説明

クラッチスイッチの異常判定装置

【課題】クラッチスイッチが異常であることを正確に判定するクラッチスイッチの異常判定装置を提供する。
【解決手段】エンジン回転速度NEとT/M入力軸回転数NTとの比の値ASの変化速度が所定値α未満である時にクラッチCが係合状態であると推定し、クラッチスイッチによりクラッチが解放状態であることが検出された場合に、クラッチスイッチが異常であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は駆動力源から発生した駆動力を変速機に伝達するクラッチの操作状態を検出するクラッチスイッチの異常判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者がシフトレバーを操作することにより変速を行う手動変速機が搭載された車両には、エンジンから車輪軸の間の駆動力伝達経路中に駆動力を断接可能なクラッチが設けられている。そして、そのクラッチには操作状態に応じた信号を出力するクラッチスイッチが設けられており、該クラッチスイッチからの信号はECUに出力されている。
クラッチスイッチからの信号を用いた制御の一例として、停車中に自動的にエンジンを停止させるエコラン制御が知られている。エコラン制御では、車速が0であることを含む諸条件を満たした時にエンジンが停止させられ、クラッチが係合状態であることを含む諸条件を満たした時にエンジンが始動される。
上記の様なエコラン制御が行われる車両において、クラッチスイッチが接状態信号を出力し続けるような異常が発生した場合、エンジンを始動する条件を満たすことが出来ず、エンジンの自動始動が行われない可能性がある。そのため、クラッチスイッチが異常であることを判定する必要がある。
クラッチスイッチの異常であることを判定する異常判定装置として、特許文献1の様に、変速機のギアポジションの変化から変速回数を計測し、その変速回数とクラッチスイッチの信号の変化回数とを比較することでクラッチスイッチが異常であることを判定する装置が知られている。
【特許文献1】特開平5−322032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のようにギアポジションの変化回数とクラッチスイッチの信号の変化回数とを比較してクラッチスイッチの異常判定をする装置では、運転者がクラッチを係合状態に操作し、変速することなく接状態に操作した場合、クラッチスイッチの信号の変化回数はカウントされるのに対し、ギアポジションの変化回数はカウントされない。そのため、クラッチスイッチが正常であるにもかかわらず、ギアポジションの変化回数とクラッチスイッチの信号の変化回数が一致せず、クラッチスイッチが異常であると判定されてしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題点に着目したもので、クラッチスイッチが異常であることを正確に判定することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、駆動力源から発生した駆動力を変速機に伝達するクラッチの操作状態を検出するクラッチスイッチの異常判定装置において、前記クラッチよりも駆動力源側の回転軸の第1回転速度を検出する第1回転速度検出手段と、前記クラッチよりも車輪軸側の回転軸の第2回転速度を検出する第2回転速度検出手段と、を有し、前記クラッチスイッチにより検出されたクラッチの操作状態と、前記第1回転速度と前記第2回転速度とから推定されるクラッチの操作状態と、が異なる時に前記クラッチスイッチが異常であると判定することをその要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、クラッチスイッチより検出されたクラッチの操作状態と、クラッチよりも駆動力源側の回転軸の第1回転数とクラッチよりも車輪軸側の回転軸の第2回転数とから推定されたクラッチの操作状態と、を比較することでクラッチスイッチが異常であるか否かを判定するため、運転者が変速をすることなくクラッチを操作した場合であっても誤判定することなく、クラッチスイッチの異常を判定できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1回転速度と前記第2回転速度との比の値からクラッチの操作状態を推定することをその要旨とする。
【0008】
クラッチが接状態である場合は、動力伝達経路は直結状態となるため、第1回転速度と第2回転速度との比の値が大きく変化することはない。上記構成によれば、第1回転速度と第2回転速度との比の値からクラッチの操作状態を推定するため、クラッチの操作状態を正確に推定することが出来る。その結果、精度良くクラッチスイッチが異常であることを判定することが出来る。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1回転速度と前記第2回転速度との比の値が、所定値である時に前記クラッチは係合状態であると推定されることをその要旨とする。尚、所定値は、第1回転速度を検出する回転軸と第2回転速度を検出する回転軸のギヤ比から定められた値でも良く、変速比の変化に伴い第1回転速度と第2回転速度との比の値が変化する場合は、変速機の変速比に応じて変化する値、又は複数の値であっても良い。
