説明

クリーニングシステム用の浄化装置

【課題】多くの洗濯物を連続的に洗濯して乾燥させるクリーニングシステムの乾燥装置から排出される排ガスからリントや砂、油等を効果的に除去する。
【解決手段】除塵塔12が、排ガスと排ガスを浄化するための循環水とを接触させることで排ガスに含まれる固形物(リントや砂など)や油分を除去する。なお、除塵塔12内部で排ガスと接触した循環水は循環槽11に回収されて貯留される。また、循環槽11では、貯留する循環水から固形物を分離する。そして、循環ポンプ22が、循環槽11に貯留される循環水を取り出して除塵塔12に供給し、循環水が再利用される。したがって、クリーニングシステム1の乾燥装置3から排出される排ガスからリントや砂、油等の固形物や油分を効果的に除去することができる。しかも、従来のフィルター式除塵器で不可欠だった作業者によるフィルターの清掃作業を必要とせず、当該浄化装置100を効率よく運転させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物を連続的に洗濯して乾燥させるクリーニングシステムから排出される排ガスを浄化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多くのタオルやシーツ、浴衣、まくらカバー、玄関マットなどの洗濯物を連続的に洗濯して乾燥させる業務用洗濯機などのクリーニングシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この種のクリーニングシステムの乾燥装置から洗濯物の乾燥時に排出される排ガス中には、洗濯物から除去されたリントや砂、油などが含まれている。したがって、排ガスからリントや砂、油などを除去した後に、大気中に放出している。なお、排ガスからリントや砂、油などを除去する手法としては、ワイヤーメッシュ等のフィルターによる乾式除塵方式(フィルター式の除塵器)を利用した方法が一般的に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平06−58889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のようなフィルター式の除塵器を用いる乾式除塵方式においては、リントや砂、油などがフィルターの目に詰まるために短時間でフィルターが閉塞する。すると、フィルターの圧力損失が大きくなって乾燥装置に供給される熱風量が減少し、乾燥時間が長くなるなど乾燥工程に大きな影響を及ぼすという問題がある。
【0006】
これを防止するために、作業員が、高温且つ粉塵が蔓延する過酷な作業環境下にある上記フィルター式除塵器の中に定期的に入り、フィルター表面に付着したリントや砂、油などを除去しているのが現状である。
【0007】
また、乾燥装置から排出される排ガスからは、リントや砂、油などによる熱交換器のフィルター目詰まりの問題から全く熱回収が行われず、平均60〜70℃という高温の状態で排ガスとして大気に放出される。従って、クリーニングシステムの乾燥装置から排出される排ガスは、除塵のみを行っただけで大気中に放出されるのが現状である。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、多くのタオルやシーツや浴衣、まくらカバー、玄関マットなどの洗濯物を連続的に洗濯して乾燥させるクリーニングシステムの乾燥装置から排出される排ガスからリントや砂、油等を効果的に除去することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るクリーニングシステム用の浄化装置は、洗濯物を洗濯する洗濯装置と、前記洗濯装置によって洗濯された洗濯物を乾燥させる乾燥装置と、を備えるクリーニングシステムに用いられ、前記乾燥装置が洗濯物を乾燥させる際に排気される排ガスを浄化させるクリーニングシステム用の浄化装置であって、前記排ガスと前記排ガスを浄化するための液体とを接触させることで前記排ガスに含まれる固形物または油分を除去する除塵塔と、前記除塵塔内部で前記排ガスと接触した液体を回収して貯留するとともに、貯留する液体から固形物を分離可能な循環槽と、前記循環槽に貯留される液体を取り出して前記除塵塔に供給する循環ポンプと、を備えることを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明のクリーニングシステム用の浄化装置によれば、除塵塔が、排ガスと排ガスを浄化するための液体とを接触させることで排ガスに含まれる固形物または油分を除去する。なお、除塵塔内部で排ガスと接触した液体は循環槽に回収させて貯留され、循環槽では、貯留する液体から固形物を分離する。そして、循環ポンプが、循環槽に貯留される液体を取り出して除塵塔に供給し、液体が再利用される。
【0011】
