説明

クリーニング装置、並びにこれを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】騒音低減機能とクリーニング機能を同時に満たすことが可能なクリーニング装置、並びにこれを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【解決手段】像担持体1に当接して像担持体1上の残留トナーをクリーニングするブレード10を備えるクリーニング装置6において、像担持体1とブレード10との摺擦によって生じる振動を検知する振動検知部12と、ブレード10に振動を与える振動加振部13と、振動検知部12によって検知された振動が予め記憶された振動である場合にその振動に対して逆位相の振動をブレード10に与えるよう振動加振13を制御する制御部14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。詳しくは像担持体とこれをクリーニングするブレード部材との接触によって生じる騒音を低減するクリーニング装置、並びにこれを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、像担持体上の残留トナーを除去する際に、像担持体とクリーニングブレードとの摺擦によってクリーニングブレードに振動が生じ、その振動が加振源となって像担持体を共振させ、高音の騒音を発生させている。また、クリーニングブレードの振動がクリーニングブレードを支持するユニット筐体に伝播して不快な騒音を発生させている。騒音は、共振(発生した振動が物体の固有振動数の整数倍に一致したとき)によって発生する場合が多い。騒音を低減させる手段としては、防音材や吸振材や遮音材を使用する受動的騒音制御が利用されている。しかし、受動的騒音制御は、騒音と対策品の振動周波数が一致すれば騒音低減効果があるが、少しでも周波数がずれてしまうと効果がなくなってしまうので、騒音低減効果としては十分でない。そこで、騒音の波形と逆波形の音を発生させて騒音を打ち消す能動的騒音制御も利用されている。例えば、特許文献1では、像担持体とクリーニングブレードの摺擦によって生じるクリーニングブレードの振動を検知し、この振動に対して逆位相の振動を与える方法が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−338170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の方法では、像担持体とクリーニングブレードとの摺擦によって発生するクリーニングブレードの振動全てに対して逆位相の振動を与えている。そのため、騒音消去という面では効果的であるが、本来のクリーニング機能を満たすために必要な振動も同時に消去することになり、クリーニング機能を満たない場合がある。また、クリーニングブレードに発生する全ての振動に対して対応することは、構成が複雑になり、また正常な振動時でも加振することになり無駄な動作が生じる場合がある。
【0005】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、騒音低減機能とクリーニング機能を同時に満たすことが可能なクリーニング装置、並びにこれを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体に当接して該像担持体上の残留トナーをクリーニングするブレード部材を備えるクリーニング装置において、上記像担持体と上記ブレード部材との摺擦によって生じる振動を検知する振動検知手段と、該ブレード部材に振動を与える振動加振手段と、該振動検知手段によって検知された振動が予め記憶された振動である場合に該振動に対して逆位相の振動を該ブレード部材に与えるよう該振動加振手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1のクリーニング装置において、上記制御手段に予め記憶される振動は、上記ブレード部材単体での固有振動数であることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2のクリーニング装置において、
上記制御手段は、複数の固有振動数からなる多次元データに対して逆位相の振動を上記ブレード部材に与えるよう上記振動加振手段を制御することを特徴とするクリーニング装置。
請求項4の発明は、請求項1、2、又は3のクリーニング装置において、上記振動検知手段及び上記振動加振手段は、上記ブレード部材の長手方向に対し同じ位置に配置されることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項4のクリーニング装置において、上記振動検知手段及び上記振動加振手段は、上記ブレード部材の固有振動モードの腹の位置に配置されることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5のクリーニング装置において、上記振動検知手段を1つ又は複数個備えていることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項6のクリーニング装置において、上記振動検知手段を同一又は異なる平面上に複数個備えていることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6又は7のクリーニング装置において、上記振動検知手段は圧電素子であることを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項1、2、3、4又は5のクリーニング装置において、上記振動加振手段を1つ又は複数個備えていることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項9のクリーニング装置において、上記振動加振手段を同一又は異なる平面上に複数個備えていることを特徴とするものである。
