説明

クラステリンレベルを減少させることによる黒色腫の治療

黒色腫の治療は、黒色腫細胞中のクラステリンの有効量を減少させることにより達成される。従って、本発明の一態様によって、黒色腫細胞中のクラステリンの有効量を減少させるのに有効な治療薬を個体に投与するステップを含む哺乳動物、望ましくはヒトの黒色腫の治療方法が提供される。この治療薬としては、例えば、クラステリンを標的とするアンチセンスODN又は小型の抑制RNA(siRNA)化合物がある。本発明はまたクラステリン発現量を調節するのに有効な物質を個体又は細胞系に投与することを含む個体又は細胞系におけるbcl-xLの発現を調節する方法も提供する。特に、クラステリン発現細胞においてbcl-xLの発現はクラステリンの有効量が減少した場合に下方調節される。bcl-xLはアポトーシスの阻害物質として働くことが知られているのでこのような該阻害は有意義である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2002年8月21出願の米国仮出願番号60/405,193、2002年9月3日出願の60/408,152、2002年12月2日出願の60/319,748、及び2003年5月20出願の60/472,387の利益及び優先権を主張し、許される範囲内においてこれ等を全て引用により本明細書に取り込む。
【0002】
この出願は、例えばクラステリンに特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与による、テストステロン-抑制前立腺メッセージ-2(TRPM-2)としても知られているクラステリンの阻害による黒色腫のアンチセンス治療に関する。
【背景技術】
【0003】
クラステリン、即ちTRPM-2は、至る所に存在するタンパク質であり、多様な活性が提案されている。前立腺上皮細胞において、クラステリンの発現は去勢後直ちに増加し、去勢後3から4日にはラット前立腺細胞においてピークレベルに達し、同時に大量の細胞死の開始を生じる。この結果は、ある研究者を、クラステリンは細胞死のマーカーであり、アポトーシスの促進物質であるとの結論に導いた。他方、セルトリ細胞(sertoli cells)及び一部の上皮細胞は細胞死のレベルを増加させずに高いレベルのクラステリンを発現するという観察が、この結論が正しいのか否かと言う疑問を生じさせている。Sensibar et al., Cancer Research 55:2431-2437(1995)は前立腺細胞死におけるクラステリンの役割をもっと明らかにするために行ったインビトロ実験を報告した。彼らはクラステリンをコードする遺伝子をトランスフェクションしたLNCaP細胞を使用し、このタンパク質の発現が腫瘍壊死因子α(TNFα)の影響を変化させるか否かを観察した。LNCaP細胞はTNFαに対して非常に感受性があり、通常は約12時間以内に細胞死を生じる。トランスフェクションしたLNCaP細胞のTNFα処理は、クラステリンレベルの数時間の間の一過性の増加を生じることを示したが、このレベルは細胞死に先行するDNA切断が認められるまでに消失した。他のクラステリンアンチセンスオリゴヌクレオチドでは生じなかったものの、クラステリン配列の塩基1〜21に対応するアンチセンス分子を使用することにより、クラステリン発現の顕著な減少、及びTNFαに暴露されたLNCaP細胞におけるアポトーシス細胞の増加を生じた。このことは、Sensibar et al.を、クラステリンの過剰発現がTNFの細胞毒性効果から細胞を保護することができ、クラステリン消失が、作用機序は不明であるが、細胞死を開始する役割を果たす、との結論に導いた。
【0004】
許される範囲内において引用により本明細書に取り込むPCT公開特許 WO00/049937は、クラステリン発現を減少させて、前立腺癌、腎細胞癌及び一部の乳癌の癌の治療において治療的利益を提供するアンチセンス治療法の使用を記述している。さらに、アンチセンスクラステリンと細胞毒性化学療法(例えば、タキサン)の併用は、ホルモン性難治性前立腺癌における化学感受性を相乗的に増強する。放射線感受性もまた、クラステリン発現細胞をアンチセンスクラステリンオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)で処理した場合に増強される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要約
本出願は、クラステリンの有効量を減少させることによる黒色腫の治療に関する。即ち、本発明の一の態様により、黒色腫細胞におけるクラステリンの有効量を減少するのに有効な治療薬を個体に投与するスラップを含む哺乳動物個体、望ましくはヒトにおける黒色腫の治療方法が提供される。この治療薬としては、例えば、クラステリンを標的とするアンチセンスODN又は低分子干渉RNA(siRNA)化合物がある。
【0006】
