説明

クリーニング装置、帯電装置、カートリッジおよび画像形成装置

【課題】高いクリーニング性能を有するクリーニング装置、そのクリーニング装置を備えることで、画像形成の品質を維持しつつ高生産性に対応した帯電装置、カートリッジ、および画像形成装置を提供する。
【解決手段】水拭部材112と乾拭部材113とを設けて、水拭部材112で水拭きした後、乾拭部材113で水を拭き取る。水拭部材112で放電ワイヤ110の表面を水拭きするときに超音波発振器114を用いて超音波振動子114Aを振動させることにより水拭部材112の、放電ワイヤ110の表面近くの部分に水泡を発生させてその水泡で放電ワイヤ110表面に圧力を加えるようにして放電ワイヤ110の表面をクリーニングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置が備える放電ワイヤをクリーニングするクリーニング装置、そのクリーニング装置を備えた帯電装置、クリーニング装置を備えたカートリッジ、およびその帯電装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを使って記録媒体上に画像を形成する画像形成装置が広く普及している。このような画像形成装置では通常、電子写真プロセスの第1工程として帯電装置によって被帯電体である感光体の表面に電荷が付与され感光体表面が帯電される。そして感光体表面が帯電された後、次の第2工程で露光器により露光が行なわれて感光体表面の帯電状態が変更されて静電潜像が感光体上に形成され、更に次の第3工程で現像機によりその感光体上の静電潜像が形成された部分に電荷の代わりにトナーが付着されて感光体上にトナー像が形成される。さらに第4工程で転写器および定着器によりその感光体上のトナー像が記録媒体に転写・定着されて転写像であるトナー像が記録媒体上に画像として形成されることとなる。
【0003】
ここで、上記電子写真プロセスの第1の工程に用いられる帯電装置には様々な種類のものがあり、その中にはコロトロンやスコロトロンと呼ばれる放電ワイヤを備えた帯電装置があることが広く知られている。このコロトロンやスコロトロンは構成が簡単であるために画像形成装置であるコピー機やプリンタに良く搭載される。このコロトロンやスコロトロンでは、放電ワイヤから被帯電体である例えば感光体に放電させてその感光体に電荷が付与されることにより感光体表面が帯電される。
【0004】
しかしコロトロンやスコロトロンのような放電ワイヤを備えた帯電装置では放電ワイヤから繰り返し放電が行なわれると、時間の経過とともに放電ワイヤに放電生成物が付着して放電ワイヤからの放電状態が変化して被帯電体である感光体が一様に帯電されなくなる事態が発生する。また、画像形成装置に組み込まれた帯電装置では、トナーの付着によっても同様な事態が発生する。
【0005】
そこで画像形成装置に組み込まれた帯電装置では、放電ワイヤに付着した放電生成物やトナー(以下ではこれらを「不要物」と総称する場合がある)を定期的にクリーニングすることが行なわれている。このクリーニング装置で定期的に放電ワイヤのクリーニングが自動的に行なわれると、放電ワイヤ表面の不要物がある程度は除去されて被帯電体である感光体表面の帯電の一様性が継続的に保たれる。
【0006】
ところで、上記のようなクリーニング装置にあっては、一回のクリーニングのクリーニング性能が不十分であると、そのクリーニング装置が搭載された画像形成装置の画像形成プロセスを何度となく中断させてクリーニングを行なわなければならなくなる。こうして画像形成装置に搭載されたクリーニング装置によるクリーニング回数が増えると、画像形成装置の生産性は低下する。
【0007】
この画像形成装置の高生産性を維持するためにはクリーニング装置の一回のクリーニング性能を向上させクリーニング回数を減らすことが望まれる。
【0008】
そこで特許文献1等には、清掃液が浸みたスポンジ状の部材を使って放電ワイヤに付着した放電生成物を効果的に除去する技術が提案されている。
【0009】
しかし、特許文献1の技術を使って放電ワイヤを清掃液が浸みたクリーニング部材でクリーニングするだけでは、充分なクリーニング性能が得られない。
【0010】
そこで、放電ワイヤを支持するケースを振動させることでクリーニング中のクリーニング部材および放電ワイヤを振動させたり、放電ワイヤ自体を振動させたりして付着物を効果的に除去する技術が提案されている(特許文献2,3参照)。
【0011】
