説明

クリップによる取付け構造

【課題】クリップ本体の形状や材質を変更することなく、座面部材の厚みの変更や形状の変更により、同一種類のクリップ本体を用いて取付部材を被取付部材に取付けたときに、異なる保持荷重に対応させることを可能とする。
【解決手段】取付部材に突設状態で配設される座面部材22にクリップ本体10を取付けて、取付部材を被取付部材30に着脱可能に取付けるクリップ本体10による取付構造において、座面部材22にはクリップ構造体11を被取付部材30から抜去する際にクリップ本体10の脚片18と該座面部材22との当接(接触力)状態に差異を生じさせる第1の座面部材27と第2の座面部材28があり、当接(接触力)状態の差異により第1の座面部材27と第2の座面部材28とではクリップ構造体11を被取付部材30から抜去する際のクリップ本体10に生じる抗力が異ならされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被取付部材に取付部材を着脱可能に装着するためのクリップによる取付構造に関する。具体的には、例えば、自動車のインストルメントパネルにセンタクラスターなどを着脱可能に装着するためのクリップによる取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、自動車のインストルメントパネルにセンタクラスターなどを着脱可能に装着するためのクリップについて、例えば特開2000−249117号公報(特許文献1)に開示されているクリップが公知である。
特許文献1に開示されているクリップは、取付部材であるセンタクラスターに突設状態で配設される座面部材に取付けた樹脂製のクリップ本体を、被取付部材であるインストルメントパネルに形成された取付孔の表面側から挿入することで取付部材を被取付部材に係止させ、取付部材を被取付部材に着脱可能に取付けるために用いられるクリップである。
【0003】
図26に、前記特許文献1に開示されているクリップとほぼ同じクリップを用いて取付部材を被取付部材に取付けた状態の一部断面図を示す。樹脂製のクリップ本体40は、取付部材50に形成された座面部材52の係合孔54に対して座面係合部片42の先端に形成された係合突部43を係合させることにより取付部材50に取付けられている。また、取付部材50に係合した樹脂製のクリップ本体40が、被取付部材60に形成された取付孔62に対して表面側64から挿入され、クリップ本体40の取付係止片46に形成された係止肩47が被取付部材60の裏面側66に係止することにより、取付部材50が被取付部材60に取り付けられている。
取付部材50を被取付部材60から取り外す必要が生じた場合は、取付部材50を強く引っ張ることにより、クリップ本体40の取付係止片46が内側方向へ弾性変形して、係止肩47が被取付部材60の裏面側66から外れ、取付部材50をクリップ本体40と一体で被取付部材60から取り外すことができる。
なお、クリップ本体40は、座面係合部片42の先端の係合突部43が取付部材50に形成された係合孔54に係合して取付部材50に取付けられているので、座面係合部42が弾性変形して係合突部43が係合孔54から外れれば、クリップ本体40を被取付部材60に残して、取付部材50のみを被取付部材60から取り外すこともできる。
【特許文献1】特開2000−249117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図26に示したクリップ本体40により、所定の保持荷重で、取付部材50を被取付部材60に取付けることができる。しかし、保持荷重を変更する必要が生じたときは、クリップ本体40をそのまま使用することはできず、クリップ本体40の係合突部43の係合面44の角度や面積を変更する、あるいは取付係止片46の係止肩47の幅や角度を変更する、もしくはクリップ本体40の材質を変更する等によりクリップ本体40とは形状や材質を変更した保持荷重の異なる別のクリップ本体が必要であった。
そのため、保持荷重が異なる取付に対応するためには、形状や材質の異なる複数種類のクリップ本体を用意することが必要であり、取付箇所の保持荷重に対応したクリップ本体を選択して取り付けなければならなかった。
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するものとして提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、クリップ本体の形状や材質を変更することなく、座面部材の厚みの変更や形状の変更等により、同一種類のクリップ本体を用いて取付部材を被取付部材に取り付けたときに、異なる保持荷重に対応させることを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るクリップによる取付構造は次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明に係るクリップによる取付構造は、被取付部材に装着される取付部材に突設状態で配設される座面部材に樹脂製のクリップ本体を取付けたクリップ構造体を、被取付部材に形成された取付孔に該被取付部材の挿入方向表面側から裏面側に向けて挿入して、取付部材を被取付部材に着脱可能に取付けるクリップによる取付構造であって、
前記樹脂製のクリップ本体は、内側に形成される、前記座面部材を挟持する一対の座面係合部片と、外側に形成される、前記被取付部材の取付孔に係止する係止肩を外方に突起形成し、拡開方向に弾発力を付与された一対の取付係止片とを有し、前記一対の座面係合部片には前記座面部材との間に該両者間の相対的抜き方向の作用力に対して該両者を抜き方向に一体化する一体化手段が設けられており、前記一対の取付係止片には挿入方向後方に向けて脚片が延設形成されており、該延設形成された脚片の挿入方向後端は前記座面係合部片の挿入方向後端より後方位置となる構成に形成されており、
前記座面部材は前記クリップ構造体を被取付部材から抜去する際に前記クリップ本体の脚片と該座面部材との当接状態に差異を生じさせることのできる構成とされた第1の座面部材と第2の座面部材の複数種類あり、該当接状態の差異により該第1の座面部材と第2の座面部材とでは前記クリップ構造体を被取付部材から抜去する際の該クリップ本体に生じる抗力が異ならされており、
前記クリップ本体を該第1の座面部材あるいは第2の座面部材を選択して取付けることにより、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができることを特徴とする。
【0007】
この第1の発明によれば、第1の座面部材を用いたクリップ構造体を被取付部材から抜去する際と第2の座面部材を用いたクリップ構造体を被取付部材から抜去する際ではクリップ本体の脚片の座面部材への当接状態に差異が生じる。そこで、クリップ本体の変形状態に差異が生じてクリップ本体に生ずる抗力にも差異が生じるため、クリップ構造体を被取付部材から抜去するために必要となる力に差異が生ずる。よって、クリップ本体を第1の座面部材あるいは第2の座面部材を選択して取付けることにより、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができる。
なお、クリップ本体の座面係合部片には座面部材との間に両者間の相対的抜き方向の作用力に対して両者を抜き方向に一体化する一体化手段が設けられており、クリップ本体の取付部材に対する保持荷重の方がクリップ本体の被取付部材に対する保持荷重よりも大きく設定されているので、取付部材からクリップ本体が外れることは考慮する必要がない。
【0008】
次に本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係るクリップによる取付け構造であって、
前記座面係合部片と前記座面部材との間の該両者を抜き方向に一体化する一体化手段は、前記座面部材に形成された係合孔と、該係合孔に係合する前記座面係合部片に設けられた係合突部であることを特徴とする。
この第2の発明によれば、座面係合部片と座面部材との間の両者を抜き方向に一体化する一体化手段は、座面部材に形成された係合孔に座面係合部片に設けられた係合突部を挿入して係止させることで、簡易な構造で実現することができる。
【0009】
