説明

クリーニング装置および画像形成装置

【課題】トナーのストレスが小さく,シンプルな搬送機構を備えたクリーニング装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】クリーニング装置は,感光体ドラム11上の転写残トナーを掻き取るクリーニングブレード2と,掻き取られたトナーをガイドするガイド板21と,掻き取られたトナーを収容するトナー回収部3と,掻き取られたトナーをトナー回収部3に向けてガイドする搬送ガイド部材4と,搬送ガイド部材4上に張設された細線ワイヤ5と,細線ワイヤ5の共振周波数で振動する加振部材6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,トナーを回収するクリーニング装置,およびクリーニング装置を装着する画像形成装置に関する。さらに詳細には,シンプルなトナーの搬送機構を備えたクリーニング装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,電子写真方式の画像形成装置では,トナー像を感光体ドラム上に形成し,そのトナー像を記録用紙上に転写(あるいは一旦中間転写ベルト上に転写した後に記録用紙上に転写)し,これを加熱定着することにより画像を形成する。そして,トナー像を記録用紙上あるいは中間転写ベルト上へ転写した後,次の画像形成に備えて感光体ドラムの表面上に残留したトナー(廃トナー)をクリーニング装置によって掻き落として捕集する。クリーニング装置は,クリーニングブレード等の捕集部材を備え,捕集した廃トナーは廃トナーボックスに収容される。
【0003】
捕集部材によって回収した廃トナーを廃トナーボックスに搬送する方法としては,スクリュー部材を回転させて搬送する方法が実用化されている(例えば,コニカミノルタ社製:Bizhub C450, magicolor 2430DL)。この他,振動板を利用する方法(例えば,特許文献1)や,超音波を利用する方法(例えば,特許文献2)や,電界搬送を利用する方法(例えば,特許文献3)や,エア搬送を利用する方法等の技術が提案されている。
【特許文献1】特開平5−72887号公報
【特許文献2】特開平11−194595号公報
【特許文献3】特開平6−59568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記した従来のクリーニング装置には,次のような問題があった。すなわち,振動板,超音波,電界搬送,エア搬送等を利用する方法では,構造が複雑なため,装置本体の大型化やコストアップを招いてしまう。
【0005】
また,スクリューを利用する方法では,構造がシンプルであるため,装置の大型化やコストアップを回避することができるが,トナーに機械的なストレスがかかる。そのため,回収したトナーが凝集し,搬送不良を起こしたり,再利用が不可能となることがある。
【0006】
本発明は,前記した従来のクリーニング装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,トナーのストレスが小さく,シンプルな搬送機構を備えたクリーニング装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされたクリーニング装置は,画像形成装置内に装着され,像担持体上のトナーを回収するクリーニング装置であって,像担持体からトナーを剥離させるトナー剥離部材と,像担持体から剥離したトナーの搬送路を形成するガイド部材と,ガイド部材によるトナーの搬送路に沿って張設された少なくとも1本の線材とを有し,線材は,線材の共振周波数で加振されることを特徴としている。また,本発明の画像形成装置は,本発明のクリーニング装置を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明のクリーニング装置は,ガイド部材によってトナーの搬送路が形成され,その搬送路上に線材を張設している。線材としては,振動可能な材質であればよく,金属ワイヤであっても綿糸であってもよい。トナーの搬送路内には,トナー剥離部材によって像担持体から剥離されたトナーが落下して堆積する。トナーの剥離手段は,ブレードであっても,ローラであっても,ブラシであってもよい。また,機械的に剥離させても電気的に剥離させてもよい。
【0009】
この線材に,線材の共振周波数の振動を印加する。これにより,線材が共振することになる。線材が共振すると,搬送路内に堆積するトナーが解される。このとき,堆積量が多い部分のトナーが少ない部分に搬送されるように均される。
【0010】
すなわち,本発明のクリーニング装置は,線材の振動によってトナーを搬送する。この線材による搬送方式は,スクリューによって搬送する従来の方式と比較して断面積が小さい。また,軸受,ギアなどの部品を必要としない。そのため,部品点数の削減および搬送部のコンパクト化を図ることができる。
【0011】