請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、9又は10のクリーニング装置において、上記振動加振手段は、圧電素子であることを特徴とするものである。
請求項12の発明は、請求項1のクリーニング装置において、上記制御手段は、上記振動検知手段によって検知された振動から振動周波数及び振幅量を演算する演算手段と、該演算手段によって得られた振動周波数及び振幅量が予め記憶された値である場合に検知された振動に対して逆位相の振動を加振させるよう上記振動加振手段にフィードバック処理するフィードバック処理手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項13の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体を一様に帯電する帯電手段、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段、該潜像担持体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング手段より選ばれる少なくとも1以上の手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在とされるプロセスカートリッジにおいて、上記クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
請求項14の発明は、請求項13のプロセスカートリッジにおいて、上記現像手段は、現像剤として重合トナーを用いることを特徴とするものである。
請求項15の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備える画像形成装置において、該クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
請求項16の発明は、請求項15の画像形成装置において、上記現像手段は、現像剤として重合トナーを用いることを特徴とするものである。
本発明においては、像担持体とブレード部材の摺擦によりブレード部材が振動するが、制御手段は振動検知手段が異常な振動を検知したとき、すなわち予め記憶されている振動を検知したときに、この振動と逆位相となる振動をブレード部材に加振するよう振動加振手段を可動させる。これにより、ブレード部材の異常な振動が低減され、像担持体とブレード部材の摺擦による騒音が低減される。また、制御手段は、ブレード部材のクリーニング機能に必要な正常な振動に対しては、振動加振手段による逆位相の振動の加振を行わないので、クリーニングブレードのクリーニング機能を損ねることがない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、騒音低減機能とクリーニング機能を同時に満たすことが可能なクリーニング装置、並びにこれを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るクリーニング装置を有する画像形成装置の要部構成を示す概略構成図である。図1に示すように、画像形成装置は、矢印A方向に回転する像担持体1を備え、その周囲に帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、除電手段7が順に配置されている。上記帯電装置2は、像担持体1表面に所定の距離で像担持体1と接触あるいは非接触で配置され、バイアスを印加することによって像担持体1を所定の極性、所定の電位に帯電する。上記露光装置3は、発光素子としてLDあるいはLEDを使用し、帯電装置2によって帯電された像担持体1に画像データに基づいて変調した光を照射して、像担持体1に静電潜像を形成する。現像装置4は、回転自在の現像剤担持体4aとその内部に固定されたマグネットローラとを備えており、現像剤を現像剤担持体4a上に保持させている。本実施形態では現像剤としてトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いた二成分磁気ブラシ現像を用いているが、その他の現像方式としてキャリアを用いない一成分現像方式を用いてもよい。現像剤担持体4aには現像バイアス電源から電圧が印加される。この現像バイアスと像担持体1表面に形成された静電潜像の電位との電位差により、現像領域における静電潜像に帯電したトナーを付着させて現像が行われる。上記転写装置5は、転写時に像担持体1表面に所定の押圧力で接触し、電圧を印加することにより像担持体1と転写手段5との間の転写ニップ部で像担持体1表面のトナー像を転写材8に転写するものである。本実施形態では転写装置5として転写ローラを用いて転写を行っているが、コロトロン、転写ベルト等を用いてもよい。転写装置5より転写材8の搬送方向下流側には、転写材8上のトナー像を定着するための図示しない定着装置が配置されている。上記除電装置7はクリーニング装置6により残留トナーを除去された像担持体1の残留電荷を除電するものである。除電方式としてはLED等を用いた光除電方式がある。
【0009】
次に、本発明の特徴部となるクリーニング装置6について説明する。図2は、クリーニング装置の構成を示す模式図である。上記クリーニング装置6は、図2に示すように、像担持体1上の残留トナーを除去するクリーニングブレード6aと、クリーニングされたトナーを廃トナーとして図示していない廃トナーボトルに搬送するトナー搬送部材6bを備えている。クリーニングブレード6aは、弾性部材からなるブレード10とこれを保持する断面形状L字型のホルダ11から構成され、ホルダ11を介してブレード10がクリーニング装置6の本体に取り付けられる。そして、クリーニング装置6を画像形成装置本体に装着したとき、ブレード10が回転する像担持体1に対して押し当てられることにより、像担持体1から残留トナーが除去される。クリーニングブレード6aにより像担持体1からクリーニングされたトナーは、トナー搬送部材6bによって、廃トナーとして図示していない廃トナーボトルに蓄えられ、サービスマン等により回収、あるいはリサイクルトナーとして現像手段4等に運ばれ現像に使用される。