しかしながら、クリーニング中に放電ワイヤやクリーニング部材に機械的な振動を与えるだけでは充分なクリーニング性能が得られない。
【特許文献1】特開2004−233498号公報
【特許文献2】特開平05−333669号公報
【特許文献3】特開2001−154450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み、高いクリーニング性能を有するクリーニング装置、そのクリーニング装置を備えることで、画像形成の品質を維持する帯電装置、カートリッジ、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明のクリーニング装置は、
放電ワイヤに電圧が印加されることによりその放電ワイヤから被帯電体に放電してその被帯電体に電荷を付与する帯電装置のその放電ワイヤに接触した、その放電ワイヤを水拭きする水拭部材と、
上記水拭部材を超音波で振動させる振動部と、
上記放電ワイヤに接触した、その放電ワイヤを乾拭きする乾拭部材と、
上記水拭部材、上記乾拭部材の順で通過するようにそれら水拭部材および乾拭部材を上記放電ワイヤが延びた方向に動駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
上記本発明のクリーニング装置によれば、上記水拭部材で放電ワイヤを水拭するときに上記振動部でその水拭部材を超音波振動させて水拭部材の、放電ワイヤと接する部分に水泡を発生させて放電ワイヤの表面のクリーニングが行なわれる。こうして振動部で水拭部材を超音波振動させることで放電ワイヤの表面付近に水泡を発生させると洗浄力を高めることができ、より高いクリーニング性能が得られる。さらに上記乾拭部材で乾拭きを行なうことで水分と上記超音波による水泡により上記放電ワイヤの表面からはじかれた不要物とが除去される。
【0015】
ここで、上記駆動部が、上記水拭部材および上記乾拭部材を上記放電ワイヤが延びた方向の一方側に動かし、それら水拭部材および乾拭部材をその放電ワイヤから離間させて該一方側に対する逆側に戻すものであることが好ましい。
【0016】
そうすると、上記水拭部材、上記乾拭部材を、放電ワイヤが延びた方向の一方側に動かすことでそれらに放電ワイヤに付着した不要物を除去させた後、それらの部材を放電ワイヤから離間させてその一方側に対する逆側に戻してそれらの部材を初期位置に待機させ、次のクリーニング時には再度、上記水拭部材、および上記乾拭部材をこの順で放電ワイヤが延びた方向の一方側に動かして放電ワイヤの不要物を除去することができる。
【0017】
ここで、上記水拭部材に前記水分を補給する補給部を備えた態様であることが好ましい。
【0018】
上記水拭部材の水分は放電ワイヤの水拭を行ったときにある程度の量が使用され、また水拭部材の水分は時間が経つと蒸発してしまう。水拭部材が乾いた場合、水拭部材で放電ワイヤを水拭きすることが困難になる。
【0019】
そこで、上記補給部で上記水拭部材に水分を補給する構成にして上記水拭部材の乾燥を防止するため、水分を補給することができる構成にしておくと良い。
【0020】
上記目的を達成する本発明の帯電装置は、
電圧が印加されることにより像保持体に放電してその像保持体に電荷を付与する放電ワイヤと、
上記放電ワイヤに接触した、その放電ワイヤを水拭きする水拭部材と、
上記水拭部材を超音波で振動させる振動部と、
上記放電ワイヤに接触した、該放電ワイヤを乾拭きする乾拭部材と、
上記水拭部材、上記乾拭部材の順で通過するようにそれら水拭部材および乾拭部材を上記放電ワイヤが延びた方向に動かすことでその放電ワイヤから不要物を除去する駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0021】
上記本発明の帯電装置には、上記水拭部材と上記振動部と上記乾拭部材と上記駆動部とで構成されるクリーニング装置が備えられており、そのクリーニング装置によって放電ワイヤの表面に付着したトナーや放電生成物からなる不要物が一回のクリーニングによって除去される。これは、一回のクリーニングにおけるクリーニング性能が高められたということを示しており、この帯電装置を画像形成装置に搭載した場合には、クリーニングの回数を減らすことが可能になるということを示す。つまりこの帯電装置は、画像形成の品質を維持することが可能であるということになる。
【0022】
また上記目的を達成する本発明のカートリッジは、
表面に像が形成されその像を保持する像保持体と、