【0009】
クラッチが係合状態である場合、第1回転速度と第2回転速度との比の値は所定の値となる。上記構成によれば、第1回転速度と第2回転速度との比の値が所定値である時に、クラッチは係合状態であると推定されるため、精度良くクラッチの操作状態を推定できる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1回転速度と前記第2回転速度との比の値の変化速度が所定変化速度未満である時に前記クラッチは係合状態であると推定されることをその要旨とする。
【0011】
クラッチが係合状態である場合、第1回転速度と第2回転速度との比の値は所定の値となり、大きく変化することは無い。上記構成によれば、第1回転速度と前記第2回転速度との比の値の変化速度が所定値未満である時に前記クラッチは係合状態であると推定されるため、特にクラッチが係合状態であることを正確に推定することが出来る。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のクラッチスイッチの異常判定装置において、前記第1回転速度と前記第2回転速度との何れか一方が増速して、かつ、他方が減速している時に前記クラッチは解放状態であると推定されることをその要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、クラッチが接状態である場合は、第1回転速度と第2回転速度の増減速が異なることはないため、より正確にクラッチの操作状態を推定できる。
【0014】
具体的には、請求項6に記載の発明によるように、前記第2回転速度検出手段は、前記変速機の入力軸の回転速度を検出する手段である構成でも良い。
【0015】
具体的には、請求項7に記載の発明によるように、前記第2回転速度検出手段は、前記車輪軸の回転速度を検出する手段である構成でも良い。
具体的には、請求項8に記載の発明によるように、前記クラッチスイッチは、クラッチが操作されないときにON信号を出力するクラッチUPスイッチとクラッチが操作されたときにON信号を出力するクラッチLOスイッチを含む構成でもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明にかかるクラッチスイッチの異常判定装置を具体化した実施形態について、図1〜2を参照して説明する。
【0017】
図1は、この発明にかかるクラッチスイッチの異常判定装置を搭載した車両のパワートレーンを示す概略構成図である。
【0018】
車両は、エンジン1と、手動変速機3と、ディファレンシャルギヤ5と、ドライブシャフト7と、駆動輪9(前輪)と、ECU(Electronic Control Unit)11とを含む。本発明に係る車両の動力伝達系の共振判定装置は、ECU11により実現される。
【0019】
エンジン1は、燃焼室に燃料を供給するインジェクタと同燃焼室に吸入される空気量を調節する電子スロットルバルブ13とを備えている。インジェクタの燃料噴射量と電子スロットルバルブ13の開度はそれぞれECU11により制御されており、燃焼室で燃料と空気との混合気が燃焼させられることによりシリンダ内のピストンが押し下げられて、クランクシャフトが回転させられる。
【0020】
エンジン1の出力軸であるクランクシャフトにはクラッチ15を介して手動変速機3が連結されており、エンジン1と駆動輪9の間における回転駆動力の伝達・遮断することが可能となっている。クラッチ15は運転者のクラッチペダルC操作により係合状態(伝達状態)と開放状態(遮断状態)が選択される。尚、クランクシャフトにおけるエンジン1とクラッチ15の間には、フライホイール17が連結されており、エンジン1の出力変動が駆動系に伝達されるのを抑制している。
【0021】
クラッチ15を介して回転駆動力が伝達される手動変速機3は、1つの回転軸に設けられた複数のギヤがもう1つの回転軸に設けられたギヤと噛み合った構造になっている。運転者がシフトレバーSを所定の変速段を選択する位置に操作すると、シフトケーブルを介してシフトフォークがスライドし、運転者の選択した変速段を形成するためのギヤが回転駆動力を伝達するようになる。
【0022】
手動変速機3の出力軸は、ディファレンシャルギヤ5を介して左右のドライブシャフト7と連結され、左右の駆動輪9に回転駆動力を伝達することを可能にしている。ディファレンシャルギヤ5は、手動変速機3の出力軸の回転数を所定の終減速比で減速するとともに、左右の駆動輪9に回転駆動力を分配することを可能にしている。
【0023】
以下に、ECU11と各センサの構成について述べる。
【0024】
ECU11には、車速センサ19と、シフトレバーSのポジションスイッチ21と、アクセルペダルAのアクセル開度センサ23と、ブレーキペダルBのストロークセンサ25と、電子スロットルバルブ13のスロットル開度センサ27と、エンジン回転数センサ29と、T/M入力軸回転数センサ31と、クラッチCの踏力センサ33とがハーネスなどを介して接続されている。
