説明

クリーニング装置、画像形成装置

【課題】トナー消費量の増大を防止又は抑制しつつ効果的なクリーニング動作を行うことのできるクリーニング装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】クリーニングブレード11により掻き取られたトナーの貯留スペースを形成するためのプレートロール12を設けた。そして、ローラ制御部は、画像形成期間においては、感光体ドラムの回転方向と反対方向にクリーニングローラを回転させ、該クリーニングローラが前記貯留スペースに貯留されたトナー担持し、該トナーを用いて前記感光体ドラム2の周面のクリーニング動作をクリーニングローラに行わせ、非画像形成期間においては、トナー吐出量検出部により検出されたトナーの吐出量が予め定められた閾値以上であるときに、クリーニングローラを前記画像形成期間におけるクリーニングローラの回転方向と逆方向に回転させて貯留スペースに溜まったトナーを外部に排出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機或いは複合機等の画像形成装置の技術分野に属し、特に、像担持体に残留するトナー等の付着物を除去するクリーニングの技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体として感光体ドラムが広く用いられている。この感光体ドラムを用いる画像形成装置では、前記感光体ドラムの周面を帯電装置によって一様に所定電位に帯電し、画像データに基づき、前記感光体ドラムの周面に対して露光装置のLED光等を照射することにより部分的に電位を光減衰させて原稿画像に対応した静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置で現像することにより、感光体ドラムの周面にトナー像を形成し、該トナー像を、感光体ドラムと転写部材とを接触或いは近接させて構成した転写領域を用紙が通過するときに、前記トナー像を該用紙に転写する構成とされている。
【0003】
この種の画像形成装置にあっては、トナー像を用紙に転写させた後、一部のトナーが用紙に転写されずに感光体ドラムの周面に付着したまま残留することがある。この感光体ドラムの周面に付着した残留トナーは、次の新たな画像形成の障害となるので、感光体ドラムのクリーニングが必要となる。ここで用いられるクリーニング方法としては、例えば、感光体ドラムの周面に、クリーニングローラや回転ブラシなどの回転部材を押し付けることで、該回転部材に残留トナーを移動させて回収する方法や、感光体ドラムの周面にクリーニングブレードを接触させて残留トナーを掻き取る方法、或いは、これらの方法を組み合わせたクリーニング方法が広く知られている。
【0004】
一方、感光体としてアモルファスシリコン感光体を用いた場合には、その周面に、帯電装置の放電によって生じた放電生成物が付着し易い。この放電生成物が水分を吸収すると、感光体の周面の電気抵抗が低下して、静電潜像を乱す像流れという不具合が発生することがある。このため、トナーに微量の研磨剤を添加し、該トナーをクリーニングローラの周面に担持させ、このトナーによって感光体の周面に付着した放電生成物を研磨するようにしてクリーニングする方法が知られている。
【0005】
下記特許文献1,2には、感光体ドラムのクリーニング技術に関し、研磨ローラの回転方向を切り替える手段とクリーニングブレードとを用いて、感光体ドラムの表面に付着した放電生成物の除去を行う点が提案されている。
【0006】
下記特許文献1には、研磨ローラをクリーニングブレードよりも像担持体の回転方向上流側であってかつ上側に配置し、かつ、研磨ローラの回転方向を、像担持体の表面を研磨する研磨モードの時には前記像担持体の回転方向と同方向とすることで、研磨ローラと感光体ドラムとのニップ出口をニップ部の上側に位置させてそこにトナー溜まりを形成し、このトナー溜まりに溜まっているトナーを用いて感光体ドラムの表面を研磨し、また、研磨モード以外の時には前記像担持体の回転方向と異方向とする点が提案されている。
【0007】
下記特許文献2には、感光体ドラムの周面の各部位における画像面積率のバラツキがあっても、該周面に付着する異物を効果的に除去することを目的として、感光体ドラムの回転時間が所定時間に達するまで、感光体ドラムを主走査方向に6分割したブロック毎に、書き込まれるドット数をカウントし、ブロック毎の画像面積率を求め、求めた画像面積率が基準値以下のブロックについては、所定のトナー消費パターンの静電潜像を感光体上に形成して現像手段でトナーを付着させ、クリーニング手段に強制的にトナーを入力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−146034号公報