電圧が印加されることにより上記像保持体に放電してその像保持体に電荷を付与する、その像保持体の表面に沿って延びた放電ワイヤと、
上記放電ワイヤに接触した、その放電ワイヤを水拭きする水拭部材と、
上記水拭部材を超音波で振動させる振動部と、
上記放電ワイヤに接触した、その放電ワイヤを乾拭きする乾拭部材と、
上記水拭部材および上記乾拭部材がこの順で通過するようにそれら水拭部材および乾拭部材を上記放電ワイヤが延びた方向に動かす駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0023】
上記本発明のカートリッジでは、上記放電ワイヤと上記水拭部材と上記乾拭部材と上記駆動部とで構成される帯電装置と上記像保持体とが一つのカートリッジ内に収容される。
【0024】
前述した様に、このカートリッジ内の帯電装置が備えるクリーニング装置では、上記水拭部材と上記乾拭部材とによって放電ワイヤの表面に付着した不要物が一回のクリーニングにより除去される。これは、一回のクリーニングにおけるクリーニング性能が高められたということを示しており、クリーニングの回数を減らしてそのクリーニング部材の耐久性を延ばすことが可能である。
【0025】
このため、上記像保持体と同じ位にまで寿命が延びた上記帯電装置を上記像保持体とともに一本のカートリッジ内に収容して、耐久性に限界が生じたときにはそのカートリッジを一度に交換する構成にすることができる。こうして上記帯電装置と上記像保持体とを一度に交換する構成にすると、このカートリッジが搭載される画像形成装置の保守が行い易くなるという効果が得られる。
【0026】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、
表面に像が形成されその像を保持する像保持体;
電圧が印加されることにより上記像保持体に放電してその像保持体に電荷を付与する、その像保持体の表面に沿って延びた放電ワイヤと、
その放電ワイヤに接触した、その放電ワイヤを水拭きする水拭部材と、
上記水拭部材を超音波で振動させる振動部と、
上記放電ワイヤに接触した、その放電ワイヤを乾拭きする乾拭部材と、
上記水拭部材および上記乾拭部材がこの順で通過するようにそれら水拭部材および乾拭部材を上記放電ワイヤが延びた方向に動かす駆動部とを備えた帯電装置:
上記放電ワイヤに電圧を印加する電圧印加部;および
上記帯電装置によって電荷が付与された像保持体の表面に静電潜像を形成し、その静電潜像を現像して現像像を形成する像形成部;
を備えたことを特徴とする。
【0027】
上記本発明の画像形成装置によれば、今までよりも一回のクリーニングにおけるクリーニング性能が向上した上記クリーニング装置によって放電ワイヤのクリーニングが行なわれて放電ワイヤに付着した不要物が一回のクリーニングにより除去されて、従来よりも長い期間にわたって放電時の像担持体への帯電むらが抑制される。このため、画像形成装置の生産性の向上に対応可能となる。
【発明の効果】
【0028】
以上、説明したように、本発明によれば、高いクリーニング性能を有するクリーニング装置、そのクリーニング装置を備えることで、画像形成の品質を維持しつつ高生産性に対応した帯電装置、カートリッジ、および画像形成装置が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0030】
図1は、クリーニング装置が備えられた本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタを示す概略図である。
【0031】
図1に示すプリンタ1は、帯電装置11により所定の電荷が付与された、矢印Aの向きに回転する感光体10の表面に、送信されてきた画像データに基づいて露光器12で生成した露光光を照射することで静電潜像を形成し、形成した静電潜像を現像器13に収容したトナーで現像し、この現像により得られたトナー像を、用紙トレイ16から用紙搬送装置17により引き出され、矢印Bの向きに搬送されてきた記録用紙上に転写器14によって転写し、定着器15により定着することにより記録用紙上に画像を形成するモノクロ画像専用機である。図1の帯電装置11の左側には感光体10から不要なトナーを掻き落とすブレードを備えたクリーナー18が備えられている。
【0032】
なお図1の帯電装置11、露光器12、現像機13、転写器14、定着器15、搬送装置17の動作は、不図示の制御装置によって制御されている。
【0033】
