説明

クリーニング装置

【課題】被清掃面及び被清掃物の損傷を防止してクリーニングできるクリーニング装置を提供する。
【解決手段】クリーニング装置(1)は、操作部(2)と、前記操作部(2)の操作に応じて、被清掃面(105a)に押圧されて前記被清掃面(105a)に付着した異物を粘着させて移し取る粘着部(11)と、前記粘着部(11)が前記被清掃面(105a)に押圧されたときの前記被清掃面(105a)への所定以上の押圧力を吸収する押圧力調整部(4)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被清掃面に付着した異物のクリーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一眼レフ方式のレンズ交換可能なデジタルカメラの撮像素子の保護カバー、ローパスフィルタ等に付着したゴミ等の異物を除去するクリーニング装置があった。
例えば特許文献1には、弾性部材を保護カバー等に接触させた状態で、弾性部材を支持する支持部材に力を加え、弾性部材と撮像素子とを密着させることにより、保護カバー等に付着した異物を剥離させるクリーニング装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−173674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このタイプのクリーニング装置は、ユーザがどの位の力を支持部材に加えるかの判断が困難なために、場合によっては撮像素子、ローパスフィルタ等を破損させる可能性があった。
【0004】
本発明の課題は、被清掃面及び被清掃物の損傷を防止してクリーニングできるクリーニング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1の発明は、操作部(2)と、前記操作部(2)の操作に応じて、被清掃面(105a)に押圧されて前記被清掃面に付着した異物を粘着させて移し取る粘着部(11)と、前記粘着部が前記被清掃面に押圧された際の前記被清掃面への所定以上の押圧力を調整する押圧力調整部(4)と、を備えるクリーニング装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のクリーニング装置において、前記押圧力調整部(4)は、前記押圧力を吸収する弾性部材(4)を備え、所定の押圧力がかかるように押圧力を調整すること、を特徴とするクリーニング装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のクリーニング装置において、前記粘着部(11)は、所定方向からの断面形状が曲線であり前記被清掃面(105a)に接触する曲面部(11a)を有し、前記操作部(2)の操作に応じて、前記曲面部と前記被清掃面とが接しながら前記粘着部が転がるように案内する案内部(6c,6d,8c,8d)を備えること、を特徴とするクリーニング装置である。
請求項4の発明は、請求項3に記載のクリーニング装置において、前記操作部(2)は、この装置の基部(5)に対して移動をすることにより操作され、前記押圧力調整部(4)は、前記操作部と前記基部との間に配置され、前記操作部と前記基部との間の作用力を吸収することにより前記所定以上の押圧力を吸収し、前記案内部(6c,6d,8c,8d)は、前記基部と前記粘着部(11)とをカム(6c,6d,8c,8d)を介して接続し、前記操作部の前記移動方向の所定のストローク内での操作に応じて前記粘着部が転がるように案内するカム機構(6c,6d,8c,8d)であり、前記基部と前記粘着部との間を伸張方向に付勢し、前記操作部の前記所定のストローク内の操作に応じて前記粘着部を前記被清掃面(105a)に押圧させる押圧力を発生する押圧力発生付勢部(10)を備えること、を特徴とするクリーニング装置である。
請求項5の発明は、請求項4に記載のクリーニング装置において、前記押圧力調整部(4)は、そのバネ定数が前記押圧力発生付勢部(10)のバネ定数よりも大きく、前記所定のストロークの終端以降に加えられた操作に応じた前記押圧力を吸収可能なこと、を特徴とするクリーニング装置である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のクリーニング装置において、前記粘着部(11)が前記被清掃面(105a)に押圧力の限界である押圧力限界で押圧することを告知する告知部(207a)を備えること、を特徴とするクリーニング装置である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のクリーニング装置において、前記被清掃面(105a)は、光学機器の撮像素子(106)の撮像面又は撮像素子(106)の被写体側に配置された光学部材(105)の一面(105a)であり、前記粘着部(11)は、前記撮像素子の撮像面又は前記光学部材の一面の前記異物を粘着させること、を特徴とするクリーニング装置である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被清掃面及び被清掃物の損傷を防止してクリーニングできるクリーニング装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明のクリーニング装置の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のクリーニング装置1の斜視図である。
