説明

クリップ

【課題】クリップに関し、クリップの構造が簡便で、しかも製造も容易であり、比較的、安価なクリップを提供することができるようにしたものである。
【解決手段】計4個の板状体60,70には、相対向する一対の板状体(例えば第1板状体60)にそれぞれ位置し、被取付部材20に係合する2個の係止部61、当該一対の板状体(例えば第1板状体60)の先端の計2個の自由端部のうち、いずれか少なくとも1個の自由端部に位置し、係止部61を脚部40の中空状の内方に撓ませて、被取付部材20との係合を解除させるための少なくとも1個の解除部62、計4個の板状体60,70の先端の計4個の自由端部のうち、いずれか少なくとも1個の自由端部(例えば第2板状体70の自由端部)に位置し、取付部材30と被取付部材20とのいずれか一方(例えば取付部材30)に接し、頭部50を構成するフランジ部71を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クリップに関し、クリップの構造が簡便で、しかも製造も容易であり、比較的、安価なクリップを提供することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線基板をシャーシに取り付けるためのクリップ型のスペーサが知られている(特許文献1の段落番号「0036」、「0037」及び図6参照)。
上記したスペーサは、可撓性を有する樹脂製の本体と、導電性を有する金属製の導電部材とからなる(特許文献1の段落番号「0037」及び図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-64906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来のスペーサは、樹脂製の本体と、金属製の導電部材とからなるので、構造が複雑であり、又、両者の組み立てを要するため、コスト高となるという問題点があった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
【0005】
すなわち、請求項1に記載の発明は、相対向する一対の板状体を二組使用し、これらを折り返し状に配置することで、クリップを構成しているため、クリップの構造が簡便で、しかも製造も容易であり、比較的、安価なクリップを提供することができるようにしたものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0006】
すなわち、請求項2に記載の発明は、二個の部材を重合した状態に挟み持つことができるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0007】
すなわち、請求項3に記載の発明は、金属製とすることで、樹脂製のものと比較し、耐候性、耐クリープ性、耐熱性、耐薬品性等に優れ、又、導電性を生かし、電磁波障害対策にも使用可能なクリップを提供することができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項4に記載の発明は、フランジ部より上方に解除部を位置させることで、解除部を摘み易くでき、クリップの取り外しを容易に行うことができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項5に記載の発明は、フランジ部が設けられた板状体と異なる板状体に解除部を設けていることで、フランジ部と解除部とを相互に独立させることができ、それぞれの特性に適合した形状の設計ができるようにしたものである。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0010】
すなわち、請求項6に記載の発明は、二組のうち、一方の一組の相対向する一対の板状体に解除部をそれぞれ設け、当該一方の一組の板状体を、他方の一組の板状体の間にはまり込ませることで、解除部が設けられた一方の一組の板状体を撓み易く、且つ他方の一組の板状体の剛性を向上することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0012】
第1に、例えば図1及び図7〜9に示すように、取付部材(30)を被取付部材(20)に取り付けるためのクリップ(10)である。
第2に、クリップ(10)は、例えば図1〜9に示すように、被取付部材(20)に設けられた開口(21)に挿入される撓み性を有する脚部(40)と、開口(21)より大きな頭部(50)とからなる。
【0013】
第3に、脚部(40)は、例えば図1〜6に示すように、先端が連結され、頭部(50)に向かって折り返された相対向する一対の板状体(60,70)が二組からなる中空状である。
第4に、計4個の板状体(60,70)には、例えば図1〜6に示すように、次の構成を設けている。
(1)係止部(61)
係止部(61)は、例えば図1、図2、図4〜6及び図8に示すように、2個あり、相対向する一対の板状体(例えば第1板状体60)にそれぞれ位置し、被取付部材(20)に係合するものである。
