クランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイール
フリーホイールが、インナレースと、このインナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースとを有しており、このアウタレースが、インナレースを半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイールが、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、これらの転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材とを有している。この転動体押付け部材が、全体的に円形状を備えたばねを有していて、転動体にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合されている。ばねが、フリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面において、ほぼ方形の断面形状を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイール、特に転動体をばね弾性的に押し付けるための転動体押付け部材を有する、クランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイールに関する。
【0002】
さらに、本発明は、クランクCVT伝動装置に関する。
【0003】
クランクCVT伝動装置は、たとえば欧州特許出願公開第1650071号明細書に基づき公知である。この公知の伝動装置に関して駆動する軸を成す、動力源によって駆動可能な入力軸には、偏心構成部材を備えた調節可能な偏心駆動アッセンブリが設けられている。この偏心駆動アッセンブリは、コネクティングロッドに類似の結合エレメントを介して、駆動される軸に結合されている。この駆動される軸は伝動装置に関して出力軸または被駆動軸を形成している。結合エレメントのストロークをフリーホイール装置によって伝動装置の駆動される軸ひいては被駆動側に伝達することによって、駆動される軸が回転駆動される。フリーホイール装置は、コネクティングロッド状の結合エレメントと、駆動される軸との間に設けられている。
【0004】
クランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイール装置は締付け体を有している。この締付け体は、被駆動軸の領域によって形成されたインナレースと、アウタレースとの間に配置されている。このアウタレースの面とインナレースの面とは互いに調整されており、これによって、締付け体がインナレースとアウタレースとの間の一方の相対回動方向でこの回動をロックすることができ、これによって、アウタレースとインナレースとが一緒に回動させられる。アウタレースとインナレースとの間の他方の相対回動方向では、締付け体によるロック作用は発揮されない。個々の締付け体はロック方向に押圧される。このことは、少なくとも1つのばねエレメントによって行うことができる。
【0005】
切換可能なフリーホイールも公知である。この公知の切換可能なフリーホイールでは、切換機構の操作によって、ロック方向と空転方向とを変更することができる。
【0006】
さらに、伝動装置、特に自動車のクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイール装置が公知である。この公知のフリーホイール装置は、アウタレースとインナレースとの間でケージに保持された締付け体を有している。それぞれ1つの締付け体は、エネルギ蓄え器によってインナレースに向かって比較的大きな押付け力で押圧可能である。所定の機構によって、締付け体は解除方向にまたは締付け方向に起立可能である。エネルギ蓄え器は、締付け体を起立させるための比較的小さな起立力を比較的大きな押付け力で発生させるように寸法設定されている。
【0007】
このようなエネルギ蓄え器は、環状の溝ばねもしくはコイルばね(ウォームばね)の形を有していてよい。このウォームばねは締付け体のウォームばね溝内に係合する。このウォームばね溝は、ウォームばねが、インナレースと締付け体との間に比較的大きな押付け力を発生させるものの、この押付け力を起立モーメントのために小さな梃子腕を介して発生させるように形成されている。ウォームばねは、締付け体とインナレースとの間に発生させられる押付け力と、これにより発生させられる、締付け体のスリップ時の摩擦力とが、緩和機能を確保するために十分に大きいように強力に設計されている。
【0008】
しかし、締付け体とインナレースとの間に発生させられる押付け力と、これにより発生させられる、締付け体のスリップ時の摩擦力とが、緩和機能を確保するために十分に大きいように強力に設計されたウォームばねは、フリーホイールの軸方向(長手方向)に大きな構成スペースを必要としている。したがって、フリーホイールの長手方向への軸方向の大きな延び量を備えたウォームばねは、フリーホイールの長手方向へのフリーホイール全体の軸方向の大きな延び量も招く。さらに、ばね、特にウォームばねの形のエネルギ蓄え器を有する公知のフリーホイールの転動体は、常にケージに配置されている。このケージを備えたフリーホイールは、まさに、極めて高い動特性の範囲内で短い寿命を有している。なぜならば、締付け体が、高い動特性の場合にケージに衝突し、これによって、このケージを破壊することがあるからである。
【0009】
したがって、本発明の課題は、フリーホイールの長手方向に軸方向の少ない構成スペースを有する少なくとも1つのばね弾性的な転動体押付け部材を有するフリーホイール、特にクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイールを提供することである。さらに、本発明の課題は、ケージなしでも、ばねによる押付けおよび緩和が可能となるように形成された複数の転動体を有するフリーホイール、特にクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイールを提供することである。
【0010】
この課題を解決するために本発明に係る第1のフリーホイールでは、該フリーホイールが、インナレースと、該インナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースとを有しており、該アウタレースが、インナレースを半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイールが、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、該転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材とを有しており、該転動体押付け部材が、全体的に円形状を備えたばねを有していて、転動体にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合されており、ばねが、フリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面において、ほぼ方形の断面形状を有しているようにした。
【0011】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、ばねが、周方向にメアンダ状のばねである。
【0012】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、転動体押付け部材が、転動体とアウタレースとの間に配置されている。
【0013】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、転動体が、転動体押付け部材を取り付けるための溝を有しており、該溝が、アウタレースに向けられた各転動体表面に配置されていて、該転動体表面でフリーホイールの長手方向に対して横方向に延びている。
【0014】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、転動体押付け部材が、円筒状の内面を有しているように適合されている。
【0015】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、転動体押付け部材が、転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための第1のばねと第2のばねとを有しており、両ばねが、それぞれ全体的に円形状を備えたばねとして形成されている。
【0016】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、第1のばねが、フリーホイールの前記長手方向で第1の転動体端部に配置されており、第2のばねが、フリーホイールの前記長手方向で第2の転動体端部に配置されている。
【0017】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、第1の転動体端部と第2の転動体端部とが、第1のばねまたは第2のばねを配置するためのそれぞれ1つのピン状の突出部を有している。
【0018】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、ピン状の突出部が、ばねのメアンダ状のループの少なくとも一部によって取り囲まれるようになっている。
【0019】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、突出部が、支承部材を備えている。
【0020】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、第1の転動体押付け部材と第2の転動体押付け部材とが、突出部を転動させるための転動領域を備えた、周方向に長く延ばされたループを有しているように適合されている。