図2は、第1実施形態のクリーニング装置1の正面図(図1に示すX軸方向から見た図)である。
図3は、第1実施形態のクリーニング装置1の側面図(図1に示すY軸方向から見た図)である(一部に図2のIII−III部矢視断面を含む)。
なお、各図には、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、実施形態の軸が支持部に対して移動する方向をZ軸方向とし、Z軸に直交する軸のうちカムピン6c,6dの軸方向をX軸方向、Z軸及びX軸に直交する方向をY軸方向とした。
図1、図2に示すように、クリーニング装置1は、操作部2と、移動軸3と、バネ4と、支持部5と、カムピン6c,6dと、ストッパ7と、可動部8と、バネ10と、粘着部11とを備えている。
【0010】
操作部2は、クリーニング時にユーザにより操作される部材であり、ゴム材や樹脂等の滑りにくい材料により形成される。図2に示すように、操作部2は、可動部8の一端に圧入して固定するための凹部2aが設けられている。
移動軸3は、円筒状の軸体であり、操作部2が固定されている側とは反対側の端面に凹部3aを有しており、ここにバネ4が挿入されている。
バネ4は、移動軸3と支持部5との間に設けられている。クリーニング時に操作部2に加えられた力は、バネ4を介して支持部5に伝達される。
支持部5は、円筒状の円筒部材5aと、円筒部材5aと同軸な細長い直方体の直方体部材5bとが一体に形成された軸体である。円筒部材5aは、端面に凹部5eを有しており、ここに移動軸3が挿入される。直方体部材5bは、X軸方向に貫通した2つの貫通孔5c,5dを有している。この2つの貫通孔5c,5dには、2つのカムピン6c,6dが挿入された状態で固定されている。
【0011】
ストッパ7は、移動軸3が支持部5から脱落しないようにするための部材である。ストッパ7は、移動軸3のフランジ3eよりも径が小さい貫通孔を有し、移動軸3が支持部5に挿入された状態でネジ結合している。移動軸3は、フランジ3eがストッパ7に当接することにより、支持部5からの脱落防止がされる。
【0012】
可動部8は、Y軸方向から見た場合の断面形状がコの字状であり(図3参照)、その2つの側壁8a,8bが支持部5の直方体部材5bを挟み込むような状態で配置される。可動部8は、支持部5に設けられたカムピン6c,6dが係合するカム孔8c,8dを有し、支持部5に対してカム孔8c,8dに従って移動可能に取り付けられる。
カム孔8c,8dは、支持部5(カムピン6c,6d)がX,Y軸方向に移動せずかつZ軸方向下側に移動した場合に、粘着部11が平面である被清掃面20aとの接触を維持した状態で、粘着部11を矢印θ1方向に回転させるパターンとなっている。また、カム孔8c,8dは、終端部にZ軸方向上側に広げられた幅広部8e,8fを有している。
【0013】
バネ10は、支持部5と可動部8との間に圧縮された状態で配置されている。バネ10は、支持部5と可動部8とを互いに離れる方向(Z軸方向)に付勢している。バネ10は、バネ4よりもバネ定数が小さく、操作部2に力が加えられた場合の変位が、バネ4の変位よりも大きい。
【0014】
粘着部11は、粘着性を有する弾性部材であり可動部8の底面8gに固定されている。粘着部11の下面は、粘着面11aである。粘着部11は、X軸方向からの粘着面11aの断面形状が凸形状の円弧状の曲線部となっている。粘着面11aは、被清掃物20のクリーニング時に、曲線部が略平面の被清掃面20aに回転方向に転がりながら接触するように、被清掃面20aを押圧し、被清掃面20aに付着した異物を粘着させて移し取ることができる。
粘着部11は、ウレタン、シリコン、ブチルゴム等のゴム材料により形成されるのが好ましい。粘着部11は、硬度が低いほど粘着力が高いが、後述するように異物を移し取った後、その粘着面11aがクリーニングシート30(図8参照)を用いて清浄される。クリーニングシート30は、粘着面11aに粘着した異物をさらに粘着させて取り除くため、粘着部11よりも低硬度のものを使用する必要がある。従って、粘着部11の硬度は、30〜50(Hs30〜50)程度が好ましい。
【0015】
次に本実施形態のクリーニング装置1の使用方法について説明する。
図4は、第1実施形態のクリーニング装置1がレンズマウント101の開口孔からカメラ100の内部に挿入された状態を示す図である。
図5〜図7は、第1実施形態のクリーニング装置1がカメラ100のLPF(Low Pass Filter)105の表面105aをクリーニングする一連の動作を示す図である。
なお、図4〜図7においては、クリーニング装置1の使用形態に合わせて、クリーニング装置1をZ軸方向が鉛直方向になるようにかつXY平面が水平面になるように配置した例を説明する。