【0010】
上記構成のクリーニング装置6においては、像担持体1とブレード10とが摺擦することによりブレード10が振動する。そこで、上記クリーニング装置6は、ブレード10に異常な振動が発生したときにその振動を低減させ、像担持体1とブレード10との摺擦による騒音を低減させる。図3は、ブレードの振動とこの振動に対して逆位相となる振動を示す特性図である。図3に示すように、ブレード10で発生する振動に対して、同振幅幅且つ逆位相となる振動を与えた場合には、ブレード10の振動を打ち消し合うことで理論的には0となり、騒音は消去される。
【0011】
本実施形態に係るクリーニング装置6は、ブレード10の振動を検知可能な振動検知手段たる振動検知部12と、ブレード10へ振動を加振可能な振動加振手段たる振動加振用部13と、振動検知部12の検知結果の基づき振動加振用部13を可動させる制御部14とを備えている。
【0012】
上記制御部14には、振動検知部12で検知された振動が電圧データとして入力される。制御部は、この電圧データをA/D変換部15でA/D変換より離散化した後、演算手段たる演算部16でFET処理を行って周波数及び振幅、位相データを算出する。そして、制御部17は、これらデータが予め記憶されているデータであるかを参照する。振動検知部12で検知された振動が予め記憶されているデータである場合には、異常な振動と判断し、フィードバック処理手段たるフィードバック処理部17は、このデータを用いてブレード10の振動が目標となる状態になるように制御アルゴリズムにより逆位相振動をフィードバック処理して振動加振部13を駆動させる。このような一連の動作を異常振動が消去されるまで繰り返し行う。
【0013】
上記振動検知部12及び上記振動加振部13には、圧電素子を用いるとよい。圧電素子は、圧電体に加えられた力を電圧に変換する、或いは逆に電圧を力に変換する特性を有する圧電効果を利用した受動素子の一つである。圧電素子からなる振動検知部12は、外部から与えられた振動を圧電効果により電圧に変換することで、振動を電気的に検出できる。よって、圧電素子からなる振動検知部12は、ブレード10で発生している振動状態を容易に計測することが可能である。なお、振動検知手段としては、圧電素子の他にも加速度センサやレーザを用いた振動検出も可能である。また、圧電素子からなる振動加振部13は、外部から与えられた電圧を圧電効果により力に変換することができる。よって、圧電素子からなる振動加振部13は、ブレード10に所望の振動を容易に加振することが可能である。
【0014】
ここで、クリーニングブレード6aで発生する振動は、単純な振動ではなく、様々な周波数の振動が合成されている。その振動全てに対して逆位相の振動を与えることは構成が複雑になり容易ではなく、異常でない振動の発生時でも不必要に加振することになる無駄な動作が生じてしまう。また、ブレード10の振動全てに対して逆位相の振動を与えると、ブレード10の機能上必要な振動も消去してしまう。そこで、制御部14がブレード10に与える振動は、ブレード10単体での固有振動数に対して逆位相となる振動である。ここで、ブレード10単体での固有振動数とは、ブレード10を像担持体1に当接させる前の状態でのブレード部材10自体の固有振動数のことである。これにより、クリーニング機能を損なわず、騒音の要因となる共振による振動を効率よく低減する。ブレード10がもつ固有振動数は、複数の周波数にて固有振動数を有している。制御部14は、そのなかの一つの固有振動数での振動が検知された場合に、その一つの固有振動数を含む複数の周波数からなる多次元データに対して逆位相となる振動を加振するよう振動加振部13にデータをフィードバックする。また、フィードバック制御アルゴリズムにロバスト性を持たせることにより、個体差、温度等の環境条件に対応した振動低減が可能となる。
【0015】
次に、上記振動検知部12と上記振動加振部13の設置方法について具体的に説明する。図4は、振動検知部と振動加振部を一つずつ備えたクリーニングブレードの構成を示す斜視図である。図4に示すように、クリーニングブレード6aのホルダ11には、ブレード部材10の長手方向に対し振動検知部12と振動加振部13とが同じ位置に備えられている。振動検知部12と振動加振部13とが同じ位置に備えられていないと、振動検知部12と振動加振部13のそれぞれの位置の振動状態が異なるため、逆位相の振動を加振しても、振動の低減効果が得られない場合がある。振動検知部12と振動加振部13とを同じ位置に設置することで、確実に逆位相の振動を加振でき、ブレード10の振動を低減させて騒音を低減することができる。
【0016】
また、クリーニングブレード6aには、振動検知部12と振動加振部13を複数個設置してもよい。ブレード10で発生する振動は単純な曲げ振動(一次)ではなく、ブレード10の長手方向に対して複雑な振動状態を示すことがある。このような場合に振動検知部12が一つしかないとその位置での振動しか検知できない。また、振動加振部13がひとつしかないとその位置でしか振動を加振できず、ブレード10全体での振動を制御できない。そこで、振動検知部12及び振動加振部13を複数個設置することで、ブレード10の長手方向で異なる振動状態を検知することができ、それぞれの位置で振動が低減するように加振することができる。その結果、ブレード10全体の振動を低減することが可能となる。
【0017】
なお、ここで、制御部14に予め記憶される振動は、振動検知部12や振動加振部13が設置される箇所によって異なるものである。例えば振動検知部12及び振動加振部13がブレード10に取り付けられている場合には、制御部14に予め記憶される振動はブレード10の所定の振動を低減するべくブレード10単体での固有振動数となる。本実施形態のように、振動検知部12及び振動加振部13がホルダ11に取り付けられている場合には、制御部14に予め記憶される振動はブレード10の所定の振動を低減するべくブレード10とホルダ11とが一体になった構成での固有振動数となる。振動検知部12及び振動加振部13の設置箇所は、ブレード10でもホルダ11のどちらでもよいが、ブレード10は機能部品であり、ブレード10側に取り付けることによって、本来の機能に影響を与える恐れがあるので、ホルダ11に取り付ける方が好ましい。