【0021】
さらに、前述した課題を解決するために本発明に係る第2のフリーホイールでは、該フリーホイールが、インナレースと、該インナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースとを有しており、該アウタレースが、インナレースを半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイールが、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、該転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材とを有しており、転動体の互いに隣接する側面が、凹状の領域と凸状の領域とを有しており、前記凹状の領域と前記凸状の領域とは、第1の最大の変位位置において第1の転動体がその凹状の領域で第2の転動体の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体がその凹状の領域で第1の転動体の凸状の領域に係合するように適合されているようにした。
【0022】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、フリーホイールが、インナレースと、該インナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースとを有しており、該アウタレースが、インナレースを半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイールが、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、該転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材とを有しており、該転動体押付け部材が、全体的に円形状を備えたばねを有していて、転動体にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合されており、ばねが、フリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面において、ほぼ方形の断面形状を有しており、転動体の互いに隣接する側面が、凹状の領域と凸状の領域とを有しており、前記凹状の領域と前記凸状の領域とは、第1の最大の変位位置において第1の転動体がその凹状の領域で第2の転動体の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体がその凹状の領域で第1の転動体の凸状の領域に係合するように適合されている。
【0023】
さらに、前述した課題を解決するために本発明に係るCVT伝動装置では、該CVT伝動装置が、前述した形式のフリーホイールを有しているようにした。
【0024】
本発明の根底には、フリーホイールの転動体に対するばね弾性的な転動体押付け部材のジオメトリの変更によって、フリーホイールを、従来のばね弾性的な転動体押付け部材よりも少ない軸方向の寸法を備えて形成することができるという思想がある。フリーホイールの長手方向での転動体押付け部材の延び量の減少には、同時に転動体押付け部材の半径方向の寸法の増加が伴うので、従来の転動体押付け部材のばね力を、より少ない軸方向の延び量を備えた転動体押付け部材のばね力に対応させたい場合には、半径方向での転動体押付け部材の寸法が増加させられる。したがって、本発明によれば、転動体押付け部材の軸方向の延び量が徐々に減少するにつれて、転動体押付け部材が、フリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面にほぼ方形の断面形状をとり、したがって、フリーホイールの軸方向に場所もしくは構成スペースをほとんど要求しなくなる。このことは、フリーホイールの、全体的に軸方向で空間節約的な構造に繋がる。全ての転動体の連続的なかつ均一なばね弾性的な押付けを転動体の変位位置を考慮せずに確保することができるようにするためには、転動体押付け部材が、全体的に円形状を備えたばね、すなわち、転動体押付け部材が円形状を有していて、転動体にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合された、互いに結合された端部を備えたばねを有している。したがって、このばねが全ての転動体を一緒に取り囲んでいる。
【0025】
したがって、インナレースと、このインナレースを半径方向で取り囲んで配置された、このインナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースと、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、少なくとも1つのばね弾性的な転動体押付け部材とを有していて、この転動体押付け部材が、全体的に円形のばねに相当していて、フリーホイールの軸方向に少ない延び量を有していて、転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるために働くフリーホイールが設けられている。
【0026】
有利な態様によれば、転動体押付け部材のばねが、フリーホイールの周方向にメアンダ状のばねである。したがって、このばねが多数のループを有している。これらのループはフリーホイールの周方向に延びているかもしくはフリーホイールの周方向に連続している。また、ループの始端ループと終端ループとが互いに結合されており、これによって、ばねが、全体的にひいては完全に円形状を有している。メアンダ状のばねは、フリーホイールの長手方向には、軸方向の少ない延び量を有していて、フリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面には、方形の断面形状ひいてはフリーホイールの軸方向で空間節約的な形状を有しているという利点を有している。
【0027】
有利には、転動体押付け部材が転動体とアウタレースとの間に配置されている。これは、転動体押付け部材が全ての転動体を全体的にフリーホイールの全周にわたって転動体に対して半径方向外側で取り囲んでいて、各転動体に均一にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけることを意味している。転動体押付け部材が転動体とアウタレースとの間に配置されていることによって、フリーホイールの長手方向に転動体押付け部材の極端に少ない延び量を設定することが可能となる。このことは、全体的にフリーホイールの長手方向で空間節約的な構造に繋がる。
【0028】
有利には、転動体が、転動体押付け部材を取り付けるための溝を有している。この溝は、フリーホイールのアウタレースに向けられた各転動体表面に設けられていて、フリーホイールの長手方向に対して横方向に延びている。溝は、転動体押付け部材をガイドするために働き、フリーホイールの長手方向への転動体押付け部材のずれ滑りを阻止する。したがって、フリーホイールの全周にわたる転動体の確実なかつ常に均一なばね弾性的な押付けもしくは緩和が可能となる。
【0029】
有利には、転動体押付け部材が、全体的に円筒状の内面を有しているように適合されている。転動体押付け部材の内面は、転動体もしくは転動体に設けられた溝に接触させられる載置面に相当している。円筒状の内面もしくは載置面または接触面によって、転動体押付け部材と転動体との間の申し分のない接触が常に保証され、これによって、転動体の全回動角にわたる僅かな起立力と同時に高い緩和を達成することができる。
【0030】
有利な態様によれば、転動体押付け部材が、転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための第1のばねと第2のばねとを有している。この第1のばねと第2のばねとは、全体的にもしくは完全に円形状を備えたばねとして形成されている。転動体押付け部材が第1のばねと第2のばねとを有している場合には、この第1のばねと第2のばねとをより小さく、ひいては、空間節約的に形成することができる。なぜならば、転動体をばね弾性的に押し付けるかもしくは緩和するために必要となるばね力が2つのばねに分散されるからである。さらに、ばね弾性的な押付けは軸方向に対して均一であり、これによって、軸方向への転動体の傾倒が回避される。
【0031】
有利には、第1のばねが、フリーホイールの長手方向で第1の転動体端部に配置されており、第2のばねが、フリーホイールの長手方向で第2の転動体端部に配置されている。こうして、各変位位置においてフリーホイールの長手方向で転動体の全延び量ひいては転動体の全回動範囲にわたって転動体に均一に荷重をかけることを保証することができる。各ばねは、たとえば転動体を半径方向外側で取り囲んでいる。
【0032】
択一的には、第1の転動体端部と第2の転動体端部とが、各第1のばねまたは各第2のばねを配置するためのピンに類似のそれぞれ1つの突出部を有しており、これによって、ばねがピンに類似の突出部の全体を取り囲んでいる。第1のばねと第2のばねとは、転動体を必要な形式で外側で取り囲んでいるのではなく、たとえばフリーホイールの半径方向で転動体に重畳することができる。さらに、ピンに類似の突出部の態様は、メアンダ状のばねを多数のループで突出部に引っ掛けることができるという利点を有している。したがって、ばねを配置するための付加的な装置もしくは手段を不要にすることができる。これによって、フリーホイールに対する重量削減と、フリーホイールの構成スペース節約的な態様とが得られる。ばねを周加速度に対して位置保持するためには、緩和のためにばねが有する法線力で十分である。
【0033】
