説明

クリップ

【課題】取付作業性を損なうことなく、取付部品の離脱時の移動を確実に規制する。
【解決手段】ストッパ片19は、クリップ1の挿入先端側に設けられ、挿通可能形状へ弾性変形して係合穴4を挿通する。係合穴4を挿通して離脱阻止形状に復元したストッパ片19は、係合穴4の周縁部の内面側への当接によって反挿入方向への移動が阻止される。係止片16は、挿入基端側に設けられ、係合穴4への挿入時に弾性変形して係合穴4へ進入し、係合穴4の周縁部と係合して相手パネル3に保持される。連結片18は、ストッパ片19と係止片16とを連結し、ストッパ片19が係合穴4を挿通し且つ係止片16が係合穴に進入していない状態で、取付部品2と相手パネル3との間に間隙を形成する。操作片20は、ストッパ片19から挿入基端側へ延び、押圧されることによってストッパ片19を離脱阻止形状から挿通可能形状へ弾性変形させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付部品を相手パネルに取り付けるためのクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平8−121441号公報には、U字状を呈する本体の両側壁に、外方に突出してパネルの取付孔に係合する弾性係合片と、内方に突出して取付部品のボス部に食い込む逆止爪片とを形成した金属製のクリップが記載されている。本体の両側壁の上端部側は、パネルの取付孔の内周面に圧接する圧接部として機能し、各圧接部に、取付部品のボス部に食い込む逆止爪片が一体に形成されている。取付部品の固定状態では、本体の両側壁の各圧接部がパネルの取付孔の内周面に圧接し、逆止爪片がボス部の側面に強固に食い込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−121441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開平8−121441号公報に記載されたクリップを使用して取付部品を車室内に取り付けた場合、車両衝突時などにおいて取付部品に離脱方向への荷重が作用すると、取付部品が、パネルの取付孔から離脱して飛び出し、車室内の乗員に当たってしまう可能性がある。
【0005】
また、上記不都合は、パネルの取付孔に対する弾性係合片の係合力を高めることによってある程度回避することができるが、確実に回避することはできず、且つ弾性係合片の係合力を高めると、取付部品の取付作業性が損なわれてしまう。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであって、取付作業性を損なうことなく、取付部品の離脱時の移動を確実に規制することが可能なクリップの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は、取付部品を相手パネルに取り付けるために、取付部品に固定されて相手パネルの係合穴に挿入されるクリップであって、ストッパ部と係止部と連結部と操作部とを備える。
【0008】
ストッパ部は、クリップの挿入先端側に設けられ、係合穴への挿入時に挿通可能形状へ弾性変形して係合穴を挿通し、係合穴を挿通した状態で離脱阻止形状へ復元する。離脱阻止形状のストッパ部は、係合穴の周縁部の内面側への当接によって反挿入方向への移動が阻止される。
【0009】
係止部は、ストッパ部よりも挿入基端側に設けられ、ストッパ部が挿通した係合穴への挿入時に弾性変形して係合穴へ進入する。係合穴へ進入した状態の係止部は、係合穴の周縁部と係合して相手パネルに保持される。
【0010】
連結部は、ストッパ部と係止部とを連結する。連結部は、ストッパ部が係合穴を挿通し且つ係止部が係合穴に進入していない状態で、取付部品と相手パネルとの間に間隙を形成する。
【0011】
操作部は、ストッパ部から挿入基端側へ延び、押圧されることによってストッパ部を離脱阻止形状から挿通可能形状へ弾性変形させる。
【0012】
上記構成では、取付部品を相手パネルに取り付ける場合、ストッパ部を挿入先端側から係合穴へ挿入する。ストッパ部は、係合穴への挿入時に挿通可能形状へ弾性変形して係合穴を挿通し、係合穴を挿通した状態で離脱阻止形状へ復元する。次に、係止部を挿入先端側から係合穴へ挿入する。係合穴へ進入した係止部は、自身のバネ反力によって係合穴の周縁部と係合して、相手パネルに保持される。
【0013】