本発明はまた、クラステリン発現の量を調節するのに有効な薬物を個体又は細胞系に投与することを含む個体又は細胞系におけるbcl-xLの発現を調節する方法を提供する。とりわけ、クラステリン発現細胞において、bcl-xLの発現は、クラステリンの有効量が減少している場合に下方調節される。bcl-xLはアポトーシスの阻害物質として作用することが知られているので、その阻害は意義がある。例えば、許される範囲内で引用により本明細書に取り込む米国特許No. 6,172,216 を参照。
【0007】
発明の説明
本出願の明細書及び請求の範囲に使用される時、用語「クラステリン」とは、クラステリン又はそれに変わる名称をつけられている、元来はラット睾丸に由来する糖タンパク質、及びヒトを含むその他の哺乳動物種に由来する同属タンパク質のことである。多数のクラステリン類の配列は既知である。例えば、ヒトクラステリンの配列はWong et al., Eur. J. Biochem. 221(3),917-925 (1994),及びNCBI配列登録番号NM 001831に報告されており、配列番号1として配列表に記載する。この配列の中で、コード配列は塩基48から1397にわたる。
【0008】
本発明は、治療用組成物、及び特にヒトの黒色腫の治療のために当該組成物を使用する方法を提供する。本発明の治療用の組成物及び方法は、治療される個体に存在するクラステリンの有効量の減少を達成する。この出願で使用される「クラステリンの有効量」とは、抗-アポトーシス保護を生じる機能のある形態で存在するクラステリンの量である。クラステリンの有効量はクラステリンの発現速度を減少させること、クラステリンの分解速度を増加させること、又は不活化をもたらすようなクラステリンの修飾(例えば抗体との結合)により減少する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
アンチセンスODN治療法
本発明の一態様において、クラステリンの有効量の減少は、アンチセンスODN、特に翻訳開始部位又は終結部位のいずれかに存在するクラステリンmRNAの領域に相補的であるアンチセンスODNの投与により達成される。本発明の方法においてアンチセンス分子として使用できる好的な配列は、PCT公開特許WO 00/49937、米国公開特許US-2002-0128220-A1,及び米国特許No.6,383,808に開示されており、これ等のすべてを許される範囲内において引用により本明細書に取り込む。特異的アンチセンス配列は、この出願中に配列番号2から19として記述されている。
【0010】
使用されるODNは、インビボにおけるODNの安定性を増加させるために修飾することができる。例えば、ODNはヌクレアーゼ消化に対する抵抗性を増したチオ燐酸誘導体(リン酸基の非結合酸素原子を硫黄原子で置換)として使用することができる。MOE(2'-O-(2-メトキシエチル))修飾(ISIS骨格)も有効である。このような修飾をしたODNの構築は、米国特許出願10/080,794に詳細に記述されており、許される範囲内で引用により本明細書に取り込む。特に好ましい組成物は、2'-MOE修飾のあるヒトクラステリン配列(Genbank登録番号:NM 001831)の翻訳開始コドン及び次の6コドンを標的とした21塩基のオリゴヌクレオチド(cagcagcagagtcttcatcat; 配列番号4)である。このオリゴヌクレオチドは、全体にチオリン酸骨格を持っている。ヌクレオチド1〜4及び18〜21の糖部分(「ウイング」)は、2'-O-メトキシエチル修飾を持っており、残りのヌクレオチド(ヌクレオチド5〜17;「デオキシギャップ」)は2'-デオキシヌクレオチドである。ウイングのシトシン(即ち、ヌクレオチド1,4及び19)は5-メチルシトシンである。
【0011】
アンチセンスODNの投与は、そのままの投与及び医薬として受容しうる脂質担体に入れての投与を含む、当業者に既知の種々の手法を使用して行うことができる。例えば、アンチセンス投与用脂質担体は米国特許No.5,855,911及び5,417,978に開示されており、引用により本明細に取り込む。一般的に、アンチセンスは静脈内、腹腔内、皮下又は経口の経路、或いは直接癌局所への注射により投与される。
【0012】
投与されるアンチセンスODNの量は、黒色腫細胞においてクラステリンの発現を阻害するのに有効な量である。この量は使用するアンチセンスODNの有効性及び使用する担体の性質の両者により変動することは、理解されるであろう。所与の組成物の適量を決定することは、適切な治療レベルを評価するために設計された標準的な一連の試験により、当業者の能力の範囲内にある。
【0013】
RNAi治療法
クラステリンの有効量の減少は、RNAi療法を使用しても達成することができる。RNA干渉即ち"RNAi"は、2本鎖RNA(dsRNA)が線虫に導入された時に遺伝子発現を阻害することができるという観察を記述するために、最初Fire及び共同研究者により創り出された用語である(Fire et al. (1998) Nature 391, 806-811,引用により本明細書に取り込む)。dsRNAは、脊椎動物を含む多くの生物において遺伝子特異的な、転写後遺伝子のサイレンシングを導き、遺伝子機能研究の新しい手段を提供した。RNAiはmRNA分解を伴うが、この干渉の基礎となる生化学的機構の多くは分かっていない。RNAiの使用はさらに、Carthew et al. (2001) Current Opinions in Cell Biology 13, 244-248,及びElbashir et al. (2001) Nature 411, 494-498に記述されており、引用によりここに取り込む。
