説明

クリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】残留トナーや紙粉をトナー受け部材の先端付近に溜めず、これら残留トナーや紙粉によるクリーニング装置周辺の汚染を防止できるクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像が形成される像担持体(30)の表面に上方から圧接し、残留トナーを用いて像担持体表面を研磨するクリーニングローラー(44)と、像担持体の回転方向でみて像担持体表面とクリーニングローラーとの当接位置よりも上流側にて、クリーニングローラーを収容したハウジング(41)に設けられており、その先端(61)が像担持体表面に当接してハウジング内の残留トナーによるハウジング外への飛散・落下を防止するトナー受け部材(60)とを具備し、このトナー受け部材の先端と像担持体表面との間には、間隙が存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写の際に像担持体の表面に残った残留トナー等を除去するクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では電子写真方式が用いられており、帯電器が像担持体、例えば感光体ドラムを予め帯電し、露光部が感光体ドラムの表面に光を照射すると、この感光体ドラムの表面には静電潜像が形成される。また、現像器はトナーを担持しており、トナーが静電潜像に付着して感光体ドラムの表面にはトナー像が現像される。そして、この可視化されたトナー像を用紙に、或いは中間転写体を介して用紙に転写して定着させる。
【0003】
ここで、感光体ドラムの表面には、トナーが用紙に転写されずに残ることがあり、次回の画像形成までに除去する必要がある。そこで、この感光体ドラムの表面を清掃する構造が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
詳しくは、特許文献1ではクリーニングブレードが感光体ドラムの表面に接触し、その表面に残った残留トナーを除去する。
【0004】
一方、特許文献2では、感光体ドラムの表面に残った残留トナーを掻き取るクリーニングブレードの他、クリーニングローラーも有する。また、この残留トナーには微量の研磨剤が含まれている。クリーニングブレードで除去した残留トナーはトナー受け部材に一時的に溜められ、クリーニングローラーに付着する。そして、クリーニングローラーは感光体ドラムの表面に付着した放電生成物などを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−194417号公報
【特許文献2】特開2004−54104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、クリーニング装置には、感光体ドラムの上方に配置される上面クリーニングレイアウトシステムがある。具体的には、クリーニングローラーを収容したハウジングが下方に向いて開口しており、クリーニングブレードはこの開口に設置される。換言すれば、クリーニングブレードで除去した残留トナーはハウジング内に集められるものの、その開口が下方を向いている。
【0007】
すなわち、上記構造では、ハウジング内の残留トナーがハウジング外に飛散や落下する虞がある。このため、トナー受け部材をハウジングの開口、例えば、感光体ドラムの回転方向でみてクリーニングローラーと感光体ドラムとのニップ領域の上流側に設け、その先端を感光体ドラム表面に接触させることにより、ハウジング内の残留トナーを受け止めている。
【0008】
しかしながら、この上面クリーニングレイアウトシステムでは、転写位置からクリーニング装置に向けて移動してきた感光体ドラム表面の残留トナーや紙粉がトナー受け部材の先端付近に溜まるという問題がある。
そして、トナー受け部材の先端付近に溜まり続けた残留トナーや紙粉は、その後、トナー受け部材の先端付近から転写位置などに向けて落下してしまい、クリーニング装置周辺を汚染するのである。
【0009】