また、車両衝突時などにおいて取付部品に離脱方向への荷重が作用し、係止部と係合穴の周縁部と係合が解除され、取付部品が相手パネルの係合穴から離脱したときは、離脱阻止形状のストッパ部が係合穴の周縁部の内面側へ当接してクリップの反挿入方向(離脱方向)への移動を阻止するので、取付部品の離脱方向への移動がストッパ部によって確実に規制される。従って、上記クリップを使用して取付部品を車室内に取り付けた場合であっても、車両衝突時などにおいて取付部品が離脱して車室内の乗員に当たることを確実に防止することができる。
【0014】
さらに、取付部品を相手パネルから取り外す場合には、係止部の係合力に抗してクリップ(取付部品)を反挿入方向へ移動し、係合部を係合穴から引き抜き、係合部とストッパ部との間に係合穴を位置させる。この状態で、連結部が取付部品と相手パネルとの間に間隙を形成するので、この間隙から棒状の冶具等を挿入し、挿入した冶具等によって操作部を押圧してストッパ部を離脱阻止形状から挿通可能形状へ弾性変形させ、この状態でクリップ(取付部品)を反挿入方向へさらに移動し、ストッパ部を係合穴へ進入させて係合穴から引き抜く。
【0015】
このように、上記クリップによれば、取付作業性を損なうことなく、取付部品の離脱時の移動を確実に規制することができる。
【0016】
また、上記クリップは、係止部とストッパ部と連結部と操作部とを有するクリップ本体と、板形状の固定スプリングとを備え、取付部品の板状取付部に着脱自在に固定されてもよい。板状取付部は、突片挿入孔を有する。
【0017】
クリップ本体は、金属板を曲折することによって形成され、一対の取付片と一対の係止片と一対の支持片とを一体的に有する。一対の取付片は、全体として挿入先端側で屈曲するV状を呈し、その内側に板状取付部が挿入される。一対の係止片は、取付片の基端側の両側の端部からそれぞれ外側へ曲折し挿入先端側へ反転して延びる。係止片は、その中間が外側へ突出するように略L状に屈曲し、係止部として機能する。一対の取付片の一方は、突片挿入孔の上方で内側へ突出する突片を有する。一対の支持片は、各係止片の挿入基端側の端部から外側へ突出する。固定スプリングは、クリップ本体が挿入される挿入孔を有する。
【0018】
取付片の内側に板状取付部を挿入した状態で、クリップ本体を固定スプリングの挿入孔に挿入すると、ストッパ部が弾性変形して挿入孔を挿通して初期状態に復元した後、一対の係止片が挿入孔へ進入する。この進入時には、係止片の挿入先端側の傾斜部が挿入孔の周縁に押圧されて係止片が内側へ弾性変形し、挿入孔が係止片の挿入先端側の傾斜部を越えて係止片の挿入基端側の傾斜部と支持片との間に達した状態で、固定スプリングの挿入孔の周縁部が係止片のバネ反力によって挿入基端側の傾斜部と支持片との間に保持される。また、係止片の内側への弾性変形により、取付片が全体としてV状からU状へ変形して板状取付部を両面側から挟持するとともに、突片が、内側へ移動し、突片挿入孔へ進入する。これにより、クリップ本体が板状取付部に固定される。なお、固定スプリングを反挿入方向へ移動させてクリップ本体から取り外すことにより、取付片がV状に復元し、クリップ本体を板状取付部から取り外すことが可能となる。
【0019】
取付部品を相手パネルに取り付ける場合は、ストッパ部を挿入先端側から係合穴へ挿入する。ストッパ部は、係合穴への挿入時に挿通可能形状へ弾性変形して係合穴を挿通し、係合穴を挿通した状態で離脱阻止形状へ復元する。次に、係止片を挿入先端側から係合穴へ挿入する。係合穴へ進入した係止片は、その挿入先端側の傾斜部が係合穴の周縁に押圧されて内側へ弾性変形し、係合穴が係止片の挿入先端側の傾斜部を越えて係止片の挿入基端側の傾斜部と固定スプリングとの間に達した状態で、係合穴の周縁部が係止片のバネ反力と固定スプリングのバネ反力とによって挿入基端側の傾斜部と固定スプリングとの間に保持される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、取付作業性を損なうことなく、取付部品の離脱時の移動を確実に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態のクリップを使用して取付部品を相手パネルに取り付けた状態を示す断面図である。
【図2】本実施形態のクリップ本体を示す斜視図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】相手パネルを示す斜視図である。
