説明

クリーニング装置、及び画像形成装置

【課題】トナーの飛散を充分に抑制したクリーニング装置を提供することを目的とする。
【解決手段】像担持体132の表面と接触して、残留トナー及び用紙由来の異物を除去する除去ローラー201と、除去ローラー201の表面と接触して、トナー及び異物を回収する回収ローラー202と、回収ローラー202の表面と接触して、トナー及び異物を回収ローラー202から分離するブレード204と、分離されたトナー及び異物を排出する排出部205と、除去ローラー201と排出部205との間に配設し、一方の端部を回収ローラー202の表面と接触させるシート203とを備え、シート203の、少なくとも回収ローラー202と接触する領域が、回収ローラー202の回転によって、回収ローラー202とシート203との間をトナー及び異物が通過できるような、多数の微細な凹部と凸部とを有する粗面化領域であるクリーニング装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリ、及びこれらの複合機等の電子写真方式を利用した画像形成装置は、感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を均一に帯電させる帯電装置と、帯電された感光体ドラムの表面を露光することによって、前記感光体ドラムの表面に静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像が形成された感光体ドラムの表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、前記感光体ドラム上のトナー像を、直接、又は中間転写ベルト等を介して、用紙等へ転写する転写装置と、転写されたトナー像を加熱及び加圧することによって用紙等に定着させる定着装置等を備える。
【0003】
また、感光体ドラムや中間転写ベルト等の像担持体上のトナー像を用紙等に転写した後、前記像担持体上に残留したトナー、いわゆる残留トナーを除去するクリーニング装置を備えている。そうすることによって、転写されずに像担持体上に残留したトナーによって、形成される画像の画質低下を抑制することができる。
【0004】
このようなクリーニング装置としては、例えば、特許文献1に記載のクリーニング装置が挙げられる。
【0005】
特許文献1には、回転する像保持体の表面に先端が接触するブレードと、このブレードが取付けられた筐体と、この筐体の前記ブレードよりも現像剤の移動方向上流側かつ重力方向上方に設けられ、現像剤が前記筐体の外に飛散するのを防止する現像剤飛散防止部と、前記筐体の前記ブレードよりも現像剤の移動方向上流側かつ重力方向上方に設けられ、前記ブレードの前記筐体内側面と接触し前記ブレードの先端を含む領域に現像剤を溜める現像剤溜まり部とを有するクリーニング装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−145817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によれば、像保持体表面の現像剤除去を良好に行うことができるととともに、スムーズに現像剤を筐体内部へ移動させることができることが開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のクリーニング装置では、ブレードを、像保持体(感光体ドラム)に押し当てる圧力が低い場合は、現像剤であるトナーの除去が不充分になるおそれがある。また、ブレードを、像保持体(感光体ドラム)に押し当てる圧力が高すぎる場合、感光体ドラムを損傷してしまうおそれがある。
【0009】
また、特許文献1に記載のクリーニング装置では、現像剤が前記筐体の外に飛散するのを防止する現像剤飛散防止部が、像保持体に接触して配置されている。
【0010】
しかしながら、現像剤であるトナーの飛散を充分に抑制できない場合があった。
【0011】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0012】
まず、像保持体上には、残留トナーだけではなく、用紙に由来する紙粉等の、用紙由来の異物も存在する。よって、クリーニング装置で除去するのは、残留トナーだけではなく、用紙由来の異物も除去することになる。
【0013】
そして、クリーニング装置で、用紙由来の異物を除去する際、現像剤飛散防止部と像保持体との間に、用紙由来の異物は入り込み、現像剤飛散防止部と像保持体とを離間させることがあると考えられる。よって、像保持体から離間された現像剤飛散防止部は、現像剤であるトナーの飛散を抑制する効果が充分に発揮できないと考えられる。
【0014】
このことにより、現像剤であるトナーの飛散を充分に抑制できない場合があると考えられる。
【0015】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、トナーの飛散を充分に抑制したクリーニング装置を提供することが目的である。また、前記クリーニング装置を備えた画像形成装置を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者等は、感光体ドラムや中間転写ベルト等の像担持体に接触させて、前記像担持体上の残留トナーや用紙由来の異物を除去するものとして、ブレードではなく、ファーブラシ等の除去ローラーを用いることを検討した。
【0017】
除去ローラーを用いたクリーニング装置としては、具体的には、前記除去ローラーの表面と接触して、前記除去ローラーで除去したトナー及び異物を回収する回収ローラーと、前記回収ローラーの表面と接触して、その回収ローラーからトナー及び異物を分離するブレードと、その分離されたトナー及び異物をクリーニング装置外に排出する排出部を備えたものを検討した。このようなクリーニング装置では、ブレードによって分離されたトナーや異物が、排出部だけではなく、除去ローラー側にも戻ってしまうことがあった。そこで、排出部と除去ローラーとの間に、一方の端部が前記回収ローラーに接触した状態のシートが、トナーの飛散を防止するためのシール材として用いることができた。
【0018】