次に本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係るクリップによる取付構造であって、
前記座面部材は前記クリップ本体の座面係合部片に挟持される部分の厚みは同じであるがそれ以降の挿入方向後方位置の厚みが異なる第1の座面部材と第2の座面部材とを備え、該挿入方向後方位置の厚みが、前記クリップ構造体を前記取付孔に挿入して取付けた状態で、第1の座面部材が前記取付係止片の脚片が当該第1の座面部材に当接しない厚みとされるときは、第2の座面部材は前記取付係止片の脚片が当該第2の座面部材に当接する厚みとされており、第1の座面部材が前記取付係止片の脚片が当該第1の座面部材に当接する厚みとされるときは、第2の座面部材は前記取付係止片の脚片が当該第2の座面部材に対し前記第1の座面部材に当接するよりもより強く当接する厚みとされていることを特徴とする。
【0010】
この第3の発明によれば、第1の座面部材を用いた場合にはクリップ本体の脚片が第1の座面部材に当接せず、第2の座面部材を用いた場合にはクリップ本体の脚片が第2の座面部材に当接する第1の構成と、第1の座面部材を用いた場合も第2の座面部材を用いた場合もクリップ本体の脚片が座面部材に当接するが、第1の座面部材を用いた場合に比べて第2の座面部材を用いた場合の方が脚片がより強く座面部材に当接する第2の構成を採ることができる。
この第1の構成によれば、第1の座面部材を用いて取付部材を被取付部材に取り付けた状態では、クリップ本体の脚片が座面部材に当接していない。この場合の取付部材の被取付部材に対する保持荷重は、取付係止片を係止片の付け根を支点として撓ませて係止肩を取付孔から外すために必要な力に相当する。一方、第2の座面部材を用いて取付部材を被取付部材に取り付けた状態では、クリップ本体の脚片が座面部材に当接している。この場合の取付部材の被取付部材に対する保持荷重は、取付係止片を係止肩が被取付部材の裏面側で被取付部材に係止する箇所と脚片が座面部材に当接する箇所で逆方向に曲げて係止肩を取付孔から外すために必要な力に相当する。
取付係止片を係止片の付け根を支点として撓ませて係止肩を取付孔から外す場合に比べて、取付係止片を係止肩が被取付部材の裏面側で被取付部材に係止する箇所と脚片が座面部材に当接する箇所で逆方向に曲げて係止肩を取付孔から外すためには、より大きな力が必要となる。
よって、座面部材として第2の座面部材を用いた場合の方が、座面部材として第1の座面部材を用いた場合よりも保持荷重は大きくなり、座面部材の選択により、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができる。
なお、クリップ本体の座面係合部片には座面部材との間に両者間の相対的抜き方向の作用力に対して両者を抜き方向に一体化する一体化手段が設けられており、クリップ本体の取付部材に対する保持荷重の方がクリップ本体の被取付部材に対する保持荷重よりも大きく設定されているので、取付部材からクリップ本体が外れることは考慮する必要がない。
この第2の構成によれば、第1の取付部材を用いた場合も第2の座面部材を用いた場合もクリップ本体の脚片が座面部材に当接している。この場合の取付部材の被取付部材に対する保持荷重は、いずれも、取付係止片を係止肩が被取付部材の裏面側で被取付部材に係止する箇所と脚片が座面部材に当接する箇所で逆方向に曲げて係止肩を取付孔から外すために必要な力に相当する。ここで、第2の取付部材を用いた場合の方が第1の取付部材を用いた場合に比べて脚片がより強く座面部材に当接しているので、第2の座面部材を用いた場合の方が保持荷重が大きい。よって、第2の構成によっても、座面部材の選択により、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができる。
【0011】
次に本発明の第4の発明は、上記第3の発明に係るクリップによる取付け構造であって、
前記第1の座面部材の前記クリップ本体の座面係合部片に挟持される部分の厚みとそれ以降の挿入方向後方位置の厚みとが同じ厚みとされていることを特徴とする。
この第4の発明によれば、第1の座面部材は座面部材の厚みを均一とすることができるため、座面部材を平易に形成することができる。
【0012】
次に本発明の第5の発明は、上記第3の発明または第4の発明に係るクリップによる取付け構造であって、
前記第2の座面部材の挿入方向後方位置の厚みはリブ形状又は面形状により形成されていることを特徴とする。
この第5発明によれば、第1の座面部材と第2の座面部材の差異はリブ形状又は面形状の有無のみとすることができるので、座面部材の僅かの変更作業で保持荷重の変更を実現することができる。
【0013】
次に本発明の第6の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係るクリップによる取付構造であって、
前記座面部材は前記クリップ本体の座面係合部片に挟持される部分より以降の挿入方向後方位置に逃がし孔が形成された第1の座面部材と当該位置に逃がし孔が形成されていない第2の座面部材とを備え、
前記クリップ構造体を被取付部材から抜去する際に、第1の座面部材では前記クリップ本体の脚片が第1の座面部材の逃がし孔に収まり、第2の座面部材では前記クリップ本体の脚片が第2の座面部材の外表面に当接することを特徴とする。
【0014】
この第6の発明によれば、第1の座面部材を用いたクリップ構造体を被取付部材から抜去する際には、クリップ本体の脚片は座面部材の逃がし孔に収まる。よって、脚片が座面部材に当接しなければ脚片に抗力は生じず、脚片が座面部材に当接する場合でも、逃がし孔により脚片が逃がされるために逃がし孔が無い場合に比べて脚片の変形が少なく、取付係止片に生じる抗力も小さい。
一方、第2の座面部材を用いたクリップ構造体を被取付部材から抜去する際には、クリップ本体の脚片は座面部材の外表面に当接する。よって、第2の座面部材を用いた場合には第1の座面部材を用いた場合に比べて脚片の変形が大きく、取付係止片に生じる抗力はより大きい。
よって、第1の座面部材を用いた場合に比べて、第2の座面部材を用いた場合の方が抜去に必要な力が大きくなる。したがって、クリップ本体を取付ける座面部材を第1の座面部材とするか第2の座面部材とするか選択することにより、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができる。
【0015】
次に本発明の第7の発明は、上記第6の発明に係るクリップによる取付構造であって、
前記逃がし孔は貫通孔であり、前記クリップ本体の一対の脚片の内側に突起部が形成されており、前記クリップ構造体を前記被取付部材から抜去する際に、第1の座面部材では該クリップ本体の脚片の突起部が第1の座面部材の逃がし孔に収まり、第2の座面部材では該クリップ本体の脚片の突起部が第2の座面部材の外表面に当接することを特徴とする。
【0016】
この第7の発明によれば、第1の座面部材を用いたクリップ構造体を被取付部材から抜去する際には、クリップ本体の脚片の突起部は座面部材の貫通した逃がし孔に収まる。よって、脚片が座面部材に当接しなければ脚片に抗力は生じず、脚片が座面部材に当接する場合でも、脚片の突起部が逃がし孔により逃がされるために逃がし孔が無い場合に比べて脚片の変形が少なく、取付係止片に生じる抗力は小さい。
一方、第2の座面部材を用いたクリップ構造体を被取付部材から抜去する際には、クリップ本体の脚片の突起部が座面部材の外表面に当接する。よって、第2の座面部材を用いた場合にはクリップ本体の脚片には第1の座面部材を用いた場合に比べて脚片の変形が大きく取付係止片に生じる抗力はより大きい。
よって、第1の座面部材を用いた場合に比べて第2の座面部材を用いた場合の方が、クリップ構造体を被取付部材から抜去する際に必要な力が大きくなる。したがって、クリップ本体を取付ける座面部材を第1の座面部材とするか第2の座面部材とするか選択することにより、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができる。
また、脚片全体を逃がし孔で逃がさなくても、脚片の突起部を逃がし孔で逃がすことで、脚片の座面部材への当接状態に差異を生じさせ、保持荷重を異ならせることができる。よって、逃がし孔は突起部に対応する部分のみに形成すればよい。
【0017】