また,線材による搬送方式では,堆積するトナーを解す程度のストレスしか加わらないため,軟凝集等の不具合の発生が抑えられ,再利用可能なトナーを多く回収できる。また,線材による搬送方式では,振動によって常にトナーを解しているため,固着によるトナー詰まりが発生しない。
【0012】
なお,線材に振動を印加する部材としては,例えば所定の周波数で発振する発振部材が好適である。この発振部材は,クリーニング装置の内外に付設してもよいし,画像形成装置本体に付設し,クリーニング装置を装着した状態で線材を加振可能になるようにしてもよい。
【0013】
また,本発明の発振部材は,画像形成装置のプロセス情報を基に振動条件を変化させることとするとよりよい。すなわち,クリーニング装置によって回収されるトナー量は,画像形成装置の状態や印字量によって異なる。そのため,プロセス情報を取得し,そのプロセス情報を基に,線材の振幅や振動数を決定する。これにより,画像形成状態によってトナーの搬送条件を変えることができ,トナー詰まり等を抑制することができる。
【0014】
また,本発明の線材は,少なくとも2本あり,隣り合う線材は,振動時に節となる位置がトナーの搬送方向で異なることとするとよりよい。すなわち,複数本の線材を張設することにより,より広い範囲でトナーを搬送することができる。また,共振による振動では,節となる位置でトナー詰まりとなることが考えられる。そこで,2本以上の線材を設け,それぞれ節の位置がトナーの搬送方向でずれるように設定することでトナー詰まりを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば,ワイヤ等の線材の振動によってトナーを搬送している。よって,トナーのストレスが小さく,シンプルな搬送機構を備えたクリーニング装置およびそれを備えた画像形成装置が提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお,本実施の形態は,電子写真方式の画像形成装置およびその画像形成装置に用いられるクリーニング装置に本発明を適用したものである。
【0017】
[第1の形態]
第1の形態の画像形成装置100は,図1に示すように,像担持体である感光体ドラム11を有し,その感光体ドラム11の周囲に,感光体ドラム11の表面を一様に帯電するための帯電装置12と,感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成するための露光装置13と,感光体ドラム11上の静電潜像を可視像(トナー像)とするための現像装置14と,感光体ドラム11上のトナー像を用紙に転写するための転写装置15と,転写残トナーを感光体ドラム11から取り除くためのクリーニング装置16とを感光体ドラム11の回転方向に沿って備えている。さらに,用紙搬送路には,転写位置への用紙の搬送タイミングを調節するためのタイミングローラ17および転写されたトナー像を用紙に定着させるための定着装置18が設けられている。本形態では,帯電装置12,転写装置15,定着装置18はいずれもローラタイプのものを用いる。また,クリーニング装置16には,クリーニングブレードを用いる。
【0018】
続いて,画像形成装置100による画像形成の動作について簡単に説明する。画像形成装置100は,スタート信号や画像データ等を受信することにより動作を開始する。感光体ドラム11は,図1中の矢印方向に回転駆動される。そして,帯電装置12と対向する位置で,帯電ローラによって一様に帯電される。次に,露光装置13によって露光され,表面上に画像データに基づいた静電潜像が形成される。
【0019】
次に,静電潜像が現像装置14の位置に達すると,現像ローラに印加された現像バイアス電圧と感光体ドラム11の静電潜像との間で形成される電界により帯電したトナーが移動し,静電潜像がトナーによって現像される。
【0020】
一方,用紙搬送路を搬送されてきた用紙は,タイミングローラ17にて画像先端位置にタイミングを合わせられ,感光体ドラム11と転写装置15との間に搬送される。そして,転写装置15によって感光体ドラム11上のトナー像が用紙に転写される。さらに,転写されたトナー像を保持した用紙はさらに搬送され,定着装置18によって熱と圧力とが加えられることにより,トナー像が用紙に定着される。また,転写装置15によって用紙に転写されず,感光体ドラム11上に残った転写残トナーは,クリーニング装置16によって掻き取られる。これにより,1枚分の画像形成が終了する。
【0021】
続いて,クリーニング装置16について詳説する。図2は,クリーニング装置16の長手方向の要部断面図である。図3は,クリーニング装置16の要部斜視透視図である。なお,図3には,クリーニング装置16のほか,感光体ドラム11も併せて図示している。
【0022】
クリーニング装置16は,感光体ドラム11上の転写残トナーを掻き取るクリーニングブレード2と,掻き取られたトナーを収容するトナー回収部3と,掻き取られたトナーをトナー回収部3に向けてガイドする搬送ガイド部材4と,搬送ガイド部材4上に張設された細線ワイヤ5と,所定の周波数で振動する発振部材6とを備えている。なお,搬送ガイド部材4は,図2に示したように,クリーニング装置16のハウジング機能を兼ねる筺体であるが,図3ではトナーの搬送路として機能する部分のみを図示している。