【図5】固定スプリングを示す斜視図である。
【図6】取付部品に固定されたクリップを相手パネルに取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図7】係止片と相手パネルとの係合が解除され、且つストッパ片によって相手パネルからの離脱が阻止されたクリップの状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は本実施形態のクリップを使用して取付部品を相手パネルに取り付けた状態を示す断面図、図2は図1のクリップ本体を示す斜視図、図3は図2の断面図、図4は相手パネルを示す斜視図、図5は固定スプリングを示す斜視図、図6は取付部品に固定されたクリップを相手パネルに取り付ける前の状態を示す斜視図、図7は係止片と相手パネルとの係合が解除され、且つストッパ片によって相手パネルからの離脱が阻止されたクリップの状態を示す断面図である。なお、図中の矢印50は、相手パネルに対するクリップの挿入方向を示す。
【0023】
図1〜図7に示すように、本実施形態のクリップ1は、車室の前面に配置されるクラスタなどの取付部品2を車両本体側の相手パネル3に取り付けるために、取付部品2に固定されて相手パネル3の係合穴4に挿入されるものであり、クリップ本体5と固定スプリング6とを備える。
【0024】
図4に示すように、取付部品2の部品本体7の裏面には、クリップ1を介して相手パネル3に取り付けられるパネル連結部8が突出形成されている。パネル連結部8は、部品本体7から相対向して突出する一対の外側板部9と、外側板部9の中間部同士を連結する板状取付部10とを含む。パネル連結部8は、全体としてH状の断面を有し、板状取付部10の中間部分には、板状取付部10を貫通する突片挿入孔11が形成されている。クリップ1は、板状取付部10に着脱自在に固定される。
【0025】
図1及び図6に示すように、相手パネル3は、クリップ取付部12を有し、クリップ取付部12には、クリップ1が挿入される係合穴4が形成されている。係合穴4は、取付部品2のパネル連結部8に対応した矩形状であり、係合穴4の周縁部は、図6中上下方向に離間して対向する一対のクリップ装着部13と、図6中左右方向に離間して対向する他の一対の移動阻止部14とを含む。クリップ1が固定された取付部品2の板状取付部10は、相手パネル3の係合穴4に挿入されることによって、クリップ1を介して相手パネル3に取り付けられる。移動阻止部14は、パネル連結部8の外側板部9と対向して、取付部品2の横方向(図6中の左右後方)の移動を規制する。
【0026】
図1〜図3に示すように、クリップ本体5は、所定形状に打ち抜かれた金属板を曲折することによって形成され、一対の取付片15と一対の係止片(係止部)16と一対の支持片17と連結片(連結部)18と一対のストッパ片(ストッパ部)19と操作片(操作部)20とを一体的に有する。
【0027】
一対の取付片15は、全体として挿入先端側で屈曲するV状を呈し、その内側に取付部品2の板状取付部10が挿入される。一対の取付片の一方(図中上方)には、板状取付部10の突片挿入孔11の上方で内側へ突出する突片21が形成され、一対の取付片15の他方(図中下方)には、突片挿入孔11に対応する突片挿通孔22が形成されている。
【0028】
一対の係止片16は、取付片15の基端側の両側の端部からそれぞれ外側へ曲折し挿入先端側へ反転して延びる。各係止片16は、その中間が外側へ突出するように略L状に屈曲する。一対の係止片16は、ストッパ片19よりも挿入基端側に設けられ、挿入先端側から係合穴4に挿入されることによって、弾性変形して係合穴4へ進入する。係合穴4へ進入した係止部は、後述するように、係合穴4の周縁のクリップ装着部13と係合して相手パネル3に保持される。
【0029】
一対の支持片17は、各係止片16の挿入基端側の端部から曲折して外側(板状取付部10から離間する方向)へ突出する。
【0030】
連結片18は、一対の係止片16の一方(図中下方)の挿入先端側の端部から挿入先端側へ延び、その先端部からストッパ片19が曲折形成されている。連結片18は、ストッパ片19が係合穴4を挿通し且つ係止片16が係合穴4に進入していない状態(図7に示す状態)で、取付部品2と相手パネル3との間に間隙を形成する。
【0031】