また、この問題の解決にあたり、ハウジング内の残留トナーがハウジング外に飛散や落下しないように配慮する必要がある。このハウジング内の残留トナーも飛散や落下すれば、クリーニング装置周辺の汚染を招くからである。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、残留トナーや紙粉をトナー受け部材の先端付近に溜めず、これら残留トナーや紙粉によるクリーニング装置周辺の汚染を防止できるクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための第1の発明は、トナー像が形成される像担持体の表面に上方から圧接し、残留トナーを用いて像担持体表面を研磨するクリーニングローラーと、像担持体の回転方向でみて像担持体表面とクリーニングローラーとの当接位置よりも上流側にて、クリーニングローラーを収容したハウジングに設けられており、その先端が像担持体表面に当接してハウジング内の残留トナーによるハウジング外への飛散・落下を防止するトナー受け部材とを具備し、このトナー受け部材の先端と像担持体表面との間には、間隙が存在する。
【0011】
第1の発明によれば、クリーニング装置は、上面クリーニングレイアウトシステムであり、像担持体の表面に上方から圧接するクリーニングローラーを有する。このクリーニングローラーは、残留トナーを用いて像担持体表面を研磨しており、この像担持体表面に付着した放電生成物などを除去できる。
ここで、上面クリーニングレイアウトシステムでは、クリーニングローラーを収容したハウジングの開口が下方を向いており、ハウジング内の残留トナーがハウジング外に飛散や落下するのを防がなければならない。そこで、トナー受け部材をハウジングの開口に設けている。
【0012】
そして、これらトナー受け部材の先端と像担持体表面との間には、例えば像担持体表面の残留トナーや紙粉を通過させる間隙が設けられている。よって、これら像担持体表面の残留トナーや紙粉はトナー受け部材の先端付近に溜まらず、クリーニングローラーに向かうことから、このトナー受け部材の先端付近から下方に落下しない。
この結果、像担持体表面の残留トナーや紙粉によるクリーニング装置周辺の汚染を防止できる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明の構成において、トナー受け部材は、像担持体の回転駆動時には、このトナー受け部材の先端と像担持体表面との間に上述した間隙が存在する一方、像担持体の回転駆動停止時には、このトナー受け部材の先端が像担持体表面に当接して間隙を無くすことを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、像担持体の回転駆動時には、トナー受け部材の先端は像担持体表面から離間するため、トナー受け部材の先端に像担持体表面の残留トナーや紙粉が詰まることが回避でき、クリーニング装置周辺の汚染を防止できる。
【0014】
一方、像担持体の回転駆動停止時には、それまで離間していたトナー受け部材の先端が像担持体表面に当接しており、像担持体の回転駆動時に形成されていた間隙が埋められている。
したがって、例えば用紙詰まり時に画像形成装置の本体カバーを開閉したり、画像形成部のメンテナンス時にドラムユニットや現像部などを画像形成装置本体から取り外すことによって、仮にクリーニング装置に衝撃が加わったとしても、像担持体の回転が停止している限り、ハウジング内の残留トナーは、トナー受け部材の上方に留まり、上述した間隙からハウジング外に飛散や落下しない。つまり、この場合には、ハウジング内の残留トナーによるクリーニング装置周辺の汚染防止に寄与する。
【0015】
第3の発明は、第1や第2の発明のクリーニング装置を搭載した画像形成装置であって、像担持体は、非晶質シリコン系の層を有した感光体ドラムであることを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、非晶質シリコン系の層を有した感光体ドラムは長寿命であるとの長所を有するが、上記のクリーニング装置を備えていれば、この感光体ドラムの特性を長期間に亘って維持可能になり、その長所を確実に活かすことができる。
【0016】
第4の発明は、第1から第3の発明のクリーニング装置を搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
第4の発明によれば、上記のクリーニング装置によって良好な画像形成が長期間に亘って行われることから、画像形成装置の信頼性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、像担持体の駆動停止時には、トナー受け部材の先端を像担持体表面から離間させるので、残留トナーや紙粉がトナー受け部材の先端付近に溜まらない。よって、これら残留トナーや紙粉によるクリーニング装置周辺の汚染を防止できるクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施例の複合機を概略的に示した断面正面図である。