【0025】
車速センサ19は、ドライブシャフト7の回転数から車両の速度を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
【0026】
シフトレバーSの位置は、ポジションスイッチ21により検知され、検知結果を表す信号がECU11に送信される。
【0027】
アクセル開度センサ23は、アクセルペダルAの開度(踏み込み量)を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
【0028】
ストロークセンサ25は、ブレーキペダルBのストローク量を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
【0029】
スロットル開度センサ27は、アクチュエータにより開度が調整される電子スロットルバルブ13の開度を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
【0030】
エンジン回転数センサ29は、エンジン1の出力軸であるクランクシャフトの回転数を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
【0031】
T/M入力軸回転数センサ31は、手動変速機3の入力軸回転数Nを検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。
【0032】
クラッチスイッチ33は、図示しないクラッチUPスイッチとクラッチLOスイッチとから出力される信号に基づいてクラッチCの操作状態(踏み込み状態)を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する。クラッチUPスイッチは、クラッチが踏み込まれていない場合にON信号を出力するスイッチであり、クラッチLOスイッチは、クラッチが完全に踏み込まれた場合にON信号を出力するスイッチである。尚、クラッチが不完全に踏み込まれた場合は、クラッチUPスイッチとクラッチLOスイッチは、ともにOFF信号を出力する。
【0033】
ECU11は、車速センサ19、ポジションスイッチ21、アクセル開度センサ23、ストロークセンサ25、スロットル開度センサ27、エンジン回転数センサ29、T/M入力軸回転数センサ31、などから送られてきた信号を入力し、ROM(Read Only Memory)に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両が所望の走行状態となるように、エンジン1および機器類を制御する。
【0034】
ここで、請求項に記載の構成要素が実施形態においてどの構成要素に相当するのかを説明すると、係合装置はクラッチ15、車両の動力伝達系の共振判定装置はECU11、に相当する。
ここで、請求項に記載の構成要素が実施形態においてどの構成要素に相当するのかを説明すると、クラッチはクラッチ15、クラッチスイッチはクラッチスイッチ33、クラッチスイッチの異常判定装置はECU11、第1回転速度検出手段はエンジン回転数センサ29、第2回転速度検出手段はT/M入力軸回転数センサ又は車速センサ19、に相当する。
【0035】
以下に、図2のフローチャートを参照して本実施形態のクラッチスイッチの異常判定装置であるECU11で実行されるプログラムの処理手順における第1の例について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)10にて、エンジン回転速度とT/M回転速度から推定されるクラッチの操作状態が係合状態であるか解放状態であるかを判定する。具体的には、エンジン回転数センサ29により検出されたエンジン回転数NEをT/M入力軸回転数センサ31により検出されたT/M入力軸回転数NTで割った値ASを算出し、割った値ASが1から所定値B以上離れていないか否かを判定する。このS10で肯定された、つまりエンジン回転速度NEとT/M回転速度NTがほぼ一致し、クラッチが係合状態であると推定された場合はS20に進む。また、否定された、つまりクラッチが解放状態であると推定された場合はS30に進む。
【0036】
S10にて肯定された場合は、S20にて、クラッチスイッチ33により検出されたクラッチの操作状態が係合状態であるか解放状態であるかを判定する。具体的には、クラッチスイッチ33がクラッチの係合状態を検出したか否かが判定される。このS20で肯定された、つまりクラッチが係合状態であることが検出された場合は、推定結果と検出結果が一致しており、クラッチスイッチが正常であるため、リターンされる。このS20で否定された、つまりクラッチが解放状態であることが検出された場合は、推定結果と検出結果が異なるため、S40にてクラッチスイッチが異常であると判定された後にリターンされる。
【0037】