【特許文献2】特開2006−126753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1に係る画像形成装置は、研磨モード以外の時の研磨ローラの回転方向を、前記像担持体の回転方向と異方向とするようにしている。しかしながら、単に、研磨モード以外の時の研磨ローラの回転方向を、前記像担持体の回転方向と異方向とするだけでは、トナー溜まりのトナーがニップ出口から外部に排出されてトナー溜まりにおけるトナーが非常に少ない状態となってクリーニングに必要なトナーが無くなることがある。不足するトナーを補填するために、現像部からトナーを供給することが考えられるが、これはトナー消費量の増加を引き起こすこととなる。
【0010】
下記特許文献2に係る画像形成装置においては、研磨不良の対策とクリーニングブラシの逆回転による毛倒れや目詰まりの抑制のためのトナーを印字されない部分に供給するため、トナー消費量の増加が問題となる。また、逆転動作を入れながらトナー消費を抑制するため、トナーを供給しない場合は、充分な研磨が行われず画像不良が発生することとなる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、トナー消費量の増大を防止又は抑制しつつ効果的なクリーニング動作を行うことのできるクリーニング装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、像担持ドラムの周面に接触することにより、該周面に付着したトナーを該周面から除去するクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードにより前記像担持ドラムの周面から除去されたトナーを所定位置で受けとめて貯留するトナー貯留部を形成するトナー受け部材と、前記像担持ドラムの周面に摺接する周面を有し、この像担持ドラムの周面に摺接する周面が前記トナー貯留部のトナーに接触して該トナーを担持するクリーニングローラと、前記クリーニングローラの回転方向を、前記クリーニングローラの周面が前記像担持ドラムとの接触部位において該像担持ドラムの周面と同方向に移動する正転方向と、前記正転方向と逆方向である逆転方向との間で切り替えるローラ制御部とを備え、前記ローラ制御部は、トナー像を前記像担持ドラムに形成する画像形成期間に、前記クリーニングローラを前記正転方向に回転させることにより、前記像担持ドラムの周面に摺接する動作を前記クリーニングローラに実施させ、前記画像形成期間以外の非画像形成期間に、前記クリーニングローラを前記逆転方向に回転させることにより、前記トナー貯留部のトナーを前記トナー貯留部外に排出する排出動作を前記クリーニングローラに実施させるクリーニング装置である。
【0013】
この発明によれば、前記トナー受け部材を設け、前記クリーニングブレードにより前記像担持ドラムの周面から除去したトナーを前記トナー受け部材によって所定位置で受けとめて貯留し、この貯留したトナーをクリーニング用のトナーとしてクリーニングローラの周面に担持させるようにしたので、クリーニングを実施するたびに新たなトナーを必要とすることなく、前記画像形成期間に像担持ドラムのクリーニング(前記除去動作)を行うことができる。
【0014】
一方、前記非画像形成期間において、前記逆転方向に前記クリーニングローラを回転させて、該クリーニングローラに前記トナー貯留部のトナーを担持させ、該トナーを前記トナー貯留部外に排出する排出動作を行うようにしたので、前記トナー貯留部におけるトナーが過多の状態となって前記像担持ドラムとクリーニングローラとの接触部位の上部に大量のトナーが溜まることに起因して、該トナーと像担持ドラムとの間での放電破壊が発生するのを防止又は抑制することができる。
【0015】
前記トナー受け部材としては、請求項2に記載の発明のように、前記クリーニングローラの周面から、該ローラの断面における径方向外側に所定の間隙を介して設置し、前記クリーニングブレードにより前記像担持ドラムから除去されたトナーを貯留するものが想定される。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記像担持ドラムと、前記像担持ドラムの周面を均一に帯電する帯電部と、前記帯電部による帯電動作後の像担持ドラムの周面に対して画像データに基づく露光動作を行って静電潜像を形成する露光部と、前記像担持ドラムの周面に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像部と、前記像担持ドラムの周面に形成されたトナー像を所定の記録媒体に転写する転写部と、前記転写部による転写後の前記像担持ドラムの周面に付着する付着物を除去するための請求項1又は2に記載のクリーニング装置とを備える画像形成装置である。