【0014】
本発明において、単離RNA分子はRNAiを仲介する。すなわち、本発明の単離RNAは、標的遺伝子とも呼ばれる遺伝子の転写産物であるmRNAの分解又は発現阻害を仲介する。便宜上、そのようなmRNAを本明細書において分解されるべきmRNAと呼ぶことができる。用語RNA、RNA分子、RNAセグメント及びRNAフラグメントは、RNA干渉を仲介するRNAを言うために互換的に使用することができる。これらの用語は、二本鎖RNA、一本鎖RNA、単離RNA(部分的に精製したRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換えにより作製したRNA)、並びに一つ又はそれ以上のヌクレオチドの付加、削除、置換及び/又は改変による天然に存在するRNAと異なる改変RNAを含む。このような改変は例えばRNAの末端又は内部(RNAの1又はそれ以上のヌクレオチド)への非ヌクレオチド物質の付加を含むことができる。本発明のRNA分子中のヌクレオチドは天然に存在しないヌクレオチド又はデオキシヌクレオチドを含む標準的でないヌクレオチドも含むことができる。集合的に、このような改変RNAi分子の全ては、同族体、即ち天然に存在するRNAの同族体と言われる。本発明のRNAは、RNAiを仲介する能力を持つ天然RNAに十分類似していることのみが必要である。本明細書に使用される句「RNAiを仲介する」とは、いずれのmRNA がRNAi機構又は過程により影響を受けるかを判別する能力を示す。RNAiを仲介するRNAは、RNAi機構と相互作用して、特別なmRNAを分解するか、さもなければ標的タンパク質の発現を減少させるようにその機構に指令する。一態様において、本発明は、その配列に対応する特定のmRNAの切断を指令するRNA分子に関する。配列が完全に対応している必要はないが、その対応は当該RNAが標的mRNAの切断又は発現阻害によりRNAi抑制を十分に指令できるものでなければならない。
【0015】
上記のように、本発明のRNA分子は一般的に、RNA部分及びその他の部分、例えば、デオキシヌクレオチド部分を含む。RNA分子中のヌクレオチドの総数は、RNAiの有効な仲介物質であるためには49未満が適当である。好ましいRNA分子において、ヌクレオチドの数は16から29であり、より好ましくは18から23であり、最も好ましくは21〜23である。適する配列は、配列番号20から43として本願において記述されている。
【0016】
本発明のsiRNA分子は、癌又は標的タンパク質の発現の阻害により治療上の利益が得られるタイプのそのほかの疾患を有する、ヒト患者を含む、患者の治療に使用される。本発明のsiRNA分子は、標的mRNA又はタンパク質を調節するのに適した血漿濃度又は組織濃度に達するように、1日1回以上の注射(静脈内、皮下又は髄鞘内)又は1以上の治療サイクルの間における持続的な静脈内又は髄鞘内投与により患者に投与される。
【0017】
追加の治療薬
本発明による黒色腫を治療する方法は、さらに活性クラステリンの量を減少させるのに治療上有効な薬物と併用して、化学療法剤若しくは黒色腫の治療に有用なほかの薬物及び/又は他の標的に向けられた追加のアンチセンスODNを投与することを含むことができる。例えば、アンチセンスクラステリンODNは、タキサン(パクリタキセル又はドセタキセル)、マイトキサントン、及びゲムシタビンのような通常の化学療法剤の感受性を増加させる。相乗作用を示すと思われる他の薬物としては、他の細胞毒性物質(例えば、シクロホスファミド、デカルバジン、トポイソメラーゼ阻害物質)、血管新生阻害物質、分化物質及びシグナル伝達阻害物質がある。同様に、アンチセンスBcl -2, Bcl-xl及びc-myc ODNのような他のアンチセンス類とのクラステリンアンチセンスの併用はより大きな有効性を提供する。
【0018】
Bcl-xL発現を調節する方法
クラステリンタンパク質に対してシャペロン類似機能が提案されているが、アポトーシスにおけるクラステリンの役割に関する特異的な分子機構はまだよく分からない。非常に低いレベルでクラステリンを発現するヒト黒色腫細胞系において、安定的遺伝子導入によるクラステリンの過剰発現は、細胞毒処理に対する抵抗性の著しい増加を生じる(図3)のみならず、ウエスタンブロットで示されたように抗-アポトーシス性bcl-2ファミリーメンバーbcl-xLの上方調節も生じさせた。逆にクラステリンを発現する黒色腫細胞の処理は、bcl-xLの著しい下方調節を生じたので、クラステリンの抗アポトーシス能について可能性のある機序が提供された。トランスフェクションによるクラステリン過剰発現及びクラステリンアンチセンス処理のいずれもヒト黒色腫細胞において調べた他のBcl-2ファミリーメンバーの発現を変化させなかった。従って、クラステリンは抗-アポトーシス性bcl-2ファミリーメンバーbcl-xLを調節している。bcl-xLはアポトーシスの阻害物質として働いていることが知られている(許される範囲内で引用して本明細書に取り込む米国特許No.6,182,216参照)ので、このような該阻害は有意義である。