【図2】コントローラーを含めた図1の複合機の構成図である。
【図3】図1のドラムユニット周辺の断面図である。
【図4】図3のトナー受けシートの説明図である。
【図5】図3のトナー受けシートの動作説明図である。
【図6】図3のトナー受けシートの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、画像形成装置の一例である複合機1の正面側からみた断面が示されている。
本実施例の複合機1は、胴内排紙型の装置本体2を有しており、排紙トレイ14がスキャナー部7の下側に形成されている。
【0020】
装置本体2の上側、つまり、スキャナー部7の上側には原稿送り装置20が搭載され、この原稿送り装置20は、原稿を所定の画像読取位置に自動搬送可能に構成されている(ADF:Auto Document Feeder)。詳しくは、複合機1を複写機やファクシミリ、ネットワークスキャナとして利用するときには、この原稿送り装置20から原稿を搬送し、その画像面はスキャナー部7にて光学的に読み取られる。
【0021】
一方、装置本体2の下部にはフロントローディング式の給紙カセット3が設置され、本実施例では装置本体2の高さ方向に沿って上下2段で配置される。各給紙カセット3はいずれも装置本体2に対して着脱可能に構成され、複合機1の正面側に向けて引き出されると、給紙カセット3の内部が外部に対して開かれる。
【0022】
また、図1にて実線で示された矢印は用紙の搬送経路及びその搬送方向を表している。
各給紙カセット3には画像形成前の各種の用紙Pが積層状態で収容され、この用紙Pは給紙カセット3から1枚ずつ分離され、この図1でみて左方向に向けて送出される。そして、搬送路4の用紙Pは装置本体2の左側面に沿って上方に向けて搬送される。
【0023】
また、装置本体2の右側面には開閉式の手差しトレイ5が備えられており、この手差しトレイ5から送出された用紙も搬送路6に搬送され、その後、上方に向けて搬送される。
装置本体2の内部には、用紙搬送方向でみて下流側にレジストローラー17、画像形成部9及び転写部10が順番に配置されている。
【0024】
この画像形成部9の右方には露光部8やトナーコンテナ11が備えられており、図2のコントローラー90の信号に基づき、露光部8からは画像形成部9の感光体ドラム(像担持体)30に向けてレーザー光Lが照射され、静電潜像が現像される。また、トナーコンテナ11から図示しない補給経路を経由して現像部33にトナーが供給され、現像部33より感光体ドラム30に形成された静電潜像に対してトナーが現像される。
【0025】
用紙搬送方向でみて転写部10の下流側には、定着部12、及び排出分岐部13が順番に配置され、片面印刷の場合には、定着部12から排出された用紙は排出ローラー15を経て排紙トレイ14に排出される。
一方、排出分岐部13と搬送路4との間には両面印刷用搬送路16が配置されており、この両面印刷用搬送路16では定着部12から排出された用紙を搬送路4に戻し、画像形成部9に向けて再び送出する。
【0026】
ところで、上述した本実施例の感光体ドラム30は、例えばφ40mm程度の直径で形成され、その表面に非晶質シリコン系の層を有したa−Siドラムであり、装置本体2に回転自在に設置され、図示しない駆動モーターによって図1や図3の時計回りに駆動する。
また、この図3にも示されるように、感光体ドラム30の周囲の適宜位置には、帯電器32、現像ローラー34、転写ローラー36やクリーニング装置40がそれぞれ設けられている。
【0027】
この帯電器32は、図3でみると感光体ドラム30の右斜め上側に位置しており、この感光体ドラム30の表面を均一に帯電させる。なお、この帯電器32には図示のコロナ放電方式の他、感光体ドラム30の表面に直接に接する帯電ローラーを有した直接接触方式であっても良い。
また、現像ローラー34は感光体ドラム30の右斜め下側に配置されて感光体ドラム30に対峙し、図示しない駆動モーターによって図3の反時計回りに駆動する。
【0028】