【0023】
クリーニングブレード2は,ブレード部と,そのブレード部を支持する支持部をによって構成され,ブレード部が感光体ドラム11と当接している。そして,感光体ドラム11が回転することにより,感光体ドラム11上の転写残トナーが機械的に掻き取られる。なお,転写残トナーを感光体ドラム11から剥離させる手段としては,クリーニングブレードに限るものではなく,クリーニングブラシ,クリーニングローラまたはそれらの組合せでもよい。
【0024】
トナー回収部3は,クリーニング装置16の一方の端部であって,感光体ドラム11の端部よりも軸方向の外側に位置する。クリーニングブレード2によって掻き取られたトナーは,搬送ガイド部4を介してトナー回収部3内に回収される。
【0025】
搬送ガイド部材4は,クリーニングブレード2の下方であってクリーニングブレード2に対して並行配置されている。また,搬送ガイド部材4には,トナー搬送方向の下流側の端部にトナーの落下口41が設けられている。なお,この落下口41の直下にトナー回収部3が配置されており,落下口41からトナー回収部3にトナーを落下させる。
【0026】
細線ワイヤ5は,搬送ガイド部材4の長手方向に沿って,すなわちトナーの搬送路に沿って一定の張力をもって張設されている。また,細線ワイヤ5は,トナー搬送方向の上流側の端部がワイヤ固定部材51で保持され,下流側の端部がばね52で保持されている。また,ワイヤ固定部材51は,搬送ガイド部材4の外側に付設された発振部材6と接している。発振部材6は,細線ワイヤ5の共振周波数で発振する。発振部材6の振動により,細線ワイヤ5は共振することになる。発振部材6としては,例えば圧電素子やバイブレータが適用可能である。
【0027】
細線ワイヤ5の材質,長さ,張力,および発振部材6の振動周波数の具体例を以下に示す。
1.SUS304材(径:0.2mm,線密度:0.249g/m)を,長さが280mm,張力が1Nで固定し,339Hzの振動を印加する。
2.タングステンワイヤ(径:50μm,線密度:0.0379g/m)を,長さが280mm,張力が1Nで固定し,870Hzの振動を印加する。
3.綿糸(綿番手:60番,線密度:0.0295g/m)を,長さが280mm,張力が1Nで固定し,986Hzの振動を印加する。
【0028】
一般的に,弦の共振周波数fは,以下の式(1)で表すことができる。
共振周波数f=1/(2×L)×√(T/ρ) (1)
式(1)中,Lは弦の長さ,ρは線密度,Tは張力を意味する。この式(1)を満たすように発振部材6の振動周波数を設定すれば,発振部材6と接している細線ワイヤ5は共振によって大きく振動する。
【0029】
なお,振動印加部材6は,クリーニング装置16の内側に配置されていても外側に配置されていてもよい。また,振動印加部材6は,クリーニング装置16に付設されていなくてもよい。すなわち,画像形成装置100本体に固定し,クリーニング装置16が画像形成装置100に装着されたときにワイヤ固定部材51と接触するようにしてもよい。また,画像形成時に発生する固有振動を利用できる場合には,その固有振動にて細線ワイヤ5を加振するようにしてもよい。その場合,発振部材6を設けなくてもよい。
【0030】
続いて,クリーニング装置16でのトナーの回収手順について説明する。前述したように,感光体ドラム11に当接しているクリーニングブレード2によって転写残トナーが掻き取られる。掻き取られたトナーは,搬送ガイド部材4内に落下し,搬送ガイド部材4内に堆積する。
【0031】
また,クリーニング装置16では,発振部材6が細線ワイヤ5の共振周波数で発振する。発振部材6が振動すると,細線ワイヤ5が共振によって大きく振動するようになる。この細線ワイヤ5の振動により,搬送ガイド部材4内に堆積しているトナーが解されて長手方向に略均一に均される。このとき,堆積量が多い部分のトナーが少ない部分に搬送されるように均される。そのため,搬送ガイド部材4内に堆積するトナーは,堆積量が少ない落下口41に向けて押し出されることになる。そして,押し出されたトナーは,落下口41から落下してトナー回収部3内に回収される。
【0032】
本形態のクリーニング装置16は,細線ワイヤ5の振動にてトナーを搬送することにより,スクリューによって搬送する従来の方式と比較して次のような特徴を有する。すなわち,スクリューと比べて断面積が小さい。そのため,トナーを搬送する搬送機構をコンパクトにすることができる。
【0033】
また,スクリューによる搬送方式では,トナーに機械的なストレスがかかり,再利用できないトナーが生じる。一方,細線ワイヤ5では,堆積するトナーを解す程度のストレスしか加わらない。そのため,軟凝集等の不具合の発生が抑えられ,再利用可能なトナーを多く回収できる。
【0034】