有利には、ピンに類似の突出部が、メアンダ状のばねの少なくとも一部によって取り囲まれる。たとえば各ループだけでなく、各第2、各第4、各第6、・・・のループもピンに類似の突出部の1つを取り囲むことができる。また、突出部の端面には、ばねをガイドするためのそれぞれ1つまたはそれ以上の突出部が設けられていてもよい。こうして、メアンダ状の構成を備えた、それぞれ異なるループ形状、ループ幅およびループ数を有する種々異なるばねを使用することができ、緩和特性を必要に応じて変えることもできる。
【0034】
有利な態様によれば、ピンに類似の突出部が支承部材を備えていてよい。この支承部材は滑り支承部材または転がり支承部材であってよい。突出部に支承部材を設けることは、ピンに類似の突出部とメアンダばねとの間での転動体の回動の間に発生させられる摩擦を減少させるという利点を有している。したがって、ばねの寿命だけでなく、締付け体の寿命も著しく延長される。
【0035】
有利な態様によれば、第1の転動体押付け部材と第2の転動体押付け部材とが、周方向に長く延ばされた、突出部を転動させるための転動領域を備えたループ、たとえばメアンダループを有しているように適合されている。長く延ばされたループによって、ピンに類似の突出部に対して、転動体の回動の間、突出部を、長く延ばされたループに沿って転動させ、こうして、突出部と転動体押付け部材との間に発生させられる摩擦を一層減少させることが可能となる。
【0036】
別の態様では、フリーホイールが、インナレースと、このインナレースを半径方向で取り囲んで配置された、このインナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースと、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、これらの転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材とを有している。この態様では、転動体の互いに隣接する周面、特に互いに隣り合った転動体に対する、周方向で側方の領域(側面)が、凹状の領域と凸状の領域とを有している。この凹状の領域と凸状の領域とは、第1の最大の変位位置において第1の転動体がその凹状の領域で第2の転動体の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体がその凹状の領域で第1の転動体の凸状の領域に係合するように適合されている。したがって、1つの転動体の両側面は凹状の面および凸状の面に関して、主として、互いに点対称である。こうして、両方の最大の変位位置、すなわち、空転位置だけでなくロック位置でも転動体の間隔がコンスタントとなる。したがって、転動体をケージなしでもフリーホイールのインナレースとアウタレースとの間に配置することができる。このことは、特に高い動特性において有利である。なぜならば、転動体がその特殊な形状付与によって常に互いに緊密に接触し、ひいては、相互に破壊されないからである。
【0037】
有利には、フリーホイールが、インナレースと、このインナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースとのほかに、転動体をインナレースの方向にばね弾性的に支持するための少なくとも1つの転動体押付け部材と、凹状の領域と凸状の領域とを有する側面を備えた転動体とを有している。この転動体の側面は、第1の最大の変位位置において第1の転動体がその凹状の領域で第2の転動体の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体がその凹状の領域で第1の転動体の凸状の領域に係合するように適合されている。転動体押付け部材は、全体的に円形状を備えたばねとして形成されている。このばねは、転動体にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけかつフリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面にほぼ方形の断面形状を有しているように適合されている。
【0038】
さらに、少なくとも1つのフリーホイールを有するクランクCVT伝動装置が提案されている。フリーホイールは、その長手方向および半径方向によって展開される平面にほぼ方形の断面形状を有する全体的に円形状の転動体押付け部材および/または凸状の領域と凹状の領域とを側面に有する転動体を有している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るフリーホイールの軸方向の横断面図である。
【図2】軸方向に対して垂直な方向でのフリーホイールの横断面図の一部を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係るばね弾性的な転動体押付け部材の斜視図である。
【図4】第1の実施の形態に係る転動体の斜視図である。
【図5】転動体の最大の変位位置と移行位置とを、軸方向で見たフリーホイールの平面図で示す図である。
【図6】本発明の別の実施の形態に係るフリーホイールの軸方向の横断面図である。
【図7】軸方向に対して垂直な方向での図6に示したフリーホイールの横断面図の一部を示す図である。
【図8】図6に示した転動体押付け部材の斜視図である。
【図9】図6に示した転動体の斜視図である。
【図10】軸方向に対して垂直な方向での本発明のさらに別の実施の形態に係るフリーホイールの横断面図の一部を示す図である。
【図11】図10に示したフリーホイールの一部の斜視図である。
【図12】軸方向に対して垂直な方向での本発明のさらに別の実施の形態に係るフリーホイールの横断面図の一部を示す図である。
【図13】図12に示したフリーホイールの一部の斜視図である。
【0040】
以下に、本発明を添付の図面につき例示的に説明する。
【0041】
図1〜図4には、フリーホイール100が示してある。このフリーホイール100は、インナレース10と、このインナレース10を半径方向で取り囲んで配置されたアウタレース40とを有している。
【0042】
インナレース10とアウタレース40との間には、転動体20が配置されている。周方向で直接的に隣り合った転動体20は互いに当て付けられているかもしくは互いに隣接しており、これによって、転動体20を分離するかまたは転動体20を案内するケージが不要となる(図2参照)。転動体20は、アウタレース40に向けられた表面にそれぞれ1つの溝22を有している。この溝22はフリーホイール100の長手方向に対して横方向で各転動体20に加工されている。溝22は、転動体20の平面図で見て、ほぼ方形の凹部に相当していて、フリーホイール100もしくは転動体20の長手方向に対して横方向に延びている(図4参照)。
【0043】
溝22もしくは転動体20には、フリーホイール100の全周にわたって延びる1つの共通のばね弾性的な転動体押付け部材30が配置されている。この転動体押付け部材30は、図1に示した断面平面では、ほぼ方形の断面形状を有していて、図2に示した断面平面では、メアンダ形状(蛇行形状)を有している。すなわち、転動体押付け部材30は多数のループを有している。これらのループはフリーホイール100の周方向に連続している。転動体押付け部材30の半径方向外側には、フリーホイール100のアウタレース40が配置されている。転動体押付け部材30は全体的に閉じられていて、全体的に1つのほぼ円形のリングを形成している(図3参照)ので、転動体押付け部材30が別個に位置保持される必要はない。転動体20への転動体押付け部材30の良好な載置および優れた接触を保証するためには、転動体押付け部材30の、転動体20の溝22内に係合する内面が円筒状に湾曲させられている。すなわち、半径方向内側に位置する個々のメアンダループが、少なくとも外面に、すなわち、インナレース10に向けられた面に、全体的に円筒形状を成す湾曲を有している。
【0044】
さらに、各転動体20は特殊な形状、特に周面形状を有している。この形状は、側面に設けられたほぼ凹状の領域と凸状の領域とから成っている。これらの領域において、転動体20は、フリーホイール100の組立て中に、隣り合った転動体20に隣接する。転動体20は、対応する側面の上側の三分の一に凹状の領域を有していて、中間の三分の一に凸状の領域を有していて、下側の三分の一に再び凹状の領域を有している。第2の側面は、凸状の領域および凹状の領域に関してほぼ同様に形成されている。また、転動体20の、隣り合った転動体20に隣接する周面領域のほぼS字形状も可能である。この形態では、転動体20が傾倒時にその両方の最大の変位位置において互いに緊密に接触し、第1の変位位置または第2の変位位置に応じて、上側の凸状の領域が上側の凹状の領域に係合し、逆に、上側の凹状の領域が上側の凸状の領域に係合する。
【0045】
図5には、転動体20の3つの変位位置を見ることができる。変位位置Aは、転動体20の第1の最大の変位に相当している。第1の転動体20のそれぞれ1つの凹状の領域が、隣り合った第2の転動体20の凸状の領域に係合している。変位位置Bは、第1の最大の変位から第2の最大の変位への切換時の転動体20の移行位置を示している。互いに隣り合った転動体20の互いに隣接する側面が、この側面の中間の三分の一において互いに転動させられる。すなわち、互いに向き合わされた両方の凸状の領域が互いに転動させられる。Cには、転動体20の第2の最大の変位位置が示してある。第1の転動体20の凸状の領域が、隣り合った第2の転動体20の凹状の領域に係合している。
【0046】