【0019】
これから本発明を以下の非限定的実施例を参照してさらに説明する。
【0020】
実施例1
正常ヒトメラノサイトの2種の異なるバッチ(NHEM 6083及び2489)及び4種のヒト黒色腫細胞系(518A2, SKMEL-28, Mel-Juso及び607B)におけるクラステリンの発現。細胞を6 cmの皿中で増殖し、80〜90%の集密度(confluent)になった時に回収した。レーン当り30:gのタンパク質を10% SDS-Pageゲルに適用して、ポリクロナールヤギ抗-クラステリン抗体で検出した。パンソーレッド染色及びβ-アクチンに対する抗体をローディングコントロールとして使用した。それぞれの場合に、使用したクラステリンのアンチセンス阻害物質は、米国特許出願10/080,794記述されているような進歩したアンチセンス化学2'MOEに基づいており、配列番号4の配列を有している。
【0021】
図1は、607B黒色腫細胞を、100、250又は500 nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチド或いは100 nMの濃度のスクランブル対照で連続する2日、処理した時の結果を示す。オリゴヌクレオチドを除いたLipofectinTM(lip)を対照として使用した。96ウエルプレート中の細胞数はMTS(Cell Titer 96TM, Pierce)を使用して光学的に計測した。示すように、250及び500 nMでアンチセンス処理したウエル中の細胞数は有意に減少する。
【0022】
図2は、シスプラチン及びアンチセンスオリゴヌクレオチド又は平行して行った対照で処理した518A2細胞におけるクラステリン発現の図である。Lipはオリゴヌクレオチドを使用しないLipofectin対照である。検出はクラステリンに対する抗体を使用して行った。
【0023】
結果は、ヒト黒色腫細胞におけるクラステリンの発現は一つの細胞系を除いてすべてヒトメラノサイトにおける発現よりも有意に高いレベルであった。アンチセンス阻害物質(配列番号4のMOE修飾体)が、スクランブルミスマッチ対照に比較して、用量に依存してクラステリンの下方調節を生じさせることがmRNAレベルに関するRT-PCR及びタンパク質レベルに関するウエスタンブロットにより示された。この下方調節はアンチセンス処理のみでアポトーシス細胞死の増加を生じさせた。一つの黒色腫細胞系(607B)においては、これのみで完全な細胞死を生じるのに十分であった(図1)。もう一つの黒色腫細胞系において生き残った細胞は、対照のミスマッチオリゴヌクレオチドで処理した細胞に比較して、続く細胞毒性薬物シスプラチンによる処理に対する感受性の増加を示した(図2)。
【0024】
実施例2
空の対照ベクター(Neo)又はクラステリンの過剰発現を指令するベクターで安定的にトランスフェクションしたMel Juso黒色腫細胞を、10 μM シスプラチンを含有する培地で増殖した。細胞生存率をPromegaのCell-titer 96 kitを使用して測定した。結果の概要を図3に示す。示すようにクラステリンの過剰発現は劇的に細胞生存率を増加させた、言い換えると、化学療法剤の有効性を減少させた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、607B黒色腫細胞を100、250又は500 nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチド、或いは100 nM濃度のスクランブルミスマッチ対照(scrambled mismatch control)で2日続けて処理した場合の結果を示す。
【図2】図2は、シスプラチンと、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はスクランブルミスマッチ対照とで処理した518A2細胞におけるクラステリン発現のグラフを示す。
【図3】図3は、空の対照ベクター(Neo)又はクラステリンの過剰発現を指令するベクターで安定的にトランスフェクションしたMel Juso黒色腫細胞を10 μMシスプラチンを含有する培地で培養したときの細胞生存率を示す。
【配列表】










【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色腫細胞中のクラステリンの有効量を減少させるのに有効な治療薬を個体に投与するスラップを含む、哺乳動物個体における黒色腫の治療方法。
【請求項2】