この図1の構成では、本発明にいう像保持体の一例として感光体10が備えられ、本発明にいう像形成部の一例が、露光器12、現像機13、転写器14、および定着器15で構成されている。なお図1の構成では、感光体10と帯電装置11とクリーナ18とが一つのカートリッジ19内に収容されいて必要に応じてそのカートリッジ19を自在に交換することができる構成になっている。
【0034】
また、図1に示す帯電装置11はコロトロンであって、そのコロトロンには放電ワイヤと放電ワイヤをクリーニングするクリーニング装置とが備えられている。
【0035】
なお、本実施形態では、不図示の制御部が、内蔵のタイマーによって動作時間の積算値を計時する構成になっており、所定の積算値に達したと判定したときにコロトロン内部の、後述するクリーニング装置を自動的に動作させてクリーニングを実施する構成を採用している。
【0036】
図2は、そのコロトロンが備えるクリーニング装置の構成を説明する図である。図2(a)には、クリーニング装置を側面から見た図が示されており、図2(b)には、クリーニング装置を上面から見た図が示されている。また、図3は、クリーニング装置が備える、本発明にいう駆動部の構成の一例を説明する図である。
【0037】
まず、図2を参照して本発明にいう帯電装置の一例になるコロトロン11の構成を説明する。
【0038】
図2に示す様に、コロトロン11には直線的に延びた放電ワイヤ110が備えられており、それらの放電ワイヤ110に電圧を印加する電圧印加部111が接続されている。この電圧印加部111は上記カートリッジ外に備えられたものである。この電圧印加部111によって放電ワイヤ110に電圧が印加されることによって放電ワイヤ110から被帯電体(図1の感光体)に放電して被帯電体である感光体10に電荷が付与される。
【0039】
また、この図2に示すコロトロン11には、放電ワイヤ110に放電ワイヤの下方から接して放電ワイヤ1100をクリーニングするための水拭部材112、乾拭部材113が移動ケース116内に並べて配備されている。この移動ケース116の中には、2種類の部材を各々収容する収容ケース115A,115Bが備えられており、それらの収容ケース115A,115Bは移動ケース内のバネSP1,SP2により、それぞれ、放電ワイヤ110側にバネ付勢されている。
【0040】
ここで本実施形態では、より高いクリーニング性能を得るために、水拭部材112を収容するケース115Aに超音波振動子114Aを貼付して、水拭部材112に放電ワイヤ110を水拭きさせているときにその超音波振動子114Aを超音波発振器114からの発振信号に基づいて超音波振動させて放電ワイヤ110の表面に水泡を発生させる構成を採用している。この水泡を発生させると、放電ワイヤの表面にその水泡により圧力が加えられるので、単なる水拭きで得られる洗浄力よりも高い洗浄力が得られる。
【0041】
この移動ケース116は、放電ワイヤ110に沿って延びて設けられているベルト117に連結されており、そのベルト117は、両端の2つのプーリP1,P2によって張架されている。これらの2つのプーリP1,P2のうちの一つP1はモータM1に連結され、このモータM1の回転によりプーリP1が回転するとベルト117が回転して他のプーリP2も従動的に回転する。このため、不図示の制御部がモータM1に指示を出してモータM1を回転させることにより図3に示す様に移動ケース116を一方の側(図3では図の右側の方に向かって)に動かすことができる。
【0042】
こうして移動ケース116を図3の右側の方に向かって動かすことができると、超音波振動により水泡が発生する水拭部材112に不要物を除去させ、乾拭部材113に水分を除去させるというように順序良く放電ワイヤ110の表面のクリーニングを行わせることができ、いままでよりも高いクリーニング性能を得ることができる。
【0043】
ここで、本発明においては、水拭部材112による放電ワイヤ110の表面の水拭、乾拭部材113による放電ワイヤ110の乾拭の順に動作させないと、クリーニング性能が得られない。つまり移動ケース116を左から右に移動させているときにだけ水拭部材112、乾拭部材113を放電ワイヤ110に接触させることにより放電ワイヤ110のクリーニングを実施させた後は、移動ケース116を放電ワイヤ110から離間して待機位置(図3の左側の位置A)に戻す必要がある。さもないと、移動ケース116を位置Aに戻すときに乾拭部材113、水拭部材112の順にクリーニングが行われてしまって思わぬ不具合(例えば乾拭きの後水拭きすることになるので水が残ってリークの原因になる等)が発生する恐れが出てくる。