図6〜図9には、本発明の別の実施の形態が示してある。第1の実施の形態と異なり、転動体20は、この転動体20の軸方向における第1の転動体端部24(図6右側)および第2の転動体端部26(図6左側)で各端面に、すなわち、フリーホイール200の長手方向に対して垂直に延びる転動体端面に、ピン状の突出部28を有している。この突出部28は、たとえば円筒状であり、軸方向に延びている。ピン状の突出部28には、第1の転動体端部24で第1のばね31が配置されていて、第2の転動体端部26で第2のばね32が配置されている。第1のばね31と第2のばね32とは一緒に転動体押付け部材30を形成している。図7には、第1のばね31しか見ることができない。この第1のばね31(および相応して同様に形成されているものの、図7には見ることができない第2のばね32)はメアンダ形状を有している。図7には、第1のばね31の各第2のループがピン状の突出部28を取り囲んでいることが示してある。相応して、フリーホイール200の第2の転動体端部26に配置された第2のばね32が、ピン状の突出部28を把持するように取り囲んでいる。第1のばね31(もしくは第2のばね32)は、全体的に円形状によって形成されている(図8参照)。この実施の形態の転動体20は、第1の実施の形態の転動体20同様、フリーホイール200の組立て中に、隣り合った転動体20に隣接する側面に、凹状の領域と凸状の領域とを有している。
【0047】
図10および図11には、図6〜図9に示した実施の形態にほぼ対応する本発明のさらに別の実施の形態に係るフリーホイール300の一部が示してある。図6〜図9に示した実施の形態と異なり、ピン状の突出部28を取り囲んで、それぞれ滑り支承部材29が配置されている。この実施の形態でも、第1のばね31(もしくは第2のばね32)の各第2のループだけが、それぞれ1つの滑り支承部材29を備えた1つのピン状の突出部28を取り囲んでいる。フリーホイール300の別の全ての構成部材は、フリーホイール200の実施の形態の構成部材に等しく形成されている。
【0048】
図12および図13には、図6〜図9に示した実施の形態にほぼ対応する本発明のさらに別の実施の形態に係るフリーホイール400が示してある。この実施の形態でも、第1のばね31(もしくは第2のばね32)がメアンダ状のばねとして形成されている。第1のばね31(もしくは第2のばね32)の各第2のループは、フリーホイール400の周方向に長く延ばされた転動領域33を有している。この転動領域33によって、ピン状の突出部28に対して、回動の間に転動体20を転動領域33に沿って移動させるかもしくは運動させることが可能となる。フリーホイール400の別の全ての構成部材は、フリーホイール200の実施の形態の構成部材に対応している。
【符号の説明】
【0049】
10 インナレース
20 転動体
22 溝
24 第1の転動体端部
26 第2の転動体端部
28 突出部
29 支承部材
30 ばね弾性的な転動体押付け部材
31 第1のばね
32 第2のばね
33 転動領域
40 アウタレース
100 フリーホイール
200 フリーホイール
300 フリーホイール
400 フリーホイール
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイール、特に転動体をばね弾性的に押し付けるための転動体押付け部材を有する、クランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイールに関する。
【0002】
さらに、本発明は、クランクCVT伝動装置に関する。
【0003】
クランクCVT伝動装置は、たとえば欧州特許出願公開第1650071号明細書に基づき公知である。この公知の伝動装置に関して駆動する軸を成す、動力源によって駆動可能な入力軸には、偏心構成部材を備えた調節可能な偏心駆動アッセンブリが設けられている。この偏心駆動アッセンブリは、コネクティングロッドに類似の結合エレメントを介して、駆動される軸に結合されている。この駆動される軸は伝動装置に関して出力軸または被駆動軸を形成している。結合エレメントのストロークをフリーホイール装置によって伝動装置の駆動される軸ひいては被駆動側に伝達することによって、駆動される軸が回転駆動される。フリーホイール装置は、コネクティングロッド状の結合エレメントと、駆動される軸との間に設けられている。
【0004】
クランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイール装置は締付け体を有している。この締付け体は、被駆動軸の領域によって形成されたインナレースと、アウタレースとの間に配置されている。このアウタレースの面とインナレースの面とは互いに調整されており、これによって、締付け体がインナレースとアウタレースとの間の一方の相対回動方向でこの回動をロックすることができ、これによって、アウタレースとインナレースとが一緒に回動させられる。アウタレースとインナレースとの間の他方の相対回動方向では、締付け体によるロック作用は発揮されない。個々の締付け体はロック方向に押圧される。このことは、少なくとも1つのばねエレメントによって行うことができる。
【0005】
切換可能なフリーホイールも公知である。この公知の切換可能なフリーホイールでは、切換機構の操作によって、ロック方向と空転方向とを変更することができる。
【0006】
さらに、伝動装置、特に自動車のクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイール装置が公知である。この公知のフリーホイール装置は、アウタレースとインナレースとの間でケージに保持された締付け体を有している。それぞれ1つの締付け体は、エネルギ蓄え器によってインナレースに向かって比較的大きな押付け力で押圧可能である。所定の機構によって、締付け体は解除方向にまたは締付け方向に起立可能である。エネルギ蓄え器は、締付け体を起立させるための比較的小さな起立力を比較的大きな押付け力で発生させるように寸法設定されている。
【0007】
このようなエネルギ蓄え器は、環状の溝ばねもしくはコイルばね(ウォームばね)の形を有していてよい。このウォームばねは締付け体のウォームばね溝内に係合する。このウォームばね溝は、ウォームばねが、インナレースと締付け体との間に比較的大きな押付け力を発生させるものの、この押付け力を起立モーメントのために小さな梃子腕を介して発生させるように形成されている。ウォームばねは、締付け体とインナレースとの間に発生させられる押付け力と、これにより発生させられる、締付け体のスリップ時の摩擦力とが、緩和機能を確保するために十分に大きいように強力に設計されている。
【0008】
しかし、締付け体とインナレースとの間に発生させられる押付け力と、これにより発生させられる、締付け体のスリップ時の摩擦力とが、緩和機能を確保するために十分に大きいように強力に設計されたウォームばねは、フリーホイールの軸方向(長手方向)に大きな構成スペースを必要としている。したがって、フリーホイールの長手方向への軸方向の大きな延び量を備えたウォームばねは、フリーホイールの長手方向へのフリーホイール全体の軸方向の大きな延び量も招く。さらに、ばね、特にウォームばねの形のエネルギ蓄え器を有する公知のフリーホイールの転動体は、常にケージに配置されている。このケージを備えたフリーホイールは、まさに、極めて高い動特性の範囲内で短い寿命を有している。なぜならば、締付け体が、高い動特性の場合にケージに衝突し、これによって、このケージを破壊することがあるからである。
【0009】
したがって、本発明の課題は、フリーホイールの長手方向に軸方向の少ない構成スペースを有する少なくとも1つのばね弾性的な転動体押付け部材を有するフリーホイール、特にクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイールを提供することである。さらに、本発明の課題は、ケージなしでも、ばねによる押付けおよび緩和が可能となるように形成された複数の転動体を有するフリーホイール、特にクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイールを提供することである。
【0010】
この課題を解決するために本発明に係る第1のフリーホイールでは、該フリーホイールが、インナレースと、該インナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースとを有しており、該アウタレースが、インナレースを半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイールが、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、該転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材とを有しており、該転動体押付け部材が、全体的に円形状を備えたばねを有していて、転動体にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合されており、ばねが、フリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面において、ほぼ方形の断面形状を有しているようにした。
【0011】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、ばねが、周方向にメアンダ状のばねである。
【0012】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、転動体押付け部材が、転動体とアウタレースとの間に配置されている。
【0013】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、転動体が、転動体押付け部材を取り付けるための溝を有しており、該溝が、アウタレースに向けられた各転動体表面に配置されていて、該転動体表面でフリーホイールの長手方向に対して横方向に延びている。
【0014】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、転動体押付け部材が、円筒状の内面を有しているように適合されている。