したがって、クリーニングシステムの乾燥装置から排出される排ガスからリントや砂、油等の固形物や油分を効果的に除去することができる。しかも、従来のフィルター式除塵器で不可欠だった作業者によるフィルターの清掃作業を必要とせず、当該浄化装置を効率よく運転させることができる。
【0012】
また、請求項2に係るクリーニングシステム用の浄化装置は、固形物を貯留可能な第1固形槽と、前記循環槽にて液体から分離された固形物を前記第1固形槽に搬送するコンベアーと、を備えることを特徴とする。
【0013】
このように構成すれば、作業者が循環槽から固形物を除去する必要がなく、当該浄化装置をさらに効率よく運転させることができる。
【0014】
また、請求項3に係るクリーニングシステム用の浄化装置は、前記除塵塔内で前記排ガスと接触した液体から固形物および油分を分離可能な沈降槽を備え、前記循環ポンプは、前記循環槽から取り出した液体の一部を前記沈降槽経由で前記除塵塔に供給することを特徴とする。
【0015】
このように構成すれば、液体からの固形物および油分の回収効率をさらに高めることができる。
【0016】
また、請求項4に係るクリーニングシステム用の浄化装置は、油分を貯留可能な油槽と、固形物を貯留可能な第2固形槽とを備え、前記沈降槽は、前記除塵塔内で前記排ガスと接触した液体の上層部に油分を分離するとともに前記液体の下層部に固形物を分離し、前記液体の上層部に分離された油分をオーバーフローさせて前記油槽に貯留させるとともに、前記液体の下層部に分離された固形物を前記第2固形槽に貯留させることを特徴とする。
【0017】
このように構成すれば、作業者が沈降槽から油分や固形物を除去する必要がなく、当該浄化装置をさらに効率よく運転させることができる。
【0018】
また、請求項5に係るクリーニングシステム用の浄化装置は、前記除塵塔内で前記排ガスから熱を回収する第1熱交換器を備えることを特徴とする。
【0019】
このように構成すれば、排ガスから回収した熱を、クリーニングシステムの洗濯装置や乾燥装置などに供給することで熱の有効利用を図ることができる。
【0020】
また、請求項6に係るクリーニングシステム用の浄化装置は、前記除塵塔内で前記排ガスと接触した液体から熱を回収する第2熱交換器を備えることを特徴とする。
【0021】
このように構成すれば、排ガスからの熱の回収効率を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態のクリーニングシステムの概略構成図
【図2】実施形態のクリーニングシステム用の浄化装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
【0024】
[1.クリーニングシステム1の構成の説明]
図1に示すように、クリーニングシステム1は、洗濯物を洗濯する洗濯装置2、洗濯装置2で洗濯された洗濯物を乾燥させる乾燥装置3などを備え、投入された衣類などを連続的に洗濯した後に乾燥させる機能を有する。
【0025】
なお、洗濯装置2および乾燥装置3については公知技術に従っているのでここではその詳細な説明は省略する。また、クリーニングシステム1のその他の構成については公知技術に従っているのでここではその詳細な説明は省略する。
【0026】
また、本発明が適用される本実施形態の浄化装置100は、クリーニングシステム1の乾燥装置3が洗濯物を乾燥させる際に排気する、60〜70℃という高温であり且つリントや砂、油などが含まれる排ガスを大気中に放出する前に浄化するとともに、この排ガスから熱交換によって熱を回収してクリーニングシステム1の洗濯装置2や乾燥装置3に供給する機能を有する。
【0027】
[2.クリーニングシステム1用の浄化装置100の構成の説明]
図2に示すように、クリーニングシステム1に用いられる浄化装置100は、循環槽11と、除塵塔12と、第1熱交換器13と、第2熱交換器14と、沈降槽15と、第1固形槽16と、第2固形槽17と、油槽18と、空気ファン20と、コンベアー21と、循環ポンプ22と、を備える。
【0028】
[2.1.循環槽11の構成の説明]
循環槽11は、クリーニングシステム1の乾燥装置3から排気される排ガスを洗浄するための循環水を貯留可能な槽である。
【0029】
また、循環槽11は、浄化装置100の除塵効果を向上させるために、除塵塔12に導入される前の排ガスから除塵する機能を有する。すなわち、循環槽11は、循環水を槽内部に噴射するためのノズル11aと、排ガスを槽内部に噴射するためのノズル11bと、を備えている。そして、循環槽11には、循環ポンプ22が循環槽11から吸引した循環水が再び導入されており、導入された循環水がノズル11aから循環槽11内部に噴射される。さらに、循環槽11には、クリーニングシステムの乾燥装置から排気される排ガスが導入されており、導入された排ガスがノズル11bから循環槽11内部に、除塵効果を増すために渦巻状に液面に向けて噴射される。
【0030】