しかしながら、このようなシール材を設けただけでは、トナーの飛散を充分に抑制できない場合があった。このことは、以下のことによると推察した。
【0019】
まず、前記像担持体は、上述したように、残留トナーだけではなく、用紙由来の異物である紙粉も搬送してくる。このような紙粉も、残留トナーと同様、除去ローラーにより像担持体から除去される。その際、残留トナーは、紙粉より帯電されていると考えられる。このことから、回収ローラーに付着する力が、残留トナーより紙粉のほうが弱いと考えられる。よって、前記シール材と前記回収ローラーとの間を、紙粉は、残留トナーより通過しにくいと考えられる。そして、このような紙粉が、前記シール材の、前記回収ローラーの回転方向下流側に徐々に蓄積することになると考えられる。このような蓄積が進むと、紙粉が、前記シール材と前記回収ローラーとの間に入り込むようになり、前記シール材と前記回収ローラーとを離間させてしまうと考えられる。このような回収ローラーから離間したシール材は、シール材としての効果を充分に発揮できず、トナーの飛散を充分に抑制できないことになると考えられる。このように、シール材を単に設けただけでは、トナーの飛散を充分に抑制できない場合があると推察した。
【0020】
そこで、本発明者等は、シール材として用いたシートの、回収ローラーと接触する領域の表面状態に着目し、以下のような本発明に想到するに至った。
【0021】
本発明の一態様に係るクリーニング装置は、像担持体の表面と接触して、前記像担持体上のトナー像が用紙に転写された後に前記像担持体上に残留したトナー及び前記用紙由来の異物を除去する除去ローラーと、前記除去ローラーの表面と接触して、前記除去ローラーで除去したトナー及び異物を回収する回収ローラーと、前記回収ローラーの表面と接触して、前記回収ローラーで回収したトナー及び異物を前記回収ローラーから分離するブレードと、前記回収ローラーから分離されたトナー及び異物を排出する排出部と、前記除去ローラーと前記排出部との間に配設し、一方の端部を前記回収ローラーの表面と接触させるシートとを備え、前記シートの、少なくとも前記回収ローラーと接触する領域が、前記回収ローラーの回転によって、前記回収ローラーと前記シートとの間を前記トナー及び前記異物が通過できるような、多数の微細な凹部と凸部とを有する粗面化領域であることを特徴とするクリーニング装置である。
【0022】
このような構成によれば、トナーの飛散を充分に抑制したクリーニング装置を提供することができる。
【0023】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0024】
本発明の一態様に係るクリーニング装置は、上述したようなシール材を単に設けただけのクリーニング装置とは異なり、トナーの飛散を防止するためのシール材として、上記のようなシートを用いる。具体的には、少なくとも前記回収ローラーと接触する領域が、前記回収ローラーの回転によって、前記回収ローラーと前記シートとの間を前記トナー及び前記異物が通過できるような、多数の微細な凹部と凸部とを有する粗面化領域であるシートを用いる。
【0025】
そうすることによって、前記シール材であるシートと前記回収ローラーとの間を、残留トナーが通過しやすいだけではなく、紙粉等の用紙由来の異物も通過しやすいものである。このことから、前記シートの、前記回収ローラーの回転方向下流側に、紙粉等の異物の蓄積が抑制されると考えられる。よって、前記シートと前記回収ローラーとの間に異物が入り込んで、前記シートと前記回収ローラーとを離間させることを抑制でき、前記シートが、トナーの飛散を抑制するシール材として好適に働くことができると考えられる。
【0026】
このことから、トナーの飛散を充分に抑制することができると考えられる。
【0027】
また、前記クリーニング装置において、前記粗面化領域が、化学エッチング又はブラスト処理によりマット加工を施すことにより形成した微細な凹部と凸部とを備えることが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、トナーの飛散をより抑制することができる。
【0029】
このことは、前記シール材であるシートと前記回収ローラーとの間を、紙粉等の用紙由来の異物がより通過しやすくなることによると考えられる。
【0030】
また、前記クリーニング装置において、前記粗面化領域の表面粗さが、最大高さRyで2〜13μmであることが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、トナーの飛散をより抑制することができる。
【0032】
このことは、前記シール材であるシートと前記回収ローラーとの間を、紙粉等の用紙由来の異物がより通過しやすくなることによると考えられる。
【0033】
また、前記クリーニング装置において、前記粗面化領域の静摩擦係数が、前記シートの、前記粗面化領域以外の領域の静摩擦係数より小さいことが好ましい。
【0034】
このような構成によれば、トナーの飛散をより抑制することができる。
【0035】
このことは、前記シール材であるシートと前記回収ローラーとの間を、紙粉等の用紙由来の異物がより通過しやすくなることによると考えられる。
【0036】
また、前記クリーニング装置において、前記除去ローラーが、ファーブラシであることが好ましい。
【0037】
このような構成によれば、前記像担持体の損傷を抑制しつつ、前記像担持体上の残留トナーや、紙粉等の用紙由来の異物を、前記像担持体上から除去することができる。
【0038】
また、前記クリーニング装置において、前記像担持体が、現像装置によって現像されたトナー像が転写され、転写されたトナー像を用紙に転写する中間転写体であることが好ましい。
【0039】
このような構成によれば、中間転写体上の、前記像担持体上の残留トナーや、紙粉等の用紙由来の異物を好適に除去することができる。
【0040】
また、前記クリーニング装置において、前記像担持体が、その表面上に、現像装置によって現像されたトナー像を形成する感光体であることが好ましい。
【0041】
このような構成によれば、感光体上の、前記像担持体上の残留トナーや、紙粉等の用紙由来の異物を好適に除去することができる。
【0042】