【0014】
(2)解除部(62)
解除部(62)は、例えば図1〜6及び図9に示すように、少なくとも1個あり、当該一対の板状体(例えば第1板状体60)の先端の計2個の自由端部のうち、いずれか少なくとも1個の自由端部に位置し、係止部(61)を脚部(40)の中空状の内方に撓ませて、被取付部材(20)との係合を解除させるためのものである。
【0015】
なお、解除部(62)を、計2個形成したが、これに限定されず、1個だけ形成しても良い。
(3)フランジ部(71)
フランジ部(71)は、例えば図1〜5及び図7に示すように、計4個の板状体(60,70)の先端の計4個の自由端部のうち、いずれか少なくとも1個の自由端部(例えば第2板状体70の自由端部)に位置し、取付部材(30)と被取付部材(20)とのいずれか一方(例えば取付部材30)に接し、頭部(50)を構成するものである。
【0016】
なお、フランジ部(71)を、計2個形成したが、これに限定されず、1個だけ形成しても良い。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、取付部材(30)は、例えば図1及び図7〜9に示すように、被取付部材(20)に重合され、開口(21)に連通する貫通孔(31)を有し、取付部材(30)を被取付部材(20)とを重合した状態で、互いに連通した開口(21)と貫通孔(31)とに脚部(40)を一連に挿入し、頭部(50)を構成するフランジ部(71)と係止部(61)との間で、取付部材(30)と被取付部材(20)とを挟み持つ。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0018】
第1に、クリップ(10)を金属製とする。
第2に、フランジ部(71)には、例えば図1及び図7に示すように、取付部材(30)ないしは被取付部材(20)に当接する突起部(72)を設けている。
なお、突起部(72)を、取付部材(30)に当接させたが、これに限定されず、被取付部材(20)に当接させても良い。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0019】
すなわち、解除部(62)は、例えば図1及び図7に示すように、フランジ部(71)より上方に位置している。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、解除部(62)は、例えば図1〜6に示すように、フランジ部(71)が設けられた板状体(例えば第2板状体70)と異なる板状体(例えば第1板状体60)に設けている。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0021】
第1に、解除部(62)は、例えば図1〜6に示すように、二組のうち、一方の一組の相対向する一対の板状体(例えば第1板状体60)にそれぞれ設けられている。
第2に、一方の一組の板状体(例えば第1板状体60)は、例えば図1〜6に示すように、他方の一組の板状体(例えば第2板状体70)の間にはまり込んでいる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、相対向する一対の板状体を二組使用し、これらを折り返し状に配置することで、クリップを構成しているため、クリップの構造が簡便で、しかも製造も容易であり、比較的、安価なクリップを提供することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0023】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、二個の部材を重合した状態に挟み持つことができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0024】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、金属製とすることで、樹脂製のものと比較し、耐候性、耐クリープ性、耐熱性、耐薬品性等に優れ、又、導電性を生かし、電磁波障害対策にも使用可能なクリップを提供することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0025】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、フランジ部より上方に解除部を位置させることで、解除部を摘み易くでき、クリップの取り外しを容易に行うことができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0026】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、フランジ部が設けられた板状体と異なる板状体に解除部を設けていることで、フランジ部と解除部とを相互に独立させることができ、それぞれの特性に適合した形状の設計ができる。
(請求項6)