【0017】
この発明によれば、画像形成装置において、請求項1又は2に記載の発明による効果が得られる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記画像データに基づく画像を前記所定の記録媒体に形成する指示を入力するための入力操作部を更に備え、前記現像部は、画像形成期間中に、前記所定の記録媒体に画像を形成するためのトナーを前記像担持ドラムに供給する供給動作と、当該現像部が保持しているトナーを不要トナーとして前記像担持ドラムに吐出する吐出動作とを実施し、前記ローラ制御部は、前記入力操作部により前記指示が入力されると、該指示に対応する画像形成期間中の前記吐出動作によって前記像担持ドラムに吐出された不要トナーの吐出量と該吐出量について予め定められた閾値とを比較し、前記吐出量が前記閾値より大きいとき、前記指示に基づく画像形成期間の終了直後の非画像形成期間において、前記クリーニングローラを前記逆転方向に回転させて前記トナー貯留部のトナーの前記排出動作を前記クリーニングローラに実施させるものである。
【0019】
この発明によれば、前記入力操作部による画像形成指示に基づく画像形成期間中に前記吐出動作で前記像担持ドラムに供給された不要トナーの供給量が前記閾値より大きいときには、前記指示に基づく画像形成期間の終了直後の非画像形成期間において、前記クリーニングローラを前記逆転方向に回転させて前記トナー貯留部におけるトナーの前記排出動作を前記クリーニングローラに実施させるようにしたので、前記トナー貯留部のトナーが過多になるのを防止又は抑制することができる。
【0020】
前記予め定められた閾値については、例えば、前記非画像形成期間に実施予定の前記排出動作で回転する前記クリーニングローラの回転時間が長いと、該排出動作によって前記トナー貯留部から排出されるトナーの量が多くなるため、前記クリーニングローラの回転時間の増大に伴って前記トナー貯留部におけるトナーの貯留許容量を大きく設定しなければ、トナー貯留部におけるトナーが枯渇することから、請求項5に記載の発明のように、前記非画像形成期間に実施予定の前記排出動作に係る前記クリーニングローラの回転時間に応じて設定するとよい。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5の何れか一項に記載の画像形成装置において、前記像担持ドラムは、前記クリーニングローラが前記排出動作を実施している間は回転しないものである。
【0022】
前記クリーニングローラが前記排出動作を実施している間も引き続き前記像担持ドラムを回転させると、該像担持ドラムの表面に作用するトルクが過大となり、前記トナーと像担持ドラムとの間で放電が発生し、像担持ドラムの周面が損傷する可能性があるが、本発明のように、前記クリーニングローラが前記排出動作を実施している間は、前記像担持ドラムを回転しないようにすることで、このような不具合が発生するのを防止又は抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、像担持ドラムとクリーニングローラとの接触部位の上部に大量のトナーが溜まることに起因して、該トナーと像担持ドラムとの間での放電破壊が発生するのを防止又は抑制しつつ、新たなトナーを供給することなく前記画像形成期間に像担持ドラムのクリーニングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態の内部構成を概略的に示す図である。
【図2】クリーニングユニットの構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】制御部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて、本発明に係るクリーニング装置を備えた画像形成装置の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す正面図である。
【0026】