また、本発明の他の一態様に係る画像形成装置が、前記クリーニング装置を備えた画像形成装置である。
【0043】
このような構成によれば、高画質な画像を形成することができる。このことは、まず、残留トナーや、用紙由来の異物が存在することによる、形成される画像の画質低下を抑制することができることによると考えられる。また、クリーニング装置におけるトナー飛散が抑制されるので、そのトナー飛散による、形成される画像の画質低下を抑制することができることによると考えられる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、トナーの飛散を充分に抑制したクリーニング装置を提供することができる。また、前記クリーニング装置を備えた画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るクリーニング装置の構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の画像形成部周辺を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0047】
本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置として、図1に示す画像形成装置10を例に挙げて説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の全体構成を示す概略図である。本発明の実施形態に係る画像形成装置10としては、コンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づき画像形成処理を行うものであって、いわゆるタンデム方式の画像形成装置(カラープリンタ)10を例に挙げて説明する。
【0048】
ここで、画像形成装置として、タンデム方式の画像形成装置を例に挙げて説明するが、電子写真方式を利用した画像形成装置であればよく、タンデム方式の画像形成装置に限定されない。また、画像形成装置の種類としては、カラープリンターを例に挙げて説明するが、例えば、複写機、ファクシミリ装置、及び複合機等であってもよく、カラープリンターに限定されない。
【0049】
この画像形成装置10は、図1に示すように、箱形を呈した装置本体11内に内装された、用紙Pを給紙する給紙部12と、この給紙部12から給紙された用紙Pを搬送しながら、この用紙P上に画像情報に基づくトナー像を形成する画像形成部13と、この画像形成部13で用紙P上に形成された未定着トナー像を用紙Pに定着する定着処理を施す定着部14とが設けられている。さらに、前記装置本体11の上部には、前記定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が形成されている。
【0050】
装置本体11の上面の適所には、用紙Pに対する出力条件等を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、電源キーや出力条件を入力するための各種のキー等が設けられている。
【0051】
また、装置本体11内には、図1に示す画像形成部13より右側位置に、上下方向に延びた用紙搬送路111が形成されている。用紙搬送路111には、適所に搬送ローラー対112が設けられている。そして、用紙搬送路111は、搬送ローラー対112によって、用紙Pを給紙部12から排紙部15まで搬送し、その搬送中の用紙Pが、画像形成部13の転写部や定着部14を通過するように形成されている。
【0052】
前記給紙部12は、給紙トレイ121、ピックアップローラー122、及び給紙ローラー対123を備えている。給紙トレイ121は、装置本体11内における画像形成部13より下方位置に挿脱可能に装着され、複数枚の用紙Pが積層された用紙束P1を貯留する。ピックアップローラー122は、給紙トレイ121の、用紙Pの搬送方向上流側で上方位置、具体的には、図1に示す右上方位置に設けられ、給紙トレイ121に貯留された用紙束P1の最上面の用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラー対123は、ピックアップローラー122によって取り出された用紙Pを用紙搬送路111に送り出す。そうすることによって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
【0053】
また、前記給紙部12は、装置本体11の、図1に示す左側側面に取り付けられる手差しトレイ124、ピックアップローラー125、及び給紙ローラー対126をさらに備えている。手差しトレイ124は、用紙Pを手差し操作で画像形成部13へ向けて供給するためのものである。手差しトレイ124は、装置本体11の側面に収納可能であり、手差しで用紙Pを給紙する際、図1に示すように、装置本体11の側面から引き出されて手差し給紙に供される。ピックアップローラー125は、手差しトレイ124に載置された用紙Pを取り出す。ピックアップローラー125によって取り出された用紙Pは、給紙ローラー対123,126によって用紙搬送路111に送り出す。そうすることによって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
【0054】
前記画像形成部13は、所定の画像処理によって給紙部12から給紙された用紙Pにカラー画像等の画像を形成させるものである。画像形成部13は、複数の画像形成ユニット131と、中間転写ベルト(中間転写体)132と、1次転写ローラー133と、2次転写ローラー133とを備えている。
【0055】
前記画像形成ユニット131としては、本実施形態では、中間転写ベルト132の回転方向上流側から下流側へ(図1に示す左側から右側へ)向けて順次配設された、マゼンタ(M)色の現像剤を用いるマゼンタ用ユニット131M、シアン(C)色の現像剤を用いるシアン用ユニット131C、イエロー(Y)色の現像剤を用いるイエロー用ユニット131Y、及びブラック(K)色の現像剤を用いるブラック用ユニット131Kが備えられている。各ユニット131は、それぞれ像担持体である感光体ドラム135を備え、感光体ドラム135上に画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させ、中間転写ベルト132に1次転写する。