一対のストッパ片19は、クリップ本体5の最も挿入先端側に配置され、全体として挿入先端側で屈曲するV状を呈する。一対のストッパ片19のうち一方(図中下方)は、外側に突出する突部23を介して連結片18の端部に連続する。また、一対のストッパ片19のうち他方(図中上方)は、その挿入基端側の端部が内側へ鋭角に曲折することにより形成される段部24を有し、この段部24の先端から挿入基端側へ操作片20が一体的に延びる。操作片20は、内側へ押圧されることによってストッパ片19を後述する離脱阻止形状から挿通可能形状へ弾性変形させる。なお、連結片18には、変形された操作片20と連結片18との干渉を回避するための孔部25が形成されている。
【0032】
ストッパ片19を係合穴4へ挿入すると、ストッパ片19の傾斜部分が係合穴4の周縁のクリップ装着部13に接触しながら移動し、このクリップ装着部13によってストッパ片19が押圧されて挿通可能形状へ弾性変形して係合穴4を挿通する。係合穴4を挿通したストッパ片19は、離脱阻止形状へ復元する。離脱阻止形状のストッパ片19は、クリップ装着部13の内面側への当接によって反挿入方向への移動が阻止される。
【0033】
図5に示すように、固定スプリング6は、金属板を所定形状に打ち抜くことによって形成された矩形板形状であり、その中央部分にクリップ本体5が挿入される挿入孔30を有する。挿入孔30は、取付部品2のパネル連結部8に対応した矩形状であり、挿入孔30の周縁部は、図中上下方向に離間して対向する一対のクリップ本体係合部31と、図中左右方向に離間して対向する他の一対の移動規制部32とを含む。この移動規制部32は、パネル連結部8の外側板部9と対向して、固定スプリング6の横方向(図4中の左右後方)の移動を規制する。
【0034】
図1〜図3に示すストッパ片19を、固定スプリング6の挿入孔30へ挿入すると、ストッパ片19の傾斜部分が挿入孔30の周縁のクリップ本体係合部31に接触しながら移動し、このクリップ本体係合部31によってストッパ片19が押圧されて内側へ弾性変形して挿入孔30を挿通する。
【0035】
また、取付片15の間に取付部品2の板状取付部10を挿入した状態で、クリップ本体5を固定スプリング6の挿入孔30に挿入すると、上述のようにストッパ片19が弾性変形して挿入孔30を挿通した後、一対の係止片16が挿入孔30へ進入する。この進入時には、係止片16の挿入先端側の傾斜部16aが挿入孔30の周縁のクリップ本体係合部31に接触しながら移動し、このクリップ本体係合部31によって係止片16が押圧されて内側へ弾性変形し、クリップ本体係合部31が係止片16の挿入先端側の傾斜部16aを越えて挿入基端側の傾斜部16bと支持片17との間に達する。挿入基端側の傾斜部16bと支持片17との間に達したクリップ本体係合部31は、係止片16のバネ反力によって挿入基端側の傾斜部16bと支持片17との間に保持される。また、係止片16の内側への弾性変形により、取付片15が全体としてV状からU状へ変形して板状取付部10を両面側から挟持するとともに、突片21が、内側へ移動して突片挿入孔11を挿通し、反対側の突片挿通孔22へ進入する。これにより、クリップ本体5が板状取付部10に固定される。なお、固定スプリング6を反挿入方向へ移動させてクリップ本体5から取り外すことにより、取付片15がV状に復元し、クリップ本体5を板状取付部10から取り外すことが可能となる。
【0036】
固定スプリング6によって板状取付部10に固定された状態のクリップ本体5では、一対の係止片16のL状の屈曲部間が最も離間し、その距離は、係合穴4のパネル装着部間の距離及び挿入孔30のクリップ本体係合部31間の距離よりも大きく設定されている。また、一対のストッパ片19の挿入基端側の距離も、係合穴4のパネル装着部間の距離及び挿入孔30のクリップ本体係合部31間の距離よりも大きく設定されている。
【0037】
取付部品2を相手パネル3に取り付ける場合は、上述のように固定スプリング6によってクリップ本体5を取付部品2に固定した後、クリップ本体5のストッパ片19を挿入先端側から係合穴4へ挿入する。ストッパ片19は、係合穴4への挿入時に挿通可能形状へ弾性変形して係合穴4を挿通し、係合穴4を挿通した状態で離脱阻止形状へ復元する。次に、係止片16を挿入先端側から係合穴4へ挿入する。係合穴4へ進入した係止片16は、その挿入先端側の傾斜部が係合穴4の周縁のクリップ装着部13に押圧されて内側へ弾性変形し、クリップ装着部13が係止片16の挿入先端側の傾斜部を越えて係止片16の挿入基端側の傾斜部と固定スプリング6との間に達した状態で、クリップ装着部13が係止片16のバネ反力と固定スプリング6のバネ反力とによって挿入基端側の傾斜部と固定スプリング6との間に保持される。