図1に示すように、画像形成装置1は、像担持ドラムとして周面がアモルファスシリコンからなる円柱状の感光体ドラム2を有し、その感光体ドラム2の周囲に、帯電器(帯電部に相当)3、現像装置(現像部に相当)4、転写体の一例としての転写ローラ(転写部に相当)5、クリーニングユニット6及び除電器7が、感光体ドラム2の回転方向に沿って配置されている。現像装置4には、トナーが保持されている。トナーは、バインダー樹脂をその母粒子として、その周面にシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの研磨剤が付着した構成を有している。なお、トナーには、前記バインダー樹脂の他、顔料、ワックス、帯電制御剤などが例えば30%程度含有されている。
【0027】
この画像形成装置1による画像形成動作は、以下のように行われる。帯電器3によって感光体ドラム2の周面を所定電位に均一に帯電した後、感光体ドラム2の周面に、図略の露光部により画像データに応じてレーザ光9を照射することによる露光を行い、これにより感光体ドラム2上に静電潜像が形成される。その後、現像装置4によって感光体ドラム2上の静電潜像が現像されてトナー像とされ、感光体ドラム2上のトナー像は、転写ローラ5によって転写材、例えば記録用紙12に転写される。この転写の際、感光体ドラム2と転写ローラ5との間に転写バイアス電界を印加し、帯電したトナーを、記録媒体としての記録用紙12にスムーズに移動させるようにしている。なお、記録媒体には、中間転写体等、一時的にトナー像を担持する部材も含むものとする。
【0028】
転写後に感光体ドラム2上に残留したトナーは、クリーニングユニット6により除去される。その後、感光体ドラム2上の残留電位が除電器7によって消去される。そして、再び帯電器3によって帯電されて、以上の画像形成処理が繰り返される。
【0029】
一方、記録用紙12は、用紙カセット13から繰り出されて搬送ライン14に沿って搬送され、感光体ドラム2と転写ローラ5との間に送られ、ここで転写ローラ5によって感光体ドラム2上のトナー像が転写され、その後、定着ユニット15を経て排紙トレイ16に排紙される。なお、搬送ライン14の転写ローラ5よりも上流側にはレジストローラ対17が設けられていて、このレジストローラ対17に記録用紙Pが突き当たって一旦停止され、感光体ドラム2への画像形成とタイミングを合わせて、レジストローラ対17が駆動され、記録用紙Pを感光体ドラム2と転写ローラ5との間の転写ニップに向けて送り出す。
【0030】
このように構成された画像形成装置1にあっては、感光体ドラム2の上方に転写ローラ5が配置され、感光体ドラム2と転写ローラ5との間を通るように搬送ライン14が設けられている。また、その搬送ライン14の下側であって、転写ローラ5よりも感光体ドラム2の回転方向下流側にはクリーニングユニット6が設けられている。
【0031】
図2は、クリーニングユニット6の構成を示す拡大図である。
【0032】
クリーニングユニット6は、クリーニングローラ10と、該クリーニングローラ10よりも下側、つまり、クリーニングローラ10から見て感光体ドラム2の回転方向下流側に設置されたクリーニングブレード11と、クリーニングローラ10の近傍に設置されたプレートロール12(トナー受け部材に相当)とを有する。
【0033】
クリーニングローラ10は、円柱形状を有し、前記感光体ドラム2の回転軸Oと平行な回転軸Qを回転中心として、周面が前記感光体ドラム2の周面に摺接(接触)しながら回転するものである。クリーニングローラ10は、駆動モータ20(図1参照)により駆動される。駆動モータ20は、正逆両方向に回転可能に構成されており、クリーニングローラ10は、該駆動モータ20の回転方向に応じた方向に回転する。駆動モータ20の回転方向の切替えは、例えば電圧印加方向を切替える後述のローラ制御部21(図3参照)により行われる。
【0034】
クリーニングローラ10は、例えば発泡ゴムを用いて構成されており、周面に細かな凹凸を有する。クリーニングローラ10の周面には、この凹凸によってトナーが付着する。
【0035】
クリーニングブレード11は、クリーニングローラ10より下側の所定位置(感光体ドラム2の回転方向下流側の位置)で感光体ドラム2の周面に接触して該感光体ドラム2の周面からトナー(残留トナー)を掻き取るものである。
【0036】
プレートロール12は、前記クリーニングブレード11により掻き取られたトナーの貯留スペース(前記貯留部の一例)を形成するための部材である。すなわち、プレートロール12は、クリーニングローラ10の断面における径方向外側にクリーニングローラ10の周面から所定長さの間隙を介しクリーニングローラ10の周面に沿って湾曲する湾曲面を有して成り、該プレートロール12、前記クリーニングローラ10及び感光体ドラム2の周面及びクリーニングブレード11により囲まれるスペースが前記貯留スペースとして形成されている。