転写ローラー36は感光体ドラム30に対して左斜め下方から圧接可能に構成されている。そして、これら感光体ドラム30と転写ローラー36とは、トナー像を用紙Pに転写するためのニップ部を形成する。
ここで、本実施例のトナーには、微量の研磨剤(酸化チタン、シリカ、アルミナなど)が含まれており、クリーニング装置40にて感光体ドラム30の表面の清掃に利用される。
【0029】
本実施例のクリーニング装置40は、図1や図3に示されるように、感光体ドラム30の上部に配置されている(上面クリーニングレイアウトシステム)。
詳しくは、本実施例のクリーニング装置40は感光体ドラム30の回転方向でみて転写ローラー36との転写位置の下流側にて、この感光体ドラム30に向けて開口したハウジング41を備えており、このハウジング41の適宜位置に、クリーニングローラー44、クリーニングブレード46やトナー回収部50を有している。
【0030】
具体的には、ハウジング41は下向きに開口しており、用紙Pの搬送路に対峙する前壁42や、前壁42の反対側、例えば帯電器32の上方に後壁43を有し、図示しない側壁とともにハウジング41の開口を区画する。
本実施例のクリーニングローラー44は、ハウジング41の開口のうち前壁42近傍にて感光体ドラム30に上方から圧接しており、その摺擦面が感光体ドラム30の回転軸線方向に沿って延びている。
【0031】
また、このクリーニングローラー44は、例えばφ12mm程度の直径で形成された導電性発泡EPDM等のエチレンゴム製であり、図示しない駆動モーターによって図3の反時計回りに駆動し、トナー像が用紙Pに転写された後の感光体ドラム30の表面をトレール方向で摺擦研磨する。
これにより、クリーニングローラー44は、感光体ドラム30の非晶質シリコン系の層に付着する残留トナーなどを除去する。
【0032】
なお、この上面クリーニングレイアウトシステムは、図2の感光体ドラム30の軸心を原点Oとした直交座標系にて説明すると、クリーニングローラー44と感光体ドラム30とのニップ領域とこの原点Oを通る水平軸(X軸)とのなす角が直交座標系の45°〜135°の範囲内に位置しており、本実施例では、ニップ領域が約100°の位置に形成された構造を一例に挙げている。
【0033】
次に、クリーニングブレード46は、ハウジング51の下端に固定される亜鉛鋼板製の本体46aや、この本体46aに溶着されたポリウレタンゴム製のブレード部分46bからなり、このブレード部分46bのエッジが感光体ドラム30の回転方向でみてクリーニングローラー44の下流側に配置され、感光体ドラム18の回転軸線に沿って延びている。
【0034】
そして、このエッジが感光体ドラム30に対してカウンター方向で接し、感光体ドラム30の表面に付着した研磨剤を含む残留トナーなどを掻き取っている。
これらクリーニングローラー44やクリーニングブレード46によって感光体ドラム30の表面から掻き取られた残留トナーは、クリーニングローラー44の摺擦面に付着する。
【0035】
一方、クリーニングローラー44の摺擦面に付着した残留トナーの厚さは、この摺擦面にトレール方向で接する層規制ローラー48で調整される。
この層規制ローラー48は、図3でみてクリーニングローラー44の斜め右上側、つまり、クリーニングローラー44と感光体ドラム30との当接位置とは反対側であって、クリーニングブレード46のエッジ上方に設置されている。
【0036】
より具体的には、この層規制ローラー48は、クリーニングブレード46やクリーニングローラー44と同様に、感光体ドラム30の回転軸線方向に沿って延び、クリーニングローラー44に当接して従動回転する。つまり、クリーニングローラー44が図3に示されるように反時計回りに回転すると、層規制ローラー48は図3でみて時計回りに回転し、ハウジング41内においてクリーニングローラー44に対してトレール方向で回転して接触する。
【0037】
これにより、感光体ドラム30の研磨に必要な量がクリーニングローラー44のゴム部分に向けて押し込まれ、残留トナーの厚さを均一に調整できる。
一方、クリーニングローラー44から脱落した残留トナー等はトナー回収室50から回収される。詳しくは、トナー回収部50は、図3でみてハウジング41の後壁43近傍にスクリューを有する。
【0038】
このスクリューは感光体ドラム30の回転軸線方向に沿って延び、その先端が図示しない駆動モーターに連結されている。そして、この駆動モーターが駆動すると、ハウジング41内において、層規制ローラー48から右方に向けて排出された残留トナーは、スクリューを経由して回収容器(図示しない)に集められる。