請求項6に記載の発明によれば、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0027】
すなわち、請求項6に記載の発明によれば、二組のうち、一方の一組の相対向する一対の板状体に解除部をそれぞれ設け、当該一方の一組の板状体を、他方の一組の板状体の間にはまり込ませることで、解除部が設けられた一方の一組の板状体を撓み易く、且つ他方の一組の板状体の剛性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】クリップ、取付部材、被取付部材の斜視図である。
【図2】クリップの正面図である。
【図3】クリップの平面図である。
【図4】クリップの側面図である。
【図5】クリップの底面図である。
【図6】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図7】クリップの取付状態を示す断面図である。
【図8】一部を切断した斜視図である。
【図9】図8に対応し、取り外し時の斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態を示し、同図はクリップ、取付部材、被取付部材の斜視図である。
【図11】図10に対応し、クリップの取付状態を示す断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態を示し、同図はクリップ及びプリント基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(クリップ10)
図1〜9中、10は、クリップであり、図1及び図7〜9に示すように、例えばTV等のプリント基板である取付部材30を、シャーシーである被取付部材20に取り付けるためのものである。
被取付部材20には、図1に示すように、表裏面に貫通し、略方形に形成された開口21を設けている。
【0030】
取付部材30は、図1及び図7〜9に示すように、被取付部材20に重合され、開口21に連通する貫通孔31を設けている。貫通孔31は、取付部材30の表裏面に貫通し、開口21と同形の略方形に形成されている。
なお、被取付部材20の開口21と、取付部材30の貫通孔31とを、同形の略方形に形成したが、これに限定されず、円形や方形以外の多角形に形成したり、或いは開口21と貫通孔31との形状を異ならせても良い。
【0031】
クリップ10は、金属製であり、バネ性を有し、樹脂製のものと比較し、耐候性、耐クリープ性、耐熱性、耐薬品性等に優れ、又、導電性を生かし、電磁波障害対策にも使用可能である。
クリップ10は、大別すると、図1〜7に示すように、次の各部からなる。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
【0032】
(1)脚部40
(2)頭部50
なお、クリップ10の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(脚部40)
脚部40は、図1〜9に示すように、被取付部材20に設けられた開口21に挿入される撓み性を有するものである。
【0033】
脚部40は、先端が連結され、頭部50に向かって折り返された相対向する一対の板状体60,70が二組からなる中空状である。
二組の板状体60,70は、第1板状体60と、第2板状体70とから構成されている。
すなわち、脚部40には、略方形の底部41を有する。第1板状体60及び第2板状体70は、図示しないが、展開状体において、底部41の四辺から四方に向かって略プラス形に延びている。
【0034】
第1板状体60と、第2板状体70とは、底部41の四辺から上方に向かって断面L字形に折り曲げている。
底部41、第1板状体60、第2板状体70で囲まれた内部には、上面が開放した中空部42を形成している。
第1板状体60の横幅を、第2板状体70の横幅より狭く形成し、幅広の第2板状体70の対向間隔内に、幅狭の第1板状体60がはまり込むように位置させている。このため、幅狭の第1板状体60は、中空部42内に向かって互いに接近する方向に撓むことができる。これに対し、幅広の第2板状体70の間隔内には、幅狭の第1板状体60が位置することから、幅広の第2板状体70は、第1板状体60に当接することで、互いに接近する方向に撓むことができない。
【0035】
脚部40には、大別すると、図1〜7に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については後述する。
(1)係止部61
(2)解除部62
なお、脚部40の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(頭部50)
頭部50は、図1〜9に示すように、開口21より大きなものである。
【0036】
頭部50には、大別すると、図1〜7に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については後述する。
(1)フランジ部71