【0037】
なお、感光体ドラム2の半径が例えば20mmから50mmの範囲で設定され、クリーニングローラ10の半径が例えば10mm〜30mmの範囲で設定された場合には、プレートロール12と前記クリーニングローラ10との離間距離は、例えば1mm〜5mmの範囲で設定される。
【0038】
クリーニングユニット6においては、現像装置4から供給され感光体ドラム2の周面に形成された静電潜像が現像装置4によってトナー像とされ、このトナー像が記録用紙Pに転写される際に、記録用紙Pに転写されずに感光体ドラム2の周面に残留したトナーをクリーニングブレード11により掻き取る。この掻き取られたトナーは、前記貯留スペースに貯留される。前記貯留スペースに貯留されるトナーがクリーニングローラ10の周面の位置まで達すると、前記クリーニングローラ10は周面で該トナーを担持する。
【0039】
ここで、図2の矢印Bで示すように、前記クリーニングローラ10が感光体ドラム2の回転方向と逆方向に回転するとき(前記クリーニングローラ10の周面が感光体ドラム2との接触部位において該感光体ドラム2の周面と同方向に移動する方向に回転するとき)には、クリーニングローラ10は、担持したトナーを前記感光体ドラム2との前記接触部位に供給する。このとき、該トナーを研磨剤として感光体ドラム2の周面に付着した付着物を除去する動作が行われる。このときのクリーニングローラ10の回転方向は前記正転方向に対応する。
【0040】
一方、図2の矢印Cで示すように、前記クリーニングローラ10が感光体ドラム2の回転方向と同方向に回転するとき(前記クリーニングローラ10の周面が感光体ドラム2との接触部位において該感光体ドラム2の周面と逆方向に移動する方向に回転するとき)には、クリーニングローラ10は、担持したトナーを前記接触部位を経て矢印Dに示すように、前記貯留スペースの外部に排出する。このときのクリーニングローラ10の回転方向は前記逆転方向に対応する。
【0041】
なお、プレートロール12は、前記貯留スペースに貯留されたトナーがクリーニングローラ10の周面に付着し易くするために、上端部がクリーニングローラ10と感光体ドラム2との接触部位(以下、ニップ部という)と同等の高さ位置又はそれより高い位置まで延びるように構成されているのが好ましい。なお、ここで、前記高さとは地面と垂直な方向における高さをいう。
【0042】
図3は、図1に示す画像形成装置11の電気的構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、画像形成装置1は、前述の感光体ドラム2、帯電器3、現像装置4、転写ローラ5、クリーニングユニット6及び除電器7に加えて、入力操作部18と、制御部21を備えている。
【0043】
入力操作部18は、詳細には説明しないが、印刷枚数等を入力するための数字キー、印刷動作等を開始させるためのスタートボタン、印刷動作等の停止、入力操作の取り消しを行うためのストップ/クリアボタン、各種設定を初期状態又は標準動作状態にするリセットボタン等を含むものである。
【0044】
制御部21は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等とを備えて構成されており、制御部21には、前述の感光体ドラム2、帯電器3、現像装置4、転写ローラ5、クリーニングユニット6及び除電器7が接続されている。
【0045】
本実施形態における制御部21は、ドラム制御部22と、ローラ制御部23と、トナー吐出量検出部24として機能する。
【0046】
ドラム制御部22は、感光体ドラム2の回転動作を制御するものであり、本実施形態においては、当該画像形成装置1で画像形成動作を実施するときには、感光体ドラム2を予め定められた回転方向(図1の矢印Aで示す方向)に回転させ、当該画像形成装置1で画像形成動作を実施しないときには、感光体ドラム2の回転動作を停止させる。
【0047】
トナー吐出量検出部24は、画像形成期間中に現像装置4から感光体ドラム2に吐出される不要トナーの吐出量を検出するものである。
【0048】