【0039】
ところで、本実施例のクリーニング装置40はトナー受けシート(トナー受け部材)60を備えており、ハウジング41内の残留トナーがハウジング41外に漏れ出るのを防止する。
トナー受けシート60は、感光体ドラム30の回転方向でみてクリーニングローラー44と感光体ドラム30とのニップ領域よりも上流側にて、ハウジング41の前壁42に設けられる。
【0040】
具体的には、図4にも示されるように、ハウジング41の前壁42には断面視略L字状の保持板63が設置され、本実施例の保持板63は前壁42に対して上下動可能に構成される。より詳しくは、前壁42の下端には上下方向に延びた溝42aが形成される一方、保持板63の上端64付近にはピン64aが突設されており、このピン64aが溝42aにスライド自在に支持されている。そして、保持板63は前壁42に沿って延びてからハウジング41の開口に向けて折れ曲がっており、この折れ曲がり部分に、前壁42の下端に対向する上面66と、感光体ドラム30に対向する下面67とを有する。
【0041】
本実施例のトナー受けシート60は、厚さ0.1mm程度の例えば熱可塑性ウレタンシートで形成され、クリーニングローラー44等と同様に、感光体ドラム30の回転軸線方向に沿って延びている。
このトナー受けシート60の根元側が例えば両面テープを用いて保持板63の下側から下面67に貼り付けられる。
【0042】
ここで、トナー受けシート60の先端61は感光体ドラム30の表面に対して接触・離間可能に構成される。
その一例を図4に挙げると、保持板63の上端64にはバネ84が連結されており、このバネ84は保持板63を感光体ドラム30から離間させる方向に付勢している。
【0043】
また、本実施例では、プランジャー82も上端64に当接可能に構成され、モーター80の駆動力に応じて上下動する。
これにより、保持板63は、プランジャー82が上端64に接触していない間は、バネ84の付勢力によって上方に引き上げられ、感光体ドラム30から遠ざかることができる。
【0044】
一方、この保持板63は、プランジャー82が上端64に接触している間は、バネ84の付勢力に抗して下方に押し下げられ、感光体ドラム30に近づくことができる。
さらに、コントローラー90は駆動判定部92やシート調整部93を有している(図2)。
【0045】
本実施例の駆動判定部92は、感光体ドラム30が回転しているか否かを判別しており、例えば画像形成時、運転条件の調整時(キャリブレーション)や感光体ドラム30の清掃時などの場合には、感光体ドラム30の回転駆動時であると判定し、シート調整部93にその判定結果を出力する。
この場合のシート調整部93は、プランジャー82が保持板63から離れるように、モーター80に駆動信号を出力する。
【0046】
よって、保持板63はバネ84の付勢力によって感光体ドラム30から遠ざかり、トナー受けシート60の先端61が、図5に示されるように、間隙Lだけ感光体ドラム30の表面から離間できる。この間隙Lは残留トナーや紙粉等を通過させる空間として例えば0.1mm〜0.6mmの範囲内で設定されている。
【0047】
この結果、感光体ドラム30の表面に付着した残留トナーや紙粉などは、間隙Lを通過してクリーニングローラー44に向かう。
特に、画像形成時のように、感光体ドラム30が高速回転しているときには、先端61の周辺には強力な渦流が発生するため、先端61周辺で浮遊する残留トナーもハウジング41内に入り、感光体ドラム30の表面に向けて飛散や落下し難くなるのである。
【0048】
そして、感光体ドラム30を高速回転(例えば460mm/sec)させ、印字率5%による連続300,000枚の耐久試験を実施しても、残留トナーや紙粉などが転写位置に向けて落下せず、クリーニング装置40周辺や用紙Pの汚れが確認できなかった。
一方、駆動判定部92が、例えば図1でみて装置本体2の左側面に位置するジャム処理カバーを開いた場合や、複合機1の主電源オフなどの場合には、感光体ドラム30の回転駆動停止時であると判定し、シート調整部93にその判定結果を出力する。
【0049】
この場合のシート調整部93は、プランジャー82が保持板63に接触するように、モーター80に駆動信号を出力する。
よって、上端64がプランジャー82によって下方に押圧され、保持板63はバネ84の付勢力に抗して感光体ドラム30に近づき、トナー受けシート60の先端61は感光体ドラム30の表面に当接する(図6)。