【0044】
ここで、図3を使って移動ケースを図3の左側の待機位置に戻すときにどのようにして移動ケースを放電ワイヤから離間させるかを説明する。
【0045】
なお、不図示ではあるが、図2で説明した移動ケース116とその移動ケース116に連結されているベルトV1とプーリP1,P2とモータM1とはベルトユニットになっていてそのユニットが不図示の昇降機に連結されている。つまり本実施形態では、ベルトユニットでベルトコンベアが構成される。
【0046】
前述した様に、不図示の制御部が所定の積算時間が経過したことを検知したときには、まず図3の左側の待機位置Aにある移動ケースをベルトユニットごとその昇降機で上昇させ、移動ケース内の水拭部材112、乾拭部材113をそれぞれ放電ワイヤ110に接触させる。次に制御部がモータM1に指示してモータM1を回転させることによりプーリP1を回転させベルトV1を回転させることにより移動ケース116を図3の右側に移動させる。そして移動ケース116が図3の右端部にまで移動した後はモータM1の駆動を一旦停止させる。ここで制御部は昇降機に指示してベルトユニットを下降させ、次にモータM1に指示してモータを逆回転させて移動ケース116を図3の左側の待機位置Aまで戻している。
【0047】
このような構成にすると、水拭き、乾拭きというクリーニングの順番が狂うことなく、移動ケース116を一方の側に動かしてているときの最初に水拭部材112によって不要物が除去されて次に放電ワイヤに残った水が乾拭部材113によって拭き取られることとなる。
【0048】
こうして超音波振動させた水拭部材112による水拭、乾拭部材113による乾拭の順にクリーニングを行なうことで一回のクリーニング性能を向上させると、いままでよりも長い時間の間、放電ワイヤ110の表面のクリーンな状態を維持することができるようになって、クリーニングの回数を減らすことができる。このため図1のプリンタにおいては、コロトロンが備える放電ワイヤのクリーニング回数が減ってプリント動作中に動作を中断してクリーニングを行う回数が減るという作用から図1のプリンタの生産性を高生産性のものにすることができるという効果が導き出される。
【0049】
最後に水拭部材112は、時間が経過したり、何回かクリーニングが行われると乾燥してしまうことが予想される。そこで水拭部材112に水又は洗浄液を供給するための補給部118を設けて水拭部材112が乾燥したときにはその補給部118から水拭部材112に水又は洗浄液を補給して水分が浸みた状態にすることができるようにしておくと良い。
【0050】
この例では、図3に示す様に移動ケース116が図3の一番左側の待機位置Aにあるときに補給部118から水拭部材112に水分を供給することができるようにしている。
【0051】
図3の例では、タンク118A(図3では洗浄液タンクとなっている)と、バルブ118Bと、パイプ(チューブ)118Cとで本発明にいう補給部の一例が構成されている。この補給部118が備えるバルブ118Bは例えば電磁バルブなどで構成され、通常は閉となっていて不図示の制御部からの開信号を受けたときに開いてタンク118Aからの水分をパイプ118Cを通して水拭パッド113に供給する。尚バルブはメンテナンスの際に手動で開ける構成のものであっても良い。
【0052】
このような構成にしておくと、水拭パッド112が乾燥することがなくいつでも良好なクリーニング性能が得られる。また、タンク118Aが空になったときにタンク118Aに水又は洗浄液を補給すれば良いのでメンテナンスが行ない易いという効果が得られる。
【0053】
なお本実施形態では、コロトロンを例に挙げたが、スコロトロンはもとより、放電ワイヤを備えたものであれば本発明はどのようなものにも適用される。
【0054】
また、上記実施形態では、図3の例にように図3の左側の位置を待機位置にしてクリーニングに効果的な移動方向にのみ移動させる構成を採用しているが、右側を待機位置にして、右から左、更に右に戻るという往復運動にしても良い。いずれにしても乾拭部材によって乾拭が行なわれずに終わることが防止されれば一応の効果は得られる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】クリーニング装置が備えられた本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタを示す概略図である。