【0015】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、転動体押付け部材が、転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための第1のばねと第2のばねとを有しており、両ばねが、それぞれ全体的に円形状を備えたばねとして形成されている。
【0016】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、第1のばねが、フリーホイールの前記長手方向で第1の転動体端部に配置されており、第2のばねが、フリーホイールの前記長手方向で第2の転動体端部に配置されている。
【0017】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、第1の転動体端部と第2の転動体端部とが、第1のばねまたは第2のばねを配置するためのそれぞれ1つのピン状の突出部を有している。
【0018】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、ピン状の突出部が、ばねのメアンダ状のループの少なくとも一部によって取り囲まれるようになっている。
【0019】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、突出部が、支承部材を備えている。
【0020】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、第1の転動体押付け部材と第2の転動体押付け部材とが、突出部を転動させるための転動領域を備えた、周方向に長く延ばされたループを有しているように適合されている。
【0021】
さらに、前述した課題を解決するために本発明に係る第2のフリーホイールでは、該フリーホイールが、インナレースと、該インナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースとを有しており、該アウタレースが、インナレースを半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイールが、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、該転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材とを有しており、転動体の互いに隣接する側面が、凹状の領域と凸状の領域とを有しており、前記凹状の領域と前記凸状の領域とは、第1の最大の変位位置において第1の転動体がその凹状の領域で第2の転動体の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体がその凹状の領域で第1の転動体の凸状の領域に係合するように適合されているようにした。
【0022】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、フリーホイールが、インナレースと、該インナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースとを有しており、該アウタレースが、インナレースを半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイールが、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、該転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材とを有しており、該転動体押付け部材が、全体的に円形状を備えたばねを有していて、転動体にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合されており、ばねが、フリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面において、ほぼ方形の断面形状を有しており、転動体の互いに隣接する側面が、凹状の領域と凸状の領域とを有しており、前記凹状の領域と前記凸状の領域とは、第1の最大の変位位置において第1の転動体がその凹状の領域で第2の転動体の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体がその凹状の領域で第1の転動体の凸状の領域に係合するように適合されている。
【0023】
さらに、前述した課題を解決するために本発明に係るCVT伝動装置では、該CVT伝動装置が、前述した形式のフリーホイールを有しているようにした。
【0024】
本発明の根底には、フリーホイールの転動体に対するばね弾性的な転動体押付け部材のジオメトリの変更によって、フリーホイールを、従来のばね弾性的な転動体押付け部材よりも少ない軸方向の寸法を備えて形成することができるという思想がある。フリーホイールの長手方向での転動体押付け部材の延び量の減少には、同時に転動体押付け部材の半径方向の寸法の増加が伴うので、従来の転動体押付け部材のばね力を、より少ない軸方向の延び量を備えた転動体押付け部材のばね力に対応させたい場合には、半径方向での転動体押付け部材の寸法が増加させられる。したがって、本発明によれば、転動体押付け部材の軸方向の延び量が徐々に減少するにつれて、転動体押付け部材が、フリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面にほぼ方形の断面形状をとり、したがって、フリーホイールの軸方向に場所もしくは構成スペースをほとんど要求しなくなる。このことは、フリーホイールの、全体的に軸方向で空間節約的な構造に繋がる。全ての転動体の連続的なかつ均一なばね弾性的な押付けを転動体の変位位置を考慮せずに確保することができるようにするためには、転動体押付け部材が、全体的に円形状を備えたばね、すなわち、転動体押付け部材が円形状を有していて、転動体にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合された、互いに結合された端部を備えたばねを有している。したがって、このばねが全ての転動体を一緒に取り囲んでいる。
【0025】
したがって、インナレースと、このインナレースを半径方向で取り囲んで配置された、このインナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースと、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、少なくとも1つのばね弾性的な転動体押付け部材とを有していて、この転動体押付け部材が、全体的に円形のばねに相当していて、フリーホイールの軸方向に少ない延び量を有していて、転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるために働くフリーホイールが設けられている。
【0026】
有利な態様によれば、転動体押付け部材のばねが、フリーホイールの周方向にメアンダ状のばねである。したがって、このばねが多数のループを有している。これらのループはフリーホイールの周方向に延びているかもしくはフリーホイールの周方向に連続している。また、ループの始端ループと終端ループとが互いに結合されており、これによって、ばねが、全体的にひいては完全に円形状を有している。メアンダ状のばねは、フリーホイールの長手方向には、軸方向の少ない延び量を有していて、フリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面には、方形の断面形状ひいてはフリーホイールの軸方向で空間節約的な形状を有しているという利点を有している。
【0027】
有利には、転動体押付け部材が転動体とアウタレースとの間に配置されている。これは、転動体押付け部材が全ての転動体を全体的にフリーホイールの全周にわたって転動体に対して半径方向外側で取り囲んでいて、各転動体に均一にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけることを意味している。転動体押付け部材が転動体とアウタレースとの間に配置されていることによって、フリーホイールの長手方向に転動体押付け部材の極端に少ない延び量を設定することが可能となる。このことは、全体的にフリーホイールの長手方向で空間節約的な構造に繋がる。
【0028】
有利には、転動体が、転動体押付け部材を取り付けるための溝を有している。この溝は、フリーホイールのアウタレースに向けられた各転動体表面に設けられていて、フリーホイールの長手方向に対して横方向に延びている。溝は、転動体押付け部材をガイドするために働き、フリーホイールの長手方向への転動体押付け部材のずれ滑りを阻止する。したがって、フリーホイールの全周にわたる転動体の確実なかつ常に均一なばね弾性的な押付けもしくは緩和が可能となる。
【0029】
有利には、転動体押付け部材が、全体的に円筒状の内面を有しているように適合されている。転動体押付け部材の内面は、転動体もしくは転動体に設けられた溝に接触させられる載置面に相当している。円筒状の内面もしくは載置面または接触面によって、転動体押付け部材と転動体との間の申し分のない接触が常に保証され、これによって、転動体の全回動角にわたる僅かな起立力と同時に高い緩和を達成することができる。
【0030】
有利な態様によれば、転動体押付け部材が、転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための第1のばねと第2のばねとを有している。この第1のばねと第2のばねとは、全体的にもしくは完全に円形状を備えたばねとして形成されている。転動体押付け部材が第1のばねと第2のばねとを有している場合には、この第1のばねと第2のばねとをより小さく、ひいては、空間節約的に形成することができる。なぜならば、転動体をばね弾性的に押し付けるかもしくは緩和するために必要となるばね力が2つのばねに分散されるからである。さらに、ばね弾性的な押付けは軸方向に対して均一であり、これによって、軸方向への転動体の傾倒が回避される。