【0050】
この結果、ハウジング41内、特に、前壁42とクリーニングローラー44との間に存在した残留トナーが感光体ドラム30の表面に向けて飛散や落下し難くなる。
なお、トナー受けシート60は、モーター80に替えてソレノイドや公知の可動手段を用い、また、プランジャー82に替えてカム等の公知の機械要素を用いて感光体ドラム30の表面に対して接触・離間させても良い。
【0051】
この複合機1が印刷を行う際は、給紙カセット4や手差しトレイ5から用紙が1枚ずつ分離して送出され、この用紙は装置本体2内のレジストローラー17に到達する。このレジストローラー17は、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部9で形成されるトナー画像とのタイミングを計りながら、用紙Pを転写部10へと送出する。
【0052】
図2の入力ポート91には、印刷の元になる画像データが外部から受信可能に構成されている。この画像データは、文字や符号、図形、記号、線図、模様等の各種の画像がデータ化されたものである。そして、このデータに基づき、このコントローラー90では光の照射などを制御する。
詳しくは、除電された感光体ドラム30に対し、帯電器32が感光体ドラム30の表面を帯電する。
【0053】
次いで、露光部8が感光体ドラム30の表面にレーザー光Lを照射すると、感光体ドラム30の表面には静電潜像が作られ、現像ローラー34を介して静電潜像からトナー像が形成され、用紙に転写される。
その後、用紙は未定着トナー画像を担持した状態で定着部12に向けて送られ、トナー画像を定着する。
【0054】
定着部12から送出された用紙は排出分岐部13を通って排紙トレイ14に排出され、高さ方向に積層される。
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部12から送出された用紙は排紙トレイ14に排出される直前にて両面印刷搬送路16側に引き戻され、この用紙は搬送路4に合流し、再び転写部10に向けて送られる。そして、この場合には、用紙の未だ印刷がされていない面にトナー画像が転写される。
【0055】
以上のように、本実施例によれば、クリーニング装置40は、上面クリーニングレイアウトシステムであり、感光体ドラム30の表面に上方から圧接するクリーニングローラー44を有する。このクリーニングローラー44は、残留トナーを用いて感光体ドラム30の表面を研磨しており、この感光体ドラム30の表面に付着した放電生成物などを除去できる。
【0056】
ここで、上面クリーニングレイアウトシステムでは、クリーニングローラー44を収容したハウジング41の開口が下方を向いており、ハウジング41内の残留トナーがハウジング41外に飛散や落下するのを防がなければならない。そこで、トナー受けシート60をハウジング41の開口に設けている。
そして、これらトナー受けシート60の先端61と感光体ドラム30の表面との間には、例えば感光体ドラム30の表面の残留トナーや紙粉を通過させる間隙が設けられている。
【0057】
よって、これら感光体ドラム30の表面の残留トナーや紙粉はトナー受けシート60の先端61付近に溜まらず、クリーニングローラー44に向かうことから、このトナー受けシート60の先端61付近から下方の転写位置に落下しない。
この結果、感光体ドラム30の表面の残留トナーや紙粉によるクリーニング装置40周辺の汚染を防止できる。
【0058】
また、感光体ドラム30の回転駆動時には、トナー受けシート60の先端61は感光体ドラム30の表面から離間するため、この先端61に感光体ドラム30の表面の残留トナーや紙粉が詰まることが回避でき、クリーニング装置40周辺の汚染を防止できる。
一方、感光体ドラム30の回転駆動停止時には、それまで離間していたトナー受けシート60の先端61が感光体ドラム30の表面に当接しており、感光体ドラム30の回転駆動時に形成されていた間隙Lが埋められている。
【0059】
したがって、例えば用紙Pの詰まり時に装置本体2のジャム処理カバーを開閉したり、画像形成部9のメンテナンス時にドラムユニット17や現像部33などを装置本体2から取り外すことによって、仮にクリーニング装置40に衝撃が加わったとしても、感光体ドラム30の回転が停止している限り、ハウジング41内の残留トナーは、トナー受けシート60の上方に留まり、上述した間隙Lからハウジング41外に飛散や落下しない。つまり、この場合には、ハウジング41内の残留トナーによるクリーニング装置40周辺の汚染防止に寄与する。