【0038】
また、車両衝突時などにおいて取付部品2に離脱方向への荷重が作用し、係止片16とクリップ装着部13と係合が解除され、取付部品2が相手パネル3の係合穴4から離脱したときは、離脱阻止形状のストッパ片19(段部24)がクリップ装着部13の内面側へ当接してクリップの反挿入方向(離脱方向)への移動を阻止するので、取付部品2の離脱方向への移動がストッパ片19によって確実に規制される。従って、上記クリップ1を使用して取付部品2を車室内に取り付けた場合であっても、車両衝突時などにおいて取付部品2が離脱して車室内の乗員に当たることを確実に防止することができる。
【0039】
さらに、取付部品2を相手パネル3から取り外す場合には、係止片16の係合力に抗してクリップ1(取付部品2)を反挿入方向へ移動し、係合片を係合穴4から引き抜き、係合片とストッパ片19との間に係合穴4を位置させる。この状態で、連結片18が取付部品2と相手パネル3との間に間隙を形成するので、この間隙から棒状の冶具33(図7に示す)等を挿入し、挿入した冶具33等によって操作片20を押圧してストッパ片19を離脱阻止形状から挿通可能形状へ弾性変形させ、この状態でクリップ1(取付部品2)を反挿入方向へさらに移動し、ストッパ片19を係合穴4へ進入させて係合穴4から引き抜く。
【0040】
このように、上記クリップ1によれば、取付作業性を損なうことなく、取付部品2の離脱時の移動を確実に規制することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、固定スプリング6によってクリップ本体5を取付部品2に着脱自在に固定する構造について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、板状取付部10に食い込む逆止爪片をクリップ本体5に設け、この逆止爪片によってクリップ本体5を取付部品2に固定したり、クリップ本体5をボルトによって取付部品2に締結固定するなど、他の様々な構造に本発明を適用することができる。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、取付部品を相手パネルに取り付けるために、取付部品に固定されて相手パネルの係合穴に挿入されるクリップに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 クリップ
2 取付部品
3 相手パネル
4 係合穴
5 クリップ本体
6 固定スプリング
10 板状取付部
11 突片挿入孔
15 取付片
16 係止片(係止部)
17 支持片
18 連結片(連結部)
19 ストッパ片
20 操作片
21 突片
30 挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部品を相手パネルに取り付けるために、前記取付部品に固定されて前記相手パネルの係合穴に挿入されるクリップであって、
挿入先端側に設けられ、前記係合穴への挿入時に挿通可能形状へ弾性変形して前記係合穴を挿通し、前記係合穴を挿通した状態で離脱阻止形状へ復元し、この離脱阻止形状において、前記係合穴の周縁部の内面側への当接によって反挿入方向への移動が阻止されるストッパ部と、
前記ストッパ部よりも挿入基端側に設けられ、前記ストッパ部が挿通した前記係合穴への挿入時に弾性変形して前記係合穴へ進入し、前記係合穴へ進入した状態で、前記係合穴の周縁部と係合して前記相手パネルに保持される係止部と、
前記ストッパ部と前記係止部とを連結し、前記ストッパ部が前記係合穴を挿通し且つ前記係止部が前記係合穴に進入していない状態で、前記取付部品と前記相手パネルとの間に間隙を形成する連結部と、
前記ストッパ部から挿入基端側へ延び、押圧されることによって前記ストッパ部を前記離脱阻止形状から前記挿通可能形状へ弾性変形させる操作部と、
を備えたことを特徴とするクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−133093(P2011−133093A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295363(P2009−295363)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】