次に本発明の第8の発明は、上記第1の発明に係るクリップによる取付構造であって、
前記座面部材には前記クリップ本体の座面係合部片に挟持される部分より以降の挿入方向後方位置の片側に座面部材を貫通する逃がし孔が形成され、該クリップ本体の一対の脚片の内側には拡開方向と直交する方向の片側に突起部が形成されており、
該座面部材は、クリップ本体を脚片の突起部が該座面部材の逃がし孔の位置に対応する向きで取付けることができる第1の座面部材と、クリップ本体を反転させ脚片の突起部が該座面部材の逃がし孔の位置に対応しない向きで取付けることができる第2の座面部材の役割を兼ねており、
該クリップ構造体を該被取付部材から抜去する際に、第1の座面部材として使用する場合にはクリップ本体の脚片の突起部が座面部材の逃がし孔に収まり、第2の座面部材として使用する場合にはクリップ本体の脚片の突起部が座面部材の外表面に当接することを特徴とする。
【0018】
この第8の発明によれば、クリップ本体を脚片の突起部が座面部材の逃がし孔の位置に対応する向きで取付けて、座面部材を第1の座面部材として使用する場合は、クリップ構造体を被取付部材から抜去する際には、クリップ本体の脚片の突起部は座面部材の逃がし孔に収まる。よって、脚片が座面部材に当接しなければ脚片に抗力は生じず、脚片が座面部材に当接する場合でも、脚片の突起部は逃がし孔により逃がされるために逃がし孔が無い場合に比べて脚片の変形が少なく、取付係止片に生じる抗力も小さい。
一方、座面部材にクリップ本体を脚片の突起部が座面部材の逃がし孔の位置に対応しない向きで取付けて、座面部材を第2の座面部材として使用する場合は、クリップ構造体を被取付部材から抜去する際には、クリップ本体の脚片の突起部は座面部材の外表面に当接する。よって、第2の座面部材として用いた場合にはクリップ本体の脚片の突起部が逃がし孔によって逃がされる場合よりも脚片の変形が大きく取付係止片に生じる抗力はより大きい。そのため、当該座面部材を第1の座面部材として用いた場合に比べて、第2の座面部材として用いた場合の方が、クリップ構造体を被取付部材から抜去する際に必要な力が大きくなる。したがって、クリップ本体を座面部材に取り付ける向きを選択して当該座面部材を第1の座面部材あるいは第2の座面部材として機能させることにより、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができる。
【発明の効果】
【0019】
上記本発明の各発明によれば、次の効果が得られる。
まず、上述した第1の発明によれば、クリップ構造体を被取付部材から抜去する際にクリップ本体の脚片の座面部材への当接状態の差異が生ずる2種類の座面部材を使用することにより、取付部材を被取付部材から取り外すときにクリップ本体に生ずる抗力を異ならせて、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができる。そこで、保持荷重によって複数種類用意していたクリップを、一つにまとめることができる。これにより、クリップの共有化が図られコストを低減することができる。コストの低減はクリップの製造、供給管理、取付作業等の多岐にわたる。
次に上述の第2の発明によれば、簡易な構造で、クリップが座面部材から外れることを防ぐことができる。
【0020】
次に上述の第3の発明によれば、取付部材に形成される座面部材の厚みを変えることにより、同一種類のクリップを使用した場合でも、取付部材を被取付部材から取り外すときの抗力を変化させ、保持荷重を異ならせることができる。そこで、座面部材の厚みを変えることで、保持荷重によって別品番で複数種類用意していたクリップを、一つにまとめることができる。これにより、クリップの標準化が進みコストを低減することができる。コストの低減はクリップの製造、供給管理、取付作業等の多岐にわたる。
次に上述の第4の発明によれば、第1の座面部材の厚みを均一にできるので、座面部材を平易に形成することができる。
次に上述の第5の発明によれば、第1の座面部材と第2の座面部材の差異はリブ形状又は面形状の有無のみとすることができるので、座面部材の僅かの変更作業で保持荷重の変更を実現することができる。
【0021】
次に上述の第6の発明によれば、脚片に対応する位置に脚片を逃がす逃がし孔が形成された第1の座面部材と、逃がし孔がなく脚片を逃がせない第2の座面部材を用いることで、クリップ構造体を被取付部材から抜去する際にクリップ本体の脚片の座面部材への当接状態に差異を生じるため、取付係止片に生じる抗力に差異が生じ、抜去時の抗力に差異が生ずる。よって、クリップ本体を取付ける座面部材を第1の座面部材とするか第2の座面部材とするか選択することにより、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができる。
次に上述の第7の発明によれば、脚片の突起部に対応する位置に突起部を逃がす逃がし孔が形成された第1の座面部材と、逃がし孔がなく脚片の突起部を逃がせない第2の座面部材を用いることで、クリップ構造体を被取付部材から抜去する際にクリップ本体の脚片の座面部材への当接状態に差異を生じるため、取付係止片に生じる抗力に差異が生じ、抜去時の抗力に差異が生ずる。よって、クリップ本体を取付ける座面部材を第1の座面部材とするか第2の座面部材とするか選択することにより、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができる。
次に上述の第8の発明によれば、クリップ本体を取付ける向きを反転させることにより脚片の突起部が座面部材の逃がし孔により逃がされる構造と逃がし孔に対応せず脚片の突起部を逃がせない構造をとることが可能なクリップ本体と座面部材を用いることで、クリップ構造体を被取付部材から抜去する際にクリップ本体の脚片の座面部材への当接状態に差異を生じるため、取付係止片に生じる抗力に差異が生じ、抜去時の抗力に差異が生ずる。よって、クリップ本体を座面部材に取り付ける向きを選択して座面部材を第1の座面部材あるいは第2の座面部材として機能させることにより、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0023】
まず、本発明の第一実施例について説明する。
図1は、本発明の第一実施例であるクリップによる取付構造において、取付部材(図示を省略)に突設状態で配設された第1の座面部材27に樹脂製のクリップ本体10を取付けたクリップ構造体11を被取付部材30に取付けた状態を表した部分断面図である。
クリップ本体10は第1の座面部材27と一体化された状態で被取付部材30の取付孔32に表面側34から挿入され、クリップ構造体11が被取付部材30に取付けられている。
クリップ本体10は、内側に形成される、第1の座面部材27を挟持する一対の座面係合部片12と、外側に形成される、被取付部材30の取付孔32の裏面側36に係止する係止肩16を外側に突起形成し、拡開方向に弾発力を付与された一対の取付係止片14とを有する。
前記一対の座面係合部片12の先端には係合突部13が設けられ、係合突部13は第1の座面部材27に形成された係合孔24に係合しており、座面係合部片12と第1の座面部材27を両者の相対的な抜き方向の作用力に対して一体化している。なお、一対の座面係合部片12は、自由状態では第1の座面部材27の先端の厚みより狭小間隔状態とされており、その先端が挿入された状態では内側への弾発力が付与された狭圧状態で挟持している。
前記一対の取付係止片14には挿入方向後方に向けて脚片18が延設形成されており、脚片18の挿入方向後端は座面係合部片12の挿入方向後端より後方位置となる構成に形成されている。なお、一対の取付係止片14は、自由状態では取付孔32の開口幅より幅広状態として形成されている。このため取付孔32への取付けは相対的に内方側に弾性変形された状態として取り付けられ、取付状態では拡開方向への弾発力を付与された状態として嵌合状態にある。
そして、第1の座面部材27は、取付係止片14の脚片18が第1の座面部材27に当接しない厚みとされている。なお、この実施例では、脚片18に対応する後方位置の厚みと、座面係合部片12に挿入される先端部位置の厚みは、同じ厚みとされている。
【0024】