図4に示すようにカメラ100は、交換レンズが着脱可能に装着されるレンズマウント101を備えた一眼レフ方式のデジタルカメラである。カメラ100は、ファインダ102を利用した被写体観察時に、被写体光をファインダ光学系へと導くメインミラー103を備えている。メインミラー103は、被写体観察時には撮影光路内の観察位置(図中2点鎖線P1で示す位置)に配置され、撮影時には撮影光路から退避位置(図中実線P2で示す位置)に移動する。
【0016】
メインミラー103の背面側撮影光路上には、シャッタ104、LPF105、CCD(Charge Coupled Device)106が被写体側から順に配置されている。LPF105は、モアレを低減するための光学部材である。CCD106は、被写体光を電気信号に変換する光−電子変換素子である。LPF105とCCD106とは、LPF105とCCD106との間に異物が入らないように、通常ユニット化されている。
【0017】
クリーニング装置1を使用するときには、ユーザは、交換レンズをカメラ100から取り外し、かつ操作ボタン(図示せず)等を操作してメインミラー103を退避位置(図中実線P2で示す位置)に退避させた状態にする。また、クリーニング装置1を安定して操作するためには、図示するように、LPF105の表面105aが鉛直方向上側(Z軸方向上側)を向いた状態になるように、カメラ100を背面100aを下側にして机150等の上に載置するのが好適である。このようにカメラ100を配置することにより、クリーニング装置1に対して、鉛直方向上側から安定して操作力を加えることができる。
【0018】
クリーニング装置1は、Z軸方向を鉛直方向にし、かつ粘着面11aを鉛直方向下側にした状態で、レンズマウント101の開口孔からカメラ100の内部に挿入される。そして、粘着部11の粘着面11aがLPF105に接触した状態が、図5に示す状態である。
【0019】
ユーザは、一連の動作(図5〜図7に示す動作)が終了するまで、支持部5を側面から支持して、支持部5が平面(XY平面)方向に移動せず、かつ支持部5の軸方向が鉛直方向を維持するように、クリーニング装置1を保持する。そして、ユーザは、指等で操作部2を鉛直方向下側に操作して、クリーニング装置1に対して操作力を加える。
操作力は、移動軸3を介してバネ4に伝達される。さらに、バネ4は、圧縮されながら操作力を支持部5に伝える。ユーザは、操作力が段々大きくなるように操作部2を下側に操作する。これにより、操作力の大きさに応じて操作部2と支持部5との鉛直方向の相対的な距離が短くなる。操作力は、支持部5からバネ10に伝達され、さらにバネ10から可動部8及び粘着部11に伝達される。これにより、粘着部11は、鉛直方向に圧縮されながら、その粘着面11aがLPF105の表面105aを押圧する。
【0020】
バネ10が支持部5と可動部8とを付勢する力よりも、加えられる操作力が大きくなると、バネ10が縮み始める。この状態から加えられる操作力が、クリーニング時に粘着面11aがLPF105の表面105aを押圧する押圧力となる。クリーニング装置1は、平面(XY平面)方向に移動しないように保持されているので、支持部5が鉛直方向下側に移動すると同時にカムピン6c,6dが、カム孔8c,8dを摺動する。可動部8及び粘着部11は、カムピン6c,6d及びカム孔8c,8dからなるカム機構により、回転方向(矢印θ1方向)に転がるように案内されて回転を始める。これにともない、粘着部11は、曲線部がLPF105の表面105aに接触した状態を維持して、回転方向に転がりながら図6に示す状態まで移動する。粘着部11は、LPF105の表面105aを転がりながら押圧し、LPF105の表面105aの異物を粘着させて除去することができる。
【0021】
このように、クリーニング装置1は、操作部2の操作に応じて、粘着部11がLPF105の表面を転がるように案内され、また粘着部11に付着した異物がLPF105の表面を摺動することがない。これにより、クリーニング装置1は、摩擦(擦れ)に起因するLPF105の損傷を防止して、LPF105の表面105aをクリーニングすることができる。
【0022】
図5の状態から図6の状態までの間に、LPF105の表面105aを押圧する押圧力は、バネ10が圧縮されて発生する力、つまりバネ10が支持部5と粘着部11とを伸張方向に付勢する力と等しい。また、操作部2のストロークの大部分は、バネ4、バネ10の変位となる。クリーニング装置1は、バネ4のバネ定数がバネ10のバネ定数よりも大きいので、操作部2のストロークのうちバネ4の変位の部分を小さくでき、操作力の大部分を粘着部11に伝達しているような感覚をユーザに与えることができる。このため、クリーニング装置1は、扱いやすく、操作性を向上することができる。
【0023】
操作部2がストロークの終端まで操作されると、図6に示すように、カムピン6c,6dがカム孔8c,8dの終端まで移動した状態になる。図6の状態では、カムピン6c,6dは、カム孔8c,8dの最下部の壁部に当接している。従ってストロークの終端以降に操作力がさらに加えられた場合、可動部8と支持部5とは、相対的な距離が変化しない。この場合、バネ4は変位し続けるために、操作部2と支持部5との鉛直方向の相対的な距離が短くなる。しかし、バネ4のバネ定数がバネ10のバネ定数よりも大きいので、クリーニング装置1の鉛直方向下側への移動量は、クリーニング動作時に比較して急激に小さくなる。つまり、操作力に応じた操作部2の移動量が大幅に小さくなり、ユーザはストロークの終端に達したことを認識することができる。さらに、ストロークの終端以降に操作力が加えられても、バネ10が圧縮するので、粘着部11がLPF105の表面105aに押圧されたときの所定以上の押圧力を吸収することができるため、LPF105の損傷を防止することができる。