【0056】
前記画像形成ユニット131は、中央位置に像担持体としての感光体ドラム135が矢符(図1では時計回り)方向に回転可能に配置されている。そして、感光体ドラム135の周囲には、前記1次転写ローラー133による転写(1次転写)される位置を、感光体ドラム135の回転方向の最も上流側とした場合に、そこから下流側に向かって順に、除電される位置、帯電される位置、露光される位置、現像される位置となるように、除電装置24、帯電装置21、露光装置22、現像装置23等が各々配置されている。
【0057】
前記感光体ドラム135は、その周面上に、画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させるためのものである。前記帯電装置21は、矢符方向に回転されている感光体ドラム135の周面を帯電させるためのものである。前記露光装置22は、帯電装置21によって周面が帯電された感光体ドラム135の周面に、画像情報に基づくレーザ光を照射し、感光体ドラム135の周面上に画像情報に基づく静電潜像を形成させるためのものである。露光装置22としては、例えば、LEDヘッドユニットやレーザ走査ユニット(LSU)等が挙げられる。前記現像装置23は、感光体ドラム135の周面上に形成された静電潜像をトナー像に現像するためのものである。
【0058】
前記中間転写ベルト132は、複数の画像形成ユニット131によって、その周面(接触面)に画像情報に基づくトナー像が転写(1次転写)されるためのものである。すなわち、中間転写ベルト132は、本実施形態においては、感光体ドラム135と1次転写ローラー133とで狭持され、感光体ドラム135からトナー像が転写される周面を有する像担持体である。
【0059】
また、中間転写ベルト132は、無端状のベルト状回転体であって、その周面側が各感光体ドラム135の周面にそれぞれ当接するように、駆動ローラー136、及び従動ローラー137に架け渡されている。また、中間転写ベルト132は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135と対向する位置に配される各1次転写ローラー133によって各感光体ドラム135に押圧された状態で、駆動ローラー136の回転駆動によって、無端回転するように構成されている。駆動ローラー136は、ステッピングモータ等の駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト132を無端回転させるための駆動力を与える。従動ローラー137は、回転自在に設けられ、駆動ローラー136による中間転写ベルト132の無端回転に伴って従動回転する。
【0060】
また、中間転写ベルト132は、特には限定されないが、具体的には、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂製のシームレスベルトの表面に、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムのコーティング層を設けたものからなるベルト等が挙げられる。好ましい中間転写ベルト132の一例としては、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の下地層の上にCR(クロロプレン)ゴム層を設け、その上にPTFE(ポリ4フッ化エチレン)のコーティング層を形成してなるベルトである。なお、コーティング層には、導電性を付与するためにカーボンブラック等の導電性フィラーが添加される場合もある。
【0061】
1次転写ローラー133は、感光体ドラム135上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト132に1次転写するためのものである。すなわち、1次転写ローラー133は、本実施形態においては、中間転写ベルト132を狭持して感光体ドラム135周面上のトナー像を中間転写ベルト132に1次転写させる転写部である。
【0062】
また、1次転写ローラー133は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135と対向する位置に配置される。1次転写ローラー133は、各画像形成ユニット131の感光体ドラム135に対して、それぞれ設けられる。また、1次転写ローラー133は、上述したように、中間転写ベルト132が感光体ドラム135に押圧された状態になるように、中間転写ベルト132に接触している。また、1次転写ローラー133は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、各1次転写ローラー133に、トナーの帯電極性とは逆極性である1次転写バイアス電圧を印加することによって、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム135とそれに対応する各1次転写ローラー133との間で、中間転写ベルト132に1次転写される。これにより、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、矢符(図1では、反時計回り)方向に周回する中間転写ベルト132に重ね塗り状態で順次1次転写される。
【0063】
また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132上のトナー像を給紙部12から給紙された用紙Pに転写(2次転写)させるためのものである。すなわち、2次転写ローラー134は、本実施形態においては、中間転写ベルト132の周面に接触してニップ部を形成し、そのニップ部を通過する記録媒体である用紙Pに、中間転写ベルト132の周面上のトナー像を2次転写させる2次転写部である。
【0064】