【0018】
図5は、振動検知部と振動加振部とを異なる平面上に複数備えたクリーニングブレードの構成を示す斜視図である。上述したように、振動検知部12と振動加振部13とを同一平面上に複数個設置してもよいが、図5に示すように、異なる平面上(X方向とZ方向)に複数個設置してもよい。ブレード10で発生する振動は単純な曲げ振動(一次元)から二次元以上の複雑な動き(振動方向が2方向以上)を示す場合がある。ブレード10が三次元的に複雑な振動状態を示しているとき、振動検知部12が一平面にしか対応していないとその方向での振動しか検知できない。また、振動加振部13も一平面にしか対応していないと、その方向でしか加振できず、ブレード10全体の振動を制御できない場合がある。そこで、振動検知部12及び振動加振部13を異なる平面上にそれぞれ複数個設置する。これにより、ブレード10が二次元以上の複雑な振動状態であっても、振動検知部12は振動を確実に検知することができ、振動加振部13は振動を確実に加振することができ、振動低減のための適切な制御振動を発生させることが可能となる。
【0019】
図6は、ブレードの各種振動モードにおける振動検知部と振動加振部の設置位置を説明する特性図である。上記振動検知部12と振動加振部13は、ブレード10固有の振動モードの腹の位置に設置されている。図6(a)に示すように、ブレード10で発生する振動が単純な曲げ振動(一次)である場合には、振動検知部12及び振動加振部13をブレード10部材の長手方向のどこに設置してもその位置は振動しているため振動を検知でき制御することができる。しかし、図6(b)〜(d)に示すように、ブレード10が複雑な振動状態を示しているときに、振動検知部12及び振動加振部13の設置箇所が図中矢印で示す振動モードの節の位置である場合には、実際は振動しているのに振動を検知できず制御できなくなってしまう。そこで、振動検知部12及び振動加振部13は、振動モードの腹の位置に設置することで、振動検知部12は確実に振動を検知することが可能となり、振動加振部13は振動低減のための適切な制御振動を発生させることが可能となる。
【0020】
ここで、図1、2及び4で示すクリーニング装置を、(株)リコー社製Imagio Neo452改造機に搭載し、騒音の発生の有無を評価した。図7(a)(b)は、騒音低減評価を行った結果を示す特性図である。図7(a)(b)及び表1に示すように、上記構成の振動検知部12、振動加振部13及び制御部14を設置したクリーニング装置6では、振動のレベルが下がり、騒音が発生しなくなったことがわかる。
【表1】

【0021】
次に、上記クリーニング装置6を含むプロセスカートリッジの構成について説明する。図8は、図1に示すクリーニング装置を含むプロセスカートリッジの構成を示す断面図である。本実施形態においては、帯電装置2、現像装置3、クリーニング装置6等の構成要素のうちの少なくとも1つと像担持体1とをプロセスカートリッジ20として一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジ20を後述する画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。このようにクリーニング装置6を含めてカートリッジ化したことにより、メンテナンス性の面で有利になり、上述した部品又は装置に起因した故障が発生した場合、プロセスカートリッジ20を交換するだけで、早期の原状回復が可能になるため、メンテナンスに係る作業時間の短縮化が図れる。また、像担持体1のクリーニング性を良好にすることが可能になり、プロセスカートリッジ20の高寿命化に大きく寄与するようになる。
【0022】
次に、図1に示すクリーニング装置を含むプロセスカートリッジ20を用いたカラーの画像形成装置に適応した実施の形態について説明する。図9は図8に示すプロセスカートリッジを並置したカラー画像形成装置である。プロセスカートリッジ20はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの色ごとに4つ所定の間隔で水平に延在する転写ベルト21に沿って並置されている。転写ベルト21は駆動ローラを含む複数の搬送ローラによって架設されており、各プロセスカートリッジ20に対して転写ベルト21の移動方向下流側に2次転写ローラ22が配置されている。各プロセスカートリッジ20で現像された像担持体1上の現像トナーは転写装置5により転写電圧が印加された転写ベルト21に順次転写される。転写ベルト21上に多重転写されたイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像は、2次転写ローラ22によって転写材8にまとめて転写される。転写材8上の多重トナー像は図示しない定着装置によって定着される。プロセスカートリッジ20はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順で説明したが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で並置してもよい。通常、カラー画像形成装置は複数の画像形成部を有するため装置が大きくなってしまう。また、クリーニング装置6や帯電装置2等の各ユニットが個別で故障したり、寿命による交換時期がきたりした場合は、装置が複雑でユニットの交換に非常に手間がかかっていた。そこで、本実施形態のように、像担持体1、帯電装置2、現像装置4の構成要素をプロセスカートリッジ20として一体に結合して構成することによって、ユーザによる交換も可能な小型で高耐久のカラー画像形成装置を提供することができる。
【0023】
次に、本発明の画像形成装置(現像装置4)に好適に使用されるトナーについて説明する。600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0024】