図2は、本発明の第一実施例であるクリップによる取付構造において、取付部材(図示を省略)に突設状態で配設された第2の座面部材28に樹脂製クリップ本体10を取付けたクリップ構造体11を被取付部材30に取付けた状態を表した部分断面図である。
クリップ本体10は第2の座面部材28と一体化された状態で被取付部材30の取付孔32に表面側34から挿入され、クリップ構造体11が被取付部材30に取付けられている。
クリップ本体10は図1で示したものと共通のものを使用しており、クリップ本体10は、内側に形成される、第2の座面部材28を挟持する一対の座面係合部片12と、外側に形成される、被取付部材30の取付孔32の裏面側36に係止する係止肩16を外側に突起形成し、拡開方向に弾発力を付与された一対の取付係止片14とを有する。
前記一対の座面係合部片12の先端には係合突部13が設けられ、係合突部13は第2の座面部材28に形成された係合孔24に係合しており、座面係合部片12と第2の座面部材28を両者の相対的な抜き方向の作用力に対して一体化している。第2の座面部材28の座面係号部片12に挟持されている部分の厚みは第1の座面部材27と同じである。
前記一対の取付係止片14には挿入方向後方に向けて脚片18が延設形成されており、脚片18の挿入方向後端は座面係合部片12の挿入方向後端より後方位置となる構成に形成されている。
そして、第2の座面部材28の挿入方向後方位置にはリブ26が形成されており、取付係止片14の脚片18が第2の座面部材28に形成されたリブ26に当接している。
なお、第1の座面部材27及び第2の座面部材28については次の構成とすることもできる。
第1の座面部材27は取付係止片14の脚片18が第1の座面部材27に当接する厚みとしてもよい。この場合は、第2の座面部材28は、取付係止片14の脚片18が第2の座面部材28に形成されたリブ26に対し第1の座面部材27に当接するときよりもより強く当接する厚みとする。
また、第1の座面部材27の脚片18に対応する後方位置の厚みは、座面係合部片12に挿入される先端部位置の厚みよりも厚くしてもよい。但し、第2の座面部材28の脚片18に対応する後方位置の厚みよりは薄くするものとする。
【0025】
図3は、本発明の第一実施例である取付構造に係る第1の座面部材27および第2の座面部材28の外観斜視図である。図3(A)が第1の座面部材27の外観斜視図であり、図3(B)が第2の座面部材28の外観斜視図である。第1の座面部材27と第2の座面部材28の形状は、リブ26を除いて共通である。案内溝25は、クリップ本体10を第1の座面部材27または第2の座面部材28に取付けるときに座面係合部片12を通す案内用の溝である。
【0026】
図4は、本発明の第一実施例である取付構造において、第1の座面部材27に樹脂製のクリップ本体10を取付けたクリップ構造体11の被取付部材30の取付孔32への挿入が終了する直前の状態を表した部分断面図である。
第1の座面部材27を用いてのクリップ構造体11の被取付部材30への取り付けでは、クリップ構造体11の取付孔32への挿入終了直前まで、脚片18は第1の座面部材27に当接しない。この場合の挿入荷重は、一対の取付係止片14を係止片基部15を支点として撓ませて係止肩16が取付孔32を通過できる幅に押し縮めるのに必要な力に相当する。なお、挿入終了直前には脚片18が第1の座面部材27に当接するので、挿入荷重は上述よりも若干増加するがその影響はわずかである。
図5は、本発明の第一実施例である取付構造において、第2の座面部材28に樹脂製のクリップ本体10を取付けたクリップ構造体11の被取付部材の取付孔への挿入が終了する直前の状態を表した部分断面図である。
第2の座面部材28を用いてのクリップ構造体11の被取付部材30への取り付けでは、クリップ構造体11の取付孔32への挿入の初期段階から脚片18が第2の座面部材28に形成されたリブ26に当接する。この場合の挿入荷重は、一対の取付係止片14を係止肩16が取付孔32に当接する箇所と脚片18がリブ26に当接する箇所で逆方向に曲げて係止肩16が取付孔32を通過できる幅に押し縮めるのに必要な力に相当する。
一対の取付係止片14を係止片基部15を支点として撓ませて係止肩16が取付孔32を通過できる幅に押し縮めるのに必要な力よりも、一対の取付係止片14を係止肩16が取付孔32に当接する箇所と脚片18がリブ26に当接する箇所で逆方向に曲げて係止肩16が取付孔32を通過できる幅に押し縮めるのに必要な力の方が大きいので、第2の座面部材28を用いた取付けの方が第1の座面部材27を用いた取付けよりも挿入荷重は大きくなる。
【0027】
図6は、本発明の第一実施例である取付構造において、第1の座面部材27に樹脂製のクリップ本体10を取付けたクリップ構造体11の被取付部材30の取付孔32からの抜去が終了する直前の状態を表した部分断面図である。
図7は、本発明の第一実施例である取付構造において、第2の座面部材28に樹脂製のクリップ本体10を取付けたクリップ構造体11の被取付部材30の取付孔32からの抜去が終了する直前の状態を表した部分断面図である。
第1の座面部材27を用いて取付部材を被取付部材30に取付けたときは、クリップ本体10の脚片18が第1の座面部材27に当接していない。よって、取付部材の被取付部材30に対する保持荷重は、一対の取付係止片14を係止片基部15を支点として撓ませて係止肩16を取付孔32から外すために必要な力に相当する。なお、本実施例では、図6に示すとおり、クリップ構造体11が被取付部材30から外れる直前に、脚片18の先端が第1の取付部材27に当接する。そのため、実際の保持荷重は取付係止片14を係止片基部15を支点として撓ませて係止肩16を取付孔32から外すために必要な力より若干増加している。
一方、第2の座面部材28を用いて取付部材を被取付部材30に取付けたときは、クリップ本体10の脚片18が第2の座面部材28に当接している。よって、取付部材の被取付部材30に対する保持荷重は、一対の取付係止片14を、係止肩16が被取付部材30の裏面側36で被取付部材30に係止する箇所と、脚片18が第2の座面部材28に当接する箇所で逆方向に曲げて係止肩16を取付孔32から外すために必要な力に相当する。
一対の取付係止片14を係止片肩部15を支点として撓ませて係止肩16を取付孔32から外す場合に比べて、一対の取付係止片14を係止肩16が被取付部材30の裏面側36で被取付部材30に係止する箇所と脚片18が第2の座面部材28に当接する箇所で逆方向に曲げて係止肩16を取付孔32から外すためには、より大きな力が必要となる。
よって、保持荷重は座面部材22として第2の座面部材28を用いた場合の方が、座面部材22として第1の座面部材27を用いた場合よりも大きくなり、座面部材22の選択により、取付部材の被取付部材30に対する保持荷重を異ならせることができる。
なお、クリップ本体10と第1の座面部材27または第2の座面部材28は、クリップ本体10の座面係合部片12の先端に形成された係合突部13が第1の座面部材27または第2の座面部材28に形成された係合孔24に係合して、両者間の相対的抜き方向の作用力に対して両者が抜き方向に一体化されており、クリップ本体10の取付部材に対する保持荷重の方がクリップ本体10の被取付部材30に対する保持荷重よりも大きく設定されている。よって、被取付部材30からクリップ本体10が外れる前に取付部材からクリップ本体10が外れることはない。
【0028】
図8は、本発明の第一実施例である取付構造において、第1の座面部材27および第2の座面部材28の厚みを対比した図である。
図9は、本発明の第一実施例である取付構造で、第1の座面部材27を使用した場合と第2の座面部材28を使用した場合の保持荷重を比較測定した結果を示す図である。図9に示すとおり、座面部材22の板厚を変更することにより、同じクリップ本体10を用いて取付部材を被取付部材30に取付けた場合の保持荷重を変更することができる。本実施例では、座面部材にリブを設けて厚みを厚くすることで、保持荷重を、リブを設けない場合に比べて2.3倍とすることができた。一方、挿入荷重については、リブを設けない場合に比べて1.7倍にとどめることができた。
クリップ本体10の挿入抵抗は、図7に示した係止肩16の挿入方向前方の傾斜面と取付孔32の側面のなす角度θ1の影響を受ける。一方、抜去抵抗は図7に示した係止肩16の挿入方向後方の傾斜面と取付孔32の側面のなす角度θ2の影響を受ける。ここで、この角度が小さい方が抵抗は小さい。クリップ本体10ではθ1はθ2よりも小さくなるように設定し、挿入荷重を保持荷重よりも低く抑えている。