S10にて否定された場合は、S30にて、クラッチスイッチの操作状態が係合状態であるか解放状態であるかを判定する。具体的には、クラッチスイッチ33がクラッチの解放状態を検出したか否かが判定される。このS30で肯定された、つまりクラッチが解放状態であることが検出された場合は、推定結果と検出結果が一致しており、クラッチスイッチが正常であるため、リターンされる。このS30で否定された、つまりクラッチが係合状態であることが検出された場合は、推定結果と検出結果が異なるため、S40にてクラッチスイッチが異常であると判定された後にリターンされる。
【0038】
以上、本実施形態におけるクラッチスイッチが異常であるか否かを判定する処理手順の第1の例について説明した。
【0039】
上記第1の例では次のような効果を奏することができる。
【0040】
(1)クラッチが係合状態である場合、エンジン回転速度NEとT/M入力回転速度NTとの比の値は所定の値となる。本例は、エンジン回転速度NEとT/M入力回転速度NTとの比の値が、所定値である時にクラッチは係合状態であると推定されるため、精度良くクラッチの操作状態を推定できる。
【0041】
(2)本例は、エンジン回転速度NEとT/M入力回転速度NTとの比の値に基づいてクラッチの操作状態を推定するため、高い精度で推定を行うことが出来る。
【0042】
第1の例の変更例を以下に示す。
【0043】
・本例では、T/M入力回転速度NTを検出したが、ドライブシャフト7の回転速度NSを用いても良い。この場合、エンジン回転速度NEとドライブシャフト7の回転速度NSとの比の値は変速比の変化に伴って変化するため、比較する値を1ではなく、変速比に応じて変化する値、又は複数の値とすることが望ましい。
【0044】

以下に、図3のフローチャートを参照して本実施形態のクラッチスイッチの異常判定装置であるECU11で実行されるプログラムの処理手順における第2の例について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)110にて、エンジン回転速度とT/M回転速度から推定される動力伝達系の操作状態が動力伝達状態であるか動力遮断状態であるかを判定する。具体的には、エンジン回転数センサ29により検出されたエンジン回転数NEをT/M入力軸回転数センサ31により検出されたT/M入力軸回転数NTで割った値ASを算出し、割った値ASの変化速度の絶対値が所定の変化速度αより小さいか否かを判定する。このS110で肯定された、つまり動力伝達経路が動力伝達状態であり、クラッチが係合状態であると推定される場合は、S120に進む。また、否定された、つまり動力伝達経路が動力遮断状態である場合はS130に進む。ここで用いる所定の変化速度αは、計算値でも実験値でも良く、ノイズにより発生する変化速度よりも大きい値であることが望ましい。
【0045】
S110にて肯定された場合は、S120にて、クラッチスイッチ33により検出されたクラッチの操作状態が係合状態であるか解放状態であるかを判定する。具体的には、クラッチスイッチ33がクラッチの係合状態を検出したか否かが判定される。このS120で肯定された、つまりクラッチが係合状態であることが検出された場合は、推定結果と検出結果が一致しており、クラッチスイッチが正常であるため、リターンされる。このS20で否定された、つまりクラッチが解放状態であることが検出された場合は、推定結果と検出結果が異なるため、S140にてクラッチスイッチが異常であると判定された後にリターンされる。
【0046】
S110にて否定された場合は、異常判定を誤る可能性があるため、異常か否かの判定は行わず、リターンされる。この異常判定を誤る場合とは、例えばクラッチは係合状態であっても変速機が動力遮断状態(ニュートラル)になっている場合である。この場合、クラッチスイッチは係合状態であることを検出するが、エンジン回転速度とT/M回転速度からは解放状態であると推定されるためである。
【0047】
以上、本実施形態におけるクラッチスイッチが異常であるか否かを判定する処理手順の第2の例について説明した。
【0048】
上記第2の例では次のような効果を奏することができる。
【0049】
(1)クラッチが係合状態である場合、エンジン回転速度NEとドライブシャフト7の回転速度NSとの比の値は所定の値となる。本例は、エンジン回転速度NEとドライブシャフト7の回転速度NSとの比の値が、所定値である時にクラッチは係合状態であると推定されるため、精度良くクラッチの操作状態を推定できる。
【0050】
(2)本例は、車速センサを用いてドライブシャフト7の回転速度NSを検出するため、T/M入力回転速度センサを設けることなく、クラッチスイッチの異常を判定することが出来る。
【0051】
第2の例の変更例を以下に示す。
【0052】
・本例では、T/M入力回転速度NTを検出したが、ドライブシャフト7の回転速度NSを用いても良い。この場合、エンジン回転速度NEとドライブシャフト7の回転速度NSとの比の値は変速比の変化に伴って変化するため、比較する値を1ではなく、変速比に応じて変化する値、又は複数の値とすることが望ましい。
【0053】