【0031】
有利には、第1のばねが、フリーホイールの長手方向で第1の転動体端部に配置されており、第2のばねが、フリーホイールの長手方向で第2の転動体端部に配置されている。こうして、各変位位置においてフリーホイールの長手方向で転動体の全延び量ひいては転動体の全回動範囲にわたって転動体に均一に荷重をかけることを保証することができる。各ばねは、たとえば転動体を半径方向外側で取り囲んでいる。
【0032】
択一的には、第1の転動体端部と第2の転動体端部とが、各第1のばねまたは各第2のばねを配置するためのピンに類似のそれぞれ1つの突出部を有しており、これによって、ばねがピンに類似の突出部の全体を取り囲んでいる。第1のばねと第2のばねとは、転動体を必要な形式で外側で取り囲んでいるのではなく、たとえばフリーホイールの半径方向で転動体に重畳することができる。さらに、ピンに類似の突出部の態様は、メアンダ状のばねを多数のループで突出部に引っ掛けることができるという利点を有している。したがって、ばねを配置するための付加的な装置もしくは手段を不要にすることができる。これによって、フリーホイールに対する重量削減と、フリーホイールの構成スペース節約的な態様とが得られる。ばねを周加速度に対して位置保持するためには、緩和のためにばねが有する法線力で十分である。
【0033】
有利には、ピンに類似の突出部が、メアンダ状のばねの少なくとも一部によって取り囲まれる。たとえば各ループだけでなく、各第2、各第4、各第6、・・・のループもピンに類似の突出部の1つを取り囲むことができる。また、突出部の端面には、ばねをガイドするためのそれぞれ1つまたはそれ以上の突出部が設けられていてもよい。こうして、メアンダ状の構成を備えた、それぞれ異なるループ形状、ループ幅およびループ数を有する種々異なるばねを使用することができ、緩和特性を必要に応じて変えることもできる。
【0034】
有利な態様によれば、ピンに類似の突出部が支承部材を備えていてよい。この支承部材は滑り支承部材または転がり支承部材であってよい。突出部に支承部材を設けることは、ピンに類似の突出部とメアンダばねとの間での転動体の回動の間に発生させられる摩擦を減少させるという利点を有している。したがって、ばねの寿命だけでなく、締付け体の寿命も著しく延長される。
【0035】
有利な態様によれば、第1の転動体押付け部材と第2の転動体押付け部材とが、周方向に長く延ばされた、突出部を転動させるための転動領域を備えたループ、たとえばメアンダループを有しているように適合されている。長く延ばされたループによって、ピンに類似の突出部に対して、転動体の回動の間、突出部を、長く延ばされたループに沿って転動させ、こうして、突出部と転動体押付け部材との間に発生させられる摩擦を一層減少させることが可能となる。
【0036】
別の態様では、フリーホイールが、インナレースと、このインナレースを半径方向で取り囲んで配置された、このインナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースと、インナレースとアウタレースとの間に配置された複数の転動体と、これらの転動体をインナレースの方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材とを有している。この態様では、転動体の互いに隣接する周面、特に互いに隣り合った転動体に対する、周方向で側方の領域(側面)が、凹状の領域と凸状の領域とを有している。この凹状の領域と凸状の領域とは、第1の最大の変位位置において第1の転動体がその凹状の領域で第2の転動体の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体がその凹状の領域で第1の転動体の凸状の領域に係合するように適合されている。したがって、1つの転動体の両側面は凹状の面および凸状の面に関して、主として、互いに点対称である。こうして、両方の最大の変位位置、すなわち、空転位置だけでなくロック位置でも転動体の間隔がコンスタントとなる。したがって、転動体をケージなしでもフリーホイールのインナレースとアウタレースとの間に配置することができる。このことは、特に高い動特性において有利である。なぜならば、転動体がその特殊な形状付与によって常に互いに緊密に接触し、ひいては、相互に破壊されないからである。
【0037】
有利には、フリーホイールが、インナレースと、このインナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースとのほかに、転動体をインナレースの方向にばね弾性的に支持するための少なくとも1つの転動体押付け部材と、凹状の領域と凸状の領域とを有する側面を備えた転動体とを有している。この転動体の側面は、第1の最大の変位位置において第1の転動体がその凹状の領域で第2の転動体の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体がその凹状の領域で第1の転動体の凸状の領域に係合するように適合されている。転動体押付け部材は、全体的に円形状を備えたばねとして形成されている。このばねは、転動体にフリーホイールの半径方向で半径方向内向きに荷重をかけかつフリーホイールの長手方向および半径方向によって展開される平面にほぼ方形の断面形状を有しているように適合されている。
【0038】
さらに、少なくとも1つのフリーホイールを有するクランクCVT伝動装置が提案されている。フリーホイールは、その長手方向および半径方向によって展開される平面にほぼ方形の断面形状を有する全体的に円形状の転動体押付け部材および/または凸状の領域と凹状の領域とを側面に有する転動体を有している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るフリーホイールの軸方向の横断面図である。
【図2】軸方向に対して垂直な方向でのフリーホイールの横断面図の一部を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係るばね弾性的な転動体押付け部材の斜視図である。
【図4】第1の実施の形態に係る転動体の斜視図である。
【図5】転動体の最大の変位位置と移行位置とを、軸方向で見たフリーホイールの平面図で示す図である。
【図6】本発明の別の実施の形態に係るフリーホイールの軸方向の横断面図である。
【図7】軸方向に対して垂直な方向での図6に示したフリーホイールの横断面図の一部を示す図である。
【図8】図6に示した転動体押付け部材の斜視図である。
【図9】図6に示した転動体の斜視図である。
【図10】軸方向に対して垂直な方向での本発明のさらに別の実施の形態に係るフリーホイールの横断面図の一部を示す図である。
【図11】図10に示したフリーホイールの一部の斜視図である。
【図12】軸方向に対して垂直な方向での本発明のさらに別の実施の形態に係るフリーホイールの横断面図の一部を示す図である。
【図13】図12に示したフリーホイールの一部の斜視図である。
【0040】
以下に、本発明を添付の図面につき例示的に説明する。
【0041】
図1〜図4には、フリーホイール100が示してある。このフリーホイール100は、インナレース10と、このインナレース10を半径方向で取り囲んで配置されたアウタレース40とを有している。
【0042】
インナレース10とアウタレース40との間には、転動体20が配置されている。周方向で直接的に隣り合った転動体20は互いに当て付けられているかもしくは互いに隣接しており、これによって、転動体20を分離するかまたは転動体20を案内するケージが不要となる(図2参照)。転動体20は、アウタレース40に向けられた表面にそれぞれ1つの溝22を有している。この溝22はフリーホイール100の長手方向に対して横方向で各転動体20に加工されている。溝22は、転動体20の平面図で見て、ほぼ方形の凹部に相当していて、フリーホイール100もしくは転動体20の長手方向に対して横方向に延びている(図4参照)。
【0043】
溝22もしくは転動体20には、フリーホイール100の全周にわたって延びる1つの共通のばね弾性的な転動体押付け部材30が配置されている。この転動体押付け部材30は、図1に示した断面平面では、ほぼ方形の断面形状を有していて、図2に示した断面平面では、メアンダ形状(蛇行形状)を有している。すなわち、転動体押付け部材30は多数のループを有している。これらのループはフリーホイール100の周方向に連続している。転動体押付け部材30の半径方向外側には、フリーホイール100のアウタレース40が配置されている。転動体押付け部材30は全体的に閉じられていて、全体的に1つのほぼ円形のリングを形成している(図3参照)ので、転動体押付け部材30が別個に位置保持される必要はない。転動体20への転動体押付け部材30の良好な載置および優れた接触を保証するためには、転動体押付け部材30の、転動体20の溝22内に係合する内面が円筒状に湾曲させられている。すなわち、半径方向内側に位置する個々のメアンダループが、少なくとも外面に、すなわち、インナレース10に向けられた面に、全体的に円筒形状を成す湾曲を有している。
【0044】
さらに、各転動体20は特殊な形状、特に周面形状を有している。この形状は、側面に設けられたほぼ凹状の領域と凸状の領域とから成っている。これらの領域において、転動体20は、フリーホイール100の組立て中に、隣り合った転動体20に隣接する。転動体20は、対応する側面の上側の三分の一に凹状の領域を有していて、中間の三分の一に凸状の領域を有していて、下側の三分の一に再び凹状の領域を有している。第2の側面は、凸状の領域および凹状の領域に関してほぼ同様に形成されている。また、転動体20の、隣り合った転動体20に隣接する周面領域のほぼS字形状も可能である。この形態では、転動体20が傾倒時にその両方の最大の変位位置において互いに緊密に接触し、第1の変位位置または第2の変位位置に応じて、上側の凸状の領域が上側の凹状の領域に係合し、逆に、上側の凹状の領域が上側の凸状の領域に係合する。