【0029】
以上、本発明の第一実施例について説明したが、本発明はその発明の思想の範囲で、その他各種の形態で実施できるものである。例えば、第一実施例では第2の座面部材にリブを設けることにより座面部材の脚片に当接する部分の厚みを厚くしたが、座面部材自体の厚さを厚くすることもできる。また、第一実施例では座面部材の厚みを厚くする範囲は脚片が当接する位置を含めそれより下方の全範囲としているが、厚みを厚くする範囲を脚片が当接する部分に限定することもできる。
【0030】
図10は、本発明の第一実施例の変形実施例で使用するクリップ本体10aを表す。上記実施例で使用したクリップ本体10と比べて、取付係止片12に外方に突起形成された係止肩16がストレート部17を有することを特徴とする。
クリップ本体10aを用いた取付構造では、係止肩16にストレート部17があるため、抜去に際し最大荷重がかかるストロークが長くなり、ストレート部分がないクリップ本体10を用いた取付構造に比べ、抜去するために最大荷重をより長い時間かけることが必要となる。よって衝撃的な荷重に対して外れにくいと云う特徴がある。
クリップ本体10aを第1の座面部材27および第2の座面部材28に用いて、異なる保持荷重に対応させることができる点はクリップ本体10を用いたときと同様である。また、クリップ本体10aは係止肩16にストレート部17があることを除いてクリップ本体10と共通であるため、詳細な説明は省略する。
なお、クリップ本体10aでは抜去するために最大荷重をより長い時間かけることが必要となり、クリップ本体10aが衝撃的な荷重に対して外れにくいと云う特徴は、異なる保持荷重に対応できることとは独立している。
よって、クリップ本体10aの用途は本発明に限定されず、衝撃荷重に対して外れにくい特徴を生かし、広く使用できるものである。
【0031】
クリップ本体10aは、また、座面部材22を側面から挟持する座面系合部片12の一対の挟持面19の間の幅が、クリップ本体10aの挿入方向後方から挿入方向前方に向かって漸増しているという特徴がある。
そして、座面部材22との関係では、クリップ本体10aの挿入方向後方における一対の挟持面19の間の幅aは、一対の座面係合部片12によって挟持される座面部材22の厚みbよりも小さく設定されている。また、クリップ本体10aの挿入方向前方における一対の挟持面19の間の幅cは、一対の座面係合部片12に挟持される座面部材22の厚みbよりも大きく設定されている。すなわち、図10において、a<b<cの関係とされている。
そこで、クリップ本体10aを座面部材22に取り付けた状態では、クリップ本体10aの挿入方向後方で、一対の座面系合部片12の両挟持面19の間の幅が、座面部材22の厚みまで弾性変形により拡開する。よって、弾発力を付与された状態の一対の座面係合部片12の両挟持面19により座面部材22が挟持されるため、クリップ本体10aの座面部材22への取付けが安定する。
【実施例2】
【0032】
次に本発明の第二実施例について説明する。
図11は本発明の第二実施例で使用する樹脂製のクリップ本体110の自由状態の外観斜視図である。クリップ本体110は樹脂で形成され、内側に形成される一対の座面係合部片114と、外側に形成される一対の取付係止片120を有する。
そして、座面係合部片114の先端には係合突部116が設けられ、取付係止片120には係止肩125が外側に突起形成され、係止肩125には係り斜面124およびその上部に連なるストレート面126が形成されている。ストレート面126はクリップ本体110が自由状態ではほぼ垂直方向に延びている。
そして、取付係止片120にはクリップ本体110を挿入する方向の後方に向け、係り斜面124に続けて脚片128が延接形成されており、脚片128の挿入方向後端は座面係合部片114の挿入方向後端よりも後方位置となる構成とされている。なお、脚片128には挿入方向後端から拡開方向外方上向きに脚足127が延設形成されており、脚片128の挿入方向後端の内側には、奥行き方向の中央部に台形状の突起部129が向かい合わせて形成されている。
【0033】
図12は第二実施例で使用する第1の座面部材133の外観斜視図、図13は第二実施例で使用する第2の座面部材134の外観斜視図である。
図12に示す第1の座面部材133は取付部材130に突設状態で配設され、取付部材130と一体で形成されており、幅方向の両側に補強部材135が配設されて補強されている。そして、第1の座面部材133の先端部にはクリップ本体110を第1の座面部材133に取付けるときに座面係合部片114を案内する案内溝138が形成されている。
案内溝138に続いて、第1の座面部材133の中央部やや上方にクリップ本体110の座面係合部片114の係合突部116を係合させるための係合孔136が形成されている。そして、係合孔136の下方の第1の座面部材133の幅方向の中央部にクリップ本体110の脚片128を逃がすための逃がし孔140が形成されている。なお、図13に示す第2の座面部材134は、逃がし孔140が形成されていない点を除いて第1の座面部材133と同じ構成となっている。
【0034】
図14は第二実施例において取付部材130に突設状態で配設された第1の座面部材133に樹脂製のクリップ本体110を取付けたクリップ構造体112Aを被取付部材150に取付けた状態の部分断面図である。
クリップ本体110は一対の座面係合部片114の間に第1の座面部材133を挟持して第1の座面部材133の先端部に取付けられている。なお、一対の座面係合部片114は自由状態では挟持する第1の座面部材133の厚みよりも狭小な間隔とされており、第1の座面部材133を挟持した状態では内側への弾発力が付与されている。
そして、座面係合部片114の先端に形成された係合突部116を第1の座面部材133に形成された係合孔136に係合させ、座面係合部片114と第1の座面部材133の相対的抜き方向の作用力に対して両者を抜き方向に一体化している。
そして、クリップ構造体112Aを被取付部材150の表面側154から裏面側156へ向けて取付孔152に挿入することにより、取付部材130が被取付部材150に取付けられている。
なお、取付係止片120は自由状態では取付孔152の開口幅よりも幅広状態に形成されている。そのため取付孔152への取付は取付係止片120が内方側に弾性変形された状態として取付けられ、取付状態では取付係止片120に拡開方向への弾発力が付与された嵌合状態にある。
【0035】
図15は第二実施例において取付部材130に突設状態で配設された第2の座面部材134に樹脂製のクリップ本体110を取付けたクリップ構造体112Bを被取付部材150に取付けた状態の部分断面図である。クリップ構造体112Bのクリップ構造体112Aとの違いは、第2の座面部材134に逃がし孔140が形成されていない点にある。クリップ本体110は第1の座面部材133に取付けたものと共通である。
【0036】
ここで、第1の座面部材133を用いた場合と第2の座面部材134を用いた場合の挿入荷重について説明する。
クリップ構造体112Aを被取付部材150に挿入する際は、クリップ本体110の脚片128の先端の突起部129は第1の座面部材133の逃がし孔140に入って逃がされるため脚片128の変形は少なく、取付係止片120に生じる抗力は小さい。
この場合の挿入荷重は、クリップ構造体112Aを取付孔152に押しつけて一対の取付係止片120を係止片基部122を支点として撓ませて係止肩125が取付孔152を通過できる幅に押し縮めるのに必要な力にほぼ相当する。なお、挿入の終了段階では脚片128は突起部129の脇の脚足127付け根部分で第1の座面部材133に当接して少し変形するがその影響は少ない。
【0037】
一方、クリップ構造体112Bを被取付部材150に挿入する際は、第2の座面部材134には逃がし孔140がなく、挿入の途中でクリップ本体110の脚片128の先端の突起部129が第2の座面部材134に当接する。よって、脚片128を変形させながら挿入することが必要となるため、取付係止片120に生ずる抗力は第1の座面部材133を用いた場合よりも大きくなる。この場合の挿入荷重は、クリップ構造体112Bを取付孔152に押しつけて、一対の取付係止片120を係止肩125が取付孔152に当接する箇所と脚片128が第2の座面部材134に当接する箇所で逆方向に曲げて係止肩125が取付孔152を通過できる幅に押し縮めるのに必要な力に相当する。よって、挿入荷重は第2の座面部材134を用いた場合の方が大きくなる。