以上、この発明にかかるクラッチスイッチの異常判定装置を具体化した実施形態について、処理手順の第1の例と第2の例を含めて説明した。
【0054】
本実施形態では、異常判定を禁止する条件を定めなかったが、運転者のアクセル操作がある時は異常判定を禁止しても良い。この場合、クラッチの解放状態において、クラッチが係合状態であると推定する条件を満たすように運転者がエンジン回転速度を調整した場合に、誤って異常判定をすることを防止することが出来る。
本実施例では、エンジン回転速度とT/M入力軸又はドライブシャフト7の回転速度との比の値に基づいて、クラッチの異常判定を行う構成としたが、エンジン回転速度とT/M入力軸又はドライブシャフト7の回転速度との何れか一方が増加し、他方が減少しているときに、クラッチスイッチが異常判定をする構成であっても良い。
本実施形態では、クラッチスイッチ33は、図示しないクラッチUPスイッチとクラッチLOスイッチとから出力される信号に基づいてクラッチCの操作状態(踏み込み状態)を検知し、検知結果を表す信号をECU11に送信する構成としたが、クラッチUPスイッチとクラッチLOスイッチとから出力される信号に基づいてECU11がクラッチCの操作状態を検出する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態にかかる共振判定装置を搭載した車両のパワートレーンを示す概略構成図。
【図2】本実施形態におけるクラッチスイッチが異常であるか否かを判定する処理手順の第1の例を示すフローチャート。
【図3】本実施形態におけるクラッチスイッチが異常であるか否かを判定する処理手順の第2の例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0056】
1…エンジン、3…手動変速機、5…ディファレンシャルギヤ、11…ECU、15…クラッチ、17…フライホイール、19…車速センサ、29…エンジン回転速度センサ、33…クラッチスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力源から発生した駆動力を変速機に伝達するクラッチの操作状態を検出するクラッチスイッチの異常判定装置において、
前記クラッチよりも駆動力源側の回転軸の第1回転速度を検出する第1回転速度検出手段と、
前記クラッチよりも車輪軸側の回転軸の第2回転速度を検出する第2回転速度検出手段と、を有し、
前記クラッチスイッチにより検出されたクラッチの操作状態と、前記第1回転速度と前記第2回転速度とから推定されるクラッチの操作状態と、が異なる時に前記クラッチスイッチが異常であると判定する
ことを特徴とするクラッチスイッチの異常判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクラッチスイッチの異常判定装置において、
前記第1回転速度と前記第2回転速度との比の値からクラッチの操作状態を推定する
ことを特徴とするクラッチスイッチの異常判定装置。
【請求項3】
請求項2に記載のクラッチスイッチの異常判定装置において、
前記第1回転速度と前記第2回転速度との比の値が、所定値である時に前記クラッチは係合状態であると推定される
ことを特徴とするクラッチスイッチの異常判定装置。
【請求項4】
請求項2に記載のクラッチスイッチの異常判定装置において、
前記第1回転速度と前記第2回転速度との比の値の変化速度が所定変化速度未満である時に前記クラッチは係合状態であると推定される
ことを特徴とするクラッチスイッチの異常判定装置。
【請求項5】
請求項1に記載のクラッチスイッチの異常判定装置において、
前記第1回転速度と前記第2回転速度との何れか一方が増速して、かつ、他方が減速している時に前記クラッチは解放状態であると推定される
ことを特徴とするクラッチスイッチの異常判定装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のクラッチスイッチの異常判定装置において、
前記第2回転速度検出手段は、前記変速機の入力軸の回転速度を検出する手段である
ことを特徴とするクラッチスイッチの異常判定装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のクラッチスイッチの異常判定装置において、
前記第2回転速度検出手段は、前記車輪軸の回転速度を検出する手段である
ことを特徴とするクラッチスイッチの異常判定装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載のクラッチスイッチの異常判定装置において、
前記クラッチスイッチは、クラッチが操作されないときにON信号を出力するクラッチUPスイッチとクラッチが操作されたときにON信号を出力するクラッチLOスイッチを含む
ことを特徴とするクラッチスイッチの異常判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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