また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132を介して、駆動ローラー136と対向する位置に配置される。また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、2次転写ローラー134に、トナーの帯電極性とは逆極性である2次転写バイアス電圧を印加することによって、中間転写ベルト132上に1次転写されたトナー像が、2次転写ローラー134と駆動ローラー136との間で、給紙部12から給紙された用紙Pに2次転写される。これにより、用紙P上に、画像情報に基づくトナー像が未定着の状態で転写される。
【0065】
また、前記画像形成部13には、中間転写ベルト132の、2次転写位置より回転方向下流側で、1次転写位置より回転方向上流側の位置に、クリーニング装置200をさらに備えている。クリーニング装置200は、2次転写後、中間転写ベルト132の周面上に残存したトナーを除去して清浄化するためのものである。クリーニング装置200によって清浄化処理された中間転写ベルト132の周面は、新たな1次転写処理のために1次転写位置へ向かう。クリーニング装置200によって除去された廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。なお、クリーニング装置200の構成については、後述する。
【0066】
前記定着部14は、画像形成部13で転写された用紙P上のトナー像に対し定着処理を施すものである。定着部14は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラー141と、加熱ローラー141と配向配置された定着ローラー142と、定着ローラー142と加熱ローラー141との間に張架された定着ベルト143と、定着ベルト143を介して定着ローラー142と対向配置された加圧ローラー144とを備えている。
【0067】
定着部14へ供給された用紙Pは、定着ベルト143と加圧ローラー144との間に形成される定着ニップ部を通過することで、加熱加圧される。これにより、前記画像形成部13で用紙Pに転写されたトナー像は、用紙Pに定着される。定着処理の完了した用紙Pは、定着部14の上部から延設された用紙搬送路111を経由して、装置本体11の頂部に設けられた排紙部15の排紙トレイ151へ向けて排紙される。
【0068】
前記排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって、形成され、この凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
【0069】
以下、前記クリーニング装置200について説明する。図2は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置200の構成を示す概略断面図であり、図1に示した画像形成装置10に備えたクリーニング装置200の周辺部を拡大して示したものである。
【0070】
前記クリーニング装置200は、除去ローラー201、回収ローラー202、ブレード204、排出部205、シート203等を備えている。
【0071】
前記除去ローラー201は、像担持体である中間転写ベルト132の表面と接触しながら回転することによって、中間転写ベルト132上の残留トナーを除去する。その際、2次転写時に、2次転写ローラー134によって中間転写ベルト132に用紙が圧接されること等によって、用紙から発生する紙粉等の、用紙由来の異物も、中間転写ベルト132から除去される。
【0072】
また、前記除去ローラー132は、残留トナーや用紙由来の異物を中間転写ベルト132から除去することができれば、特に限定されない。例えば、ファーブラシ等が挙げられる。除去ローラーとして、ファーブラシを用いることによって、像担持体である中間転写ベルト132の損傷を抑制しつつ、中間転写ベルト132上の残留トナーや用紙由来の異物を除去することができる。また、ファーブラシとしては、例えば、複数のフィラメント糸を束ねた束を織ってパイル状にしたものをロール状に巻いたファーブラシ状にしたブラシ等が挙げられる。
【0073】
前記回収ローラー202は、前記除去ローラー201の表面と接触しながら回転することによって、前記除去ローラー201で除去したトナー及び異物を回収する。回収ローラー202は、残留トナーや用紙由来の異物を前記除去ローラー201から回収することができれば、特に限定されない。具体的には、金属ローラーであって、その金属ローラーに電圧を印加する電圧印加部を備えたものが挙げられる。金属ローラーに電圧を印加することで、残留トナーや用紙由来の異物を前記除去ローラー201から回収することができる。このことは、まず、残留トナーは、帯電、例えば、正に帯電していると考えられる。そして、金属ローラーが、トナーとは逆極性に帯電されるように電圧を印加することによって、トナーを吸着されると考えられる。その際、紙粉は、トナーより回収ローラーに吸着される力が弱いと考えられるが、紙粉も回収ローラーによって回収されると考えられる。
【0074】
前記ブレード204は、前記回収ローラー202の表面と接触して、前記回収ローラー202で回収したトナー及び異物を前記回収ローラー202から分離する。分離されたトナーや紙粉は、前記ブレード204の下方方向に位置される排出部205に移動する。
【0075】
また、前記ブレード204は、トナー及び異物を前記回収ローラー202から分離することができれば、特に限定されない。例えば、樹脂製の板状部材等が挙げられる。この板状部材の一方の端部が、前記回収ローラー202の表面と接触している。そして、この板状部材は、他方の端部から、前記回収ローラー202の表面と接触している端部へ向かう方向が、前記回収ローラー200の回転方向とは反対の方向となるように接触している。そうすることによって、前記回収ローラー202で回収したトナー及び異物を、前記ブレード204で掻き取るように、前記回収ローラー202から分離する。
【0076】
前記排出部205は、前記回収ローラー202から分離されたトナー及び異物を、クリーニング装置200から排出する。前記排出部205は、例えば、前記回収ローラー202等に平行に、排出ローラー等を備え、その排出ローラーの回転によって、トナーや異物を、排出ローラーの延びる方向(図2において、紙面に対して垂直方向)に移動させ、クリーニング装置200から排出するもの等が挙げられる。このクリーニング装置200によって除去された廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