【0038】
次に第1の座面部材133を用いた場合と第2の座面部材134を用いた場合の抜去荷重について説明する。
図16は第二実施例において第1の座面部材133を用いたクリップ構造体112Aを被取付部材150から抜去する途中の状態を示した部分断面図である。
クリップ構造体112Aを被取付部材150から抜去する際には、抜去が進むと取付係止片120は係止片基部122を支点として係り斜面124およびストレート面126が近接するように曲げられ、取付係止片120の脚片128が互いに近接し、脚片128が第1の座面部材133に当接する状態となる。しかし、脚片128の先端に形成された突起部129は第1の座面部材133の逃がし孔140によって逃がされるので、脚片128が第1の座面部材133に当接することによって取付係止片120生じる抗力は、逃がし孔140が形成されていない場合に比べて小さい。
この場合の抜去荷重は、クリップ構造体112Aを取付孔152から外す方向に引っ張って、一対の取付係止片120を係止片基部122を支点として撓ませて、係止肩125が取付孔152を通過できる幅に押し縮めるのに必要な力にほぼ相当する。なお、抜去の終了段階では脚片128は突起部129の脇の脚足127付け根部分で第1の座面部材133に当接して少し変形するがその影響は少ない。
【0039】
図17は第二実施例において第2の座面部材134を用いたクリップ構造体112Bを被取付部材150から抜去する途中の状態を示した部分断面図である。
座面部材132として第2の座面部材134を用いた場合には、抜去が進むと取付係止片120は係止片基部122を支点として係り斜面124およびストレート面126が近接するように曲げられ、取付係止片120の脚片128が互いに近接し、脚片128の先端の突起部129が第2の座面部材134に当接する状態となり、第1の座面部材133を用いた場合と比べてクリップ本体10の座面部材134への当接状態が異なる。
そのため、脚片128の先端の突起部129が第1の座面部材133の逃がし孔140によって逃がされる場合と比べて脚片128の変形が大きく、脚片128の変形によって取付係止片120生じる抗力は、逃がし孔140によって脚片128の突起部129が逃がされる場合に比べて大きくなる。この場合の抜去荷重は、クリップ構造体112Bを取付孔152から外す方向に引っ張って、一対の取付係止片120を係止肩125が取付孔152に当接する箇所と脚片128の突起部129が第2の座面部材134に当接する箇所で逆方向に曲げて係止肩125が取付孔152を通過できる幅に押し縮めるのに必要な力に相当する。
【0040】
よって、クリップ構造体112A、112Bを被取付部材150から抜去する際にクリップ本体110の脚片128の座面部材132への当接状態に差異が生ずる第1の座面部材133および第2の座面部材134を使用することにより、同一のクリップ本体110を用いて取付部材130を被取付部材150から取り外すときに生ずる抗力を異ならせることができ、取付部材130の被取付部材150に対する取付状態の保持荷重を異ならせることができる。
なお、第1の座面部材133と第2の座面部材134を同一の取付部材130に混在して形成する態様で実施してもよいし、ある取付部材には第1の座面部材のみを形成し、別の取付部材には第2の座面部材のみを形成する態様で実施することもできる。
【0041】
第二実施例では、脚片128の先端の内側の奥行き方向の中央部に突起部129を形成する構成としたが、突起部129を脚片128の先端の奥行き方向の前後の二箇所に分けて奥行き方向に対称に形成し、それに対応させて第1の座面部材133に二箇所逃がし孔140を設ける構成としても良い。
第二実施例では脚片128の先端の内側の奥行き方向の中央部に突起部129を形成し、第1の座面部材133に突起部129が入る幅の逃がし孔140を設けているが、突起部129は必須ではない。突起部129を設けずに、脚片128の奥行き方向の全体で脚片128の先端の内側を肉厚とし、脚片128の全体が入る幅の逃がし孔140を設ける構成とすることもできる。なお、逃がし孔140は貫通孔に限られず、第1の座面部材133の両面に凹部として逃がし孔140を設けることもできる。
第二実施例では、第2の座面部材134にクリップ本体110の脚片128が当接する位置の厚さは座面係合部片114が係合する位置における厚さと同じであるが、脚片128が当接する位置における厚さを座面係合部片114が係合する位置における厚さより厚くしてもよく、この位置で第2の座面部材134の側に突起部を設けても良い。
【実施例3】
【0042】
最後に、本発明の第三実施例について説明する。
図18は本発明の第三実施例で使用する樹脂製のクリップ本体110Aの自由状態の外観斜視図である。クリップ本体110Aの基本的な構造は第二実施例で用いたクリップ本体110と共通する。よって、詳細な説明は省略しクリップ本体110との違いを説明する。
クリップ本体110Aのクリップ本体110との違いは、脚片128の先端に形成される突起部129の位置および形状の差異にある。クリップ本体110Aでは突起部129はクリップ本体110Aの奥行き方向の片側に寄った位置にクリップ本体110に比べて少し狭い幅で形成されている。
【0043】
図19は第三実施例で使用する座面部材132Aの外観斜視図である。座面部材132Aは取付部材130に突設状態で配設され取付部材130と一体で形成されており、両側に補強部材135が配設されて補強されている。そして、座面部材132Aの先端部にはクリップ本体110Aを座面部材132Aに取付けるときに座面係合部片114を案内する案内溝138が形成されている。
案内溝138に続いて、座面部材132Aの中央部やや上方にクリップ本体110Aの座面係合部片114の係合突部116を係合させるための係合孔136が形成されている。そして、係合孔136の下方の座面部材132Aの幅方向の片側に寄せてクリップ本体110Aの脚片128の突起部129を逃がすための逃がし孔140が形成されている。
第三実施例では、座面部材132Aに110Aを取付ける向きを変えることにより、110Aの突起部129と132Aの逃がし孔140の対応状態を変化させることで、座面部材132Aに第1の座面部材133と第2の座面部材134の両方の役割を持たせることができる。
【0044】
図20は第三実施例において座面部材132Aに第1の座面部材133の役割を持たせ、座面部材132Aにクリップ本体110Aを取付けたクリップ構造体112Cを被取付部材150に取付けた状態の部分断面図である。クリップ構造体112Cでは、クリップ本体110Aの脚片128の突起部129と座面部材132Aの逃がし孔140が対応する向きとされている。なお、図20では脚片128の突起部129と逃がし孔140は断面の手前側にある。
図21は第三実施例において座面部材132Aに第2の座面部材134の役割を持たせ、座面部材132Aにクリップ本体110Aを取付けたクリップ構造体112Dを被取付部材150に取付けた状態の部分断面図である。クリップ構造体112Dでは、クリップ本体110Aの脚片128の突起部129と座面部材132Aの逃がし孔140が対応しない向きとされている。なお、図21では脚片128の突起部129は断面の手前側にあり、逃がし孔140は断面の後方にある。
図22(A)は図20のA−A位置におけるクリップ構造体112Cの断面図を、図22(B)は図21のB−B位置におけるクリップ構造体112Dの断面図を示す。
【0045】
クリップ構造体112C、112Dでは、クリップ本体110Aは一対の座面係合部片114の間に座面部材132Aを挟持して座面部材132Aの先端部に取付けられている。なお、一対の座面係合部片114は自由状態では挟持する座面部材132Aの厚みよりも狭小な間隔とされており、座面部材132Aを挟持した状態では内側への弾発力が付与された状態となっている。
そして、座面係合部片114の先端に形成された係合突部116を座面部材132Aに形成された係合孔136に係合させ、座面係合部片114と座面部材132Aの相対的抜き方向の作用力に対して両者を抜き方向に一体化している。