【0045】
図5には、転動体20の3つの変位位置を見ることができる。変位位置Aは、転動体20の第1の最大の変位に相当している。第1の転動体20のそれぞれ1つの凹状の領域が、隣り合った第2の転動体20の凸状の領域に係合している。変位位置Bは、第1の最大の変位から第2の最大の変位への切換時の転動体20の移行位置を示している。互いに隣り合った転動体20の互いに隣接する側面が、この側面の中間の三分の一において互いに転動させられる。すなわち、互いに向き合わされた両方の凸状の領域が互いに転動させられる。Cには、転動体20の第2の最大の変位位置が示してある。第1の転動体20の凸状の領域が、隣り合った第2の転動体20の凹状の領域に係合している。
【0046】
図6〜図9には、本発明の別の実施の形態が示してある。第1の実施の形態と異なり、転動体20は、この転動体20の軸方向における第1の転動体端部24(図6右側)および第2の転動体端部26(図6左側)で各端面に、すなわち、フリーホイール200の長手方向に対して垂直に延びる転動体端面に、ピン状の突出部28を有している。この突出部28は、たとえば円筒状であり、軸方向に延びている。ピン状の突出部28には、第1の転動体端部24で第1のばね31が配置されていて、第2の転動体端部26で第2のばね32が配置されている。第1のばね31と第2のばね32とは一緒に転動体押付け部材30を形成している。図7には、第1のばね31しか見ることができない。この第1のばね31(および相応して同様に形成されているものの、図7には見ることができない第2のばね32)はメアンダ形状を有している。図7には、第1のばね31の各第2のループがピン状の突出部28を取り囲んでいることが示してある。相応して、フリーホイール200の第2の転動体端部26に配置された第2のばね32が、ピン状の突出部28を把持するように取り囲んでいる。第1のばね31(もしくは第2のばね32)は、全体的に円形状によって形成されている(図8参照)。この実施の形態の転動体20は、第1の実施の形態の転動体20同様、フリーホイール200の組立て中に、隣り合った転動体20に隣接する側面に、凹状の領域と凸状の領域とを有している。
【0047】
図10および図11には、図6〜図9に示した実施の形態にほぼ対応する本発明のさらに別の実施の形態に係るフリーホイール300の一部が示してある。図6〜図9に示した実施の形態と異なり、ピン状の突出部28を取り囲んで、それぞれ滑り支承部材29が配置されている。この実施の形態でも、第1のばね31(もしくは第2のばね32)の各第2のループだけが、それぞれ1つの滑り支承部材29を備えた1つのピン状の突出部28を取り囲んでいる。フリーホイール300の別の全ての構成部材は、フリーホイール200の実施の形態の構成部材に等しく形成されている。
【0048】
図12および図13には、図6〜図9に示した実施の形態にほぼ対応する本発明のさらに別の実施の形態に係るフリーホイール400が示してある。この実施の形態でも、第1のばね31(もしくは第2のばね32)がメアンダ状のばねとして形成されている。第1のばね31(もしくは第2のばね32)の各第2のループは、フリーホイール400の周方向に長く延ばされた転動領域33を有している。この転動領域33によって、ピン状の突出部28に対して、回動の間に転動体20を転動領域33に沿って移動させるかもしくは運動させることが可能となる。フリーホイール400の別の全ての構成部材は、フリーホイール200の実施の形態の構成部材に対応している。
【符号の説明】
【0049】
10 インナレース
20 転動体
22 溝
24 第1の転動体端部
26 第2の転動体端部
28 突出部
29 支承部材
30 ばね弾性的な転動体押付け部材
31 第1のばね
32 第2のばね
33 転動領域
40 アウタレース
100 フリーホイール
200 フリーホイール
300 フリーホイール
400 フリーホイール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーホイール(100;200;300;400)において、該フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)と、
該インナレース(10)に対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレース(40)とを有しており、該アウタレース(40)が、インナレース(10)を半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)とアウタレース(40)との間に配置された複数の転動体(20)と、
該転動体(20)をインナレース(10)の方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材(30)とを有しており、
該転動体押付け部材(30)が、全体的に円形状を備えたばねを有していて、転動体(20)にフリーホイール(100;200;300;400)の半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合されており、
ばね(30)が、フリーホイール(100;200;300;400)の長手方向および半径方向によって展開される平面において、ほぼ方形の断面形状を有していることを特徴とする、フリーホイール。
【請求項2】
ばね(30)が、周方向にメアンダ状のばねである、請求項1記載のフリーホイール。
【請求項3】
転動体押付け部材(30)が、転動体(20)とアウタレース(40)との間に配置されている、請求項1または2記載のフリーホイール。
【請求項4】
転動体(20)が、転動体押付け部材(30)を取り付けるための溝(22)を有しており、該溝(22)が、アウタレース(40)に向けられた各転動体表面に配置されていて、該転動体表面でフリーホイール(100)の長手方向に対して横方向に延びている、請求項3記載のフリーホイール。
【請求項5】
転動体押付け部材(30)が、円筒状の内面を有しているように適合されている、請求項4記載のフリーホイール。
【請求項6】
転動体押付け部材(30)が、転動体(20)をインナレース(40)の方向にばね弾性的に押し付けるための第1のばね(31)と第2のばね(32)とを有しており、両ばね(31,32)が、それぞれ全体的に円形状を備えたばねとして形成されている、請求項1または2記載のフリーホイール。
【請求項7】
第1のばね(31)が、フリーホイール(200;300;400)の前記長手方向で第1の転動体端部(24)に配置されており、第2のばね(32)が、フリーホイール(200;300;400)の前記長手方向で第2の転動体端部(26)に配置されている、請求項6記載のフリーホイール。
【請求項8】
第1の転動体端部(24)と第2の転動体端部(26)とが、第1のばね(31)または第2のばね(32)を配置するためのそれぞれ1つのピン状の突出部(28)を有している、請求項7記載のフリーホイール。
【請求項9】
ピン状の突出部(28)が、ばね(31,32)のメアンダ状のループの少なくとも一部によって取り囲まれるようになっている、請求項8記載のフリーホイール。
【請求項10】
突出部(28)が、支承部材(29)を備えている、請求項8または9記載のフリーホイール。
【請求項11】
第1の転動体押付け部材(31)と第2の転動体押付け部材(32)とが、突出部(28)を転動させるための転動領域(33)を備えた、周方向に長く延ばされたループを有しているように適合されている、請求項8から10までのいずれか1項記載のフリーホイール。
【請求項12】
フリーホイール(100;200;300;400)において、該フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)と、
該インナレース(10)に対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレース(40)とを有しており、該アウタレース(40)が、インナレース(10)を半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)とアウタレース(40)との間に配置された複数の転動体(20)と、
該転動体(20)をインナレース(10)の方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材(30)とを有しており、
転動体(20)の互いに隣接する側面が、凹状の領域と凸状の領域とを有しており、前記凹状の領域と前記凸状の領域とは、第1の最大の変位位置において第1の転動体(20)がその凹状の領域で第2の転動体(20)の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体(20)がその凹状の領域で第1の転動体(20)の凸状の領域に係合するように適合されていることを特徴とする、フリーホイール。
【請求項13】
フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)と、
該インナレース(10)に対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレース(40)とを有しており、該アウタレース(40)が、インナレース(10)を半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)とアウタレース(40)との間に配置された複数の転動体(20)と、
該転動体(20)をインナレース(10)の方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材(30)とを有しており、