【0077】
前記シート203は、前記除去ローラー201と前記排出部205との間に配設し、一方の端部を前記回収ローラー202の表面と接触させる。そして、シート203は、他方の端部から、回収ローラー202の表面と接触している端部へ向かう方向が、前記回収ローラー200の回転方向とは同じ方向となるように接触している。すなわち、前記ブレード204と向かいあうように設置され、前記シート203及び前記ブレード204によって、前記除去ローラー201側と前記排出部205側とを区画する。
【0078】
このようなシート203がないと、前記ブレード203によって、前記回収ローラー202から分離されたトナーや異物は、自由落下に任せているので、ブレード204の下方に位置する排出部205だけではなく、除去ローラー201側にも移行して、トナー飛散を発生させると考えられる。前記シート203は、このトナー飛散を抑制するためのものである。
【0079】
そして、前記シート203の、少なくとも前記回収ローラー202と接触する領域が、前記回収ローラー202の回転によって、前記回収ローラー202と前記シート203との間をトナー及び異物が通過できるような、多数の微細な凹部と凸部とを有する粗面化領域である。このような粗面化領域を有するシート203を、その粗面化領域が回収ローラー202と接触するように用いることによって、後述するような、トナー飛散を抑制することができる。
【0080】
このシート203は、回収ローラー202上のトナーや異物は通過させるものであることが好ましい。そして、このシート203は、回収ローラー202の回転方向と同方向に設置されていることから、前記回収ローラー202に強く付着しているトナーは通過すると考えられる。これに対して、前記シート203の、前記回収ローラー202の回転方向下流側に紙粉が蓄積されやすいものであった。このことは、上述したように、回収ローラー202に付着する力が、トナーより紙粉のほうが弱いためと考えられる。このような紙粉の蓄積が進行すると、前記シート203と前記回収ローラー202との間に、紙粉が入り込み、前記シート203と前記回収ローラー202とを離間させることになってしまうと考えられる。よって、前記シート203と前記回収ローラー202との間から、トナーが飛散してしまい、トナー飛散を充分に抑制できない場合があった。
【0081】
よって、上記のようなシートを、粗面化領域が回収ローラー202と接触するように用いることによって、トナーの飛散を充分に抑制したクリーニング装置となる。
【0082】
また、前記粗面化領域は、上述したような、前記回収ローラー202と前記シート203との間をトナー及び異物が通過できるような、多数の微細な凹部と凸部とを有するものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、前記粗面化領域は、マット加工が施された領域であることが好ましい。すなわち、いわゆる、シボ加工と呼ばれる加工が施された領域であることが好ましい。また、前記粗面化領域は、化学エッチング又はブラスト処理によりマット加工を施すことにより形成した微細な凸部と凹部とを備えることが好ましい。そうすることによって、トナーの飛散をより抑制できる。このことは、前記シート203と前記回収ローラー202との間を、紙粉等の用紙由来の異物を通過しやすくなるためと考えられる。
【0083】
また、前記粗面化領域は、その表面粗さが、最大高さRyで2〜13μmであることが好ましく、5〜10μmであることがより好ましく、8〜10μmであることがさらに好ましい。前記粗面化領域の凹凸が小さく円滑すぎると、前記シート203の、前記回収ローラー202の回転方向下流側に紙粉が蓄積しやすくなる傾向があった。このことは、前記シート203の、前記回収ローラー202に対する密着性が高く、前記シート203と前記回収ローラー202との間を、紙粉が通過しにくいことによると考えられる。また、前記粗面化領域の凹凸が大きく粗すぎても、前記シート203の、前記回収ローラー202の回転方向下流側に紙粉が蓄積しやすくなる傾向があった。このことは、前記シート203全体の、前記回収ローラー202に対する密着性は高くはないが、前記粗面化領域の凸部が、前記回収ローラー202に強く当たることになり、その部分で、前記シート203と前記回収ローラー202との間を、紙粉が通過しにくくなる現象が発生することによると考えられる。よって、表面粗さが、最大高さRyで2〜13μmである粗面化領域が回収ローラー202と接触するようにすることによって、トナーの飛散をより抑制できる。このことは、前記シート203と前記回収ローラー202との間を、紙粉等の用紙由来の異物を通過しやすくなるためと考えられる。
【0084】
なお、最大高さRyは、JIS B 0601:2001に準拠の方法により測定された値である。例えば、表面粗さ測定機、具体的には、株式会社東京精密製のサーフコム570Aを用いて測定することができる。
【0085】
また、前記粗面化領域は、その静摩擦係数が、前記シート203の、前記粗面化領域以外の領域の静摩擦係数より小さいことが好ましい。なお、前記シート203の全面に、粗面化処理を施している場合、前記粗面化領域は、その静摩擦係数が、前記シート203の、粗面化処理前の静摩擦係数より小さいことが好ましい。
【0086】
前記粗面化領域の静摩擦係数が、他の領域と比較して大きすぎると、前記シート203の、前記回収ローラー202の回転方向下流側に紙粉が蓄積しやすくなる傾向があった。このことは、前記シート203と前記回収ローラー202との間を、紙粉が通過しにくいことによると考えられる。よって、前記粗面化領域の静摩擦係数を、上記のように小さくすることによって、トナーの飛散をより抑制することができる。
【0087】
なお、静摩擦係数は、新東科学株式会社製のポータブル摩擦計(トライボギア ミューズ94i−II)を用いて測定することができる。
【0088】
このようなクリーニング装置は、トナーの飛散を充分に抑制することができる。
【0089】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0090】