そして、クリップ構造体112Cあるいは112Dを被取付部材150の表面側154から取付孔152に挿入することにより、取付部材130が被取付部材150に取付けられている。
なお、取付係止片120は自由状態では取付孔152の開口幅よりも幅広状態として形成されている。そのため取付孔152への取付は取付係止片120が内方側に弾性変形された状態として取付けられ、取付状態では取付係止片120に拡開方向への弾発力が付与された嵌合状態にある。
【0046】
ここで、座面部材132Aを第1の座面部材133として用いた場合と第2の座面部材134として用いた場合の挿入荷重について説明する。
図22(A)に示すように、クリップ構造体112Cではクリップ本体110Aの脚片128の突起部129が座面部材132Aの逃がし孔140と対応している。よって、クリップ構造体112Cを被取付部材150に挿入する際は、クリップ本体110Aの突起部129が座面部材132Aの逃がし孔140によって逃がされるため脚片128の変形は少なく、取付係止片120に生じる抗力は小さい。
一方、図22(B)に示すように、クリップ構造体112Dではクリップ本体110Aの脚片128の突起部129と座面部材132Aの逃がし孔140が対応していない。よって、クリップ構造体112Dを被取付部材150に挿入する際は、クリップ本体110Aの突起部129が座面部材132Aの逃がし孔140によって逃がされない。そこで、脚片128を変形させながら挿入することが必要となり、取付係止片120に生じる抗力が112Cの場合よりも大きくなる。よって、挿入荷重はクリップ構造体112Cよりもクリップ構造体112Dの方が大きくなる。
【0047】
次に、座面部材132Aを第1の座面部材133として用いた場合と第2の座面部材134として用いた場合の抜去荷重について説明する。
図23は第三実施例において座面部材132Aに第1の座面部材133の役割を持たせたクリップ構造体112Cを、被取付部材150から抜去する途中の状態を示した部分断面図である。
図24は第三実施例において座面部材132Aに第2の座面部材134の役割を持たせたクリップ構造体112Dを、被取付部材150から抜去する途中の状態を示した部分断面図である。
図25(A)は図23のC−C位置におけるクリップ構造体112Cの断面図を、図25(B)は図24のD−D位置におけるクリップ構造体112Dの断面図を示す。
【0048】
座面部材132Aを第1の座面部材133として用いた場合には、抜去が進むと取付係止片120は係止片基部122を支点として係り斜面124およびストレート面126が近接するように曲げられ、取付係止片120の脚片128が互いに近接し、脚片128が第1の座面部材133に当接する状態となる。しかし、図25(A)に示すように、脚片128の先端に形成された突起部129は第1の座面部材133の逃がし孔140によって逃がされるので、脚片128が第1の座面部材133に当接することによって取付係止片120に生じる抗力は、脚片128が逃がし孔140によって逃がされない場合に比べて小さい。この場合の抜去荷重は、クリップ構造体112Cを取付孔152から外す方向に引っ張って、一対の取付係止片120を係止片基部122を支点として撓ませて、係止肩125が取付孔152を通過できる幅に押し縮めるのに必要な力にほぼ相当する。なお、抜去の終了段階では脚片128は突起部129の脇の脚足127付け根部分で第1の座面部材133に当接して少し変形するがその影響は少ない。
【0049】
一方、座面部材132Aを第2の座面部材134として用いた場合には、抜去が進むと取付係止片120は係止片基部122を支点として係り斜面124およびストレート面126が近接するように曲げられ、取付係止片120の脚片128が互いに近接する。そして、脚片128の突起部129が第2の座面部材134の逃がし孔140が形成されていない部位に当接する状態となり、第1の座面部材133を用いた場合と比べてクリップ本体10の座面部材134への当接状態に差異が生じる。そして、脚片128の先端に形成された突起部129が第1の座面部材133の逃がし孔140によって逃がされる場合と比べて脚片128の変形が大きく、脚片128の変形によって取付係止片120に生じる抗力は、逃がし孔140によって脚片128の突起部129が逃がされる場合に比べて大きくなる。この場合の抜去荷重は、クリップ構造体112Dを取付孔152から外す方向に引っ張って、一対の取付係止片120を係止肩125が取付孔152に当接する箇所と脚片128が第2の座面部材134に当接する箇所で逆方向に曲げて係止肩125が取付孔152を通過できる幅に押し縮めるのに必要な力に相当する。
【0050】
よって、クリップ本体110Aを座面部材132Aに取付ける向きを変えることで、クリップ構造体112C、112Dを被取付部材150から抜去する際にクリップ本体110Aの脚片128の座面部材132Aへの当接状態の差異が生じ、取付部材130を被取付部材150から取り外すときに取付係止片120に生ずる抗力を異ならせることができる。よって、同一のクリップ本体110Aを用いて、取付部材130の被取付部材150に対する取付状態の保持荷重を異ならせることができる。
なお、第三実施例では突起部129を逃がす逃がし孔140を貫通孔としているが、逃がし孔140は貫通孔に限られず、座面部材132Aの両面に凹部として逃がし孔140を設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第一実施例であるクリップによる取付構造において、第1の座面部材に樹脂製のクリップ本体を取付けたクリップ構造体を被取付部材に取付けた状態を表した部分断面図である。
【図2】本発明の第一実施例であるクリップによる取付構造において、第2の座面部材に樹脂製のクリップ本体を取付けたクリップ構造体を被取付部材に取付けた状態を表した部分断面図である。
【図3】本発明の第一実施例である取付構造に係る第1の座面部材および第2の座面部材の外観斜視図である。
【図4】本発明の第一実施例である取付構造において、第1の座面部材に樹脂製のクリップ本体を取付けたクリップ構造体の被取付部材の取付孔への挿入が終了する直前の状態を表した部分断面図である。
【図5】本発明の第一実施例である取付構造において、第2の座面部材に樹脂製のクリップ本体を取付けたクリップ構造体の被取付部材の取付孔への挿入が終了する直前の状態を表した部分断面図である。
【図6】本発明の第一実施例である取付構造において、第1の座面部材に樹脂製のクリップ本体を取付けたクリップ構造体の被取付部材の取付孔からの抜去が終了する直前の状態を表した部分断面図である。
【図7】本発明の第一実施例である取付構造において、第2の座面部材に樹脂製のクリップ本体を取付けたクリップ構造体の被取付部材の取付孔からの抜去が終了する直前の状態を表した部分断面図である。
【図8】本発明の第一実施例である取付構造において、第1の座面部材および第2の座面部材の厚みを対比した図である。
【図9】本発明の第一実施例である取付構造で、第1の座面部材を使用した場合と第2の座面部材を使用した場合の保持荷重を比較測定した結果を示す図である。
【図10】本発明の第一実施例の変形実施例に使用するクリップ本体の図である。
【図11】第二実施例で使用するクリップ本体の外観斜視図である。
【図12】第二実施例で使用する第1の座面部材の外観斜視図である。
【図13】第二実施例で使用する第2の座面部材の外観斜視図である。
【図14】第二実施例で第1の座面部材にクリップ本体を取付けたクリップ構造体を被取付部材に取付けた状態の部分断面図である。
【図15】第二実施例で第2の座面部材にクリップ本体を取付けたクリップ構造体を被取付部材に取付けた状態の部分断面図である。
【図16】第二実施例で第1の座面部材にクリップ本体を取付けたクリップ構造体を被取付部材から抜去する途中の部分断面図である。
【図17】第二実施例で第2の座面部材にクリップ本体を取付けたクリップ構造体を被取付部材から抜去する途中の部分断面図である。
【図18】第三実施例で使用するクリップ本体の外観斜視図である。
【図19】第三実施例で使用する座面部材の外観斜視図である。