該転動体押付け部材(30)が、全体的に円形状を備えたばねを有していて、転動体(20)にフリーホイール(100;200;300;400)の半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合されており、
ばね(30)が、フリーホイール(100;200;300;400)の長手方向および半径方向によって展開される平面において、ほぼ方形の断面形状を有しており、
転動体(20)の互いに隣接する側面が、凹状の領域と凸状の領域とを有しており、前記凹状の領域と前記凸状の領域とは、第1の最大の変位位置において第1の転動体(20)がその凹状の領域で第2の転動体(20)の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体(20)がその凹状の領域で第1の転動体(20)の凸状の領域に係合するように適合されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のフリーホイール。
【請求項14】
CVT伝動装置において、該CVT伝動装置が、請求項1から13までのいずれか1項記載のフリーホイール(100;200;300;400)を有していることを特徴とする、CVT伝動装置。
【請求項1】
フリーホイール(100;200;300;400)において、該フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)と、
該インナレース(10)に対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレース(40)とを有しており、該アウタレース(40)が、インナレース(10)を半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)とアウタレース(40)との間に配置された複数の転動体(20)と、
該転動体(20)をインナレース(10)の方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材(30)とを有しており、
該転動体押付け部材(30)が、全体的に円形状を備えたばねを有していて、転動体(20)にフリーホイール(100;200;300;400)の半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合されており、
ばね(30)が、フリーホイール(100;200;300;400)の長手方向および半径方向によって展開される平面において、ほぼ方形の断面形状を有していることを特徴とする、フリーホイール。
【請求項2】
ばね(30)が、周方向にメアンダ状のばねである、請求項1記載のフリーホイール。
【請求項3】
転動体押付け部材(30)が、転動体(20)とアウタレース(40)との間に配置されている、請求項1または2記載のフリーホイール。
【請求項4】
転動体(20)が、転動体押付け部材(30)を取り付けるための溝(22)を有しており、該溝(22)が、アウタレース(40)に向けられた各転動体表面に配置されていて、該転動体表面でフリーホイール(100)の長手方向に対して横方向に延びている、請求項3記載のフリーホイール。
【請求項5】
転動体押付け部材(30)が、円筒状の内面を有しているように適合されている、請求項4記載のフリーホイール。
【請求項6】
転動体押付け部材(30)が、転動体(20)をインナレース(40)の方向にばね弾性的に押し付けるための第1のばね(31)と第2のばね(32)とを有しており、両ばね(31,32)が、それぞれ全体的に円形状を備えたばねとして形成されている、請求項1または2記載のフリーホイール。
【請求項7】
第1のばね(31)が、フリーホイール(200;300;400)の前記長手方向で第1の転動体端部(24)に配置されており、第2のばね(32)が、フリーホイール(200;300;400)の前記長手方向で第2の転動体端部(26)に配置されている、請求項6記載のフリーホイール。
【請求項8】
第1の転動体端部(24)と第2の転動体端部(26)とが、第1のばね(31)または第2のばね(32)を配置するためのそれぞれ1つのピン状の突出部(28)を有している、請求項7記載のフリーホイール。
【請求項9】
ピン状の突出部(28)が、ばね(31,32)のメアンダ状のループの少なくとも一部によって取り囲まれるようになっている、請求項8記載のフリーホイール。
【請求項10】
突出部(28)が、支承部材(29)を備えている、請求項8または9記載のフリーホイール。
【請求項11】
第1の転動体押付け部材(31)と第2の転動体押付け部材(32)とが、突出部(28)を転動させるための転動領域(33)を備えた、周方向に長く延ばされたループを有しているように適合されている、請求項8から10までのいずれか1項記載のフリーホイール。
【請求項12】
フリーホイール(100;200;300;400)において、該フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)と、
該インナレース(10)に対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレース(40)とを有しており、該アウタレース(40)が、インナレース(10)を半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)とアウタレース(40)との間に配置された複数の転動体(20)と、
該転動体(20)をインナレース(10)の方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材(30)とを有しており、
転動体(20)の互いに隣接する側面が、凹状の領域と凸状の領域とを有しており、前記凹状の領域と前記凸状の領域とは、第1の最大の変位位置において第1の転動体(20)がその凹状の領域で第2の転動体(20)の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体(20)がその凹状の領域で第1の転動体(20)の凸状の領域に係合するように適合されていることを特徴とする、フリーホイール。
【請求項13】
フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)と、
該インナレース(10)に対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレース(40)とを有しており、該アウタレース(40)が、インナレース(10)を半径方向で取り囲んで配置されており、フリーホイール(100;200;300;400)が、
インナレース(10)とアウタレース(40)との間に配置された複数の転動体(20)と、
該転動体(20)をインナレース(10)の方向にばね弾性的に押し付けるための少なくとも1つの転動体押付け部材(30)とを有しており、
該転動体押付け部材(30)が、全体的に円形状を備えたばねを有していて、転動体(20)にフリーホイール(100;200;300;400)の半径方向で半径方向内向きに荷重をかけるように適合されており、
ばね(30)が、フリーホイール(100;200;300;400)の長手方向および半径方向によって展開される平面において、ほぼ方形の断面形状を有しており、
転動体(20)の互いに隣接する側面が、凹状の領域と凸状の領域とを有しており、前記凹状の領域と前記凸状の領域とは、第1の最大の変位位置において第1の転動体(20)がその凹状の領域で第2の転動体(20)の凸状の領域に係合しかつ第2の最大の変位位置において第2の転動体(20)がその凹状の領域で第1の転動体(20)の凸状の領域に係合するように適合されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のフリーホイール。
【請求項14】
CVT伝動装置において、該CVT伝動装置が、請求項1から13までのいずれか1項記載のフリーホイール(100;200;300;400)を有していることを特徴とする、CVT伝動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−510594(P2012−510594A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538826(P2011−538826)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/DE2009/001568
【国際公開番号】WO2010/063249
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(510068035)シェフラー テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (69)
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1−3, D−91074 Herzogenaurach, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/DE2009/001568
【国際公開番号】WO2010/063249
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(510068035)シェフラー テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (69)
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1−3, D−91074 Herzogenaurach, Germany
【Fターム(参考)】
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