(2)突起部72
なお、頭部50の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(係止部61)
係止部61は、図1、図2、図4〜6及び図8に示すように、2個あり、相対向する一対の板状体、例えば第1板状体60にそれぞれ位置し、被取付部材20に係合するものである。
【0037】
係止部61は、第1板状体60の高さの途中であって、第1板状体60の幅方向両側にそれぞれ位置し、三角形状に突出する。係止部61は、下側の斜面を緩やかに傾斜させて、上方の斜面を急傾斜させている。
なお、係止部61を、第1板状体60の幅方向両側に一対形成したが、これに限定されず、幅方向の片側だけに形成しても良い。
(解除部62)
解除部62は、図1〜6及び図9に示すように、少なくとも1個あり、当該一対の板状体、例えば第1板状体60の先端の計2個の自由端部のうち、いずれか少なくとも1個の自由端部に位置し、係止部61を脚部40の中空状の内方に撓ませて、被取付部材20との係合を解除させるためのものである。
【0038】
解除部62は、一対の第1板状体60の先端の計2個の自由端部を、中空部42の開口上面を挟んで上方斜め外向きに略V字形に折り曲げて形成している。
なお、解除部62を、計2個形成したが、これに限定されず、1個だけ形成しても良い。
(フランジ部71)
フランジ部71は、図1〜5及び図7に示すように、計4個の板状体60,70の先端の計4個の自由端部のうち、いずれか少なくとも1個の自由端部、例えば第2板状体70の自由端部に位置し、取付部材30と被取付部材20とのいずれか一方、例えば取付部材30に接し、頭部50を構成するものである。
【0039】
フランジ部71は、一対の第2板状体70の先端の計2個の自由端部を、中空部42の開口上面を挟んで、外向きに略L字形ないしは全体としてT字形に折り曲げて形成している。
なお、フランジ部71を、計2個形成したが、これに限定されず、1個だけ形成しても良い。
フランジ部71は、平面から見ると、幅方向の中央から先細状の台形形に形成され、中空部42の中心に対し点対称に形成されている。
(突起部72)
突起部72は、図1、図2、図4、図5及び図7に示すように、フランジ部71に位置し、取付部材30ないしは被取付部材20、例えば取付部材30に当接するものである。
【0040】
なお、突起部72を、取付部材30に当接させたが、これに限定されず、被取付部材20に当接させても良い。
突起部72は、フランジ部71の先端部に1個形成され、下方に向かって円筒形ないしは円錐台形形の筒状に突出する。
なお、突起部72を。2個のフランジ部71に計2個形成したが、これに限定されず、片側のフランジ部71だけに1個形成したり、或いは2個以上形成しても良い。また、突起部72を、円筒形ないしは円錐台形形の筒状に形成したが、これに限定されず、角筒形、半球形に形成しても良い。
(クリップ10の使用方法)
つぎに、上記した構成を備えるクリップ10の使用して、取付部材30を被取付部材20に取り付ける方法にいて説明する。
【0041】
まず、図1、図7及び図8に示すように、被取付部材20と取付部材30とを重ね合わせ、開口21と貫通孔31とを互いに連通させる。
つぎに、クリップ10の脚部40を、貫通孔31に合わせて、開口21に向かって一連に挿入する。
なお、クリップ10の脚部40を、取付部材30の貫通孔31側から挿入したが、これに限定されず、逆に被取付部材20の開口21側から挿入しても良い。
【0042】
脚部40を貫通孔31に挿入すると、その計4個の係止部61が貫通孔31の縁部に当接する。クリップ10を強く挿入すると、係止部61が貫通孔31の縁部に押され、係止部61を有する一対の第1板状体60が、中空部42内に向かって互いに接近する方向に撓むことで、係止部61が引っ込み、脚部40が貫通孔31及び開口21を通過可能となる。
係止部61が開口21を通過すると、金属のバネ復元力により、図7及び図8に示すように、第1板状体60が互いに離隔する方向に復元し、係止部61が被取付部材20の下面に当接する。
【0043】
このため、クリップ10のフランジ部71と係止部61との間で、図7及び図8に示すように、被取付部材20と取付部材30とを重合状態に挟持する。
また、このとき、一対のフランジ部71から突出する計2個の突起部72が、図7に示すように、取付部材30の上面に当接する。このため、突起部72が取付部材30の上面に押されることで、一対のフランジ部71が上方に反るように略V字形に撓み、それらの金属のバネ復元力により、突起部72が取付部材30の上面に弾性的に当接する。
【0044】
したがって、フランジ部71のバネ復元力により、被取付部材20と取付部材30とが弾性的に挟持される。
(取付部材30の取り外し方法)
つぎに、取付部材30を取り外す際には、クリップ10を開口21及び貫通孔31から抜き取れば良い。
【0045】
まず、フランジ部71から上方に突出する一対の解除部62を、図9に示すように、指で摘み、当該状態で脚部40を貫通孔31及び開口21から引き抜けば良い。
