面をカバ−2,3で被覆したクッション1であること。
前記クッション1内部を水密に構成する。
前記クッション1内部に前記クッション材4と略同体積の水を収容可能にする。
前記水の移動を前記クッション材4を介して抑制可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば釣り用クッションに好適で、構成が簡単で安価かつ容易に製作でき、しかも小形軽量で携帯に至便なうえに、使用時には風等によって移動若しくは飛ばされず安心かつ安定して座れるようにしたクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば釣り船に乗って釣りをする場合、釣り船の椅子や釣り用ク−ラに長時間座って行なうが、それらの表面は硬く長時間座り続けることが困難になるため、適当なクッションを用いて座る場合が多い。
このような釣り用クッションとして、発泡材等のクッション材を塩化ビニ−ル等のカバ−で被覆して、肉厚の矩形板状に形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、前記釣り用クッションは、軽量で底部が滑り易いため、風等によって動いたり飛ばされるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、発泡材等のクッション材を塩化ビニ−ル等の合成樹脂で被覆して肉厚の矩形板状に形成し、その内部の底部側に板状の重りを収容して、風等で飛ばされる事態を防止するとともに、底面に柔らかな材質の底部層を固定し、その下面に吸盤と同様の作用を奏する複数の球面状の凹部を形成し、その吸着作用によって、クッションが風等で動いたり飛ばされる事態を防止するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、前記釣り用クッションは、重りを内蔵しているため重く、かつ折り畳めないため、持ち運びに不便で、しかも底部層の成形が複雑でその取り付けを要するため、製作に手間が掛かって高価になるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平10−211060号公報
【特許文献2】特開2006−67843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題を解決し、例えば釣り用クッションに好適で、構成が簡単で安価かつ容易に製作でき、しかも小形軽量で携帯に至便なうえに、使用時には風等によって移動若しくは飛ばされず安心かつ安定して座れるようにしたクッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、内部にクッション材を収容し、外周面をカバ−で被覆したクッションにおいて、クッション内部を水密に構成し、該内部に前記クッション材と略同体積の水を収容可能にし、該水の移動を前記クッション材を介して抑制可能にし、使用時は所定量の水を収容して重量を増やし、風等による移動や吹き飛ばされる事態を防止するとともに、不使用時は水を除去し、軽量化と柔軟性を回復して、折り畳んだり丸めてコンパクト化を図れ、その携帯や保管の至便化を図るようにしている。
また、クッションの使用時はクッション材と略同体積の水を注入することによって、略平面状態の座面を形成して安定して座れるとともに、注入した水をクッション材に吸収させて移動を抑制し、例えば釣り船の挙動に同動する使用者の着座姿勢の安定化を図るようにしている。
しかも、着座時は水とクッション材がクッション作用を奏し、クッション材のみのクッションに比べ、クッション作用を向上するとともに、クッション材のへたりや変形を防止し、良好な使用状態を長期に亘って得られるようにしている。
請求項2の発明は、前記クッションの一側に注水可能なシ−ルパイプを設け、該パイプにシ−ルキャップを螺着し、簡単な構造でクッションの水密構造と水の給排を実現し得るようにしている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明は、クッション内部を水密に構成し、該内部に前記クッション材と略同体積の水を収容可能にし、該水の移動を前記クッション材を介して抑制可能にしたから、使用時は所定量の水を収容して重量を増やし、風等による移動や吹き飛ばされる事態を防止することができ、不使用時は水を除去し、軽量化と柔軟性を回復して、折り畳んだり丸めてコンパクト化を図れ、携帯や保管の至便化を図ることができる。
【0010】
また、クッションの使用時はクッション材と略同体積の水を注入することによって、略平面状態の座面を形成できるから、安定した着座状態を得られるとともに、注入した水をクッション材に吸収して移動を抑制し、例えば釣り船の挙動に同動する使用者の着座姿勢の安定化を図ることができる。
しかも、着座時は水とクッション材がクッション作用を奏するから、クッション材のみのクッションに比べ、クッション作用を向上できるとともに、クッション材のへたりや変形を防止し、良好な使用状態を長期に亘って得られる効果がある。
【0011】
請求項2の発明は、前記クッションの一側に注水可能なシ−ルパイプを設け、該パイプにシ−ルキャップを螺着したから、簡単な構造でクッションの水密構造と水の給排を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を釣り用クッションに適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図3において1は略横長矩形のクッションで、その一側面と他側面を柔軟な塩化ビニ−ル等の合成樹脂シ−ト製のカバ−2,3で被覆し、その四周の接合部を熱溶着して密封しており、その内部に発泡ポリウレタン製の柔軟なクッション材4が収容されている。
実施形態のクッション1は、縦約340mm、横約430mm、厚さ約25mmの横長矩形の板体に構成されている。
前記クッション材4はクッション1と略同形で肉厚の横長矩形状に形成され、該クッション材4に所要量の水、若しくは海水または温水、実施形態ではクッション材4と略同体積の約3000mlの水を含水可能にしている。