【0024】
図7に示すように、ユーザがストロークの終端に達したことを認識し操作部2から力を抜くと、バネ10の付勢力により、支持部5と可動部8とが互いに離れる方向に移動する。そして、カムピン6c,6dが幅広部8e,8fに収まり、可動部8は、支持部5に対して位置決めがされ、粘着部11の回転止めがされる。
このように、クリーニング動作後にユーザが力を抜いても、可動部8及び粘着部11が支持部5に対して位置決めされることにより、粘着部がLPF105の表面105aを戻って矢印θ1方向とは反対方向に転がることがない。このため、クリーニング装置1は、粘着部11に移し取った異物を、再びLPF105の表面105aに付着させることがなく、またLPF105を損傷させることもない。その後、ユーザは、クリーニング装置1を鉛直方向上側に移動して、カメラ100の外側に取り出すことができる。
【0025】
図8は、第1実施形態のクリーニング装置1の粘着面11aをクリーニングシート30により清掃している状態を説明する図である。
クリーニング装置1は、粘着面11aに異物を移し取っても、別途用意されたクリーニングシート30により清掃すれば、繰り返し使用することができる。なお、図8は、クリーニング装置1をカメラ100の外側に取り出し、カム孔8c,8dの幅広部8e,8fに収まったカムピン6c,6dを幅広部8e,8fから外し、支持部5と可動部8とをクリーニング前の配置に戻した状態である。
【0026】
クリーニングシート30は、粘着部11よりも硬度が低い(粘着力が高い)材質により製造される。ユーザは、粘着面にクリーニングシートを貼り付けた後、図示するようにクリーニングシート30を粘着面11aから引き離すと、粘着面11aに付着している異物がクリーニング装置へと移し取られる。これにより粘着面11aが清浄な状態となり、クリーニング装置1は、繰り返しの使用が可能となる。
【0027】
粘着面11aの清浄後のクリーニング装置1は、例えばLPF105の表面105aのうちクリーニングが終了していない範囲(例えば図4に示す右側の範囲)のクリーニングに使用される。
【0028】
なお、図5に示すように、ストロークの初期には、クリーニング装置1は、可動部8の左側の縁部8hが鉛直方向に平行になる。このため、図4に示すように、クリーニング装置1は、カメラ100内部の内壁101bに接触することなく、カメラ100に挿入することができる。
一方、図7に示すように、ストロークの終端では、右側の縁部8iが鉛直方向に平行になる。このため、クリーニング装置1は、メインミラー103等に接触することなく(図4参照)、カメラ100内部から取り出すことができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態のクリーニング装置1は、粘着部11がLPF105の表面105aに押圧されたときに、所定以上の押圧力をバネ4により吸収することができるので、LPF105の損傷を防止することができる。
また、クリーニング装置1は、操作部2に鉛直方向上側から力を加えるという簡単な操作でクリーニングすることができる。つまり、操作部を傾けて使用するクリーニング装置の場合、操作部をどの位傾ければよいか判断することが困難であるが、クリーニング装置1は、このような判断をする必要がなく操作が簡単である。
【0030】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用したクリーニング装置の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図9は、第2実施形態のクリーニング装置200を示す図である。
クリーニング装置200は、ストッパ7からZ軸方向上側に円筒状のリブを設けたものである。
図9(b)に示すように、リブ207aの高さは、ユーザが操作部2を操作してストロークの終端に達したときの操作部2の天面2bの高さと同等である。このため、指等がリブ207に当たることにより、ユーザは、ストロークの終端であることを認識することができ、操作部2にそれ以上力を加えないようにすることができる。
つまり、クリーニング装置200は、粘着部11がLPF105の表面105aを、押圧力の限界で押圧することを、ユーザに対して告知することができる。このため、クリーニング装置200は、オーバストロークにともなうLPF105の損傷を防止することができる。
【0031】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)第1実施形態において、クリーニング装置は、LPFの表面をクリーニングする例を説明したが、これに限定されない。例えば、クリーニング装置は、撮像素子よりも被写体側に配置されていれば、他の光学部材であってもクリーニングすることができ、また撮像素子自体の撮像面をクリーニングしてもよい。さらに、クリーニング装置は、光学部材以外でも、表面に所定以上の押圧力が加えられると損傷しやすい電気部品、表面に傷がつきやすい電気部品(例えば液晶表示装置等)や、凹部の底に配置された部品等のクリーニングにも利用することができる。