【図20】第三実施例で座面部材に第1の座面部材の役割を持たせる向きにクリップ本体を取付けたクリップ構造体を被取付部材に取付けた状態の部分断面図である。
【図21】第三実施例で座面部材に第2の座面部材の役割を持たせる向きにクリップ本体を取付けたクリップ構造体を被取付部材に取付けた状態の部分断面図である。
【図22】(A)は図20のA−A位置におけるクリップ構造体の断面図であり、(B)は図21のB−B位置におけるクリップ構造体の断面図である。
【図23】第三実施例で座面部材に第1の座面部材の役割を持たせる向きにクリップ本体を取付けたクリップ構造体を被取付部材から抜去する途中の部分断面図である。
【図24】第三実施例で座面部材に第2の座面部材の役割を持たせる向きにクリップ本体を取付けたクリップ構造体を被取付部材から抜去する途中の部分断面図である。
【図25】(A)は図23のC−C位置におけるクリップ構造体の断面図であり、(B)は図24のD−D位置におけるクリップ構造体の断面図である。
【図26】従来技術による取付構造を表した図である。
【符号の説明】
【0052】
10 クリップ本体
10a クリップ本体
11 クリップ構造体
12 座面係合部片
13 係合突部
14 取付係止片
15 係止片基部
16 係止肩
17 ストレート部
18 脚片
19 挟持面
22 座面部材
24 係合孔
25 案内溝
26 リブ
27 第1の座面部材
28 第2の座面部材
30 被取付部材
32 取付孔
34 表面側
36 裏面側
110、110A クリップ本体
112A、112B、112C、112D クリップ構造体
114 座面係合部片
116 係合突部
120 取付係止片
122 係止片基部
124 係り斜面
125 係止肩
126 ストレート面
127 脚足
128 脚片
129 突起部
130 取付部材
132、132A 座面部材
133 第1の座面部材
134 第2の座面部材
135 補強部材
136 係合孔
138 案内溝
140 逃がし孔
150 被取付部材
152 取付孔
154 表面側
156 裏面側


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材に装着される取付部材に突設状態で配設される座面部材に樹脂製のクリップ本体を取付けたクリップ構造体を、被取付部材に形成された取付孔に該被取付部材の挿入方向表面側から裏面側に向けて挿入して、取付部材を被取付部材に着脱可能に取付けるクリップによる取付構造であって、
前記樹脂製のクリップ本体は、内側に形成される、前記座面部材を挟持する一対の座面係合部片と、外側に形成される、前記被取付部材の取付孔に係止する係止肩を外方に突起形成し、拡開方向に弾発力を付与された一対の取付係止片とを有し、前記一対の座面係合部片には前記座面部材との間に該両者間の相対的抜き方向の作用力に対して該両者を抜き方向に一体化する一体化手段が設けられており、前記一対の取付係止片には挿入方向後方に向けて脚片が延設形成されており、該延設形成された脚片の挿入方向後端は前記座面係合部片の挿入方向後端より後方位置となる構成に形成されており、
前記座面部材は前記クリップ構造体を被取付部材から抜去する際に前記クリップ本体の脚片と該座面部材との当接状態に差異を生じさせることのできる構成とされた第1の座面部材と第2の座面部材の複数種類あり、該当接状態の差異により該第1の座面部材と第2の座面部材とでは前記クリップ構造体を被取付部材から抜去する際の該クリップ本体に生じる抗力が異ならされており、
前記クリップ本体を該第1の座面部材あるいは第2の座面部材を選択して取付けることにより、取付部材の被取付部材に対する取付け状態の保持荷重を異ならせることができることを特徴とするクリップによる取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のクリップによる取付け構造であって、
前記座面係合部片と前記座面部材との間の該両者を抜き方向に一体化する一体化手段は、前記座面部材に形成された係合孔と、該係合孔に係合する前記座面係合部片に設けられた係合突部であることを特徴とするクリップによる取付構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のクリップによる取付構造であって、
前記座面部材は前記クリップ本体の座面係合部片に挟持される部分の厚みは同じであるがそれ以降の挿入方向後方位置の厚みが異なる第1の座面部材と第2の座面部材とを備え、該挿入方向後方位置の厚みが、前記クリップ構造体を前記取付孔に挿入して取付けた状態で、第1の座面部材が前記取付係止片の脚片が当該第1の座面部材に当接しない厚みとされるときは、第2の座面部材は前記取付係止片の脚片が当該第2の座面部材に当接する厚みとされており、第1の座面部材が前記取付係止片の脚片が当該第1の座面部材に当接する厚みとされるときは、第2の座面部材は前記取付係止片の脚片が当該第2の座面部材に対し前記第1の座面部材に当接するよりもより強く当接する厚みとされていることを特徴とするクリップによる取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載のクリップによる取付け構造であって、
前記第1の座面部材の前記クリップ本体の座面係合部片に挟持される部分の厚みとそれ以降の挿入方向後方位置の厚みとが同じ厚みとされていることを特徴とするクリップによる取付構造。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のクリップによる取付け構造であって、
前記第2の座面部材の挿入方向後方位置の厚みはリブ形状又は面形状により形成されていることを特徴とするクリップによる取付構造。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のクリップによる取付構造であって、
前記座面部材は前記クリップ本体の座面係合部片に挟持される部分より以降の挿入方向後方位置に逃がし孔が形成された第1の座面部材と当該位置に逃がし孔が形成されていない第2の座面部材とを備え、
前記クリップ構造体を被取付部材から抜去する際に、第1の座面部材では前記クリップ本体の脚片が第1の座面部材の逃がし孔に収まり、第2の座面部材では前記クリップ本体の脚片が第2の座面部材の外表面に当接することを特徴とするクリップによる取付構造。
【請求項7】
請求項6に記載のクリップによる取付構造であって、
前記逃がし孔は貫通孔であり、前記クリップ本体の一対の脚片の内側に突起部が形成されており、前記クリップ構造体を被取付部材から抜去する際に、第1の座面部材では前記クリップ本体の脚片の突起部が第1の座面部材の逃がし孔に収まり、第2の座面部材では前記クリップ本体の脚片の突起部が第2の座面部材の外表面に当接することを特徴とするクリップによる取付構造。
【請求項8】
請求項1に記載のクリップによる取付構造であって、
前記座面部材には前記クリップ本体の座面係合部片に挟持される部分より以降の挿入方向後方位置の片側に座面部材を貫通する逃がし孔が形成され、該クリップ本体の一対の脚片の内側には拡開方向と直交する方向の片側に突起部が形成されており、
該座面部材は、クリップ本体を脚片の突起部が該座面部材の逃がし孔の位置に対応する向きで取付けることができる第1の座面部材と、クリップ本体を反転させ脚片の突起部が該座面部材の逃がし孔の位置に対応しない向きで取付けることができる第2の座面部材の役割を兼ねており、
該クリップ構造体を該被取付部材から抜去する際に、第1の座面部材として使用する場合にはクリップ本体の脚片の突起部が座面部材の逃がし孔に収まり、第2の座面部材として使用する場合にはクリップ本体の脚片の突起部が座面部材の外表面に当接することを特徴とするクリップによる取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−291993(P2008−291993A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103370(P2008−103370)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(308011351)大和化成工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】