また、トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図10は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した模式図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100π/4)・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0025】
また、本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られる重合トナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0026】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0027】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0028】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0029】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0030】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等が挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)等が挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0031】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満であったりする場合では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0032】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法等により製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0033】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)およびエーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0034】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0035】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0036】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0037】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0038】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0039】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0040】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタル等が発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0041】
次に、重合トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0042】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等の有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0043】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分
散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0044】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
【0045】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
【0046】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0047】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸等の酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の含窒素化合物、またはその複素環を有するもの等のホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類等が使用できる。
【0048】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0049】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等が挙げられる。
【0050】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する等の方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解等の操作によっても除去できる。
【0051】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0052】
また、本発明の画像形成装置(現像装置4)に好適に使用されるトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。図11は、トナーの形状を模式的に示す模式図である。図11において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、使用されるトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図11(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図11(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【0053】
以上、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、制御部14は振動検知部12が異常な振動を検知したとき、すなわち予め記憶されている振動を検知したときに、この振動と逆位相となる振動をブレード10に加振するよう振動加振部13を可動させる。これにより、ブレード10の異常な振動が低減され、像担持体1とブレード10の摺擦による騒音が低減される。また、制御部14は、ブレード10のクリーニング機能に必要な正常な振動に対しては、振動加振部13による逆位相の振動の加振を行わないので、ブレード10のクリーニング機能を損ねることがない。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、制御部14は、振動検知部12がブレード10単体での固有振動数を検知した時に異常振動と判断し、振動加振部13によってこの固有振動数をもつ振動に対して逆位相の振動を加振させる。逆位相を与える周波数を固有振動数に限定することで、共振による振動を効率よく低減させることができる。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、制御部14は、複数の固有振動数からなる多次元データに対して逆位相の振動をブレード10に与えるよう振動加振部13を制御する。ブレード10は、複数の周波数にて固有振動数をもっているため、これに対応した多次元データに対して逆位相の振動を与えることにより、共振による振動を効率よく低減させることができる。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、振動検知部12及び振動加振部13がブレード10の長手方向に対して同じ位置に設置されるので、確実に逆位相の振動を加振することができる。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、振動検知部12及び振動加振部13が、ブレード10の固有振動モードの腹の位置に設置されるので、確実に振動を検知することが可能となり、振動低減のための振動を確実に加振することが可能となる。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、振動検知部12が複数設置されるので、複雑な振動が発生した場合でもこれを確実に検知できる。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、振動検知部12が異なる平面上に設置されるので、振動方向が2方向以上となるような複雑な振動が発生した場合でもこれを確実に検知できる。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、振動検知部12に圧電素子を用いているので、ブレード10の振動を容易に確実に検知することができる。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、振動加振部13が複数設置されるので、複雑な振動が発生した場合でも、確実に加振して振動を低減できる。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、振動加振部13が異なる平面上に設置されるので、振動方向が2方向以上となるような複雑な振動が発生した場合でも、確実に加振して振動を低減できる。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、振動加振部13に圧電素子を用いているので、ブレード10を容易に確実に加振させることができる。
また、本実施形態に係るクリーニング装置6によれば、制御部14は演算部16とフィードバック制御部17を備えているため、振動検知部12の検知結果に基づいて適切な逆位相振動を生成して振動加振部13を可動させることができ、ブレード10の振動を低減することができる。
また、本実施形態に係るプロセスカートリッジ20及び画像形成装置によれば、上記構成のクリーニング装置6を備えているため、像担持体1のクリーニング性を良好にすることが可能になり、高寿命化に大きく寄与する。
また、本実施形態に係るプロセスカートリッジ20及び画像形成装置によれば、重合トナーを用いることにより高画質化を図ることができるとともに、上記構成のクリーニング装置6を備えているため、像担持体1のクリーニング性も良好で異常画像の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態におけるクリーニング装置を有する画像形成装置の要部構成を示す概略構成図。
【図2】同クリーニング装置の講師絵を示す模式図。
【図3】ブレードの振動とこの振動に対して逆位相となる振動を示す特性図。
【図4】同クリーニング装置において、振動検知部と振動加振部を一つずつ備えたクリーニングブレードの構成を示す斜視図。
【図5】同クリーニング装置において、振動検知部と振動加振部を二つずつ備えたクリーニングブレードの構成を示す斜視図。
【図6】ブレードの各種振動モードにおける振動検知部と振動加振部の設置位置を説明する特性図。
【図7】(a)は振動検知部、振動加振部を設置しないで騒音低減評価を行った結果を示す特性図、(b)は振動検知部、振動加振部を設置して騒音低減評価を行った結果を示す特性図。
【図8】同クリーニング装置を備えたプロセスカートリッジの構成を示す概略構成図。