そして、ノズル11aから噴射された循環水とノズル11bから噴射された排ガスとが循環槽11内部で接触し、排ガスに含まれるリントや砂、油などが循環水に回収される。
【0031】
このとき、リントや砂、油などの大半が循環水に回収された後の排ガスは、循環槽11の上部に連通する除塵塔12内部に導入される。具体的には、排ガスは上昇して除塵塔12内部に入っていく。
【0032】
さらに、リントや砂、油などを回収した循環水は循環槽11内部に貯留する。なお、貯留される循環水の温度は、循環槽11内部で60〜70℃という高温の排ガスと接触したこと、および第2熱交換器14で熱交換されて温度低下した後に除塵塔12内に噴射された循環水も流入することによって、排ガスよりも5〜10℃低い温度となり、通常は50〜60℃になる。このとき、リントや砂などの固形物は循環槽11に沈降する。
【0033】
また、循環槽11で固形物が分離された循環水は、循環ポンプ22で吸引されて再利用される。具体的には、循環ポンプ22で吸引された循環水の一部が循環槽11のノズル11aから循環槽11内部に噴射されて排ガスからリントや砂、油などを回収するのに再利用されるとともに、循環水の残りが沈降槽15および第2熱交換器14経由で除塵塔12に供給されて除塵塔12内部に噴射され、排ガスからリントや砂、油などを回収するのに再利用される。
【0034】
[2.2.除塵塔12の構成の説明]
除塵塔12は、円筒または角形の形状に形成され、その下部が循環槽11の上部に連通するとともに、その上部が大気に連通するよう構成されている。
【0035】
また、除塵塔12は、循環水を塔内部に噴射するためのノズル12aを備えている。そして、除塵塔12には、循環ポンプ22が循環槽11から吸引した循環水が沈降槽15および第2熱交換器14経由で導入されており、導入された循環水がノズル12aから除塵塔12内部に噴射される。さらに、除塵塔12には、互いに連通する循環槽11から排ガスが導入され、除塵塔12内部を上昇する。
【0036】
そして、ノズル12aから噴射された循環水と除塵塔12内部を上昇する排ガスとが除塵塔12内部で接触し、排ガスに含まれるリントや砂、油などが循環水に回収される。さらに、リントや砂、油などが循環水に回収された後の排ガスは、除塵塔12の上部から大気に放出される。なお、リントや砂、油などを回収した循環水は落下して循環槽11に入り、循環槽11内部に回収されて貯留する。
【0037】
[2.3.第1熱交換器13および第2熱交換器14の構成の説明]
第1熱交換器13はフィン・チューブ式の熱交換器であり、除塵塔12の塔頂部に設置されている。この第1熱交換器13には、空気ファン20が送出する冷却用空気が導入されており、この導入された冷却用空気が、第1熱交換器13内部のフィンを通過した後に第2熱交換器14に導かれる。また、除塵塔12内部を上昇する排ガスがチューブに導入される。そして、チューブを通過する排ガスが、フィンを通過する冷却用空気によって冷却されて熱交換が行われる。
【0038】
第2熱交換器14は円筒状に形成され、一方の端部が導管で沈降槽15に接続されるとともに、他方の端部が導管で除塵塔12のノズル12aに接続されている。
【0039】
この第2熱交換器14には、循環ポンプ22が循環槽11から吸引した循環水が沈降槽15経由で導入されており、導入された循環水が第2熱交換器14内部を通過して除塵塔12のノズル12aに導かれている。一方、第2熱交換器14には、空気ファン20が送出した冷却用空気が第1熱交換器13経由で導かれており、導入された冷却用空気が第2熱交換器14内部を通過する。このとき、第2熱交換器14内部を通過する循環水が、第2熱交換器14内部を通過する冷却用空気によって冷却されて熱交換が行われる。そして、冷却用空気によって熱回収された循環水は除塵塔12のノズル12aに導かれる。
【0040】
また、循環水から熱回収を行った冷却用空気はクリーニングシステム1の乾燥装置3に導かれ、乾燥用空気(図2では熱風)として洗濯物の乾燥に利用される。
【0041】
なお、本実施形態では、冷却用空気の温度管理については、次のように行う。すなわち、例えば大気温度(冷却用空気)が25℃である場合には、第1熱交換器13での熱交換によって冷却用空気が35℃まで上昇し、次の第2熱交換器14での熱交換によって冷却用空気が45℃まで上昇するように設定する。
【0042】
また、本実施形態では、上述のように二つの熱交換器(第1熱交換器13および第2熱交換器14)を設置しているが、これは次のような理由による。まず、フィン・チューブ式の第1熱交換器13は、熱交換によって排ガスから熱を回収するとともに、排ガスに同伴するミストを除去する目的で設置される。また、いわゆる液・ガス式の第2熱交換器14は、循環槽11にて排ガスと接触することで熱交換された循環水の熱を、熱交換効率の良い液・ガス式の熱交換によって可能な限り回収する目的で設置される。
【0043】