また,スクリューによる搬送方式では,搬送路内に堆積するトナーの流動性が低下すると,トナーがスクリューの溝に固着してしまうことがある。このような状態になると,トナーの搬送能力が悪くなる。一方,細線ワイヤ5では,振動によって常にトナーを解しているため,固着によるトナー詰まりが発生しない。
【0035】
また,スクリューによる搬送方式では,スクリューのほか,軸受,ギアなどの部品が必要となる。一方,ワイヤによる搬送方式では,ワイヤのほか,ワイヤを固定する部品があればよく,部品点数の削減を図ることができる。
【0036】
[第1の形態の応用例]
続いて,細線ワイヤ5の振動条件を変化させる応用例について,図4のフローチャートを基に説明する。本形態のクリーニング装置16では,画像形成時であれば常に細線ワイヤ5を振動させることとしているが,細線ワイヤ5の振動タイミングを制御してもよい。そこで,本応用例では,画像形成装置100のプロセス情報を基に細線ワイヤ5の振動条件を変化させる方法について述べる。
【0037】
なお,画像形成装置100から得られるプロセス情報としては,例えば,環境センサから出力される温度,湿度,あるいは気圧情報や,イメージングカートリッジの総プリント枚数,あるいは総駆動時間や,ビデオ出力情報(ドットデータによる画像の濃淡情報)や,紙詰まりなどのトラブル情報がある。なお,トラブル情報は,紙詰まり等のトラブルが生じると感光体ドラム11上のトナー画像が転写されず,大量のトナーがクリーニング装置16に回収されることから,トナー量の急激な変化を示す情報となる。
【0038】
まず,画像形成指令を受けた後,プロセス情報を基に振動印加条件を算出する(S1)。すなわち,環境データ,プリント枚数データ,ビデオ積算データ,トラブルデータ等のプロセス情報から,回収するトナー量の変化や,トナーの流動性の変化を判断する。そして,細線ワイヤ5の振動の振幅や振動数(共振次数)を決定する。
【0039】
次に,決定した振動印加条件を基に,発振部材6を発振させる(S2)。すなわち,細線ワイヤ5を加振する。その後,感光体ドラム11を駆動させて画像形成動作を開始する(S3)。画像形成動作の終了(S4)後は,プリント枚数データ,ビデオ積算データ,トラブルデータ等のプロセス情報を更新する(S5)。また,画像形成動作の終了後に発振部材6の発振を停止する(S6)。
【0040】
すなわち,トナーを排出し難い条件となったとき(例えば,トナーの堆積量が多く,トナーの均しが追いつかないとき),細線ワイヤ5の振動条件を変化させる。これにより,トナー詰まりを起こすことなく,トナーを回収することができる。なお,細線ワイヤ5の振動は,感光体ドラム11の駆動よりも早く開始し,駆動を停止した後に停止することが望ましい。
【0041】
[第2の形態]
第2の形態のクリーニング装置116は,図5ないし図6に示すように,2本の細線ワイヤ55,56を平行配置している。細線ワイヤ55,56は,所定の周波数の振動電圧源7に接続されている。
【0042】
本形態のクリーニング装置116では,細線ワイヤ55,56に細線ワイヤの共振周波数の半分の周波数の電圧を印加する。これにより,印加した電圧の2倍の周期で振動する力が細線ワイヤ55,56に加わる。そして,細線ワイヤ55,56がそれぞれ共振によって振動し,搬送ガイド部材4内のトナーが均される。そして,トナーが落下口41に向けて押し出され,トナー回収部3にて回収される。
【0043】
本形態のように,2本の細線ワイヤを設けることで,より広い範囲でトナーを搬送することができる。また,1本のみの細線ワイヤで搬送しようとすると,振動時に節となる位置でトナー詰まりとなることが考えられる。そこで,2本の細線ワイヤを設け,それぞれ節の位置がトナーの搬送方向でずれるように各細線ワイヤを配置することでトナー詰まりを防ぐことができる。なお,細線ワイヤは,2本に限らず,3本以上あってもよい。
【0044】
なお,本形態では,細線ワイヤ55,56を平行に配置しているが,両者の間隔を長手方向で変えても良い。すなわち,両者の間隔が短いと電気的に強く反発するため,振幅が大きくなる。一方,両者の間隔が短いと振幅が小さくなる。そこで,図7に示すように,トナーの落下口41に向かうほど両者の間隔を狭くして振幅を大きくする。これにより,トナーの落下口41に向かうほど振幅が大きくなり,落下口41付近でのトナー詰まりを防止することができる。
【0045】
以上詳細に説明したように本実施の形態の画像形成装置100は,搬送ガイド部材4によって形成されるトナーの搬送路上に細線ワイヤ5を張設することとしている。そして,発振部材6にて細線ワイヤ5の共振周波数の振動を印加して,細線ワイヤ5を共振させることとしている。この細線ワイヤ5の共振により,搬送ガイド部材4内に堆積するトナーが解されて均される。これにより,トナーが堆積量の少ない方に,すなわち落下口41側に搬送される。
【0046】