前記治療薬が、黒色腫細胞中のクラステリンの有効量を減少させるのに有効なアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが、翻訳開始部位又は終結部位のいずれかに対応する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが、同じ配列の非修飾オリゴデオキシヌクレオチドに比較してインビボでの安定性を増強するように修飾されている請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記修飾が(2'-O-(2-メトキシエチル))修飾である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが、本質的に配列番号2から19からなる群から選択されるオリゴデオキシヌクレオチドのみからなる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが、本質的に配列番号4からなるオリゴデオキシヌクレオチドのみからなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴヌクレオチドが全体にチオリン酸骨格を有し、そのヌクレオチド1〜4及び18〜21の糖分子である「ウイング」は、2'-O-メトキシエチル修飾を受けており、残りのヌクレオチドは2'-デオキシヌクレオチドである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記治療薬が、RNAi機構により黒色腫細胞中のクラステリンの有効量を減少させるのに有効なRNA分子である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記RNA分子が、本質的に配列番号20から25からなる群から選択されるオリゴデオキシヌクレオチドのみからなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
黒色腫の治療に使用するための医薬組成物を製造するための、黒色腫細胞中のクラステリンの有効量を減少させるのに有効な治療薬を含む組成物の使用。
【請求項12】
前記治療薬が、黒色腫細胞中のクラステリンの有効量を減少させるのに有効なアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが、翻訳開始部位又は終結部位のいずれかに対応する、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが、同じ配列の非修飾オリゴデオキシヌクレオチドに比較してインビボでの安定性を増強するように修飾されている、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記修飾が(2'-O-(2-メトキシエチル)修飾である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが、本質的に配列番号2から19からなる群から選択されるオリゴデオキシヌクレオチドのみからなる、請求項12〜15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
前記アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが、本質的に配列番号4からなるオリゴデオキシヌクレオチドのみからなる、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記オリゴヌクレオチドが全体にチオリン酸骨格を有し、そのヌクレオチド1〜4及び18〜21の糖部分である「ウイング」は、2'-O-メトキシエチル修飾を受けており、残りのヌクレオチドは2'-デオキシヌクレオチドである、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記治療薬が、RNAi機構により黒色腫細胞中のクラステリンの有効量を減少させるのに有効なRNA分子である、請求項11に記載の使用。
【請求項20】
前記RNA分子が、本質的に配列番号20から43からなる群から選択されるオリゴデオキシヌクレオチドのみからなる、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
個体又は細胞系にクラステリン発現量を調節するのに有効な物質を投与することを含む、個体又は細胞系におけるbcl-xLの発現を調節する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−502243(P2006−502243A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501197(P2005−501197)
【出願日】平成15年8月21日(2003.8.21)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001276
【国際公開番号】WO2004/018675
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(300066874)ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア (24)
【Fターム(参考)】