【0060】
さらに、非晶質シリコン系の層を有した感光体ドラム30は長寿命であるとの長所を有するが、上記のクリーニング装置40を備えていれば、この感光体ドラム30の特性を長期間に亘って維持可能になり、その長所を確実に活かすことができる。
【0061】
さらにまた、上記のクリーニング装置40によって感光体ドラム30の表面への研磨剤の付着も回避できるので、仮に帯電ローラーを用いた場合には、研磨剤が感光体ドラム30からすり抜けて付着する汚染も回避できる。しかも、良好な画像形成が長期間に亘って行われることから、複合機1の信頼性向上に寄与する。
【0062】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施例では、トナー受けシート60が感光体ドラム30の回転駆動時・停止時に伸縮し、感光体ドラム30の表面から離間・接触しているが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。
【0063】
具体的には、トナー受けシート60は、上記ジャム処理カバーが装置本体2を開けた時点や、転写ローラー36が感光体ドラム30の表面から離間した時点に、感光体ドラム30から離間させても良い。そして、トナー受けシート60は、このジャム処理カバーが装置本体2を閉じた時点や、転写ローラー36が感光体ドラム30の表面に接触した時点に、感光体ドラム30の表面に当接させても良い。
【0064】
さらに、上記実施例では、感光体ドラム30のトナー像を用紙Pに直接に転写しているが、中間転写ベルトを備えていても良い。また、上記実施例では画像形成装置として複合機に具現化した例を示している。しかし、本発明は原稿送り装置を有する複写機、プリンター等にも当然に適用可能である。
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、残留トナーや紙粉をトナー受け部材の先端付近に溜めず、これら残留トナーや紙粉によるクリーニング装置周辺の汚染を防止できるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0065】
1 複合機(画像形成装置)
30 感光体ドラム(像担持体)
40 クリーニング装置
41 ハウジング
44 クリーニングローラー
60 トナー受けシート(トナー受け部材)
61 先端
90 コントローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される像担持体の表面に上方から圧接し、残留トナーを用いて前記表面を研磨するクリーニングローラーと、
前記像担持体の回転方向でみて前記表面と前記クリーニングローラーとの当接位置よりも上流側にて、前記クリーニングローラーを収容したハウジングに設けられており、その先端が前記表面に当接して前記ハウジング内の残留トナーによる前記ハウジング外への飛散・落下を防止するトナー受け部材と
を具備し、
このトナー受け部材の先端と前記表面との間には、間隙が存在することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置であって、
前記トナー受け部材は、前記像担持体の回転駆動時には、このトナー受け部材の先端と前記表面との間に前記間隙が存在する一方、前記像担持体の回転駆動停止時には、このトナー受け部材の先端が前記表面に当接して前記間隙を無くすことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクリーニング装置を搭載した画像形成装置であって、
前記像担持体は、非晶質シリコン系の層を有した感光体ドラムであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のクリーニング装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−203175(P2012−203175A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67373(P2011−67373)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】