【0013】
前記クッション1の一側端部にシ−ルパイプ5が突設され、その螺軸端部6にシ−ルキャップ7がねじ込まれて取り付けられている。この実施形態は、螺軸端部6およびシ−ルキャップ7のネジ部に、市販のペットボトルのキャップと同様なネジを採用し、シ−ルキャップ7の互換性を確保している。
前記シ−ルパイプ5の内部にクッション1の内部に連通する導管8が差し込まれ、該管8の外周面に前記カバ−2,3が接着されている。
【0014】
このように構成したクッションは、一側面と他側面を塩化ビニ−ル等の合成樹脂シ−ト製のカバ−2,3で被覆し、その四周の接合部を熱溶着して密封し、その内部に発泡ポリウレタン製の柔軟なクッション材4を収容して構成しているから、内部に錘を収容し、一側面に複数の凹部を成形した底板を取り付ける従来のものに比べて、構成が簡単で、これを容易かつ安価で軽量に製作できる。
しかも、シ−ルキャップ7として、市販のペットボトルのキャップを採用し得るから、専用のシ−ルキャップを要することなく、その分安価なクッションを提供できる。
【0015】
そして、釣り用に使用する前は内部に水を収容せず扁平であるから、これを例えば図3のように適宜折り畳みまたは丸めて紐で束縛すればコンパクトになり、その保管や持ち運びが至便になる。
【0016】
このようなクッションを釣り用に使用する場合は、前記コンパクトな状態で持ち運び、使用直前にシ−ルキャップ7を外し、現地で調達した水若しくは海水をシ−ルパイプ5から注入し、注水後はシ−ルパイプ5の螺軸端部6にシ−ルキャップ7をねじ込んで水密に閉塞する。
実施形態ではクッション材4と略同体積の約3000mlの水を注入し、注入した水はクッション材4に吸収され、クッション材4が十分に湿潤する。
【0017】
この場合、導管8は開口径が比較的小径で、しかもクッション1の内部にクッション材4が充填されているから、注水の際に空気が混入する惧れが少ない。
したがって、水枕のように混入した空気によってクッション1の内部が膨張し座面が不安定になることもなく、注水後に混入した空気を排出する面倒もない。
【0018】
したがって、前記クッション1は注水後、容積が若干増えるが、その状況は厚肉の板状を呈し、座面となる上面は突状を呈することなく略平坦面を維持する。
しかも、クッション1は注水後、注水分、すなわち約3kg重量が増えるから、風等で移動したり飛ばされたりしない。
それゆえ、注水後のクッション1を、例えば釣り船の椅子の上に敷いても安定性が良く、風等で移動したり飛ばされたりすることなく安心して使用できる。
【0019】
この場合、水若しくは海水の代わりに、温水(70℃〜80℃)を注入すれば、座面が暖かくなり、冬期の釣り用クッションに好適になる。
その際、クッション材4がカバー2,3と共に断熱作用を奏するから、温水の降温を抑制し、温水効果を長時間得られる。
【0020】
こうして注水したクッション1は、注入した水がクッション材4に吸収され、クッション材4とカバ−2,3との間に水が余り介在しないから、水の移動がクッション材4によって抑止され、クッション1の自由な変形や揺動を抑制する。
したがって、釣り船の挙動に使用者が同動しても、クッション1の動揺が抑制されるから、安定した着座状態を維持する。
【0021】
しかも、クッション材4に水が介在しているから、従来のクッション材4のみのものに比べ、クッション効果が向上し良好な座り心地を得られるとともに、クッション材4のへたりや変形を防止し、良好な座り心地を長期に亘って得られる。
【0022】
そして、使用後はシ−ルキャップ7を取り外し、導管8を下向きにして内部の水を外部へ排出すれば、軽量で柔軟な当初の状態が回復され、排水後はこれを適宜折り畳みまたは丸めて紐で束縛すればコンパクトになり、携帯や保管に至便になる。
【0023】
なお、シ−ルキャップ7を扮失し、または破損した場合、市販のペットボトルのキャップを代用できるから、それらの有効利用と簡便な復旧に応じられる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
このように本発明のクッションは、構成が簡単で安価かつ容易に製作でき、しかも小形軽量で携帯に至便なうえに、使用時には風等に移動若しくは飛ばされず安心かつ安定して座れるから、例えば釣り用クッションに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のクッションを展張して示す斜視図で、注水前の状況を示している。
【図2】図1のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図3】本発明のクッションの不使用時の状況を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 クッション
2,3 カバ−
4 クッション材
5 シ−ルパイプ
7 シ−ルキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にクッション材を収容し、外周面をカバ−で被覆したクッションにおいて、クッション内部を水密に構成し、該内部に前記クッション材と略同体積の水を収容可能にし、該水の移動を前記クッション材を介して抑制可能にしたことを特徴とするクッション。
【請求項2】
前記クッションの一側に注水可能なシ−ルパイプを設け、該パイプにシ−ルキャップを螺着した請求項1記載のクッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−66030(P2009−66030A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234970(P2007−234970)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(394000437)直寝具株式会社 (5)
【Fターム(参考)】