このようなクリーニング装置は、シール材として、シートを除去ローラーと排出部との間に単に設けただけのクリーニング装置とは異なり、トナーの飛散を防止するためのシール材として、上記のようなシートを用いる。具体的には、少なくとも前記回収ローラーと接触する領域が、前記回収ローラーの回転によって、前記回収ローラーと前記シートとの間を前記トナー及び前記異物が通過できるような、多数の微細な凹部と凸部とを有する粗面化領域であるシートを用いる。そうすることによって、前記シール材であるシートと前記回収ローラーとの間を、残留トナーが通過しやすいだけではなく、紙粉等の用紙由来の異物も通過しやすいものである。このことから、前記シートの、前記回収ローラーの回転方向下流側に、紙粉等の異物の蓄積が抑制されると考えられる。よって、前記シートと前記回収ローラーとの間に異物が入り込んで、前記シートと前記回収ローラーとを離間させることを抑制でき、前記シートが、トナーの飛散を抑制するシール材として好適に働くことができると考えられる。
【0091】
よって、上記のようなクリーニング装置を備えた画像形成装置は、高画質な画像を形成することができる。このことは、まず、残留トナーや、用紙由来の異物が存在することによる、形成される画像の画質低下を抑制することができることによると考えられる。また、クリーニング装置におけるトナー飛散が抑制されるので、そのトナー飛散による、形成される画像の画質低下を抑制することができることによると考えられる。
【0092】
上述した画像形成装置は、本実施形態に係るクリーニング装置が、現像装置によって現像されたトナー像が転写され、転写されたトナー像を用紙に転写するための中間転写体、具体的には、中間転写ベルト上の残留トナーや異物を除去するためのもの、すなわちベルトクリーニング装置として備えられたものである。本実施形態に係るクリーニング装置は、このようなベルトクリーニング装置として用いる場合に限定されず、トナーを除去するためであれば、使用することができる。例えば、図3に示すように、表面上に、現像装置によって現像されたトナー像を形成する感光体、具体的には、感光体ドラム上の残留トナーや異物を除去するためのものとしても使用できる。すなわち、ドラムクリーニング装置等の、感光体をクリーニングするためのクリーニング装置として使用できる。よって、本実施形態に係るクリーニング装置は、ベルトクリーニング装置としても、ドラムクリーニング装置等の、感光体をクリーニングするためのクリーニング装置としても用いることができる。
【0093】
以下、本実施形態に係るクリーニング装置をドラムクリーニング装置として用いた場合について説明する。
【0094】
図3は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置300の画像形成部周辺を示す模式図である。画像形成装置300は、電子写真方式によって記録媒体である用紙330に所定の画像を形成する装置である。また、画像形成装置300は、図3に示すように、像担持体である感光体ドラム331の周囲に、感光体ドラム331の回転方向Aに沿って順に、帯電装置332、露光装置333、現像装置334、転写ローラー336、クリーニング装置200、及び除電装置338等を備えている。なお、クリーニング装置200と除電装置338とが逆の配置であっても良い。
【0095】
前記感光体ドラム331は、本実施形態では、ドラム状の感光体である感光体ドラムを例に挙げて説明するが、これに限定するものではなく、ベルト状の感光体、及びシート状の感光体等に対しても適用できる。前記帯電装置332は、感光体ドラム331の表面を帯電させるものである。前記露光装置333は、画像データに基づく光を照射することにより感光体ドラム331の表面電位を選択的に減衰させて静電潜像を形成するものである。現像装置334は、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像して、トナー像を形成するものである。前記転写ローラー336は、感光体ドラム331上に形成されたトナー像を用紙330上に転写するものである。前記クリーニング装置200は、感光体ドラム331の表面に残留したトナー等を除去するための装置である。また、このクリーニング装置200は、備えられている除去ローラー201が、中間転写ベルトから感光体ドラムに変わったこと以外、上記クリーニング装置と同様である。前記除電装置338は、感光体ドラム331の表面電荷をランプ光によって除電するものである。
【0096】
さらに、画像形成装置300は、用紙330の搬送方向下流側に、定着装置341(加熱ローラー342及び加圧ローラー343)を備えている。定着装置341は、トナー像が転写された用紙330に熱と圧力とを加えてトナー像を定着させて、用紙330上に所定の画像を形成させる。このような画像形成装置によれば、高画質な画像を形成することができる。このことは、クリーニング装置でのトナー飛散が抑制され、好適に感光体ドラム上がクリーニングされるためと考えられる。
【実施例】
【0097】
図1に示すような画像形成装置を用いて、前記シートについて検討した。
【0098】
(実施例1)
まず、前記画像形成装置に備えられているクリーニング装置(図2に示すクリーニング装置)のシートとして、少なくとも回収ローラーと接触する領域が、回収ローラーの回転によって、回収ローラーとシートとの間をトナー及び異物が通過できるような、多数の微細な凹部と凸部とを有する粗面化領域であるシートを用いた。
【0099】
具体的には、前記回収ローラーと接触する領域を、化学エッチングによりマット加工(シボ加工)を施し、その領域を回収ローラーに接触するように、シートを備えた。そして、この粗面化領域の表面粗さは、最大高さRyで13μmであった。なお、この最大高さRyは、表面粗さ測定機(株式会社東京精密製のサーフコム570A)を用いて測定した。また、粗面化領域は、その静摩擦係数が、シートの、粗面化領域以外の領域の静摩擦係数より小さい。なお、この静摩擦係数の関係は、新東科学株式会社製のポータブル摩擦計(トライボギア ミューズ94i−II)を用いて、シートの、粗面化領域の静摩擦係数と、粗面化領域以外の領域の静摩擦係数とを測定することにより求めた。