このように二つの熱交換器13,14を設置することにより、乾燥装置3から排気された排ガスに含まれる熱量の約35%を回収することができる。
【0044】
[2.4.沈降槽15の構成の説明]
沈降槽15は、循環水を貯留可能なラビリンス式の槽である。この沈降槽15には、循環ポンプ22が循環槽11から吸引した循環水が導入されており、その内部で循環水に含まれるリントや砂、油分などを分離する。具体的には、沈降槽15の内部には傾斜板が設置されており、導入された循環水はこの傾斜板に沿って20mm/秒以下の速度にて通過する。このとき、リントや砂などの固形物が循環水の下層部に分離され、油分や浮遊物が循環水の上層部に分離される。
【0045】
そして、循環水の下層部の固形物は沈降槽15内部に沈降する。この沈降した固形物は、沈降槽15の下端部の弁15aを経由して、沈降槽15の下方に設置される第2固形槽17内部に落下して蓄積される。
【0046】
また、循環水の上層部の油分や浮遊物は連続的にオーバーフローし、弁15bの下方に設置される油槽18内部に注入されて蓄積される。さらに、固形物および油分や浮遊物が分離された中間層の循環水は、第2熱交換器14経由で除塵塔12に導かれ、除塵塔12にて再利用される。
【0047】
[2.5.その他の構成の説明]
第1固形槽16は、リントや砂などの固形物を貯留可能な槽であり、循環槽11にて循環水から分離された固形物を貯留するのに利用される。なお、貯留された固形物は、第1固形槽16から定期的に取り出され、産業廃棄物として適切な処理をして処分される。
【0048】
第2固形槽17は、リントや砂などの固形物を貯留可能な槽であり、沈降槽15にて循環水から分離された固形物を貯留するのに利用される。なお、貯留された固形物は、同様に第2固形槽17から定期的に取り出され、適切な処理をして産業廃棄物として処分される。
【0049】
油槽18は、油分を貯留可能な槽であり、沈降槽15にて循環水から分離された油分や浮遊物を貯留するのに利用される。なお、貯留された油分や浮遊物は、油槽18から定期的に取り出され、既存の排水処理設備で処理するか、固形物と同様に適切な処理をして産業廃棄物として処分される。
【0050】
空気ファン20は、大気中の空気を吸引して第1熱交換器13に送り出す。
【0051】
コンベアー21は、循環槽11内に沈降したリントや砂などの固形物を第1固形槽16に搬送する。
【0052】
循環ポンプ22は、循環槽11内部に貯留される循環水を吸引し、吸引した循環水を循環槽11に送り出すとともに、循環水の一部を沈降槽15および第2熱交換器14経由で除塵塔12に送り出す。
【0053】
[3.実施形態の効果]
(1)このように本実施形態のクリーニングシステム1用の浄化装置100によれば、除塵塔12では、排ガスと排ガスを浄化するための循環水とを接触させることで排ガスに含まれる固形物(リントや砂など)や油分を除去する。なお、除塵塔12内部で排ガスと接触した循環水は循環槽11に回収されて貯留され、循環槽11では、貯留する循環水から固形物を分離する。そして、循環ポンプ22が、循環槽11に貯留される循環水を吸引して除塵塔12に供給し、循環水が再利用される。
【0054】
したがって、クリーニングシステム1の乾燥装置3から排出される排ガスからリントや砂、油等の固形物や油分を効果的に除去することができる。しかも、従来のフィルター式除塵器で不可欠だった作業者によるフィルターの清掃作業を必要とせず、当該浄化装置100を効率よく運転させることができる。
【0055】
(2)また、本実施形態のクリーニングシステム1用の浄化装置100によれば、固形物を貯留可能な第1固形槽16と、循環槽11にて循環水から分離された固形物を第1固形槽16に搬送するコンベアー21と、を備えるので、作業者が循環槽11から固形物を除去する必要がなく、当該浄化装置100を効率よく運転させることができる。
【0056】
(3)また、本実施形態のクリーニングシステム1用の浄化装置100によれば、除塵塔12内で排ガスと接触した循環水から固形物および油分を分離可能な沈降槽15を備え、循環ポンプ22が、循環槽11から吸引した循環水の一部を沈降槽15経由で除塵塔12に供給するので、循環水からの固形物および油分の回収効率を更に高めることができる。
【0057】
(4)また、本実施形態のクリーニングシステム1用の浄化装置100によれば、油分を貯留可能な油槽18を備え、沈降槽15が、除塵塔12内部で排ガスと接触した循環水の上層部に油分および浮遊物を分離するとともに循環水の下層部に固形物を分離し、循環水の上層部に分離された油分および浮遊物をオーバーフローさせて油槽18に貯留させるので、作業者が沈降槽15から油分および浮遊物を除去する必要がなく、当該浄化装置100を効率よく運転させることができる。
【0058】
(5)また、本実施形態のクリーニングシステム1用の浄化装置100によれば、除塵塔12内部で排ガスから熱を回収する第1熱交換器13を備えるので、排ガスから回収した熱を、クリーニングシステム1の洗濯装置2や乾燥装置3などに供給することで熱の有効利用を図ることができる。