現像装置4においては、図略の現像ローラとトナーコンテナとを有し、画像形成動作を実施するときには、トナーコンテナ内のトナーが現像ローラの周面に供給される。ここで、現像ローラの周面に供給されたトナーの一部は、該現像ローラから感光体ドラム2にトナーが供給されて画像形成に利用され、残りは、画像形成に利用されずに(現像ローラから感光体ドラム2に供給されずに)現像装置4の図略の現像ローラに付着したまま残留する。例えば低印字率の画像形成動作を行う場合には、現像ローラに残留するトナー量が特に多くなる。このように残留するトナーは、現像ローラに付着したまま放置すると、所要の帯電量を持たなくなり、次回以降の画像形成時において、現像ローラから感光体ドラム2に供給されるトナー量が設定値より少なくなる結果、画像の濃度に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0049】
そこで、本実施形態では、トナー吐出量検出部24は、入力操作部(スタートボタン)により画像形成指示が入力されるたびに、当該画像形成期間における所定のタイミング、例えば1枚目の画像を形成する前のタイミングや、複数枚の記録用紙に画像を形成する場合に、或る用紙に対する画像形成動作が終了してから次の用紙に対する画像形成動作を開始するまでの間のタイミングなどにおいて、現像ローラの周面に付着したトナーを現像装置4から感光体ドラム2に吐出し、この吐出したトナーを、クリーニング用のトナーとして利用するべく、クリーニングブレード11を用いて貯留スペースに回収するようにしている。なお、以下の説明においては、このトナーを、転写動作の時点で感光体ドラム2に残留するトナーと区別するべく不要トナーという。なお、吐出動作1回当りのトナーの吐出量は予め定められており、形成すべき画像の印字率に応じて吐出回数が設定される。トナー吐出量検出部24は、各画像形成期間において現像装置4から感光体ドラム2に吐出される不要トナーの吐出量を検出する。
【0050】
ローラ制御部23は、クリーニングローラ10の回転動作を制御するものである。ローラ制御部23は、前記画像形成処理を実施するときには、感光体ドラム2の回転方向と反対方向にクリーニングローラ10を回転させる(前記クリーニングローラ10の周面と前記感光体ドラム2の周面との接触部位で前記感光体ドラム2の周面と同方向に移動する方向に前記クリーニングローラ10を回転させる)。
【0051】
なお、前記画像形成時においては、感光体ドラム2の周速は、例えば75mm/秒〜400mm/秒の範囲で設定される一方、クリーニングローラ10の周速は、感光体ドラム2の周速に対して0.6倍〜1.5倍程度の周速に設定される。
【0052】
これにより、前記貯留スペースに貯留されたトナーを担持したときに、該トナーを用いて前記感光体ドラム2の周面の付着物を除去する除去動作が前記クリーニングローラ10により行われることとなる。
【0053】
一方、前記画像形成処理を実施していないとき(非画像形成期間)においては、ローラ制御部23は、前記トナー吐出量検出部24により検出されたトナーの吐出量に応じてクリーニングローラ10の制御が異なる。
【0054】
すなわち、ローラ制御部23は、前記トナー吐出量検出部24により検出されたトナーの吐出量が予め定められた閾値より小さい場合には、クリーニングローラ10の回転動作を実施しない。
【0055】
一方、ローラ制御部23は、前記非画像形成期間において、前記トナー吐出量検出部24により検出されたトナーの吐出量が予め定められた閾値以上であるときには、クリーニングローラ10を前記画像形成時におけるクリーニングローラ10の回転方向と逆方向(図2の矢印Cで示す方向)に回転させる。これは、次の理由に因る。
【0056】
前記貯留スペースに貯留されるトナーには、転写されずに感光体ドラム2の周面に残留した残留トナーだけでなく前述の不要トナーが含まれている。この不要トナーの量が過多となると、前記貯留スペースにおけるトナー量が過多となり、その結果、感光体ドラム2とクリーニングローラ10との接触部位の上部(ニップ上部)にトナーの溜りが発生する。この部分でのトナーの溜り量が多くなると、このトナーと感光体ドラム2との間で放電破壊が発生する虞がある。そこで、クリーニングローラ10を前記画像形成時におけるクリーニングローラ10の回転方向と逆方向(図2の矢印Cで示す方向)に回転し前記貯留スペースに溜まったトナーを外部に排出することで、前記接触部位の上部におけるトナー量をコントロールするようにしている。
【0057】
図4は、制御部21による処理を示すフローチャートである。
【0058】