【図2】コロトロンが備えるクリーニング装置の構成および動作を説明する概念図である。
【図3】また、図3は、クリーニング装置が備える、本発明にいう駆動部の構成の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0056】
1 プリンタ
11 帯電装置(コロトロン)
110 放電ワイヤ
111 電圧印加部
112 水拭部材
113 乾拭部材
114 超音波発振器
115A、115B 収容ケース
116 移動ケース
117 ベルト
118 補給部
12 露光器
13 現像機
14 転写器
15 定着器
16 用紙トレイ
17 搬送装置
18 クリーナ
19 カートリッジ
M1 モータ
P1 P2 プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ワイヤに電圧が印加されることにより該放電ワイヤから被帯電体に放電して該被帯電体に電荷を付与する帯電装置の該放電ワイヤに接触した、該放電ワイヤを水拭きする水拭部材と、
前記水拭部材を超音波で振動させる振動部と、
前記放電ワイヤに接触した、該放電ワイヤを乾拭きする乾拭部材と、
前記水拭部材、前記乾拭部材の順で通過するようにそれら水拭部材および乾拭部材を前記放電ワイヤが延びた方向に動かす駆動部とを備えたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記駆動部が、前記水拭部材および前記乾拭部材を前記放電ワイヤが延びた方向の一方側に動かし、それら水拭部材および乾拭部材を該放電ワイヤから離間させて該一方側に対する逆側に戻すものであることを特徴とする請求項1記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記水拭部材に前記水分を補給する補給部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のクリーニング装置。
【請求項4】
電圧が印加されることにより像保持体に放電して該像保持体に電荷を付与する放電ワイヤと、
前記放電ワイヤに接触した、該放電ワイヤを水拭きする水拭部材と、
前記水拭部材を超音波で振動させる振動部と、
前記放電ワイヤに接触した、該放電ワイヤを乾拭きする乾拭部材と、
前記水拭部材、前記乾拭部材の順で通過するようにそれら水拭部材および乾拭部材を前記放電ワイヤが延びた方向に動かす駆動部とを備えたことを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
表面に像が形成されその像を保持する像保持体と、
電圧が印加されることにより前記像保持体に放電して該像保持体に電荷を付与する、該像保持体の表面に沿って延びた放電ワイヤと、
前記放電ワイヤに接触した、該放電ワイヤを水拭きする水拭部材と、
前記水拭部材を超音波で振動させる振動部と、
前記放電ワイヤに接触した、該放電ワイヤを乾拭きする乾拭部材と、
前記水拭部材、前記乾拭部材の順で通過するようにそれら水拭部材および乾拭部材を前記放電ワイヤが延びた方向に動かす駆動部とを備えたことを特徴とするカートリッジ。
【請求項6】
表面に像が形成されその像を保持する像保持体;
電圧が印加されることにより前記像保持体に放電して該像保持体に電荷を付与する、該像保持体の表面に沿って延びた放電ワイヤと、
前記放電ワイヤに接触した、該放電ワイヤを水拭きする水拭部材と、
前記水拭部材を超音波で振動させる振動部と、
前記放電ワイヤに接触した、該放電ワイヤを乾拭きする乾拭部材と、
前記水拭部材および前記乾拭部材がこの順で通過するようにそれら水拭部材および乾拭部材を前記放電ワイヤが延びた方向に動かす駆動部とを備えた帯電装置:
前記放電ワイヤに電圧を印加する電圧印加部;および
前記帯電装置によって電荷が付与された像保持体の表面に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して現像像を形成する像形成部;
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−186922(P2009−186922A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29343(P2008−29343)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】