【0059】
(6)また、本実施形態のクリーニングシステム1用の浄化装置100によれば、除塵塔12内部で排ガスと接触した循環水から熱を回収する第2熱交換器14を備えるので、排ガスからの熱の回収効率を更に高めることができる。
【0060】
[4.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0061】
(1)病院やホテルなどのシーツ等の洗濯物から排出されるリント等であれば、本実施形態の除塵塔12のような数段のスプレーノズルを内部に設置した構造で充分な除塵効果を発揮することができる。この構造であれば、除塵塔12を簡単な構成で安価にできる。また、この構造であれば、循環水に、例えば次亜塩素酸ソーダやオゾンなどの殺菌剤を投入して殺菌することができる。
【0062】
一方、工場や事務所などで使用されるマット等の洗濯物から排出されるリントや砂、油等であれば、本実施形態の除塵塔12のような数段のスプレーノズルを内部に設置した構造よりも高価ではあるが除塵効率に優れ且つ閉塞しにくい、公知の棚段塔や充填塔などの構造を採用するとよい。
【0063】
(2)上記実施形態では、排ガスを冷却する媒体として、空気ファン20が大気から吸入した冷却用空気を利用するが、これには限られず、排ガスを冷却する媒体として、大気中の空気以外の気体を利用してもよい。また、排ガスを冷却する媒体として、水などの液体を用いてもよい。この場合には、空気ファン20の代わりに液体を吸入および送出可能なポンプを用いることとなる。
【0064】
(3)上記実施形態の浄化装置100をクリーニングシステム1の一部として構成してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…クリーニングシステム、2…洗濯装置、3…乾燥装置、11…循環槽、11a,11b,12a…ノズル、12…除塵塔、13…第1熱交換器、14…第2熱交換器、15…沈降槽、15a,15b…弁、16…第1固形槽、17…第2固形槽、18…油槽、20…空気ファン、21…コンベアー、22…循環ポンプ、100…浄化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を洗濯する洗濯装置と、前記洗濯装置によって洗濯された洗濯物を乾燥させる乾燥装置と、を備えるクリーニングシステムに用いられ、前記乾燥装置が洗濯物を乾燥させる際に排気される排ガスを浄化させるクリーニングシステム用の浄化装置であって、
前記排ガスと前記排ガスを浄化するための液体とを接触させることで前記排ガスに含まれる固形物または油分を除去する除塵塔と、
前記除塵塔内部で前記排ガスと接触した液体を回収して貯留するとともに、貯留する液体から固形物を分離可能な循環槽と、
前記循環槽に貯留される液体を取り出して前記除塵塔に供給する循環ポンプと、
を備えることを特徴とするクリーニングシステム用の浄化装置。
【請求項2】
固形物を貯留可能な第1固形槽と、前記循環槽にて液体から分離された固形物を前記第1固形槽に搬送するコンベアーと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のクリーニングシステム用の浄化装置。
【請求項3】
前記除塵塔内で前記排ガスと接触した液体から固形物および油分を分離可能な沈降槽を備え、前記循環ポンプは、前記循環槽から取り出した液体の一部を前記沈降槽経由で前記除塵塔に供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクリーニングシステム用の浄化装置。
【請求項4】
油分を貯留可能な油槽と、固形物を貯留可能な第2固形槽と、を備え、前記沈降槽は、前記除塵塔内で前記排ガスと接触した液体の上層部に油分を分離するとともに前記液体の下層部に固形物を分離し、前記液体の上層部に分離された油分をオーバーフローさせて前記油槽に貯留させるとともに、前記液体の下層部に分離された固形物を前記第2固形槽に貯留させることを特徴とする請求項3に記載のクリーニングシステム用の浄化装置。
【請求項5】
前記除塵塔内で前記排ガスから熱を回収する第1熱交換器を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のクリーニングシステム用の浄化装置。
【請求項6】
前記除塵塔内で前記排ガスと接触した液体から熱を回収する第2熱交換器を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載のクリーニングシステム用の浄化装置。

【図1】
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【図2】
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