図4に示すように、入力操作部18により画像形成動作の指示が入力されると(ステップ♯1でYES)、ドラム制御部22は、感光体ドラム2を所定の方向(図2の矢印Aで示す方向)に回転させ、また、ローラ制御部23は、クリーニングローラ10を所定の速度で正回転(感光体ドラム2の回転方向と逆方向に回転)させる(ステップ♯2)。これにより、画像形成動作により感光体ドラム2の周面に付着した付着物を、感光体ドラム2の周面から除去することができる。
【0059】
ローラ制御部23は、画像形成動作が完了するまでステップ♯2の処理を実施し(ステップ♯3でNO)、画像形成動作が完了すると(ステップ♯3でYES)、該動作が完了するまでに吐出された不要トナーの吐出量が予め定められた閾値以上であるか否かを判断し(ステップ♯4)、前記不要トナーの吐出量が前記閾値以上である場合には(ステップ♯4でYES)、クリーニングローラを所定時間だけ所定速度で逆回転させる(ステップ♯5)。これにより、前記貯留スペースにおけるトナー量の過多状態に因り、感光体ドラム2とクリーニングローラ10との接触部位の上部(ニップ上部)に溜まるトナーと感光体ドラム2との間で放電破壊が発生するのを防止又は抑制することができる。
【0060】
以上のように、本実施形態では、プレートロール12を設け、転写されずに感光体ドラム2の周面に残留したトナーや、画像形成動作に利用されずに現像装置4に残留し不要トナーとして感光体ドラム2に吐出されたトナーをクリーニングブレード11により掻き取り、この掻き取ったトナーをプレートロール12で受けとめて溜めるようにしたので、このトナーの貯留スペースにトナーが供給される量が少ない低印字率(例えば約2%以下の印字率)の画像形成処理が実施される場合でも、クリーニングローラ10の周面にはトナーが確実に供給され、トナー不足によるクリーニング不良が発生するのを防止又は抑制することができる。
【0061】
また、非画像形成期間にクリーニングローラ10を逆回転して前記貯留スペースに溜まったトナーを外部に排出する動作を行うようにしたので、ニップ上部に溜まったトナーと感光体ドラム2との間で放電破壊が発生するのを防止又は抑制することができる。
【0062】
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて、次のような変形形態も採用可能である。
【0063】
(1)前記第1の実施形態においては、非画像形成期間において、不要トナーを現像装置4から感光体ドラム2に吐出する量が予め定められた閾値以上である場合に、クリーニングローラ10を逆回転して貯留スペースのトナーを外部に排出するようにしたが、前記吐出量に関係無く(吐出量に係る判断を行うこと無く)、非画像形成期間においてクリーニングローラ10を逆回転して貯留スペースのトナーを外部に排出するようにしてもよい。
【0064】
(2)前記第1の実施形態においては、クリーニングローラ10による逆回転動作(トナーを外部に排出する動作)の実施時間に関係なく、不要トナーの吐出量についての閾値を固定値としたが、前記排出動作に係るクリーニングローラ10の回転時間が長いと、該排出動作によって前記貯留スペースから排出されるトナーの量が多くなる。そのため、前記貯留スペースにおけるトナーの貯留許容量を大きく設定しなければ、貯留スペースにおけるクリーニング用のトナーが枯渇することとなる。そこで、前記閾値を、前記非画像形成期間に実施する予定の前記排出動作に係る前記クリーニングローラ10の回転時間に応じて設定するとよい。
【0065】
例えば、前記クリーニングローラ10の回転時間に比例して前記閾値を増大させるようにしてもよいし、或いは、前記クリーニングローラ10の回転時間について複数の段階を設定し、各クリーニングローラ10の回転時間が長い段階ほど、前記閾値を大きく設定するようにしてもよい。
【0066】
(3)前記第1の実施形態においては、非画像形成時における感光体ドラム2の回転動作を停止させるようにしたが、引き続き回転させるようにしてもよい。ただし、画像形成時に引き続き回転させるようにすると、クリーニングローラ10が排出動作に係る回転動作を行ったときに感光体ドラム2に過大なトルクが作用し、感光体ドラム2の周面やクリーニングローラ10の周面に付着しているトナー等に悪影響を及ぼす虞があるため、前記第1の実施形態のように感光体ドラム2の回転動作を停止させる方が好ましい。
【0067】
(4)前記第1の実施形態においては、感光体ドラム2に吐出された不要トナーの吐出量に応じて、クリーニングローラ10によるトナーの排出動作の有無を決定するようにしたが、これに限らず、貯留スペースにおけるトナーの貯留量を検出する貯留量検出部を備え、この貯留量検出部により検出されるトナーの貯留量に応じて、クリーニングローラ10によるトナーの排出動作の有無を決定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