【0032】
(2)第2実施形態において、ストロークの終端を告知するリブを設けた例を示したが、これに限定されない。例えば、クリーニング装置に、ストロークの終端でONとされる電気的接点を設けて発光ダイオード等を点灯させることにより、ストロークの終端を告知してもよい。この場合、クリーニング装置は、精度よくストロークの終端を告知することができる。また、操作部の移動量を示すために、移動部に目盛等の指標を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態のクリーニング装置の斜視図である。
【図2】第1実施形態のクリーニング装置の正面図である。
【図3】第1実施形態のクリーニング装置の側面図である。
【図4】第1実施形態のクリーニング装置がカメラ内部に挿入された状態を示す図である。
【図5】第1実施形態のクリーニング装置がLPFの表面をクリーニングする動作を示す図である。
【図6】第1実施形態のクリーニング装置がLPFの表面をクリーニングする動作を示す図である。
【図7】第1実施形態のクリーニング装置がLPFの表面をクリーニングする動作を示す図である。
【図8】第1実施形態のクリーニング装置の粘着面をクリーニングシートにより清掃している状態を説明する図である。
【図9】第2実施形態のクリーニング装置を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1,200…クリーニング装置、2…操作部、3…移動軸、4…バネ、5…支持部、6c,6d…カムピン、10…バネ、11…粘着部、8c,8d…カム孔、100…カメラ、
103…メインミラー、104…シャッタ、105…LPF、106…CCD、207a…リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
前記操作部の操作に応じて、被清掃面に押圧されて前記被清掃面に付着した異物を粘着させて移し取る粘着部と、
前記粘着部が前記被清掃面に押圧された際の前記被清掃面への所定以上の押圧力を調整する押圧力調整部と、
を備えるクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記押圧力調整部は、前記押圧力を吸収する弾性部材を備え、所定の押圧力がかかるように押圧力を調整すること、
を特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のクリーニング装置において、
前記粘着部は、所定方向からの断面形状が曲線であり前記被清掃面に接触する曲面部を有し、
前記操作部の操作に応じて、前記曲面部と前記被清掃面とが接しながら前記粘着部が転がるように案内する案内部を備えること、
を特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項3に記載のクリーニング装置において、
前記操作部は、この装置の基部に対して移動をすることにより操作され、
前記押圧力調整部は、前記操作部と前記基部との間に配置され、前記操作部と前記基部との間の作用力を吸収することにより前記所定以上の押圧力を吸収し、
前記案内部は、前記基部と前記粘着部とをカムを介して接続し、前記操作部の前記移動方向の所定のストローク内での操作に応じて前記粘着部が転がるように案内するカム機構であり、
前記基部と前記粘着部との間を伸張方向に付勢し、前記操作部の前記所定のストローク内の操作に応じて前記粘着部を前記被清掃面に押圧させる押圧力を発生する押圧力発生付勢部を備えること、
を特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項4に記載のクリーニング装置において、
前記押圧力調整部は、そのバネ定数が前記押圧力発生付勢部のバネ定数よりも大きく、前記所定のストロークの終端以降に加えられた操作に応じた前記押圧力を吸収可能なこと、
を特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のクリーニング装置において、
前記粘着部が前記被清掃面に押圧力の限界である押圧力限界で押圧することを告知する告知部を備えること、
を特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のクリーニング装置において、
前記被清掃面は、光学機器の撮像素子の撮像面又は撮像素子の被写体側に配置された光学部材の一面であり、
前記粘着部は、前記撮像素子の撮像面又は前記光学部材の一面の前記異物を粘着させること、
を特徴とするクリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−31387(P2009−31387A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192968(P2007−192968)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】