解除部62を指で摘むと、図9に示すように、係止部61を有する一対の第1板状体60が、中空部42内に向かって互いに接近する方向に撓むことで、係止部61が引っ込む。当該状態で、脚部40を抜くと、係止部61が貫通孔31及び開口21を通過し、クリップ10が外れる。
【0046】
クリップ10を外すことで、取付部材30を被取付部材20から外すことができる。
外したクリップ10は、再利用することができる。
(図10及び図11の第2の実施の形態)
つぎに、図10及び図11を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の特徴は、被取付部材20と取付部材30,110とを、図7〜9に示すように、重合状態でなく、図11に示すように、クリップ100を使用して、取付部材110を被取付部材20から離隔して取り付けることができるようにした点である。
【0047】
取付部材110には、図10に示すように、表裏面に貫通し、円形に形成され、ネジ120を通す取付孔111を設けている。
クリップ100には、先に図1〜9を用いて説明した第1の実施例と同様に、図10及び図11に示すように、係止部131及び解除部132を有する一対の第1板状体130と、一対の第2板状体140とを形成している。
【0048】
第2板状体140は、先に図1〜9を用いて説明した第1の実施例とものと形状を異にし、図10及び図11に示すように、段状のフランジ部141と、ネジ120がねじ込まれるネジ穴142を有する。
すなわち、フランジ部141は、図10に示すように、第2板状体140の高さの途中に位置し、取付部材30の上面に当接するものであり、段状に張り出している。段状のフランジ部141の下側においては、第2板状体140の横幅を被取付部材20の開口21の開口幅以下とし、フランジ部141の上側においては、第2板状体140の横幅を開口21の開口幅より幅広に形成している。
【0049】
段状のフランジ部141の下方を、被取付部材20の開口21に挿入される撓み性を有する脚部101とし、フランジ部141の上方を開口21より大きな頭部102とする。
ネジ穴142は、一対の第2板状体140の片側に位置し、上下に貫通している。
一対の第2板状体140は、非対称に形成され、片側の第2板状体140の上端の自由端部を延長して蓋部104を形成し、当該蓋部104を底部103と並行に略L字形に折り曲げる。クリップ100の内部には、底部103、一対の第1板状体130、一対の第2板状体140、蓋部104とで囲まれた内部に中空箱形の中空部105を形成している。
【0050】
ネジ穴142は、蓋部104の中央に位置し、当該蓋部104を上下に貫通し、円形に形成されている。
(クリップ100の使用方法)
つぎに、上記した構成を備えるクリップ100を使用して、取付部材110を被取付部材20に取り付ける方法にいて説明する。
【0051】
脚部101を、図11に示すように、被取付部材20の開口21に合わせて挿入して取り付け、頭部102には、取付部材110の取付孔111に通したネジ120をネジ穴142にねじ込むことで取り付ける。
なお、脚部101と頭部102とはいずれを先に取り付けても良い。また、脚部101を、被取付部材20に取り付け、頭部102に取付部材110を取り付けたが、これに限定されず、逆に脚部101に取付部材110を取り付け、頭部102に被取付部材20を取り付けても良い。
(取付部材30の取り外し方法)
つぎに、取付部材30を取り外す際には、図示しないが、脚部101を被取付部材20の開口21から抜き取り、クリップ100ごと取付部材110を取り外しても良いし、或いはネジ120を取り外し、取付部材110を単独で取り外しても良く、このときには、クリップ10が被取付部材20の開口21に取り付いた状態に残る。
【0052】
なお、クリップ100を回収する際には、脚部101を被取付部材20の開口21から抜き取るとともに、ネジ120を取り外せば良く、回収したクリップ100は再利用することができる。
(図12の第3の実施の形態)
つぎに、図12を用いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態の特徴は、フランジ部150の突起部151を、図12に示すように、円筒形のバーリング形状に形成した点である。
【0053】
上記突起部151が当接するプリント基板160は、ベース部161の表面にパターン層162を形成したものであり、パターン層162の表面にフラックス層163を形成している。なお、プリント基板160は、取付部材ないしは被取付部材のいずれかを構成するもである。フラックス層163は、ハンダ付けを促進するために使う有機系の液体の層であり、ハンダの酸化の抑制、ハンダを付ける金属表面の酸化物の除去、ハンダの濡れ性の向上などの役目を果たすものである。
【0054】
プリント基板160をクリップ10を取り付けると、その突起部151がフラックス層163に当接し、そのバーリング形状により、フラックス層163を突き破り、パターン層162に達する。