2 感光体ドラム
3 帯電器
4 現像装置
5 転写ローラ
6 クリーニングユニット
7 除電器
10 クリーニングローラ
11 クリーニングブレード
12 プレートロール
18 入力操作部
21 制御部
22 ドラム制御部
23 ローラ制御部
24 トナー吐出量検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持ドラムの周面に接触することにより、該周面に付着したトナーを該周面から除去するクリーニングブレードと、
前記クリーニングブレードにより前記像担持ドラムの周面から除去されたトナーを所定位置で受けとめて貯留するトナー貯留部を形成するトナー受け部材と、
前記像担持ドラムの周面に摺接する周面を有し、この像担持ドラムの周面に摺接する周面が前記トナー貯留部のトナーに接触して該トナーを担持するクリーニングローラと、
前記クリーニングローラの回転方向を、前記クリーニングローラの周面が前記像担持ドラムとの接触部位において該像担持ドラムの周面と同方向に移動する正転方向と、前記正転方向と逆方向である逆転方向との間で切り替えるローラ制御部と
を備え、
前記ローラ制御部は、
トナー像を前記像担持ドラムに形成する画像形成期間に、前記クリーニングローラを前記正転方向に回転させることにより、前記像担持ドラムの周面に摺接する動作を前記クリーニングローラに実施させ、
前記画像形成期間以外の非画像形成期間に、前記クリーニングローラを前記逆転方向に回転させることにより、前記トナー貯留部のトナーを前記トナー貯留部外に排出する排出動作を前記クリーニングローラに実施させるクリーニング装置。
【請求項2】
前記トナー受け部材は、前記クリーニングローラの周面から、該ローラの断面における径方向外側に所定の間隙を介して設置されており、前記クリーニングブレードにより前記像担持ドラムから除去されたトナーを貯留するものである請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記像担持ドラムと、
前記像担持ドラムの周面を均一に帯電する帯電部と、
前記帯電部による帯電動作後の像担持ドラムの周面に対して画像データに基づく露光動作を行って静電潜像を形成する露光部と、
前記像担持ドラムの周面に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像部と、
前記像担持ドラムの周面に形成されたトナー像を所定の記録媒体に転写する転写部と、
前記転写部による転写後の前記像担持ドラムの周面に付着する付着物を除去するための請求項1又は2に記載のクリーニング装置と
を備える画像形成装置。
【請求項4】
前記画像データに基づく画像を前記所定の記録媒体に形成する指示を入力するための入力操作部を更に備え、
前記現像部は、画像形成期間中に、前記所定の記録媒体に画像を形成するためのトナーを前記像担持ドラムに供給する供給動作と、当該現像部が保持しているトナーを不要トナーとして前記像担持ドラムに吐出する吐出動作とを実施し、
前記ローラ制御部は、前記入力操作部により前記指示が入力されると、該指示に対応する画像形成期間中の前記吐出動作によって前記像担持ドラムに吐出された不要トナーの吐出量と該吐出量について予め定められた閾値とを比較し、前記吐出量が前記閾値より大きいとき、前記指示に基づく画像形成期間の終了直後の非画像形成期間において、前記クリーニングローラを前記逆転方向に回転させて前記トナー貯留部のトナーの前記排出動作を前記クリーニングローラに実施させる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記予め定められた閾値は、前記非画像形成期間に実施予定の前記排出動作に係る前記クリーニングローラの回転時間に応じて設定されるものである請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持ドラムは、前記クリーニングローラが前記排出動作を実施している間は回転しない請求項3乃至5の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−13349(P2011−13349A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155841(P2009−155841)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】