【0100】
(実施例2)
粗面化領域の表面粗さが、最大高さRyで、3μmのシートを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0101】
(実施例3)
粗面化領域の表面粗さが、最大高さRyで、7μmのシートを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0102】
(実施例4)
粗面化領域の表面粗さが、最大高さRyで、9μmのシートを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0103】
(比較例1)
前記画像形成装置に備えられているクリーニング装置(図2に示すクリーニング装置)のシートとして、マット加工等の粗面化処理を施していないシートを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0104】
そして、このシートの、回収ローラーと接触する領域の表面粗さは、最大高さRyで1μmであった。なお、このシートにおいて、回収ローラーと接触する領域と、それ以外の領域とは、粗面化処理が施されていないので、それらの静摩擦係数は同程度である。
【0105】
(比較例2)
前記画像形成装置に備えられているクリーニング装置(図2に示すクリーニング装置)のシートとして、少なくとも回収ローラーと接触する領域が、回収ローラーの回転によって、回収ローラーとシートとの間を異物が通過できないような、多数の微細な凹部と凸部とを有する粗面化領域であるシートを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0106】
この異物が通過できないようなシートとは、具体的には、粗面化領域の表面粗さが、最大高さRyで100μmであるようなシートであった。
【0107】
上記実施例1〜4及び比較例1,2に係るクリーニング装置を備えた画像形成装置を用いて、画像形成を行った。その結果、実施例1〜4は、比較例1,2と比較して、クリーニング装置において、シートより除去ローラー側の内部に溜まった紙粉の量が少なかった。このことは、シートの、回収ローラーの下流側に紙粉が蓄積されることが抑制されていることを示すと考えられる。実施例1〜4は、比較例1,2と比較して、紙粉の蓄積が抑制されることから、クリーニング装置でのトナー飛散が抑制される。よって、実施例1〜4に係る画像形成装置は、比較例1,2と比較して、高画質な画像を形成できることがわかった。
【0108】
また、Ryが9μmの実施例4が、実施例1〜3と比較して、クリーニング装置において、シートより除去ローラー側の内部に溜まった紙粉の量が少なかった。また、Ryが7μmの実施例3が、実施例1及び実施例2と比較して、クリーニング装置において、シートより除去ローラー側の内部に溜まった紙粉の量が少なかった。これらのことから、Ryが、2〜13μmであることが好ましく、5〜10μmであることがより好ましく、8〜10μmであることがさらに好ましいことがわかる。
【符号の説明】
【0109】
10 画像形成装置
132 中間転写ベルト(像担持体)
200 クリーニング装置
201 除去ローラー
202 回収ローラー
203 シート
204 ブレード
205 排出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面と接触して、前記像担持体上のトナー像が用紙に転写された後に前記像担持体上に残留したトナー及び前記用紙由来の異物を除去する除去ローラーと、
前記除去ローラーの表面と接触して、前記除去ローラーで除去したトナー及び異物を回収する回収ローラーと、
前記回収ローラーの表面と接触して、前記回収ローラーで回収したトナー及び異物を前記回収ローラーから分離するブレードと、
前記回収ローラーから分離されたトナー及び異物を排出する排出部と、
前記除去ローラーと前記排出部との間に配設し、一方の端部を前記回収ローラーの表面と接触させるシートとを備え、
前記シートの、少なくとも前記回収ローラーと接触する領域が、前記回収ローラーの回転によって、前記回収ローラーと前記シートとの間を前記トナー及び前記異物が通過できるような、多数の微細な凹部と凸部とを有する粗面化領域であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記粗面化領域が、化学エッチング又はブラスト処理によりマット加工を施すことにより形成した微細な凹部と凸部とを備える請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記粗面化領域の表面粗さが、最大高さRyで2〜13μmである請求項1又は請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記粗面化領域の静摩擦係数が、前記シートの、前記粗面化領域以外の領域の静摩擦係数より小さい請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記除去ローラーが、ファーブラシである請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記像担持体が、現像装置によって現像されたトナー像が転写され、転写されたトナー像を用紙に転写する中間転写体である請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記像担持体が、その表面上に、現像装置によって現像されたトナー像を形成する感光体である請求項1〜6のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のクリーニング装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−208240(P2012−208240A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72806(P2011−72806)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】