このため、プリント基板160のパターン層162と、金属製のクリップ10との間の通電性を確保することができる。
【0055】
また、突起部151がパターン層16に当接した状態で、フランジ部150のバネ性により、突起部151がパターン層16に押し付けられ、接点圧力を安定させることができる。
(第4の実施の形態)
つぎに、本発明の第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態の特徴は、先に図1〜9を用いて説明した第1の実施例の金属製のクリップ10を、図示しないが、プリント基板に取り付け、その後、プリント基板の下面を、はんだ槽に浸すことによって、はんだ付けを行った点である。
【0056】
はんだ槽の温度は、260度程度であるため、従来のプラスチック製のクリップを取り付けた状態ではんだ槽に浸すと、プラスチック製のクリップが溶けてしまう。このため、従来は、はんだ槽を通過後に、プラスチック製のクリップを取り付けていた。
これに対し、金属製のクリップ10をプリント基板に取り付けた場合には、金属製のクリップ10を取り付けた状態で、はんだ槽を通過可能である。
【0057】
このため、作業工程の柔軟性を向上し、効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0058】
(第1の実施の形態)
10 クリップ
20 被取付部材 21 開口
30 取付部材 31 貫通孔
40 脚部
41 底部 42 中空部
50 頭部
60 第1板状体
61 係止部 62 解除部
70 第2板状体
71 フランジ部 72 突起部
(第2の実施の形態)
100 クリップ
101 脚部 102 頭部
103 底部 104 蓋部
105 中空部
110 取付部材 111 取付孔
120 ネジ
130 第1板状体
131 係止部 132 解除部
140 第2板状体
141 フランジ部 142 ねじ穴
(第3の実施の形態)
150 フランジ部 151 突起部
160 プリント基板 161 ベース部
162 導電層 163 フラックス層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材を被取付部材に取り付けるためのクリップであって、
前記クリップは、
前記被取付部材に設けられた開口に挿入される撓み性を有する脚部と、
前記開口より大きな頭部とからなり、
前記脚部は、
先端が連結され、前記頭部に向かって折り返された相対向する一対の板状体が二組からなる中空状であって、
前記計4個の板状体には、
相対向する一対の板状体にそれぞれ位置し、被取付部材に係合する2個の係止部と、
当該一対の板状体の先端の計2個の自由端部のうち、いずれか少なくとも1個の自由端部に位置し、前記係止部を前記脚部の中空状の内方に撓ませて、前記被取付部材との係合を解除させるための少なくとも1個の解除部と、
前記計4個の板状体の先端の計4個の自由端部のうち、いずれか少なくとも1個の自由端部に位置し、前記取付部材と前記被取付部材とのいずれか一方に接し、前記頭部を構成するフランジ部とを設けたことを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記取付部材は、
前記被取付部材に重合され、
前記開口に連通する貫通孔を有し、
前記取付部材を前記被取付部材とを重合した状態で、
互いに連通した前記開口と前記貫通孔とに前記脚部を一連に挿入し、
前記頭部を構成する前記フランジ部と前記係止部との間で、前記取付部材と前記被取付部材とを挟み持つことを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記クリップを金属製とし、
前記フランジ部には、
前記取付部材ないしは前記被取付部材に当接する突起部を設けていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
前記解除部は、
前記フランジ部より上方に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリップ。
【請求項5】
前記解除部は、
前記フランジ部が設けられた前記板状体と異なる前記板状体に設けていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリップ。
【請求項6】
前記解除部は、
前記二組のうち、一方の一組の相対向する一対の前記板状体にそれぞれ設けられ、
前記一方の一組の前記板状体は、
他方の一組の前記板状体の間にはまり込んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−247001(P2012−247001A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119151(P2011−119151)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】