また,トナーの搬送に細線ワイヤ5を使用することで,スクリューと比較して搬送に必要な断面積を小さくすることができる。また,細線ワイヤ5を振動させる際に,軸受,ギアなどの部品を必要としない。そのため,部品点数の削減および搬送部のコンパクト化を図ることができる。また,堆積するトナーを解す程度のストレスしか加わらないため,軟凝集等の不具合の発生が抑えられ,再利用可能なトナーを多く回収できる。また,振動によって常にトナーを解しているため,固着によるトナー詰まりが発生しない。よって,トナーのストレスが小さく,シンプルな搬送機構を備えたクリーニング装置およびそれを備えた画像形成装置が実現している。
【0047】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本発明は,カラープリンタ,モノクロプリンタ,コピー機,ファクシミリ等の各種の画像形成装置に適用可能である。
【0048】
また,像担持体としてローラ形状の感光体ドラムを用いているが,ベルト状の感光体ベルトを使用してもよい。また,帯電装置は,ローラ帯電方式のほか,コロナ放電方式の帯電チャージャ,ブレード,ブラシ等を使用してもよい。また,露光装置は,レーザによるものでもLEDによるものでもよい。また,転写装置は,転写ローラのほか,転写チャージャを使用してもよい。あるいは,感光体から用紙へ直接トナー像を転写する方式のほか,中間転写体を備え,2段階以上の転写を行う方式であってもよい。また,定着装置は,定着ローラのほか,定着ベルトを用いてもよいし,非接触方式のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の形態にかかる画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1の形態にかかるクリーニング装置の長手方向の要部断面図である。
【図3】第1の形態にかかるクリーニング装置の要部斜視透視図である。
【図4】応用例にかかる画像形成装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の形態にかかる画像形成装置のプロセスカートリッジ部の概略構成を示す図である。
【図6】第2の形態にかかるクリーニング装置の要部斜視透視図である。
【図7】第2の形態にかかるクリーニング装置の応用例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
2 クリーニングブレード(トナー剥離部材)
3 トナー回収部
4 搬送ガイド部材(ガイド部材)
5 細線ワイヤ(線材)
51 ワイヤ固定部材
52 ばね
6 発振部材
7 振動電圧源
11 感光体ドラム(像担持体)
16 クリーニング装置
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上のトナーを回収するクリーニング装置において,
像担持体からトナーを剥離させるトナー剥離部材と,
像担持体から剥離したトナーの搬送路を形成するガイド部材と,
前記ガイド部材によるトナーの搬送路に沿って張設された少なくとも1本の線材とを有し,
前記線材は,前記線材の共振周波数で加振されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載するクリーニング装置において,
前記線材の共振周波数で発振する発振部材を備えることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項2に記載するクリーニング装置において,
前記発振部材は,画像形成装置のプロセス情報を基に振動条件を変化させることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載するクリーニング装置において,
前記線材は,少なくとも2本あり,
隣り合う線材は,振動時に節となる位置がトナーの搬送方向で異なることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
トナー像を担持する像担持体と,前記像担持体上のトナーを回収するクリーニング装置とを有する画像形成装置において,
前記クリーニング装置は,
前記像担持体からトナーを剥離させるトナー剥離部材と,
前記像担持体から剥離したトナーの搬送路を形成するガイド部材と,
前記ガイド部材によるトナーの搬送路に沿って張設された少なくとも1本の線材とを有し,
前記線材は,前記線材の共振周波数で加振されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載する画像形成装置において,
前記線材の共振周波数で発振する発振部材を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−206190(P2007−206190A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22738(P2006−22738)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】