【図9】同クリーニング装置を備えたカラー画像形成装置の構成を示す概略構成図。
【図10】形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した模式図。
【図11】トナーの形状を模式的に示す模式図。
【符号の説明】
【0055】
1 像担持体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
6a クリーニングブレード
7 除電装置
10 ブレード
11 ホルダ
12 振動検知部
13 振動加振部
14 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に当接して該像担持体上の残留トナーをクリーニングするブレード部材を備えるクリーニング装置において、
上記像担持体と上記ブレード部材との摺擦によって生じる振動を検知する振動検知手段と、該ブレード部材に振動を与える振動加振手段と、該振動検知手段によって検知された振動が予め記憶された振動である場合に該振動に対して逆位相の振動を該ブレード部材に与えるよう該振動加振手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1のクリーニング装置において、
上記制御手段に予め記憶される振動は、上記ブレード部材単体での固有振動数であることを特等とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項2のクリーニング装置において、
上記制御手段は、複数の固有振動数からなる多次元データに対して逆位相の振動を上記ブレード部材に与えるよう上記振動加振手段を制御することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3のクリーニング装置において、
上記振動検知手段及び上記振動加振手段は、上記ブレード部材の長手方向に対し同じ位置に配置されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項4のクリーニング装置において、
上記振動検知手段及び上記振動加振手段は、上記ブレード部材の固有振動モードの腹の位置に配置されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5のクリーニング装置において、
上記振動検知手段を1つ又は複数個備えていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
請求項6のクリーニング装置において、
上記振動検知手段を同一又は異なる平面上に複数個備えていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6又は7のクリーニング装置において、
上記振動検知手段は圧電素子であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4又は5のクリーニング装置において、
上記振動加振手段を1つ又は複数個備えていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項10】
請求項9のクリーニング装置において、
上記振動加振手段を同一又は異なる平面上に複数個備えていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、9又は10のクリーニング装置において、
上記振動加振手段は、圧電素子であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項12】
請求項1のクリーニング装置において、
上記制御手段は、上記振動検知手段によって検知された振動から振動周波数及び振幅量を演算する演算手段と、該演算手段によって得られた振動周波数及び振幅量が予め記憶された値である場合に検知された振動に対して逆位相の振動を加振させるよう上記振動加振手段にフィードバック処理するフィードバック処理手段とを備えていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項13】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体を一様に帯電する帯電手段、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段、該潜像担持体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング手段より選ばれる少なくとも1以上の手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在とされるプロセスカートリッジにおいて、
上記クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のクリーニング装置を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
請求項13のプロセスカートリッジにおいて、
上記現像手段は、現像剤として重合トナーを用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項15】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備える画像形成装置において、
該クリーニング手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項15の画像形成装置において、
上記現像手段は、現像剤として重合トナーを用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−151900(P2010−151900A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327213(P2008−327213)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】